特開2017-152258(P2017-152258A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-152258(P2017-152258A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170804BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-34606(P2016-34606)
(22)【出願日】2016年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 尚憲
(72)【発明者】
【氏名】土屋 豪範
(72)【発明者】
【氏名】長峰 浩一
(72)【発明者】
【氏名】片山 佑介
(72)【発明者】
【氏名】谷中 秀輔
(72)【発明者】
【氏名】外山 昭人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 淳
(72)【発明者】
【氏名】若杉 幹夫
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA06
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY03
5H040DD07
(57)【要約】
【課題】側突時などが生じたときにバッテリに接続されたワイヤーハーネスを良好に切断することができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、バッテリと、バッテリを内部に収容しているバッテリケースと、バッテリに接続されているワイヤーハーネス8と、ワイヤーハーネス8を切断する切断ユニットとを備る。上記切断ユニットは、ワイヤーハーネス8を支持する支持台12と、ワイヤーハーネス8に対して支持台12と反対側に設けられており、バッテリケースの変形に伴って移動する切断具11とを含む。上記切断具11は、ワイヤーハーネス8を切断する刃部28を含み、上記切断具11が支持台12に対して近接するように移動すると、切断具11および支持台12はワイヤーハーネス8のうち刃部28により切断される部分の両側を挟み込み、ワイヤーハーネス8を挟み込んだ状態で刃部28がワイヤーハーネス8を切断する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリを内部に収容しているバッテリケースと、
前記バッテリに接続されているワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスを切断する切断ユニットと、
を備え、
前記切断ユニットは、前記ワイヤーハーネスを支持する支持台と、前記ワイヤーハーネスに対して前記支持台と反対側に設けられており、前記バッテリケースの変形に伴って移動する切断具とを含み、
前記切断具は、前記ワイヤーハーネスを切断する刃部を含み、
前記切断具が前記支持台に対して近接するように移動すると、前記切断具および前記支持台は前記ワイヤーハーネスのうち前記刃部により切断される部分の両側を挟み込み、前記ワイヤーハーネスを挟み込んだ状態で前記刃部が前記ワイヤーハーネスを切断する、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関し、特に、バッテリおよび高圧ケーブルを含む蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、ハイブリッド車両、電気自動車および燃料電池車両のように、車両に大容量のバッテリが搭載されている。
【0003】
特開2015−26428号公報に記載されたバッテリは、バッテリケースの内壁面と、この内壁面に沿って配置されたケーブルと、可撓性を有するシート状の保護シートとを備える。保護シートは、ケーブルから露出した電圧検知線に対応した位置に設けられている。
【0004】
特開2011−162118号公報に記載された車両は、印加される電圧に応じて光透過率が変化する調光ガラスと、車両電源と調光ガラスとを電気的に接続するワイヤーハーネスとを備える。さらに、当該車両は、車体外装部に車両外側から衝突荷重が作用した場合に前記ワイヤーハーネスの一部に向けて相対変位されて前記ワイヤーハーネスを切断するための切断部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−26428号公報
【特許文献2】特開2011−162118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電装置は、バッテリと、電気機器と、バッテリおよび電気機器を収容するバッテリケースと、バッテリに接続されたワイヤーハーネスとを含む。ワイヤーハーネスは、バッテリと他の電気機器とを接続する部材である。
【0007】
そして、車両が側突されたときなどにおいては、蓄電装置内にバッテリのみならず、各種の電気機器もが損傷するおそれがある。この際、バッテリから供給される高電圧の電力を電気機器に供給したのでは各種の不都合が生じる。
【0008】
特開2011−162118号公報においては、車両の衝突時に、ワイヤーハーネスが切断部と接触したとしてもワイヤーハーネスが撓み、切断部によってワイヤーハーネスを良好に切断できないおそれがある。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、側突時などが生じたときに、バッテリに接続されたワイヤーハーネスを良好に切断することができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
