【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1に係るデュレプレクサの回路図である。
図1に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ10が電気的に接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間の受信フィルタ12が電気的に接続されている。共通端子Antとグランドとの間にインダクタL1が電気的に接続されている。受信フィルタ12の通過帯域は送信フィルタ10の通信帯域より高い。送信フィルタ10は送信端子Txに入力した高周波信号のうち送信帯域の信号を共通端子Antに出力し、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ12は共通端子Antに入力した高周波信号のうち受信帯域の信号を受信端子Rxに出力し、他の周波数の信号を抑圧する。インダクタL1は整合回路として機能する。
【0021】
送信フィルタ10は、ラダー型フィルタであり、直列共振器S1からS4、並列共振器P1からP3、並びにインダクタL2およびL3を有している。直列共振器S1からS4は共通端子Antと送信端子Txとの間に直列に接続されている。並列共振器P1からP3は共通端子Antと送信端子Txとの間に並列に接続されている。インダクタL2は並列共振器P1からP3とグランドとの間に共通に接続されている。インダクタL3は送信端子Txとグランドとの間に接続されている。インダクタL2は受信帯域に減衰極を形成するためのインダクタである。インダクタL3は、送信端子Txのインピーダンス整合のためのインダクタである。
【0022】
受信フィルタ12は、ラダー型フィルタであり、直列共振器S5からS8、並列共振器P4からP6、並びにインダクタL4からL7を有している。直列共振器S5からS8は共通端子Antと受信端子Rxとの間に直列に接続されている。並列共振器P4からP6は共通端子Antと受信端子Rxとの間に並列に接続されている。インダクタL4からL6は並列共振器P4からP6とグランドとの間に個々に接続されている。インダクタL7は受信端子Rxとグランドとの間に接続されている。インダクタL4からL6は送信帯域に減衰極を形成するためのインダクタである。インダクタL7は、受信端子Rxのインピーダンス整合のためのインダクタである。
【0023】
図2は、実施例1に係るデュレクサの平面模式図である。
図2に示すように、直列共振器S1からS4および並列共振器P4からP6は、圧電薄膜共振器であり、チップ60に形成されている。チップ60に形成された配線61は直列共振器S1からS4および並列共振器P4からP6に接続されている。直列共振器S5からS8および並列共振器P1からP3は、弾性表面波共振器であり、チップ62に形成されている。チップ62に形成された配線63は直列共振器S5からS8および並列共振器P1からP3に接続されている。
【0024】
図3は、実施例1に係るデュプレクサの断面模式図である。
図3に示すように、基板70は積層された複数の絶縁層70aから70cを有している。絶縁層70aから70cの上面および下面には金属層72が形成されている。絶縁層70aの下面には、金属層72によりフットパッド67が形成されている。絶縁層70cの上面には、金属層72により配線66が形成されている。チップ60および62はバンプ68を介し基板70にフリップチップ実装されている。絶縁層70aから70cは、例えば樹脂層またはセラミック層等である。金属層72は、例えば銅層または金層である。バンプ68は、例えばはんだバンプまたは金バンプである。
【0025】
図2および
図3のように、直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP3は、配線61、バンプ68、配線66に含まれる配線66a、バンプ68および配線63を介し電気的に接続されている。並列共振器P4からP6と直列共振器S5からS8は、配線61、バンプ68、配線66に含まれる配線66b、バンプ68および配線63を介し電気的に接続されている。インダクタL1からL7は、金属層72により形成されている。共通端子Ant、送信端子Txおよび受信端子Rxは、フットパッド67に対応する。
【0026】
直列共振器S1からS4および並列共振器P4からP6である圧電薄膜共振器について説明する。
図4(a)は、実施例1における圧電薄膜共振器の例を示す平面図、
図4(b)および
図4(c)は、それぞれ直列共振器および並列共振器における
図4(a)のA−A断面図である。この圧電薄膜共振器はバルク波(BAW:Bulk Acoustic Wave)を用いたFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)である。
【0027】
図4(a)および
図4(b)を参照し、直列共振器の構造について説明する。基板30上に、下部電極32が設けられている。基板30の平坦主面と下部電極32との間にドーム状の膨らみを有する空隙34が形成されている。下部電極32上に、圧電膜36が設けられている。圧電膜36は、下部圧電膜36aおよび上部圧電膜36bを備えている。下部圧電膜36aと上部圧電膜36bとの間に温度補償膜38が設けられている。
