【解決手段】機能設定画面200において自動ボタン201又は半自動ボタン202をタッチ操作されると「自動モード」又は「半自動モード」のいずれかが選択される。充填画面300が操作パネル81に表示された場合、「自動モード」が選択されていれば、開放許可判定処理(S302)の結果、開放許可フラグ73aがオンであるか否かに基づいて、自動的に緊急遮断弁13,14が開閉される。一方、「半自動モード」が選択されている場合、充填画面300の開放ボタン303又は閉止ボタン304の操作に基づいて緊急遮断弁13,14の開閉が行われる。よって、作業者は状況に応じて「自動モード」又は「半自動モード」のいずれかを選択して、好適に充填作業を行うことができる。
車体と、その車体に搭載され液体を積載するタンクと、そのタンクから前記液体が払い出される流路を遮断する遮断弁と、前記車体に搭載される各種機器の状態を検出する検出装置と、その検出装置の検出結果に基づいて前記遮断弁の開閉を制御する制御装置と、その制御装置にユーザの操作に基づく情報を入力する入力装置と、を備える液体運搬車両において、
前記制御装置は、
前記検出装置により検出された状態を取得する状態取得手段と、
その状態取得手段により取得された状態に基づいて前記遮断弁の開放を許可するか否かを判断する判断手段と、
前記遮断弁の開放の指示を、前記入力装置に対するユーザの操作に基づいて受け付ける開放受付手段と、
前記遮断弁の制御モードとして、第1モードと、その第1モードとは異なる第2モードとのいずれかを、前記入力装置に対するユーザの操作に基づいて選択するモード選択手段と、
そのモード選択手段により前記第1モードが選択されている場合、前記判断手段により前記遮断弁の開放を許可すると判断されると、前記開放受付手段により前記遮断弁の開放の指示が受け付けられたか否かに拘わらず前記遮断弁を開放し、一方、前記モード選択手段により前記第2モードが選択されている場合、前記開放受付手段により前記遮断弁の開放の指示が受け付けられると前記遮断弁を開放する開放手段と、
前記判断手段により前記遮断弁の開放を許可しないと判断された場合、前記モード選択手段により前記第1モード又は前記第2モードのいずれが選択されているかに拘わらず、前記遮断弁を閉止する閉止手段と、を備えることを特徴とする液体運搬車両。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態として、液体運搬車両の一例であるバルクローリ1の構成を表す模式図である。バルクローリ1は供給基地等で積載したLPガス(液化石油ガス)を事業所や一般家庭等の需要先へと運搬し、LPガスを需要先に設置されたバルク貯槽に充填するための車両である。
【0015】
バルクローリ1は、車体2と、タンク3とで構成される。車体2は、キャビン4、ホース格納箱5、及び、弁計器箱6等を備える車両の本体である。タンク3は、LPガスを積載する容器である。タンク3には、供給基地等において、不図示の受け入れ系統を介してLPガスが積載される。一方、需要先においては、
図1(b)を参照して後述する充填系統を介してタンク3からバルク貯槽へLPガスが充填される。
【0016】
キャビン4は、その内部に運転設備(不図示のハンドルやシート等)を備える運転室を形成するものである。キャビン4の内部には運転設備の他に、バルクローリ1の各種装置を制御する制御盤70と、その制御盤70に対する操作を受け付ける操作パネル81とが取り付けられる。制御盤70および操作パネル81の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0017】
ホース格納箱5は、
図1(b)を参照して後述する充填ホース16及び均圧ホース19等を格納するケースであり、開閉可能な扉を備える。作業者はバルク貯槽へのLPガスの充填を行う際、ホース格納箱5の扉を開放して、充填ホース16や均圧ホース19を取り出す。
【0018】
弁計器箱6は、LPガスの受け入れ系統および充填系統の各所に設けられた弁の開閉ハンドル(不図示)や、流量計等の計器類(不図示)が格納されるケースである。弁計器箱6もホース格納箱5と同様に扉を備える。その扉は通常は閉鎖され、バルクローリ1のメンテナンス等で開閉ハンドルや計器類の操作が必要な場合に開放される。
【0019】
次に
図1(b)を参照して、バルクローリ1におけるLPガスの充填系統を説明する。
図1(b)はLPガスの充填系統を表した模式図である。バルクローリ1はLPガスの充填系統として、タンク3からバルク貯槽へと液体のLPガスを払い出す液体ライン(図中矢印参照)と、バルク貯槽中で気化したガスをタンク3へと回収する気体ライン(図中矢印参照)とを備える。
【0020】
液体ラインとして、タンク3の液口11に緊急遮断弁13が取り付けられ、緊急遮断弁13は配管15aを介して液送ポンプ82に接続される。緊急遮断弁13は、タンク3から配管15aへのLPガスの払い出しを遮断するための弁である。詳しくは後述するが、緊急遮断弁13は、制御盤70の制御によって開放または閉止される。尚、緊急遮断弁13の「閉止」とは、緊急遮断弁13を閉じてタンク3から配管15aへのLPガスの払い出しを遮断することである。これに対し、緊急遮断弁13が「開放」されると、タンク3から配管15aへとLPガスが払い出し可能となる。緊急遮断弁13は通常閉止されており、LPガスをバルク貯槽へ充填する際に開放される。
【0021】
液送ポンプ82は、エンジンの駆動力を利用して液体のLPガスを払い出す装置である。液送ポンプ82は配管15bを介して充填ホース16に接続され、充填ホース16の先端にはバルク貯槽に接続するためのカップリング17が取り付けられる。カップリング17がバルク貯槽に接続されることで、タンク3からバルク貯槽へのLPガス(液体)の経路が形成される。
