【課題】様々な形状を有するスパウト部に対して広範に適用可能であり、スパウト部の変形及び損傷を防ぎつつスパウト部を適切に支持できるスパウト保持デバイス、スパウト供給機構及びスパウトシール機を提供する。
【解決手段】流通穴21を具備するスパウト部20を保持するためのスパウト保持デバイスは、第1の方向D1へ圧縮力又は伸張力が加えられると第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性的に変形可能な弾性部13を備える。弾性部13は、スパウト部20に対し、第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力を加えることでスパウト部20を保持する。
前記弾性部は、前記第1保持部及び前記第2保持部によって加えられる前記第1の方向への力に応じて、少なくとも前記第1の方向と垂直を成す方向且つ外向きに弾性的に変形し、
前記間隔調整部は、前記スパウト部の前記流通穴に前記弾性部が配置された状態で、前記第1保持部と前記第2保持部との間の間隔を変えて前記弾性部に加えられる前記第1の方向への力を調整することで、前記弾性部が前記スパウト部のうち前記流通穴を形成する面に対して前記第1の方向と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力を加える請求項2に記載のスパウト保持デバイス。
前記本体部材は、前記大径部側の先端部に形成される弾性体配置部であって、前記第1の方向と垂直を成す方向に関し、前記第1保持部及び前記第2保持部の外径よりも小さい外径を持つ弾性体配置部を有し、
前記弾性体配置部は、前記第1の方向に関して前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置され、
前記弾性部は、少なくとも一部が前記第1保持部、前記第2保持部及び前記弾性体配置部によって区画されるスペースに配置され、前記第1保持部及び前記第2保持部によって前記第1の方向且つ圧縮される向きに力が加えられる請求項4に記載のスパウト保持デバイス。
前記弾性部は、前記弾性部に対して前記第1の方向へ力が加えられていない状態で、前記第1の方向と垂直を成す方向に関して前記本体部材及び前記大径部よりも突出しない請求項4又は5に記載のスパウト保持デバイス。
前記弾性部は、前記第1の方向と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状を有し、前記スパウト部の前記流通穴を形成する面の全周にわたって前記弾性力を加える請求項3〜8のいずれか一項に記載のスパウト保持デバイス。
前記弾性部は、前記第1保持部及び前記第2保持部によって加えられる前記第1の方向への力に応じて、少なくとも前記第1の方向と垂直を成す方向且つ内向きに弾性的に変形し、
前記間隔調整部は、前記弾性部が前記スパウト部の外面を取り囲むように配置された状態で、前記第1保持部と前記第2保持部との間の間隔を変えて前記弾性部に加えられる前記第1の方向への力を調整することで、当該弾性部が前記スパウト部の外面に対して前記第1の方向と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力を加える請求項2に記載のスパウト保持デバイス。
前記弾性部は、前記第1の方向と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状を有し、前記スパウト部の外面の全周にわたって前記弾性力を加える請求項10に記載のスパウト保持デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0033】
以下の各実施形態に係るスパウト保持デバイスは、スパウト部を保持するためのデバイスである。ここでいう「スパウト部」には、例えばスパウト単体、袋が取り付けられたスパウト、及びその他の附属物が取り付けられたスパウトが含まれる。各実施形態に係るスパウト保持デバイスは、第1の方向へ圧縮力又は伸張力が加えられると当該第1の方向と垂直を成す方向へ弾性的に変形可能な弾性部を備え、この弾性部が、スパウト部に対し、第1の方向と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力を加えることでスパウト部を保持する。
【0034】
このようなスパウト保持デバイスは、スパウト部の保持方式に関して幾つかのタイプに分類される。例えば、弾性部に対して第1の方向へ圧縮力を加えることで、第1の方向と垂直を成す方向へ弾性部からスパウト部に弾性力が加えられるタイプのスパウト保持デバイス(以下「圧縮型のスパウト保持デバイス」とも呼ぶ)がある。また、弾性部をスパウト部に対して直接的に第1の方向へ押しつけることで、第1の方向と垂直を成す方向へ弾性部からスパウト部に弾性力が加えられるタイプのスパウト保持デバイス(以下「直接押圧型のスパウト保持デバイス」とも呼ぶ)がある。
【0035】
また圧縮型のスパウト保持デバイス及び直接押圧型のスパウト保持デバイスの各々に関し、スパウト部の外周面(縁部を含む)に弾性力が加えられるタイプのスパウト保持デバイス(以下「外面保持型のスパウト保持デバイス」とも呼ぶ)がある。またスパウト部の内周面(すなわちスパウト部に設けられる流通部を形成する面(縁部を含む))に弾性力が加えられるタイプのスパウト保持デバイス(以下「内面保持型のスパウト保持デバイス」とも呼ぶ)がある。
【0036】
以下の第1実施形態及び第2実施形態に係るスパウト保持デバイスは圧縮型のスパウト保持デバイスであり、第3実施形態及び第4実施形態に係るスパウト保持デバイスは直接押圧型のスパウト保持デバイスである。特に第1実施形態は圧縮型且つ内面保持型のスパウト保持デバイスに係り、第2実施形態は圧縮型且つ外面保持型のスパウト保持デバイスに係る。また第3実施形態は直接押圧型且つ内面保持型のスパウト保持デバイスに係り、第4実施形態は直接押圧型且つ外面保持型のスパウト保持デバイスに係る。
【0037】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るスパウト保持デバイス10の一例を側方から見た断面を示す概略図である。
図2は、
図1の「A」で示された部分の拡大図であり、(a)は弾性部13に圧縮力が加えられていない状態を示し、(b)は弾性部13に圧縮力が加えられた状態を示す。
【0038】
なお以下の説明における「第1の方向D1」は、
図1及び
図2に示す軸線方向を指し、軸線の「一方から他方へ向かう方向」だけではなく「他方から一方へ向かう方向」も含む概念である。例えば、
図1及び
図2の紙面の「上方から下方へ向かう方向」及び「下方から上方へ向かう方向」の各々が「第1の方向D1」に該当する。
【0039】
本実施形態に係る「圧縮型且つ内面保持型のスパウト保持デバイス10」は、第1の方向D1へ並んで同一軸線上に配置される第1保持部11及び第2保持部12と、第1保持部11及び第2保持部12の相互間に配置される弾性部13と、第1保持部11及び第2保持部12のうち少なくともいずれか一方(以下に説明する例では第2保持部12)を移動させて第1の方向D1に関する第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を変えられる間隔調整部14とを備える。
【0040】
より具体的には、スパウト保持デバイス10は、第1の方向D1へ延在する進退路17を具備する筒状の本体部材15と、本体部材15の進退路17を貫通して設けられる進退軸部16とを備え、本体部材15及び進退軸部16は全体して第1の方向D1に延在する略棒状の構造を有する。本体部材15は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、スパウト部20の流通穴21の径(すなわちスパウト部20の内径)d1よりも小さい外径d2を有する。なお略棒状の本体部材15は、位置に応じて異なる大きさの外径を有していてもよく、その場合には、少なくともスパウト部20の流通穴21に挿入される部分の外径d2が流通穴21の径d1よりも小さい。進退軸部16は、本体部材15の進退路17の両開口より突出しており、当該両開口のうちの一方の開口(
図1及び
図2の例では紙面下方の開口)から突出する側において、本体部材15の進退路17の外側に配置される大径部18を具備する。この大径部18は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、進退路17の径(すなわち本体部材15の内径)d3よりも大きく設けられる一方で、流通穴21の径d1よりも小さく設けられ、例えば本体部材15のうち流通穴21に挿入される部分の外径d2以下の大きさに形成可能である。
【0041】
本例の第1保持部11は本体部材15によって構成され、第2保持部12は、進退軸部16の大径部18によって構成される。
【0042】
