(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-154503(P2017-154503A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品の製造のための方法、前記方法から得られる製品及びその使用
(51)【国際特許分類】
B29C 47/02 20060101AFI20170810BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20170810BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20170810BHJP
B29C 47/88 20060101ALI20170810BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20170810BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20170810BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20170810BHJP
B29L 9/00 20060101ALN20170810BHJP
【FI】
B29C47/02
D21H27/30 C
B32B27/10
B29C47/88 Z
B29C59/04 Z
B65D65/40 D
B29L7:00
B29L9:00
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-105739(P2017-105739)
(22)【出願日】2017年5月29日
(62)【分割の表示】特願2015-532567(P2015-532567)の分割
【原出願日】2013年9月24日
(31)【優先権主張番号】1251079-8
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】SE
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスカネン、イスト
(72)【発明者】
【氏名】ミーキ、ニーナ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4F207
4F209
4L055
【Fターム(参考)】
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3E086DA08
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4L055BE13
4L055EA08
4L055EA14
4L055GA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、好ましくはフィルムの形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法に関する。それぞれ、ともに上記の特性を有するラミネート及びポリマーコーティングされた紙又は板紙製品の製造のための方法も開示される。本発明は、前記方法によって得られる製品及びその使用にも関する。
【解決手段】 好ましくはフィルムの形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法であって、以下のステップ:a)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、及びb)任意選択で、得られた前記ポリマー製品を冷却するステップを含む上記方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくはフィルムの形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法であって、以下のステップ:
a)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、及び
b)任意選択で、得られた前記ポリマー製品を冷却するステップ
を含む上記方法。
【請求項2】
好ましくはフィルム及び一巻の紙又は板紙の形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を含むラミネートを製造するための方法であって、以下のステップ:
i)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、
ii)任意選択で、得られた前記ポリマー製品を冷却するステップ、及び
iii)一巻の紙又は板紙を準備し、前記ポリマー製品を一巻の紙又は板紙に積層するステップ
を含む上記方法。
【請求項3】
ポリマーコーティングされた紙又は板紙製品を製造するための方法であって、前記製品が超疎水特性又は高疎水特性を有し、以下のステップ:
x)ポリマーの溶融体及び一巻の紙又は板紙を準備し、前記一巻の紙/板紙を前記ポリマーの溶融体でコーティングするステップ、
xi)前記ポリマーコーティングされた一巻の紙又は板紙をロール上を通過させるステップであって、前記ロールがポリマーコーティングされた面に面しており、また、前記ロールが、前記複合材の前記コーティングされた面に接触しているときに前記コーティングされた面にロータス効果をもたらすパターンを与える型を提供するステップ、及び
xii)任意選択で、得られた前記製品を冷却するステップ
を含む上記方法。
【請求項4】
板紙が液体用カートンに使用するための板紙である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
板紙が包装用板紙であり、ポリマーコーティングの重量が少なくとも14g/m2である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
繊維性板紙基材の密度が少なくとも575kg/m3、より好ましくは少なくとも615kg/m3、最も好ましくは少なくとも650kg/m3である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