【0022】
一方、気体ラインとしては、タンク3のガス口12に緊急遮断弁14が取り付けられ、緊急遮断弁14は配管18を介して均圧ホース19に接続される。緊急遮断弁14は、前述した緊急遮断弁13と同様に、制御盤70の制御により開放または閉止されるものである。緊急遮断弁14は、配管18からタンク3へのガスの流路を開放または閉止するために設けられる。均圧ホース19の先端にはバルク貯槽に接続するためのカップリング20が取り付けられる。カップリング20がバルク貯槽に接続されることで、バルク貯槽からタンク3への経路が形成される。
【0023】
ここで、緊急遮断弁13,14を開閉するための流体回路を説明する。緊急遮断弁13,14の開閉は、主として電磁弁83の開閉により制御される。詳細は
図2を参照して後述するが、電磁弁83の開閉は、制御盤70が備えるCPU71により制御される。
【0024】
緊急遮断弁13,14は、通常は閉止されている常閉弁であり、油圧により付勢されることで開放される。緊急遮断弁13,14には油圧配管34を介して空圧油圧変換器33が接続される。空圧油圧変換器33は、後述するエア配管32aから受けるエア圧を油圧配管34への油圧に変換する装置である。
【0025】
空圧油圧変換器33には、エア配管32aを介して電磁弁83が接続され、その電磁弁83にはエア配管32bを介してエアタンク31が接続される。エアタンク31は、エンジンが駆動する間に、その駆動力を利用して圧縮されたエアを貯留するタンクである。電磁弁83は電気的に付勢されない状態では閉止されており、CPU71の制御により電気的に付勢されると開放される。電磁弁83が開放されると、エアタンク31から空圧油圧変換器33へエアが供給される。一方、電磁弁83は閉止状態において、エアタンク31から空圧油圧変換器33へのエアを遮断するとともに、エア配管32a中のエアを大気開放するよう構成される。
【0026】
即ち、電磁弁83が開放されると、空圧油圧変換器33にかかるエア圧が高まり、そのエア圧が空圧油圧変換器33により油圧に変換され、これにより緊急遮断弁13,14が付勢されて開放される。一方、電磁弁83が閉止されると、空圧油圧変換器33にかかるエア圧が低下し、空圧油圧変換器33から出力される油圧も低下するので、緊急遮断弁13,14は閉止される。
【0027】
詳細は後述するが、本実施形態のバルクローリ1における緊急遮断弁13,14の開閉方法としては「自動モード」と「半自動モード」との2つのモードが設けられる。制御盤70は、「自動モード」又は「半自動モード」から選択されたモードに従って電磁弁83を制御することで、緊急遮断弁13,14を開放または閉止させる。「自動モード」とは、バルクローリ1が備える各種機器の状態に基づいて、緊急遮断弁13,14を自動的に開閉させるモードである。これに対し「半自動モード」とは、操作パネル81に対する操作に基づいて緊急遮断弁13,14を開閉させるモードである。「自動モード」および「半自動モード」に関する具体的な制御については、
図4〜6のフローチャートを参照して後述する。
【0028】
また、エア配管32aには、手動弁35が取り付けられる。手動弁35は通常は閉止状態とされる常閉弁であり、不図示のハンドルの操作によって開放されると、エア配管32a中のエアを大気開放するよう構成されている。手動弁35は、何らかの理由で電磁弁83を制御できない場合(制御盤70の故障等)に、エア配管32a中のエア圧を低下させて緊急遮断弁13,14を閉止させるために設けられる。
【0029】
なお、充填ホース16、カップリング17、均圧ホース19、カップリング20は、
図1(a)に示すホース格納箱5内に格納される。また、液送ポンプ82、エアタンク31、電磁弁83、空圧油圧変換器33、手動弁35は、弁計器箱6内に収容される。
【0030】
次に、
図2を参照してバルクローリ1の電気的構成を説明する。
図2は本実施形態におけるバルクローリ1の電気的構成を表すブロック図である。バルクローリ1は前述した制御盤70を備える。制御盤70は、CPU71とROM72とRAM73とフラッシュメモリ74とを有し、これらがバスライン75を介して入出力ポート76にそれぞれ接続されている。
【0031】
CPU71は、バスライン75に接続された各装置を制御する演算装置であり、入出力ポート76に接続された各種装置との間で信号を入出力可能に構成される。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、
図4から
図6に示す処理をCPU71に実行させるプログラム)や固定値データを記憶した書き換え不能な不揮発性メモリである。
【0032】
RAM73は各種のワークデータやフラグ値等を書き換え可能に記憶する揮発性メモリである。RAM73には、開放許可フラグ73aと、開放操作フラグ73bとの記憶領域が設けられる。開放許可フラグ73aは、緊急遮断弁13,14の開放が許可される場合にオンされるフラグである。開放許可フラグ73aは、
図6を参照して後述する開放許可判定処理(S302)において、バルクローリ1の各種状態に基づいて緊急遮断弁13,14の開放を許可する場合にオンされる。
【0033】
開放操作フラグ73bは、
図5を参照して後述する充填処理(S104)において、充填画面300(
図3(c)参照)上の操作により緊急遮断弁13,14を開放の指示があったか否かを示すためのフラグである。開放操作フラグ73bは、充填画面300の開放ボタン303がタッチ操作された場合にオンされる。
【0034】
