【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セルと、フレームとを具備する。
上記蓄電セルは、正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブを備える。
上記フレームは、上記蓄電セルを収容する収容空間を形成し、上記第2の金属材料からなるバスバーを備える。
上記正極タブと上記バスバーは溶接によって互いに接合され、上記正極タブと上記バスバーの界面に、上記第1の金属材料と上記第2の金属材料が混合した材料混合部が形成されている。
【0008】
この構成によれば、異なる金属材料からなる正極タブとバスバーの界面に材料混合部によるアンカー効果が発生し、正極タブとバスバーの界面に強固な結合が形成される。一般に異なる金属材料を溶接すると、異なる金属材料が化合した金属化合物が形成され、接合強度が不足するが、上記構成によれば材料混合部によって正極タブとバスバーの接合強度が確保されている。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セルと、フレームとを具備する。
上記蓄電セルは、正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブを備える。
上記フレームは、上記蓄電セルを収容する収容空間を形成し、上記第1の金属材料からなるバスバーを備える。
上記負極タブと上記バスバーは溶接によって互いに接合され、上記負極タブと上記バスバーの界面に、上記第1の金属材料と上記第2の金属材料が混合した材料混合部が形成されている。
【0010】
この構成によれば、異なる金属材料からなる負極タブとバスバーの界面に材料混合部によるアンカー効果が発生し、負極タブとバスバーの界面に強固な結合が形成される。
【0011】
上記第1の金属材料はアルミニウムであり、上記第2の金属材料は銅であってもよい。
【0012】
リチウムイオンキャパシタやリチウムイオン二次電池は、正極タブと負極タブを同じ金属材料とすると、電気化学的作用により一方が溶解するため、正極タブと負極タブは異なる金属材料からなる。具体的には正極タブはアルミニウムを利用することができ、負極タブは銅を利用することができる。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールの製造方法は、
正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブとを備える蓄電セルを、上記第2の金属材料からなるバスバーを備えるフレームに収容して上記正極タブを上記バスバーに当接させ、
上記正極タブに、中心を一方向に移動させながら中心とは逆向きに移動する経路を含む走査経路で高エネルギー線を照射し、上記正極タブを上記バスバーに溶接する。
【0014】
この製造方法によれば、正極タブとバスバーが、同一又は近接する領域において短時間で複数回溶接されるため、正極タブとバスバーの界面に、第1の金属材料と第2の金属材料が混合した材料混合部を形成することが可能となる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールの製造方法は、
正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブとを備える蓄電セルを、上記第2の金属材料からなるバスバーを備えるフレームに収容して上記正極タブを上記バスバーに当接させ、
上記正極タブに、弧を描きながら弧の中心を一方向に移動させる走査経路で高エネルギー線を照射し、上記正極タブを上記バスバーに溶接する。
【0016】
この製造方法によれば、正極タブとバスバーの溶接面積が増加すると共に同一又は近接する領域が短時間で複数回溶接されるため、正極タブとバスバーの界面に、第1の金属材料と第2の金属材料が混合した材料混合部を形成することが可能となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールの製造方法は、
正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブとを備える蓄電セルを、上記第1の金属材料からなるバスバーを備えるフレームに収容して上記負極タブを上記バスバーに当接させ、
上記負極タブに、中心を一方向に移動させながら中心とは逆向きに移動する経路を含む走査経路で高エネルギー線を照射し、上記負極タブを上記バスバーに溶接する。
【0018】
この製造方法によれば、負極タブとバスバーが、同一又は近接する領域において短時間で複数回溶接されるため、負極タブとバスバーの界面に、第1の金属材料と第2の金属材料が混合した材料混合部を形成することが可能となる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールの製造方法は、
正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に上記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、上記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、上記負極に電気的に接続された負極タブとを備える蓄電セルを、上記第1の金属材料からなるバスバーを備えるフレームに収容して上記負極タブを上記バスバーに当接させ、
上記負極タブに、弧を描きながら弧の中心を一方向に移動させる走査経路で高エネルギー線を照射し、上記負極タブを上記バスバーに溶接する。
【0020】
