【解決手段】ケーシング1内に、貴金属を含む正極2と、負極3と、正極2および負極3に接触する電解液4と、電解液4を収容する電解液収容部5と、被検知ガスを透過させるガス透過性隔膜6と、を備えたガルバニ電池式酸素センサX、および、基板21を備えたセンサユニットAであって、ケーシング1は、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを備え、蓋部1bはフレーム部1b1と樹脂部1b2と、を備え、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態で蓋部1bを基板21に配設してあり、フレーム部1b1と溶接するケーシング本体1aに導通する正極2は基板21と導通してあり、蓋部1bの樹脂部1b2に設けた接点部材1fに導通する負極3は基板21と導通する。
ケーシング内に、貴金属を含む正極と、負極と、前記正極および前記負極に接触する電解液と、前記電解液を収容する電解液収容部と、被検知ガスを透過させるガス透過性隔膜と、を備えたガルバニ電池式酸素センサ、および、当該ガルバニ電池式酸素センサを配設する基板を備えたセンサユニットにおいて、
前記ケーシングは、ケーシング本体および蓋部を備え、
当該蓋部は、前記ケーシング本体の周縁部と溶接するフレーム部と、当該フレーム部の内方に配設される樹脂部と、を備え、
前記ケーシング本体および前記蓋部を組み付けた状態で前記蓋部を前記基板に配設してあり、
前記正極は前記フレーム部と溶接する前記ケーシング本体に導通するため前記正極は前記基板と導通し、前記負極は前記蓋部の前記樹脂部に設けた接点部材に導通するため前記負極は前記基板と導通するように構成してあるセンサユニット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に示したように、本発明のガルバニ電池式酸素センサXは、ケーシング1内に、貴金属を含む正極2と、負極3と、当該正極2および負極3に接触する電解液4と、当該電解液4を収容する電解液収容部5と、被検知ガスを透過させるガス透過性隔膜6と、を備え、正極2における電解液収容部5の側に、正極2の剥離を防止する剥離防止手段10を備える。当該剥離防止手段10は、正極2における電解液収容部5の側を覆い、電解液4に含まれるイオンを透過するイオン交換部7としてある。
【0014】
ケーシング1は、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを備えている。本実施形態のケーシング1は略円柱状とした場合について説明するが、これに限定されるものではない。ケーシング本体1aには、ケーシング1の内部に酸素を導入できるように、約2mm径のガス通気孔1cが設けられている。蓋部1bは、ケーシング本体1aの周縁部(スカート部1a1)と溶接するフレーム部1b1と、当該フレーム部1b1の内方に配設される樹脂製の樹脂部1b2と、を備える。
【0015】
スカート部1a1およびフレーム部1b1は、共に円環状に形成されて対向し、フレーム部1b1におけるスカート部1a1の側の表面が円環状に凸設された凸設部1b3を溶かすことにより、スカート部1a1およびフレーム部1b1を溶接することができる。フレーム部1b1における凸設部1b3の裏面は溝状に凹設してある。
本実施形態ではスカート部1a1およびフレーム部1b1を溶接する場合について説明するが、これらが十分に接合できれば他の方法(例えばかしめ等)を適用してもよい。ただし、接合の強度等の観点から、上述した溶接の態様を適用するのが好ましい。
【0016】
当該樹脂部1b2は、PPS樹脂等で構成することができるが、これに限定されるものではない。また、蓋部1b(樹脂部1b2)には、蓋部1bをケーシング本体1aに組み付けた後に電解液4を注入できるように注入部1dが設けてある。当該注入部1dは筒状に形成してあり、外方に対して凸設した開口部1d1が形成してある。
【0017】
蓋部1bは、フレーム部1b1の中央に樹脂部1b2を注入してインサート成形によって作製することができるが、これに限定されるものではなく、樹脂部1b2をフレーム部1b1の中央に熱圧入する熱圧入成形によって作製してもよい。このように成形することで、フレーム部1b1の一部(嵌入部1b4)が樹脂部1b2に嵌入した態様となり、フレーム部1b1および樹脂部1b2を強固に結合させてケーシング1内の密閉度を向上させることができる。
【0018】
