【解決手段】上下に延びる中心軸を中心とする円筒状の内輪10と、内輪の外周面に沿って配置された複数のローラ13と、内輪の径方向外側に配置され、ローラを内輪の外周部に保持する第1ケージ11と、を有する。第1ケージは、軸方向に延びる複数の第1柱部と、第1柱部の軸方向上方の端部同士を繋ぐ第1リングと、を備える。内輪と第1ケージとは、互いに相対回転し、複数のローラは、隣接する第1柱部の間に、それぞれ配置される。また、ローラの一部は、第1柱部よりも、径方向外側に位置し、第1リングと内輪との間、および第1柱部と内輪との間には、第2ケージ12が配置され、第2ケージは固体潤滑剤からなる。このように、複数のローラは、内輪の外周部において、第1ケージと、固体潤滑剤からなる第2ケージとにより保持される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。また、以下では、説明の便宜上、
図1の右側を「軸方向上方」、
図1の左側を「軸方向下方」と、それぞれ称する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係る軸受および減速機の使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
<1.第1実施形態>
<1−1.減速機の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る一対の軸受1を備えた減速機2を、回転軸90を含む平面で切断した縦断面図である。
図2は、
図1中のA−A位置から見た減速機2の横断面図である。
【0011】
この減速機2は、第1回転数の回転運動を第1回転数よりも低い第2回転数の回転運動に変換する、内接遊星式の減速機である。減速機2は、例えば、ロボット、工作機、X−Yテーブル、材料の切断装置、コンベアライン、ターンテーブル、圧延ローラなどの駆動機構に、組み込まれて使用される。ただし、本発明の減速機は、他の用途に使用されるものであってもよい。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の減速機2は、入力回転体20、減速機構30、および出力回転体40を有する。本実施形態に係る軸受1は、減速機構30に含まれる。
【0013】
入力回転体20は、外部から入力される回転数である第1回転数で回転する部材である。本実施形態では、回転軸90に沿って配置された円筒状の部材が、入力回転体20となっている。入力回転体20の軸方向上方の端部は、直接または他の動力伝達機構を介して、駆動源であるモータに接続される。モータを駆動させると、回転軸90を中心として、入力回転体20が第1回転数で回転する。
【0014】
入力回転体20は、第1偏心部21と、第1偏心部21よりも軸方向上方に位置する第2偏心部22と、を有する。第1偏心部21は、回転軸90から外れた位置で回転軸90と平行に延びる第1中心軸91を中心とする、円筒状の外周面を有する。第2偏心部22も、回転軸90から外れた位置で回転軸90と平行に延びる第2中心軸92を中心とする、円筒状の外周面を有する。第1中心軸91と第2中心軸92とは、回転軸90を挟んで互いに反対側に位置する。また、入力回転体20が回転すると、第1中心軸91および第2中心軸92の位置も、回転軸90を中心として回転する。
【0015】
減速機構30は、入力回転体20と出力回転体40との間に介在し、入力回転体20の回転運動を、減速させつつ出力回転体40へ伝達する機構である。本実施形態の減速機構30は、第1外歯歯車31、第2外歯歯車32、フレーム33、および一対の軸受1を有する。
【0016】
一対の軸受1は、第1偏心部21および第2偏心部22の外周部に、それぞれ取り付けられる。そして、第1外歯歯車31は、軸受1の径方向外側に、ローラ13を介して、取り付けられている。したがって、第1外歯歯車31は、第1偏心部21の第1中心軸91を中心として、回転自在に支持される。第2外歯歯車32は、軸受1の径方向外側に、ローラ13を介して、取り付けられている。したがって、第2外歯歯車32は、第2偏心部22の第2中心軸92を中心として、回転自在に支持される。
【0017】
