特開2017-153370(P2017-153370A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-153370(P2017-153370A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】シイタケの品種識別法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170810BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-36584(P2016-36584)
(22)【出願日】2016年2月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年8月30日発行の平成27年日本きのこ学会第19回大会講演要旨集,第83頁(日本きのこ学会第19回大会実行委員会)にて発表 〔刊行物等〕 平成27年9月4日に日本きのこ学会第19回大会(つくば国際会議場)にて展示
(71)【出願人】
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
(71)【出願人】
【識別番号】390039963
【氏名又は名称】森産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069903
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
(74)【代理人】
【識別番号】100101166
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100157509
【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 恒
(72)【発明者】
【氏名】井上 栄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 徳夫
【テーマコード(参考)】
4B024
4B063
【Fターム(参考)】
4B024AA05
4B024AA07
4B024AA11
4B024BA80
4B024CA01
4B024CA11
4B024GA30
4B024HA14
4B024HA20
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ07
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR40
4B063QR62
4B063QR76
4B063QS25
4B063QS34
(57)【要約】
【課題】 シイタケの品種識別を、迅速かつ高精度に行うことができる品種識別法を提供する。
【解決手段】 このシイタケの品種識別法は、シイタケの遺伝子のSSR領域を指標としてシイタケの品種を識別するもので、特に、シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続した、SSR領域の任意の塩基配列を用いて作成したプライマーからなるプライマーセットを使用して、識別対象のシイタケの品種毎に、そのオルガネラを含む全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することで品種の識別を行うものである。
このような構成によって、シイタケの品種を迅速かつ高精度に識別することができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シイタケの遺伝子のSSR領域を指標として、シイタケの品種を識別すること
を特徴とするシイタケの品種識別法。
【請求項2】
シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続したSSR領域の任意の塩基配列を用いて作成した、オリゴヌクレオチドプライマーからなるプライマーセットを使用して、識別対象のシイタケの品種毎にそのオルガネラを含む全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することで品種の識別を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項3】
前記SSR領域は、
配列番号1〜12に記載の反復配列若しくはその一部からなる反復配列からなる群より選ばれる1以上の領域であること
を特徴とする請求項1又は2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項4】
前記プライマーセットは、
MLEX001(配列番号13,14に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX002(配列番号15,16に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX003(配列番号17,18に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX004(配列番号19,20に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX005(配列番号21,22に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX006(配列番号23,24に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX007(配列番号25,26に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX008(配列番号27,28に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX009(配列番号29,30に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX010(配列番号31,32に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX011(配列番号33,34に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
及び
MLEX012(配列番号35,36に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