本体部材15は、大径部18側の先端部に形成される弾性体配置部31を有する。この弾性体配置部31は、第1の方向D1に関して第1保持部11と第2保持部12との間に配置され、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、第1保持部11及び第2保持部12の外径よりも小さい外径を有する。
【0043】
一方、スパウト部20は、流通穴21の一方の開口部を形成する口部23と、流通穴21の他方の開口部を形成するシール部25と、口部23とシール部25との間に形成されるフランジ部24とを有する。フランジ部24は段差部を有し、当該段差部は、第1の方向D1に隣接する部位よりも第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径(特に外径)が小さく、案内部材として機能するスパウト保持部材70がこの段差部に係合する。フランジ部24の段差部がスパウト保持部材70によって案内されながら、スパウト部20は移送される。
【0044】
本例の弾性部13は、スパウト部20に接触してスパウト部20に弾性力を作用させ、主としてスパウト部20の表面(特に内表面)との間における摩擦力によって、スパウト部20を吊り下げて保持する。したがって、弾性に富み、柔軟な表面特性を有し、摩擦係数の大きな部材によって弾性部13を構成することが好ましく、例えばゴムによって好適に弾性部13を構成することができる。この弾性部13の少なくとも一部は、第1保持部11、第2保持部12及び弾性体配置部31によって区画されるスペースに配置される。当該スペースに配置される弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって第1の方向D1且つ圧縮される向きに力が加えられる。弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって加えられる第1の方向D1への力に応じて、第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性的に変形する。特に本実施形態に係る弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって加えられる第1の方向D1への圧縮力に応じて、少なくとも第1の方向D1と垂直を成す方向且つ外向きに弾性的に変形する。ここでいう「外向き」への弾性変形は、スパウト部20に形成された第1の方向D1へ延在する流通穴21の中心から径方向へ離れる方向(
図1の符号「Do」参照)への変形を意味する。
【0045】
なお本例の弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に対して第1の方向D1へ力が加えられていない状態では、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して本体部材15(第1保持部11)及び大径部18(第2保持部12)よりも突出しない。一方、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に対して第1の方向D1へ圧縮力が加えられると、弾性部13は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して本体部材15(第1保持部11)及び大径部18(第2保持部12)よりも突出する。
【0046】
図3は、第1実施形態に係る弾性部13の一例を示す断面図である。
図3には、第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性部13を切断して得られる弾性部13の断面が示されている。本例の弾性部13は、筒状の形状を持ち、第1の方向D1へ延在する中央穴13aを有し、第1の方向D1と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状を有する。弾性部13の中央穴13aには、本体部材15の弾性体配置部31が挿入される。なお第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、中央穴13aの径(すなわち弾性部13の内径)の大きさは、本体部材15の弾性体配置部31の径(外径)以上の大きさを有し、第1保持部11及び第2保持部12の径よりも小さい。これにより、弾性部13は、第1保持部11、第2保持部12及び弾性体配置部31によって区画されるスペースにおいて保持され、当該スペースから弾性部13が脱落することを効果的に防げる。なお弾性部13に第1の方向D1に関する圧縮力を加えた際に、第1の方向D1且つ外向きに弾性部13を効率良く変形させるには、弾性部13と弾性体配置部31との間のスペースを小さくすることが好ましく、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する中央穴13aの径(すなわち弾性部13の内径)の大きさが弾性体配置部31の径(外径)に近いことが好ましく、中央穴13aの径(すなわち弾性部13の内径)の大きさと弾性体配置部31の径(外径)の大きさとが等しくてもよい。
【0047】
またスパウト保持デバイス10は、
図1に示すように、本体部材15及び進退軸部16に連結される第1駆動制御部33と、進退軸部16に連結される第2駆動制御部34とを備える。本例では、第1連結部材35を介して第1駆動制御部33(特に昇降軸部33b)が本体部材15に連結され、第1連結部材35、第2連結部材36、第2駆動制御部34及び第3連結部材37を介して第1駆動制御部33(特に昇降軸部33b)が進退軸部16に連結される。すなわち第1連結部材35は第2連結部材36に対して直接的に固定されている。第2駆動制御部34(特に昇降軸部34b)は、第3連結部材37を介して進退軸部16に連結され、また第2駆動制御部34(特に本体部34a)は第2連結部材36及び第1連結部材35を介して本体部材15に連結される。そして第1駆動制御部33は、本体部33aからの昇降軸部33bの突出量が調整されることで、本体部材15及び進退軸部16を第1の方向D1へ移動(昇降)させることができる。また第2駆動制御部34は、本体部34aからの昇降軸部34bの突出量が調整されることで、進退軸部16を第1の方向D1へ移動(昇降)させることができる。なお、第1駆動制御部33の昇降軸部33bは、昇降自在に、支持フレーム39に形成された貫通孔39aを貫通しており、また第2駆動制御部34の昇降軸部34bは、昇降自在に、第2連結部材36に形成された貫通孔36aを貫通する。
【0048】
第1駆動制御部33及び第2駆動制御部34は、それぞれ、本体部33a、34aからの昇降軸部33b、34bの突出量を調整できる任意の構成を有することができ、典型的にはエアシリンダによって構成される。このように、本体部材15及び進退軸部16の第1の方向D1に関する全体的な位置が第1駆動制御部33によってコントロールされる一方で、本体部材15と進退軸部16との間の第1の方向D1に関する相対的な位置が第2駆動制御部34によってコントロールされる。したがって本例では、「第1の方向D1に関する第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を変えられる間隔調整部14」が第2駆動制御部34によって構成される。なお第1駆動制御部33及び第2駆動制御部34の昇降軸部33b、34bの突出量は、図示しないコントローラ等によって適宜制御される。
【0049】
間隔調整部14(すなわち第2駆動制御部34)は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して弾性部13及びスパウト部20が並んで配置された状態(
図1及び
図2に示される状態)で、第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を変えて弾性部13に加えられる第1の方向D1への力を調整する。これにより、弾性部13がスパウト部20に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力を加えることができる。すなわち間隔調整部14は、スパウト部20が具備する流通穴21に弾性部13が配置された状態で、第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を変えて弾性部13に加えられる第1の方向D1への力(特に圧縮力)を調整する。これにより、スパウト部20のうち流通穴21を形成する面(すなわちスパウト部20の内側面22)に弾性部13を接触させて、スパウト部20のうち流通穴21を形成する内側面22に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向(本例では第1の方向D1と垂直を成す全ての方向)へ弾性部13が弾性力を加える。
【0050】