図2中に拡大して示したように、第1外歯歯車31は、その外周部に、径方向外側へ向けて突出する複数の外歯51を有する。また、隣り合う外歯51の間には、径方向内側へ向けて凹む外歯間溝52が設けられている。外歯51と外歯間溝52とは、第1中心軸91を中心として、周方向に交互に並んでいる。また、第2外歯歯車32も、第1外歯歯車31と同じように、外周部に複数の外歯51と複数の外歯間溝52とを有する。
【0018】
また、
図1および
図2に示すように、第1外歯歯車31は、複数(
図2の例では8つ)の挿通孔53を有する。複数の挿通孔53は、第1中心軸91を中心として、周方向に等間隔に並んでいる。各挿通孔53は、外歯51および外歯間溝52よりも径方向内側において、第1外歯歯車31を軸方向に貫通する。また、第2外歯歯車32も、第1外歯歯車31と同じように、複数の挿通孔53を有する。
【0019】
なお、本実施形態の減速機構30は、2枚の外歯歯車31,32を有しているが、外歯歯車の数は、1枚であってもよく、3枚以上であってもよい。
【0020】
フレーム33は、入力回転体20、出力回転体40、および2つの外歯歯車31,32を内部に収容する略円筒状の部材である。
図2中に拡大して示したように、フレーム33は、その内周部に、径方向内側へ向けて突出する複数の内歯61を有する。また、隣り合う内歯61の間には、径方向外側へ向けて凹む内歯間溝62が設けられている。内歯61と内歯間溝62とは、回転軸90を中心として、周方向に交互に並んでいる。
【0021】
各外歯歯車31,32の複数の外歯51と、フレーム33の複数の内歯61とは、互いに噛み合う。すなわち、減速機2の動作時には、フレーム33の内歯間溝62に各外歯歯車31,32の外歯51が嵌り、各外歯歯車31,32の外歯間溝52にフレーム33の内歯61が嵌りながら、各外歯歯車31,32が回転する。このように、本実施形態では、フレーム33が、内歯歯車としての機能を果たしている。ただし、フレーム33とは別に、フレーム33の内周部に、内歯歯車が別部材として設けられていてもよい。
【0022】
第1外歯歯車31および第2外歯歯車32は、入力回転体20の動力によって回転軸90の周りを公転しながら、フレーム33の内歯61と噛み合うことによって自転する。ここで、フレーム33が有する内歯61の数は、第1外歯歯車31および第2外歯歯車32の各々が有する外歯51の数よりも、多い。このため、各外歯歯車31,32の1公転ごとに、フレーム33の同じ位置の内歯61に噛み合う外歯51の位置がずれる。これにより、第1外歯歯車31および第2外歯歯車32が、入力回転体20の回転方向とは逆の方向へ、第1回転数よりも低い第2回転数で、ゆっくりと自転する。したがって、各外歯歯車31,32の挿通孔53の位置も、第2回転数で、ゆっくりと回転する。
【0023】
第1外歯歯車31および第2外歯歯車32の各々が有する外歯51の数をNとし、フレーム33が有する内歯61の数をMとすると、減速機構30の減速比Pは、P=(第1回転数)/(第2回転数)=N/(M−N)となる。
図2の例では、N=59,M=60なので、この例における減速機構30の減速比は、P=59である。すなわち、第2回転数は、第1回転数の1/59の回転数となる。ただし、本発明における減速機構の減速比は、他の値であってもよい。
【0024】
出力回転体40は、減速後の第2回転数で、回転軸90を中心として回転する。
図1に示すように、本実施形態の出力回転体40は、第1円板体41、第2円板体42、および複数(本実施形態では8本)のピン43を有する。
【0025】
第1円板体41は、回転軸90に対して垂直に配置された、円環状の部材である。第1円板体41は、第1外歯歯車31および第2外歯歯車32よりも、軸方向下方に配置されている。第1円板体41と入力回転体20との間、および、第1円板体41とフレーム33との間には、それぞれボールベアリング70が介在する。これにより、第1円板体41は、フレーム33および入力回転体20に対して、相対的に回転自在に支持される。
【0026】
また、第1円板体41には、複数のピン43を圧入するための複数(本実施形態では8つ)の被圧入孔311が、設けられている。複数の被圧入孔311は、回転軸90を中心として、周方向に等間隔に並んでいる。各被圧入孔311は、第1円板体41を軸方向に貫通する。
【0027】
