【課題】 設備を大掛かりなものとする必要がなく、転写不足を解消することができ、シボ模様等を転写性良く形成された外観品質に優れた樹脂成形体を製造し得る製造方法を提供する。
【解決手段】 ダイより垂下させた一対の樹脂シートを、一対の分割型により挟み込んで型締めし、樹脂成形体を製造する。この時、先ず、第1分割型と第1樹脂シートを当接させることで第1分割型の第1キャビティ空間を密閉し、第1分割型に設けた真空孔を介して真空吸引することで第1樹脂シートを第1キャビティ空間に沿った形状に賦形する。次いで、型閉工程によって分割型同士を当接させ、吹込み針をシート間の密閉空間に挿入し流体を吹き込むことで第2樹脂シートを第2分割型の第2キャビティ空間に沿った形状へ賦形させる。
第1分割型の外周部に密閉状態で摺動可能に勘合される型枠によって第1分割型と第2分割型を当接させることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成形体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る方法の説明図であり、一対の分割型(3a,3b)の間にシート(2a,2b)を押し出す状態を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る方法の説明図であり、第1分割型(3b)と第1樹脂シート(2b)が当接している状態を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る方法の説明図であり、第1樹脂シート(2b)が第1キャビティ(8)へ賦形した状態を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る方法の説明図であり、分割型(3a,3b)を型締めし、吹込針(61)を前進させた状態を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る方法の説明図であり、第2樹脂シート(2a)が第2キャビティ(10)へ賦形した状態を示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る方法の説明図であり、一対の分割型(203a,203b)の間にシートを押し出す状態を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る方法の説明図であり、第1分割型(203b)が型枠(211a,211b)を介して第1樹脂シート(202b)当接している状態を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る方法の説明図であり、第1樹脂シート(202b)が第1キャビティ(208)へ賦形した状態を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る方法の説明図であり、型枠(211a,211b)と第2分割型(203a)が当接し、吹込針(2061)を前進させた状態を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る方法の説明図であり、第2樹脂シート(202a)が第2キャビティ(210)へ賦形した状態を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る方法の説明図であり、分割型(203a,203b)を型締めした状態を示す図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る方法の説明図であり、一対の分割型(303a,303b)の間にシートを押し出す状態を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係る方法の説明図であり、第1分割型(303b)が型枠(311a,311b)を介して第1樹脂シート(302b)当接している状態を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係る方法の説明図であり、第1樹脂シート(302b)が第1キャビティ(308)へ賦形した状態を示す図である。
【
図15】第3実施形態に係る方法の説明図であり、第1樹脂シート(302b)へ芯材(313)を投入した状態を示す図である。
【
図16】第3実施形態に係る方法の説明図であり、型枠(311a,311b)と第2分割型(303a)が当接し、吹込針(3061)を前進させた状態を示す図である。
【
図17】第3実施形態に係る方法の説明図であり、第2樹脂シート(302a)が第2キャビティ(310)へ賦形した状態を示す図である。
【
図18】第3実施形態に係る方法の説明図であり、分割型(303a,303b)を型締めした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る樹脂成形体の製造方法の実施するための形態(以下「実施形態と称する」)を添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態を
図1〜
