(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-152444(P2017-152444A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】ケースモールド型コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20170804BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20170804BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20170804BHJP
H01G 2/04 20060101ALI20170804BHJP
H01G 4/18 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
H01G1/14 B
H01G1/14 H
H01G1/14 J
H01G1/02 H
H01G4/38 A
H01G1/03 Z
H01G4/24 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-31388(P2016-31388)
(22)【出願日】2016年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 正人
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AA02
5E082AA11
5E082BC32
5E082BC38
5E082BC40
5E082CC07
5E082CC13
5E082GG06
5E082GG08
5E082HH03
5E082HH28
5E082HH47
5E082JJ02
5E082JJ07
5E082JJ15
5E082JJ27
(57)【要約】
【課題】複数のコンデンサ素子において、その電極間距離にバラつきが生じている場合でも、両電極を引き出すための電気的な接続の強度が不足してしまうことがないケースモールド型コンデンサを提供すること。
【解決手段】ケースモールド型コンデンサ1の一対のバスバー30、40には、バスバー本体32、42から張り出すようにバスバー本体32、42に対して一体的に形成されている複数のコンデンサ端子片36、46が形成されている。各コンデンサ端子片36、46は、自身が対応するコンデンサ素子20の電極22、24に対して隙Sを有した状態となっている。各コンデンサ端子片36、46の端子36a、46aは、自身が対応するコンデンサ素子20の電極22、24に対して電気的に接続されるように押し込まれた状態で塑性変形されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する樹脂製ケースと、樹脂製ケースの内部に収容されるコンデンサ素子−バスバー複合体から構成されており、
コンデンサ素子−バスバー複合体は、一対の電極を有する複数のコンデンサ素子と複数のコンデンサ素子における両電極を引き出す一対のバスバーから構成されており、
バスバーには、バスバー本体から張り出すようにバスバー本体に対して一体的に形成されている複数のコンデンサ端子片が形成されており、
各コンデンサ端子片は、自身が対応するコンデンサ素子の電極に対して隙を有した状態となっており、
各コンデンサ端子片の端子は、自身が対応するコンデンサ素子の電極に対して電気的に接続されるように押し込まれた状態で塑性変形されているケースモールド型コンデンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のケースモールド型コンデンサであって、
各コンデンサ端子片の端子の基端には、切欠溝が形成されているケースモールド型コンデンサ。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、
各コンデンサ端子片の端子は、対応するコンデンサ素子の電極に向けて張り出すR状に形成されているケースモールド型コンデンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、
各コンデンサ端子片の端子の先端は、R形状又は面取りされているケースモールド型コンデンサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、
電気的な接続は、ハンダ付けによって実施されており、
各コンデンサ端子片は、バスバー本体を切り欠いて形成されており、
この形成された切欠部は、ハンダ付けされたハンダの円形状に対して略同心を成す円状に形成されているケースモールド型コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースモールド型コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用の電力変換装置として、例えば、ケースモールド型コンデンサ101が既に知られている(
図9〜10参照)。このようなケースモールド型コンデンサ101は、
図11からも明らかなように、開口110aを有する樹脂製ケース102と、樹脂製ケース102の内部110bに収容されるコンデンサ素子−バスバー複合体103とから構成されている。このコンデンサ素子−バスバー複合体103は、複数のコンデンサ素子120(複数のフィルムコンデンサであり、この例では、第1のコンデンサ素子120a、第2のコンデンサ素子120b、第3のコンデンサ素子120c、第4のコンデンサ素子120d)と、複数のコンデンサ素子120の両電極(上下の両面)122、124を引き出す一対のバスバー130、140とから構成されている(
図12参照)。この両電極122、124の引き出しは、各バスバー130、140に形成されている複数(この例では、4個)のコンデンサ端子片136、146によって行われている。
【0003】
