【解決手段】流体圧シリンダ10は、シリンダチューブ12の両端部に円筒体24a、24bが接続され、該円筒体24a、24bの内部には係止リング50が着脱自在に設けられ、この係止リング50によって前記シリンダチューブ12に収納されたヘッドカバー14及びロッドカバー16が固定される。また、ヘッドカバー14及びロッドカバー16の外周面には、径方向内側へと窪んだ凹部36、58がそれぞれ設けられ、該凹部36、58には第1及び第2流体ポート38、60が開口し、前記第1及び第2流体ポート38、60を通じて圧力流体が供給・排出される。
内部に断面円形状のシリンダ室を有した筒状のシリンダチューブと、該シリンダ室に対応した断面円形状に形成され前記シリンダチューブの端部に装着されるカバー部材と、前記シリンダ室に沿って変位自在に設けられるピストンとを有した流体圧シリンダにおいて、
前記シリンダチューブの外周面よりも径方向内側に、圧力流体の供給・排出される一組のポートが設けられ、
前記シリンダチューブの端部には、前記カバー部材を軸方向に係止する係止手段が設けられ、前記係止手段は前記シリンダチューブに対して係合され径方向に弾発力を有したリングからなり、前記シリンダチューブに対して着脱させることで、前記カバー部材が前記シリンダチューブに対して着脱自在であることを特徴とする流体圧シリンダ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る流体圧シリンダについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流体圧シリンダを示す。
【0032】
この流体圧シリンダ10は、
図1に示されるように、円筒状のシリンダチューブ12と、該シリンダチューブ12の一端部に装着されるヘッドカバー(カバー部材)14と、前記シリンダチューブ12の他端部に装着されるロッドカバー(カバー部材)16と、前記シリンダチューブ12の内部に変位自在に設けられるピストン18と、前記ピストン18に連結されるピストンロッド20とを含む。
【0033】
シリンダチューブ12は、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から形成され軸方向(矢印A、B方向)に沿って一定断面積で延在した筒体からなり、その内部にはピストン18及びピストンロッド20の収容されるシリンダ室22が形成される。また、シリンダチューブ12の両端部には、該シリンダチューブ12より大径な円筒体24a、24bがそれぞれ接続される。
【0034】
この円筒体24a、24bは、
図1、
図2A、
図3Aに示されるように、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から断面円形状に形成され、軸方向に沿って所定幅を有している。そして、円筒体24a、24bにおける一端部の内周面がシリンダチューブ12の外周面に対して当接した状態で溶接によってそれぞれ接合される。すなわち、円筒体24a、24bの一部がシリンダチューブ12の両端部に対して軸方向(矢印A、B方向)に重複するように設けられ、前記シリンダチューブ12の両端部は、該シリンダチューブ12に対して径方向外側に拡径した円筒体24a、24bが設けられることで段付状に形成されている。
【0035】
また、円筒体24a、24bの内周面には、径方向外側へと窪んだ環状の係合溝26が形成され、後述する係止リング50がそれぞれ係合される。
【0036】
さらに、円筒体24a、24bには、シリンダチューブ12の接続される接続部位と係合溝26との間に径方向に貫通した孔部28が形成され、該孔部28には外周側から回り止めビス(ピン部材)30が螺合されヘッドカバー14及びロッドカバー16の外周面に形成されたビス孔32へとそれぞれ係合される。これにより、ヘッドカバー14及びロッドカバー16に対する円筒体24a、24bの回転変位がそれぞれ規制される。換言すれば、回り止めビス30は、ヘッドカバー14及びロッドカバー16に対する円筒体24a、24bの回転変位を規制するための回り止め手段として機能する。
【0037】
ヘッドカバー14は、
図1〜
図2Bに示されるように、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から断面円形状に形成され、シリンダチューブ12及び円筒体24aの内部に挿入される。
【0038】
このヘッドカバー14の外周面は、他端部側(矢印B方向)が若干だけ拡径するように形成された段付状に形成され、この段付部34にシリンダチューブ12の一端部が当接することで、前記ヘッドカバー14に対するシリンダチューブ12の軸方向(矢印B方向)に沿った位置決めがなされると共に、大径に形成された他端部側(矢印B方向)が円筒体24aによって覆われる。
【0039】
なお、ヘッドカバー14に対してシリンダチューブ12が位置決めされた状態では、円筒体24aの端部と前記ヘッドカバー14の他端部とが略同一面となる(
図2A参照)。
【0040】
また、ヘッドカバー14の外周面には、小径な部位に径方向内側に窪んだ断面円形状の凹部36が形成され、該凹部36には圧力流体が供給・排出される第1流体ポート38が形成される。この第1流体ポート38は、ヘッドカバー14の軸方向と直交するように径方向内側に向かって延在し、前記ヘッドカバー14の中央に形成された第1連通孔40と連通している。この凹部36は、ヘッドカバー14の外周側を覆うシリンダチューブ12に形成されたポート孔42aを通じて外周側に露出している。そして、第1流体ポート38には、ポート孔42aを通じて継手44(二点鎖線形状)が接続され、配管を通じて圧力流体が供給・排出される。
【0041】