ロールが冷却ドラムである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
ロールが本質的にカップフィールドに類似している型を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
ロールがステップxi)において直線的な膨らみ形状の元となる型を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
ポリマーが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)若しくはエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)又はこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項11】
疎油性ワックスがまた、ポリマーに添加される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項12】
成形後、好ましくはPEであるポリマーの表面に油が添加される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法によって得られるポリマー製品。
【請求項14】
請求項2に記載の方法によって得られるラミネート。
【請求項15】
請求項3から11までのいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマーコーティングされた紙又は板紙製品。
【請求項16】
食品パッケージ、好ましくはポーチ、カップ又はビーカーにおける、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項17】
液体包装用板紙として、好ましくは飲料、乳製品、食用油製品、冷凍食材又はドライフードを収容するための食品パッケージにおける、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項18】
使い捨て飲用カップにおける、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項19】
接着剤又は練り歯磨きパッケージにおける、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項20】
トレイ又はプレートにおける、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項21】
圧熱滅菌に耐えることのできる製品パッケージ、好ましくは、少なくとも115℃の温度で圧熱滅菌に耐えることのできるパッケージにおける、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項22】
粘着若しくは摩擦を制御するための、又は熱伝導性を制御するための、請求項13に記載のポリマー製品、請求項14に記載のラミネート製品又は請求項15に記載の製品の使用。
【請求項23】
繊維性基材と繊維性基材の片面若しくは両面上の1つ若しくは複数のポリマーコーティング層とを含む包装用板紙であって、前記層の片面又は両面が超疎水特性又は高疎水特性を有する上記包装用板紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはフィルムの形態の、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法に関する。それぞれ、ともに前記特性を有するラミネート及びポリマーコーティングされた紙又は板紙製品の製造のための方法も開示される。
【0002】
本発明は、前記方法によって得られる製品及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
現象としての超疎水性が、「超疎水性概論(An introduction to superhydrophobicity)」Neil J. Shirtcliffeら、Advances in Colloid and Interface Science、161(2010)124〜138に開示されている。
【0004】
超疎水性ポリオレフィン表面もまた、「超疎水性ポリオレフィン表面:制御されたミクロ及びナノ構造(Superhydrophobic Polyolefin Surfaces: Controlled Micro− and Nanostructures)」、Esa Puukilainenら、Langmuir、2007、23(13)、7263〜7268に開示されている。
【0005】
さらに、セルフクリーニング技術が、「セルフクリーニング材料(Self cleaning materials)」、Peter Forbes、Scientific American、August、2008、88〜95ページに開示されている。
【0006】
さらに、段ボールの製造が、FR2782291に開示されている。
【0007】
SE7512107は、紙/プラスチックラミネートを製造する方法を開示している。
【0008】
トナー放出を向上させるための制御された表面形状を有する画像転写ベルトがさらに、米国特許出願第2010/300604号に開示されている。
【0009】
しかしながら、これらの文献のいずれも、
− 乳製品パッケージを空にすることを容易にする
− 清涼飲料若しくはビールをカップに注ぐ際の泡立ちを抑える、又は
− 良好な接触表面を得る
方法の解決策は開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上記の問題のうちの1つ又は複数を解決する解決策に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の態様により、好ましくはフィルムの形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法であって、以下のステップ:
a)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、及び
b)任意選択で、得られたポリマー製品を冷却するステップ(そうすることが好ましい)
を含む方法を提供することによって、上記の問題のうちの1つ又は複数を解決する。
【0012】
本発明は、第2の態様により、好ましくはフィルム及び一巻の紙又は板紙の形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を含むラミネートを製造するための方法であって、以下のステップ:
i)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、
ii)任意選択で、得られたポリマー製品を冷却するステップ、及び
iii)一巻の紙又は板紙を準備し、前記ポリマー製品を一巻の紙又は板紙に積層するステップ
を含む方法も提供する。
【0013】
本発明は、第3の態様により、ポリマーコーティングされた紙又は板紙製品を製造するための方法であって、前記製品は超疎水特性又は高疎水特性を有し、以下のステップ:
x)ポリマーの溶融体及び一巻の紙又は板紙を準備し、前記一巻の紙/板紙を前記ポリマーの溶融体でコーティングするステップ、
xi)前記ポリマーコーティングされた一巻の紙又は板紙をロール上を通過させるステップであって、前記ロールがポリマーコーティングされた面に面し、また、前記ロールが、前記複合材の前記コーティングされた面に接触しているときに前記コーティングされた面にロータス効果をもたらすパターンを与える型を提供するステップ、及び
xii)任意選択で、得られた前記製品を冷却するステップ(そうすることが好ましい)
を含む方法も提供する。
【0014】
本発明は、第4の態様により、第1の態様による方法によって得られるポリマー製品も提供する。
【0015】
本発明は、第5の態様により、第2の態様による方法によって得られるラミネートも提供する。
【0016】
本発明は、第6の態様により、第3の態様による方法によって得られるポリマーコーティングされた紙又は板紙製品も提供する。
【0017】
本発明は、第7の態様により、食品パッケージ、好ましくはポーチ、カップ又はビーカーにおける、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品、又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0018】
本発明は、第8の態様により、液体包装用板紙、好ましくは飲料、乳製品(バター若しくは他の乳製品など)、食用油製品(液体マーガリン若しくは植物油など)、冷凍食材又はドライフードを収容するための食品パッケージにおける、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0019】
本発明は、第9の態様により、使い捨て飲用カップにおける、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0020】
本発明は、第9の態様により、接着剤又は練り歯磨きパッケージにおける、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0021】
本発明は、第10の態様により、トレイ又はプレートにおける、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0022】
本発明は、第11の態様により、圧熱滅菌に耐えることのできる製品パッケージ、好ましくは、少なくとも115℃の温度での圧熱滅菌に耐えることのできるパッケージにおける、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。オートクレーブ内の温度は、典型的には115〜125℃の範囲内(トマト抽出物)であり、肉の場合、130℃で使用することができる。
【0023】
本発明は、第12の態様により、粘着若しくは摩擦を制御するための、又は熱伝導性を制御するための、第1の態様によるポリマー製品、第2の態様によるラミネート製品又は第3の態様による製品の使用も提供する。
【0024】
本発明は、第13の態様により、繊維性基材と該繊維性基材の片面又は両面上の1つ若しくは複数のポリマーコーティング層とを含み、該層の片面又は両面が超疎水特性又は高疎水特性を有する包装用板紙も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書全体を通して、表現「超疎水特性又は高疎水特性」は、Lotus effect(登録商標)が検出され得ることを包含することが意図されている。これは、濡れ性の低下がみられることを意味する(そのような効果は、たとえば、葉を通じて知られている)。ヤングの式により、濡れ性の程度を算出することができる。濡れの程度は、材料の表面張力比を用いることで算出される。完全濡れは接触角0℃で表され、一方、完全不濡れ性(complete unwettability)は接触角180℃で表される。超疎水特性又は高疎水特性を有する材料を示す
図1も参照されたい。
【0026】
本明細書全体を通して、表現「疎油性ワックス」は、ロータス効果を高める化合物を意味することが意図されている。上記の意味に加えて、水をはじくことも包含する。前記化合物は、AKD若しくはステアリン酸カルシウム、又はこれらの組合せから選択することができる。
【0027】
本発明の第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、板紙は、液体用カートンにおける使用のための板紙である。
【0028】
本発明の第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、板紙は、包装用板紙であり、ポリマーコーティングの重量は少なくとも14g/m
2である。
【0029】
本発明の第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、繊維性板紙基材の密度は、少なくとも575kg/m