蓄電装置は、バッテリケースと、バッテリケース内に設けられた電気機器と、電気機器に接続されたワイヤーハーネスと、ワイヤーハーネスを切断する切断ユニットとを備える。上記切断ユニットは、ワイヤーハーネスを支持する支持台と、ワイヤーハーネスに対して支持台と反対側に設けられており、バッテリケースの変形に伴って移動する切断具とを含む。上記切断具は、ワイヤーハーネスを切断する刃部を含む。上記切断具が、支持台に対して近接するように移動すると、切断具および支持台は、ワイヤーハーネスのうち刃部により切断される部分の両側を挟み込み、ワイヤーハーネスを挟み込んだ状態で刃部がワイヤーハーネスを切断する。
【0011】
上記の蓄電装置によれば、刃部がワイヤーハーネスを切断するときには、切断部分の両側が既に切断具および支持台によって挟まれている。このため、刃部がワイヤーハーネスを切断するときに、ワイヤーハーネスが撓むことが抑制されており、ワイヤーハーネスを良好に切断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明に係る蓄電装置によれば、蓄電装置に大きな衝撃力などが加えられたときにワイヤーハーネスを良好に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る蓄電装置1を模式的に示す平面図である。
図2】蓄電装置1の一部を示す分解斜視図である。
図3】バッテリケース9を省略した状態における蓄電装置1の側面図である。
図4】切断ユニット10およびワイヤーハーネス8を示す分解斜視図である。
図5】切断ユニット10を示す斜視図である。
図6図5に示すVI−VI線における断面図である。
図7】刃部が配線18を切断する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1を模式的に示す平面図である。なお、この図1においては、バッテリケースの上面は省略している。この蓄電装置1は、車両に搭載される。
【0015】
図1に示すように、蓄電装置1は、複数のバッテリセル5を含むバッテリ2と、バッテリ2の両側面に配置された拘束プレート3,4と、拘束プレート3に固定された電気機器6および電気機器7と、電気機器6とバッテリ2とを接続するワイヤーハーネス8と、バッテリケース9と、切断ユニット10とを備える。
【0016】
拘束プレート3および拘束プレート4は、一方向に配列するバッテリセル5を拘束している。電気機器6および電気機器7は、拘束プレート3に固定されている。
【0017】
切断ユニット10は、バッテリケース9の内表面に近い位置に配置された切断具11と、拘束プレート3に固定された支持台12とを含む。ワイヤーハーネス8は、バッテリ2と電気機器6とを接続しており、高電圧が印加されている。
【0018】
図2は、蓄電装置1の一部を示す分解斜視図である。この図2に示すように、バッテリケース9は、カバー15と、ロアーケース16と、側壁部17とを含む。側壁部17は、車両の左側面側に配置されており、車両の右側面側にも図示しない側壁部が設けられている。上記のバッテリ2と、拘束プレート3,4と、電気機器6,7とワイヤーハーネス8とは、バッテリケース9の内部に収容されている。
【0019】
図3は、バッテリケース9を省略した状態における蓄電装置1の側面図である。電気機器6および電気機器7などを示す側面図である。この図3に示すようにワイヤーハーネス8に切断ユニット10が取付けられている。
【0020】
図4は、切断ユニット10およびワイヤーハーネス8を示す分解斜視図である。この図4に示すように、ワイヤーハーネス8は、複数の配線18と、配線18を束ねるように設けられた取付座13,14と、ワイヤーハーネス8の一端に設けられたコネクタ19aと、ワイヤーハーネス8の他端に設けられたコネクタ19bとを含む。取付座13および取付座14は、互いに間隔をあけて配置されている。
【0021】
図5は、切断ユニット10を示す斜視図である。この図5に示すように、切断具11は、押圧面22を含む本体部20と、本体部20の側面に形成されたガイド部材21とを含む。
【0022】
押圧面22は、車両が側突されたときなどにおいて、側壁部17が変形し、この変形した側壁部17によって押圧される面である。
【0023】
ガイド部材21は、本体部20よりも支持台12側に延び出ている。ガイド部材21には、支持台12に形成された係合部31が係合できるように穴部23が形成されている。
【0024】
支持台12には、ガイド部材21が挿入されるガイド溝32が形成されており、支持台12は、切断具11の本体部20を支持する支持部30と、ガイド溝32内に設けられた係合部31とを含む。
【0025】
図6は、図5に示すVI−VI線における断面図である。この図6に示すように、切断具11は、支持台12と対向する対向面24を含む。
【0026】
対向面24には、凹部25と、突起部26および突起部27が形成されている。凹部25は、対向面24の中央部に形成されており、突起部26,27は、対向面24の外周縁部に形成されている。切断具11は、凹部25内に設けられた刃部28を含む。
【0027】
突起部26および突起部27の先端部は、刃部28の先端部よりも支持台12側に突出している。
【0028】
ここで、刃部28は、突起部26および突起部27の間に配置されており、刃部28は、突起部26および突起部27によって挟み込まれる位置に配置されている。
【0029】
支持台12は、切断具11の対向面24と対向する対向面33含む。対向面33の中央部には凹部34が形成され、対向面33の外周縁部側には、溝部35,36が形成されている。
【0030】
凹部34は、図4に示すように支持台12の一方の側面から他方の側面に亘って形成されている。凹部34は、溝部35および溝部36の間に配置されており、凹部34は、溝部35および溝部36によって挟み込まれるように配置されている。
【0031】
対向面33のうち、溝部35と凹部34との間には、凹部37が形成されており、凹部34と溝部36との間にも凹部38が形成されている。対向面33には、溝部35の開口縁部に沿って壁部が形成されている。
【0032】
