【解決手段】入力回転軸1に対してある角度をもって固定された、傾斜円形軌道3を有し、傾斜円形軌道3はその中心を入力回転軸1と出力回転軸2が共に通っている。回転力は、傾斜円形軌道3に沿って自由に移動可能な作用点を介して、出力回転軸2に伝達される。作用点は、傾斜円形軌道3上を移動する、という束縛と、出力回転軸2回りに回転する出力軸に対して固定されているという束縛とを共に受ける。一回転の間に、入力回転量と出力回転量の比は変化し、一回転で一周期をなす。
入力回転軸と、該入力回転軸に直交する出力回転軸とを有し、入力回転軸には、入力回転軸と出力回転軸との交点に中心が位置する円軌道に沿って自在に移動可能な作用点が設けられており、該円軌道は該円軌道の軌道面法線と入力回転軸とが所定の角度を成すように入力軸に斜めに固定されて傾斜円形軌道を形成しており、前記作用点が、前記傾斜円形軌道に沿って移動可能であり、かつ出力軸に対して固定されている、傾斜円形軌道式の、回転量伝達継手。
作用点が、ボールジョイント、球状突起と該球状突起を挟む2平面、または球状突起と該球状突起を収納する円筒体、のいずれかにより構成される、請求項1記載の、回転量伝達継手。
傾斜円形軌道が、入力軸に固定された球体である傾斜円形軌道取付け部材の表面に取付けられた部材の可動部により作られるものである、請求項1〜3の何れか一項に記載の、回転量伝達継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な機構の、回転量を入力回転軸と直角な回転軸回りに回転する出力回転に変換し伝達する、回転量伝達機構であり、入力回転軸に固定した、傾斜円形軌道上を移動する作用点を介した回転量伝達を実現する、回転量伝達機構を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力軸に固定された傾斜円形軌道上を移動する作用点で出力軸に固定した被駆動回転体を回転するように構成することにより、作用点軌道傾斜円面の 、入力軸に対する傾斜角度の設定の如何によって、ある一定の入力回転量に対する作用点の移動長を所望の長さに設定できるようにすることによって、作用点と出力軸の間の長さ、すなわち作用点の円軌道半径を所望の長さに設定可能とすることができるようにしたものである。
入力軸と出力軸は1点で交叉し、作用点起動傾斜円は、この交点に中心を有する。また、入力軸と出力軸とは直交している。
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 入力回転軸と、該入力回転軸に直交する出力回転軸とを有し、入力回転軸には、入力回転軸と出力回転軸との交点に中心が位置する円軌道に沿って自在に移動可能な作用点が設けられており、該円軌道は該円軌道の軌道面法線と入力回転軸とが所定の角度を成すように入力軸に斜めに固定されて傾斜円形軌道を形成しており、前記作用点が、前記傾斜円形軌道に沿って移動可能であり、かつ出力軸に対して固定されている、傾斜円形軌道式の、回転量伝達継手。
[2] 作用点が、ボールジョイント、球状突起と該球状突起を挟む2平面、または球状突起と該球状突起を収納する円筒体、のいずれかにより構成される、前記[1]の、回転量伝達継手。
[3]
傾斜円形軌道が、ボールベアリングの外輪に固定された作用点の移動軌跡である、前記[1]または[2]の、回転量伝達継手。
[4]
傾斜円形軌道が、入力軸に固定された球体である傾斜円形軌道取付け部材の表面に取付けられた部材の可動部により作られるものである、前記[1]〜[3]の何れかの、回転量伝達継手。
[5]
出力回転軸を、複数個有する、前記[1]〜[4]のいずれかの、回転量伝達継手。
[6]
逆回転防止機構をさらに備える、前記[1]〜[5]のいずれかの、回転量伝達継手。
【発明の効果】
【0008】
作用点の軌跡が描く円軌道の軌道面と入力軸との角度の設定を変えるだけで、出力軸と作用点との距離すなわち出力軸の駆動力作用点までの、出力回転駆動力の出力軸回りのモーメントアームの設定が簡単に設定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の全体を表す見取り図である。図における右手前方向に延びる軸が入力軸、左手前方向に延びる軸が出力軸2である。
【
図2】