【0028】
圧電膜36を挟み下部電極32と対向する領域(共振領域52)を有するように圧電膜36上に上部電極40が設けられている。共振領域52は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。上部電極40は下層40aおよび上層40bを含んでいる。上部電極40上には周波数調整膜42が形成されている。共振領域52内の積層膜50は、下部電極32、圧電膜36、温度補償膜38、上部電極40および周波数調整膜42を含む。周波数調整膜42はパッシベーション膜として機能してもよい。
【0029】
図4(a)のように、下部電極32には犠牲層をエッチングするための導入路56が形成されている。犠牲層は空隙34を形成するための層である。導入路56の先端付近は圧電膜36で覆われておらず、下部電極32は導入路56の先端に孔部54を有する。
【0030】
図4(c)を参照し、並列共振器の構造について説明する。並列共振器は直列共振器と比較し、上部電極40の下層40aと上層40bとの間に、質量負荷膜44が設けられている。よって、積層膜50は直列共振器の積層膜に加え、共振領域52内の全面に形成された質量負荷膜44を含む。その他の構成は直列共振器の
図4(b)と同じであり説明を省略する。
【0031】
直列共振器と並列共振器との共振周波数の差は、質量負荷膜44の膜厚を用い調整する。直列共振器と並列共振器との両方の共振周波数の調整は、周波数調整膜42の膜厚を調整することにより行なう。
【0032】
基板30として、例えばSi(シリコン)基板を用いる。基板30として、Si基板以外に、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極32として、例えば基板30側がCr(クロム)膜、圧電膜36側がRu(ルテニウム)膜の積層膜を用いる。上部電極40の下層40aおよび上層40bとして、例えばそれぞれRu膜およびCr膜を用いる。下部電極32および上部電極40として、RuおよびCr以外にもAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
【0033】
圧電膜36として、例えば(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)膜を用いる。圧電膜36として、窒化アルミニウム以外にZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PbTiO
3(チタン酸鉛)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜36は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2価の元素と4価の元素との2つの元素、または2価と5価との2つの元素を用いることにより、圧電膜36の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2価の元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)またはZn(亜鉛)である。4価の元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5価の元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜36は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
【0034】
周波数調整膜42として、例えば酸化シリコン(SiO
2)膜を用いる。酸化シリコン膜以外に窒化シリコン膜または窒化アルミニウム等を用いることができる。質量負荷膜44として、例えばTi膜を用いる。質量負荷膜44として、Ti以外に、Ru、Cr、Al、Cu、Mo、W、Ta、Pt、RhもしくはIr等の単層膜を用いることができる。質量負荷膜44は、上部電極40の層間(下層40aと上層40bとの間)以外にも、下部電極32の下、下部電極32の層間、上部電極40の上、下部電極32と圧電膜36との間または圧電膜36と上部電極40との間に形成することができる。
【0035】
温度補償膜38は、圧電膜36の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数を有する膜であり、例えば酸化シリコン膜を用いる。温度補償膜38として、窒化シリコン膜を用いることができる。温度補償膜38は、圧電薄膜共振器における温度補償効果を有する範囲において、第3元素を添加してもよい。温度補償膜38は、上部電極40の上、上部電極40の層間、下部電極32の層間または下部電極32の下に形成することもできる。温度補償の効果をより発揮するため、上部電極40と圧電膜36との間、圧電膜36の層間または圧電膜36と下部電極32との間に形成することが好ましい。
【0036】
図5(a)は、実施例1における圧電薄膜共振器の別の例を示す平面図、
図5(b)および
図5(c)は、それぞれ直列共振器および並列共振器における
