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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-15155(P2017-15155A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】配管吊下支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20161222BHJP
【FI】
   F16L3/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-131065(P2015-131065)
(22)【出願日】2015年6月30日
(71)【出願人】
【識別番号】507367758
【氏名又は名称】有限会社アールストーン
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB04
3H023AC04
3H023AC46
3H023AC73
3H023AD08
3H023AD26
(57)【要約】
【目的】横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、しかも低コスト化が可能な配管吊下支持具を提供する。
【構成】一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材に接続することによって吊りボルト等から吊下可能となるバンド端部が形成された構成の配管吊下支持具において、
前記バンド抱持部の最下部の帯状バンド体の一部を、配管軸方向に直交する左右に切り起こすことによって左右方向外側に各々延伸する切起し係止部を形成し、
天井スラブ等の取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記切起し係止部の各々に形成された構成である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材に接続することによって吊りボルト等から吊下可能となるバンド端部が形成された構成の配管吊下支持具において、
前記バンド抱持部の最下部の帯状バンド体の一部を、配管軸方向に直交する左右に切り起こすことによって左右方向外側に各々延伸する切起し係止部を形成し、
天井スラブ等の取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記切起し係止部の各々に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【請求項2】
最下部の略中央線の位置部分から左方向と右方向に切り分けて各々を外側方向に向かって切り起こすことにより、左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項3】
帯状バンドの環状方向と平行に且つ並列する2本の切起し部を設け、この2本の内の一方の切起し部を左方向外側に向かって切起し、他方の切起し部を右方向外側に向かって切起すことにより、左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項4】
前記切起し係止部の各々の基端部近傍の上方部分を該基端部側に切起し、この切り起こした部分を前記切起し係止部の少なくとも一部に重合させて重合切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【請求項5】
前記切起し係止部と前記重合切起し係止部との重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合した構成であることを特徴とする請求項4に記載の配管吊下支持具。
【請求項6】
前記取付面に一端が固定された吊りボルトにタンバックルを介して前記バンド端部をボルト・ナット固定し、
前記取付面に一端が固定され、吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を、前記切起し係止部の透孔にナットの如き係合手段を用いて係合することにより、
前記吊りボルトと1本又は2本の吊下支持杆による2点又は3点吊下支持する構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管吊下支持具に関し、詳しくは天井スラブ等の取付面に、水道管、ガス管、冷・暖房管等の各種配管を2点又は3点吊下支持する配管吊下支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井スラブ等の取付面に吊りボルト等の支持部材による吊下支持に加えて前記取付面から斜めに垂設した1本又は2本の吊下支持杆を付加すること等によって2点支持乃至は3点吊下支持したり、或いは2本の吊下支持杆によって2点吊下支持することで防振(防震)構造とした技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載のもの等が知られている。
【0003】
特許文献1に示す技術では、従来構成のままの既存のタンバックル及び配管支持具に装着することで3点吊下支持可能な技術であるが、他部材である2枚の板状部材を必要とするため、かかる部品点数の増加によって現場での部品管理の煩雑さや装着時の手間等が新たに加わることとなっている。
【0004】
特許文献2及び3に示す技術は、配管支持具のバンド抱持部の外面に吊下支持杆との係合部が設けられているため、新たな部材の追加の問題はなく部品管理等の煩雑さ等は無いが、配管支持具自体のコストが上昇せざるを得ない。
【0005】
以上のことから、現場での部品管理や装着時の手間等が増すことなく、コストアップを抑制することができる配管吊下支持具の要請があることが判った。
【0006】
更に本発明者が当該技術について鋭意研究を続けたところ、強い横揺れが発生した場合、配管を抱持した状態で取付面から吊下げられる配管支持具は、取付面と吊りボルトとの接続部、吊りボルトとタンバックルとの接続部、タンバックルと配管支持具との接続部からバンド抱持部の上端部分までの部分、等の箇所に負荷がかかり、特に配管を抱持する部分の直上であるバンド抱持部の上端部分に大きな負荷がかかることが判った。
【0007】
本発明者の研究によれば、前記特許文献1〜3に示す技術では強い横揺れが発生した際には、取付面と吊りボルトとの接続部、吊りボルトとタンバックルとの接続部、タンバックルと配管支持具との接続部については防振(防震)性を発揮することができるが、バンド抱持部の上端部分での防振(防震)性については不充分な場合があることが判った。
【0008】
そこで本発明者は、配管を抱持するバンド抱持部の一部を切り起して切起し係止部を形成し、この切起し係止部に、取付面から吊下げられた1本又は2本の吊下げ支持杆を係合可能とすることにより、2点又は3点吊下げ支持可能な配管吊下支持具を先に提案した(特許文献4〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−150452号