図2は、本発明の入力軸に固定された傾斜円軌道の位置が、入力軸が回転するにつれて変化していく様子を表現した三面図であって、傾斜円が作る平面の法線と入力軸とで作る角度(傾斜角)が30度のものを示す。太線で示した傾斜円軌道は、傾斜円の入力軸に垂直な直径が図における上下方向に向いた時点のものであり、その時点の作用点を太線の小さい円で示している。 右上の図(
図2−Z)は、入力軸方向からみた作用点軌道傾斜円の移動の様子を、作用点起動傾斜円の直径であって入力軸に直交する直径の位置が、図における横軸方向、縦軸方向、および両者の丁度半分すなわち45度傾斜の位置、および、これらを3等分した位置、すなわち、一回転を12等分した回転位置における傾斜円を細線で示すことによって表現した図であり、上記直交直径が縦軸方向に位置しているものを太線で示している。 左上の図(
図2−X)は、出力軸方向からみた作用点軌道傾斜円の移動の様子を、
図2aと同様の位置、すなわち、一回転を12等分した回転位置における傾斜円を細線で示すことによって表現した図である。 左下の図(
図2−Y)は、出力軸および入力軸の両者と直行する方向からみた作用点軌道傾斜円の移動の様子を示す図である。2a,2bと同様の12等分した位置における傾斜円を細線で示して表現している。
【0010】
【
図3】
図3は、
図2と同様の図であって、傾斜円面法線と入力軸とで作る角(傾斜角)が45度のものを示す。
【
図4】
図4も、
図2、3と同様の図であって、傾斜円麺法制と入力軸とで作る角が60度のものを示す。
【
図5】
図5−Aは、本発明の作用点を実現する一例を示す見取り図である。
図5−Bは、
図5−Aのものを入力軸および出力軸と直交する方向から見た平面図である。
【
図6-1】
図6は、6A〜6Xの24個の図によって、
図3のもの(傾斜円面法線と入力軸との為す角度が45度)の、入力軸が一回転する際の傾斜円および作用点の位置を示す動作説明図であり、6−1はそのうちの6A〜Hを示す。
【
図6-2】
図6は、6A〜6Xの24個の図によって、
図3のもの(傾斜円面法線と入力軸との為す角度が45度)の、入力軸が一回転する際の傾斜円および作用点の位置を示す動作説明図であり、6−2はそのうちの6I〜6Pを示す。
【
図6-3】
図6は、6A〜6Xの24個の図によって、
図3のもの(傾斜円面法線と入力軸との為す角度が45度)の、入力軸が一回転する際の傾斜円および作用点の位置を示す動作説明図であり、6−3はそのうちの6Q〜6Xを示す。
【
図7】
図7は、傾斜円に沿って円軌道を描く作用点の円運動を実現する一例としての、ベアリングを用い、さらにベアリングの内輪を、球状部材の大円の位置に固定したものを入力軸に固定したものを示す図である。
【
図8】
図8は、出力軸およびそれに固定した、球状突起受容部の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の継手を複数出力軸とした場合の一例として、出力軸を6本設けたものの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の本質は、入力軸に対して傾いており、該入力軸が中心を通るようにして入力軸に固定された円形軌道上を自由に回転可能な作用点を介して、出力軸に固定された、作用点からの力を受けて出力軸回りに回転する回転力受容部が、作用点からの力によって出力軸を回転させる回転量伝達継手であり、円形軌道上を自由に回転する作用点と、その作用点から回転力を受ける出力軸に固定された回転力受容部が存在するのであれば、どのような具体化手段でも構わない。
【0012】
図1に、本発明の回転量伝達継手の、入力軸1、出力軸2および傾斜円形軌道3の相互の間の空間配置を示す。傾斜円形軌道3は、図示した例では、その面法線10が入力軸1と30度の角度をなす平面上にあり、入力軸は傾斜円形軌道3の中心を通っている。
作用点は、入力軸の回転運動を出力軸に伝える点であり、傾斜円軌道に沿って自由に移動可能な点であって、入力軸と傾斜円軌道に沿って移動する部材とは、軌道上を自由に動くという1自由度を有して相互に結合するように構成されている。作用点はまた出力軸からの距離は一定であり、すなわち、出力軸に直角な円軌道上を移動する。このような作用点の構成を実現する一例は、球状端部を有する部材(以下「球状突起」と称する)と、球状端部に回動自在に係合した部材とからなるボールジョイントである。ボールジョイントは、2つの部材が、結合中心に対する平行移動は不可能であるが、中心周りの回動は相互に自由に行えるようなジョイントである。