さらに本例のスパウト保持デバイス10は、本体部材15を第1の方向D1へガイドするガイド部38と、第1駆動制御部33(特に本体部33a)及びガイド部38に連結される支持フレーム39と、を備える。ガイド部38は、筒状の形状を有し、第1の方向D1へ延在する貫通孔38aが内側に形成されており、支持フレーム39に対して直接的に固定されている。本体部材15及び進退軸部16は、ガイド部38の貫通孔38aを貫通し、ガイド部38に対して第1の方向D1へ相対的に移動することができ、本体部材15はガイド部38のうち貫通孔38aを形成する面(すなわち内周面)上を摺動してもよい。
【0051】
支持フレーム39は、第1駆動制御部33(特に本体部33a)及びガイド部38を支持する支持具として機能するだけではなく、第1駆動制御部33及びガイド部38を含むスパウト保持デバイス10全体を第1の方向D1と垂直な方向(本例では水平方向)へ移動させることができる保持移動装置50としても機能する。すなわち支持フレーム39は、移動駆動源(
図10の「駆動軸148」参照)の駆動制御下で水平方向へ移動可能に設けられており、所定の移送開始位置と移送終了位置との間を移動することができる。保持移動装置50として機能する支持フレーム39とスパウト保持デバイス10を構成する他の要素と備える構造体は、スパウト供給機構60とも呼ばれる。本例の支持フレーム39は、支持具としてスパウト保持デバイス10の一部要素を構成するとともに、保持移動装置50としてスパウト供給機構60の一部要素を構成する。
【0052】
次に、スパウト保持デバイス10によってスパウト部20を保持する方法(スパウト保持方法)について説明する。
【0053】
まず第1駆動制御部33により本体部材15及び進退軸部16を第1の方向D1及び第1の方向D1と垂直を成す方向へ移動させて、弾性部13が、第1の方向D1と垂直を成す方向に関してスパウト部20の口部23と対向する位置に配置される(配置工程)。本実施形態では、
図2(a)に示すように、スパウト部20の口部23における流通穴21に本体部材15及び進退軸部16の先端部が挿入され、第1保持部11の少なくとも一部、弾性部13及び第2保持部12(大径部18)が流通穴21に配置される。具体的には、第1駆動制御部33が本体部33aからの昇降軸部33bの突出量を調整し(本例では当該突出量を低減し)、本体部材15及び進退軸部16を第1の方向D1へ移動させることで、本体部材15及び進退軸部16の先端部が流通穴21に進入する。この配置工程において、第1保持部11、弾性部13及び第2保持部12は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、流通穴21の径d1よりも小さい径を有しており、第1保持部11、弾性部13及び第2保持部12は、スパウト部20の内側面22に接することなく又は内側面22上を摺動して、流通穴21にスムーズに挿入される。
【0054】
なお弾性部13は、流通穴21に挿入される間、第1保持部11及び第2保持部12から力を受けて第1の方向D1へ圧縮されていてもよいし、力を受けずに第1の方向D1へ圧縮されていなくてもよいが、流通穴21の径d1よりも小さい径(外径)を有する。弾性部13を流通穴21にスムーズに挿入する観点からは、第1保持部11の外周面及び第2保持部12の外周面が第1の方向D1と垂直を成す方向に関して同じ大きさの径を有することが好ましく、また第1保持部11の外周面、弾性部13の外周面及び第2保持部12の外周面が面一に形成されていることが好ましく、また第2保持部12の外周面が第1の方向D1と垂直を成す方向に関して弾性部13の外周面よりも小さい径を有していてもよい。なお本例では、上述の配置工程が行われる間、本体部材15の先端面(弾性体配置部31の端面)と大径部18との間にはスペース(隙間)S1が形成され、お互いに接触しない。
【0055】
そして、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に対して第1の方向D1への圧縮力が加えられ、弾性部13からスパウト部20に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力が加えられることで、スパウト部20が弾性部13(スパウト保持デバイス10)によって保持される(支持工程)。本実施形態では、
図2(b)に示すように、第1の方向D1のうち第1保持部11に近づく方向(すなわち弾性部13に向かう方向)へ第2保持部12が移動し、弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって第1の方向D1へ押し潰され、第1保持部11及び第2保持部12から圧縮力を受ける。具体的には、第2駆動制御部34が本体部34aからの昇降軸部34bの突出量を調整し(本例では当該突出量を低減し)、進退軸部16を第1の方向D1(特に
図1及び
図2の紙面における上方向)へ移動させることで、第1の方向D1に関する本体部材15と進退軸部16との間の間隔(すなわち第1保持部11、第2保持部12及び弾性体配置部31によって区画されるスペースの長さ)が小さくされる。これにより、弾性部13は、第1の方向D1と垂直を成す方向であって外向き方向に弾性的に変形し、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び第2保持部12を超えて膨張し、スパウト部20の内側面22に接触して第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性力を作用させ、摩擦力によってスパウト部20を保持する。
【0056】
このように
図2(a)に示す配置工程では、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び/又は第2保持部12から突出しない状態であった弾性部13は、
図2(b)に示す支持工程では、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び第2保持部12から突出してスパウト部20の内側面22に密着した状態となり、スパウト部20に対して摩擦力を作用させる。
【0057】
以上説明したように本実施形態によれば、弾性部13の弾性変形及び弾性力に基づいて流通穴21を形成するスパウト部20の内側面22が支持されるため、様々な形状を有するスパウト部20をスパウト保持デバイス10によって保持することができる。また、弾性部13の弾性変形を利用することで、面単位で弾性部13をスパウト部20に密着させることができ、また弾性部13からスパウト部20に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力が加えられるため、スパウト部20に対して局所的に過大な力が作用することを効果的に回避してスパウト部20の変形及び損傷を防ぎつつ、弾性部13によってスパウト部20を適切に支持することができる。
【0058】
特に本実施形態に係るスパウト保持デバイス10によれば、流通穴21を形成するスパウト部20の内側面22に対して弾性部13の外周面を押し当てることでスパウト部20が保持されるため、例えば口部23を持たない特殊な形状のスパウト部20であっても、流通穴21を有するスパウト部20であれば保持可能である。また本例のスパウト保持デバイス10からスパウト部20に加えられる力は、従来のような外側からの2方向の力(特に相互に向き合う力)ではなく、スパウト部20の内側から径方向外側への3方向以上の多方向に向かう力であり、またスパウト部20の内側面22の全周にほぼ均等に作用する力である。すなわち弾性部13は、第1の方向D1と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状(
図3参照)を有し、スパウト部20の流通穴21を形成する内側面22の全周にわたって弾性力を加える。そのため、スパウト部20の変形やスパウト部20の損傷を効果的に防止できる。
【0059】
また本実施形態に係るスパウト保持デバイス10によれば、弾性部13が本体部材15や進退軸部16とは別個の独立した部材として構成される。弾性部13は圧縮力を繰り返し受ける部材であるため、使用とともに徐々に劣化し、交換を必要とする消耗品でもある。本実施の形態のように弾性部13を本体部材15及び進退軸部16とは別個に設けることによって、弾性部13が劣化しても、弾性部13のみを交換すれば足りるため、弾性部13の交換に伴うコストを低減できる。また本実施形態の弾性部13は、第1保持部11、第2保持部12及び弾性体配置部31によって区画されるスペースに配置されるため、弾性部13の取り外し及び装着を簡単に行うことができ、弾性部13の交換を迅速且つ確実に行うことができる。
【0060】
なお上述の例では
図3に示すような環状の断面を持つ弾性部13が用いられているが、弾性部13の形状は特に限定されない。第1保持部11及び第2保持部12から第1の方向D1へ圧縮力を受けた際に、第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性部13が弾性変形して、弾性部13がスパウト部20の内側面22に密着して弾性力を付与し、スパウト部20(特に内側面22)を保持することができる任意の形状を弾性部13は採用しうる。
