【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係る自動車用駆動装置における主要部のスケルトン図である。
実施例1の自動車用駆動装置は、エンジン1のクランク軸2からダンパー3および中間軸4、ワンウエイクラッチ10を経て動力を受け入れる入力軸12と、該入力軸12と平行に設けられた第1出力軸14とを有する。
なお、ワンウエイクラッチ10は、本発明のワンウエイクラッチを構成し、エンジン1がその動力で入力軸12を駆動する場合に動力を伝達する(前記両者を連結)ようになっており、その逆に入力軸12の回転速度が中間軸4より高い場合は、前記両者間を解放して入力軸12が自由に回転できるように機能する。
【0011】
はじめに、入力軸12と第1出力軸14との間に設けた変速機構について説明する。
入力軸12と第1出力軸14との間には、入力軸12と一体の1速駆動歯車16、第1出力軸14上にあって1速駆動歯車16と噛み合い回転自在の1速被動歯車18と、入力軸12と一体の2速駆動歯車20、第1出力軸14上にあって2速駆動歯車20と噛み合い回転自在の2速被動歯車22と、入力軸12上にあって回転自在の3速駆動歯車24、第1出力軸14と一体で3速駆動歯車24と噛み合う3速被動歯車26と、入力軸12上にあって回転自在の4速駆動歯車28、第1出力軸14と一体で4速駆動歯車28と噛み合う4速被動歯車30とが、それぞれ配置されている。
これらの対をなす各駆動歯車と被動歯車のセットは、本発明の歯車対を構成し、それぞれの歯数比に応じた変速比にて、入力軸12と第1出力軸14との間で動力伝達が可能である。
【0012】
第1出力軸14には、1−2ハブ32と、該1−2ハブ32と回転方向が一体で軸方向に移動可能な1−2スリーブ34とが設けられ、1−2スリーブ34は
図1で描いた中立位置から左側へ移動することで1速被動歯車18と第1出力軸14とを連結し、右側へ移動することで2速被動歯車22と第1出力軸14とを連結する。
また、入力軸12には、3−4ハブ36と、該3−4ハブ36と回転方向が一体で軸方向に移動可能な3−4スリーブ38とが設けられ、3−4スリーブ38は
図1で描いた中立位置から右側へ移動することで3速駆動歯車24と入力軸12とを連結し、左側へ移動することで4速駆動歯車28と入力軸12とを連結する。
【0013】
さらに、入力軸12および第1出力軸14と平行にアイドラ軸40が配置され、該アイドラ軸40には、第1アイドラ歯車40aとリバースハブ40bとが一体に、第2アイドラ歯車42が回転自在に、それぞれ設けてある。
図1では、入力軸12および第1出力軸14と、アイドラ軸40とが離れて描いてあるが、第1アイドラ歯車40aは2速被動歯車22と、第2アイドラ歯車42は3速駆動歯車24と、それぞれ噛み合っている。
リバースハブ40bには、これと回転方向が一体で軸方向に移動可能なリバーススリーブ44が設けられ、リバーススリーブ44は
図1で描いた中立位置から右側へ移動することで第2アイドラ歯車42と第1アイドラ歯車40aとを連結し、第1出力軸14を逆転駆動する。
【0014】
これら1−2スリーブ34、3−4スリーブ38、リバーススリーブ44は、それぞれ図示を省略したシフトフォークにより軸方向の移動が可能なようになっている。
また、図示を省略したが、各1−2スリーブ34、3−4スリーブ38、リバーススリーブ44と、それぞれが連結する相手歯車との間に、同期装置を設けることができる。
第1出力軸14と一体の出力歯車14aは、図示しない差動装置などを介して自動車の前車輪5と連結しており、これを駆動する。
なお、前車輪5は他の部分より縮尺して描いている。
【0015】
以上の入力軸12と第1出力軸14との間に設けた変速機構は機械的駆動であって、基本的に一般的な手動変速機と同じ構成であり、以下の説明において作動の詳細を省略する場合がある。
【0016】
中間軸4は第1M/G50と、第1駆動歯車52、第1中間歯車54、第1被動歯車56を介して連結している。したがって、第1M/G50は中間軸4から、ダンパー3を介してクランク軸2と連結する一方、ワンウエイクラッチ10を介して入力軸12と連結可能である。