ヘッドカバー14の一端部中央には、シリンダチューブ12側(矢印A方向)に臨むように第1連通孔40が開口すると共に、シリンダ室22側(矢印A方向)となる前記第1連通孔40の端部が拡径し、その内部に第1ダンパ46が装着される。この第1ダンパ46は、例えば、弾性材料からリング状に形成され、その端部が前記ヘッドカバー14の端部に対して若干だけシリンダチューブ12側(矢印A方向)に突出するように設けられる。
【0042】
一方、ヘッドカバー14の他端部には、径方向外側が軸方向(矢印A方向)に窪んだ環状凹部48aが形成され、該環状凹部48aの外周側が円筒体24aによって覆われると共に、該環状凹部48aには係止リング50が収納される。また、ヘッドカバー14の他端部には、環状凹部48aより内周側となる部位に軸方向(矢印A方向)に沿って延在する複数(例えば、4個)の第1取付孔52が形成され、該第1取付孔52に対して他の装置等に挿通された取付ボルト(図示せず)を螺合させることで流体圧シリンダ10を固定することが可能となる。なお、第1取付孔52は、例えば、
図2Bに示されるように、ヘッドカバー14の中心を通る直径上に互いに等間隔離間するように設けられる。
【0043】
また、円筒体24aに挿通された回り止めビス30がヘッドカバー14の外周面に形成されたビス孔32へと螺合されることで、ヘッドカバー14と円筒体24a及びシリンダチューブ12との相対的な回転変位が規制された状態となる。
【0044】
ロッドカバー16は、
図1、
図3A及び
図3Bに示されるように、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から断面円形状に形成され、シリンダチューブ12及び円筒体24bの内部に挿入される。
【0045】
このロッドカバー16の外周面は、ヘッドカバー14と同様に、他端部側(矢印A方向)が若干だけ拡径するように形成された段付状に形成され、この段付部56にシリンダチューブ12の他端部が当接することで、前記ロッドカバー16に対するシリンダチューブ12の軸方向(矢印A方向)に沿った位置決めがなされると共に、大径に形成された他端部側(矢印A方向)が円筒体24bによって覆われる。
【0046】
なお、ロッドカバー16に対してシリンダチューブ12が位置決めされた状態において、円筒体24bの端部と前記ロッドカバー16の他端部とが略同一面となる(
図3A参照)。
【0047】
また、ロッドカバー16の外周面には、小径な部位に径方向内側に窪んだ断面円形状の凹部58が形成され、該凹部58には圧力流体が供給・排出される第2流体ポート60が形成される。この第2流体ポート60は、ロッドカバー16の軸方向と直交するように径方向内側に向かって延在し、前記ロッドカバー16の中央に形成されたロッド孔62及び第2連通孔64と連通している。
【0048】
この凹部58は、ロッドカバー16の外周側を覆うシリンダチューブ12に形成されたポート孔42bを通じて外周側に露出している。そして、第2流体ポート60には、ポート孔42bを通じて継手44(二点鎖線形状)が接続され、配管を通じて圧力流体が供給・排出される。
【0049】
ロッドカバー16の一端部中央には、シリンダチューブ12側(矢印B方向)に臨むように第2連通孔64が開口し、該第2連通孔64の中央には軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したロッド孔62が形成される。また、シリンダ室22側(矢印B方向)となる第2連通孔64の端部が拡径して内部に第2ダンパ66が装着される。この第2ダンパ66は、例えば、弾性材料からリング状に形成され、その端部がロッドカバー16の端部に対して若干だけシリンダチューブ12側(矢印B方向)に突出するように設けられる。
【0050】
このロッド孔62には、環状溝を介してロッドパッキン68及びブッシュ70が設けられ、ピストンロッド20の外周面にそれぞれ摺接することで、前記ピストンロッド20とロッドカバー16との間を通じた圧力流体の漏れが防止され、且つ、前記ピストンロッド20が軸方向(矢印A、B方向)に沿って案内される。
【0051】
一方、ロッドカバー16の他端部には、径方向外側が軸方向(矢印B方向)に窪んだ環状凹部48bが形成され、該環状凹部48bの外周側が円筒体24bによって覆われると共に、該環状凹部48bには係止リング50が収納される。
【0052】
また、ロッドカバー16の他端部には、環状凹部48bの内周側となる部位に軸方向(矢印B方向)に沿って延在する複数(例えば、4個)の第2取付孔(取付孔)72が形成され、該第2取付孔72に対して他の装置等に挿通された取付ボルト(図示せず)を螺合させることで流体圧シリンダ10を固定することが可能となる。なお、第2取付孔72は、例えば、
図3Bに示されるように、ロッドカバー16の中心を通る直径上に互いに等間隔離間するように設けられる。
【0053】
また、円筒体24bに挿通された回り止めビス30がロッドカバー16の外周面に形成されたビス孔32へと螺合されることで、前記ロッドカバー16と円筒体24b及びシリンダチューブ12との相対的な回転変位が規制された状態となる。
【0054】
係止リング50は、例えば、金属製材料から断面略C字状に形成され、円筒体24a、24bに形成された係合溝26にそれぞれ装着される。この係止リング50は、係合溝26に応じた形状に形成され、径方向外側へと拡がるような弾発力を有すると共に、開口した端部には、径方向内側に向かって膨出した部位に治具孔74がそれぞれ形成される。
【0055】
そして、係止リング50は、一組の治具孔74に対して図示しない治具を挿入し、該治具孔74を有する膨出部を互いに接近させる方向へと変位させることにより、係止リング50を弾発力に抗して径方向内側へと弾性変形させることができる。
【0056】
この係止リング50は、ヘッドカバー14及びロッドカバー16がシリンダチューブ12及び円筒体24a、24bの内部に挿通され、該シリンダチューブ12の一端部及び他端部が段付部34、56に当接し軸方向に位置決めされた状態で、前記円筒体24a、24bの係合溝26へとそれぞれ係合させる。これにより、係止リング50がヘッドカバー14及びロッドカバー16の環状凹部48a、48bの壁面へと当接し、円筒体24a、24bの開口部側からのヘッドカバー14及びロッドカバー16の脱抜が規制される。