ガルバニ電池式酸素センサXは、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態で、エポキシ接着剤等の接着剤20を介してPC基板21等の他物に配設することができる。本実施形態では、ガルバニ電池式酸素センサXおよびPC基板21をセンサユニットAと称する。
【0019】
本実施形態の蓋部1b(樹脂部1b2)には、負極3の一部(縮径部3a)が嵌入する嵌入孔1eを設けてあり、嵌入した負極3の端面と接して導通できる接点部材1fを配設してある。接点部材1fにおけるPC基板21の側は、当該PC基板21の接点孔部21aに嵌入する嵌入凸部1gを備える。PC基板21の接点孔部21aの内面、および、PC基板21のガルバニ電池式酸素センサXの側とその裏面には、ガルバニ電池式酸素センサXと導通するための金属薄膜22a,22b,22cがそれぞれ配設してある。PC基板21のガルバニ電池式酸素センサXの側に配設してある金属薄膜22bは、PC基板21の周縁に沿うように環状に形成してあり、蓋部1bのフレーム部1b1と対向したときに略一致する形状となっている。
【0020】
接点部材1fにおける嵌入凸部1gおよびPC基板21の接点孔部21aは、これらを導電性接着剤8で接着して固定することにより、接点部材1fおよびPC基板21を導通してある。また、負極3および接点部材1fは、これらを導電性接着剤8で接着して固定することにより、蓋部1bおよび負極3を導通してある。
【0021】
ケーシング本体1aおよび蓋部1b(フレーム部1b1)の材質は、ステンレス製とすることができるが、これに限らず、その他の金属や樹脂を適用することができる。ケーシング本体1a、フレーム部1b1を電極として通電する場合には金属製であることが好ましく、また金属製であれば樹脂製のものに比べて、内部の電解液4の蒸発を防ぐこともできる。
【0022】
ケーシング1内には、ガス通気孔1cの側から順に、環状でポリイミド製の固形接着シート11、不織布状のセパレータ12、貴金属を含む正極2が配設してある。固形接着シート11は、ケーシング1および正極2を密着させることができるため、ケーシング1の孔部1cから入った酸素がケーシング1と正極2との間を拡散することなく、最短距離で正極2に導くことができる。セパレータ12は、固形接着シート11より小径で固形接着シート11の内側に配設すればよく、例えば撥水性を有するガス透過性の多孔質PTFE膜等を使用することができるが、これに限定されるものではない。また、固形接着シート11および正極2は略同程度の外径を有するように構成してある。
【0023】
固形接着シート11、セパレータ12および正極2は、銀−エポキシ系(ECA−100)等の導電性接着剤8で固定するとよい。当該導電性接着剤8は、耐久温度や製造上の温度の関係等に鑑み、適宜異なる複数種類の導電性接着剤を使用してもよい。このとき、固形接着シート11、セパレータ12および正極2を重ね、熱硬化させた後、イオン交換部7を熱圧着させた状態で、これらの側面および正極2の外周の一部を導電性接着剤8で覆うように導電性接着剤8を塗布すればよい。これにより、固形接着シート11、セパレータ12および正極2を重ねた状態で、ケーシング1(ケーシング本体1a)に対してこれらを導電性接着剤8で接着して固定することにより、ケーシング本体1aおよび正極2を導通してある。
【0024】
従って、ガルバニ電池式酸素センサXは、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態でPC基板21に配設したとき、正極2はフレーム部1b1と溶接してあるケーシング本体1aに導通するため正極2はPC基板21と導通し、負極3は蓋部1bに設けた接点部材1fに導通するため負極3はPC基板21と導通する。
【0025】
本構成によれば、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態で蓋部1bをPC基板21に配設したとき、正極2はケーシング本体1aおよびフレーム部1b1を介してPC基板21と導通させることができ、負極3は接点部材1fを介してPC基板21と導通させることができる。これにより、複数のリード線を使用してセンサ出力を取り出すような複雑な構造とすることなく、本発明に係るガルバニ電池式酸素センサX(センサユニットA)を簡便な構造とすることができる。
【0026】
