(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-152625(P2017-152625A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】基板収容ケース
(51)【国際特許分類】
H05K 5/00 20060101AFI20170804BHJP
G01C 9/00 20060101ALI20170804BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20170804BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20170804BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
H05K5/00 A
G01C9/00 Z
H01R13/639 Z
H01R13/52 301H
H05K7/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-35746(P2016-35746)
(22)【出願日】2016年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伯明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 啓太
【テーマコード(参考)】
4E360
5E021
5E087
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB11
4E360AB20
4E360CA01
4E360EA03
4E360EA24
4E360EA27
4E360EE03
4E360FA17
4E360GA29
4E360GA52
4E360GB97
5E021FA04
5E021FA09
5E021FB07
5E021FC36
5E021HC07
5E087EE14
5E087FF12
5E087HH02
5E087LL04
5E087RR04
5E087RR12
5E348AA07
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】幅方向の寸法を小さくすることができ、取付位置の制約を低減させることができる基板収容ケースを提供する。
【解決手段】傾斜センサ2が取り付けられた基板3を収容し、コネクタCが差し込まれて傾斜センサ2と外部とを電気的に接続可能とされた基板収容ケース1において、基板3を収容する収容部1aと、コネクタCを差し込み可能な差し込み穴1bとが形成され、差し込み穴1bに差し込まれたコネクタCが収容部1aに収容された基板3に対して当該基板3の厚み方向にオーバーラップするよう構成されたものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の素子が取り付けられた基板を収容し、コネクタが差し込まれて前記素子と外部とを電気的に接続可能とされた基板収容ケースにおいて、
前記基板を収容する収容部と、
前記コネクタを差し込み可能な差し込み穴と、
が形成され、前記差し込み穴に差し込まれた前記コネクタが前記収容部に収容された基板に対して当該基板の厚み方向にオーバーラップすることを特徴とする基板収容ケース。
【請求項2】
前記収容部は、前記差し込み穴と画成された凹部から成るとともに、当該収容部に収容された基板から差し込み穴まで前記コネクタと接続可能な接続端子が延設されたことを特徴とする請求項1記載の基板収容ケース。
【請求項3】
前記コネクタは、前記差し込み穴に差し込み可能な本体部と、該本体部に形成されて前記素子との接続部を防水する防水手段とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板収容ケース。
【請求項4】
前記コネクタは、係止爪が形成されるとともに、前記差し込み穴における前記収容部と反対側の位置には、前記係止爪と係止して前記コネクタを固定するための係止穴が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の基板収容ケース。
【請求項5】
車両や船舶等の搭乗手段の所定位置に取り付け可能とされるとともに、前記素子は、当該搭乗手段の傾斜を検出するための傾斜センサから成ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の基板収容ケース。
【請求項6】
前記搭乗手段の所定位置に形成された穴部に嵌合可能とされたボス部が形成されるとともに、当該ボス部は、前記基板に取り付けられた素子とオーバーラップした位置に形成されたことを特徴とする請求項5記載の基板収容ケース。
【請求項7】