図5(a)のA−A断面図である。
図5(a)から
図5(c)に示すように、圧電薄膜共振器は温度補償膜38を備えていない。その他の構成は、
図4(a)から
図4(c)と同じであり、説明を省略する。
【0037】
圧電薄膜共振器の例として、共振領域52内の下部電極32下に空隙34を有するFBARを例に説明した。圧電薄膜共振器は、空隙34の代わりに圧電膜36を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜を有するSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。共振領域52として楕円形状の例を説明したが多角形状でもよい。
【0038】
並列共振器P1からP3および直列共振器S5からS8である弾性表面波共振器について説明する。
図6(a)は、実施例1における弾性表面波共振器の例を示す平面図、
図6(b)から
図6(d)は、
図6(a)のA−A断面図である。
【0039】
図6(a)から
図6(d)に示すように、圧電基板80上にIDT(Interdigital Transducer)84および反射器86が形成されている。IDT84および反射器86は、金属膜85により形成される。IDT84は、対向した一対の櫛型電極を有する。櫛型電極は、複数の電極指と複数の電極指が接続されたバスバーとを有する。反射器86は、IDT84の弾性波の伝搬方向の両側に形成されている。圧電基板80は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。金属膜85は、例えばAl膜またはCu膜である。
【0040】
図6(c)および
図6(d)に示すように、圧電基板80上に金属膜85を覆うように温度補償膜82が形成されている、温度補償膜82は、圧電基板80の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数を有する膜であり、例えば酸化シリコン膜を用いる。温度補償膜82として、窒化シリコン膜を用いることができる。温度補償膜82は、弾性表面波共振器における温度補償効果を有する範囲において、第3元素を添加してもよい。
図6(c)と
図6(d)のように、温度補償膜82の膜厚を異ならせることにより、温度係数TCFを異ならせることができる。温度補償膜82は、圧電基板80と金属膜85との間に設けてもよい。
【0041】
図6(b)のように、弾性表面波共振器には温度補償膜82が設けられていなくてもよい。また、
図6(c)および
図6(d)のように、温度補償膜82が設けられていてもよい。弾性表面波共振器において主に用いられる弾性表面波としてはレイリー波またはラブ波等を用いることができる。
【0042】
LTE(Long Term Evolution)バンドB25用のデュプレクサについて、シミュレーションを行なった。LTEバンドは、LTE規格(E−UTRA Operating Band)に対応する周波数帯である。LTEバンドB25の送信帯域は1850MHzから1915MHz、受信帯域は1930MHzから1995MHzである。
【0043】
シミュレーションに用いた圧電薄膜共振器の材料および膜厚は以下である。温度補償膜は設けていない。
下部電極32:膜厚85nmのCr膜および膜厚195nmのRu膜
圧電膜36:膜厚1220nmの(002)配向の窒化アルミニウム膜
上部電極40の下層40a:膜厚195nmのRu膜
上部電極40の上層40b:膜厚25nmのCr膜
周波数調整膜42:膜厚20nmの酸化シリコン膜
質量負荷膜44:膜厚40nmのTi膜
【0044】
シミュレーションに用いた弾性表面波共振器の条件は以下である。
並列共振器P1からP3:
圧電基板80:回転128°YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板
金属膜85:膜厚137nmのCu膜
温度補償膜82:膜厚566nmの酸化シリコン膜
(膜厚は圧電基板80の上面からの値、金属膜85の上面からの膜厚は566nm−137nm=429nm)
IDT84のピッチλ:1.8566μm
IDT84の対数:50対から200対
IDT84の開口長:15λから35λ
(対数と開口長は共振器P1からP3によって組み合わせが異なる)
直列共振器S5からS7:
圧電基板80:回転128°YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板
金属膜85:膜厚132nmのCu膜
温度補償膜82:膜厚543nmの酸化シリコン膜
(膜厚は圧電基板80の上面からの値)
IDT84のピッチλ:1.7809μm
IDT84の対数:50対から200対
IDT84の開口長:15λから35λ
(対数と開口長は共振器S5からS7によって組み合わせが異なる)
【0045】
上記条件で、送信フィルタ10および受信フィルタの25℃における通過特性をシミュレーションした。
【0046】
図7は、実施例1における室温における通過特性を示す図である。実線は送信フィルタ10の通過特性であり、破線は受信フィルタ12の通過特性を示す。