第2円板体42は、回転軸90に対して垂直に配置された、円環状の部材である。第2円板体42は、第1外歯歯車31および第2外歯歯車32よりも、軸方向上方に配置されている。第2円板体42と入力回転体20との間、および、第2円板体42とフレーム33との間には、それぞれボールベアリング70が介在する。これにより、第2円板体42は、フレーム33および入力回転体20に対して、相対的に回転自在に支持される。
【0028】
また、第2円板体42には、複数のピン43の軸方向上方の端部を挿入するための、複数(本実施形態では8つ)の固定用孔321が設けられている。複数の固定用孔321は、回転軸90を中心として、周方向に等間隔に並んでいる。各固定用孔321は、第2円板体42を軸方向に貫通する。
【0029】
複数のピン43は、第1円板体41と第2円板体42とを接続する、円柱状の部材である。各ピン43は、回転軸90と略平行に配置される。また、複数のピン43は、第1外歯歯車31および第2外歯歯車32の複数の挿通孔53に、それぞれ挿入される。複数のピン43は、第1円板体41の複数の被圧入孔311に、それぞれ圧入される。また、各ピン43の軸方向下方の端部には、拡径されたフランジ部331が、設けられている。フランジ部331の上面は、第1円板体41と軸方向に接触する。これにより、各ピン43の軸方向上方への抜けが防止される。また、各ピン43の軸方向上方の端部は、第2円板体42の固定用孔321に挿入され、ナットによって、第2円板体42に固定される。
【0030】
図2に示すように、各挿通孔53を構成する面と、ピン43の外周面との間には、隙間が介在する。そして、当該隙間には、円環状のブッシュリング71が挿入されている。第1外歯歯車31および第2外歯歯車32が減速後の第2回転数で自転すると、当該動力がブッシュリング71を介して各ピン43に伝達する。その結果、複数のピン43、第1円板体41、および第2円板体42が、回転軸90を中心として、第2回転数で回転する。
【0031】
<1−2.軸受の構造について>
続いて、軸受1の構造について説明する。
図3は、軸受1の断面図である。
図4は、軸受1の分解斜視図である。
図5は、減速機2における一対の軸受1の部分断面図である。なお、
図5における「軸方向上方」、「軸方向下方」とは、左側の軸受1における方向を示すものとする。軸受1は、内輪10と、第1ケージ11と、第2ケージ12と、複数のローラ13とを有する。
【0032】
内輪10は、入力回転体20の外周部に配置される。内輪10は、第1中心軸91を中心とする円筒状の部材である。内輪10は、入力回転体20が回転すると、入力回転体20の回転軸90を中心として回転する。内輪10は、外周面に、周方向に沿って円環状に凹む、溝部102を備える。複数のローラ13は、溝部102に配置される。このため、複数のローラ13は、内輪10の外周部での、軸方向の移動が規制される。また、複数のローラ13は、第1外歯歯車31の内周面と接触する。なお、軸受1が有するローラ13の数は、本実施形態では19個であるが、それ以外の数であってもよい。
【0033】
第1ケージ11は、樹脂を成型加工した成型品である。第1ケージ11は、例えば、略液体状の樹脂を、金型の内部に注入して、熱処理を施すことで成型される。第1ケージ11は、内輪10の径方向外側に配置され、第1中心軸91を中心として、内輪10とは相対的に回転する。本実施形態では、第1ケージ11は、軸方向に延びる複数の第1柱部110と、第1リング111とを備える。
【0034】
複数の第1柱部110は、内輪10の径方向外側で、軸方向に延びる。また、複数の第1柱部110の軸方向の端部同士は、第1リング111により繋がれる。複数のローラ13は、隣接する第1柱部110の間に、それぞれ配置される。また、ローラ13の一部は、第1柱部110よりも、径方向外側に位置する。このため、複数のローラ13は、複数の第1柱部110により保持され、内輪10の外周部での、周方向の移動が規制される。なお、第1柱部110の数は、本実施形態では19本であるが、19本以外の数であってもよい。
【0035】
第2ケージ12は、第1リング111と内輪10との間、および第1柱部110と内輪10との間に配置される。複数のローラ13は、内輪10の外周部において、第1ケージ11と、第2ケージ12とで、保持される。このため、複数のローラ13は、固体潤滑剤と接することができ、内輪10の外周部で滑らかに転がることができる。したがって、ローラ13の転がりに伴う摩擦を抑えることができる。また、固体潤滑剤を用いることで、軸受1外部への、潤滑剤の漏れを防止することができる。これにより、軸受1動作の潤滑性が長期間維持され、減速機の信頼性を高めることができる。