前記搭乗手段の所定位置に取り付けるための一対の取付穴が形成されるとともに、これら取付穴を結ぶ直線の中間位置と前記素子の位置とを合致させたことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の基板収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の素子が取り付けられた基板を収容し、コネクタが差し込まれて素子と外部とを電気的に接続可能とされた基板収容ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、二輪車の傾斜を検出するための傾斜センサは、基板に取り付けられた素子(電子デバイス)から成り、当該素子が取り付けられた基板が基板収容ケースに収容されて二輪車の所定位置に取り付けられている。そして、基板収容ケースにコネクタを差し込み、傾斜センサ(素子)と外部(二輪車に搭載された他の電装部品)とを電気的に接続することにより、傾斜センサで検出された電気信号を外部に出力可能とされていた。
【0003】
基板収容ケースは、通常、傾斜センサ等が取り付けられた基板を収容するとともに、コネクタを差し込むためのカプラ(防水カプラ等)が側方に突出して形成されている。しかして、カプラにコネクタを差し込むことにより、基板上の傾斜センサとコネクタとが電気的に接続され、外部に電気信号を出力し得るようになっている。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の基板収容ケースは、カプラがケース側方に突出して形成されているため、当該カプラの突出寸法だけ幅方向に大型化してしまい、例えば車両に取り付ける位置が限られてしまう等のレイアウト上の制約が生じてしまう虞があった。特に、二輪車等の車両のフレームに傾斜センサ等を取り付ける場合、基板収容ケースの厚み方向の寸法に比べて幅方向の寸法をより小さくしたいというニーズが高いので、幅方向が増大してしまうと、取付位置に大きな制約が課せられてしまうという不具合がある。なお、このような課題は、傾斜センサを収容するものに限られず、種々の素子が取り付けられた基板を収容する基板収容ケースにも同様に生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、幅方向の寸法を小さくすることができ、取付位置の制約を低減させることができる基板収容ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、任意の素子が取り付けられた基板を収容し、コネクタが差し込まれて前記素子と外部とを電気的に接続可能とされた基板収容ケースにおいて、前記基板を収容する収容部と、前記コネクタを差し込み可能な差し込み穴とが形成され、前記差し込み穴に差し込まれた前記コネクタが前記収容部に収容された基板に対して当該基板の厚み方向にオーバーラップすることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の基板収容ケースにおいて、前記収容部は、前記差し込み穴と画成された凹部から成るとともに、当該収容部に収容された基板から差し込み穴まで前記コネクタと接続可能な接続端子が延設されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の基板収容ケースにおいて、前記コネクタは、前記差し込み穴に差し込み可能な本体部と、該本体部に形成されて前記素子との接続部を防水する防水手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の基板収容ケースにおいて、前記コネクタは、係止爪が形成されるとともに、前記差し込み穴における前記収容部と反対側の位置には、前記係止爪と係止して前記コネクタを固定するための係止穴が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の基板収容ケースにおいて、車両や船舶等の搭乗手段の所定位置に取り付け可能とされるとともに、前記素子は、当該搭乗手段の傾斜を検出するための傾斜センサから成ることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の基板収容ケースにおいて、前記搭乗手段の所定位置に形成された穴部に嵌合可能とされたボス部が形成されるとともに、当該ボス部は、前記基板に取り付けられた素子とオーバーラップした位置に形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の基板収容ケースにおいて、前記搭乗手段の所定位置に取り付けるための一対の取付穴が形成されるとともに、これら取付穴を結ぶ直線の中間位置と前記素子の位置とを合致させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、差し込み穴に差し込まれたコネクタが収容部に収容された基板に対して当該基板の厚み方向にオーバーラップするので、基板収容ケースの幅方向の寸法を小さくすることができ、素子の取付位置の制約を低減させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、収容部は、差し込み穴と画成された凹部から成るとともに、当該収容部に収容された基板から差し込み穴までコネクタと接続可能な接続端子が延設されたので、基板が収容された収容部の防水対策を確実に施すことができるとともに