この各コンデンサ端子片136、146は、自身136、146が対応するコンデンサ素子120a、120b、120c、120dの電極122、124に対して突起138、148を介して隙sを有した状態となっている。この各コンデンサ端子片136、146の先端148に形成されている内部端子136a、146aは、自身136a、146aが対応するコンデンサ素子120a、120b、120c、120dの電極122、124に対して電気的に接続(ハンダ150付け)されている(
図13〜15参照)。このように構成されているコンデンサ素子−バスバー複合体103は、
図9からも明らかなように、一対のバスバー130、140の各外部端子134a、144aを除いた全ての部位が樹脂製の充填材(例えば、エポキシ樹脂)160によって樹脂製ケース102の内部110bにモールドされている。このモールドにより、複数のコンデンサ素子120の耐熱性や耐湿性を確保できる。このとき、充填材160が隙(複数のコンデンサ素子120の一対の電極122、124と各コンデンサ端子片136、146との間の隙)sにも入り込むため、この複数のコンデンサ素子120の長寿命化を図ることができる(
図14〜15参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特許第4946618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、複数のコンデンサ素子120において、その電極間距離にバラつき(公差)が生じていることがあった。このようにバラつきが生じていると、電極間距離が大きいコンデンサ素子(この例では、第1のコンデンサ素子120a、第2のコンデンサ素子120b、第3のコンデンサ素子120c)の電極122とコンデンサ端子片136との間の隙s1より、電極間距離が小さいコンデンサ素子(この例では、第4のコンデンサ素子120d)の電極122とコンデンサ端子片136との間の隙s2の方が大きくなってしまうことがあった。そのため、コンデンサ端子片136がハンダ150の先端(上端)に付けられてしまうことがあり、電極間距離が小さいコンデンサ素子(この例では、第4のコンデンサ素子120d)に対するハンダ150付けがしっかりできないことがあった(
図16参照)。したがって、このハンダ150付けの強度が不足してしまうことがあった。すなわち、複数のコンデンサ素子120の両電極122、124の引き出しの電気的な接続の強度が不足してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、複数のコンデンサ素子において、電極間距離にバラつきが生じている場合でも、両電極を引き出すための電気的な接続の強度が不足してしまうことがないケースモールド型コンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、開口を有する樹脂製ケースと、樹脂製ケースの内部に収容されるコンデンサ素子−バスバー複合体とから構成されているケースモールド型コンデンサである。コンデンサ素子−バスバー複合体は、一対の電極を有する複数のコンデンサ素子と、複数のコンデンサ素子における両電極を引き出す一対のバスバーとから構成されている。バスバーには、バスバー本体から張り出すようにバスバー本体に対して一体的に形成されている複数のコンデンサ端子片が形成されている。各コンデンサ端子片は、自身が対応するコンデンサ素子の電極に対して隙を有した状態となっている。各コンデンサ端子片の端子は、自身が対応するコンデンサ素子の電極に対して電気的に接続されるように押し込まれた状態で塑性変形されている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、各コンデンサ端子片の内部端子は電極に向けて押し込まれた状態となっている。そのため、複数のコンデンサ素子において、その電極間距離にバラつきが生じている場合でも、このバラつきを吸収できることとなる。また、各コンデンサ端子片の内部端子は塑性変形された状態となっている。そのため、電極に向けた押し込みによる内部端子に作用する撓みの反力によって複数のコンデンサ素子の電極に対する電気的な接続が剥がれることがない。すなわち、この電極を引き出すための電気的な接続の強度が不足してしまうことがない。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケースモールド型コンデンサであって、各コンデンサ端子片の端子の基端には、切欠溝が形成されている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、切欠溝が内部端子を押し込むときの起点となるため、この押し込みを実施し易くなる。したがって、この押し込みを軽い荷重で実施できる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、各コンデンサ端子片の端子は、対応するコンデンサ素子の電極に向けて張り出すR状に形成されている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、内部端子が電極の表面を傷つける恐れを防止できる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、各コンデンサ端子片の端子の先端は、R形状又は面取りされている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、内部端子の先端が電極の表面を傷つける恐れを防止できる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のケースモールド型コンデンサであって、電気的な接続は、ハンダ付けによって実施されている。各コンデンサ端子片は、バスバー本体を切り欠いて形成されている。この形成された切欠部は、ハンダ付けされたハンダの円形状に対して略同心を成す円状に形成されている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、ハンダ付けした後のハンダも円状であるため、ハンダ付けの成否を目視で確認し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例に係るケースモールド型コンデンサの全体斜視図である。