【0057】
換言すれば、係止リング50は、シリンダチューブ12に対してヘッドカバー14及びロッドカバー16を固定するための係止手段として機能する。
【0058】
ピストン18は、
図1及び
図2Aに示されるように、断面円形状に形成され、軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在にシリンダ室22に収納されると共に、その外周面には環状溝を介してそれぞれピストンパッキン76、マグネット78及びウェアリング80が設けられる。また、ピストン18は、その中央部に挿通されたピストンロッド20の一端部が加締められることで一体的に連結される。
【0059】
そして、ピストンパッキン76がシリンダチューブ12の内周面に当接することで、シリンダチューブ12とピストン18との間を通じた圧力流体の漏出が防止され、ウェアリング80がシリンダチューブ12の内周面に当接することで軸方向に沿って案内される。また、マグネット78は、シリンダチューブ12の外側に設けられた位置検出センサによって磁気が検出されることで、前記シリンダチューブ12内におけるピストン18の位置を検知することができる。
【0060】
ピストンロッド20は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した軸体からなり、その一端部がピストン18の中心に対して連結され、他端部がロッドカバー16のロッド孔62を介して流体圧シリンダ10の外部へと突出している。
【0061】
本発明の第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にシリンダチューブ12に対してヘッドカバー14を組み付ける場合について
図1、
図2Aを参照しながら説明する。
【0062】
なお、シリンダチューブ12に対してロッドカバー16を組み付ける場合も上述したヘッドカバー14の場合と略同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0063】
先ず、開口したシリンダチューブ12の一端部側(矢印B方向)からヘッドカバー14を内部へと挿入し、その段付部34を該シリンダチューブ12の一端部へ当接させることで、該シリンダチューブ12の他端部側(矢印A方向)への移動が規制された位置決め状態となる。なお、この位置決め状態では、円筒体24aによってヘッドカバー14の環状凹部48aが覆われた状態となる。
【0064】
次に、一対の治具孔74に挿入された図示しない治具によって係止リング50を径方向内側へと弾性変形させた状態でヘッドカバー14の環状凹部48aへと挿入し、その一部を係合溝26へ挿入させた状態で前記治具による変形状態を解除する。これにより、係止リング50が弾性によって拡径して前記係合溝26に係合されることで、ヘッドカバー14は、円筒体24aに係合された係止リング50によってシリンダチューブ12から離間する方向(矢印B方向)への移動が規制された状態となる。
【0065】
すなわち、ヘッドカバー14は、シリンダチューブ12に対して段付部34の当接作用下にロッドカバー16側(矢印A方向)への移動が規制され、該ロッドカバー16から離間する方向(矢印B方向)への移動が前記係止リング50によって規制されているため、前記シリンダチューブ12の一端部に対して軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制された固定状態となる。
【0066】
最後に、ヘッドカバー14のビス孔32と円筒体24aの孔部28とを一致させ、外周側から回り止めビス30を挿入して螺合させることで、前記円筒体24a及びシリンダチューブ12に対するヘッドカバー14の回転が規制される。換言すれば、回り止めビス30によって円筒体24aに対するヘッドカバー14の周方向に沿った位置決めがなされる。これにより、シリンダチューブ12の外周面に開口したポート孔42aが第1流体ポート38に臨む位置となる。
【0067】
これにより、シリンダチューブ12の一端部に対するヘッドカバー14の組み付けが完了する。
【0068】
一方、シリンダチューブ12からヘッドカバー14を取り外す場合には、先ず、回り止めビス30を螺回させ、ヘッドカバー14及び円筒体24aから取り外すと共に、図示しない治具を用いて係止リング50を径方向内側へと弾性変形させ係合溝26から取り外す。これにより、シリンダチューブ12に対するヘッドカバー14の固定状態が解除され、前記ヘッドカバー14を前記シリンダチューブ12から離間する方向(矢印B方向)へと移動させて取り外すことができる。
【0069】
次に、上述したように組み付けられた流体圧シリンダ10の動作について説明する。なお、
図1に示されるピストン18がヘッドカバー14側(矢印B方向)に変位した状態を初期位置として説明する。
【0070】
先ず、図示しない圧力流体供給源から圧力流体を第1流体ポート38へと供給する。この場合、第2流体ポート60は、図示しない切換弁による切換作用下に大気開放状態としておく。これにより、圧力流体が、第1流体ポート38から第1連通孔40へと供給され、該第1連通孔40からシリンダ室22へと供給された圧力流体によってピストン18がロッドカバー16側(矢印A方向)へと押圧される。そして、ピストン18の変位作用下にピストンロッド20が共に変位し、該ピストン18が第2ダンパ66へと当接することで変位終端位置となる。
【0071】