、コネクタの差し込み時の基板上の素子との電気的接続を円滑に行わせることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、コネクタは、差し込み穴に差し込み可能な本体部と、該本体部に形成されて素子との接続部を防水する防水手段とを有するので、コネクタが差し込み穴に差し込まれた状態において、コネクタの素子との接続部の防水を確実に行わせることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、コネクタは、係止爪が形成されるとともに、差し込み穴における収容部と反対側の位置には、係止爪と係止してコネクタを固定するための係止穴が形成されたので、コネクタを確実に差し込み穴に固定させることができるとともに、係止穴を容易に形成することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、車両や船舶等の搭乗手段の所定位置に取り付け可能とされるとともに、素子は、当該搭乗手段の傾斜を検出するための傾斜センサから成るので、搭乗手段の傾斜を検出可能としつつ基板収容ケースの幅方向の寸法を小さくすることができ、傾斜センサの取付位置の制約を低減させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、搭乗手段の所定位置に形成された穴部に嵌合可能とされたボス部が形成されるとともに、当該ボス部は、基板に取り付けられた素子とオーバーラップした位置に形成されたので、基板収容ケースの搭乗手段への取付時、素子とボス部との位置関係を作業者に把握させることができ、基板収容ケースの搭乗手段への取り付けをより容易且つ精度よく行わせることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、搭乗手段の所定位置に取り付けるための一対の取付穴が形成されるとともに、これら取付穴を結ぶ直線の中間位置と素子の位置とを合致させたので、基板収容ケースの搭乗手段への取付時、搭乗手段に対する基板収容ケースの取付位置と素子との位置関係を作業者に把握させることができ、基板収容ケースの搭乗手段への取り付けをより容易且つ精度よく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板収容ケースを示す平面図及び正面図
【
図6】同基板収容ケースに差し込まれるコネクタを示す正面図及び側面図
【
図7】同基板収容ケースが適用される傾斜角度検出装置を示すブロック図
【
図8】同傾斜角度検出装置における傾斜センサを説明するための模式図
【
図9】同基板収容ケースが適用される二輪車を示す模式図
【
図10】本発明の他の実施形態に係る基板収容ケースを示す3面図
【
図13】本発明の更に他の実施形態に係る基板収容ケースを示す3面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態に係る基板収容ケースは、任意の素子(電子デバイス)が取り付けられた基板を収容し、コネクタが差し込まれて素子と外部とを電気的に接続可能とされたもので、二輪車の所定位置(例えば
図9に示すように、車両の中心位置近傍におけるフレームが好ましい)に取り付けられるとともに、
図1〜5に示すように、基板3を収容する収容部1aと、コネクタC(
図6参照)を差し込み可能な差し込み穴1bとが形成されたブロック状の樹脂製部品から成る。
【0022】
収容部1aは、差し込み穴1bと画成(区画)された凹部から成るとともに、基板収容ケース1の上方に開口して基板3を収容可能とされている。かかる基板3は、表面に所定の電気回路が印刷されたプリント基板から成り、略中央位置に傾斜センサ2(素子)が取り付けられるとともに、当該傾斜センサ2を外部と電気的に接続するための接続端子3aが延設されている。
【0023】
具体的には、傾斜センサ2が取り付けられた基板3を成形型(不図示)内に位置決めし、所定の樹脂材を流し込むことにより、収容部1aや差し込み穴1b等を形成しつつ収容部1aに収容された基板3から差し込み穴1bに接続端子3aが延設するようインサート成形する。なお、収容部1aには、基板3が収容された状態で所定の樹脂を流し込んで冷却固化させることにより防水するのが好ましい。
【0024】
コネクタCは、
図6に示すように、接続端子3aと対応した位置に接続穴C1が形成された本体部Caを有するとともに、かかる本体部Caから配線hが延設されている。しかして、接続端子3aを接続穴C1に挿通させることにより、配線hを介して傾斜センサ2と外部とが電気的に接続されるよう構成されている。また、コネクタCの本体部Caには、後述する係止穴1cと係止可能な係止爪C2が形成されるとともに、傾斜センサ2との接続部(すなわち、接続端子3aとの接続部)を防水するための防水手段Dが取り付けられている。
【0025】
差し込み穴1bは、基板収容ケース1の側方に開口した凹部から成り、コネクタCを摺動させて差し込み可能とされている。かかる差し込み穴1bにおける収容部1aと反対側の位置(