【0036】
第2ケージ12は、固体潤滑剤を成型した、成型品である。第2ケージ12は、例えば、略液体状の潤滑剤を、金型の内部に注入し、熱処理を施すことで成型される。このように、固体潤滑剤を第2ケージとして部品化しているため、軸受の製造が容易となる。また、軸受の組立時に、固体潤滑剤の焼成が不要となる。これにより、工数の削減となり、軸受の製造コストを低減することができる。
【0037】
本実施形態では、第2ケージ12は、環状部121と、環状部121から軸方向に延びる複数の第2柱部120とを有する。環状部121は、円環状であり、少なくとも一部が、第1リング111と内輪10との間に配置される。また、複数の第2柱部120は、第1柱部110と内輪10との間に配置される。このように、複数の第2柱部120の軸方向の一方のみに環状部121を有する形状にすれば、第2ケージ12を成型する金型を、容易に構成することができる。これにより、軸受1の製造コストをさらに低減できる。
【0038】
また、第1リング111の内径は、第1中心軸91から第2柱部120の径方向外側の面までの距離よりも大きいことが好ましい。そうすると、第1ケージ11と内輪10との間に、第2ケージ12を軸方向から挿入することができる。また、環状部121の軸方向の幅は、第1リング111の軸方向の幅よりも大きいことが好ましい。そうすると、ローラ13は、固体潤滑剤と接触しやすくなる。なお、第2柱部120の数は、本実施形態では19本であるが、第1柱部110の数と等しければ、19本以外の数であってもよい。
【0039】
なお、
図5に示すように、減速機2における一対の軸受1は、互いに環状部121が向き合うように、軸方向に隣接して配置される。こうすることで、第2ケージ12の軸方向への抜けを防止できる。これにより、減速機の構造を強化することができる。
【0040】
図6は、本実施形態に係る軸受1の製造フローの例を示した図である。軸受1を製造するときには、先ず、略液体状の潤滑剤を金型に注入する。そして、金型を熱処理することで、潤滑剤を固化させる(S1)。これにより、固体潤滑剤からなる、第2ケージ12が成型される(S2)。続いて、内輪10に第1ケージ11を取り付け(S3)、内輪10と第1ケージ11との間に、第2ケージ12を挿入する(S4)。その後、隣接する第1柱部110の間に、ローラ13を取り付ける(S5)。こうすることで、軸受1への固体潤滑剤を充填する工程、および軸受1を焼成して固体潤滑剤を固化させる工程が不要となる。これにより、軸受1の製造工数を削減でき、軸受1の製造コストを低減することができる。なお、熱処理とは、焼成と冷却を含むものとする。
【0041】
本実施形態では、第1ケージ11は、円環状の第2リング112をさらに有する。複数の第1柱部110の軸方向下方の端部同士は、第2リング112により繋がれる。これにより、第1ケージ11の構造が強化される。また、第1リング111の内径は、第2リング112の内径よりも大きい。このため、第2柱部120の先端部を、第2リング112と接触させることができる。これにより、第2ケージ12を、第1柱部110と内輪10との間に挿入するときに、軸方向の位置決めをすることができる。また、第2ケージ12の軸方向への移動が規制されるため、軸受1の構造を強固なものとすることができる。なお、第1リング111の内径は、第2リング112の外径よりも大きいことが好ましい。そうすると、第1ケージ11の金型による作製が容易になり、軸受1の製造コストをさらに低減できる。
【0042】
また、本実施形態では、第2リング112の一部と、環状部121の一部と、ローラ13の一部と、が軸方向に重なる。すなわち、第2リング112と環状部121との間に、複数のローラ13が、軸方向に挟まれる。このようにすれば、仮に内輪10に溝部102が無い場合であっても、第1ケージ11、第2ケージ12、およびローラ13の軸方向の位置が、相互に規制される。したがって、溝部102に依存することなく、第1ケージ11の軸方向の位置ずれを防止できる。また、第2リング112は、第1柱部110との間に、径方向に間隙を構成する凹部122を有する。そして、第2柱部120の先端部は、凹部122に嵌まる。そうすると、第1柱部110の一部と、第2柱部120の一部と、第2リング112の一部と、が径方向に重なる。これにより、第2ケージ12が、ローラ13の回転摩擦により、径方向内側へ倒れることを防止できる。