さらに本構成によれば、接点部材1fおよびPC基板21の導通、ケーシング本体1aおよび正極2の導通、蓋部1bおよび負極3の導通、のそれぞれを、導電性接着剤8を介して行うことができる。そのため、リード線を使用してセンサ出力を取り出す各部材の導通をするような複雑な構造とすることなく、本発明に係るガルバニ電池式酸素センサX(センサユニットA)を簡便な構造とすることができる。
【0027】
また、固形接着シート11、セパレータ12、正極2を重ね、熱硬化させた後、イオン交換部7を熱圧着し、これらの側面および正極2の外周の一部、もしくは全周を導電性接着剤8で覆うように導電性接着剤8を塗布してもよい。
【0028】
本実施形態では、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態で蓋部1bをPC基板21に配設する際に、PC基板21の開口部21bに注入部1dの開口部1d1が挿通するように構成してある。
【0029】
正極2は、例えば厚さ1μm程度の貴金属の薄膜状の電極として構成してある。当該貴金属としては、金、白金、銀等の金属を用いることができる。これら貴金属は、金箔、白金箔、銀箔といった金属箔の態様で供してもよいし、適当な基材にスパッタリングして成膜した態様で供してもよい。本実施形態では、被検知ガスを透過させるガス透過性隔膜6(後述)における電解液収容部5の側に金をスパッタリングして金スパッタリング膜を成膜し、正極2とガス透過性隔膜6とを一体化した場合について説明する。
【0030】
負極3は、従来公知の負極材料が使用でき、特に本実施形態のように鉛等の卑金属を含むものが好ましく適用できる。卑金属としては、鉛の他、亜鉛、アルミニウム等が例示される。本実施形態の負極3の形状は略筒状とし、一部が縮径した縮径部3aおよび当該縮径部3aより大径である大径部3bを備えて電解液収容部5に囲繞される態様とした場合について説明するが、センサ組み立ての際およびセンサの使用の際に、負極3が位置ずれしない態様であれば、特にこのような態様に限定されるものではない。
【0031】
電解液4は、当該正極2および負極3に接触するように電解液収容部5に収容する。当該電解液収容部5には電解液4を保持する保水部材9を配設してある。本実施形態では、電解液収容部5に第一保水部材9aおよび第二保水部材9bを配設し、これら保水部材9a,9bに電解液4を含浸させるように構成した場合について説明する。第一保水部材9aは板状に形成して正極2の側に配設し、第二保水部材9bは第一保水部材9aに隣接し、少なくとも負極3の一部を囲繞して負極3に接するように環状に形成してある。本実施形態では第二保水部材9bは負極3の大径部3bを囲繞して負極3に接する態様について説明するが、これに限定されるものではなく、電解液収容部5の容積等を鑑みて第二保水部材9bは負極3の縮径部3aおよび大径部3bを囲繞してもよい。
尚、第一保水部材9aおよび第二保水部材9bは、ケーシング本体1aおよび蓋部1bを組み付けた状態とした際(
図1)には、第一保水部材9aの材料によっては負極3の一部が第一保水部材9aに陥没する態様となる。
【0032】
また、本実施形態では、第二保水部材9bは第一保水部材9aよりも嵩密度の低い膜体で構成してある(
図4)。即ち、第二保水部材9bは第一保水部材9aよりも目の粗い膜体とすることができる。例えば第二保水部材9bを構成する繊維は、第一保水部材9aを構成する繊維より太く、繊維間の隙間を大きくしたものを使用するのがよい。これら保水部材9a,9bは、厚さ0.25〜3mm程度の膜体を使用することができる。
【0033】
このような保水部材9として、例えば第一保水部材9aはセラミック繊維を主材とする膜体を使用することができる。この膜体の嵩密度は0.18g/cm
3程度、空間率は90%程度、とするのがよく、具体的にはMCペーパー(日本板硝子株式会社製)を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
また、第二保水部材9bは、ポリエチレン・ポリプロピレン重合体などの樹脂製の膜体を使用することができる。この膜体の嵩密度は0.08g/cm
3程度、空間率は90%程度、とするのがよく、具体的にはOR−125(アサヒ繊維工業株式会社製)を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
電解液4は、塩基性水溶液および酸性水溶液のいずれも使用することができる。例えば、塩基性水溶液としてKOH水溶液、酸性水溶液としてCH