【
図2】
図1のケースモールド型コンデンサの平面図である。
【
図3】
図1のケースモールド型コンデンサの組み立て途中の状態を示す分解図である。
【
図4】
図3のコンデンサ素子−バスバー複合体の分解図である。
【
図6】
図1のケースモールド型コンデンサの短手方向の縦断面図である。
【
図8】
図1のケースモールド型コンデンサの長手方向の縦断面図である。
【
図9】従来技術に係るケースモールド型コンデンサの全体斜視図である。
【
図10】
図9のケースモールド型コンデンサの平面図である。
【
図11】
図9のケースモールド型コンデンサの組み立て途中の状態を示す分解図である。
【
図12】
図11のコンデンサ素子−バスバー複合体の分解図である。
【
図14】
図9のケースモールド型コンデンサの短手方向の縦断面図である。
【
図16】
図9のケースモールド型コンデンサの長手方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜8を用いて説明する。まず、実施例に係るケースモールド型コンデンサ1を説明する(
図1〜2参照)。このケースモールド型コンデンサ1は、開口10aを有する樹脂製ケース2と、樹脂製ケース2の内部10bに収容されるコンデンサ素子−バスバー複合体3とから構成されている(
図3参照)。以下に、これら樹脂製ケース2と、コンデンサ素子−バスバー複合体3とを個別に説明する。
【0019】
はじめに、樹脂製ケース2を説明する。樹脂製ケース2は、その内部10bに後述するコンデンサ素子−バスバー複合体3を収容可能となるように開口10aを有するケース部材から構成されている。樹脂製ケース2は、このように構成されている。
【0020】
次に、コンデンサ素子−バスバー複合体3を説明する。このコンデンサ素子−バスバー複合体3は、一対の電極22、24を有する複数のコンデンサ素子20(複数のフィルムコンデンサであり、この例では、第1のコンデンサ素子20a、第2のコンデンサ素子20b、第3のコンデンサ素子20c、第4のコンデンサ素子20d)と、複数のコンデンサ素子20における両電極22、24を引き出す一対のバスバー30、40と、から構成されている。
【0021】
この複数のコンデンサ素子20は、
図3〜4、8から明らかなように、その電極間距離にバラつき(公差)が生じていることがある。具体的には、例えば、第1のコンデンサ素子20a、第2のコンデンサ素子20b、第3のコンデンサ素子20cの高さより、第4のコンデンサ素子20dの高さの方が小さくなっている。複数のコンデンサ素子20は、このように構成されている。
【0022】
一対のバスバー30、40における一方のバスバー30は、バスバー本体32と、第1のケーブル(図示しない)に接続可能な外部端子34aをそれぞれ有する複数(この例では、3個)の張出片34とから構成されている(
図4参照)。このバスバー本体32には、このバスバー本体32から切欠部34cを介して内部に張り出すようにバスバー本体32に対して一体的に形成されている複数(この例では、4個)のコンデンサ端子片36が形成されている。この切欠部34cは、後述するハンダ50付けされたハンダ50の円形状に対して略同心を成す円状に形成されている。
【0023】
このコンデンサ端子片36は、その先端側を成す内部端子36aが対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの一方の電極22に対して電気的に接続可能に形成されている。また、このコンデンサ端子片36の内部端子36aの基端には、切欠溝36bが形成されている(
図5〜6参照)。また、このコンデンサ端子片36の内部端子36aは、対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの一方の電極22に向けて張り出すR状に形成されている(
図7参照)。
【0024】
また、このコンデンサ端子片36の内部端子36aの先端は、R形状又は面取りされている(先端部36cが形成されている)。また、この複数の外部端子34aには、第1のケーブルの丸端子(図示しない)に対して取付ボルト(図示しない)を共締め可能な取付孔34bがそれぞれ形成されている。
【0025】
一対のバスバー30、40における他方のバスバー40も、上述した一方のバスバー30と同様に、バスバー本体42と、第2のケーブル(図示しない)に接続可能な外部端子44aをそれぞれ有する複数(この例では、3個)の張出片44とから構成されている(
図4参照)。このバスバー本体42にも、上述したバスバー本体32と同様に、このバスバー本体42から切欠部44cを介して内部に張り出すようにバスバー本体42に対して一体的に形成されている複数(この例では、4個)のコンデンサ端子片46が形成されている。この切欠部44cは、上述した切欠部34cと同様に、後述するハンダ50付けされたハンダ50の円形状に対して略同心を成す円状に形成されている。
【0026】
このコンデンサ端子片46も、上述したコンデンサ端子片36と同様に、その先端側を成す内部端子46aが対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの他方の電極24に対して電気的に接続可能に形成されている。また、このコンデンサ端子片46の基端にも、上述したコンデンサ端子片36の基端と同様に、切欠溝46bが形成されている。また、このコンデンサ端子片46の内部端子46aも、上述したコンデンサ端子片36の内部端子36aと同様に、対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの他方の電極24に張り出すR状に形成されている。
【0027】