【0013】
本発明の継手の一実施例として、
図5および7に示されるような、入力軸に内輪が固定される大径のボールベアリングと、その外輪に一端すなわち球状突起を固定した、ボールジョイントと、該ボールジョイントの他端すなわち球状突起受容部を固定した出力軸とからなる継手が挙げられる。大径ボールベアリングの外輪に固定したボールジョイントの球状端部の中心の軌道経路が傾斜円形軌道となり、ボールベアリングの内輪は入力軸に固定されるのであるが、その固定は、入力軸がボールベアリングに対して傾いて固定される。すなわち、入力軸はボールベアリングの中心を通り、ボールベアリングの回転軸と入力軸とは、設定された傾き角度を有するように固定される。
ボールジョイントの球状端部を受容する部材は、出力軸に固定される。したがって、ボールジョイントの球状端部の中心は、出力軸回りに円軌道を描き、その軌道は出力軸に直角である。
【0014】
図2の例のものは、ボールベアリングの内輪が入力軸に固定されるが、その固定は円形であるベアリングの円の面法線と入力軸とが30度の角度をもって固定されている。したがって、作用点部材としての球状突起の中心点は、面法線が入力軸と30度の角度をなす円形軌道すなわち傾斜円形軌道に沿って回転可能である。すなわち、傾斜円形軌道は入力軸と30度の角度をなして互いに固定されている。
【0015】
図2においては、傾斜円形軌道面と、傾斜円形軌道面と入力軸との交点を通る入力軸に直角な平面と、の交線(a−a)が、
図2―Zにおける上下方向に向いている状態の傾斜円形軌道を、太線で示している。
また、この傾斜円軌道は、入力軸が回転するにつれて回転し、交線a−aも回転していく。
図2には、傾斜円軌道が入力軸回りに一回転する様子を、入力軸の回転量が15度おきの傾斜円軌道の位置を、24個の細線で描くことによって示している。尤も、図は投影図であり、左右対称の傾き位置にくる2つの図は完全に重なるため、図には12個の楕円しか現れない。しかも、丁度楕円の載る面の方向から見た図では、楕円の幅は最小となり直線で表される。
【0016】
図2右上の、(
図2−Z)は、本発明の傾き30度の継手を、入力軸方向から見た図であり、傾斜円形軌道面と入力軸に直角な平面との交線(a−a)は、
図2―Zにおける上下方向に向いている。
図2左上の(
図2−X)は、出力軸方向から見た図であり、交線(a−a)出力軸と直行している。
図2左下の(
図2−Y)は、入力軸および出力軸の両者に直交する方向から見た図であり、これら軸は一点鎖線で示されている。
図2の状態では、交線(a−a)が出力軸にも直交する位置にあるため、
図2−Xにおいて傾斜円形軌道は直線に見えることになる。
【0017】
図2−X、2−Y、2−Zに示すように、入力軸から見た傾斜円軌道は楕円形に見え、回転するにつれてその長軸方向は回転するが、楕円の形は不変のままで回転する。 これに対して出力軸方向から見た傾斜円形軌道は、形の変化していく楕円に見えるのであり、楕円の短軸長さが変化してゆき、出力軸方向と、傾斜円形軌道面と入力軸に直角な平面との交線(a−a)が丁度一致したときには、傾斜円形軌道は直線に見えることになる。
【0018】
出力軸に固定され、傾斜円形軌道上を移動する作用点と接合しているのが、出力軸に固定された回転力受容部である。前述のように、この機能は例えばボールジョイントにより実現できる。ボールジョイントの球状端部は、ボールベアリングの外輪に固定され、ボールジョイントの球状突起受容部は出力軸に固定された腕に固定される。球状突起受容部は、出力軸回りに回転し、球状突起受容部の軌跡は、出力軸に直角な円を描く。
図2においては、太い点線でこの出力軸に直角な円を示す。この構成によって、ボールジョイントの球状突起の中心は、傾斜円形軌道を移動する、という束縛条件と、出力軸に直角な円形軌道を移動する、という束縛条件を共に満たす運動を行う。
【0019】
このボールジョイントの中心、すなわち、傾斜円形軌道と出力軸に直角な円を描く出力作用点の軌跡とは、常に接合点において交差している。
図2でいうならば、太い点線で描いた出力軸回りの作用点回転運動軌道は、常に、傾斜円形軌道と交差する点を有しており、その交差点にボールジョイントが位置することになる。
【0020】