フラッシュメモリ74は、CPU71が制御プログラムの実行時に参照する情報を書き換え可能に記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ74には、半自動フラグ74aの記憶領域が設けられる。半自動フラグ74aは、緊急遮断弁13,14の開閉方法として、前述した「自動モード」又は「半自動モード」のいずれが選択されているかを示すフラグである。半自動フラグ74aは、オンであれば「半自動モード」が選択されていることを示し、オフであれば「自動モード」が選択されていることを示す。詳細は
図4(b)のフローチャートを参照して後述するが、半自動フラグ74aは、機能設定画面200(
図3(b))の自動ボタン201又は半自動ボタン202がタッチ操作された場合に更新される。
【0035】
制御盤70の入出力ポート76には、操作パネル81、液送ポンプ82、電磁弁83、ホース格納箱センサ84、弁計器箱センサ85、ガス検知センサ86、追突検知センサ87、パーキングブレーキセンサ88、シフトレバーセンサ89およびブザー90が接続される。
【0036】
操作パネル81は、CPU71の制御により
図3に示すメイン画面100や充填画面300を表示するとともに、CPU71に対する操作の入力を受け付ける入出力装置である。操作パネル81としては、タッチパネルと液晶パネルとが重ねられたタッチパネルディスプレイ等が例示される。操作パネル81は
図1(a)に示す通り、キャビン4内に取り付けられる。作業者は、操作パネル81に表示されたボタンをタッチ操作することにより、そのボタンに対応した指示をCPU71に対して入力する。
【0037】
液送ポンプ82は前述した通り、タンク3内のLPガスを、液体ライン(
図1(b)参照)を介してバルク貯槽へと払い出すための装置である。液送ポンプ82は、エンジンの回転駆動力を利用してLPガスを払い出すものであり、その駆動はCPU71により制御される。
【0038】
電磁弁83は、緊急遮断弁13,14の開閉を制御するための弁である(
図1(b)参照)。電磁弁83は、CPU71の制御により電気的に付勢されると開放される。前述した通り、電磁弁83が開放されると、緊急遮断弁13,14が開放される。一方、電磁弁83が付勢されない場合は、電磁弁83は閉止され、その場合、緊急遮断弁13,14も閉止状態とされる。CPU71の制御による電磁弁83および緊急遮断弁13,14の開閉については、
図4から6を参照して後述する。
【0039】
ホース格納箱センサ84は、ホース格納箱5の扉が開放されているか否かを検出するリミットスイッチであり、ホース格納箱5の扉が開放されている場合にオン信号を出力する。弁計器箱センサ85は、弁計器箱6の扉が開放されているか否かを検出するリミットスイッチであり、弁計器箱6の扉が開放されている場合にオン信号を出力する。
【0040】
ガス検知センサ86は、弁計器箱6内に設けられ、空気中のガス濃度を検出することにより気体となったLPガスの漏洩を検出するセンサである。ガス検知センサ86は、検出した空気中のガス濃度が所定の閾値を超えた場合にオン信号を出力する。
【0041】
追突検知センサ87は、バルクローリ1の後方に設けられ、加速度センサを用いて衝撃を検出することにより、バルクローリ1に対する他車の追突の発生を検出するセンサである。追突検知センサ87は、加速度センサにより検出される衝撃に基づいて追突が発生したと判断した場合にオン信号を出力する。
【0042】
パーキングブレーキセンサ88は、バルクローリ1の車輪にパーキングブレーキがかけられているか否かを検出するセンサであり、パーキングブレーキがかけられている場合にオン信号を出力する。シフトレバーセンサ89は、バルクローリ1のシフトレバーがいずれの位置にあるかを検出するセンサであり、シフトレバーの位置を示す信号を出力する。
【0043】
ホース格納箱センサ84、弁計器箱センサ85、ガス検知センサ86、追突検知センサ87、パーキングブレーキセンサ88およびシフトレバーセンサ89は、
図6を参照して後述する開放許可判定処理(S302)において、緊急遮断弁13,14の開放を許可するか否かを判断するために用いられる。
【0044】
ブザー90は、CPU71の制御により警告音を発する装置である。ブザー90は、
図6を参照して後述する開放許可判断処理(S302)において、作業者に対して誤操作を報知するために利用される。
【0045】
次に
図3を参照して、操作パネル81に表示される画面を説明する。
図3には、(a)制御盤70が起動された際に表示されるメイン画面100、(b)緊急遮断弁13,14の開閉方法を設定するための機能設定画面200、及び、(c)充填作業時に表示させる充填画面300をそれぞれ示す。
【0046】
図3(a)のメイン画面100は、操作パネル81に表示される初期画面であって、作業者が機能を選択するための画面である。メイン画面100には、機能設定ボタン101と充填ボタン102とが表示される。機能設定ボタン101は、フラッシュメモリ74に記憶された設定値等を変更する場合にタッチ操作されるボタンである。機能設定ボタン101がタッチ操作されると、後述する機能設定画面200(
図3(b))が操作パネル81に表示される。
【0047】
充填ボタン102は、需要先のバルク貯槽にLPガスを充填する作業を行う際にタッチ操作されるボタンである。充填ボタン102がタッチ操作されると、後述する充填画面300(
図3(c))が操作パネル81に表示される。
【0048】
次に
図3(b)の機能設定画面200を説明する。機能設定画面200は、緊急遮断弁13,14の開閉方法として、前述した「自動モード」又は「半自動モード」のいずれかを選択するための画面である。機能設定画面200は、メイン画面100(
図3(a))の機能設定ボタン101がタッチ操作された場合に、操作パネル81に表示される。機能設定画面200には、自動ボタン201と、半自動ボタン202と、終了ボタン203とが表示される。
【0049】