【特許文献2】実用新案登録第2524340号
【特許文献3】登録実用新案第3148361号
【特許文献4】登録実用新案第3153185号
【特許文献5】登録実用新案第3153545号
【特許文献6】登録実用新案第3153546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者はかかる技術について更に研究を進めたところ、より簡易な構成の配管支持具に適用してコストダウンを図るべき余地があることを見出した。
【0011】
そこで本発明の課題は、横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、しかも低コスト化が可能な配管吊下支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0013】
1.一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材に接続することによって吊りボルト等から吊下可能となるバンド端部が形成された構成の配管吊下支持具において、
前記バンド抱持部の最下部の帯状バンド体の一部を、配管軸方向に直交する左右に切り起こすことによって左右方向外側に各々延伸する切起し係止部を形成し、
天井スラブ等の取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記切起し係止部の各々に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【0014】
2.最下部の略中央線の位置部分から左方向と右方向に切り分けて各々を外側方向に向かって切り起こすことにより、左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0015】
3.帯状バンドの環状方向と平行に且つ並列する2本の切起し部を設け、この2本の内の一方の切起し部を左方向外側に向かって切起し、他方の切起し部を右方向外側に向かって切起すことにより、左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0016】
4.前記切起し係止部の各々の基端部近傍の上方部分を該基端部側に切起し、この切り起こした部分を前記切起し係止部の少なくとも一部に重合させて重合切起し係止部を形成する構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【0017】
5.前記切起し係止部と前記重合切起し係止部との重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合した構成であることを特徴とする上記4に記載の配管吊下支持具。
【0018】
6.前記取付面に一端が固定された吊りボルトにタンバックルを介して前記バンド端部をボルト・ナット固定し、
前記取付面に一端が固定され、吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を、前記切起し係止部の透孔にナットの如き係合手段を用いて係合することにより、
前記吊りボルトと1本又は2本の吊下支持杆による2点又は3点吊下支持する構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【発明の効果】
【0019】
請求項1又は6に示す発明によれば、横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、しかも低コスト化が可能な配管吊下支持具を提供することができる。
【0020】
特に、一本の帯状バンド体から成るバンド抱持部を有するいわゆる提灯式の配管支持バンドと呼ばれる配管吊下支持具に適用する構成によって、配管吊下支持具の単価を下げることができる。しかも、2点支持又は3点支持のための吊下支持杆を接続する切起し係止部が、バンド抱持部の一部を切り起こすだけで加工可能であるため、別部材を付加することもないため重量が増加することなく2点指示又は3点支持が可能となる。更に、切り取り加工等によって廃棄が必要となる部材も生じることもなく、低コスト化が可能なだけでなく、環境適正にも優れている。
尚、提灯式の配管支持バンドは、軽量配管である合成樹脂管の抱持支持に適しており、一本の帯状バンド体で形成された極めて簡易な構成を有するので低廉である。従って、本発明の構成を適用することにより、横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができる配管吊下支持具を低コストで提供することが可能となる。
【0021】
請求項2に示す発明によれば、左右の切起し係止部の各々を幅広く形成することも可能である。
【0022】
請求項3に示す発明によれば、左右の切起し係止部の各々の切起し長さを長くすることも可能である。
【0023】
請求項4に示す発明によれば、切起し係止部が重合切起し部の重合によって補強されるので、別部材を付加することなく重量の増加を招くことなく、切起し係止部の強度を高くすることができる。
【0024】
請求項5に示す発明によれば、重合切起し部の重合による補強がより増強されるので該切起し係止部の強度をより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る配管吊下支持具の第1実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A−A断面図)
図2図1に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
図3】本発明に係る配管吊下支持具の第2実施例を示す7面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、B−B断面図、C−C断面図)
図4図3に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
図5】本発明に係る配管吊下支持具の第3実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A−A断面図)
図6】本発明に係る配管吊下支持具の第4実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A−A断面図)
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付の図面に従って本発明について詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る配管吊下支持具(以下、単に支持具と言うこともある。)1は、図1に示すような具体的構成を有し、使用に際しては図2に示すように配管Pを抱持した状態で天井スラブ等の取付面2に固定された吊りボルト3及び吊下支持杆4による防振状態で2点又は3点(図2は3点)吊下支持する際に用いるものである。