ここで、ワイヤーハーネス8の取付座14は、凹部37に嵌め込まれている。ワイヤーハーネス8の取付座13は、凹部38に取り付けられている。
【0033】
凹部37,38内に取付座14,13が嵌め込まれると、取付座13および取付座14の間に位置する配線18が真っ直ぐになる。換言すれば、取付座13と取付座14との間に位置する配線18が張った状態になる。図5において、切断具11が外力で押されていない状態において、支持台12の係合部31が切断具11の穴部23に係合しており、切断具11および支持台12が互いに連結されており、この切断具11および支持台12の間にワイヤーハーネス8が配置された状態となっている。
【0034】
上記のように構成された切断ユニット10の作用について説明する。図1において、車両の左側面に他の車両などが衝突すると、車体が大きく変形して、側壁部17に大きな衝撃力が加えられる。その結果、側壁部17が凹むように変形する。
【0035】
側壁部17が変形することで、図5において、切断具11の押圧面22が側壁部17によって押圧される。切断具11が側壁部17によって押圧されると、切断具11のガイド部材21が、ガイド溝32に沿って移動し、切断具11が支持台12に近接する。すなわち、側壁部17の変形に伴って、切断具11が移動する。係合部31は、切断具11が支持台12から離れる方向に移動すること規制している一方で、切断具11が支持台12に近づく方向に規制しておらず、切断具11が支持台12に近接する。
【0036】
図6において、切断具11が支持台12に近接すると、まず、突起部26,27がワイヤーハーネス8を押さえつける。突起部26および突起部27は、ワイヤーハーネス8のうち取付座13および取付座14よりも外側に位置する部分を押圧する。
【0037】
そのため、取付座13および取付座14は、凹部38および凹部37の底面に押さえつけられ、取付座13および取付座14がずれることが抑制される。なお、ワイヤーハーネス8のうち、取付座13および取付座14の間に位置する配線18が張った状態は維持される。
【0038】
ワイヤーハーネス8のうち、突起部26,27によって押さえつけられた押圧部分が溝部36,35内に入り込むように変形する。ワイヤーハーネス8の押圧部分が変形することで、突起部26,27の先端部は、さらに、支持台12に近づくことができる。
【0039】
このように、突起部26,27がワイヤーハーネス8の一部を変形させながら支持台12に近づくと、切断具11の刃部28の先端部がワイヤーハーネス8の配線18と接触する。さらに、図7に示すように、切断具11が支持台12に近づくことで、刃部28が配線18を切断する。
【0040】
ここで、刃部28が配線18を切断する際には、配線18のうち刃部28によって切断される部分の両側が、切断具11および支持台12によって挟み込まれた状態になる。このように、切断部分の両側を挟みこむことで、刃部28が配線18と接触した際に、配線18が撓むことが抑制される。刃部28が配線18に接触した際に配線18が撓みにくいため、刃部28が配線18を良好に切断することができる。特に、本実施の形態においては、切断具11および支持台12が配線18を挟み込むことで、刃部28によって切断される部分が張った状態になっているため、刃部28が配線18を直ぐに切断することができる。
【0041】
このため、刃部28が配線18と接触した後、切断具11が僅かに支持台12側に移動することで、配線18が刃部28によって切断される。
【0042】
さらに、切断具11および支持台12が、ワイヤーハーネス8の切断部分を覆うため、ワイヤーハーネス8の切断部分が周囲の金属部材と接触することが抑制されている。
【0043】
上記のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、側突時などにおいて、ワイヤーハーネス8を切断することができる。このため、ワイヤーハーネス8に接続された電気機器が損傷などしても、当該電気機器への電力供給を停止させることができる。なお、上記の実施の形態においては、切断ユニット10は、蓄電装置1の側面側に配置されているが、切断ユニット10の搭載位置は各種変更することができる。
【0044】
たとえば、蓄電装置1内部の右側面側にワイヤーハーネスが設けられている場合には、当該ワイヤーハーネスに切断ユニット10を配置するようにしてもよい。さらに、切断具11をバッテリケース9の側壁部17などに固定することは必須の構成ではない。側壁部17から少し離した位置に配置するようにしてもよい。側突時においては側壁部17が大きく変形して、変形した側壁部17が切断具11と接触し、切断具11を支持台12に向けて移動させることができるからである。
【0045】
なお、上記の実施の形態においては、切断具11に突起部26,27を形成し、支持台12に溝部36,35を形成しているが、切断具11に溝部を形成し、支持台12に突起部を形成してもよい。すなわち、配線18の切断部分を押さえこむことができる構成であれば、各種の構造を採用することができる。
【0046】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、蓄電装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 蓄電装置、2 バッテリ、3,4 拘束プレート、5 バッテリセル、6,7 電気機器、8 ワイヤーハーネス、9 バッテリケース、10 切断ユニット、11 切断具、12 支持台、13,14 取付座、15 カバー、16 ロアーケース、17 側壁部、18 配線、19a,19b コネクタ、20 本体部、21 ガイド部材、22 押圧面、23 穴部、24,33 対向面、25,34,37,38 凹部、26,27 突起部、28 刃部、30 支持部、31 係合部、32 ガイド溝、35,36 溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7