自動ボタン201と半自動ボタン202とは、緊急遮断弁13,14の開閉方法として「自動モード」又は「半自動モード」のいずれかを選択するためのボタンである。自動ボタン201がタッチ操作されると「自動モード」が選択されたものとして、半自動フラグ74aがオフされる。一方、半自動ボタン202がタッチ操作されると「半自動モード」が選択されたものとして、半自動フラグ74aがオンされる。終了ボタン203は、モードの選択が完了した場合に、操作パネル81の表示をメイン画面100へと切り替えるためのボタンである。
【0050】
次に
図3(c)の充填画面300を説明する。充填画面300は、LPガスを需要先のバルク貯槽に充填する際に、メイン画面100の充填ボタン102がタッチ操作されることで表示される画面である。充填画面300には、モード表示部301、開放ボタン303、閉止ボタン304、始動ボタン305、停止ボタン306および終了ボタン307が表示される。
【0051】
モード表示部301は、前述した機能設定画面200において、緊急遮断弁13,14の開閉方法として「自動モード」又は「半自動モード」のいずれが選択されているかを表示するエリアである。具体的にはモード表示部301に、半自動フラグ74aがオフであれば「自動モード」が選択されているものとして「自動」と表示され、一方、半自動フラグ74aがオンであれば「半自動モード」が選択されているものとして「半自動」と表示される。よって、作業者は、モード表示部301を確認することで、いずれのモードが選択されているかを把握できる。
【0052】
開放ボタン303および閉止ボタン304は、緊急遮断弁13,14の開放または閉止の指示をするためのボタンである。詳細は後述するが、「半自動モード」が選択されている場合、開放ボタン303又は閉止ボタン304をタッチ操作することで電磁弁82が制御され、これにより緊急遮断弁13,14を開放または閉止させることができる。作業者は操作パネル81の操作によって容易に緊急遮断弁13,14の開閉を指示できる。
【0053】
始動ボタン305は、液送ポンプ82の駆動を開始させるためにタッチ操作されるボタンであり、停止ボタン306は、液送ポンプ82の駆動を停止させるためにタッチ操作されるボタンである。終了ボタン307は、充填作業が完了した場合に、操作パネル81の表示をメイン画面100に切り換えるためにタッチ操作されるボタンである。
【0054】
以上、
図3を参照して操作パネル81に表示される3つの画面を説明したが、本実施形態のバルクローリ1においては、頻繁に変更する可能性の低い「自動モード」又は「半自動モード」の選択を充填画面300とは別の機能設定画面200で行うようにしている。これにより、LPガスの充填作業時に誤ってモードを変更してしまうことを防止できる。
【0055】
次に
図4から
図8を参照して、本実施形態のバルクローリ1において、制御盤70のCPU71が実行する処理を説明する。
図4(a)に示すメイン処理は、制御盤70の起動時にCPU71により実行が開始される処理である。
【0056】
メイン処理においてCPU71は、操作パネル81にメイン画面100(
図3(a))を表示する(S101)。CPU71は、メイン画面100において機能設定ボタン101又は充填ボタン102のいずれのボタンがタッチ操作されたかを判断する(S102)。なお、S102においてCPU71は、いずれかのボタンがタッチ操作されるまで待機する。
【0057】
S102においてCPU71は、機能設定ボタン101がタッチ操作されたと判断した場合(S102:機能設定ボタン)、
図4(b)に示す機能設定処理(S103)を実行する。詳細は後述するが、機能設定処理(S103)は、前述した機能設定画面200を操作パネル81に表示し、緊急遮断弁13,14の開閉方法の選択を受け付ける処理である。
【0058】
一方、S102においてCPU71は、充填ボタン102がタッチ操作されたと判断した場合(S102:充填ボタン)、
図5に示す充填処理(S104)を実行する。詳細は後述するが、充填処理(S104)は、機能選択画面200で選択されたモードに従って緊急遮断弁13,14を開閉させるとともに、液送ポンプ82の駆動を制御してLPガスの充填を行う処理である。
【0059】
機能設定処理(S103)又は充填処理(S104)が終了した場合、CPU71は、再度メイン画面100を操作パネル81に表示し(S101)、メイン処理を繰り返す。メイン処理が繰り返し実行されることで、メイン画面100においてタッチ操作された機能設定ボタン101又は充填ボタン102に応じた処理をCPU71に実行させることができる。
【0060】
図4(b)は、前述した機能設定処理(S103)の処理を示すフローチャートである。機能設定処理(S103)は、メイン画面100において機能設定ボタン101がタッチ操作された場合に(
図4(a)のS102:機能設定ボタン)実行される処理である。
【0061】
CPU71は、機能設定画面200を操作パネル81に表示する(S201)。CPU71は、機能設定画面200上でいずれのボタンがタッチ操作されたかを判断する(S202)。なお、S202においてCPU71は、いずれかのボタンがタッチ操作されるまで待機する。
【0062】
S202においてCPU71は、自動ボタン201がタッチ操作されたと判断した場合(S202:自動ボタン)、半自動フラグ74aをオフとする(S203)。即ち、緊急遮断弁13,14の開閉方法として、「自動モード」を設定する。
【0063】
一方、S202においてCPU71は、半自動ボタン202がタッチ操作されたと判断した場合(S202:半自動ボタン)、半自動フラグ74aをオンする(S204)。即ち、緊急遮断弁13,14の開閉方法として、「半自動モード」を設定する。
【0064】