図5中下側)には、係止爪C2と係止してコネクタCを固定するための係止穴1cが形成されている。しかして、接続穴C1に接続端子3aが挿通して接続されるまでコネクタCを差し込み穴1bに差し込むと、係止爪C2が係止穴1cに係止してコネクタCが固定されるとともに、防水手段Dによって防水が図られるようになっている。
【0026】
しかるに、本実施形態に係る基板3に取り付けられた傾斜センサ2は、
図7に示すように、変換手段4及び判定手段5を有する制御マイコンと電気的に接続されている。例えば、傾斜センサ2は、二輪車の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を継続的(リアルタイム)に出力し得るものであり、
図8に示すような所謂ガスレートセンサから成るものとされている。
【0027】
かかるガスレートセンサは、二輪車に固定されるセンサ本体Kと、該センサ本体Kの略中央に形成された熱源としてのヒーターバーHと、センサ本体Kの縁部に形成されて当該部位の温度を検出し得る検出部B1及びB2とから主に構成されている。なお、同図は、傾斜センサ2のX軸方向を示しており、Y軸方向にもX軸方向と同様、温度を検出し得る左右一対の検出部が形成されている。
【0028】
そして、ヒーターバーHにてセンサ本体Kの略中央部分の空気を加熱し、高温空気層Aを生じさせるとともに、検出部B1及びB2(Y軸方向の検出部も同様)にて温度を常時検出しておく。然るに、車両が倒立状態であってセンサ本体Kが同図の状態(水平状態)である場合、高温空気層Aは当該センサ本体Kの略中央に留まっているため、検出部B1及びB2で検出される温度は略同等であり、かかる状態における出力値を0とする。
【0029】
二輪車の傾斜に伴いセンサ本体Kがa方向に傾くと、慣性の法則に基づいて高温空気層Aが同図中右側に変位(移動)し、傾斜角度に応じて検出部B2側で検出される温度が検出部B1側で検出される温度よりも高くなるため、かかる温度差に応じた大きさの電圧を出力するように構成されている。反対に、二輪車の傾斜に伴いセンサ本体Kがb方向に傾いた場合も同様に、傾斜角度に応じて検出部B1側で検出される温度が検出部B2側で検出される温度よりも高くなるため、かかる温度差に応じた大きさの電圧(a方向に傾いた場合の電圧をプラス値とした場合、マイナス値となる)を出力する。なお、Y軸方向についても同様の出力を得る。
【0030】
すなわち、本傾斜センサ2は、二輪車の傾斜に伴って傾くことにより高温空気層Aが変位し、該変位に基づいた大きさの電圧を検出値として継続的(リアルタイム)に出力し、車両の傾斜を検出するセンサから構成されているため、車両の傾斜に伴ってウェイト等の固体を振れさせ、その固体の振れを検出するものに比べ、振動に対する反応が鈍く、車両のように駆動中常時振動が付与されるものに好適であり、車両転倒の判定精度を向上させることができる。
【0031】
変換手段4は、傾斜センサ2と電気的に接続されるとともに、当該傾斜センサ2から出力された検出値を演算し、温度変化によって変動しない値に変換するためのものであり、例えば、傾斜センサ2で検出されるX軸方向の検出値をY軸方向の検出値で除算した変換値と、当該傾斜センサ2で検出されるY軸方向の検出値をX軸方向の検出値で除算した変換値とを得るためのものである。
【0032】
判定手段5は、変換手段4と電気的に接続されるとともに、傾斜センサ2から出力された検出値を演算することにより得られた変換値に基づき、車両が転倒したか否かを判定するものである。かかる判定手段5は、車両が具備するECU6(エンジン制御装置)と電気的に接続されており、車両が転倒したと判定された場合、その旨の信号をECU6に送信して車両のエンジンを停止させ得るようになっている。
【0033】
さらに、本実施形態に適用される二輪車の所定位置(基板収容ケース1の取付位置)には、フレーム等に形成された穴部(不図示)を有するとともに、基板収容ケース1には、車両の取付位置に形成された穴部に嵌合可能なボス部1dが形成されている。かかるボス部1dは、基板3に取り付けられた傾斜センサ2とオーバーラップした位置(傾斜センサ2を基板収容ケース1の底面側に投影させた位置)に一体形成された凸部から成る。これにより、基板収容ケース1の二輪車(搭乗手段)への取付時、傾斜センサ2(素子)とボス部1dとの位置関係を作業者に把握させることができ、基板収容ケース1の二輪車(搭乗手段)への取り付けをより容易且つ精度よく行わせることができる。
【0034】
またさらに、本実施形態においては、基板収容ケース1を二輪車(搭乗手段)の所定位置に取り付けるための一対の取付穴1eが形成されるとともに、これら取付穴1eを結ぶ直線の中間位置(
図1、2において、取付穴1eの中心位置Pa、Pbを結ぶ直線Lの中間位置P)と傾斜センサ2(素子)の位置とを合致させている。なお、取付穴1eは、例えばボルト等の締結手段を挿通させ得る穴であり、本実施形態においては、左右一対の取付穴1eが形成されている。これにより、基板収容ケース1の二輪車(搭乗手段)への取付時、二輪車(搭乗手段)に対する基板収容ケース1の取付位置と傾斜センサ2(素子)との位置関係を作業者に把握させることができ、基板収容ケース1の二輪車(搭乗手段)への取り付けをより容易且つ精度よく行わせることができる。