からなる群より選ばれたものであること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシイタケの品種識別法。
【請求項5】
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、2塩基ないし5塩基反復配列のSSR領域を増幅すること
を特徴とする請求項2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項6】
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、2塩基反復配列が(GT)または(CA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とする請求項2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項7】
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、3塩基反復配列が、
(CTT)CTCCAT(CCT)
(GGC)
(CGA)
(GCC)
(GGC)GGT(GGC)
(GGC)(GGA)、(GGC)
(CCG)TGCT(CGC)
のSSR領域を増幅すること
を特徴とする請求項2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項8】
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、3塩基ないし4塩基反復配列が(GGAA)GG(GGA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とする請求項2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項9】
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、5塩基反復配列が(CCACA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とする請求項2に記載のシイタケの品種識別法。
【請求項10】
シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続したSSR領域の任意の塩基配列を用いて作成したプライマーからなること
を特徴とするプライマーセット。
【請求項11】
MLEX001(配列番号13,14に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX002(配列番号15,16に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX003(配列番号17,18に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX004(配列番号19,20に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX005(配列番号21,22に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX006(配列番号23,24に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX007(配列番号25,26に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX008(配列番号27,28に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX009(配列番号29,30に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX010(配列番号31,32に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX011(配列番号33,34に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
及び
MLEX012(配列番号35,36に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
からなる群より選ばれたものであること
を特徴とする請求項10に記載のプライマーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シイタケの品種識別法に関するものである。
より詳しくは、シイタケの品種識別を、迅速かつ高精度に行うことができる品種識別法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
菌類、特にキノコ類の品種の識別は、一般的に形態的、生理的特徴に基づいて行われている。
しかしながら、形態的、生理的特徴に基づく品種の識別法では、類似した形態的、生理的特徴を有する品種を精度よく識別するのは困難である。
かつ、前記の方法は、熟練を要し、時に再現性、迅速性に乏しいという解決すべき課題を有していた。
【0003】
前記形態的、生理的特徴に基づく品種の識別法の特徴は、遺伝子(DNA)の表現形質であって、遺伝子そのものを解することにより菌株(品種)を決定することは、客観性、再現性、簡便性など従来の方法と比べて多くの利点を有すると考えられる。
そこで、このような遺伝子情報(ゲノム配列)を利用した品種識別法が提案されている。
【0004】
例えば、タンパク質生合成の場であるリボソームを構成するrRNAの塩基配列は、種を越えてよく保存されていることから、5.8SrRNA遺伝子の両側に位置するITS(Internal Transcribed Spacer)塩基配列を比較する方法や、rRNA遺伝子の5S遺伝子の両側に位置するIGS(IGS1,IGS2:intergenic spacers)塩基配列を、比較する方法が提案されている。
【0005】
さらに、集団の中で1%以上の頻度で多型が存在する遺伝子座位は、多型性部位と呼ばれ、この多型性部位を、多型性DNAマーカーとして利用して同一種内の個体間の識別を行う方法が知られている。
【0006】
例えば、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism:制限酵素断片長多型)法は、制限酵素によって切断されたDNA断片のサイズが、同一種内の個体間で異なる(多型を示す)ことを利用するものである。
【0007】