球状突起は、出力軸に固定された球状突起受容部と係合するように構成され、相互に自在に回転可能に係合しており、出力軸に固定された球状突起受容部は、出力軸に固定されているため、出力軸回りの回転運動は可能であるが、出力軸に平行な方向には動かない。したがって、回転運動の伝達は、球状突起の旧表面と球状突起受容部の内面とが面に垂直な応力によって力を伝達することによってなされる。
【0021】
そもそも球状突起受容部の運動自由度は、出力軸回りの回転の自由度しかないのであるから、回転運動の回転トルクとなる応力のみが伝達される力として必要であり、それ以外の応力はむしろ不要である。この理由から、球状突起受容部は、球状突起の表面と接する面の面法線方向が回転トルク方向であれば足りる。したがって、球状突起受容部は、球状突起の球直径よりも大きい内径を有する、中心軸が出力軸に平行な円筒形状である内面で球状突起と接するもの(
図8の左図)や、トルク方向を面法線とする平面からなるもの(
図8の右図)等が可能である。
【0022】
表現を変えて言えば、球状突起は、入力軸に固定された傾斜円軌道に束縛された運動をおこない、球状突起受容部は、出力軸を軸とした回転軌道、すなわち、出力軸を中心とした出力軸に垂直な円軌道、に束縛された運動をおこなう。
この束縛条件を満たす作用点実現手段であれば、いかなる形式のジョイントでもよいが、機械的遊びに起因する脱落を避けるために、実用的には上記したように、ボールジョイントを使用するのが好適である。
【0023】
そして、
図2において小さい丸でこの出力作用点位置を示す。すなわち、実施例でいえばボールジョイントの中心点は、
図2−Zにおいて左側、
図2−Xにおいて右側、
図2−Yにおいて右側に位置しており、入力軸が回転すると、上記の束縛条件のもとで、太い点線で示した軌道上を運動する。この、出力作用点は、出力軸に対して固定されており、出力軸の回転に伴って回転する。したがって、出力作用点の軌道は出力軸から等距離で回転することになり、出力軸に垂直な、出力軸に対する位置が不変の円軌道である。
【0024】
傾斜円軌道と入力軸との為す角度は、ゼロより大きく90度より小さければ理論上は本発明の継手を構成することが可能であるが、実際の製造において、ゼロ度や90度の近傍のものを作製するのは困難である。
図3に、傾斜円軌道の軌道面法線と入力軸とのなす角度が45度の場合の傾斜円軌道を示し、
図4に、は60度の場合を示す。
図から判るとおり、傾斜円形軌道の軌道面法線と入力軸とのなす角度が異なった継手であれば、出力作用点の軌道の直径が異なった継手となる。
すなわち、傾斜円形軌道用の部材としては同一のものを用いて、入力軸と傾斜円軌道とのなす角度を変えるだけで、出力軸回転の様相が異なった継手を得ることができるのである。
【0025】
図5−A、
図5−Bに、ボールジョイントを用いる作用点の一例を示す。ボールジョイントは、ジョイントの中心位置が継手の両側の部材に対し位置変化をせず、軸方向が自在に変化するものであるから、ボールジョイントの使用によって、作用点の出力軸に対する位置が不変であるという束縛を実現できる。ボールジョイントは、ジョイント自身が連接する二つの部材が相対的に平行移動は不可能であるがジョイント中心点まわりの回動は自由に可能であるように構成されているものであるが、本願発明の場合には、傾斜円形軌道上しか移動できないという束縛運動をする球状突起6により伝動される球状突起受容部4であり、球状突起も出力軸回りの回転運動しか許されないという束縛運動をするものであるから、必ずしもボールジョイントでなければならないということはない。たとえば、
図8に示すような、単なる円筒や、出力軸に平行で、出力軸を含む平面上に位置する2平面からなる球状突起受容部でもよい。
【0026】
図6を参考にして、本発明の継手が一回転する際の動作について説明する。
図6は、
図6−Aから
図6−Xまでが描かれており、本発明の継手の入力軸の1回転を24等分した位置における、傾斜円軌道の位置が太線で描かれており、A−H、I−P、Q−Xの8組を一枚の図に並べてある。入力軸の回転を続ければ、
図6−Xの状態の次に
図6―Aの状態に戻り、この24枚の図に示す状態が、同じ順序で再び繰り返される。ボールジョイントの作用点がどこに位置するかは、小さい丸で表されている。
【0027】
各図は、
図3のもの、すなわち、傾斜円形軌道の傾きが45度のもので説明している。各図において右上が入力軸から見た図であり、入力軸は、図のAからB、Cと順番に推移するように、右回転していく。6Aは、