また、このコンデンサ端子片46の内部端子46aの先端も、上述したコンデンサ端子片36の内部端子36aの先端と同様に、R形状又は面取りされている(先端部46cが形成されている)。また、この複数の外部端子44aにも、上述した複数の外部端子34aと同様に、第2のケーブルの丸端子(図示しない)に対して取付ボルト(図示しない)を共締め可能な取付孔44bがそれぞれ形成されている。一対のバスバー30、40は、このように構成されている。
【0028】
続いて、ケースモールド型コンデンサ1の組み立ての手順を説明する。まず、治具(図示しない)を介して、上述した複数のコンデンサ素子20の一方の電極22に一方のバスバー30をセットする作業を行う。この作業を行うと、複数のコンデンサ素子20の一方の電極22と一方のバスバー30の各コンデンサ端子片36との間に治具によって隙Sが形成されることとなる。
【0029】
次に、この隙Sが形成された状態のまま、一方のバスバー30の各コンデンサ端子片36の内部端子36aが複数のコンデンサ素子20の一方の電極22にそれぞれ食い込むように、この治具を介して、この一方のバスバー30の各コンデンサ端子片36の内部端子36aをそれぞれ押し込む作業を行う。すると、各コンデンサ端子片36の内部端子36aが切欠溝36bを起点に一方の電極22に向けて弾性変形し始める。
【0030】
この押し込む作業を引き続き行うと、この弾性変形に抗して食い込んだ各コンデンサ端子片36の内部端子36aが塑性変形することとなる。すなわち、各コンデンサ端子片36の内部端子36aは、内部端子36a自身に作用する撓みの反力(内部端子36aを押し込むことによって内部端子36a自身に生じる撓みの反力)によって複数のコンデンサ素子20の一方の電極22に対する電気的な接続(後述するハンダ50付け)が剥がれることがないように塑性変形された状態となる。
【0031】
次に、この塑性変形された状態のまま、各コンデンサ端子片36の内部端子36aが対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの一方の電極22に対して電気的に接続されるように対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dに対してそれぞれハンダ50付けする作業を行う。このとき、ハンダ50付けするハンダ50の出来上がりの円形状が一方のバスバー30の切欠部34cの円状に対して略同心を成すように作業を実施する。このようにして、一方のバスバー30から複数のコンデンサ素子20の一方の電極22が引き出される。
【0032】
これら一連の作業を他方のバスバー40においても実施する。このようにしてコンデンサ素子−バスバー複合体3が出来上がる。次に、出来上がったコンデンサ素子−バスバー複合体3を樹脂製ケース2の内部10bにセットする作業を行う。次に、このセットした状態のまま、樹脂製ケース2の内部10bに樹脂製の充填材(例えば、エポキシ樹脂)60を充填する作業を行う。最後に、充填した充填材60を固化させる作業を行う。このようにしてケースモールド型コンデンサ1が組み立てられることとなる。
【0033】
このようにして組み立てられると、従来技術と同様に、一対のバスバー30、40の各外部端子34a、44aを除いた全ての部位が樹脂製の充填材60によって樹脂製ケース2の内部10bにモールドされることとなる。このモールドにより、複数のコンデンサ素子20の耐熱性や耐湿性を確保できる。このとき、充填材60が隙(複数のコンデンサ素子20の一対の電極22、24と各コンデンサ端子片36、46との間の隙)Sにも入り込むため、この複数のコンデンサ素子20の長寿命化を図ることができる。
【0034】
本発明の実施例に係るケースモールド型コンデンサ1は、上述したように構成されている。この構成によれば、各コンデンサ端子片36、46の内部端子36a、46aは電極22、24に向けて押し込まれた状態となっている。そのため、複数のコンデンサ素子20において、その電極間距離にバラつきが生じている場合でも、このバラつきを吸収できることとなる。また、各コンデンサ端子片36、46の内部端子36a、46aは塑性変形された状態となっている。そのため、電極22、24に向けた押し込みによる内部端子36a、46aに作用する撓みの反力によって複数のコンデンサ素子20の電極22、24に対する電気的な接続が剥がれることがない。すなわち、この電極22、24を引き出すための電気的な接続の強度が不足してしまうことがない。
【0035】
また、この構成によれば、コンデンサ端子片36、46の内部端子36a、46aの基端には、切欠溝36b、46bが形成されている。そのため、この切欠溝36b、46bが内部端子36a、46aを押し込むときの起点となるため、この押し込みを実施し易くなる。したがって、この押し込みを軽い荷重で実施できる。
【0036】
また、この構成によれば、コンデンサ端子片36、46の内部端子36a、46aは、対応するコンデンサ素子20a、20b、20c、20dの電極22、24に向けて張り出すR状に形成されている。そのため、内部端子36a、46aが電極22、24の表面を傷つける恐れを防止できる。
【0037】
また、この構成によれば、コンデンサ端子片36の内部端子36aの先端は、R形状又は面取りされている。そのため、内部端子36a、46aの先端が電極22、24の表面を傷つける恐れを防止できる。
【0038】
また、この構成によれば、切欠部34c、44cは、ハンダ50付けされたハンダ50の円形状に対して略同心を成す円状に形成されている。そのため、ハンダ50付けした後のハンダ50も円状であるため、ハンダ50付けの成否を目視で確認し易い。
【符号の説明】
【0039】
1 ケースモールド型コンデンサ
2 樹脂製ケース
3 コンデンサ素子−バスバー複合体
10a 開口
10b 内部
20 複数のコンデンサ素子
22 一方の電極
24 他方の電極
30 一方のバスバー
32 バスバー本体
36 コンデンサ端子片
36a 内部端子(端子)
36b 切欠溝
36c 先端部
40 他方のバスバー
42 バスバー本体
46 コンデンサ端子片
46a 内部端子(端子)
46b 切欠溝
46c 先端部
50 ハンダ
60 充填材
S 隙