【0043】
なお、凹部122は、軸方向下方に向かうにつれ、間隙の径方向の幅が狭くなる第1テーパ部141を有してもよい。また、第2柱部120の先端部は、軸方向下方に向かうにつれ、径方向の幅が狭くなる第2テーパ部142を有してもよい。そうすると、第1ケージ11と内輪10との間に、第2ケージ12を保持しやすくなる。また、第1ケージ11と内輪10との間に、第2ケージ12を挿入しやすくなる。
【0044】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
図7は、一変形例に係る軸受1Aの部分断面図である。
図7の例では、第1ケージ11Aの第1柱部110Aの径方向内側の面に、径方向外側へ向けて凹む嵌合溝113Aが設けられている。一方、第2ケージ12Aの第2柱部120Aの径方向外側の面に、径方向外側へ向けて突出する嵌合突起123Aが設けられている。嵌合溝113Aおよび嵌合突起123Aは、それぞれ、軸方向に延びる。そして、嵌合突起123Aの少なくとも径方向外側の先端が、嵌合溝113A内に嵌まる。このようにすれば、軸受1Aの製造工程において、第2ケージ12Aを軸方向に挿入するときに、嵌合溝113Aに沿って第2ケージ12Aを軸方向に案内しながら挿入できる。また、製造後の軸受1Aにおいて、第1ケージ11Aと第2ケージ12Aとが、互いに周方向に位置ずれしにくくなる。
【0046】
なお、第2柱部の径方向外側の面に嵌合溝を設け、第1柱部の径方向内側の面に、当該嵌合溝に嵌まる嵌合突起を設けてもよい。
【0047】
減速機を構成する第1ケージおよび第2ケージ以外の各部材の材料には、例えば、高強度の金属を用いればよい。ただし、各部材の材料は、使用時の負荷に耐えうるものであればよく、必ずしも金属には限定されない。
【0048】
また、上記の実施形態では、第1ケージは、略液体状の樹脂を、金型の内部に注入して、熱処理を施すことで成型されていた。しかしながら、第1ケージは、機械加工等の、他の工法により成型されるものであってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、第1ケージを構成する材料は樹脂であった。しかしながら、第1ケージは、軸受動作時の負荷に耐えうるものであればよく、金属材料等、他の材料で構成されるものであってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、第1ケージの有する、第1柱部と、第1リングと、第2リングとは、一部材として成型されていた。しかしながら、第1柱部と、第1リングと、第2リングとを、別部材として、組み立てるものであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、内輪は、外周面に、周方向に沿って円環状に凹む、溝部を備えていた。しかしながら、溝部は必ずしも備えてなくてもよい。この場合、複数のローラは、第1ケージの有する、複数の第1柱部と、第1リングと、第2リングとにより、内輪の外周部で保持すればよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、第2ケージは、略液体状の潤滑剤を、金型の内部に注入して、熱処理を施すことで成型されていた。しかしながら、第2ケージは、機械加工等の、他の工法により成型されるものであってもよい。この場合、予め熱硬化させた固体潤滑剤を、環状部と、第2柱部と、を備える形状に加工すればよい。
【0053】
また、上記実施形態では、軸受は、S1からS5の順序で製造されていた。しかしながら、軸受は必ずしもこれらの順序で製造されなくてもよい。例えば、内輪と第1ケージとの間に、第2ケージを挿入する工程(S4)と、隣接する第1柱部との間に、ローラを取り付ける工程(S5)との順序を入れ替えてもよい。こうすることで、予め内輪と、第1ケージと、ローラとを組み立てておくことができる。そして、予め成型された第2ケージを必要に応じて、内輪と第1ケージとの間に挿入することで、軸受を製造することができる。
【0054】
また、減速機や軸受の細部の形状については、本願の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。