【0061】
上述の例の弾性部13(
図3参照)は、環状の断面形状を有し、第1の方向D1へ圧縮された場合には第1の方向D1と垂直な方向に関して外向きのあらゆる方向へほぼ均等に弾性変形し、スパウト部20(内側面22)に対して第1の方向D1と垂直な方向且つ外向きの方向へほぼ均等な弾性力を作用させることができる。この場合、弾性部13からスパウト部20に作用する弾性力が特定の方向に関してのみ大きくなることを効果的に防いで、スパウト部20の変形及び損傷を効果的に回避できるメリットがある。
【0062】
図4は、弾性部13の変形例を示す断面図である。
図4(a)及び(b)の各々には、第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性部13を切断して得られる弾性部13の断面が示されている。
図4(a)に示す変形例に係る弾性部13は、環状の基部13bと、当該基部13bから第1の方向D1と垂直を成す方向且つ外向きに突出する少なくとも3つ(
図4(a)に示す例では4つ)の突起部13cとを有する。
図4(b)に示す変形例に係る弾性部13は、環状の基部13bと、当該基部13bから第1の方向D1と垂直を成す方向且つ内向き(すなわち中央穴13a側)に突出する少なくとも3つ(
図4(b)に示す例では4つ)の突起部13cとを有する。
【0063】
図4(a)及び(b)の各々に示す例では、弾性部13の周方向に関して隣接する突起部13c同士が、中央穴13aを中心とした場合にほぼ90度を形成するように配置され、これらの突起部13cは点対称及び線対称を形成する位置に配置される。ただし上述の
図4(a)及び(b)の各々に示す弾性部13において、少なくとも3つの突起部13cの配置位置は特に限定されない。弾性部13からスパウト部20(内側面22)に作用させる力が特定の方向に偏るのを防ぐ観点からは、第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性部13を切断して得られる弾性部13の断面において、回転対称(点対称を含む)又は線対称となる位置に少なくとも3つの突起部13cを配置することが好ましい。
図4(a)及び(b)に示す弾性部13のように、突起部13c間にスペースを形成することで、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に加えられる圧縮力を低減しつつ、第1の方向D1と垂直を成す方向への弾性部13の所望の弾性変形量を確保することができる。
【0064】
[第2実施形態]
本実施形態において上述の第1実施形態のスパウト保持デバイス10と同一又は類似の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
図5は、第2実施形態に係るスパウト保持デバイス10の一例の側方断面を示す概略図である。
図6は、
図5の「A」で示された部分の拡大図であり、(a)は弾性部13に圧縮力が加えられていない状態を示し、(b)は弾性部13に圧縮力が加えられた状態を示す。
【0066】
上述の第1実施形態では進退軸部16が大径部18を有していたが、本実施形態の進退軸部16は、大径部18の代わりに拡径部19を有する。すなわち進退軸部16は、本体部材15の進退路17の両開口のうちの一方の開口(
図5及び
図6の例では紙面下方の開口)から突出する側において、進退路17の外側に配置される拡径部19を具備する。拡径部19は、本体部材15の進退路17を貫通する進退軸部16(貫通軸部26)の先端部に設けられる。この拡径部19は、第1の方向D1と垂直を成す方向へ延在する円板状の拡張部19aと、拡張部19aの周縁部から第1の方向D1且つ進退路17から突出する向きに延在する筒状の押圧部19bとを有する。押圧部19bの内径は、スパウト部20の口部23の先端部の径(外径)以上の大きさを有する。
【0067】
一方、本体部材15は、第2駆動制御部34とは反対側の端部において、円筒状の側壁部15aと、側壁部15aの先端部から第1の方向D1と垂直を成す方向へ延在する環状の底壁部15bとを有する。第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、側壁部15aの内径は、スパウト部20の口部23(特に弾性部13から弾性力を受ける部分(口部23の先端部))の外径よりも大きく、また押圧部19bの外径よりも大きく、また弾性部13の外径よりも大きい。一方、底壁部15bの内径は、スパウト部20の口部23(特に弾性部13から弾性力を受ける部分)の外径よりも大きく、弾性部13の外径よりも小さい。なお弾性部13の内径は、スパウト部20の口部23の先端部の径(外径)以上の大きさを有する。
【0068】
本体部材15の側壁部15a及び底壁部15bは円柱状の可動スペース27を区画し、この可動スペース27に進退軸部16の拡径部19及び弾性部13が配置される。第1の方向D1に関し、可動スペース27の長さは、拡径部19(拡張部19a及び押圧部19b)及び弾性部13の長さの合計よりも大きく、可動スペース27内において拡径部19(進退軸部16)は第1の方向D1への移動(往復動)が可能である。また弾性部13は、環状の断面を有し(
図3参照)、可動スペース27内において第1の方向D1に関して押圧部19bと底壁部15bとの間に配置される。進退軸部16が底壁部15bに向かって移動することで、弾性部13は押圧部19b及び底壁部15bに挟まれて第1の方向D1への圧縮力を受ける。
【0069】
したがって本実施形態では、第1保持部11は底壁部15b(本体部材15)によって構成され、第2保持部12は押圧部19b(拡径部19(進退軸部16))によって構成される。そして本実施形態に係る弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって加えられる第1の方向D1への圧縮力に応じて、少なくとも第1の方向D1と垂直を成す方向且つ内向き(
図5の符号「Di」で示す矢印参照)に弾性的に変形する。
【0070】
間隔調整部14(すなわち第2駆動制御部34)は、弾性部13がスパウト部20の外面を取り囲むように配置された状態で、第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を変えて第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に加えられる第1の方向D1への力(特に圧縮力)を調整する。これにより、スパウト部20の外面に弾性部13を接触させて、弾性部13がスパウト部20に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向(本例では第1の方向D1と垂直を成す全ての方向)へ弾性力を加える。
【0071】
他の構成は、上述の第1実施形態に係るスパウト保持デバイス10と同様である。
【0072】
本実施形態においても、まず第1駆動制御部33により本体部材15及び進退軸部16を第1の方向D1及び第1の方向D1と垂直を成す方向へ移動させて、弾性部13が、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して口部23と対向する位置に配置される(配置工程)。ただし本実施形態では、
図6(a)に示すように、スパウト部20の口部23の先端部の外周面を、進退軸部16(特に押圧部19b)、弾性部13及び本体部材15(特に底壁部15b)によって包囲するように、本体部材15及び進退軸部16が配置される。具体的には、第1駆動制御部33が本体部33aからの昇降軸部33bの突出量を調整し(本例では当該突出量を低減し)、本体部材15及び進退軸部16を第1の方向D1へ移動させることで、スパウト部20(口部23)の先端部が進退軸部16の拡径部19bの内側、第2保持部12の内側(中央穴13a(
図3参照))、弾性部13の内側(中央穴13a)及び本体部材15の底壁部15bの内側に進入する。
【0073】
この配置工程において、第1保持部11、弾性部13及び第2保持部12は、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、スパウト部20の口部23の外径よりも大きい径を有することが好ましい。その場合、スパウト部20の口部23は、第1保持部11、弾性部13及び第2保持部12に接触することなく、第1保持部11、弾性部13及び第2保持部12の内側へスムーズに挿入することが可能である。なお本例の配置工程では、第2保持部12(すなわち押圧部19b)と弾性部13との間にはスペースS2が形成され、第2保持部12と弾性部13とは互いに接触せず、弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12から圧縮力を受けていない。
【0074】
そして、弾性部13に対して第1の方向D1へ圧縮力が加えられ、弾性部13からスパウト部20に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向へ弾性力が加えられることでスパウト部20が弾性部13(スパウト保持デバイス10)によって保持される(支持工程)。本実施形態では、
