(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-154962(P2017-154962A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】単結晶シリコンを成長させる方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20170810BHJP
C30B 15/04 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
C30B29/06 502H
C30B29/06 A
C30B29/06 D
C30B29/06 502G
C30B15/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-137621(P2016-137621)
(22)【出願日】2016年7月12日
(11)【特許番号】特許第6142054号(P6142054)
(45)【特許公報発行日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】201610120879.2
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516145552
【氏名又は名称】上海新昇半導體科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】肖徳元
(72)【発明者】
【氏名】張汝京
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077BA04
4G077CF10
4G077EB01
4G077EC02
4G077EC03
4G077EC10
4G077HA12
4G077PB01
4G077PB05
4G077PB09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリコンウェハ上でのデバイス形成工程において、イントリンシック・ゲッタリング効果を強化することができ、併せて、ホットキャリア効果を防止し、モレ電流の低減を可能とするチョクラルスキー(CZ)法による単結晶シリコンの製造方法の提供。
【解決手段】表面に窒化ケイ素膜が形成され、且つ、イオン注入により重水素がドープされたたシリコン片及びポリシリコンバルクのシリコン原料を使用し、アルゴン雰囲気中で磁場を印加しながら単結晶シリコンの引き上げを行うCZ法による単結晶シリコンの製造方法。前記窒化ケイ素を低圧化学気相成長又はプラズマ化学気相成長により成長させたものであり、20〜5000nmの厚さを有する、単結晶シリコーンの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン含有材料の溶融物をるつぼ内で調製し、単結晶シリコンを成長させるために前記溶融物を引き上げ、
前記溶融物の調製中にアルゴンを含有するガスを導入し、
前記引き上げステップ中に磁場を印加することを含み、
窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされたシリコン片及びポリシリコンバルクを含むシリコン含有材料を使用することを特徴とする、
チョクラルスキー法の応用による単結晶シリコンを成長させる方法。
【請求項2】
前記窒化ケイ素を、低圧化学気相成長又はプラズマ化学気相成長により成長させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化ケイ素は20〜5000nmの厚さを有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコン片は、窒化ケイ素成長後のイオン注入により、重水素でドープされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン注入は、1〜800keVの注入エネルギー及び1x1012〜1x1018イオン/cm2の注入ドーズ量を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記るつぼ内のシリコン片及びポリシリコンバルクを含む前記シリコン含有材料を既定の温度で溶融させるステップと、磁場を印加するステップと、結晶棒を既定の結晶棒長さに達するまで、種結晶からの既定の引き上げ速度で引き上げるステップと、前記引き上げ速度を低下させ、線形冷却速度を維持することで既定の直径を有する単結晶シリコンインゴットを形成するステップと、前記単結晶シリコンインゴットが前記既定の直径を有している間に前記引き上げ速度を上昇させ、同時に冷却し、前記線形冷却を終了することで前記単結晶シリコンインゴットの直径を安定させ、前記単結晶シリコンインゴットを連続的に成長させるステップとを含み、前記シリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記磁場は1000〜5000ガウスの強さを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1の方法で製造した単結晶シリコンインゴットを利用することを含み、
ウェハは1x1013〜1x1016窒素原子/cm3を含むことを特徴とする、ウェハを製造する方法。