図7に示すように、送信帯域と受信帯域は重なっていない。LTEバンド25では、送信帯域と受信帯域との間のガードバンドが狭い。送信帯域の低周波側のスカート特性は主に並列共振器P1からP3により形成される。送信帯域の高周波側のスカート特性は主に直列共振器S1からS4により形成される。受信帯域の低周波側のスカート特性は主に並列共振器P4からP6により形成される。受信帯域の高周波側のスカート特性は主に直列共振器S5からS8により形成される。
【0047】
図8(a)から
図8(c)は、それぞれ共通端子、送信端子および受信端子からみた反射特性である。すなわち、共通端子Ant、送信端子Txおよび受信端子Rxをそれぞれポート1、2および3とすると、
図8(a)から
図8(c)は、それぞれS11、S22およびS33の大きさに相当する。送信フィルタ10は、送信帯域の信号を通過させるため、送信帯域におけるS11およびS22は小さいことが好ましい。受信フィルタ12は、受信帯域の信号を通過させるため、受信帯域におけるS11およびS33は小さいことが好ましい。通過帯域におけるS11、S22およびS33が大きくなると、通過帯域における損失が大きくなる。
【0048】
図8(a)に示すように、共通端子Antから送信フィルタ10および受信フィルタ12をみた反射特性では、送信帯域および受信帯域ともS11は−10dB以下である。
図8(b)に示すように、送信端子Txから送信フィルタ10をみた反射特性では、送信帯域のS22は−10dB以下である。
図8(c)に示すように、受信端子Rxから受信フィルタ12をみた反射特性では、受信帯域のS33は−10dB以下である。
【0049】
図7のように、ガードバンドが狭いとき、送信フィルタ10および受信フィルタ12におけるガードバンド側のスカート特性は急峻であることが好ましい。また、ガードバンド側のフィルタの温度安定性は良好であることが好ましい。スカート特性の急峻化は、電気機械結合係数を小さくすることにより、温度安定性の向上は、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることにより実現することができる。したがって、ガードバンド側のスカート特性を形成する直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6は、電気機械結合係数および周波数温度係数TCFの絶対値が小さくなるようにすることが好ましい。このような共振器として、
図4(a)から
図5(c)に示した圧電薄膜共振器が好ましい。圧電薄膜共振器は電気機械結合係数を小さくでき、スカート特性を急峻にできる。また、温度補償膜38を用いることで、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。
【0050】
一方、ガードバンドと反対側のスカート特性は、ガードバンド側に比べ急峻性および温度安定性がそれほど要求されない。その代わりに、フィルタの通過帯域がなるべく広くなるように設定されることが好ましい。帯域幅の拡大は、電気機械結合係数を大きくすることにより達成することができる。電気機械結合係数の向上とスカート特性の急峻化とはトレードオフの関係にある。したがって、ガードバンドと反対側のスカート特性を形成する並列共振器P1からP3および直列共振器S5からS8においては、電気機械結合係数が大きくなるようにすることが好ましい。このような共振器として、
図6(a)から
図6(d)に示した弾性表面波共振器が好ましい。弾性表面波共振器は電気機械結合係数が高く、通過帯域の広帯域化が可能となる。さらに、
図6(c)および
図6(d)のように温度補償膜82を用いたレイリー波共振器またはラブ波共振器は、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。
【0051】
圧電膜36として窒化アルミニウム膜を用いた場合、温度補償を行なわないと圧電薄膜共振器のTCFは負である。温度補償膜38の膜厚によりTCFを調整できる。しかし、温度補償膜38を厚くすると共振特性が劣化してしまう。このため、圧電薄膜共振器では温度補償の範囲は限られる。温度特性は、共振周波数近傍と反共振周波数近傍で異なる。例えば、このシミュレーションでは、共振周波数のTCFは−32ppm/℃であり、反共振周波数のTCFは−27ppm/℃である。反共振周波数と共振周波数のTCFの差は約5ppm/℃である。このTCFの差は、圧電膜36として窒化アルミニウムを用いると温度補償膜38およびその他積層膜50内の層の材料および膜厚によらず、ほぼ5ppm/℃である。
【0052】
圧電基板80としてタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウムを用いた場合、温度補償を行なわないと、弾性表面波共振器のTCFは負である。温度補償膜82の膜厚によりTCFを調整できる。温度補償膜82を厚くすればTCFをほぼ0とできるものの、通常TCFは負である。共振周波数と反共振周波数とでTCFが異なる。例えば、このシミュレーションでは、共振周波数と反共振周波数のTCFはともに負である。反共振周波数と共振周波数のTCFの差は約10ppm/℃である。このTCF差は、圧電基板80とおよび温度補償膜82としてニオブ酸リチウム基板および酸化シリコン膜を用いると、酸化シリコン膜の膜厚並びに金属膜85の材料および膜厚によらず、ほぼ10ppm/℃である。