第1出力軸14は第2M/G60と、第2駆動歯車62、第2中間歯車64a、第3中間歯車64b、3速被動歯車26を介して連結している。
【0017】
次に、
図1に示した自動車用駆動装置の作用を説明する。
図示は省略するが、
図1に示した自動車用駆動装置は、これを作動させるため必要に応じて油圧ポンプ、バッテリー、各種センサ、コントローラー、アクチュエーターなどを備えており、以下の作動はコントローラーの指示に基づいて行われる。
なお、以下の説明において「正回転」とはエンジン1と同じ回転方向か、または車両を前進させる方向の回転を意味し、「逆回転」はその逆である。
【0018】
図1に示した自動車用駆動装置は、以下のようにEVモード、HVモード、歯車変速モードの、3種類の駆動モードで自動車を駆動することができる。
はじめにエンジン1の始動は、バッテリーから電力供給を受けて、第1M/G50が中間軸4、ダンパー3を介してクランク軸2を正回転させ、燃料供給と点火操作でエンジン1を始動することができる。
【0019】
つづいて、いわゆる電気自動車として駆動するEVモードについて説明する。なお、エンジン1のウォーミングアップ(暖機)などを除いて、EVモードにあってはエンジン1を停止している。
EVモードはバッテリーから電力供給を受けて、第2M/G60が第2駆動歯車62、第2中間歯車64、第3中間歯車64b、3速被動歯車26を介して第1出力軸14を駆動することで自動車を走行させる。むろん、第2M/G60の回転方向は自在に制御できるので、前進、後進ともに行うことができる。
また、車両を減速(制動)する場合には、第2M/G60に発電させてバッテリーに充電する、いわゆるエネルギ回生を行うことができる。
【0020】
つぎに、いわゆるハイブリッド自動車として駆動するHVモードについて説明する。
HVモードは、バッテリーに蓄えた電力量が少なくなってきた場合にEVモードから切り替えるもので、上述の方法でエンジン1を始動して、エンジン1の動力で第1M/G50が発電し、その電力を第2M/G60に供給して第1出力軸14を駆動する。
【0021】
HVモードにおいても、前進、後進ともに駆動することができるし、第1M/G50が発電した電力の一部をバッテリーの充電に宛てることも可能であり、また逆に、第1M/G50が発電した電力に加えてバッテリーからも第2M/G60に電力供給することもできる。
むろん、HVモードで走行中に車両を減速する場合には、エンジン1を停止すれば上記のEVモードになり、第2M/G60に発電させてバッテリーに充電する、エネルギ回生を行うことができる。
HVモードは、いわゆるシリーズ型のハイブリッド駆動である。
【0022】
つづいて、入力軸12と第1出力軸14の間の各歯車対で機械的に動力伝達する歯車変速モードについて説明する。
歯車変速モードは、一般的な手動変速機と同じ動力伝達であり、自動車を急発進させる際などに発進とほぼ同時に駆動することがあるが、その場合も含めて前述のEVモードまたはHVモードから1速乃至4速の各変速段へ切り替えて駆動する。
【0023】
はじめに、自動車を発進させるのとほぼ同時に歯車変速モードにて駆動する場合で説明する。
前述のEVモードで説明したように、発進は第2M/G60の駆動で行う。しかし、発進と同時にドライバーがアクセルペダルを踏み込んで急発進する場合は、ただちに1−2スリーブ34を左側に移動させて1速被動歯車18と第1出力軸14とを連結して1速にした上で、第1M/G50に電力を供給して上記のようにエンジン1を始動するとともに、余ったトルクでワンウエイクラッチ10を介して入力軸12を駆動する。これにより、前記第2M/G60による駆動とともに、第1M/G50も1速の変速比で第1出力軸14を駆動して発進することになる。
【0024】
そして、エンジン1が始動して動力を出力するとともに、第1M/G50と第2M/G60への電力供給を減らして、その供給をやめれば1速による機械的な歯車変速モードの駆動に切り替わる。すなわち、一般的な手動変速機における1速での走行と同様になる。
【0025】
つづいて、走行中におけるHVモードから歯車変速モードへの切替えを、歯車変速モードの1速から2速への変速を例に説明する。すなわち、歯車変速モードの1速から2速への変速は、中間にHVモードを介在させて行うので、1速からHVモードへ、HVモードから2速へと切り替える。