【0028】
支持具1の具体的構成としては、図1に示すように、支持具1の本体が一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部11が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材31に接続することによって吊りボルト3から吊下可能となるバンド端部13が形成された構成の提灯式の配管支持バンドから成ることを基本構成とする。即ち、バンド抱持部11の最下部12に組式又は蝶番式の接続部の無い構成の配管支持バンドから成る。
【0029】
そして、上記基本構成を有する構成において、
前記バンド抱持部11の最下部12の帯状バンド体の一部を、配管軸方向に直交する左右に切り起こすことによって左右方向外側に各々延伸する切起し係止部14A・14Bを形成し、
天井スラブ等の取付面2に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本(図2に示す実施例では2本)の吊りボルトの如き吊下支持杆4の他端を係合可能な透孔15が、前記切起し係止部14A・14Bの各々に形成された構成となっている。
【0030】
尚、図1に示す符号11Cは、重合切起し係止部14A・14Bが切り起こされることで連続する一つの孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部である。
【0031】
上記の切起し係止部14A・14Bの切起し形成について更に詳説すると、図1及び図2に示す本第1実施例では、バンド抱持部11の最下部12の略中央線の位置部分から左方向と右方向に切り分けて各々を外側方向に向かって切り起こすことにより、左右方向外側の各々に延伸するように該切起し係止部14A・14Bが形成される構成になっている。かかる構成によれば、左右の切起し係止部14A・14Bの各々を幅広く形成することも可能である。
【0032】
また、切起し係止部14A・14Bの各々の切起し方向は、前記したように配管軸方向に直交する左右方向外側であるが、取付面2からの吊下支持杆4(図2参照)の斜め吊下角度に応じて斜め下方に向かって延伸する構成とし、この斜め下方の角度については前記吊下支持杆4の斜め吊下角度に応じて適宜設定されることが好ましい。具体的な角度としては、好ましくはバンド端部13を下方に延長した線に対して30〜85度、より好ましくは45〜60度の範囲であり、防振(防震)性の観点から吊下支持杆4の斜め吊下角度は概ね45度の角度であることが好ましいことから、切起し係止部14A・14Bの角度も概ね45度であることがとりわけ好ましい。
【0033】
更に、切起し係止部14A・14Bの各々について、各々の切起した基点部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し部分の破断や裂けを抑制できるので、この切起した起点部分の強度を高くすることができる。
【0034】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第1実施例の使用に際しては、図2に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0035】
次に、図3及び図4に示す切起し係止部14A・14Bの第2実施例について説明する。
【0036】
図3及び図4に示す切起し係止部14A・14Bの第2実施例では、バンド抱持部11の最下部12に、帯状バンドの環状方向と平行に且つ並列する2本の切起し部を設け、この2本の内の一方の切起し部を左方向外側に向かって切起して切起し係止部14Aを形成し、他方の切起し部を右方向外側に向かって切起すことにより切起し係止部14Bを形成する構成である。かかる構成によれば、左右の切起し係止部14A・14Bの各々の切起し長さを長くすることも可能である。
【0037】
尚、図3に示す符号11A・11Bは、重合切起し係止部14A・14Bがの各々が切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部である。
【0038】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第2実施例の使用に際しては、図4に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0039】
以上、本発明に係る配管吊下支持具の第1実施例及び第2実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において種々の他の態様を採ることもできる。
【0040】
例えば、図2に示す第1実施例と図4に示す第2実施例では、吊下支持杆4を2本としたが、該吊下支持杆4は施工現場の状況等の諸条件に応じて1本であってもよく、かかる諸条件に応じて2つの重合切起し係止部14A・14Bのいずれか一方に形成された透孔15のみに吊下支持杆4を係合することで、吊りボルト3と1本の吊下支持杆4による2点吊下支持とすることもできる。
【0041】
更に、切起し係止部14A・14Bの各々に形成される透孔15は、図1に示すように丸孔でもよいが、切起し係止部14A・14Bの切起し方向(配管軸直交方向でもある方向)に長径を有する長孔であってもよい。長孔とすることで、透孔15に係合する吊下支持杆4の斜め角度を長孔の長径方向に微調整することができる。
【0042】
更に、本発明は上記第1実施例及び第2実施例に加えて、例えば、図5図6に示すような他の態様を採ることができる。
【0043】
図5に示す本発明の第3実施例は、図1及び図2に示す第1実施例の構成中の切起し係止部14A・14Bの夫々に対して、補強用の重合切起し係止部14D・14Eを各々重合させた構成である。
【0044】
重合切起し係止部14D・14Eは、前記切起し係止部14A・14Bの各々の基端部近傍の上方部分を該基端部側に切起こし、この切起した部分を前記切起し係止部14A・14Bの各々の少なくとも一部重合させることにより形成されている。
【0045】
尚、図5に示す符号11Dは重合切起し係止部14Dが切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部であり、符号11Eは重合切起し係止部14Eが切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し部である。
【0046】
また、切起し係止部14Aと重合切起し係止部14D、切起し係止部14Bと重合切起し係止部14Eとは、各々その重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し係止部14A・14Bの強度を高くすることができる。
【0047】
図6に示す本発明の第4実施例は、図3及び図4に示す第2実施例の構成中の切起し係止部14A・14Bの夫々に対して、補強用の重合切起し係止部14D・14Eを各々重合させた構成である。
【0048】