次に、ピストン18を前記とは反対方向(矢印B方向)に変位させる場合には、第2流体ポート60に圧力流体を供給すると共に、第1流体ポート38を切換弁(図示せず)の切換作用下に大気開放状態とする。そして、圧力流体が、第2流体ポート60から第2連通孔64を通じてシリンダ室22へと供給され、該シリンダ室22へと供給された圧力流体によってピストン18がヘッドカバー14側(矢印B方向)へと押圧される。
【0072】
そして、ピストン18の変位作用下にピストンロッド20が共に変位し、前記ピストン18がヘッドカバー14の第1ダンパ46へと当接することで初期位置へと復帰する(
図1参照)。
【0073】
以上のように、第1の実施の形態では、流体圧シリンダ10において、ヘッドカバー14及びロッドカバー16の外周面に対して径方向内側へと窪んだ凹部36、58を設け、該凹部36、58内に第1及び第2流体ポート38、60を開口させているため、前記第1及び第2流体ポート38、60へ接続される継手44や配管等の径方向への突出量を抑制することができる。その結果、シリンダチューブ12に対してポートを径方向に突出させていた従来の流体圧シリンダと比較し、流体圧シリンダ10を径方向に小型化することができ、該流体圧シリンダ10の外周側スペースを有効活用することができる。
【0074】
また、シリンダチューブ12の両端部に設けられた円筒体24a、24bに対して係合可能な係止リング50によってヘッドカバー14及びロッドカバー16を固定可能な構成としているため、シリンダチューブの両端部に対してヘッドカバー及びロッドカバーを螺合させ固定していた従来技術に係る流体圧シリンダと比較し、前記シリンダチューブ12と前記ヘッドカバー14及びロッドカバー16に対して互いに螺合させるためのねじ部をそれぞれ設ける必要がないため、流体圧シリンダ10の軸方向に沿った長手寸法を大幅に小型化することができる。
【0075】
さらに、シリンダチューブの両端部に対してヘッドカバー及びロッドカバーを螺合させ連結している従来技術に係る流体圧シリンダと比較し、係止リング50を装着したり・取り外したりするだけで前記シリンダチューブ12に対する前記ヘッドカバー14及びロッドカバー16の着脱作業を容易に行うことができる。
【0076】
次に、第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ100を
図4〜
図7に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
この第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ100では、ヘッドカバー102及びロッドカバー104がプレート状に形成されている点で、第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10と相違している。
【0078】
この流体圧シリンダ100は、
図4〜
図6Bに示されるように、シリンダチューブ106の一端部を閉塞するプレート状のヘッドカバー102と、前記シリンダチューブ106の他端部を閉塞する円筒状のロッドカバー104とを備える。
【0079】
シリンダチューブ106は、その一端部の内部にヘッドカバー102が設けられ、該一端部から所定距離だけ離間した他端部側(矢印A方向)の外周面にポート孔42aが開口している。このシリンダチューブ106の内部には、ポート孔42aに臨むように第1ポート部材108が溶接等によって固定される。この第1ポート部材108は、ねじの刻接された第1流体ポート110を内部に有し、継手44(二点鎖線形状)が接続される。すなわち、第1ポート部材108は、シリンダチューブ106に対して径方向内側に突出するように設けられている。
【0080】
一方、ロッドカバー104が内部に設けられたシリンダチューブ106の他端部には、その外周面に円筒体24bが溶接されると共に、該円筒体24bの端部に対して前記シリンダチューブ106の一端部側(矢印B方向)となる位置にポート孔142が開口している。
【0081】
ヘッドカバー102は、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から一定厚さで円盤状に形成され、シリンダチューブ106の一端部に挿入され溶接等によって固定される。また、ヘッドカバー102には、該ヘッドカバー102の中心に対して所定直径上となる位置に複数(例えば、4個)の第1ボス部材112が設けられる。
【0082】
この第1ボス部材112は、内部にねじ孔114の形成された円筒状に形成され、ヘッドカバー102に形成された孔部116に挿通され、その一端部が前記ヘッドカバー102の端面と同一面となった状態で溶接等によって固定される。すなわち、第1ボス部材112は、ヘッドカバー102に対してシリンダチューブ106側(矢印A方向)へと突出するように設けられる。
【0083】
また、第1ボス部材112の他端部には、ゴム等の弾性材料からなる第1ダンパ118がそれぞれ設けられ、シリンダ室22に臨むように配置される。
【0084】
そして、第1ボス部材112のねじ孔114は、流体圧シリンダ100を他の装置等に固定する際に用いられる取付孔として機能する。
【0085】
ロッドカバー104は、例えば、ステンレス鋼等の金属製材料から形成され、断面U字状に形成された本体部120と、該本体部120の中心に設けられた円筒状のホルダ部122とを有している。この本体部120は、円盤状に形成されたベース部124の中心にピストンロッド20の挿通されるロッド孔126が形成されると共に、前記ロッド孔126と同軸上となるようにホルダ部122の端部が溶接等によって接合される。すなわち、ホルダ部122は、本体部120におけるベース部124の外縁部から軸方向へと延在した周壁部128と略平行に形成される。
【0086】
また、本体部120のベース部124には、ロッド孔126を中心とした所定直径上となる位置に複数(例えば、4個)の第2ボス部材130が設けられる。
【0087】