【0026】
歯車変速モードの1速ではエンジン1の動力を機械的に第1出力軸14へ伝達しているが、この状態から2速へ切り替えるには、第2M/G60に電力を供給してエンジン1に代わって第1出力軸14を駆動するとともにエンジン1の出力を減らして、エンジン1からワンウエイクラッチ10に作用するトルクをなくした上で、1−2スリーブ34を中立にする。この時点で歯車変速モードの1速から一時的にHVモードに切り替わる。このHVモードにおいてはエンジン1の回転を止めないでおき、エンジン1と第1M/G50の回転速度を2速に適した値よりやや低くした上で、1−2スリーブ34を中立から右側へ移動して2速被動歯車22と連結する。そして、ただちにエンジン1の出力をドライバーが所望するレベルへ上げるとともに第2M/G60での駆動をやめて、歯車変速モードの2速での駆動に切り替える。
【0027】
ここで重要なことは、上記の切替えの途中における第1出力軸14のトルク変動が少なくなるように第2M/G60を制御することと、一時的なHVモードにおいてエンジン1と第1M/G50の回転速度を適切に制御して、1−2スリーブ34の素早い移動を可能にすることである。
これらの制御は、1速から2速への切替えだけでなく、4速から3速への切替えなどにも共通することであり、これにより切替えを素早くスムーズに行うことができる。
【0028】
上記の発進および駆動モードの切替えは、急な運転条件の変化に対応して切り替える例で説明したが、運転条件の変化が緩やかな場合は、それに応じてスムーズかつ緩やかに切替えを制御すればよい。
また、常に運転条件に応じて最適な駆動モードを選択して走行する。たとえば、歯車変速モードの4速にて走行中に、ドライバーがアクセルペダルの踏み込み量を減らした場合は、エンジン1を停止するとワンウエイクラッチ10の作用で自動的にEVモードに切り替わり、シームレスにEVモードに切り替えて駆動することもできるし、第2M/G60に発電させて軽く制動することもできる。
【0029】
また、その状態から再びドライバーがアクセルペダルを踏み込んだ場合は、第2M/G60に電力を供給して第1出力軸14を駆動するとともに、第1M/G50でエンジン1を始動して、エンジン1の回転速度が元に戻ればワンウエイクラッチ10の作用で自動的に歯車変速モードの4速に戻って駆動する。
【0030】
図1に見るように、エンジン1と入力軸12との間に発進用の摩擦クラッチが存在しない。このことは、同期装置を用いる場合にその負担になる慣性モーメントが大きなクラッチディスクがないことを意味し、同期作用を素早く行うことができる。また、エンジン1と第1M/G50が連結しているため、これらを制御して入力軸12の回転速度を自在に操ることができるので、例えば歯車変速モードの3速に切り替える際に、入力軸12の回転速度をそれに適した値に素早く変化させておくことで、これも同期装置の負担を軽くして、素早い切替えを行う上で欠かせない要素である。
そして、後進は、EVモード、HVモードでの後進のみでなく、歯車変速モードにおいては、Rスリーブ44を右に移動することで、前進と同様に駆動することができる。
【0031】
以上が実施例1の作用の概要であるが、実施例1では以下のような効果を得ることができる。
まず、運転条件に応じた最適な駆動モードを選択して走行することで、燃費を向上することができる。特に動力伝達効率が高い歯車変速モードは、従来例に較べて変速比の段数を多く設定することができるので、多様な走行条件において環境性能や燃費の向上に貢献する。
【0032】
また、複数の変速比を有する歯車変速モードでの駆動において、大きな駆動力を発揮することができるので、第2M/G60の容量をエンジン1の最大出力より小さい値に設定することができるので、重量や製造コストの面でメリットがある。
上記の説明では、歯車変速モードを1速乃至4速の前進4段として説明したが、これに限られず、たとえば5段以上の変速比を設定することも可能である。
また、第2M/G60の容量が大きい場合は、後進をEVモードとHVモードのみでまかなうことができるので、アイドラ軸40まわりの構成が不要になる。