図5に基づいて説明する。第1実施形態における製造対象である樹脂成形体(中空パネル)は意匠面となる第1表面と、第1表面と対向する第2表面により構成されている。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態に係る第1成形装置はダイ(1a,1b)、一対の分割型(3a,3b)により構成される。
【0017】
ダイ(1a,1b)は、その下端部の押出スリットから、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。
【0018】
成形金型(3)は、分割形式であり、第1分割型(3b)と、この第1分割型(3b)に合わさる第2分割型(3a)とを備える。これら分割型(3a,3b)は、それぞれの成形面を対向させた状態で配置され、成形面が略鉛直方向に沿うように配置される。一対の分割型(3a,3b)は、金型駆動装置(図示省略)により、溶融状態の第1及び第2樹脂シート(2a,2b)の供給方向に対して略直交する方向において開位置と閉位置との間を移動する。
【0019】
分割型(3a)の周りには、ピンチオフ部(7)が形成される。これらピンチオフ部(7)は、成形面を囲うように環状に形成され、対向する分割型(3b)に向けて突出する。これにより、分割型(3a,3b)を型締めする際、ピンチオフ(7)の先端部が当接し、2枚の第1及び第2樹脂シート(2a,2b)の周縁にパ一ティングラインPLが形成されるように溶着される。
【0020】
分割型(3a,3b)は、それぞれ金型駆動装置により駆動され、開位置において、分割型(3a,3b)の間に第1及び第2樹脂シート(2a,2b)を配置させる一方、閉位置において、分割型(3a)のピンチオフ(7)が当接することにより、分割型(3a,3b)内にキャビティ(8、10)を形成する。
【0021】
また、分割型(3b)には、先端に吹込み針(61)を有する吹込み装置(6)、及び真空室(4b)が設けられる。真空室(4b)は、真空孔(5)を介して成形面に連通しており、真空室(4b)から真空孔(5)を介して吸引することにより、第1樹脂シート(2b)を成形面に吸着する。これにより、第1樹脂シート(2b)をキャビティ(8)に沿った形状に賦形する。
【0022】
また、分割型(3a)には、真空室(4a)が設けられる。真空室(4a)は、真空孔(5)を介して成形面に連通しており、これにより、吹込み装置(6)による吹込みエアーにより第2樹脂シート(2a)をキャビティ(10)に沿った形状に賦形する際にキャビティ空間(10)に残存するガスを排気する。
【0023】
(第1実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法)
次に、第1実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法について説明する。この方法では、以下のステップ(1A)からステップ(1F)を含む。
【0024】
図1に示すように、ステップ(1A)では、ダイ(1a,1b)から、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。これにより、熱可塑性樹脂は、スウェルして溶融状態で下方の一対の分割型(3a,3b)間へと垂下する。このとき、ピンチオフ部(7)の周りからはみ出す形態で、第1及び第2樹脂シート(2a,2b)を位置決めする。以上のようにして、成形品の材料である第1及び第2樹脂シート(2a,2b)を互いに間隔を隔てた状態で、分割型(3a,3b)の間に配置する。なお、押出スリットの間隔、第1及び第2樹脂シート(2a,2b)それぞれに対して個別に調整することにより、分割型(3a,3b)の間に配置される第1及び第2樹脂シート(2a,2b)の厚みを個別に調整することができる。
【0025】
ステップ(1B)では、
図2に示すように、金型駆動装置により分割型を相対的に近接させ、分割型(3b)と、垂下した第1及樹脂シート(2b)をピンチオフ部(7)外周面により当接させる。これにより、第1及樹脂シート(2b)と成形面により囲われたキャビティ(8)(密閉空間)が形成される。さらに、真空室(4b)に通じる真空孔(5)を介して、キャビティ(8)を吸引することにより、第1樹脂シート(2b)をキャビティ(8)に沿った形状に形成する(
図3参照)。これにより、樹脂成形体の片側の面が形成される。
【0026】
ステップ(1C)では、
図4に示すように、第1樹脂シート(2b)を吸引保持しつつ、それぞれのピンチオフ部(7)同士が当接するまで分割型(3a,3b)を互いに近づく向きに移動させ、分割型(3a,3b)を型締めする。すなわち、第1樹脂シート(2b)の外側に配置される分割型(3b)及び第2樹脂シート(2a)の外側に配置される分割型(3a)によって、第1及び第2樹脂シート(2a,2b)挟む。
【0027】
ステップ(1D)では、型締めした成形金型(3)内において、ピンチオフ部(7)が突き合わさることにより、成形品の端部となる材料同士を溶着して一体化させる。さらに、吹込み装置(6)を前進させ、第1樹脂シート(2b)を貫通して吹込み針(61)を溶着した樹脂シート内部へ侵入させる。
【0028】