一方、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法は、ゲノムDNAを鋳型として、ランダムプライマーの存在下でPCRによって増幅した際、ゲノムDNAの塩基配列に差異があると、プライマーの結合に差異が生じ、ランダムプライマーでPCR増幅されたDNA断片のサイズや、数が異なることを利用するもので、その差異を、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルによる電気泳動で検出するものである。
【0008】
他方、AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)法は、1〜2種類の制限酵素で処理した制限酵素断片に、塩基配列が既知のアダプターを連結し、このアダプター配列に1〜3塩基を付加したプライマーを用いてPCRで増幅して、増幅断片長の多型を解析する手法である。
【0009】
さらにまた、遺伝的多型性を利用して菌類の個体(品種)を識別する方法の一例が、特許文献1及び2に開示されている。
【0010】
例えば、特開2000−325084号公報(特許文献1)においては、菌類の個体(品種)を簡便かつ精度よく識別できる方法が提案されている。
【0011】
この品種識別法は、菌類、特にキノコ類のrRNA遺伝子の転写単位間に存在する高頻度重複領域を指標として、菌類の品種を識別することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、特開2013−255466号公報(特許文献2)においては、ブナシメジの品種ごとにおいて、SSRマーカーの増幅断片長の多型との関連づけを行うことで、多数のブナシメジ品種の品種識別を、網羅的かつ容易にすることができる方法が提案されている。
【0013】
この品種識別方法は、ブナシメジのオルガネラを含む全ゲノム上に、コードされた4塩基ないし6塩基の反復配列の両端からそれぞれ外側へ、500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列であって、その反復配列の前及び後から各1配列ずつを選択して、設計されたプライマーセットを使用して、識別対象のブナシメジの全ゲノム上からPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を確認することで品種の識別を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−325084号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2013−255466号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記ITS塩基配列やIGS塩基配列を比較する方法では、比較対象の塩基配列を解読しなければならないので、品種を識別するまで時間を要するという問題があった。
【0016】
前記RFLP法は、制限酵素断片長多型を検出する操作が煩雑で、時間が掛かり、検出に多量のDNAを要し、微量のサンプルからの検出には、使用できないという問題があった。
【0017】
前記RAPD法は、鋳型DNAとプライマーとの量比やアニーリング温度、PCR装置などの僅かなPCR条件によって、増幅結果が異なることがあるという問題や、増幅バンドが多いことから、識別判定に誤りを生じる可能性があるという問題があった。
【0018】
前記AFLP法は、一回の反応で、多数のゲノムDNA領域の多型を分析できる利点があるが、やや再現性に劣るという問題があった。
【0019】
前記特許文献1に記載されている品種識別法は、菌類、特にシイタケの品種識別を簡便かつ精度よく行うことができるが、シイタケの品種識別を、より一層迅速かつ高精度に行うことができる方法の開発が求められている。
【0020】
前記特許文献2に記載されている品種識別法は、ブナシメジのためのもので、シイタケの品種識別を、迅速かつ高精度に行うことができる方法の開発が求められている。
【0021】
かかる現状に鑑み、発明者らは、シイタケの品種識別を、迅速かつ高精度に行うことができる品種識別法を提供することを目的として検討を行なった。
【0022】
発明者らは、シイタケにも存在するマイクロサテライト(microsatellite)である単純反復配列(simple sequence repeat; SSR)に着目し、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2塩基ないし5塩基反復配列のSSR領域は、各品種(個体ないし菌株)間で反復配列とその数が相違しており、当該SSR領域を、特異的に増幅することが可能なプライマーセットを作成した。
さらに、当該プライマーセットを用いて、シイタケ遺伝子を鋳型としたPCRを行い、得られた増幅産物を解析することによって、シイタケの品種を、迅速かつ高精度に識別することができることを見出して、この発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
シイタケの遺伝子のSSR領域を指標として、シイタケの品種を識別すること
を特徴とするシイタケの品種識別法である。
【0024】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のシイタケの品種識別法において、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続したSSR領域の任意の塩基配列を用いて作成した、オリゴヌクレオチドプライマーからなるプライマーセットを使用して、識別対象のシイタケの品種毎に、そのオルガネラを含む全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することで品種の識別を行うこと
を特徴とするシイタケの品種識別法である。
【0025】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記SSR領域は、
配列番号1〜12に記載の反復配列若しくはその一部からなる反復配列からなる群より選ばれる1以上の領域であること
を特徴とするものである。
【0026】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