【請求項9】
前記ウェハは1x1012〜1x1018重水素原子/cm3を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単結晶シリコンインゴットを切断、表面研削、研磨、エッジ仕上げ及び洗浄により処理して前記ウェハを作製することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、シリコン結晶を成長させる方法、特に単結晶シリコンを成長させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコンを成長させるためのチョクラルスキー法(CZ法)においては、石英るつぼの溶融物のせいで酸素が単結晶シリコンに入り込む場合がある。この酸素は主にシリコンの格子の空間内に存在し、濃度がシリコン中での溶解度を超えると析出して酸素析出欠陥が発生する。酸素析出欠陥は、集積回路デバイスに損傷を与える可能性がある。
【0003】
イントリンシック・ゲッタリング技術とは、シリコンウェハ内で高密度の酸素析出を発生させることでシリコンウェハの表面に、欠陥のない、特定の深さの清浄域を形成することを意味する。この清浄域は、デバイスの製造に使用できる。しかしながら、超大規模集積回路(ULSI)の開発に伴い、より小さい最小加工寸法が求められているため、単結晶シリコン中の酸素濃度を低下させることでソース領域における欠陥の発生を防止しなくてはならない。
近年、集積回路製造プロセスのサーマルバジェットは著しく低下しているため、シリコンウェハ内での酸素析出に適した条件が得られず、イントリンシック・ゲッタリング効果に悪影響が及んでいる。
【0004】
上記の問題は、チョクラルスキー法での単結晶シリコンの成長中に窒素をドープすることで解決できる。窒素は単結晶シリコン中での酸素析出を促進することから、イントリンシック・ゲッタリング効果を強化できる。さらに、窒素ドーピングにより、シリコンウェハの機械的強度を上昇させ、ボイド欠陥を削減できる。酸素析出の分布を赤外線散乱トモグラフィ(IR−LST)及び走査赤外顕微鏡法(SIRM)により調べる。
これにより、適切な窒素ドーピング濃度でもって窒素をドープした300mmシリコンウェハのワンステップ熱アニール後に高密度の酸素析出を発生させることができ且つ特定の深さの清浄域をウェハ表面近くに形成できることがわかる。さらに、窒素濃度を上昇させると、酸素析出の半径方向の分布が一層均一となる。
【0005】
この業界においては、窒素を単結晶シリコンにドープするには、固相窒素ドーピング(例えば、窒化ケイ素(Si
3N
4)の粉末)を応用するのが一般的である。固相窒素ドーピングでは窒素濃度を制御できるものの、高純度のSi
3N
4粉末の入手が困難である。Si
3N
4粒子は、その難しい溶融特性から、残留することが多い。したがって、転位のない単結晶シリコンを形成できない。
この業界においては、気相窒素ドーピングも応用されており、高純度の窒素ガス又は窒素/アルゴン混合ガスをシーディング後に導入する。シリコン結晶中の窒素ドーピング濃度は、窒素導入時間により制御する。気相窒素ドーピングは、窒素ガスとシリコン溶融物との反応により達成されるため、純度は比較的高く、窒化ケイ素粒子は容易に形成されない。しかしながら、プロセス及び窒素濃度の制御は困難である。これは気相窒素ドーピングの反応が熱対流に全面的に依存しているからである。したがって、単結晶シリコンを製造する方法が依然として必要とされている。
【0006】
水素パッシベーションは、半導体デバイスの作製における、周知の確立された技術となっている。水素パッシベーション法において、半導体デバイスの働きに影響する欠陥は除去される。例えば、そのような欠陥は、半導体デバイスの能動素子上の再結合/発生中心と称されている。これらの中心はダングリングボンドにより引き起こされると考えられ、部分的には印加されるバイアスに応じて、デバイスにおいて電荷キャリアを除去する又は不要な電荷キャリアを付加する状態をエネルギーギャップにもたらす。
ダングリングボンドは主にデバイスの表面又は界面に生じるが、空孔、マイクロポア、転位でも生じると考えられ、また不純物に関連していると考えられている。
【0007】
半導体業界で起きている別の問題は、ホットキャリア効果によるデバイス性能の低下である。この低下は、比例してより大きな電圧を用いるより小さなデバイスで特に懸念されている。そのような高電圧を用いる場合、チャネルキャリアが、絶縁層に進入してデバイス挙動を低下させるのに十分な高エネルギーとなる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、チョクラルスキー法を応用することで単結晶シリコンを成長させる方法を提供し、この方法は、シリコン含有材料の溶融物をるつぼ内で調製し、単結晶シリコンを成長させるためにこの溶融物を引き上げ、溶融物の調製中にアルゴンを含有するガスを導入し、引き上げステップ中に磁場を印加することを含み、シリコン片及びポリシリコンバルクを含むシリコン含有材料を使用し、このシリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされることを特徴とする。
【0009】