3、より好ましくは少なくとも615kg/m
3、及び、最も好ましくは少なくとも650kg/m
3である。
【0030】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態によると、ロールは冷却ドラムである。
【0031】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態によると、ロールは、本質的にカップフィールド(cup field)に類似している型を有する。
【0032】
本発明の第1、第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、ポリマーは、ポリエチレン(PE;たとえば低密度ポリエチレン−LDPE、直鎖状低密度ポリエチレン−LLDPE又は高密度ポリエチレン−HDPEであり得る)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)若しくはエチレン酢酸ビニル(EVA)、又はポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA;ポリアミド6−PA6など)又はこれらの組合せを含む群から選択される。
【0033】
本発明の第1、第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、疎油性ワックスがまた、ポリマーに添加される。
【0034】
本発明の第1、第2及び第3の態様の好ましい実施形態によると、成形後、好ましくはPEであるポリマーの表面に油が添加される。これは、たとえばヨーグルトのようなものに対して全面的に滑りやすい表面を作製するという効果を有する。
【0035】
本発明は、青、金及び赤のような異なる色を有する可能性も提供する。さらに、本発明は、良い感触効果も提供する。
【0036】
本発明の第1の態様に記載されているようにポリマー溶融体を準備することは、金属表面が加熱される(それは間接的にポリマーを溶融する)ように行うこともできる。
【0037】
第1、第2及び第3の態様による冷却ステップは、受動的(すなわち、室温で冷却が生じるよう単に放置する)又は能動的とすることができる。
【0038】
本発明の各態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて他の態様のそれぞれに準用される。本明細書で言及された先行技術文献は、法律により許容される最大限の範囲まで組み込まれる。本発明はさらに、決して本発明の範囲を限定するものではない添付の図面と併せて、以下の実施例において記載される。本発明の実施形態は、実施形態の実施例を用いて、添付の図面と併せて、上述のように、より詳細に記載されており、その唯一の目的は本発明を説明することであり、その範囲を制限することは全く意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】超疎水特性又は高疎水特性を有する材料を開示する図である(したがって、ロータスエフェクト(登録商標)を強調する)。
【
図2】金属製型1を使用する疎水性液体パッケージを開示する図である。
【
図3】金属製型2を使用する疎水性液体パッケージを開示する図である。
【
図4】金属製型3:横方向に6μmの溝、バレルレンズ(barrell lens)f25を使用する疎水性液体パッケージを開示する図である。
【
図5】金属製型4:横方向に6μmの溝、バレルレンズf12.7を使用する疎水性液体パッケージを開示する図である。
【
図6】より精巧な(higher)正方形形状の領域を備えるパターンを有する材料を開示する図である。
【
図7】ピン形状の領域を備えるパターンを有する材料を開示する図である。
【
図8】直線的な膨らみ形状の領域を備えるパターンを有する材料を開示する図である。
【実施例】
【0040】
(例1)
試験:
− レーザーを使用して成形スチール表面を形成した
− 型をPEフォイル又はCupforma Dairy 2PE 20+255+35(両方ともLDPEを含む)で押しつけ、プラスチック及び液体パッケージ用板紙表面に、それぞれ、レプリカパターンを施した。
− 液体と表面との接触角を
− 水
− ミルク
について計測した。
パターンを施された4つの金属表面を、PEフォイル又は液体パッケージ用板紙で押しつけ、パターンを施された表面を得た
以下に記載の通り、表面1及び3が最も大きい接触角を有していた
水及びミルクとの接触角°は以下に記載の通り
【表1】
説明:
表面1−金属製型1を使用した疎水性液体パッケージ
表面2−金属製型2を使用した疎水性液体パッケージ
表面3−金属製型3:横方向に6μmの溝、バレルレンズf25を使用した疎水性液体パッケージ
表面4−金属製型4:横方向に6μmの溝、バレルレンズf12.7を使用した疎水性液体パッケージ
【0041】
さらに、以下の通り、良い感触効果を検出することもできた。同じサンプルは、ヒトの爪で表面をひっかいた場合、キーキーときしんだ音を立てていた。単にサンプルを担持するだけで、良好で心地良い感触効果が得られた。
(例2)
3つの異なる種類の超疎水性表面が形成され、表面の上層はPEであった。表面のいずれも170°を超える接触角を有し、それは水滴が表面に留まらないことを意味する。水滴は、単にこぼれるか流れる。それらの表面は、(
図6〜
図8によってもまた示されるように)正方形形状、線形状及びピン形状をともなって形成された。正方形形状及びピン形状をともなう場合、滴が動く方向を予測することはできなかった。線形状をともなう場合、滴はその線形状をたどった。
【0042】
表面は、PE、特に液体包装用板紙向けのLDPEで作製した。PEはBorealis CA8200であった。PEコーティングした板紙のPEコーティングは非常に薄いため、超疎水性表面を得ることはできなかった。試験温度は(溶融したPEを得るために)125℃とした。その後、PEフォイルを用いて試験を行い、9層のフォイルを互いに重ね合わせて、このスタックを型で押しつけた(形成)。いくつかのPE層(底側)を、PEコーティングした液体包装用板紙と取り替えて、型を表面上に置いた。このスタックも型で押しつけた。型及びPEを加熱し、一緒に押しつけて、PF表面に形状を転写した。