この第2ボス部材130は、内部にねじ孔114の形成された円筒状に形成され、ロッドカバー104に形成された孔部132に挿通され、その一端部が前記ロッドカバー104の端面と同一面となった状態で溶接等によって固定される。すなわち、第2ボス部材130は、ロッドカバー104に対してシリンダチューブ106側(矢印B方向)へと突出するように設けられる。
【0088】
また、第2ボス部材130の他端部には、ゴム等の弾性材料からなる第2ダンパ134がそれぞれ設けられ、シリンダ室22に臨むように配置される。
【0089】
そして、第2ボス部材130のねじ孔114は、流体圧シリンダ100を他の装置等に固定する際に用いられる取付孔として機能する。
【0090】
また、本体部120における周壁部128は、円筒体24bの内周面に摺接するように収納され、該円筒体24bの内周面に設けられたシールリング136が当接することで前記シリンダチューブ106とロッドカバー104との間を通じた圧力流体の漏れが防止される。
【0091】
この周壁部128には、径方向に貫通するように第2ポート部材138が設けられ、該第2ポート部材138は、周壁部128に対して径方向外側へ突出せず、且つ、径方向内側へと突出した状態で溶接等によって一体的に固定される。
【0092】
この第2ポート部材138は、ねじの刻接された第2流体ポート140を内部に有し、シリンダチューブ106の内部にロッドカバー104が設けられた状態で、円筒体24bのポート孔142に臨むように配置され、該ポート孔142を通じて継手44が接続される。なお、この継手44がポート孔142を通じて第2ポート部材138へと接続されることで、ロッドカバー104と円筒体24bとの相対的な回転変位が規制される。
【0093】
一方、ホルダ部122の内部には、軸方向に沿ってロッドパッキン68及びブッシュ70が設けられる。
【0094】
そして、ロッドカバー104は、円筒体24bの内部へと挿入され、周壁部128の端部がシリンダチューブ106の他端部へと当接して軸方向へ位置決めされた状態で、前記円筒体24bの係合溝26へと係止リング50を係合させることで、該係止リング50がロッドカバー104のベース部124へと当接し、円筒体24bの開口部側からのロッドカバー104の脱抜が規制される。
【0095】
なお、上述した第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ100の動作は、第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10の動作と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0096】
以上のように、第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ100では、シリンダチューブ106の両端部に設けられるヘッドカバー102及びロッドカバー104をプレート材から形成することで、シリンダチューブの両端部に対してヘッドカバー及びロッドカバーを螺合させ固定していた従来技術に係る流体圧シリンダと比較し、前記シリンダチューブ106と前記ヘッドカバー102及びロッドカバー104に対して互いに螺合させるためのねじ部をそれぞれ設ける必要がないため、流体圧シリンダ100の軸方向に沿った長手寸法を小型化することができる。
【0097】
また、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポート部材108、138をシリンダチューブ106の内周側に設けることで、シリンダチューブに対してポートを径方向に突出させていた従来技術に係る流体圧シリンダと比較し、流体圧シリンダ100の径寸法を小型化することができる。
【0098】
さらに、シリンダチューブに対してロッドカバーを螺合させ連結している流体圧シリンダと比較し、係止リング50を装着したり・取り外したりするだけで前記シリンダチューブ106に対する前記ロッドカバー104の着脱作業を容易に行うことが可能となる。なお、上述した流体圧シリンダ100では、ロッドカバー104のみをシリンダチューブ106に対して着脱自在な構成としているが、ヘッドカバー102側にも係止リング50を設けることで該ヘッドカバー102をシリンダチューブ106に対して着脱自在な構成としてもよい。
【0099】
さらにまた、ヘッドカバー102及びロッドカバー104を所定厚さのプレート材から形成しているため、第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10と比較し、大幅な軽量化を図ることが可能となる。
【0100】
次に、第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150を
図8〜
図11に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ10、100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0101】
この第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150は、
図8に示されるように、シリンダチューブ152の軸方向に沿って延在する第1及び第2ポート部材154、156がそれぞれヘッドカバー(カバー部材)158の端部に設けられる点で、上述した第2の実施の形態に係る流体圧シリンダ100と相違している。
【0102】
この流体圧シリンダ150は、
図8〜
図10に示されるように、シリンダチューブ152の一端部がプレート状のヘッドカバー158で閉塞され、その中央部には軸方向に貫通した第1連通孔160が形成されると共に、該第1連通孔160と連通するように第1ポート部材154が設けられる。この第1ポート部材154は円筒状に形成され、シリンダチューブ152の軸方向(矢印A、B方向)に沿って設けられ、その端部が前記ヘッドカバー158の端面に溶接等によって固定される。そして、第1ポート部材154には、継手44(二点鎖線形状)が接続され、配管を通じて圧力流体が供給・排出されると共に、第1連通孔160を通じてシリンダ室22と連通している。