また、S202においてCPU71は、終了ボタン203がタッチ操作されたと判断した場合(S202:終了ボタン)、本処理を終了し、メイン処理(
図4(a))へ移行する。
【0065】
以上説明した機能設定処理(S103)により、緊急遮断弁13,14の開放方法として「自動モード」又は「半自動モード」のいずれかの選択が、半自動フラグ74aに設定される。なお、半自動フラグ74aの記憶領域は不揮発性のフラッシュメモリ74に設けられる(
図2参照)。よって、一度制御盤70をオフしたあとにも半自動フラグ74aの値は保持されるため、制御盤70をオンする度に半自動フラグ74aの設定を行う手間を省くことができる。
【0066】
図5は、前述した充填処理(S104)の処理を示すフローチャートである。充填処理(S104)は、緊急遮断弁13,14の開閉を制御するとともに、液送ポンプ82の駆動を制御してLPガスの充填を行う処理である。充填処理(S104)は、メイン画面100の充填ボタン102がタッチ操作された場合に(
図4(a)のS102:充填ボタン)実行される。
【0067】
CPU71は、操作パネル81に
図3(c)に示す充填画面300を表示する(S301)。この時、CPU71は、半自動フラグ74aがオンであればモード表示部301に「半自動」と表示し、半自動フラグ74aがオフであればモード表示部301に「自動」と表示する。これにより、緊急遮断弁13,14の開閉方法として「自動モード」又は「半自動モード」のいずれが選択されているのかを、モード表示部301により把握できる。
【0068】
なお、CPU71は、S301の処理において充填画面300を表示する前にRAM73に記憶された開放許可フラグ73a、開放操作フラグ73bをオフする初期化処理を行う。
【0069】
S301の処理において充填画面300を表示すると、CPU71は、
図6に示す開放許可判定処理(S302)を実行する。開放許可判定処理(S302)は、バルクローリ1の各種状態に基づいて緊急遮断弁13,14の開放を許可するか否かを判断し、その判断結果として開放許可フラグ73aを更新する処理である。ここで、
図6を参照して、開放許可判定処理(S302)を説明する。
【0070】
開放許可判定処理(S302)において、CPU71は、まず、入出力ポート76に接続された各種センサ(
図2参照)の出力を取得する(S401)。例えば、ホース格納箱センサ84から、ホース格納箱5の扉が開放されているか否かを示す信号を取得する。S401で取得した情報は、後述するS402〜S407の判断に用いる。以下に詳細を説明するが、CPU71はS402〜S407のいずれかの判断を否定した場合にS409を実行して緊急遮断弁13,14の開放を制限する。一方、CPU71はS402〜S407のすべての判断を肯定した場合にはS408を実行して緊急遮断弁13,14の開放を許可する。
【0071】
まず、CPU71は、S401で取得した情報に基づき、バルクローリ1の車輪にパーキングブレーキがかかっているか否かを判断する(S402)。具体的には、パーキングブレーキセンサ88の出力がオンか否かを調べ、その出力がオンであれば、パーキングブレーキがかかっていると判断する。CPU71は、パーキングブレーキがかかっていないと判断した場合(S402:No)、S409へ移行する。
【0072】
S402においてCPU71は、パーキングブレーキがかかっていると判断した場合(S402:Yes)、シフトレバーの位置がニュートラルであるか否かを判断する(S403)。具体的にはCPU71は、シフトレバーセンサ89の出力信号に基づいて、シフトレバーの位置がニュートラルであるか否かを判断する。CPU71は、シフトレバーの位置がニュートラルでないと判断した場合(S403:No)、S409へ移行する。
【0073】
S403においてCPU71は、シフトレバーの位置がニュートラルであると判断した場合(S403:Yes)、ホース格納箱5の扉は開放状態であるか否かを判断する(S404)。具体的にはCPU71は、ホース格納箱センサ84の出力がオンであるか否かを調べ、その出力がオンであれば、ホース格納箱5の扉は開放状態であると判断する。CPU71は、ホース格納箱5の扉が閉鎖状態であると判断した場合(S404:No)、LPガスの充填を行うために充填ホース16等がホース格納箱5から取り出される状態でないので、S409へ移行する。
【0074】
S404においてCPU71は、ホース格納箱5の扉は開放状態であると判断した場合(S404:Yes)、弁計器箱6の扉が閉鎖状態であるか否かを判断する(S405)。具体的にはCPU71は、弁計器箱センサ85の出力がオフであるか否かを調べ、その出力がオフであれば、弁計器箱6の扉は閉鎖状態であると判断する。CPU71は、弁計器箱6の扉が開放状態であると判断した場合(S405:No)、メンテナンス等の目的で弁計器箱6に収容された装置(計器類等)が扱われた可能性があるため、S409へ移行する。
【0075】
S405においてCPU71は、弁計器箱6の扉は閉鎖状態であると判断した場合(S405:Yes)、ガス漏れの検知の有無を判断する(S406)。具体的にはCPU71は、ガス検知センサ86の出力がオフであるか否かを調べ、その出力がオフであれば、ガス漏れは検知されていないと判断する。CPU71は、ガス漏れが検知されたと判断した場合(S406:No)、LPガスへの引火事故を防ぐべく、S409へ移行する。
【0076】
S406においてCPU71は、ガス漏れが検知されていないと判断した場合(S406:Yes)、他車によるバルクローリ1への追突の検知の有無を判断する(S407)。具体的にはCPU71は、追突検知センサ87の出力がオフであるか否かを調べ、その出力がオフであれば、追突は検知されていないと判断する。CPU71は、追突が検知されたと判断した場合(S407:No)、二次災害を防ぐべく、S409へ移行する。