図6(b)に示すように、第1の方向D1のうち第1保持部11に近づく方向(すなわち弾性部13に向かう方向)へ第2保持部12が移動し、弾性部13は、第1保持部11及び第2保持部12によって第1の方向D1へ押し潰され、第1保持部11及び第2保持部12から圧縮力を受ける。具体的には、第2駆動制御部34が本体部34aからの昇降軸部34bの突出量を調整し(本例では当該突出量を増大し)、進退軸部16を第1の方向D1(特に
図5及び
図6の紙面における下方向)へ移動させることで、第1の方向D1に関する本体部材15と進退軸部16との間の間隔(すなわち第1保持部11、第2保持部12及び側壁部15aによって区画されるスペースの長さ)が小さくされる。これにより、弾性部13は、第1の方向D1と垂直を成す方向であって内向き方向に弾性的に変形し、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び第2保持部12を超えて膨張し、スパウト部20の外周面に接触して第1の方向D1と垂直を成す方向へ弾性力を作用させ、摩擦力によってスパウト部20を保持する。
【0075】
したがって、
図6(a)に示す配置工程では、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び/又は第2保持部12から突出しない状態であった弾性部13は、
図6(b)に示す支持工程では、第1の方向D1と垂直を成す方向に関して第1保持部11及び第2保持部12から突出してスパウト部20の外周面に密着した状態となる。
【0076】
以上説明したように本実施形態によれば、弾性部13の弾性変形及び弾性力に基づいて流通穴21を形成するスパウト部20の外周面が支持され、様々な形状を有するスパウト部20をスパウト保持デバイス10によって保持することができる。特に本実施形態の弾性部13は、第1の方向D1と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状を有し(
図3参照)、スパウト部20(特に口部23)の外面の全周にわたって弾性力を加える。そのため、スパウト部20の変形及び損傷を防ぎつつ、弾性部13によってスパウト部20を適切に支持することができる。
【0077】
なお本実施形態に係る弾性部13の形状も特に限定されず、上述の第1実施形態に係る弾性部13と同様の断面形状(例えば
図3及び
図4参照)を採用しうる。
【0078】
[第3実施形態]
本実施形態において上述の第1実施形態のスパウト保持デバイス10と同一又は類似の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0079】
図7は、第3実施形態に係るスパウト保持デバイス10の一例の側方断面を示す概略図である。
【0080】
本実施形態に係るスパウト保持デバイス10は、円錐台形状を有する突出形状体43と、突出形状体43を第1の方向D1へ移動させる挿入制御部44とを備える。
【0081】
突出形状体43は、第1の方向D1に関する位置に応じて、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する外面部分(本例では外周面47)の径が変化する。本例の突出形状体43の外面は、第1の方向D1に関してスパウト部20に近接する側(
図7の紙面の下側)に配置される先端面45、スパウト部20から離間する側(
図7の紙面の上側)に配置される後端面46、及び先端面45の外周縁と後端面46の外周縁とをつなぐ外周面47を含む。本例の突出形状体43は、第1の方向D1と垂直を成す方向の径が先端面45から後端面46に向かって(すなわち第1の方向D1に関して)連続的に大きくなる楔形状を有する。第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、先端面45の径はスパウト部20の口部23(特に先端部)の径d1よりも小さく、後端面46の径はスパウト部20の口部23(特に先端部)の径d1よりも大きい。したがって、突出形状体43の先端面45側の端部は、スパウト部20の口部23の流通穴21にスムーズに挿入可能であるが、突出形状体43のうち先端面45と後端面46との間の中間部分(
図7の符号「B」及び「C」で示される領域参照)よりも後端面46側の部分は基本的に流通穴21に挿入されない。すなわち
図7に示すように突出形状体43をスパウト部20の流通穴21に挿入する際、突出形状体43のうち口部23の径d1(特に口部23の内周縁部(すなわち口部23の内周面の先端縁部))と同じ大きさの径又は当該径d1よりも僅かに大きい径を有する中間部分がスパウト部20の口部23の先端部(口部23の内周縁部)に接触する。
【0082】
本例の突出形状体43は、全体が弾性部13によって構成される。ただし本実施形態に係る弾性部13は、突出形状体43の外面(特に外周面47)の少なくとも一部を構成し、第1の方向D1と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が円形状又は環形状を有し、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径がスパウト部20の流通穴21の径d1よりも大きい部分を有していればよい。したがって、突出形状体43の一部のみが弾性部13によって構成されていてもよい。例えば、突出形状体43のうち、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径がスパウト部20の流通穴21の径d1と同じ大きさを有する部分、当該径d1よりも僅かに大きい径を有する部分、及び当該径d1よりも僅かに小さい径を有する部分(
図7の符号「B」で示される円錐台形状の領域参照)のみを、弾性部13によって構成してもよい。また突出形状体43の外面(特に外周面47)のうち第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径がスパウト部20の流通穴21の径d1と同じ大きさを有する部分、当該径d1よりも僅かに大きい径を有する部分、及び当該径d1よりも僅かに小さい径を有する部分(
図7の符号「C」で示される外周面47の領域参照)のみが弾性部13によって構成されるように、環形状の断面を有する弾性部13が用いられてもよい。
【0083】
挿入制御部44は、突出形状体43を移動させて、突出形状体43の一部(本例では先端面45側の部分)をスパウト部20の流通穴21に配置することができる。挿入制御部44の構成は特に限定されず、突出形状体43を第1の方向D1へ移動させて、突出形状体43の先端面45側の先端部をスパウト部20の流通穴21に対して適切に進入及び後退させることができる任意の構成を挿入制御部44は採用しうる。
【0084】
他の構成は、上述の第1実施形態に係るスパウト保持デバイス10と同様である。
【0085】
挿入制御部44は、突出形状体43の一部(本例では先端面45側先端部)をスパウト部20の流通穴21に配置するように突出形状体43を移動させて、スパウト部20から突出形状体43(弾性部13)に力を加えさせて第1の方向D1と垂直を成す方向且つ内向き(
図7の符号「Di」で示す矢印参照)に突出形状体43(弾性部13)を弾性的に変形させる。これにより、突出形状体43(弾性部13)がスパウト部20の口部23(特に内周縁部)に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向(本例では第1の方向D1と垂直を成す全ての方向)へ弾性力を加え、突出形状体43(弾性部13)によってスパウト部20が保持される。
【0086】
以上説明したように本実施形態によれば、シンプルに構成されるスパウト保持デバイス10(特に突出形状体43)によって、スパウト部20の変形及び損傷を効果的に防ぎつつスパウト部20を適切に支持できる。特に本実施形態のスパウト保持デバイス10は、上述の第1実施形態のスパウト保持デバイス10と同様にスパウト部20の内側(すなわち流通穴21を形成する内周面側)に力(弾性力)を加える方式を採用するため、様々な形状を有するスパウト部20(例えば口部23を有さないスパウト部20)に対して広範に適用可能である。
【0087】
[第4実施形態]
本実施形態において上述の第1実施形態のスパウト保持デバイス10と同一又は類似の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0088】
図8は、第4実施形態に係るスパウト保持デバイス10の一例の側方断面を示す概略図である。
【0089】
本実施形態に係るスパウト保持デバイス10は、第1の方向D1に関する位置に応じて、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径が変化する窪み部53を有する凹形状体52と、凹形状体52を移動させて、凹形状体52の窪み部53内にスパウト部20の口部23(特に先端部)を配置することができる挿入制御部54と、を備える。