【0103】
また、円盤状に形成されたヘッドカバー158の外縁部近傍には、シリンダチューブ152の軸方向に沿うように第2ポート部材156が設けられ、その端部が前記ヘッドカバー158の端面に溶接等によって固定される。すなわち、第1及び第2ポート部材154、156はヘッドカバー158において略平行に設けられると共に、該ヘッドカバー158から離間する方向(矢印B方向)に向かって所定高さだけ突出するように設けられる。
【0104】
この第2ポート部材156は、シリンダチューブ152の外周面よりも径方向外側へと突出するように設けられ、そのヘッドカバー158に固定される端部近傍には、径方向外側へと貫通した貫通孔162が形成される(
図8及び
図10参照)。この貫通孔162は、径方向内側において流体の供給・排出される第2ポート部材156のポート孔164と連通している。
【0105】
そして、最も径方向外側となる第2ポート部材156の外周部位には、貫通孔162を覆うように断面円弧状に形成された通路部材166が装着される。
【0106】
この通路部材166は、例えば、板材をプレス成形することで断面円弧状に形成され、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有している。そして、通路部材166の一端部が、貫通孔162に臨むように第2ポート部材156の外周面を覆った状態で溶接等によって固定されると共に、他端部がロッドカバー16側(矢印A方向)に設けられた円筒体24bの端部に溶接等によって連結される。
【0107】
また、通路部材166は、その一端部と他端部との途中となる部位がシリンダチューブ152の外周面に対して当接した状態で溶接等によって固定されている。そして、
図8及び
図11に示されるように、通路部材166とシリンダチューブ152の外周面とによって囲まれた空間が圧力流体の流通する流路168となり、該流路168の一端部が第2ポート部材156の貫通孔162と連通し、他端部が、シリンダチューブ152の外周面に開口した第2連通孔170を通じてシリンダ室22と連通している。
【0108】
なお、この流路168は、シリンダチューブ152と通路部材166とが軸方向(矢印A、B方向)に沿って連続的に溶接されることで気密性が保持され、圧力流体が外部へと漏出することがない。
【0109】
また、通路部材166は、
図11に示されるように、流体圧シリンダ150において最も外周径の大きな円筒体24bの外周面より径方向外側へ突出することがない。すなわち、ヘッドカバー158に第1及び第2ポート部材154、156を軸方向に沿って設けることで、流体圧シリンダ150の最大外周径が変化することがなく径方向への大型化が回避される。
【0110】
さらに、この通路部材166は、シリンダチューブ152、第2ポート部材156及び円筒体24bに対して溶接で固定される場合に限定されるものではなく、例えば、接着や溶着等によって固定されるようにしてもよい。
【0111】
次に、上述した第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150の動作について説明する。なお、ここでは、
図8に示されるピストン18が最もヘッドカバー158側(矢印B方向)に変位した状態を初期位置として説明する。
【0112】
先ず、図示しない圧力流体供給源から配管及び継手44を通じて圧力流体を第1ポート部材154へと供給する。この場合、第2ポート部材156は、図示しない切換弁による切換作用下に大気開放状態としておく。これにより、圧力流体が、第1ポート部材154から第1連通孔160を通じてシリンダ室22へと供給され、該圧力流体によってピストン18がロッドカバー16側(矢印A方向)へと押圧される。そして、ピストン18の変位作用下にピストンロッド20が共に変位し、該ピストン18が第2ダンパ134へと当接することで変位終端位置となる。
【0113】
次に、ピストン18を前記とは反対方向(矢印B方向)に変位させる場合には、第2ポート部材156に圧力流体を供給すると共に、第1ポート部材154を切換弁(図示せず)の切換作用下に大気開放状態とする。
【0114】
そして、圧力流体が、第2ポート部材156のポート孔164から貫通孔162を通じて通路部材166の内部に形成された流路168へと流れ、該流路168に沿ってロッドカバー16側(矢印A方向)へと流れた後、第2連通孔170を通じてシリンダ室22の内部へと供給される。このシリンダ室22へと供給された圧力流体によってピストン18がヘッドカバー158側(矢印B方向)へと押圧される。
【0115】
このピストン18の変位作用下にピストンロッド20が共に変位し、前記ピストン18がヘッドカバー158へと当接することで初期位置へと復帰する(
図8参照)。
【0116】
以上のように、第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150では、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポート部材154、156を、シリンダチューブ152の一端部に設けられたヘッドカバー158に設けると共に、前記シリンダチューブ152の軸方向(矢印B方向)に沿って延在するように設けているため、最も外周径の大きな円筒体24bの外周面から前記第1及び第2ポート部材154、156が径方向外側へと突出することがない。また同時に、第1及び第2ポート部材154、156に接続される継手44及び配管が径方向外側へレイアウトされることがない。
【0117】