図1は、いわゆるエンジン横置きの前輪駆動車の例で説明したが、むろん、後輪駆動車にも適用可能である。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の実施例2の自動車用駆動装置につき説明する。
図2は、本発明の実施例2に係る自動車用駆動装置における主要部のスケルトン図である。
ここでは、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と実質的に同じ部分については、同じ符号を付しそれらの説明を省略する。
【0034】
実施例2における実施例1との違いは、中間軸4と入力軸12との間に、ワンウエイクラッチ10と並列に摩擦クラッチ70を設けたことである。
すなわち、実施例1にあっては中間軸4から入力軸12を駆動することしかできなかったが、摩擦クラッチ70を設けたため、これを締結することにより、入力軸12側から中間軸4を介して第1M/G50とエンジン1とを駆動することができる。
その他の部分は実施例1と同様である。
【0035】
次に、
図2に示した本発明の実施例2に係る自動車用駆動装置の作用を説明する。
上述したように、実施例2の実施例1との違いは、摩擦クラッチ70を設けたことのみであるので、これの作用を中心に説明する。
すなわち、歯車変速モードでの走行において、降坂時などで制動する場合に摩擦クラッチ70を締結することで、第2M/G60での発電に加えて、第1M/G50での発電とエンジン1の回転によって、制動トルクを得ることができる。
【0036】
なお、摩擦クラッチ70は車両の発進に用いない上、あらかじめ歯車変速モードでの駆動中に締結しておくことができるので、締結に伴う滑りによる発熱や摩耗の恐れが少ない。
したがって、摩擦クラッチ70は、一般的な自動車の発進に用いる摩擦クラッチに較べてサイズが小さいものでよい。
その他の作用は、実施例1と同様である。
【0037】
実施例2では、実施例1で説明したメリットに加えて、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、上記したように、制動時に第2M/G60での発電に加えて、第1M/G50での発電とエンジン1の回転によって、制動トルクを得ることができるので、実施例1に較べて第2M/G60の容量を減らすことができる。
【0038】
第2M/G60の容量を減らすとEVモードおよびHVモードでの駆動力が減少するが、それは歯車変速モードでの駆動で補うことができるので、結果的に従来例および実施例1よりも小さい容量の第2M/G60で済むことになる。
したがって、第2M/G60の容量を小さくすることで、重量や製造コストの面でメリットがある。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の実施例3の自動車用駆動装置につき説明する。
図3は、本発明の実施例3に係る自動車用駆動装置における主要部のスケルトン図である。
ここでは、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と実質的に同じ部分については、同じ符号を付しそれらの説明を省略する。
【0040】
実施例3における実施例1との違いは、第1に、第1M/G50を、入力軸12と常時連結し、エンジン1とは摩擦クラッチ72で連結・解放可能にしたことである。
すなわち、第1M/G50は第1駆動歯車52、第1中間歯車54、第1被動歯車56を介して入力軸12と常時連結する一方、第1被動歯車56と中間軸4との間が、ワンウエイクラッチ10と並列に設けた摩擦クラッチ72により連結・解放可能になっている。
【0041】
第2の違いは、第2M/G60が後車輪6を駆動するようになっていることである。
すなわち、第2M/G60と連結した第2駆動歯車62は第2出力軸80と一体の第2出力歯車80aを駆動可能であり、第2出力軸80は図示しない差動装置などを介して後車輪6と連結している。
その他の部分は実施例1と同様である。
なお、アイドラ軸42の位置が、
図1および
図2と異なる位置に描かれているが、実際の配置および各歯車の連結関係は
図1、
図2と同様である。
【0042】
つぎに、
図3に示した本発明の実施例3に係る自動車用駆動装置の作用を説明する。