MLEX001(配列番号13,14に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX002(配列番号15,16に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX003(配列番号17,18に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX004(配列番号19,20に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX005(配列番号21,22に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX006(配列番号23,24に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX007(配列番号25,26に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX008(配列番号27,28に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX009(配列番号29,30に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX010(配列番号31,32に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX011(配列番号33,34に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
及び
MLEX012(配列番号35,36に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
からなる群より選ばれたものであること
を特徴とするものである。
【0027】
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、2塩基ないし5塩基反復配列のSSR領域を増幅すること
を特徴とするものである。
【0028】
この発明の請求項6記載の発明は、
請求項2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、2塩基反復配列が(GT)または(CA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とするものである。
【0029】
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、3塩基反復配列が、
(CTT)CTCCAT(CCT)
(GGC)
(CGA)
(GCC)
(GGC)GGT(GGC)
(GGC)(GGA)、(GGC)
(CCG)TGCT(CGC)
のSSR領域を増幅すること
を特徴とするものである。
【0030】
この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、3塩基ないし4塩基反復配列が(GGAA)GG(GGA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とするものである。
【0031】
この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項2に記載のシイタケの品種識別法において、
前記プライマーセットは、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、5塩基反復配列が(CCACA)のSSR領域を増幅すること
を特徴とするものである。
【0032】
この発明の請求項10に記載の発明は、
シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続したSSR領域の任意の塩基配列を用いて作成したプライマーからなること
を特徴とするプライマーセットである。
【0033】
この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載のプライマーセットは、
MLEX001(配列番号13,14に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX002(配列番号15,16に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX003(配列番号17,18に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX004(配列番号19,20に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX005(配列番号21,22に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX006(配列番号23,24に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX007(配列番号25,26に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX008(配列番号27,28に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX009(配列番号29,30に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX010(配列番号31,32に記載の塩基配列からなるプライマーセット)、
MLEX011(配列番号33,34に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
及び
MLEX012(配列番号35,36に記載の塩基配列からなるプライマーセット)
からなる群より選ばれたものであること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0034】
この発明のシイタケの品種識別法は、シイタケの遺伝子のSSR領域を指標としてシイタケの品種を識別するものである。
特に、シイタケのオルガネラを含む全ゲノム上に存在する、2塩基ないし5塩基の反復配列が連続したSSR領域の任意の塩基配列を用いて作成した、プライマーからなるプライマーセットを使用して、識別対象のシイタケの品種ごとに、そのオルガネラを含む全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することで品種の識別を行うものである。
このような構成によって、シイタケの品種を迅速かつ高精度に識別することができる。
【0035】
さらに、この発明のプライマーセット(プライマー対)は、シイタケの全ゲノムからSSR領域(SSRマーカー)を増幅することを可能とするものである。