【0043】
レーザーを用いて表面金属製型をレプリカ(パターン)として形成した。3つの異なるパターンを作製し、3つの表面すべてが超疎水性であった。水滴とのそれらの接触角は170°を上回っていた。表面に滴を添えることは難しく、滴は表面に留まらなかった。表面に滴をまき散らそうとした場合、滴は転がっていった。
【0044】
さらに、線形状をともなう表面は、特異な特徴を有していた。滴はその線形状の方向に転がっていった。
図6は、より精巧な正方形の領域を備えるパターンを示す。
図7は、ピン形状の領域を備えるパターンを示す。
図8は、直線的な膨らみ形状の領域を備えるパターンを示す。既述したように、前記の図は、3つの異なる超疎水性PE表面を描く。
【0045】
本発明の様々な実施形態を上述してきたが、当業者は、本発明の範囲内に含まれるさらなる軽微な変更を認識している。本発明の領域及び範囲は、上述の例示的な実施形態のうちのいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ定義されるべきである。たとえば、上記の方法のうちのいずれのものも、他の既知の方法と組み合わせられてもよい。本発明の範囲内の他の態様、利点及び修正が、本発明に関係する当業者にとって明らかとなろう。
【手続補正書】
【提出日】2017年5月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーコーティングされた紙又は板紙製品を製造するための方法であって、前記製品が超疎水特性又は高疎水特性を有し、以下のステップ:
x)ポリマーの溶融体及び一巻の紙又は板紙を準備し、前記一巻の紙/板紙を前記ポリマーの溶融体でコーティングするステップ、
xi)前記ポリマーコーティングされた一巻の紙又は板紙をロール上を通過させるステップであって、前記ロールがポリマーコーティングされた面に面しており、また、前記ロールが、前記複合材の前記コーティングされた面に接触しているときに前記コーティングされた面にロータス効果をもたらすパターンを与える型を提供するステップ、及び
xii)任意選択で、得られた前記製品を冷却するステップ
を含む上記方法。
【請求項2】
板紙が液体用カートンに使用するための板紙である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
板紙が包装用板紙であり、ポリマーコーティングの重量が少なくとも14g/m2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
繊維性板紙基材の密度が少なくとも575kg/m3である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
繊維性板紙基材の密度が、少なくとも615kg/m3である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
繊維性板紙基材の密度が、少なくとも650kg/m3である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ロールが冷却ドラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ロールが本質的にカップフィールドに類似している型を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ロールがステップxi)において直線的な膨らみ形状の元となる型を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリマーが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)若しくはエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)又はこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタラート(PET)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疎油性ワックスがまた、ポリマーに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
成形後、ポリマーの表面に油が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該ポリマーがPEである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマーコーティングされた紙又は板紙製品。
【請求項16】
食品パッケージにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項17】
前記食品パッケージがポーチ、カップ又はビーカーである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
液体包装用板紙として、飲料、乳製品、食用油製品、冷凍食材又はドライフードを収容するための食品パッケージにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項19】
使い捨て飲用カップにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項20】
接着剤又は練り歯磨きパッケージにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項21】
トレイ又はプレートにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項22】
圧熱滅菌に耐えることのできる製品パッケージにおける、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項23】