3COOHとCH
3COOKとの緩衝溶液のように、従来のガルバニ電池式酸素センサに適用できる電解液を使用することができる。
【0036】
被検知ガスを透過させるガス透過性隔膜6は、酸素を選択的に透過し、電解液4を透過しない隔膜であり、外部および容器1の内部を仕切るものである。ガス透過性隔膜6の材質は、電解液4を透過せず酸素透過性能を有するものであれば特に限定されず、例えば4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等、従来公知のものが適用可能である。
【0037】
本発明のガルバニ電池式酸素センサXは、正極2における電解液収容部5の側を、電解液4に含まれるイオンを透過するイオン交換部7で覆っている。本発明では、正極2において少なくとも電解液収容部5の側をイオン交換部7で覆う態様とすればよい。当該イオン交換部7は、例えばイオン交換膜を使用することができ、電解液4が塩基性水溶液の場合はアニオン交換膜を使用することができる。このとき例えばイオン交換膜は、第四級アンモニウム塩を使用したアニオン交換膜を使用することができる。また、電解液4が酸性水溶液の場合はカチオン交換膜を使用すればよい。イオン交換膜は、具体的にはナフィオン(登録商標:デュポン社製)、アシプレックス(登録商標:旭化成社製)、フレミオン(登録商標:旭硝子社製)、ユアサグラフト膜(ユアサメンブレンシステム社製)などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、イオン交換膜以外でも、スパッタリング膜が直接緩衝されない様な形態、例えば、親水性多孔質ポリエチレン(ポリミック/登録商標:日本板硝子社製)、親水性多孔質ポリオレフィン、親水性多孔質PTFE、セロハン(フタムラ化学社製)、パピロン(登録商標:三晶社製)等をスパッタリングされた膜の上面に密着させて、剥離防止手段10とすることができる。
【0039】
このように正極2における電解液収容部5の側をイオン交換部7で覆うことにより、電解液4が直接正極2に接触し難くなるため、正極2が劣化するのを未然に防止することができる。本実施形態のように、金スパッタリング膜を成膜して正極2とガス透過性隔膜6とを一体化した場合は、金スパッタリング膜の耐久性が向上して剥離するのを未然に防止することができる。このとき、正極2をイオン交換部7で覆ったとしても当該イオン交換部7は電解液4に含まれる水酸化物イオン等のイオンを透過して当該イオンを正極2に供することができるため、正負極間における酸化還元反応を妨げることはない。従って、本構成ではセンサ特性を維持しつつセンサ出力が安定したガルバニ電池式酸素センサとなる。
【0040】
イオン交換部7は複数の層で構成することが可能である。本実施形態では、イオン交換部7を二層で構成する場合について説明する。二層としては、両方の層をイオン交換膜7としてもよいし、一方の層をイオン交換膜7と同様の組成の樹脂溶液やナフィオン溶液を塗布する層とし、他方の層をイオン交換膜7としてもよい。また、ナフィオン溶液を使用する場合は、ナフィオン溶液の濃度は5〜20wt%で、溶媒は低級アルコールと純水(15〜34%)の混合物、または、純水とすればよい。本構成のように一方の層を樹脂溶液などの溶液層7aとし、他方の層をイオン交換膜7bとした場合、イオン交換膜7bの接着性が向上するため、イオン交換部7の効果を確実にすることができる。
【0041】
また、一方の層を溶液層7aとし、他方の層をイオン交換膜7bとした場合、正極2に対してイオン交換膜7bと同様の組成の溶液を滴下する滴下工程と、イオン交換膜7bを熱圧着する熱圧着工程と、を行うことにより正極2をイオン交換部7で覆うことができる。滴下工程は、正極2に対して適量(例えば5〜100μL)の前記溶液を滴下すればよい。滴下工程を行うタイミングは、固形接着シート11、セパレータ12および正極2を重ね、熱硬化させた後に行えばよい。本実施形態では滴下工程後に、イオン交換膜7bを熱圧着(熱圧着工程)する場合について説明するが、イオン交換膜7bが無い態様とすることもできる。その後、これらの側面および正極2における電解液収容部5の側の外縁の一部、もしくは全周を導電性接着剤8で覆うように導電性接着剤8を塗布すればよい。この場合、イオン交換部7および正極2において、イオン交換部7は正極2より小径に構成した部位を有するように構成してもよい。即ち、イオン交換膜7bは正極2より小径とすることができる。また、導電性接着剤8で覆うことにより、イオン交換部7と金スパッタリング膜との界面への電解液が侵入し難くなる。