【0053】
フィルタでは、通過帯域の低周波端および高周波端のTCFが問題となるが、これらを並列共振器の共振周波数および直列共振器の反共振周波数のTCFと考えてもよい。そこで、直列共振器S1からS4の反共振周波数の温度係数をGA、並列共振器P1からP3の並列共振器の温度係数をHGA、直列共振器S5からS8の反共振周波数の温度係数をHGBおよび並列共振器P4からP6の並列共振器の温度係数をGBとした。
【0054】
対象となる共振器が複数の場合、GA、GB、HGAおよびHGBは、各々対象となる共振器の温度係数の平均値とする。例えばGAは直列共振器S1からS4の反共振周波数の温度係数の平均値である。直列共振器S1からS4の反共振周波数の最低値と最高値との差が通過帯域に比べ十分小さい場合、直列共振器S1からS4の反共振周波数の温度係数は実質的に同じとみなすことができる。GB、HGAおよびHGBについても同様である。
【0055】
ラダー型フィルタでは、直列共振器の反共振周波数と並列共振器の共振周波数との周波数間隔が変化するとインピーダンス特性が変化する。実施例1のように、ラダー型フィルタを構成する並列共振器と直列共振器との素子技術が異なると、温度変化によるインピーダンス特性の変化が複雑となる。室温(25℃)において、フィルタのインピーダンスを整合させておいても、温度が高くなるとインピーダンスが変化する。これにより、反射特性が変わってしまう。
【0056】
そこで、送信フィルタ10について、反射特性S11およびS22をシミュレーションした。圧電薄膜共振器である直列共振器S1からS4の反共振周波数のTCFを−32ppm/℃とした。弾性表面波共振器である並列共振器P1からP3の共振周波数のTCFを−32ppm/℃から−48ppm/℃に変化させた。
【0057】
図9は、ΔTCFに対する反射特性の最悪値を示す図である。横軸のΔTCFは、直列共振器S1からS4の反共振周波数のTCFから並列共振器P1からP3の共振周波数のTCFを引いた値の絶対値である。縦軸の反射特性の最悪値は、送信帯域内のS11またはS22の最も大きい値である。送信フィルタ10のインピーダンス特性は25℃で最適化し反射特性の最悪値は85℃でシミュレーションしている。
【0058】
図9に示すように、フィルタにおけるΔTCFが大きくなると85℃における反射特性が劣化する。ΔTCFに対する反射特性の最悪値はほぼ直線の相関となる。
【0059】
同じ素子技術を用い温度補償を同程度行なった共振器の反共振周波数のTCFから共振周波数のTCFから引いた値は正である。すなわち、同じチップ内の直列共振器と並列共振器とを別々に温度補償しなければ、GB<GA、HGA<HGBである。そこで、GA、GB、HGAおよびHGBの大小関係の6つのパターン1からパターン6についてフィルタの反射特性をシミュレーションした。
【0060】
図10は、パターン0からパターン6のGA、GB、HGAおよびHGBの大小関係を示す図である。
図10において、横軸はTCFである。
図10に示すように、パターン1は、GB<HGA<GA<HGBである。パターン2は、GB<GA<HGA<HGBである。パターン3は、HGA<GB<HGB<GAである。パターン4は、HGA<HGB<GB<GAである。パターン5は、GB<HGA<HGB<GAである。パターン6は、HGA<GB<GA<HGBである。このように、パターン1から6は、GB<GAかつHGA<HGBである。さらに、パターン0として、GB=HGB<GA=HGAとした。
【0061】
パターン0からパターン6として、並列共振器P1からP3および直列共振器S5からS8における弾性表面波共振器の温度補償膜82の膜厚を変化させ、反射特性をシミュレーションした。
【0062】
図11(a)は、各パターンにおけるHGA、GA、GBおよびHGBを示す図であり、
図11(b)は、各パターンにおける弾性表面波共振器の温度補償膜の膜厚を示す図である。温度補償膜82の膜厚は、圧電基板80の上面からの値である。
図11(a)に示すように、GAは、圧電薄膜共振器の直列共振器S1からS4の反共振周波数faのTCFであり、−27ppm/℃で一定である。GBは、圧電薄膜共振器(FBARと記載)の並列共振器P4からP6の共振周波数frのTCFであり、−32ppm/℃で一定である。HGAは、弾性表面波共振器(SAWと記載)の並列共振器P1からP3の共振周波数frのTCFであり、並列共振器における温度補償膜82の膜厚により、所望の値とした。HGBは、弾性表面波共振器の直列共振器S5からS8の反共振周波数faのTCFであり、直列共振器における温度補償膜82の膜厚により、所望の値とした。
【0063】
図11(b)に示すように、パターン1、2、3,4および6では、弾性表面波共振器の並列共振器P1からP3と直列共振器S5からS8との温度補償膜82の膜厚を同じとしても所望のTCFを実現できる。
【0064】
パターン0では、HGB<HGAである。このため、弾性表面波共振器の並列共振器P1からP3と直列共振器S5からS8の温度補償膜82の膜厚がλ換算で同じであると、HGA<HGBとなってしまう。よって、弾性表面波共振器の並列共振器P1からP3の温度補償膜82を直列共振器S5からS8の温度補償膜82の膜厚をよりλ換算で大きくしないと、HGB<HGAとならない。