【0035】
ここで、本実施形態に係る基板収容ケース1は、
図5に示すように、差し込み穴1bに差し込まれたコネクタCが収容部1aに収容された基板3に対して当該基板3の厚み方向(同図中、下方)にオーバーラップするよう構成されている。すなわち、差し込み穴1bに差し込まれたコネクタCは、基板3を基板収容ケース1の底面側に投影させた範囲Mに位置する(上下に重なる方向にオーバーラップする)よう設定されているのである。
【0036】
上記実施形態によれば、差し込み穴1bに差し込まれたコネクタCが収容部1aに収容された基板3に対して当該基板3の厚み方向にオーバーラップするので、コネクタCを差し込むカプラが側方に延設されたものに比べ、基板収容ケース1の幅方向(
図1中上下左右方向)の寸法を小さくすることができ、傾斜センサ2(素子)の取付位置の制約を低減させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る収容部1aは、差し込み穴1bと画成された凹部から成るとともに、当該収容部1aに収容された基板3から差し込み穴1bまでコネクタCと接続可能な接続端子3aが延設されたので、例えば所定の樹脂を充填させる等、基板3が収容された収容部1aの防水対策を確実に施すことができるとともに、コネクタCの差し込み時の基板3上の傾斜センサ2(素子)との電気的接続を円滑に行わせることができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係るコネクタCは、差し込み穴1bに差し込み可能な本体部Caと、該本体部Caに形成されて傾斜センサ2(素子)との接続部を防水する防水手段Dとを有するので、コネクタCが差し込み穴1bに差し込まれた状態において、コネクタCの傾斜センサ2(素子)との接続部の防水を確実に行わせることができる。またさらに、本実施形態に係るコネクタCは、係止爪C2が形成されるとともに、差し込み穴1bにおける収容部1aと反対側の位置には、係止爪C2と係止してコネクタCを固定するための係止穴1cが形成されたので、コネクタCを確実に差し込み穴1bに固定させることができるとともに、成形型等にて係止穴1cを容易に形成することができる。
【0039】
加えて、本実施形態においては、二輪車(車両や船舶等の他の搭乗手段も同様)の所定位置に取り付け可能とされるとともに、素子は、当該二輪車(搭乗手段)の傾斜を検出するための傾斜センサ2から成るので、車両(搭乗手段)の傾斜を検出可能としつつ基板収容ケース1の幅方向の寸法を小さくすることができ、傾斜センサ2の取付位置の制約を低減させることができる。
【0040】
以上、本実施形態に係る基板収容ケース1について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図10〜12に示すように、基板3を収容する収容部1a’と、コネクタCを差し込み可能な差し込み穴1b’とを有するとともに、差し込み穴1b’に差し込まれたコネクタCが収容部1a’に収容された基板3に対して当該基板3の厚み方向(
図12の下方)にオーバーラップするよう構成した基板収容ケース1’であってもよい。かかる基板収容ケース1’は、ボルト等を挿通するための取付穴1e’が1つ形成されており、二輪車等の搭乗手段に対して片持ちで支持されるようになっている。
【0041】
また、
図13〜15に示すように、基板3を収容する収容部1a”と、コネクタCを差し込み可能な差し込み穴1b”とを有するとともに、差し込み穴1b”に差し込まれたコネクタCが収容部1a”に収容された基板3に対して当該基板3の厚み方向(
図15の下方)にオーバーラップするよう構成した基板収容ケース1”であってもよい。かかる基板収容ケース1”は、ボルト等を挿通するための取付穴は形成されておらず、二輪車等の搭乗手段に対してバンド等で巻き付けられて支持されるようになっている。
【0042】
またさらに、本実施形態においては、基板3に傾斜センサ2を取り付けて構成されているが、傾斜センサ2に代えて他の素子(傾斜以外を検出するためのセンサやアンテナ等の種々電子デバイス)を基板3に取り付けたものとしてもよい。なお、本実施形態においては、二輪車に取り付けられる基板収容ケースとされているが、自動車、バギー及びスノーモービル等の他の車両や船舶等、人が搭乗する種々乗り物(搭乗手段)に取り付けるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
基板を収容する収容部と、コネクタを差し込み可能な差し込み穴とが形成され、差し込み穴に差し込まれたコネクタが収容部に収容された基板に対して基板の厚み方向にオーバーラップする基板収容ケースであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 基板収容ケース
1a 収容部
1b 差し込み穴
1c 係止穴
1d ボス部
1e 取付穴
2 傾斜センサ(素子)
3 基板
3a 接続端子
4 変換手段
5 判定手段
6 ECU
C コネクタ
Ca 本体部
C1 接続穴
C2 係止爪
D 防水手段