上述したように、実施例3の実施例1との違いは、第1M/G50と、入力軸12とを常時連結するとともに、エンジン1との間に摩擦クラッチ72を設けたこと、および第2M/G60が後車輪6を駆動するようにしたことのみであるので、これらの作用を中心に説明する。
【0043】
摩擦クラッチ72は、第1M/G50でエンジン1を始動する際に使用する。
すなわち、第1M/G50が停止しているときに摩擦クラッチ72を締結しておき、第1M/G50に通電して始動する場合と、第1M/G50が回転している状態で摩擦クラッチ72を締結して始動する場合の、2種類が可能である。
【0044】
また、EVモードにあっては、第2M/G60による後車輪6の駆動に加えて、実施例1で説明した歯車変速モードと同様に、1速乃至4速の各変速歯車対を介して第1M/G50も前車輪5の駆動に参加することができる。
すなわち、第1M/G50は歯車変速モードと同様の変速比で前車輪5を駆動することができる。
そして、HVモードにあっては、各スリーブ34、38、44を中立にしておいて、エンジン1で第1M/G50を駆動して発電する。
さらに、上記したように、実施例1では前車輪5を駆動していた第2M/G60が、実施例3にあっては後車輪6を駆動する。
【0045】
したがって、EVモードにあっては、第2M/G60による後輪駆動と、上記の第1M/G50による前輪駆動を、任意に切り替えて、または組み合わせて四輪駆動にすることができる。すなわち、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動の3種類が可能である。
また、HVモードにあっては第2M/G60による後輪駆動であり、歯車変速モードでは前輪駆動である。
むろん、歯車変速モードによる前輪駆動中に、走行条件に応じて第2M/G60に電力を供給して後車輪6を駆動させて、一時的な四輪駆動として作用することも可能である。
【0046】
なお、摩擦クラッチ72の伝達トルクはエンジン1を回転させるだけなので、クラッチとしての容量は小さくて済む。
また、第1M/G50と入力軸12とを常時連結したため、実施例2で説明したのと同様に、歯車変速モードで走行中に降坂時などで制動する場合に、エンジン1を停止して、第2M/G60に加えて第1M/G50にも発電させることができる。
その他の作用は、実施例1と同様である。
【0047】
実施例3では、実施例1で説明したメリットに加えて、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、実施例2と同様に、制動時に第2M/G60での発電に加えて、第1M/G50での発電によって、制動トルクを得ることができること、およびEVモードにおいても第2M/G60に加えて第1M/G50での駆動も可能であることから、実施例1に較べて第2M/G60の容量を減らすことができる。
第2M/G60の容量を減らす場合のメリットは、実施例2で説明したのと同様であるので、説明を省略する。
そして、上記したように前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動の3種類の駆動が可能であるので、走行条件に応じて切り替えて駆動することで、滑りやすい路面や不整地における走破性が向上する。
【0048】
以上の説明で分かるように、本発明の自動車用駆動装置は、多様な運転条件に応じて常に最適な駆動モードを選択して走行することで、環境性能や燃費を向上することができる。特に動力伝達効率が高い機械的駆動の歯車変速モードは、従来例に較べて変速比を数多く設定することができるのが特徴であり、市街地走行から高速走行まで燃費の向上が期待できる。
また、特に第2M/G60の容量に応じて、ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車などの幅広い車種に適用することができる。
【0049】
本発明の自動車用駆動装置は、当業者の一般的な知識に基づいて、自動車の走行条件に応じて最適な駆動モードを選択して駆動を行うことや、GPS(全地球測位システム)、カーナビゲーションシステムなどの情報を基に、長い坂道の走行時や高速道路において最適な制御を行うなどの工夫と合わせた態様で実施することができる。