したがって、このプライマーセットを用いてシイタケ遺伝子のSSR領域を増幅させて生成した反復を比較する、より具体的には、シイタケの各品種(個体ないし菌株)について、PCRによるSSR領域の増幅によって生成した、DNA断片長の多型の比較・関連付けを行うことで、シイタケの品種を迅速かつ高精度に識別することが可能となる。
【0036】
さらにまた、この発明は、シイタケの品種保護、海外から流入するコピー品種の水際での阻止や適正かつ公平な製品・商品の流れを担保する手段となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】SSRマーカーMLEX001の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図2】SSRマーカーMLEX002の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図3】SSRマーカーMLEX003の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図4】SSRマーカーMLEX004の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図5】SSRマーカーMLEX005の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図6】SSRマーカーMLEX006の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図7】SSRマーカーMLEX007の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図8】SSRマーカーMLEX008の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図9】SSRマーカーMLEX009の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図10】SSRマーカーMLEX010の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図11】SSRマーカーMLEX011の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図12】SSRマーカーMLEX012の周辺領域の塩基配列を示すものである。 なお、下線は、プライマー設計のための塩基配列を示す。
図13】濃縮ゲノムライブラリーから得られたクローンに含まれていたSSR配列の種類と構成比を示す図である。
図14】SSRマーカー遺伝子座におけるアリル共有率に基づいてUPGMA法によって描画した樹形図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、この発明にかかるシイタケの品種識別法の実施の形態について、具体的に説明する。
なお、この発明について、好ましい代表的な例を中心に説明するが、この発明はこのような代表例に限定されるものではない。
【0039】
この発明のシイタケの品種識別法は、シイタケの遺伝子の、マイクロサテライトであるSSR領域を指標として、シイタケの品種(ないし個体、菌株)を識別するものである。
このような構成によって、シイタケの品種を迅速かつ高精度に識別することができる。
【0040】
この発明において、識別対象としては、シイタケが選択される。
なお、この発明は、シイタケ以外の担子菌類などを含む真核生物の、品種の識別への適用が期待できるものである。
ここで、シイタケなどの菌類の品種は、完全なクローンであるので、菌類の個体は菌類の品種をも意味する。
したがって、この発明において、「個体」とは、それが「菌類の個体」を意味する場合には「菌類の品種」をも意味する。
【0041】
前記シイタケの種類は、特に限定されない。
例えば、森121号や森XR1号(農林水産省 品種登録番号:第17039号)などの国内外で流通している品種が挙げられる。
この発明において、特に、識別可能なシイタケ品種は、290、121、ゆう次郎、春光、こう太郎、だい次郎、4M−10、7L−5、XR1、XR18、XR45、XT44、KV−92、5K−16、9K−4、3V−58、Y602、Y763、与一丸、夏実、優実、465、436、清実、4M46、早夏、成実、秋実、204、富富、ds16及び丸丸の32品種である。
【0042】
この発明において、前記シイタケを試料として用いるに際しては、シイタケのどの組織でも使用可能である。
したがって、菌糸体や、子実体を試料とすることができる。
【0043】
前記シイタケからDNAを抽出する方法としては、CTAB法や市販のDNA抽出キットによる方法など、公知のDNA抽出方法を採用することができる。
【0044】
前記シイタケから抽出したDNAについては、これを鋳型とし、特定のプライマーセットを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)によって、DNAを増幅する。
なお、この発明において、プライマーセット(プライマー対)とは、PCR法において使用される、フォワードプライマーとリバースプライマーの組み合わせを指す。
【0045】
この発明において使用されるプライマーの設計に際しては、任意の塩基配列を選択するに当たり、Tm値(melting temperature)が62〜66程度、又は最適アニーリング温度が、温度58〜62℃程度になるようにすることが好ましいが、これに制限されるものではない。
前記プライマーの設計は、商業的に入手可能なまたは公に利用可能なプログラムを用いて行うことができ、例えば、プライマー設計ソフトウエア「Primer3」をデフォルトにて使用することによって行うことができる。
【0046】
この発明において、前記プライマーセットとしては、シイタケ32品種間におけるPCR増幅の可否や、多型の有無などを考慮して、特に、以下の12組のプライマーセットを選択することができる。
これらのプライマーは、シイタケのオルガネラを含む全ゲノムのうち、2塩基ないし5塩基反復配列のSSR領域を増幅することが可能である。
特に、2塩基反復配列が、(GT)又は(CA)のSSR領域や、
3塩基反復配列が(CTT)CTCCAT(CCT)、(GGC)、(CGA)、(GCC)、(GGC)GGT(GGC)、(GGC)(GGA)、(GGC)、(CCG)TGCT(CGC)のSSR領域、
3塩基ないし4塩基反復配列が、(GGAA)GG(GGA)のSSR領域、
5塩基反復配列が、(CCACA)のSSR領域
を増幅することが可能である。
【0047】
1)MLEX001