重合切起し係止部14D・14Eは、前記切起し係止部14A・14Bの各々の基端部近傍の上方部分を該基端部側に切起こし、この切起した部分を前記切起し係止部14A・14Bの各々の少なくとも一部重合させることにより形成されている。
【0049】
尚、図6に示す符号11Dは重合切起し係止部14Dが切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部であり、符号11Eは重合切起し係止部14Eが切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し部である。
【0050】
また、切起し係止部14Aと重合切起し係止部14D、切起し係止部14Bと重合切起し係止部14Eとは、各々その重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し係止部14A・14Bの強度を高くすることができる。
【0051】
上記した第3実施例及び第4実施例は、共に別部材を付加することなく重量の増加を招くことなく、切起し係止部14A・14Bの強度を高くすることができる。
【0052】
上記した第3実施例、第4実施例は、共に第1実施例や第2実施例と同様に吊りボルト3と1本又は2本の吊下支持杆4による2点又は3点吊下支持することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 配管吊下支持具
11 バンド抱持部
11A 被切起し孔部
11B 被切起し孔部
11C 被切起し孔部
11D 被切起し孔部
11E 被切起し孔部
12 最下部
13 バンド端部
14A 切起し係止部
14B 切起し係止部
14D 切起し係止部
14E 切起し係止部
15 透孔
16 ボルト・ナット
2 取付面
3 吊りボルト
31 吊下接続部材
4 吊下支持杆
41 係合手段
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2016年7月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材に接続することによって吊りボルト等から吊下可能となるバンド端部が形成された、バンド抱持部の最下部に組式又は蝶番式の接続部の無い構成の提灯式と呼ばれる配管吊下支持具において、
前記バンド抱持部の最下部の両側であって且つ該最下部よりも上方の各々の位置に基端部を有し、この各々の基端部より下方であって且つ前記最下部を含む帯状バンド体の一部、配管軸方向に直交する左右に切り起こされて左右方向外側に各々延伸された状態の切起し係止部が各々形成されており
天井スラブ等の取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記切起し係止部の各々に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【請求項2】
左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部が、最下部の略中央線の位置部分から左方向と右方向に切り分けて各々外側方向に向かって切り起こされた状態の構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項3】
左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部が、帯状バンドの環状方向と平行に且つ並列する2本の切起し部設けられ、この2本の内の一方の切起し部左方向外側に向かって切こされた状態であり、他方の切起し部右方向外側に向かって切こされた状態の構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項4】
前記切起し係止部の各々の基端部近傍の上方部分該基端部側に切こされた状態であり、この切り起こした部分前記切起し係止部の少なくとも一部に重合して重合切起し係止部形成された状態の構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【請求項5】
前記切起し係止部と前記重合切起し係止部との重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合した構成であることを特徴とする請求項4に記載の配管吊下支持具。
【請求項6】
前記取付面に一端が固定された吊りボルトにタンバックルを介して前記バンド端部をボルト・ナット固定し、
前記取付面に一端が固定され、吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を、前記切起し係止部の透孔にナットの如き係合手段を用いて係合することにより、
前記吊りボルトと1本又は2本の吊下支持杆による2点又は3点吊下支持する構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
1.一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管類を抱持するバンド抱持部が形成され、
該帯状バンド体の開放両端部に、タンバックルの如き吊下接続部材に接続することによって吊りボルト等から吊下可能となるバンド端部が形成された、バンド抱持部の最下部に組式又は蝶番式の接続部の無い構成の提灯式と呼ばれる配管吊下支持具において、
前記バンド抱持部の最下部の両側であって且つ該最下部よりも上方の各々の位置に基端部を有し、この各々の基端部より下方であって且つ前記最下部を含む帯状バンド体の一部、配管軸方向に直交する左右に切り起こされて左右方向外側に各々延伸された状態の切起し係止部が各々形成されており
天井スラブ等の取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記切起し係止部の各々に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
2.左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部が、最下部の略中央線の位置部分から左方向と右方向に切り分けて各々外側方向に向かって切り起こされた状態の構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
3.左右方向外側の各々に延伸する切起し係止部が、帯状バンドの環状方向と平行に且つ並列する2本の切起し部設けられ、この2本の内の一方の切起し部左方向外側に向かって切こされた状態であり、他方の切起し部右方向外側に向かって切こされた状態の構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
4.前記切起し係止部の各々の基端部近傍の上方部分該基端部側に切こされた状態であり、この切り起こした部分前記切起し係止部の少なくとも一部に重合して重合切起し係止部形成された状態の構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管吊下支持具。