【0077】
S407においてCPU71は、追突は検知されていないと判断した場合(S407:Yes)、S402〜S407の判断に基づいて緊急遮断弁13,14の開放を許可できる状態であるとして、開放許可フラグ73aをオンとする(S408)。その後、CPU71は本処理を終了して、充填処理(
図5のS104)に戻る。
【0078】
一方、CPU71はS402〜S407の判断に基づいてS409に到った場合、緊急遮断弁13,14の開放を許可できない、即ち、緊急遮断弁13,14を閉止すべき状態として、開放許可フラグ73aをオフとする(S409)。
【0079】
S409の処理において、開放許可フラグ73aをオフとした場合、CPU71は、半自動フラグ74aはオンであるか否かを判断する(S410)。CPU71は半自動フラグ74aがオンであると判断した場合(S410:Yes)、開放操作フラグ73bがオンであるか否かを判断する(S411)。即ち、S410,S411においてCPU71は、緊急遮断弁13,14の開閉方法が「半自動モード」であって(S410:Yes)、操作パネル81において開放ボタン303がタッチ操作されたか否かを判断する(S411)。
【0080】
CPU71は、開放操作フラグ73bがオンであると判断した場合(S411:Yes)、緊急遮断弁13,14の開放が許可されない(開放許可フラグ73aがオフ)であるにも拘わらず、緊急遮断弁13,14の開放の指示がなされているので、その開放の指示を取り消すべく、開放操作フラグ74bをオフとする(S412)。詳しくは後述するが、S412で開放操作フラグ74bがオフされることで、
図8のS606の判断が否定されるので(S606:オフ)、S606の処理によって緊急遮断弁13,14を閉止状態に維持できる。これにより、危険な状態で緊急遮断弁13,14が開放されることを防止できる。特に、誤操作により開放ボタン303をタッチ操作してしまった場合にも、不用意に緊急遮断弁13,14が開放されないようにできる。
【0081】
CPU71は、開放操作フラグ74bをオフとした後(S412)、ブザー90を鳴動させて報知を行う(S413)。これにより、作業者等に対して緊急遮断弁13,14の開放が制限された状態で開放ボタン303がタッチ操作されたことを認知させることができる。S413の後、CPU71は本処理を終了する。
【0082】
CPU71は、S410において半自動フラグ74aはオフであると判断した場合(S410:No)、又は、S411において開放操作フラグ73bはオフであると判断した場合には(S411:No)、S412及びS413の処理をスキップして、本処理を終了する。
【0083】
以上説明した開放許可判定処理(S302)により、バルクローリ1の各種状態に基づいて緊急遮断弁13,14の開放を許可するか否かが、開放許可フラグ73aに設定される。また、緊急遮断弁13,14の開放を許可しない場合には、開放操作フラグ73bを強制的にオフとすることで(S412)、誤操作の悪影響を抑止できる。
【0084】
図5に戻り、充填処理(S104)の説明を続ける。上述した開放許可判定処理(S302)が終了すると、CPU71は、半自動フラグ74aがオンか否かを判断し(S303)、半自動フラグ74aがオフであれば(S303:オフ)、「自動モード」として
図7に示す自動モード弁開閉処理(S304)を実行し、半自動フラグ74aがオンであれば(S303:オン)、「半自動モード」として
図8に示す半自動モード弁開閉処理(S305)を実行する。
【0085】
まず、
図7を参照して、自動モード弁開閉処理(S304)について説明する。自動モード弁開閉処理(S304)は、開放許可フラグ73aのオン/オフに応じて緊急遮断弁13,14を開閉する処理である。CPU71は、開放許可フラグ73aがオンであるか否かを判断する(S501)。CPU71は、開放許可フラグ73aがオフであると判断した場合(S501:オフ)、緊急遮断弁13,14を閉止し(S502)、本処理を終了する。
【0086】
具体的には、CPU71は、電磁弁83を閉止することで緊急遮断弁13,14への付勢を解いて、緊急遮断弁13,14を閉止する。これにより、開放許可フラグ73aがオフである場合には(S501:オフ)、開放操作フラグ74bがオフであるか否かに拘わらず、S502の処理により緊急遮断弁13,14が閉止されるので、安全を確保できる。例えば、緊急遮断弁13,14が開放されている状態で、
図6のS404において、ホース格納箱5の扉が閉められた場合(S404:No)、
図4のS409の処理において、開放許可フラグ73aがオフにされるので、S502において緊急遮断弁13,14を閉止できる。
なお、S502において既に緊急遮断弁13,14が閉止されている場合には、CPU71はその閉止状態を維持する。
【0087】
一方、S501の処理において、開放許可フラグ73aがオンであると判断した場合(S501:オン)、緊急遮断弁13,14を開放する(S503)。これにより、開放許可フラグ73aがオンである場合には(S501:オン)、開放操作フラグ73bがオフであるか否かに拘わらず、自動的に緊急遮断弁13,14を開放することができる。
【0088】
また、CPU71は、S503の処理において、緊急遮断弁13,14を開放した場合、緊急遮断弁13,14が開放されているかを確認する(S504)。具体的には、油圧配管34(
図1(b)参照)に設けられている圧力センサ(図示せず)の検出結果によって、緊急遮断弁13,14が開放されているかを確認する。その結果、緊急遮断弁13,14が開放されていれば(S504:Yes)、本処理を終了する。一方、開放されていない場合には(S504:No)、警告音を鳴らし(S505)、緊急遮断弁13,14の動作に異常が発生していること作業者に報知し、本処理を終了する。これにより、開放許可フラグ73aのオン/オフに応じて緊急遮断弁13,14を開閉できる。