ステップ(1E)では、吹込み針(61)より溶着した樹脂シート内部へエアーを高圧で流入させることで、第2樹脂シート(2a)をキャビティ(10)へ沿った形状に形成する。このとき、真空室(4a)に通じる連通孔(5)を介して、キャビティ(10)を吸引することにより、第2樹脂シートとキャビティ(10)間に残存するガスを排気する。その結果、パーティングラインPLで端部同士が溶着された2つ壁によって構成される樹脂成形体が形成される。
【0029】
ステップ(1F)では、2つの壁が一体化され、所定の温度以下に冷却された成形品を、型開きした分割型(3a,3b)から取り出し、ピンチオフ部(7)の外側のバリ部分を切断する。これにより、バリ部分が切除された樹脂成形体が得られる。
【0030】
以上のステップ(1A)〜(1F)を繰り返すことにより、一次成形(押出成形)において溶融樹脂を間欠的に押し出すたびに、2枚の第1及び第2樹脂シート(2a,2b)を次々に形成することが可能であり、押し出された2枚の第1及び第2樹脂シート(2a,2b)を、成形金型(3)を用いた二次成形(ブロー成形あるいは真空成形)により、二次成形品として樹脂成形体を連続的に形成することが可能である。
【0031】
(第1実施形態の効果)
以上、説明した第1実施形態の効果について述べる。第1実施形態によれば、第2樹脂シート(2a)と第キャビティ(10)の間のエアー溜りや、真空能力不足による第2樹脂シート(2a)の賦形不良を解消でき、第2樹脂シート(2a)及び樹脂成形体の外観品質を向上させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態を
図6〜11に基づいて説明する。第2実施形態における製造対象である樹脂成形体(中空パネル)は、意匠面となる第1表面と、第1表面と対向し第1表面へと突き合わされて溶着しているリブ形状を有する第2表面により構成されている。
【0033】
図6に示すように、第2実施形態に係る第2成形装置はダイ(201a,201b)、一対の分割型(203a,203b)、第1分割型の外周部に密閉状態で摺動可能に勘合される型枠(211a,211b)により構成される。
【0034】
ダイ(201a,201b)は、その下端部の押出スリットから、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。
【0035】
成形金型(203)は、分割形式であり、第1分割型(203b)と、この第1分割型(203b)に合わさる第2分割型(203a)とを備える。これら分割型(203a,203b)は、それぞれの成形面を対向させた状態で配置され、成形面が略鉛直方向に沿うように配置される。一対の分割型(203a,203b)は、金型駆動装置(図示省略)により、溶融状態の第1及び第2樹脂シート(202a,202b)の供給方向に対して略直交する方向において開位置と閉位置との間を移動する。
【0036】
分割型(203a)の周りには、ピンチオフ部(207)が形成される。これらピンチオフ部(207)は、成形面を囲うように環状に形成され、対向する分割型(203b)に向けて突出する。これにより、分割型(203a,203b)を型締めする際、ピンチオフ(207)の先端部が当接し、2枚の第1及び第2樹脂シート(202a,202b)の周縁にパ一ティングラインPLが形成されるように溶着される。
【0037】
分割型(203b)の外周部には、型枠(211a,211b)が密接状態で摺動可能に嵌合される。型枠(211a,211b)は、型枠移動装置(図示省略)により、分割型(203b)に対して相対的に移動可能である。より詳細には、型枠(211a,211b)は、分割型(203b)から内向きに突出することにより、分割型(203a,203b)の間に配置された第1樹脂シート(202b)の外表面に当接可能である。
【0038】
分割型(203a,203b)は、それぞれ金型駆動装置により駆動され、開位置において、分割型(203a,203b)の間に第1及び第2樹脂シート(202a,202b)を配置させる一方、閉位置において、分割型(203a)のピンチオフ(207)が当接することにより、分割型(203a,203b)内にキャビティ(208、210)を形成する。
【0039】
また、分割型(203b)には、先端に吹込み針(2061)を有する吹込み装置(206)、及び真空室(204b)が設けられる。真空室(204b)は、真空孔(205)を介して成形面に連通しており、真空室(204b)から真空孔(205)を介して吸引することにより、第1樹脂シート(202b)を成形面に吸着する。これにより、第1樹脂シート(202b)をキャビティ(208)に沿った形状に賦形する。
【0040】
また、分割型(203a)には、真空室(204a)が設けられる。真空室(204a)は、真空孔(205)を介して成形面に連通しており、これにより、吹込み装置(206)による吹込みエアーにより第2樹脂シート(202a)をキャビティ(210)に沿った形状に賦形する際にキャビティ空間(210)に残存するガスを排気する。
【0041】
(第2実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法)
次に、第2実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法について説明する。この方法では、以下のステップ(2A)からステップ(2H)を含む。