前記製品パッケージが、少なくとも115℃の温度で圧熱滅菌に耐えることのできるパッケージである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
粘着若しくは摩擦を制御するための、又は熱伝導性を制御するための、請求項15に記載の紙又は製品の使用。
【請求項25】
繊維性基材と繊維性基材の片面若しくは両面上の1つ若しくは複数のポリマーコーティング層とを含む包装用板紙であって、前記層の片面又は両面が超疎水特性又は高疎水特性を有する上記包装用板紙。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
本発明の様々な実施形態を上述してきたが、当業者は、本発明の範囲内に含まれるさらなる軽微な変更を認識している。本発明の領域及び範囲は、上述の例示的な実施形態のうちのいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ定義されるべきである。たとえば、上記の方法のうちのいずれのものも、他の既知の方法と組み合わせられてもよい。本発明の範囲内の他の態様、利点及び修正が、本発明に関係する当業者にとって明らかとなろう。
本発明の好ましい態様には以下が含まれる。
(1)好ましくはフィルムの形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を製造するための方法であって、以下のステップ:
a)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、及び
b)任意選択で、得られた前記ポリマー製品を冷却するステップ
を含む上記方法。
(2)
好ましくはフィルム及び一巻の紙又は板紙の形態で、超疎水特性又は高疎水特性を有するポリマー製品を含むラミネートを製造するための方法であって、以下のステップ:
i)ポリマー溶融体を準備し、前記ポリマー溶融体を型と接触させて、前記ポリマー製品にロータス効果をもたらすパタ−ンを与えるステップ、
ii)任意選択で、得られた前記ポリマー製品を冷却するステップ、及び
iii)一巻の紙又は板紙を準備し、前記ポリマー製品を一巻の紙又は板紙に積層するステップ
を含む上記方法。
(3)ポリマーコーティングされた紙又は板紙製品を製造するための方法であって、前記製品が超疎水特性又は高疎水特性を有し、以下のステップ:
x)ポリマーの溶融体及び一巻の紙又は板紙を準備し、前記一巻の紙/板紙を前記ポリマーの溶融体でコーティングするステップ、
xi)前記ポリマーコーティングされた一巻の紙又は板紙をロール上を通過させるステップであって、前記ロールがポリマーコーティングされた面に面しており、また、前記ロールが、前記複合材の前記コーティングされた面に接触しているときに前記コーティングされた面にロータス効果をもたらすパターンを与える型を提供するステップ、及び
xii)任意選択で、得られた前記製品を冷却するステップ
を含む上記方法。
(4)板紙が液体用カートンに使用するための板紙である、(2)又は(3)に記載の方法。
(5)板紙が包装用板紙であり、ポリマーコーティングの重量が少なくとも14g/m2である、(2)又は(3)に記載の方法。
(6)繊維性板紙基材の密度が少なくとも575kg/m3、より好ましくは少なくとも615kg/m3、最も好ましくは少なくとも650kg/m3である、(2)又は(3)に記載の方法。
(7)ロールが冷却ドラムである、(3)に記載の方法。
(8)ロールが本質的にカップフィールドに類似している型を有する、(3)に記載の方法。
(9)ロールがステップxi)において直線的な膨らみ形状の元となる型を有する、(3)に記載の方法。
(10)ポリマーが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)若しくはエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)又はこれらの組合せを含む群から選択される、(1)、(2)又は(3)に記載の方法。
(11)疎油性ワックスがまた、ポリマーに添加される、(1)、(2)又は(3)に記載の方法。
(12)成形後、好ましくはPEであるポリマーの表面に油が添加される、(1)、(2)又は(3)に記載の方法。
(13)(1)に記載の方法によって得られるポリマー製品。
(14)(2)に記載の方法によって得られるラミネート。
(15)(3)から(11)までのいずれかに記載の方法によって得られるポリマーコーティングされた紙又は板紙製品。
(16)食品パッケージ、好ましくはポーチ、カップ又はビーカーにおける、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(17)液体包装用板紙として、好ましくは飲料、乳製品、食用油製品、冷凍食材又はドライフードを収容するための食品パッケージにおける、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(18)使い捨て飲用カップにおける、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(19)接着剤又は練り歯磨きパッケージにおける、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(20)トレイ又はプレートにおける、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(21)圧熱滅菌に耐えることのできる製品パッケージ、好ましくは、少なくとも115℃の温度で圧熱滅菌に耐えることのできるパッケージにおける、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(22)粘着若しくは摩擦を制御するための、又は熱伝導性を制御するための、(13)に記載のポリマー製品、(14)に記載のラミネート製品又は(15)に記載の製品の使用。
(23)繊維性基材と繊維性基材の片面若しくは両面上の1つ若しくは複数のポリマーコーティング層とを含む包装用板紙であって、前記層の片面又は両面が超疎水特性又は高疎水特性を有する上記包装用板紙。
【外国語明細書】