【0089】
次に、
図8を参照して、半自動モード弁開閉処理(S305)について説明する。半自動モード弁開閉処理(S305)は、主として、開放操作フラグ73bのオン/オフに応じて緊急遮断弁13,14を開閉する処理である。CPU71は、開放ボタン303(
図3(c)参照)が操作されたかを判断し(S601)、操作されていれば(S601:Yes)、開放操作フラグ73bをオンし(S602)、S605の処理に移行する。
【0090】
一方、CPU71は、開放ボタン303が操作されていないと判断した場合には(S601:No)、閉止ボタン304(
図3(c)参照)が操作されたかを判断する(S603)。その結果、閉止ボタン304が操作されていれば(S603:Yes)、開放操作フラグ73bをオフし(S604)、S605の処理に移行する。尚、S603の処理において、閉止ボタン304が操作されていなければ(S603:No)、そのまま、S605の処理に移行する。
【0091】
CPU71は、S605の処理において、開放許可フラグ73aがオンであるか否かを判断する(S605)。CPU71は、開放許可フラグ73aがオフであると判断した場合(S605:オフ)、緊急遮断弁13,14を閉止する(S607)。具体的にはCPU71は、電磁弁83を閉止することで緊急遮断弁13,14への付勢を解いて、緊急遮断弁13,14を閉止する。これにより、開放許可フラグ73aがオフである場合には(S605:オフ)、開放操作フラグ73bがオフであるか否かに拘わらず、S607の処理により緊急遮断弁13,14が閉止されるので、安全を確保できる。例えば、緊急遮断弁13,14が開放されている状態で、
図6のS404において、ホース格納箱5の扉が閉められた場合(S404:No)、
図4のS409の処理において、開放許可フラグ73aがオフにされるので、S607において緊急遮断弁13,14を閉止できる。なお、S607において既に緊急遮断弁13,14が閉止されている場合には、CPU71はその閉止状態を維持する。
【0092】
一方、CPU71は、開放許可フラグ73aがオンであると判断した場合(S605:オン)、開放操作フラグ73bがオンであるか否かを判断する(S606)。即ち、CPU71は、充填画面300において緊急遮断弁13,14の開放の指示がなされているのか(開放ボタン303がタッチ操作されたのか)、閉止の指示がなされているのか(閉止ボタン304がタッチ操作されたのか)を判断する。
【0093】
CPU71は、開放操作フラグ73bがオフであると判断した場合(S606:オフ)、充填画面300において閉止ボタン304がタッチ操作されたものとして、緊急遮断弁13,14の閉止を行う(S607)。
【0094】
なお、前述した開放許可判定処理(
図6のS302)において、緊急遮断弁13,14の開放を許可しないと判断され(S402〜S407のいずれかがNo)、開放操作フラグ73bが強制的にオフにされた場合にも(S412)、CPU71はS606の判断を否定してS607へ移行する。これにより、緊急遮断弁13,14を閉止状態に維持することができるので、危険な状態で緊急遮断弁13,14が開放されることを防止できる。
【0095】
一方、CPU71は、開放操作フラグ73bがオンであると判断した場合(S606:オン)、充填画面300において開放ボタン303がタッチ操作されたものとして、緊急遮断弁13,14の開放を行う(S608)。具体的にCPU71はS608において、電磁弁83を開放して緊急遮断弁13,14を付勢することにより、緊急遮断弁13,14を開放する。
【0096】
S606の処理において開放操作フラグ73bがオンであるのは、前述した開放許可判定処理(
図6のS302)において、S412が実行されなかった場合である。即ち、開放許可判定処理(S302)において緊急遮断弁13,14の開放を許可すると判断されること(S402〜S407のすべてがYes)が、S606において開放操作フラグ73bがオンであることの条件である。よって、開放ボタン303をタッチ操作した場合であっても、開放許可判定処理(S302)により開放が許可されない場合には緊急遮断弁13,14が開放されないようにし、安全を確保することができる。
【0097】
また、CPU71は、S608の処理において、緊急遮断弁13,14を開放した場合、緊急遮断弁13,14が開放されているかを確認する(S609)。具体的には、油圧配管34(
図1(b)参照)に設けられている圧力センサ(図示せず)の検出結果によって、緊急遮断弁13,14が開放されているかを確認する。その結果、緊急遮断弁13,14が開放されていれば(S609:Yes)、本処理を終了する。一方、開放されていない場合には(S609:No)、警告音を鳴らし(S610)、緊急遮断弁13,14の動作に異常が発生していること作業者に報知し、本処理を終了する。これにより、主として、開放操作フラグ73bのオン/オフに応じて緊急遮断弁13,14を開閉することができる。
【0098】
再び、
図5に戻り、充填処理(S104)の説明を続ける。S304,S305の処理において、緊急遮断弁13,14の開放または閉止を制御した後、CPU71は、液送ポンプ82の駆動を制御する(S306)。例えば、液送ポンプ82の駆動許可条件を満たしているか、始動ボタン305(
図3(c)参照)がタッチ操作されたかを判断して、液送ポンプ82の駆動許可条件を満たした上で、始動ボタン305がタッチ操作された場合には、液送ポンプ82を駆動する。また、液送ポンプ82の駆動許可条件を満たしていない、或いは、停止ボタン306(