【0090】
本例の凹形状体52は円錐台形状を有し、窪み部53は、凹形状体52のうちスパウト部20側の端部に形成された円錐台形状のスペースである。すなわち凹形状体52及び窪み部53の各々は、第1の方向D1に関してスパウト部20に近接する側(
図8の紙面の下側)から、スパウト部20から離間する側(
図8の紙面の上側)に向かって、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径が連続的に小さくなる。第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、スパウト部20に近接する側(
図8の紙面の下側)の端部における窪み部53の径(すなわち凹形状体52の内周面56(特に内周縁部)の径)は、スパウト部20の口部23(特に先端部)の径(特に外径)d4よりも大きい。一方、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、スパウト部20から離間する側(
図8の紙面の上側)の端部における窪み部53の径(すなわち凹形状体52の内周面56の径)は、スパウト部20の口部23(特に先端部)の径(特に外径)d4よりも小さい。
【0091】
したがって、凹形状体52の窪み部53に対して、スパウト部20の口部23の先端部(特に外周面)を挿入することが可能であるが、窪み部53のうちスパウト部20から離間する側(
図8の紙面の上側)の端部を形成する凹形状体52の面57には、スパウト部20の口部23の先端部が届かない。すなわち
図8に示すように凹形状体52の窪み部53にスパウト部20の口部23を挿入する際、窪み部53を形成する凹形状体52の表面(内周面56)のうち、口部23の外径d4(特に口部23の外周縁部(すなわち口部23の外周面の先端縁部))と同じ大きさの径又は当該径d4よりも僅かに小さい径を有する中間部分がスパウト部20の口部23の先端部(口部23の外周縁部)に接触する。
【0092】
本例の凹形状体52は、全体が弾性部13によって構成されているが、本実施形態に係る弾性部13は、凹形状体52のうちの窪み部53を形成する表面の少なくとも一部を構成し、窪み部53を形成する箇所において第1の方向D1と垂直を成す方向へ切断して得られる断面が環形状を有し、窪み部53を形成する箇所において第1の方向D1と垂直を成す方向に関しスパウト部20の口部23の外面の径よりも小さい内径を有する部分を含んでいればよい。したがって例えば、凹形状体52のうち、第1の方向D1と垂直を成す方向に関する内径がスパウト部20の口部23の外径d4と同じ大きさを有する部分、当該径d4よりも僅かに大きい内径を有する部分、及び当該径d4よりも僅かに小さい内径を有する部分(
図8の符号「D」で示される環形状の領域参照)のみを、弾性部13によって構成してもよい。また凹形状体52の内面(特に内周面56)のうち第1の方向D1と垂直を成す方向に関する径がスパウト部20の口部23の外径d4と同じ大きさを有する部分、当該径d4よりも僅かに大きい径を有する部分、及び当該径d4よりも僅かに小さい径を有する部分(
図8の符号「E」で示される内周面56の領域参照)のみが弾性部13によって構成されるように、環形状の断面を有する弾性部13が用いられてもよい。
【0093】
挿入制御部54は、凹形状体52を移動させて、スパウト部20の一部(特に口部23の先端部)を窪み部53に配置することができる。挿入制御部54の構成は特に限定されず、凹形状体52を第1の方向D1へ移動させて、凹形状体52の窪み部53に対してスパウト部20の先端部を適切に進入及び後退させることができる任意の構成を挿入制御部54は採用しうる。
【0094】
他の構成は、上述の第1実施形態に係るスパウト保持デバイス10と同様である。
【0095】
挿入制御部54は、凹形状体52の窪み部53内にスパウト部20の少なくとも一部(特に口部23の先端部)を配置するように凹形状体52を移動させて、スパウト部20の口部23(特に先端部の外周縁部)から凹形状体52(弾性部13)に力を加えさせて第1の方向D1と垂直を成す方向且つ外向き(
図8の符号「Do」参照)に凹形状体52(弾性部13)を弾性的に変形させる。これにより、凹形状体52(弾性部13)がスパウト部20の口部23に対して第1の方向D1と垂直を成す3以上の異なる方向(本例では第1の方向D1と垂直を成す全ての方向)へ弾性力を加え、凹形状体52(弾性部13)によってスパウト部20が保持される。
【0096】
以上説明したように本実施形態によれば、シンプルに構成されるスパウト保持デバイス10(特に凹形状体52)によって、スパウト部20の変形及び損傷を効果的に防ぎつつスパウト部20を適切に支持できる。
【0097】
[スパウト供給機構及びスパウトシール機]
上述のスパウト保持デバイス10を備えるスパウト供給機構及びスパウトシール機の一例について説明する。以下に例示するスパウト供給機構及びスパウトシール機は、例えば特開2005−59509号公報等にて基本構成が示されており、既知の構成要素を含むため、既知の構成要素の詳細な説明は適宜省略する。
【0098】
図9は、スパウトシール機101の一例を概念的に示す平面図である。以下の説明において、前方及び後方などの方向をいうときは、スパウト部20の搬送方向を基準とする。
【0099】
本例のスパウトシール機101は、2つのスパウト部20を1組として扱うW型のスパウトシール機101であり、テーブル102の間欠回転における1回の停止で2つの袋に対してそれぞれスパウト部20が取り付けられる。スパウトシール機101の各種要素(例えばテーブル102及びスパウト搬送位置決め装置106)は機台117上に固定的に設けられている。
【0100】
本例のテーブル102の周縁部には20個(10組)のスパウト挟持部材103が設けられており、テーブル102は1回転する間に10回停止する。テーブル102が停止するたびに停止位置I〜Xにおいて、各種の処理が行われる。すなわち、スパウトの供給(停止位置I)、袋供給、袋口開口及び袋口におけるスパウトの配置(停止位置II)、袋の位置決め及び仮シール(停止位置III)、第1シール(停止位置IV)、第2シール(停止位置V)、シール部の冷却(停止位置VI)、日付印字(停止位置VII)、スパウトシール部画像検査及び日付検査(停止位置VIII)、製品取り出し(停止位置IX)、及び不良袋排出(停止位置X)が順次行われる。
【0101】
各スパウト挟持部材103には、スパウト部20が挿入されることになる挟持溝103aが形成されている。各挟持溝103aは外向き(テーブル102の回転中心から離れる方向)に延在し、各挟持溝103aの開口も外向きであり、同じ組を構成する2つのスパウト挟持部材103に形成される挟持溝103aは同じ方向を向く。各挟持溝103aの溝間隔は、テーブル102の回転中心から離れるに従って大きくなり、各挟持溝103aの外側先端部が最も大きな溝間隔を有する。
【0102】
停止位置Iの近傍には、停止位置Iに配置される1組の(2つの)スパウト挟持部材103にスパウト部20を供給するためのスパウト供給装置104が設置されている。スパウト供給装置104は、パーツフィーダ105と、パーツフィーダ105の終端部から延在するスパウト搬送位置決め装置106と、スパウト搬送位置決め装置106の終端部と停止位置Iに配置されるスパウト挟持部材103との間に設置されるスパウト受け渡し装置107とを具備する。多数のスパウト部20(本例ではスパウト本体)がパーツフィーダ105からスパウト搬送位置決め装置106に連続的に送られ、スパウト搬送位置決め装置106からスパウト受け渡し装置107を介し、停止位置Iに配置される1組のスパウト挟持部材103の挟持溝103aにスパウト部20が供給される。
【0103】
なお停止位置IIの近傍には、停止位置IIに配置される1組の(2つの)スパウト挟持部材103のそれぞれに袋を供給するコンベア式マガジン装置110が設置されている。停止位置IIにおいてスパウト部20のシール部25が袋の袋口に配置された後に、後段の停止位置III〜IVにおいてシール部25が袋に封止された状態で取り付けられる。その後、停止位置VII〜VIIIにおいて印字処理及び印字検査が行われ、当該検査で正常と認定された袋(スパウト付き袋)は停止位置IXから後段に送られ、当該検査で異常と認定された袋(スパウト付き袋)は停止位置Xから排出される。
【0104】
図10は、スパウト受け渡し装置107近傍の平面図である。
図11は、往復揺動アーム141近傍の構成を示す平面図である。
【0105】