【0042】
図6に示すように、ステップ(2A)では、ダイ(201a,201b)から、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。これにより、熱可塑性樹脂は、スウェルして溶融状態で下方の一対の分割型(203a,203b)間へと垂下する。このとき、ピンチオフ部(207)の周りからはみ出す形態で、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)を位置決めする。以上のようにして、樹脂成形体の材料である第1及び第2樹脂シート(202a,202b)を互いに間隔を隔てた状態で、分割型(203a,203b)の間に配置する。なお、押出スリットの間隔、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)それぞれに対して個別に調整することにより、分割型(203a,203b)の間に配置される第1及び第2樹脂シート(202a,202b)の厚みを個別に調整することができる。
【0043】
ステップ(2B)では、
図7に示すように、第1樹脂シート(202b)の外表面に当たるまで分割型(203b)から型枠(211a,211b)を移動させる。すると、型枠(211a,211b)の内周面、第1樹脂シート(202b)、成形面により囲われたキャビティ(208)(密閉空間)が形成される。さらに、真空室(204b)に通じる真空孔(205)を介して、キャビティ(208)を吸引することにより、第1樹脂シート(202b)をキャビティ(208)に沿った形状に形成する(
図8参照)。これにより、樹脂成形体のリブ形状を有する片側の面が形成される。
【0044】
ステップ(2C)では、
図9に示すように、第1樹脂シート(202b)を吸引保持しつつ、分割型(203b)のピンチオフ部(207)の外周面と、型枠(211a,211b)が当接するまで分割型(203a,203b)を互いに近づく向きに移動させる。すなわち第1樹脂シート(202b)の外側に配置される型枠(211a,211b)及び第2樹脂シート(202a)の外側に配置される分割型(203a)によって、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)挟む。
【0045】
ステップ(2D)では、ピンチオフ部(207)の外周面と、型枠(211a,211b)を介して当接した成形金型(203)内において、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)によって囲われた空間が形成される。さらに、吹込み装置(206)を前進させ、第1樹脂シート(202b)を貫通して吹込針(2061)を前記空間へ侵入させる。
【0046】
ステップ(2E)では、吹込み針(2061)より第1及び第2樹脂シート(202a,202b)によって囲われた空間へエアーを高圧で流入させることで、第2樹脂シート(202a)をキャビティ(210)へ沿った形状に形成する。このとき、真空室(204a)に通じる連通孔(205)を介して、キャビティ(210)を吸引することにより、第2樹脂シートとキャビティ(210)間に残存するガスを排気する。
【0047】
ステップ(2F)では、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)の吸引及び、ブロー圧力を保持しつつ、それぞれのピンチオフ部(207)及びリブ当接部同士が当接するまで分割型(203a,203b)を互いに近づく向きに移動させ、分割型(203a,203b)を型締めする。すなわち、第1樹脂シート(202b)の外側に配置される分割型(203b)及び第2樹脂シート(202a)の外側に配置される分割型(203a)によって、第1及び第2樹脂シート(202a,202b)挟む。このとき、型枠(211a,211b)と分割型(203a)が当接した状態を維持するように、型枠(211a,211b)と分割型(203b)の位置関係を相対的に調整する。
【0048】
ステップ(2G)では、型締めした成形金型(203)内において、ピンチオフ部(207)が突き合わさることにより、成形品の端部となる材料同士を溶着して一体化させる。その結果、パーティングラインPLで端部同士が溶着された2つ壁によって構成される樹脂成形体が形成される。
【0049】
ステップ(2H)では、2つの壁が一体化され、所定の温度以下に冷却された成形品を、型開きした分割型(203a,203b)から取り出し、ピンチオフ部(207)の外側のバリ部分を切断する。これにより、バリ部分が切除された樹脂成形体が得られる。
【0050】
以上のステップ(2A)〜(2H)を繰り返すことにより、一次成形(押出成形)において溶融樹脂を間欠的に押し出すたびに、2枚の第1及び第2樹脂シート(202a,202b)を次々に形成することが可能であり、押し出された2枚の第1及び第2樹脂シート(202a,202b)を、成形金型(203)を用いた二次成形(ブロー成形あるいは真空成形)により、二次成形品として樹脂成形体を連続的に形成することが可能である。
【0051】
(第2実施形態の効果)