MLEX001は、配列表の配列番号13に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号14に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0048】
2)MLEX002
MLEX002は、配列表の配列番号15に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号16に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0049】
3)MLEX003
MLEX003は、配列表の配列番号17に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号18に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0050】
4)MLEX004
MLEX004は、配列表の配列番号19に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号20に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0051】
5)MLEX005
MLEX005は、配列表の配列番号21に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号22に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0052】
6)MLEX006
MLEX006は、配列表の配列番号23に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号24に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0053】
7)MLEX007
MLEX007は、配列表の配列番号25に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号26に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0054】
8)MLEX008
MLEX008は、配列表の配列番号27に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号28に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0055】
9)MLEX009
MLEX009は、配列表の配列番号29に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号30に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0056】
10)MLEX010
MLEX010は、配列表の配列番号31に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号32に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0057】
11)MLEX011
MLEX011は、配列表の配列番号33に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号34に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0058】
12)MLEX012
MLEX012は、配列表の配列番号35に記載の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号36に記載の塩基配列からなるリバースプライマーと、を組み合わせてなるオリゴヌクレオチドプライマーセットである。
【0059】
前記設計したプライマーの合成については、特に制限はなく、例えば、その塩基配列情報に従って公知の方法によって化学的に合成することができる。
このような方法として、任意の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する方法が公知である。
このオリゴヌクレオチドは、例えば、DNA合成装置(DNA synthesizer)によって合成することができる。
【0060】
前記PCR法については、例えば、前記12組のプライマーセットの中から選ばれたいずれか1組を用いて、前記シイタケから抽出したDNAを鋳型として、常法に従って行うことができる。
例えば、シイタケ菌糸体から抽出したDNAに、前記12組のプライマーセットのうちの1組、TaqDNAポリメラーゼなどの耐熱性DNAポリメラーゼ、反応用緩衝液及びdNTPsを加えた状態で、常法に従い、温度90〜100℃程度での変性、温度30〜75℃程度、好ましくは温度50〜70℃程度、より好ましくは温度55〜65℃程度でのアニーリング、及び温度70〜75℃程度での伸長、の3過程を1サイクルとする反応を30〜40サイクル行い、その後の温度70〜75℃程度での最終伸長を行ってDNAを増幅することができる。
【0061】
この発明においては、前記PCR法によって得られた増幅産物の長さ(DNA断片長)を解析することにより、品種間の多型を検出することができる。
前記PCRによって、前記プライマーセットのフォワードプライマーとリバースプライマーとに挟まれたSSR領域のDNA断片が大量に増幅される。
特に、前記12組のプライマーセットは、品種間で反復回数の差が出るSSR領域を挟むように設計されているので、場合によっては品種ごとに断片長(分子量)の異なる増幅DNAが得られる。
したがって、この発明においては、前記得られた増幅DNAの長さを決定することにより、品種間の多型(SSR領域における反復回数の差)を検出することが可能となる。
【0062】
前記増幅DNAの長さの解析は、例えば、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルなどのゲルを用いたゲル電気泳動や、キャピラリー電気泳動などにより行うことができる。
PCR後の反応液を電気泳動すると、分子量の小さい(断片長の短い)増幅DNAほど速く陽極に移動するので、増幅DNAのバンドの移動距離から該増幅DNAの断片長を決定することができる。
なお、各品種(個体)に由来する電気泳動パターンの差は、サザンプロット法を用いることによって精度よく検出することができる。
【0063】