図3と同一の状態であり、ボールジョイントは入力軸方向からみると左側で出力軸回りに回転する。各図における左上のものが出力軸から見た図であり、ボールジョイントは図における破線で示した円軌道を移動していく。図から理解されるように、出力軸はこの図において左回転していく。
【0028】
本発明の継手は、入力軸が一定角速度で回転しても、出力軸の回転速度は一定ではなく、周期的に変動するものである。 すなわち、
図6−Aから6−Gまで推移する間に入力軸は90度回転し、6−Gから6−Mまでの間にさらに90度回転する。ところがこの間に、出力軸は、
図6Aから6−Gまででは45度しか回転せず、6−Gから6−Mまででは135度回転する。そして、次の入力軸の90度回転で出力軸は135度回転し、最後の90度回転で出力軸は45度回転して、最初の状態に戻る。
つまり、本願発明の回転量伝達継手は、入力軸と出力軸の間の回転速度の比率が、一回転の間に比率最小から比率最大へ、そして対称的に比率最大から最小へ変化するという特徴を有している。
【0029】
傾斜円形軌道の傾斜角が45度の場合が
図6A−6Xで示され、上記の様に入力軸の最初の90度回転で出力軸は45度次の90度で出力軸は135度回転するが、傾斜角が30度、すなわち、
図4の場合、入力軸の最初の90度回転で、出力軸は30度、次の90度の回転で出力軸は150度回転する。同様に、傾斜角が60度、すなわち
図2の場合、出力軸の回転量は、同様に入力軸の最初の90度回転で出力軸は60度、つぎの90度回転で出力軸は120度回転する。このように、傾斜円形軌道の傾斜角を変化させると、入力軸一回転に対して出力軸一回転という回転数は同じであるが、出力軸の回転量分布は角度に応じた変化をするものである。
【0030】
図7に、傾斜円形軌道をボールベアリングで実現し、作用点を、ボールジョイントのボール側の部材である球状突起6で実現したものを、入力軸に固定する態様の一例を示す。入力軸は、傾斜円形軌道取付け部材である、球形の傾斜円形軌道取付け球体の中心を通る位置に取り付けられる。入力軸部材1自体は、球を貫通していてもしていなくても良い。傾斜円形軌道となるボールジョイントは、その内輪を傾斜円形軌道取付け球体に固定する。この固定の際に、傾斜円形軌道の中心が傾斜円形軌道取付け球体と同心になるように取付け、且つ、入力軸に対して所望の傾きを有するようにして取付ける。
図7の例では、円形軌道の法線と入力軸とが30度の角度を成すように取付ける。取付け球体を使用する場合には、球体と入力軸とが結合した部材は、球体中心を正確に入力軸が通ってさえいれば、いかなる傾斜各用の部材としても使用できるので生産効率が高い。ボールベアリングの内輪の寸法が取付け球体の大円に適応するものでさえあれば、同じ取付け部材と同じボールベアリングを用いて、いかなる角度の取付けも可能である。
【0031】
本発明の入力回転軸と出力回転軸とは相補的であって、上記の説明の出力回転軸を入力回転軸として回転力を上記の説明における入力回転軸側に伝動することも可能である。
【0032】
また、本発明の継手の出力軸は、入力軸に直角であって、出力作用点が相互に干渉を起こさない位置であれば、複数個設置することが可能である。その状態を、
図9に示す。複数の出力軸2a、2b、・・2fは、すべて入力軸1に直角であり、従って、いずれも傾斜円形軌道3の中心点を通る入力軸に垂直な平面上に位置する。
上記したように、入力と出力の役割は、相互に入れ替え可能であるため、入力と出力の役割を入れ替えれば、複数の入力軸からの回転力を、傾斜円形軌道を固定したひとつの出力軸に伝動する継手ということになる。複数入力軸とした場合は、レシプロ内燃機関のマルチシリンダー化と同様に、或る出力軸の作用点が上死点下死点相当位置に在る場合でも、他の軸は上死点下死点相当の場所に位置しない様にすることが可能であり、該他の軸のトルクによって、回転が円滑になるという利点がある。
【0033】
さらに、逆転防止のためには、ワンウエイクラッチ付のベアリング等の、逆回転防止機構を使用してもよい。
【0034】
本発明の継手は、従来にない新規な構造を有しており、入力軸が一回転する間に出力軸も一回転し、その間で、角度変換率が周期的に変化するという特徴を有している。また、傾斜円形軌道が入力軸となす角度を適宜選択することにより、出力軸に回転力を伝える作用点と出力軸との距離を所望のものに設定でき、同じ部材の角度設定を変えるだけで、出力軸に回転力をあたえる作用点の一回転に必要な道のりを所望のものとした継手の製造が容易となる。