以上、説明した第2実施形態の効果について述べる。第2実施形態によれば、第2樹脂シート(202a)とキャビティ(210)の間のエアー溜りや、真空能力不足による第2樹脂シート(202a)の賦形不良を解消でき、第2樹脂シート(202a)及びリブ形状を有する樹脂成形体の外観品質を向上させることができる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明に係る第3実施形態を
図12〜18に基づいて説明する。第3実施形態における製造対象である樹脂成形体(中空パネル)は意匠面となる第1表面と、第1表面と対向する第2表面、第1表面と第2表面の間に内在する芯材(313)により構成されている。
【0053】
図12に示すように、第3実施形態に係る第3成形装置はダイ(301a,301b)、一対の分割型(303a,303b)、第3分割型の外周部に密閉状態で摺動可能に勘合される型枠(311a,311b)により構成される。
【0054】
ダイ(301a,301b)は、その下端部の押出スリットから、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。
【0055】
成形金型(303)は、分割形式であり、第1分割型(303b)と、この第1分割型(303b)に合わさる第2分割型(303a)とを備える。これら分割型(303a,303b)は、それぞれの成形面を対向させた状態で配置され、成形面が略鉛直方向に沿うように配置される。一対の分割型(303a,303b)は、金型駆動装置(図示省略)により、溶融状態の第1及び第2樹脂シート(302a,302b)の供給方向に対して略直交する方向において開位置と閉位置との間を移動する。
【0056】
分割型(303a)の周りには、ピンチオフ部(307)が形成される。これらピンチオフ部(307)は、成形面を囲うように環状に形成され、対向する分割型(303b)に向けて突出する。これにより、分割型(303a,303b)を型締めする際、ピンチオフ(307)の先端部が当接し、2枚の第1及び第2樹脂シート(302a,302b)の周縁にパ一ティングラインPLが形成されるように溶着される。
【0057】
分割型(303b)の外周部には、型枠(311a,311b)が密接状態で摺動可能に嵌合される。型枠(311a,311b)は、型枠移動装置(図示省略)により、分割型(303b)に対して相対的に移動可能である。より詳細には、型枠(311a,311b)は、分割型(303b)から内向きに突出することにより、分割型(303a,303b)の間に配置された第1樹脂シート(302b)の外表面に当接可能である。
【0058】
分割型(303a,303b)は、それぞれ金型駆動装置により駆動され、開位置において、分割型(303a,303b)の間に第1及び第2樹脂シート(302a,302b)を配置させる一方、閉位置において、分割型(303a)のピンチオフ(307)が当接することにより、分割型(303a,303b)内にキャビティ(308、310)を形成する。
【0059】
また、分割型(303b)には、先端に吹込み針(3061)を有する吹込み装置(306)、及び真空室(204b)が設けられる。真空室(304b)は、真空孔(305)を介して成形面に連通しており、真空室(304b)から真空孔(305)を介して吸引することにより、第1樹脂シート(302b)を成形面に吸着する。これにより、第1樹脂シート(302b)をキャビティ(308)に沿った形状に賦形する。
【0060】
また、分割型(303a)には、真空室(304a)が設けられる。真空室(304a)は、真空孔(305)を介して成形面に連通しており、これにより、吹込み装置(306)による吹込みエアーにより第2樹脂シート(302a)をキャビティ(310)に沿った形状に賦形する際にキャビティ空間(310)に残存するガスを排気する。
【0061】
(第3実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法)
次に、第3実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法について説明する。この方法では、以下のステップ(2A)からステップ(2H)を含む。
【0062】
図12に示すように、ステップ(3A)では、ダイ(301a,301b)から、溶融混練した熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。これにより、熱可塑性樹脂は、スウェルして溶融状態で下方の一対の分割型(303a,303b)間へと垂下する。このとき、ピンチオフ部(307)の周りからはみ出す形態で、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)を位置決めする。以上のようにして、樹脂成形体の材料である第1及び第2樹脂シート(302a,302b)を互いに間隔を隔てた状態で、分割型(303a,303b)の間に配置する。なお、押出スリットの間隔、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)それぞれに対して個別に調整することにより、分割型(303a,303b)の間に配置される第1及び第2樹脂シート(202a,202b)の厚みを個別に調整することができる。