【0065】
パターン5では、HGB−HGA<GA−GBである。一般に、圧電薄膜共振器の反共振周波数faのTCFと共振周波数frのTCFの差は、弾性表波共振器の反共振周波数faのTCFと共振周波数frのTCFの差より小さい。このため、弾性表面波共振器の並列共振器P1からP3と直列共振器S5からS8の温度補償膜82の膜厚が同じであると、GA−GB<HGB−HGAである。よって、弾性表面波共振器の並列共振器P1からP3の温度補償膜82を直列共振器S5からS8の温度補償膜82の膜厚をよりλ換算で大きくしないと、HGB−HGA<GA−GBとならない。
【0066】
図12(a)および
図12(b)は、送信フィルタおよび受信フィルタの反射特性のそれぞれ最悪値および変化率を示す図である。送信フィルタ10のS11およびS22はそれぞれ共通端子Antおよび送信端子Tx側の反射特性を示し、受信フィルタ12のS11およびS33はそれぞれ共通端子Antおよび受信端子Rx側の反射特性を示す。送信フィルタ10における最悪値は、温度が85℃における送信帯域内のS11およびS22の最も大きい(すなわち絶対値の小さい)値を示す。受信フィルタ12における最悪値は、温度が85℃における受信帯域内のS11およびS33の最も大きい値を示す。最悪値は大きい(すなわち絶対値の小さい)ほど、反射が大きいことを示す。
【0067】
送信フィルタ10における変化率は、25℃から85℃に変化させたとき送信帯域内で最も大きく変化したS11およびS22の25℃から85℃への変化率を示す。受信フィルタ12における変化率は、25℃から85℃に変化させたとき受信帯域内で最も大きく変化したS11およびS33の25℃から85℃への変化率を示す。変化率はマイナスに大きい(絶対値が大きい)ものが25℃に比べ85℃において反射特性が大きく劣化していることを示す。
【0068】
図12(a)および
図12(b)において、パターン内で最も悪いS11からS33を楕円で囲んだ。送信フィルタ10のS11およびS22はパターン4が最も悪い。受信フィルタ12のS11およびS33はそれぞれパターン2およびパターン4が最も悪い。このように、パターン2、4が85℃における反射が大きいことがわかった。
【0069】
以下、好ましいGA、GB、HGAおよびHGBを考察する。
図9のように、フィルタにおける直列共振器の反共振周波数と並列共振器の共振周波数のTCFの差ΔTFCと反射特性S11およびS22の最悪値S11maxおよびS22maxとの関係は直線で近似できる。直線の式は以下の式となる。
S11max=A×ΔTCF+B (式1)
S22max=C×ΔTCF+D (式2)
例えば、
図9では、A=0.078、B=11.055、C=0.0871、およびD=11.437である。
【0070】
低周波数側の送信フィルタ10のΔTCFをΔTCF1、高周波数側の受信フィルタ12のΔTCFをΔTCF2とすると、ΔTCF1およびΔTCF2は以下の式となる。
ΔTCF1=|GA−HGA| (式3)
ΔTCF2=|HGB−GB| (式4)
【0071】
ΔG=|GB−GA|
ΔHG=|HGB−HGA|
とすると、ΔGおよびΔHGは、反共振周波数と共振周波数のTCF差であり、共振器の種類およびその材料に関係している、
図10から
図12(b)のシミュレーションでは、|GA−GB|=ΔG=5ppm/℃および|HGB−HGA|=ΔHG=10ppm/℃である。
【0072】
送信フィルタ10のS22および受信フィルタ12のS33は、S11と相関があるため、S11maxを考える。送信フィルタ10帯域および受信フィルタ12帯域のS11maxをSmax1およびSmax2とする。式1と式3および式4とから、Smax1およびSmax2は以下となる。
Smax1=A1×|ΔTCF1|+B1
=A1×|GA−HGA|+B1 (式5)
Smax2=A2×|ΔTCF2|+B2
=A2×|GB−HGB|+B2
=A2×|(GA+ΔG)−(HGA+ΔHG)|+B2
=A2×|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)|+B2 (式6)
【0073】
A1およびA2は正であるため、式5および式6からSmax1およびSmax2が最小となるのは、|GA−HGA|および|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)|が最小となるときである。全ての温度特性がなければ、ΔG=ΔHG=0となるが、そうでない場合、チップ60と62は異なる種類の共振器および材料を用いるためΔGとΔHGとは同じにならない。よって、Smax1およびSmax2を同時に最小とはできない。すなわち、Smax1を最小とすると、Smax2は大きくなり、Smax2を最小とするとSmax1は大きくなる。
【0074】
Smax1およびSmax2が互いに小さくできる範囲をΔTCFminとすると、
GA−HGA<0のとき
|GA−HGA|<ΔTCFmin<|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)| (式7)