スパウト搬送位置決め装置106は、相互間にスパウト部20を支持及び通過させる空間が形成される2つの供給レール108と、供給レール108の両側に供給レール108と一体的に形成された無菌圧力エア通路109とを備える。供給レール108には無菌圧力エア通路109からの無菌エアを吹き出すための吹き出し孔111が形成され、加圧された無菌エアが無菌圧力エア通路109及び吹き出し孔111を介して供給レール108相互間の空間に向かって吹き出し、供給レール108に支持されるスパウト部20を前方へ付勢する。供給レール108の内側には対向して突出する支持部112、113が形成され、この支持部112、113がスパウト部20の溝(フランジ部24)に嵌まって、スパウト部20を前方へ搬送可能に支持する。すなわちスパウト部20(特にフランジ部24)は、支持部112、113上を摺動自在に設けられている。
【0106】
供給レール108は、スパウト受け渡し装置107に向かって前端近傍まで鉛直方向下向きに傾斜し、長手方向に4つの領域(第1領域〜第4領域)に分けられる。第1領域における供給レール108の両側には無菌圧力エア通路109が形成されるが、第2領域における供給レール108の両側には無菌圧力エア通路109が存在しない。そして第3領域では上部被覆部が存在せず、その代わりに挟持装置121が供給レール108を覆う。そして第4領域には、スパウト部20の溝(フランジ部24)に嵌まる支持部114、115(支持部112、113の延長部分)のみが形成されている。
【0107】
供給レール108は支持部材に支持され、この支持部材はスパウトシール機101の機台117の上面に立設する中空のスタンド118に固定された中間フランジ部に固定されている。
【0108】
スパウト搬送位置決め装置106は、さらに、供給レール108に沿って1列の整列状態で搬送されるスパウト部20のうち先頭のスパウト部20を所定位置に位置決めするための位置決め手段として、位置決め用ストッパー、挟持装置121及び分離装置122を備える。位置決め用ストッパーには、先頭のスパウト部20のフランジ部24の前端が当接する。
【0109】
挟持装置121は、供給レール108の第3領域において、供給レール108の上面に固定された取付部材、取付部材に鉛直に固定された支点ピン、支点ピンに後端部が回動自在に取り付けられた一対の挟持アーム131、各挟持アーム131に固定されたばねフック部133に掛けられた引張ばね、及び各挟持アーム131の後端に取り付けられたストッパー135を具備する。挟持アーム131は後方側に配置された支点ピンを揺動支点として水平面内で揺動自在であり、かつ引張ばねにより内向きに付勢されているので、所定位置に配置される先頭のスパウト部20を両側から挟み込むことが又は単に支持することができる。なお、ストッパー135は先端挟持部131aの間の距離を、支持部114、115の間の距離とほぼ同程度に保つ役割を有する。
【0110】
分離装置122は、供給レール108の側面に固定された取付部材136に取り付けられ、先頭のスパウト部20と次のスパウト部20との間に入ってスパウト部20が前方に飛び出すのを防止する分離用ストッパー137と、分離用ストッパー137をスパウト列に垂直に進退させるエアシリンダ138とを具備する。
【0111】
スパウト搬送位置決め装置106の作用を簡単に説明すると、スパウト部20は溝(フランジ部24)が供給レール108の支持部112、113に係合して支持される。そして各スパウト部20は、後方のスパウト部20からの推進力と、供給レール108の傾斜と、吹き出し孔111からの加圧エアの付勢力とにより、供給レール108に沿って1列の整列状態で前方に搬送される。先頭のスパウト部20は、支持部114、115からさらに前方に進み、一対の挟持アーム131の先端挟持部131aの間に入り、位置決め用ストッパーに当接して停止する。なお、先端挟持部131aの間の隙間が狭い場合には、スパウト部20はその隙間を押し広げて先端挟持部131aの間に入ることもあり得る。
【0112】
スパウト受け渡し装置107は、水平面内を90度の揺動角度で往復揺動する往復揺動アーム141と、往復揺動アーム141を往復揺動させる駆動機構142と、往復揺動アーム141に設けられた一対の保持装置143、144とを備える。往復揺動アーム141は、
図1に示す支持フレーム39に対応する部材であり、供給レール108によって支持されているスパウト部20の列の延長線上に中心をもつ支点軸145に固定されており、支点軸145は軸受ホルダー145aによって回転自在に保持されている。スタンド118の上端に支持プレート146が固定され、支持プレート146に軸受ホルダー145aが固定され、この軸受ホルダー145a内に支点軸145が回動自在に支持されている。駆動機構142は、スタンド118内に支持され、図示しない駆動源に連結されて所定の角度範囲内で往復回動する駆動軸148と、駆動軸148に固定された揺動レバー149と、支点軸145に固定された揺動レバー151と、これらの両揺動レバー149、151を連結するロッド152とを具備する。駆動軸148の回転に伴い、駆動軸148からの回転力が揺動レバー149、ロッド152及び揺動レバー151を介して揺動レバー151に伝えられ、往復揺動アーム141は90度の揺動角度で往復揺動する。
【0113】
保持装置143、144の各々は、スパウト保持デバイス10を具備する。スパウト保持デバイス10は、所定のタイミングで、上述のようにスパウト部20を保持する(第1実施形態〜第4実施形態参照)。各保持装置143、144のスパウト保持デバイス10は支点軸145を中心に、90度の揺動角度で水平面内において往復揺動する。それぞれのスパウト保持デバイス10は、揺動中心を構成する支点軸145から等距離にあり、揺動中心(支点軸145)と各スパウト保持デバイス10の保持中心とを結ぶ2つの直線の成す角度は90度に設定されている。
【0114】
往復揺動アーム141が往復動の一方の端に到達した際、保持装置143、144のうちの一方に設けられたスパウト保持デバイス10はスパウト搬送位置決め装置106からスパウト部20を受け取って保持し、保持装置143、144のうちの他方に設けられたスパウト保持デバイス10は対応のスパウト挟持部材103にスパウト部20を渡す。また往復揺動アーム141が往復動の他方の端に到達した際、保持装置143、144のうちの一方に設けられたスパウト保持デバイス10は対応のスパウト挟持部材103にスパウト部20を渡し、保持装置143、144のうちの他方に設けられたスパウト保持デバイス10はスパウト搬送位置決め装置106からスパウト部20を受け取って保持する。
【0115】
スパウト供給装置104は、さらに一対のスパウト押し込み装置158、159を備える。スパウト押し込み装置158、159は、停止位置Iに配置される1組(2つ)のスパウト挟持部材103の近傍に設けられており、各引き渡し位置の近傍において水平面内で揺動しうる押し込み部材161と、機台117の上面に立設する支持スタンドとに回動自在に支持される。そして各スパウト押し込み装置158、159は、図示しない駆動源に連結されて所定角度往復回動する駆動軸を備える。押し込み部材161はこの駆動軸の上端に固定されている。押し込み部材161は所定のタイミングで揺動し、スパウト保持デバイス10によって挟持溝103aの入口付近に配置されたスパウト部20を挟持溝103aの奥に押し込み、スパウト挟持部材103によってスパウト部20を確実に支持させる。
【0116】
上述の構成を有するスパウト供給装置104における一連の処理は、例えば以下の工程を経て行われる。
【0117】
(1) 例えば
図11に示すように、テーブル102が停止し、停止位置Iに2つの挟持部材103が停止している。往復揺動アーム141の揺動位置は揺動端間(中途位置)にあり、保持装置143のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を保持し、保持装置144のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を保持していない。スパウト搬送位置決め装置106において、先頭のスパウト部20が受け取り位置に位置決めされ、このとき分離用ストッパー137が突出している。また、両方の押し込み部材161は後退位置にある。
【0118】
(2) その後、駆動軸148による回転駆動に応じて、往復揺動アーム141は一方の揺動端に到達する。保持装置143のスパウト保持デバイス10は引き渡し位置に到達し、当該スパウト保持デバイス10に保持されたスパウト部20は、
図11の右側の挟持部材103の挟持溝103aの入口付近に押し込まれてスパウト挟持部材103により支持される。続いて、保持装置143のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を解放する。一方、保持装置144のスパウト保持デバイス10は、受け取り位置に到達し、スパウト搬送位置決め装置106からスパウト部20を受け取って保持する。この段階では、スパウト部20は、挟持アーム131の先端挟持部131aの間に挟まれているが、この後、往復揺動アーム141が