その結果、流体圧シリンダ150の径寸法を小型化しつつ、軸方向に設けられた第1及び第2ポート部材154、156へと配管を接続可能とすることで、例えば、流体圧シリンダ150の設置環境において、該流体圧シリンダ150の径方向外側にスペースの余裕がない場合でも容易に配置して用いることが可能となる。
【0118】
また、上述した流体圧シリンダ150のように、ヘッドカバー158に対して第1及び第2ポート部材154、156を別体で構成して固定する場合に限定されるものではなく、例えば、前記ヘッドカバー158を軸方向(矢印A、B方向)に厚く形成し、軸方向に沿って第1及び第2ポート部材(ポート孔)を直接形成するようにしてもよい。
【0119】
次に、第4の実施の形態に係る流体圧シリンダ200を
図12及び
図13に示す。なお、上述した第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0120】
この第4の実施の形態に係る流体圧シリンダ200は、
図12及び
図13に示されるように、ヘッドカバー202に対して第1及び第2流体ポート204、206を有したポート部材208が設けられ、該第1及び第2流体ポート204、206が、流体圧シリンダ200の軸方向(矢印A、B方向)と略直交する側方に向かってそれぞれ開口している点で、第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150と相違している。
【0121】
このポート部材208は、例えば、断面矩形状に形成されたブロック体であり、その一端部がヘッドカバー202の略中央、他端部が該ヘッドカバー202の外周側となるように径方向に延在し、平面状に形成された取付面210を前記ヘッドカバー202の端面へ当接させた状態で溶接等によって固定される。
【0122】
また、ポート部材208は、取付面210に対して略直交した一組の平坦面212a、212b(
図13参照)を有し、一方の平坦面212aには第1及び第2流体ポート204、206が開口している。この第1流体ポート204は、ポート部材208の一端部側に設けられ、且つ、ヘッドカバー202の第1連通孔160と連通した第1連通路214へ接続される。なお、第1連通路214は、ポート部材208の長手方向と直交方向(矢印A方向)へと延在し、且つ、第1連通孔160と同軸上に形成されている。
【0123】
第2流体ポート206は、第1流体ポート204から所定距離だけポート部材208の他端部側に設けられ、該他端部側に向かって延在する第2連通路216と連通している。そして、ポート部材208の他端部は、例えば、断面円弧状に形成され、該他端部を覆うように断面円弧状に形成された通路部材166が装着される。これにより、第2連通路216の端部が通路部材166によって覆われ、且つ、該通路部材166とシリンダチューブ152の外周面とによって囲まれた流路168と連通している。
【0124】
この第1及び第2流体ポート204、206には、ポート部材208の長手方向と直交した側方からそれぞれ継手44(二点鎖線形状)が接続され、配管を通じて圧力流体が供給・排出される。換言すれば、第1及び第2流体ポート204、206は、シリンダチューブ152の軸方向(矢印A、B方向)と直交方向に開口し、且つ、ヘッドカバー202の径方向に沿って並列に設けられている。
【0125】
なお、この第4の実施の形態に係る流体圧シリンダ200の動作は、上述した第3の実施の形態に係る流体圧シリンダ150の動作と略同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0126】
以上のように、第4の実施の形態に係る流体圧シリンダ200では、圧力流体の供給・排出される第1及び第2流体ポート204、206を有したポート部材208を、シリンダチューブ152の一端部に設けられたヘッドカバー202に設け、前記第1及び第2流体ポート204、206を、前記シリンダチューブ152の軸方向(矢印A、B方向)と略直交した前記ポート部材208の平坦面212aに開口させている。
【0127】
従って、流体圧シリンダ200の径方向において、第1及び第2流体ポート204、206に接続される継手44がヘッドカバー202の中央近傍に設けられることとなり、前記流体圧シリンダ200における径方向外側への突出量を抑制することができると共に、上述した流体圧シリンダ150と比較して継手44や配管の軸方向との突出量も抑制することができる。
【0128】
その結果、流体圧シリンダ200を軸方向(矢印A、B方向)に小型化しつつ、シリンダチューブ152の外周面より内側となる位置に第1及び第2流体ポート204、206を接続可能とすることで、例えば、前記流体圧シリンダ200の設置環境において、該流体圧シリンダ200の軸方向及び外周側にスペースの余裕がない場合でも容易に配置して用いることが可能となる。
【0129】
また、上述した流体圧シリンダ200のように、ヘッドカバー202に対してポート部材208を別体で構成して固定する場合に限定されるものではなく、例えば、前記ヘッドカバー202を軸方向(矢印A、B方向)に厚く形成し、軸方向に沿って第1及び第2流体ポートを有したポート部を直接形成するようにしてもよい。
【0130】
次に、上述した流体圧シリンダ10、100、150、200を軸方向と略平行に設けられた他部材E1、E2に対して取り付ける場合について
図14〜
図20を参照しながら説明する。なお、以下で説明する流体圧シリンダ220は、例えば、基本的には第1の実施の形態に係る流体圧シリンダ10と同一の構成である。
【0131】
この流体圧シリンダ220には、
図14及び
図15に示されるように、ロッドカバー16の端部にピストンロッド20の挿通可能な貫通孔222を有したアタッチメント(取付部材)224が装着される。
【0132】
このアタッチメント224は、
図14〜