GA−HGA>0のとき
|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)|<ΔTCFmin<|GA−HGA| (式8)
となる。
【0075】
式7および式8から、Smax1およびSmax2を互いに小さくするためには、GA−HGA<0のとき|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)|を小さくすることが好ましい。GA−HGA>0のとき、|GA−HGA|を小さくすることが好ましい。
【0076】
図13(a)から
図13(e)は、GA、GB、HGAおよびHGBの大小関係を示す図である。
図13(a)は、パターン2の大小関係を示す。ΔG=|GB−GA|およびΔHG=|HGB−HGA|は温度補償をしても変わらないため、一定である。パターン2では、ΔTCF1よりΔTCF2が大きい。そこで、
図13(b)に示すように、GAおよびGBのTCFを大きくする。このときΔGは変わらない。ΔTCF1およびΔTCF2は
図13(a)より小さくなる。
図13(c)に示すように、さらに、GAおよびGBを大きくする。GAとGHAが同じとなるとΔTCF1は0となる。しかし、ΔTCF2はまだ大きい。そこで、
図13(d)に示すように、GAおよびGBをさらに大きくする。GA、GB、HGAおよびHGBの大小関係はパターン3となる。ΔTCF2は小さくなるが、ΔTCF1が大きくなる。
図13(e)に示すように、さらにGAおよびGBを大きくするとGA、GB、HGAおよびHGBの大小関係はパターン4となる。このとき、ΔTCF2は小さいがΔTCF1が大きくなる。このように、パターン2とパターン4では、ΔTCF1またはΔTCF2が大きくなってしまう。
【0077】
より一般かすれば、GAとHGAの間にGBおよびHGBが位置する大小関係、およびGBとHGBの間にGAおよびGBAが位置する大小関係では、ΔTCF1およびΔTCF2のいずれかが大きくなる。すなわち、Smax1およびSmax2のいずれかが大きくなってしまう。
【0078】
以上のように、実施例1によれば、
図2のように、チップ60(第1チップ)に送信フィルタ10の直列共振器S1からS4(第1直列共振器)並びに受信フィルタ12の並列共振器P4からP6(第2並列共振器)が設けられている。チップ60と異なるチップ62(第2チップ)に送信フィルタ10の並列共振器P1からP3(第1並列共振器)並びに受信フィルタ12の直列共振器S5からS8(第2直列共振器)が設けられている。そして、これらの大小関係は、GAおよびHGAが異なり、かつGBおよびHGBがGAとHGAとの間に位置する関係、および、GBおよびHGBが異なり、かつGAおよびHGAがGBとHGBとの間に位置する関係のいずれでもない。
【0079】
GAおよびHGAが異なり、かつGBおよびHGBがGAとHGAとの間に位置する関係のとき、|GA−GHA|が大きくなる。よって、Smax1が大きくなる。GBおよびHGBが異なり、かつGAおよびHGAがGBとHGBとの間に位置する関係のとき、|GA−HGA−(ΔHG−ΔG)|が大きくなる。よって、Smax2が大きくなる。そこで、これらのいずれでもない関係とする。これにより、Smax1およびSmax2のいずれかが大きくなることがなく、Smax1およびSmax2をともに小さくできる。すなわち、送信フィルタ10および受信フィルタ12の通過帯域における反射特性をともに良好とできる。よって、デュプレクサの温度変化による特性劣化を抑制することができる。
【0080】
図10のように、反共振周波数のTCFが共振周波数のTCFより小さい場合、すなわちGB<GAおよびHGA<HGBの場合、パターン1(GB<HGA<GA<HGB)、パターン3(HGA<GB<HGB<GA)、パターン5(GB<HGA<HGB<GA)、およびパターン6(HGA<GB<GA<HGB)のいずれかの関係であることが好ましい。これにより、送信フィルタ10および受信フィルタ12の反射特性をともに良好にできる。なお、GA、GB、HGAおよびHGBが全て負である場合を例にシミュレーションしたが、
図9のように、Smax1およびSmax2はΔTCF1およびΔTCF2にほぼ比例する。よってmGA、GB、HGAおよびHGBの一部またはすべてが正でも同様の結論となる。
【0081】
直列共振器S1からS8並びに並列共振器P1からP6は全て圧電薄膜共振器でもよいし、すべて弾性表面波共振器でもよい。しかし、直列共振器S1からS4(第1直列共振器)並びに並列共振器P4からP6(第2並列共振器)は圧電薄膜共振器であり、直列共振器S5からS8(第2直列共振器)並びに並列共振器P1からP3(第1並列共振器)は弾性表面波共振器であることが好ましい。これにより、ガードバンド側のスカート特性を急峻とし、かつ送信フィルタ10および受信フィルタ12を広帯域化できる。
【0082】
直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6の圧電薄膜共振器の少なくとも一部と、直列共振器S5からS8並びに並列共振器P1からP3の弾性表面波共振器の少なくとも一部と、の少なくとも一方は温度補償されていることが好ましい。これにより、共振器のTCFを調整できる。例えば、直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6の少なくとも一部を