この製造方法によれば、負極タブとバスバーの溶接面積が増加すると共に同一又は近接する領域が短時間で複数回溶接されるため、負極タブとバスバーの界面に、第1の金属材料と第2の金属材料が混合した材料混合部を形成することが可能となる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る金属接合体は、第1の部材と第2の部材を具備する。
上記第1の部材は、第1の金属材料からなる。
上記第2の部材は、上記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料からなる。
上記第1の部材と上記第2の部材は溶接によって互いに接合され、上記第1の部材と上記第2の部材の界面において、上記第2の金属材料が上記第1の金属材料中に不規則に入り込んでいる。
【0022】
この構成によれば、異なる金属材料からなる第1の部材と第2の部材の間で、第2の金属材料が第1の金属材料中に不規則に入り込んでいるため、アンカー効果が発生し、第1の部材と第2の部材の界面に強固な結合が形成され、第1の部材と第2の部材の接合強度が確保されている。
【0023】
上記第1の金属材料は上記第2の金属材料より融点が低い金属材料であってもよい。
【0024】
高エネルギー線による溶接によって上記構造を形成することが可能であるが、第1の金属材料の融点が第2の金属材料の融点より低いと、第1の部材に形成される融解池に第2の金属材料が入り込みやすく、上記構造を形成しやすいため好適である。
【0025】
上記第1の金属材料はアルミニウムであり、上記第2の金属材料は銅であってもよい。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る金属接合体の製造方法は、
第1の金属材料からなる第1の部材を上記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料に当接させ、
上記第1の部材に、中心を一方向に移動させながら中心とは逆向きに移動する経路を含む走査経路で高エネルギー線を照射し、上記第1の部材を上記第2の部材に溶接する。
【0027】
第1の部材に、中心を一方向に移動させながら中心とは逆向きに移動する経路を含む走査経路で高エネルギー線を照射することにより、第1の部材と第2の部材が、同一又は近接する領域において短時間で複数回溶接されるため、第1の金属材料の融解池が撹拌され、軟化又は融解した第2の金属材料の表層部が上記第1の金属材料中に不規則に入り込んだ構造が形成される。
【0028】
上記第1の部材を上記第2の部材に溶接する工程は、上記第1の部材に、弧を描きながら弧の中心を一方向に移動させる走査経路で高エネルギー線を照射してもよい。
【0029】
この製造方法によれば、第1の部材と第2の部材の溶接面積が増加すると共に同一又は近接する領域が短時間で複数回溶接されるため、第1の金属材料の融解池が撹拌され、軟化又は融解した第2の金属材料の表層部が上記第1の金属材料中に不規則に入り込んだ構造が形成される。
【0030】
上記第1の金属材料は上記第2の金属材料より融点が低い金属材料であってもよい。
【0031】
第1の金属材料の融点が第2の金属材料の融点より低いと、第1の部材に高エネルギー線を照射した際に第1の部材に形成される融解池に第2の金属材料が入り込みやすく、上記構造を形成しやすいため好適である。
【0032】
上記高エネルギー線はファイバーレーザーの照射光であってもよい。
【0033】
ファイバーレーザーは連的な軌跡を描くことが可能であり、中心を一方向に移動させながら中心とは逆向きに移動する経路を含む走査経路でレーザーを走査することが可能である。
【0034】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールの製造方法は、正極及び負極を有する蓄電素子と、電解質と共に前記蓄電素子を封止する外装フィルムと、第1の金属材料からなり、前記正極に電気的に接続された正極タブと、第2の金属材料からなり、前記負極に電気的に接続された負極タブとを備える蓄電セルを、前記第2の金属材料からなるバスバーを備えるフレームに収容して前記正極タブを前記バスバーに当接させる。
前記正極タブに高エネルギー線を照射して前記正極タブに前記第1の金属材料が融解した融解池を形成し、かつ前記バスバーの前記融解池に当接する箇所において前記第2の金属材料を軟化させる。
前記正極タブに高エネルギー線を照射して前記融解池を撹拌し、軟化した前記第2の金属材料を前記融解池に混合させる。
【0035】
この製造方法によれば、バスバーを構成する第2の金属材料が正極タブを構成する第1の金属材料中に不規則に入り込み、アンカー効果によって正極タブとバスバーとの間に強固な結合が形成されるため、正極タブとバスバーの接合強度を確保することができる。
【0036】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る金属接合体の製造方法は、第1の金属材料からなる第1の部材を前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料に当接させる。
前記第1の部材に高エネルギー線を照射して前記第1の部材に前記第1の金属材料が融解した融解池を形成し、かつ前記第2の部材の前記融解池に当接する箇所において前記第2の金属材料を軟化させる。
前記第1の部材に高エネルギー線を照射して前記融解池を撹拌し、軟化した前記第2の金属材料を前記融解池に混合させる。
【0037】
この製造方法によれば、第2の部材を構成する第2の金属材料が第1の部材を構成する第1の金属材料中に不規則に入り込み、アンカー効果によって第1の部材と第2の部材との間に強固な結合が形成されるため、第1の部材と第2の部材の接合強度を確保することができる。