図20に示されるように、例えば、金属製材料から形成された断面矩形状のブロック体からなり、その略中央部にはロッドカバー16に当接する一端面から他端面にかけて貫通孔222が貫通し、該ロッドカバー16から突出したピストンロッド20が挿通される。また、アタッチメント224には、貫通孔222を中心として角部側となる位置に締結ボルト226の挿通される4つの挿通孔228が形成され、前記挿通孔228は、他端面側(矢印A方向)に形成され締結ボルト226の頭部230が収納される収納部232を有している。
【0133】
そして、アタッチメント224は、その貫通孔222にピストンロッド20を挿通させロッドカバー16へと当接させた状態で、挿通孔228が前記ロッドカバー16の第2取付孔72と同軸上となるように配置され、前記挿通孔228に挿通された締結ボルト226を第2取付孔72に対してそれぞれ螺合させることで、前記アタッチメント224が流体圧シリンダ220の端部に固定される(
図14参照)。
【0134】
一方、アタッチメント224における一端面及び他端面と直交した一側面には、一組の第1ボルト孔234が形成され、該第1ボルト孔234は、
図18及び
図20に示されるように、略一定径で一直線状に延在し挿通孔228より外側となるように幅方向(矢印C方向)に沿って互いに所定間隔離間するように形成され、且つ、高さ方向(矢印D方向)に沿って貫通している。すなわち、第1ボルト孔234は、
図14に示されるようにアタッチメント224が流体圧シリンダ220に装着された状態において、第1及び第2流体ポート38、60と同一方向に沿って延在している。
【0135】
また、第1ボルト孔234の開口した一側面と直交するアタッチメント224の他側面には、水平方向に延在する一組の第2ボルト孔236が貫通している。この第2ボルト孔236は、
図18及び
図20に示されるように、挿通孔228より外側となるようにアタッチメント224の高さ方向(矢印D方向)に沿って互いに所定間隔離間し、第1ボルト孔234とそれぞれ交差するように形成される。
【0136】
すなわち、アタッチメント224は、
図18及び
図20に示されるように、挿通孔228の延在方向から見た際に貫通孔222及び挿通孔228が第1及び第2ボルト孔234、236に取り囲まれるように形成される。
【0137】
この第2ボルト孔236は、他側面に開口した端部から第1ボルト孔234との交差部位まで幅方向(矢印C方向)に沿って延在する挿通部238a、238bと、前記交差部位から幅方向中央側に向かって延在するねじ部240a、240bとが一組ずつ形成される。
【0138】
上述したようなアタッチメント224がロッドカバー16に対して装着された流体圧シリンダ220を下面側に設けられた他部材E1に固定する場合には、
図17及び
図18に示されるように、アタッチメント224の下面を前記他部材E1に当接させた状態で、上方から第1ボルト孔234に固定ボルト242を挿入して挿通させ、
図18に示されるように、締結部244を他部材E1のねじ孔246へと螺合させる。これにより、アタッチメント224が固定ボルト242によって他部材E1の上面に固定され、それに伴って、該アタッチメント224の装着された流体圧シリンダ220が他部材E1の上面側に固定される。
【0139】
一方、流体圧シリンダ220の使用環境や用途に応じ、
図19及び
図20に示されるような他部材E2の側方に対して前記流体圧シリンダ220を固定する場合には、第2ボルト孔236の開口したアタッチメント224の他側面を他部材E2に当接させた状態で、
図20に示されるように、該他部材E2の孔部248を挿通させた固定ボルト242の締結部244を第2ボルト孔236の挿通部238aを通じてねじ部240aへと螺合させる。これにより、固定ボルト242を介して他部材E2の側方に流体圧シリンダ220を取り付けることが可能となる。換言すれば、流体圧シリンダ220がその他側面側で他部材E2に固定される。
【0140】
以上のように、流体圧シリンダ220のロッドカバー16に対して第2取付孔72を利用してアタッチメント224を装着し、前記アタッチメント224にロッドカバー16の軸方向(矢印A、B方向)と直交し異なる方向へ貫通した第1及び第2ボルト孔234、236を設け、前記第1及び第2ボルト孔234、236に対して選択的に固定ボルト242を挿通させ、アタッチメント224を当接させた他部材E1、E2へと螺合させている。そのため、径方向及び軸方向に小型化可能な流体圧シリンダ220を、例えば、使用環境等に応じて様々な方向で固定することが可能となる。
【0141】
また、アタッチメント224は締結ボルト226を介して着脱自在に設けられているため、形状の異なるボルト孔を有した別のアタッチメントに交換することも可能である。
【0142】
さらに、ロッドカバー16に設けられた第2取付孔72を利用してアタッチメント224を装着することができるため、流体圧シリンダ220に対してアタッチメント224を取り付けるための加工や別部材を設ける必要がなく好適である。
【0143】
さらにまた、アタッチメント224は、
図16に示されるように、断面円形状でシリンダチューブ12の端部に設けられた円筒体24bの外周径と同一となる幅寸法を有しているため、前記アタッチメント224を他部材E1、E2に固定した際に前記シリンダチューブ12が前記他部材E1、E2に接触してしまうことがない。
【0144】
またさらに、アタッチメント224は上述したようにロッドカバー16に対して装着される場合に限定されるものではなく、例えば、第1取付孔52を利用してヘッドカバー14の端部に装着するようにしてもよい。
【0145】
また、アタッチメント224は、上述したような断面矩形状に形成されるものではなく、例えば、断面多角形状としさらに多くのボルト孔を設けることでより多くの方向に取り付けることが可能となる。
【0146】
なお、本発明に係る流体圧シリンダは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。