【0042】
このとき、導電性接着剤8は、前記側面および正極2の外周の一部、もしくは全周を覆うことができるため、固形接着シート11、セパレータ12および正極2を強固に固定することができる。また、イオン交換部7に含浸された電解液4は正極2の外周の一部、もしくは全周を覆う導電性接着剤8の位置で確実に遮断することができるため、電解液4が固形接着シート11に接触し難くなり、電解液4の漏洩を未然に防止することができる。
【0043】
また、イオン交換部7のうち、イオン交換膜7bを正極2より小径とする場合、イオン交換膜7bを熱圧着する際に正極2上に位置付けるときに、多少の位置ズレが生じたとしてもイオン交換膜7bは正極2上の位置から外れ難くなる。そのため、イオン交換膜7bを組み付ける際の誤差をある程度許容できるため、製造が容易となる。
【0044】
滴下工程を行った後は、前記溶液を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。この乾燥は室温付近で自然乾燥としてもよいし、乾燥機等を使用して乾燥してもよい。乾燥時の温度および時間は約120℃付近で数時間とするなど特に限定されるものではなく、前記溶液の性質を変化させない程度の温度であれば適宜設定することができる。また、熱圧着工程は例えば100〜120℃程度で1.5〜5分間の条件とすることができるが、イオン交換膜7bの性質を変化させない程度の温度であればこれらに限定されるものではない。尚、導電性接着剤8を塗布した後は、自然乾燥としてもよいし、乾燥機等を使用して140℃付近の温度で1〜数時間程度乾燥してもよい。
【0045】
また、固形接着シート11、セパレータ12および正極2を重ね、熱硬化させた後、導電性接着剤8を塗布し、その後、滴下工程および熱圧着工程を行って正極2をイオン交換部7で覆ってもよい。
【0046】
このように、イオン交換部7を二層(複数の層)で構成することにより、単層の場合と比べて耐久性(正極2の劣化防止)をより向上させることができる。
【実施例】
【0047】
〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
本発明のガルバニ電池式酸素センサX(外径15mm、高さ10mm)を製造する際に、イオン交換部7を二層で構成する場合について説明する。本実施例では、一方の層をナフィオン溶液を塗布する溶液層7aとし、他方の層をイオン交換膜7b(ナフィオン)とした。固形接着シート11、セパレータ12、および、予め常法でガス透過性隔膜6に金をスパッタリングして約1μm厚の金スパッタリング膜を成膜した正極2をケーシング本体1aに重ね、熱硬化させた後、10μLのナフィオン溶液を正極2に滴下する滴下工程を行って溶液層7aを形成した。その後、3時間以上の自然乾燥をした後、イオン交換膜7bを110℃で2分間の圧着を行う熱圧着工程を行い、イオン交換部7を形成した(
図5)。その後、これらの側面および正極2における電解液収容部5の側の外縁の一部、もしくは全周を導電性接着剤8で覆うように導電性接着剤8を塗布して140℃で1時間焼成した。
【0048】
この場合、正極2を覆うイオン交換部7の厚さを均一に形成することができるため、当該イオン交換部7の厚さにムラがある場合に比べてイオン交換部7の剥離や劣化を未然に防止することができる。
【0049】
その後、第一保水部材9aであるMCペーパー(日本板硝子株式会社製)、第二保水部材9bであるOR−125、および、鉛製の負極3を組み付けた。この状態でケーシング本体1aの周縁部および蓋部1bを溶接して組み付け、注入部1dより電解液(酸性水溶液)4を注入した後、加熱して溶融させることで注入部1dの開口部1d1を封止し、
図1のようにエポキシ接着剤20を介してPC基板21に配設した。
【0050】
本実施形態では、イオン交換部7および正極2において、イオン交換膜7bは正極2より小径に構成してある。
【0051】
〔実施例2〕
本実施例におけるガルバニ電池式酸素センサXは、固形接着シート11、セパレータ12、金スパッタリング膜を成膜した正極2を重ねて熱硬化した後、これらの側面と電解液収容部5の側の外縁の一部、もしくは全周を導電性接着剤8で覆うように塗布した(
図6)。その後、溶液層7aおよびイオン交換膜7bをケーシング本体1aに重ね、熱圧着した。他の条件は実施例1に準じて行った。