図11の左方に揺動を開始し、保持装置144のスパウト保持デバイス10に保持されたスパウト部20が受け取り位置から左方に円弧状の経路に沿って移動を開始すると、先端挟持部131aがスパウト部20に押されて挟持アーム131は引張ばねの付勢力に抗し左方に連れて揺動する。スパウト部20がある程度移動して先端挟持部131aから外れると、挟持アーム131は引張ばね34の作用で元の位置に復帰する。続いて、分離用ストッパー137が後退して、次のスパウト部20が前方に押し出され、受け取り位置に位置決めされる。その後、分離用ストッパー137はすぐに前進する。
【0119】
(3) 往復揺動アーム141は
図11の左方へ揺動の途中にある状態で、保持装置143のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を保持せず、保持装置144のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を保持している。押し込み装置159の押し込み部材161が揺動して、引き渡し位置に配置されていたスパウト部20を挟持溝103aの奥に押し込む。
【0120】
(4) そして往復揺動アーム141は他方の揺動端に到達すると、保持装置143のスパウト保持デバイス10が受け取り位置に到達し、一対の挟持アーム131により支持された先頭のスパウト部20を受け取って保持する。保持装置144のスパウト保持デバイス10は引き渡し位置に到達し、保持しているスパウト部20を
図11の左側の挟持部材103の挟持溝103aの入口付近に押し込んで挟持溝103aに支持させる。続いて、保持装置144のスパウト保持デバイス10はスパウト部20を解放する。この後、往復揺動アーム141が
図11の右方に揺動し、保持装置143のスパウト保持デバイス10に保持されたスパウト部20が受け取り位置から右方に円弧状に経路に沿って移動し、保持装置144のスパウト保持デバイス10も右方に移動する。続いて、押し込み装置158の押し込み部材161が揺動して、引き渡し位置に配置されていたスパウト部20を挟持溝103aの奥に押し込む。
【0121】
(5) 続いて、テーブル102が間欠回転し、次の挟持部材103のペアが停止位置Iに停止する。
【0122】
上述の一連の処理が繰り返されることで、連続的に、各スパウト挟持部材103にスパウト部20を供給することができる。
【0123】
以下に一例として、上述の第1実施形態に係るスパウト保持デバイス10と上述の保持移動装置50(例えば往復揺動アーム141及び支点軸145)との組み合わせによって、スパウト部20を保持、移動及び解放する各種処理を説明する。
【0124】
<待機工程>
スパウト保持デバイス10は、スパウト部20から離れた位置(待機位置)で待機する。進退軸部16は、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に圧縮力が加えられない位置(例えば端位置)に配置される。また本体部材15、進退軸部16及び弾性部13の全体も、スパウト部20の外側における位置(移送開始位置)に配置される。そして、スパウト部20(例えばスパウト自体又はスパウト付き袋)は所定の移送開始位置に移送されて停止する。
【0125】
図9〜
図11に示す例では上述のように、往復揺動アーム141は支点軸145を中心に「保持装置143がスパウト挟持部材103に近接する位置」と「保持装置144がスパウト挟持部材103に近接する位置」との間を往復(揺動)する。保持装置143、144のうちの一方が対応のスパウト挟持部材103に近接する位置に配置される場合には、他方は対応のスパウト挟持部材103から離れるがスパウト搬送位置決め装置106(スパウト部20)に近接した位置に配置される。したがって、この待機工程においてスパウト保持デバイス10が配置される待機位置は、スパウト搬送位置決め装置106(スパウト部20)に近接した位置に設定されることが好ましい。
【0126】
<進入工程>
第1駆動制御部33により、弾性部13と、第1保持部11及び第2保持部12を含む本体部材15及び進退軸部16の先端部とを、スパウト部20の流通穴21に進入させる。
【0127】
<保持工程>
第2駆動制御部34によって進退軸部16を移動させて、本体部材15の第1保持部11と進退軸部16の第2保持部12(大径部18の後端面)との間で弾性部13を軸方向(第1の方向D1)に圧縮する。これにより、第1の方向D1と垂直を成す方向に関し、弾性部13の外周部(外径部)が本体部材15(第1保持部11)を超えて径方向外側に膨出するように、弾性部13は弾性的に変形する。そして進退軸部16が退動端に達した状態では、弾性部13の外周部がスパウト部20の流路内周面を形成する内側面22に対して密着し、弾性部13から内側面22に弾性力が加えられる。このようにして弾性部13からスパウト部20に加えられる弾性力(摩擦力)により、スパウト部20はスパウト保持デバイス10(特に弾性部13)によって保持される。
【0128】
図9〜
図11に示す例では、スパウト搬送位置決め装置106において待機する先頭のスパウト部20(一対の先端挟持部131aにより把持されるスパウト部20)が、保持装置143又は保持装置144のスパウト保持デバイス10によって保持される。
【0129】
<移送工程>
スパウト保持デバイス10がスパウト部20を保持した状態で、保持移動装置50はスパウト保持デバイス10及びスパウト部20を移動させる。
【0130】
図9〜
図11に示す例では、往復揺動アーム141が支点軸145を中心に揺動し、保持装置143及び保持装置144のうちの一方のスパウト保持デバイス10は、スパウト部20を保持した状態で、スパウト搬送位置決め装置106の近傍位置(移送開始位置)から、対応のスパウト挟持部材103の挟持溝103aの近傍位置(移送終了位置)に移動する。これにより、スパウト部20は、対応のスパウト挟持部材103の挟持溝103a内に配置される。ただし、保持装置143及び保持装置144の他方のスパウト保持デバイス10は、スパウト部20を保持していない状態で、対応のスパウト挟持部材103の挟持溝103aの近傍位置(移送終了位置)からスパウト搬送位置決め装置106の近傍位置(移送開始位置)に移動する。
【0131】
<解放工程>
スパウト保持デバイス10が移送終了位置に移動してスパウト部20が対応のスパウト挟持部材103の挟持溝103a内に配置された状態で、第2駆動制御部34は第1保持部11と第2保持部12との間の間隔を広げるように進退軸部16を移動させる。これにより、第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に加えられる圧縮力は徐々に低減し、最終的には第1保持部11及び第2保持部12から弾性部13に圧縮力が加えられないように、進退軸部16(特に大径部18(第2保持部12))は移動する。これにより、スパウト部20はスパウト保持デバイス10(特に弾性部13)から解放される。
【0132】
その後、弾性部13、本体部材15及び進退軸部16(特に第1保持部11及び第2保持部12)は、第1駆動制御部33によりスパウト部20の流通穴21から引き抜かれて、スパウト部20の外側に配置される。
【0133】
<復帰工程>
スパウト保持デバイス10は、上述の待機位置(スパウト搬送位置決め装置106(スパウト部20)に近接した位置)に戻される。
【0134】
図9〜
図11に示す例では、往復揺動アーム141が支点軸145を中心に揺動し、スパウト部20の保持を解除したスパウト保持デバイス10は、スパウト部20を保持しない状態で、対応のスパウト挟持部材103の挟持溝103aの近傍位置(移送終了位置)から、スパウト搬送位置決め装置106の近傍位置(移送開始位置)に移動する。これにより、スパウト保持デバイス10は、スパウト搬送位置決め装置106から新たなスパウト部20を受け取ることができる。
【0135】
以上説明したように上述の例において、スパウト保持デバイス10を移動させることができる保持移動装置50は、往復揺動アーム141及び支点軸145を含み、保持移動装置50の駆動制御部は、揺動レバー151、ロッド152、揺動レバー149及び駆動軸148を含む。またスパウト供給機構60は、そのような保持移動装置50とスパウト保持デバイス10と備える。そしてスパウトシール機101は、
図9〜11に示すスパウト供給機構60等の各種デバイスを備える。
【0136】
なお、上述の例では、同じ組の2つのスパウト挟持部材103の挟持溝103aの開口方向が同じであるため、「往復揺動アーム141の揺動角度」及び「往復揺動アーム141の揺動中心と2つのスパウト保持デバイス10(保持中心)とを結ぶ2つの直線によって形成される角度」を90度に設定している。例えば、同じ組の2つのスパウト挟持部材103の挟持溝103aがいずれもテーブル102の放射方向を向いているのであれば、「往復揺動アーム141の揺動角度」及び「往復揺動アーム141の揺動中心と2つのスパウト保持デバイス10(保持中心)とを結ぶ2つの直線によって形成される角度」は90度よりやや大きく設定される。
【0137】
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。