【0063】
ステップ(3B)では、
図13に示すように、第1樹脂シート(302b)の外表面に当たるまで分割型(303b)から型枠(311a,311b)を移動させる。すると、型枠(311a,311b)の内周面、第1樹脂シート(302b)、成形面により囲われたキャビティ(308)(密閉空間)が形成される。さらに、真空室(304b)に通じる真空孔(305)を介して、キャビティ(308)を吸引することにより、第1樹脂シート(302b)をキャビティ(308)に沿った形状に形成する(
図14参照)。これにより、成形品の片側の面が形成される。さらに
図15に示すように、芯材(313)を第1樹脂シート(302b)へ当接させ、境界面を溶着あるいはアンカー効果にて一体に固着させる。
【0064】
ステップ(3C)では、
図16に示すように、第1樹脂シート(302b)を吸引保持しつつ、分割型(303b)のピンチオフ部(307)の外周面と、型枠(311a,311b)が当接するまで分割型(303a,303b)を互いに近づく向きに移動させる。すなわち第1樹脂シート(302b)の外周部に配置される型枠(311a,311b)及び第2樹脂シート(302a)の外側に配置される分割型(303a)によって、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)挟む。
【0065】
ステップ(3D)では、ピンチオフ部(307)の外周面と、型枠(311a,311b)を介して当接した成形金型(303)内において、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)によって囲われた空間が形成される。さらに、吹込み装置(306)を前進させ、第1樹脂シート(302b)及び芯材(313)に設けた孔を貫通して吹込み針(3061)を前記空間へ侵入させる。
【0066】
ステップ(3E)では、吹込み針(3061)より第1及び第2樹脂シート(302a,302b)によって囲われた空間へエアーを高圧で流入させることで、第2樹脂シート(302a)をキャビティ(310)へ沿った形状に形成する。このとき、真空室(304a)に通じる連通孔(305)を介して、キャビティ(310)を吸引することにより、第2樹脂シートとキャビティ(310)間に残存するガスを排気する。
【0067】
ステップ(3F)では、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)の吸引及び、ブロー圧力を保持しつつ、それぞれのピンチオフ部(307)が当接するまで分割型(303a,303b)を互いに近づく向きに移動させ、分割型(303a,303b)を型締めする。すなわち、第1樹脂シート(302b)の外側に配置される分割型(303b)及び第2樹脂シート(302a)の外側に配置される分割型(303a)によって、第1及び第2樹脂シート(302a,302b)挟む。このとき、型枠(311a,311b)と分割型(303a)が当接した状態を維持するように、型枠(311a,311b)と分割型(303b)の位置関係を相対的に調整する。
【0068】
ステップ(3G)では、型締めした成形金型(303)内において、ピンチオフ部(307)が突き合わさることにより、樹脂成形体の端部となる材料同士を溶着して一体化させる。さらに、芯材(313)についても十分な厚みを持たせることによって、第2樹脂シート(302a)と当接し溶着あるいはアンカー効果にて一体に固着される。その結果、パーティングラインPLで端部同士が溶着された2つの壁と、その間に内在する芯材(313)によって構成された樹脂成形体が形成される。
【0069】
ステップ(3H)では、2つの壁及び芯材が一体化され、所定の温度以下に冷却された樹脂成形体を、型開きした分割型(303a,303b)から取り出し、ピンチオフ部(307)の外側のバリ部分を切断する。これにより、バリ部分が切除された樹脂成形体が得られる。
【0070】
以上のステップ(3A)〜(3H)を繰り返すことにより、一次成形(押出成形)において溶融樹脂を間欠的に押し出すたびに、2枚の第1及び第2樹脂シート(302a,302b)を次々に形成することが可能であり、押し出された2枚の第1及び第2樹脂シート(302a,302b)を、成形金型(303)を用いた二次成形(ブロー成形あるいは真空成形)により、二次成形品として樹脂成形体を連続的に形成することが可能である。
【0071】
(第3実施形態の効果)
以上、説明した第3実施形態の効果について述べる。第3実施形態によれば、第2樹脂シート(302a)とキャビティ(310)の間のエアー溜りや、真空能力不足による第2樹脂シート(302a)の賦形不良を解消でき、第2樹脂シート(302a)及び芯材を内在した樹脂成形体の外観品質を向上させることができる。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0073】
例えば、ダイより押し出した溶融状態の2枚の樹脂シートを直接成形に用いることに代えて、予め用意した2枚の樹脂シートを成形前に予備加熱し、溶融状態としたうえで、上下方向に配置した複数の分割型により、各種パネルを製造する成形技術(いわゆるツインコンポジット成形)を用いてもよい。