図4(a)から
図4(c)に示した温度補償膜38を有する圧電薄膜共振器とすることができる。直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6の少なくとも一部は
図5(a)から
図5(c)に示した温度補償膜を有さない圧電薄膜共振器でもよい。また、例えば、直列共振器S5からS8並びに並列共振器P1からP3の少なくとも一部を
図6(c)および
図6(d)に示した温度補償膜82を有する弾性表面波共振器とすることができる。直列共振器S5からS8並びに並列共振器P1からP3の少なくとも一部は
図4(b)に示した温度補償膜を有さない弾性表面波共振器でもよい。
【0083】
直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6は実質的に同じ膜厚の温度補償膜38を有する、または全て温度補償膜を有さないことが好ましい。これにより、チップ60内で温度補償膜38の膜厚を異ならす工程がなくてもよい。よって、
図2のチップ60の製造工程を簡略化できる。温度補償膜38の膜厚が実質的に同じとは、例えば同じ製造工程で成膜した場合の膜厚差を許容する程度に同じことを示す。以下の温度補償膜82についても同じである。
【0084】
直列共振器S5からS8並びに並列共振器P1からP3は実質的に同じ膜厚の温度補償膜82を有する、または全て温度補償膜を有さないことが好ましい。これにより、チップ62内で温度補償膜82の膜厚を異ならす工程がなくてもよい。よって、
図2のチップ62の製造工程を簡略化できる。
【0085】
直列共振器S1からS4並びに並列共振器P4からP6は、圧電薄膜共振器であり、実質的に同じ膜厚の温度補償膜38を有する。または、全て温度補償膜38を有さない。かつ、直列共振器S5からS8並びに並列共振器P1からP3は、弾性表面波共振器であり、実質的に同じ膜厚の温度補償膜82を有する、または、全て温度補償膜82を有さない。これにより、
図2のチップ60及び62の製造工程を簡略化できる。パターン5(すなわちGB<HGA<HGB<GA)とするためには、弾性表面波共振器の温度補償膜82の膜厚を、直列共振器S5からS8と並列共振器P1からP3とで異ならせることになる。よって、上記膜厚を満足しない。よって、GA、GB、HGAおよびHGBの大小関係は、パターン1、パターン3およびパターン6のいずれかの関係であることが好ましい。
【0086】
同じチップでも反共振周波数のTCFと並列共振器のTCFは異なるから、GAおよびHGAと、GBおよびHGBと、は異なる。
図10のパターン0のように、GAとHGAを実質的に同じとし、かつGBとHGBを実質的に同じとする。これにより、送信フィルタ10のΔTCFおよび受信フィルタ12のΔTCFともに小さくできる。よって、送信フィルタ10および受信フィルタ12の通過帯域における反射特性を改善することができる。
【0087】
図2および
図3のように、基板70はチップ60および62を搭載する。配線66aおよび66bは基板70に設けられている。配線66a(第1配線)は直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP3とを接続する。配線66b(第2配線)は直列共振器S5からS8と並列共振器P4からP8とを接続する。これにより、異なるチップに設けられた直列共振器と並列共振器とからラダー型フィルタを形成できる。チップ60および62が基板70にフリップチップ実装されている例を説明したが、チップ60および62は基板70にフェースアップ実装されていてもよい。配線66aおよび66bは基板70の最上面に設けられている例を説明したが、配線66aおよび66bは基板70の内部に設けられていてもよい。
【0088】
実施例1では、通過帯域の低い第1フィルタを送信フィルタ10とし、通過帯域の高いフィルタを受信フィルタ12とした。第1フィルタが受信フィルタ、第2フィルタが送信フィルタでもよい。また、第1フィルタおよび第2フィルタとも送信フィルタでもよいし、第1フィルタおよび第2のフィルタとも受信フィルタでもよい。
【0089】
図1において、送信フィルタ10および受信フィルタ12の1または複数の直列共振器および1または複数の並列共振器の個数および接続関係は任意に設定できる。また、インダクタの個数および接続関係は任意に設定できる。
【0090】
図14は、実施例1が適用できるLTEバンドの例を示す図である。
図14では、各LTEバンドとその送信帯域および受信帯域を示している。
図14に示すように、LTEバンドB1−B5、B7、B8、B12、B13、B17、B20、B22、B25−B28およびB30用のデュプレクサに実施例1を適用することができる。特に、ガードバンドが狭いLTEバンドB1およびB4以外のLTEバンドに実施例1を適用することが好ましい。
【0091】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。