図3(c)参照)がタッチ操作された場合には、液送ポンプ82を停止する。
【0099】
その後、CPU71は、液送ポンプ82が駆動中か否かを判断する(S307)。その結果、液送ポンプ82が駆動中であると判断した場合(S307:Yes)、S302の処理に移行する。一方、液送ポンプ82が駆動中でないと判断した場合(S307:No)、CPU71は、終了ボタン307(
図3(c)参照)がタッチ操作されたか否かを判断する(S308)。その結果、終了ボタン307がタッチ操作されていないと判断した場合には(S308:No)、S302の処理に移行し、タッチ操作されたと判断した場合には(S308:Yes)、本処理を終了する。
【0100】
以上説明した本実施形態のバルクローリによれば、機能設定画面200(
図3(b))の半自動ボタン202のタッチ操作によって「半自動モード」を選択すれば、LPガスの充填作業において充填画面300(
図3(c))の開放ボタン303又は閉止ボタン304のタッチ操作によって、緊急遮断弁13,14の開閉をコントロールできる。よって、必要に応じて作業者の判断を踏まえた緊急遮断弁13,14の開閉を行うことができる。
【0101】
また、機能設定画面200において「自動モード」又は「半自動モード」を選択できるので、作業者の判断を特に要さない場合には「自動モード」を選択して、緊急遮断弁13,14の開閉を自動化できる。従って、状況に応じて適当な制御方法を選択できるので、LPガスの充填作業を好適に行うことができる。
【0102】
また、開放許可判定処理(
図6のS302)においてバルクローリ1の各種状態に基づいて緊急遮断弁13,14の開放を許可しないと判断された場合、「自動モード」又は「半自動モード」のいずれのモードが選択された場合であっても、緊急遮断弁13,14の閉止が行われる(
図7のS501:オフ、
図8のS605:オフ)。従って、安全性を確保できる。
【0103】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0104】
例えば、上記実施形態ではLPガスを運搬するバルクローリ1に本発明を適用することを説明したが、液体を運搬する種々の車両に本発明を適用することは、当然可能である。
【0105】
また、上記実施形態では、緊急遮断弁13,14の開放の許否の条件と、閉止される条件とが同一の条件であるものを説明したが(
図6のS402〜S407)、開放を許可する条件と、閉止する条件とを異なるものとしてもよい。例えば、緊急遮断弁13,14を開放する条件として弁計器箱6の扉が閉鎖されているとの条件(S405:No)を適用する一方で、緊急遮断弁13,14が開放された後で弁計器箱6の扉が開放されても、緊急遮断弁13,14を閉止しないものとしてもよい。充填作業中に弁計器箱6に収容された計器類等を確認することもあるからである。
【0106】
また、操作パネル81に対する操作によって、所定時間のあいだ、弁計器箱6の扉の開閉状態を開閉許可判定処理(
図6のS302)において無視するようにしてもよい。具体的には、操作パネル81に「弁計器箱開放ボタン」を設け、その弁計器箱開放ボタンがタッチ操作されてから所定時間(例えば5分)の間に弁計器箱5の扉が開放されても、開閉許可判定処理(S302)のS405においてYesと判断されるよう構成してもよい。これによりユーザが弁計器箱6の扉を開放することを明示する操作を行った場合には、緊急遮断弁13,14の閉止の判断から弁計器箱6の扉の状態を除外することができ、緊急遮断弁13,14を開放したまま行う作業を継続することができる。
【0107】
更に、上述した「弁計器箱開放ボタン」は、緊急遮断弁13,14の開閉方法として、「半自動モード」が選択されている場合にタッチ操作可能としてもよい。上記実施形態では、「半自動モード」であっても開放許可フラグ73aがオフである場合には(
図8のS605:オフ)緊急遮断弁13,14が閉止されるが、弁計器箱開放ボタンをタッチ操作してから弁計器箱6の扉を開放すれば、開放許可判定処理(
図6のS302)で開放許可フラグ73aがオフされないようにできる。よって、「半自動モード」が選択されている場合において、ユーザの意思に基づく操作により、緊急遮断弁13,14の開放を継続させることができる。
【0108】
なお、ここでは弁計器箱6の扉について述べたが、開閉許可判定処理(S302)において判断される他の条件についても、同様に判断から除外する場合を設けてもよい。
【0109】
また、上記実施形態において、操作パネル81に表示される充填画面300(
図3(c))の開放ボタン303および閉止ボタン304について、表示/非表示を切り替えるように構成してもよい。例えば、開放許可判定処理(
図6のS302)の結果、開放許可フラグ73aがオンである場合に限り、開放ボタン303が表示されるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザに緊急遮断弁13,14の開放が可能か否かを示すことができるとともに、誤操作を未然に防ぐことができる。また、半自動フラグ74aがオフ、即ち、「自動モード」が選択されている場合には、開放ボタン303および閉止ボタン304を非表示としてもよい。
【0110】
また、上記実施形態において制御盤70(CPU71)を、操作パネル81に表示される開放ボタン303又は閉止ボタン304に代え、有線または無線による通信により制御盤70に信号を入力可能に構成されたリモコンから、緊急遮断弁13,14の開放または閉止の指示を受け付けるように構成することも当然可能である。これにより、例えば、作業者はバルク貯槽に充填ホース16を接続した場合、バルクローリ1に戻ることなくリモコンを用いて緊急遮断弁13,14を開放させることができるので、作業性を向上させることができる。