したがって、この発明においては、識別対象のシイタケの品種ごとに抽出したDNA(オルガネラを含む全ゲノム)について、前記複数のプライマーセットを用いて、PCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することにより、シイタケの品種を迅速かつ高精度に識別することができる。
【0064】
この発明においては、さらに、前記プライマーセット、特に前記12組の品種識別用のプライマーセットから選ばれた、少なくとも1組のプライマーセットを含むシイタケの品種識別用キットを提供することができる。
前記品種識別用キットの提供に際しては、前記品種識別用のプライマーセットの他に、DNAポリメラーゼなどのPCR用試薬や、使用のための説明書なども含んでいてよい。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例を挙げて、この発明のシイタケの品種識別法を詳細に説明するが、この発明は、これら実施例により制限されることはない。
【0066】
<実施例1>
(シイタケ(Lentinula edodes(Berk.)Pegler)のDNAの抽出及びそのSSR領域の調製)
(1)シイタケDNAの抽出
森121号および森XR1号(農林水産省 品種登録番号:第17039号)の各々のシイタケ培養菌糸から、改変CTAB法により全DNAを抽出した。
【0067】
(2)SSR濃縮ゲノムライブラリーの作製
得られたDNAをもとに、セレクティブハイブリダイゼーション法によって、SSR濃縮ゲノムライブラリーを作製した。
ここで、前記セレクティブハイブリダイゼーション法とは、目的とするSSR配列をアンカーとしたフィルターハイブリダイゼーションにより、SSR濃縮ゲノムライブラリーを作製する方法である。
【0068】
(3)塩基配列の決定
得られたライブラリーから、アダプター配列とSSR配列を、プライマーに用いるコロニーPCR法により、SSR配列を含むポジティブコロニーを72個選抜し、塩基配列を決定したところ、SSR領域を含む31配列が得られた。
その結果を、表1及び図13に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
図13から、得られた31配列(クローン)のうち、2塩基リピートでは、CA/GTが最も多く全体の32%を占め、次いで、3塩基のCGG/GCCが多く確認された。
【0071】
<実施例2>
(プライマーの設計及び作成)
(1)プライマーの設計
SSR配列を含む配列について、Primer3ソフトウエアを用いて、PCRプライマーを設計した。
その際、プライマー対のうちいずれか一方の5’端には、6−FAM (6−carboxyfluorescein)または6−HEX (6−carboxy−2’,4’,4’,5’,7,7’− hexachloro−Fluorescein)による蛍光標識を行った。
【0072】
(2)PCR産物の解析
SSR−PCR産物の電気泳動は、ABI3130xlジェネティックアナライザーで行い、ジーンマッパーソフトウエアで断片長を決定した。
その結果を、図1〜12に示す。
【0073】
図1〜12に示すように、SSR領域を含む配列のうち、13クローンでプライマーの作製に成功した。
その結果、2クローンが2塩基リピート、9クローンが3塩基リピート、1クローンは5塩基リピート、1クローンが3塩基および4塩基の複合配列であった。
【0074】
<実施例3>
(シイタケの品種識別)
(1)シイタケのDNAの抽出
シイタケ菌糸体からDNAを抽出した。
なお、シイタケとして、下記表2に示す32品種のものを使用した。
【0075】
【表2】

【0076】
(2)PCRによる増幅
得られたDNAについて、下記表3に示す12組のプライマーセットを用いて、下記方法に従い、PCR法による増幅をした。
その際、試薬としては、既製のPCR関連試薬を使用した。
また、12組のプライマーセットについては、カスタムプラーマー合成サービスに依頼して合成し、10μMに調整したフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含むSSRプライマー溶液として調製したものを用いた。
【0077】
【表3】

【0078】
32品種のシイタケから抽出したDNA溶液を、それぞれ、TaqDNAポリメラーゼ0.05μL、10xPCR緩衝液1.25μL、50mM MgCl 0.375μL、100mM dNTP混合液1μL、DNA溶液1μL、SSRプライマー溶液を各0.25μL、滅菌超純水8.575μLで混合した。
その後、得られた溶液について、サーマルサイクラー(Applied Biosystems社:The GeneAmp(登録商標) PCR System 9700)
を用いて温度90℃で3分間DNAを変性させた後、温度94℃で30秒DNAを変性させ、その後、連続して温度58〜62℃で45秒プライマーをアニーリングさせ、さらに連続して温度72℃で60秒の伸長反応させるサイクルを35回繰り返した。
さらに、その後、温度75℃で10分間最終伸長反応させて、PCR増幅産物を得た。
【0079】
(3)PCR産物の解析
得られたSSR−PCR産物について、電気泳動を行った。
電気泳動については、ABI3130xlジェネティックアナライザーを用いて、36cmのキャピラリーとポリマーPOP7を使用して、フラグメント解析を行った。
表2に示すシイタケ32品種について、使用した12組のプライマー対による対立遺伝子型の結果を、表4に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表4から、表2に示す32品種のシイタケの対立遺伝子型について、10座(プライマー)が多型を示した。
さらに、SSRマーカーごとに品種固有の多型を確認し、12種類のSSRマーカーの組み合わせによる多型を品種ごとに比較すると、品種間でSSRマーカーが一致するものはなかった。
さらにまた、図14に示すように、これらの32品種のアリル共有率に基づきUPGMA法(平均距離法:Unweighted Pair Group Method using arithmetic Average)により樹形図を描画したところ、全品種の識別に成功した。
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明は、シイタケの品種識別法に関するもので、シイタケの品種識別を迅速かつ高精度に行うことを可能にするものである。
したがって、シイタケを製造ないし取扱う業界において、利用される可能性の高いものである。

(配列表)
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14