本願はウェハを製造する方法を提供し、この方法は、上記の方法により製造した単結晶シリコンインゴットを利用することを含み、ウェハは1x10
13〜1x10
16窒素原子/立法センチメートル(cm
3)を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の単結晶シリコンの成長プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の方法を示した添付の図面を参照しながらさらに詳細に説明するが、本発明の好ましい実施形態を示す。当業者ならば、本発明の有利な効果を依然として得つつ、本明細書に記載の本発明に改変を加え得る。したがって、これらの実施形態は、当業者により幅広い教示として理解されるべきであり、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
【0012】
明確にするために、実際の実施形態の全ての特徴を記載してはいない。無用な詳細によって引き起こされる混乱を避けるために、周知の機能及び構造を詳細には記載しない場合がある。
実際の実施形態の開発においては、開発者の特定の目標を達成するために数多くの実践上の細かい点を、例えばシステム又は商品の要件又は制約に応じて決定しなくてはならず、1つの実施形態は別のものへと変化することを考慮すべきである。また、そのような開発上の努力は複雑且つ時間のかかるものかもしれないが当業者にとっては決まりきった作業にすぎないことを考慮すべきである。
【0013】
以下の段落において、添付の図面は、例として本発明をより具体的に説明する際に言及される。本発明の利点及び特徴は、以下の説明及び請求項からより明白である。本発明の実施形態を手軽且つ明確に説明し易くすることを目的として、図面は、不精確な比率で描かれた簡略化された形式であることに留意されたい。
【0014】
本願において、単結晶シリコンを成長させる方法は、チョクラルスキー法(CZ)をベースにしている。単結晶シリコンは、固相窒素ドーピング及び磁場−チョクラルスキー法(MCZ)により形成する。簡単に説明すると、チョクラルスキー法においては、るつぼに入れたシリコン含有材料が溶融して溶融物を形成し、この溶融物を引き上げることで単結晶シリコンとして成長させる。
本願の方法は、シリコン片及びポリシリコンバルクを含むシリコン含有材料を使用し、溶融物の調製中にアルゴンを含有するガスを導入し、引き上げステップ中に磁場を印加し、このシリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされることを特徴とする。
【0015】
本願において、シリコン含有材料はシリコン片及びポリシリコンバルクを含み、このシリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされる。一実施形態において、窒化ケイ素は化学気相成長法又はプラズマ化学気相成長法により成長させる。一実施形態において、窒化ケイ素は20〜5000nmの厚さを有する。
【0016】
窒化ケイ素の成長後、イオン注入によりシリコン片に重水素をドープする。一実施形態において、イオン注入では、1〜800keVの注入エネルギーを印加し、イオン注入のための注入ドーズ量は1x10
12〜1x10
18イオン/cm
2である。
【0017】
本願において、磁場は、1000〜5000ガウスの強さを有する。
【0018】
実施形態において、磁場は、超伝導勾配磁場である。一実施形態において、磁場は、溶融物表面に対して0〜45°又は45〜90°で傾斜した磁力線を有し、傾斜角度は実践時の要件に応じて調節できる。好ましい一実施形態において、磁力線は溶融物表面に対して0〜10°又は80〜90°で傾斜している。
【0019】
本願の方法は以下の詳細ステップを含む。るつぼ内のシリコン片及びポリシリコンバルクを含有するシリコン含有材料は既定の温度で溶融し、シリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープされる。磁場を印加する。結晶棒を既定の結晶棒長さに達するまで、種結晶からの既定の引き上げ速度で引き上げる。引き上げ速度を低下させ、線形冷却速度を維持することで既定の直径を有する単結晶シリコンインゴットを形成する。
この単結晶シリコンインゴットが既定の直径を有している間に引き上げ速度を速やかに上昇させ、同時に温度を低下させる。同時に、線形冷却ステップを終了する。るつぼの上昇速度を制御する。単結晶シリコンインゴットの直径の変化率に応じて、引き上げ率をゆっくりと調節して単結晶シリコンインゴットの直径を安定させ、単結晶シリコンインゴットを連続的に成長させる。自動直径制御プログラムを利用してインゴットの成長をモニタする。
【0020】
実施形態において、単結晶シリコンインゴットの直径は引き上げ速度及び既定温度により制御する。
【0021】
実施形態において、シリコン含有材料はシリコン片及びポリシリコンバルクを含有し、このシリコン片は窒化ケイ素の薄膜を有し且つ重水素でドープされる。材料を、窒化ケイ素の融点を越えた温度(すなわち1900℃より高い)で十分に混合し溶融させる。次に、溶融物を冷却し、種結晶をシーディングする。この時点で、溶融物表面の中心領域はシリコン融点の温度である。次に、固相窒素ドーピングステップ及び結晶引き上げ成長を実行できる。したがって、単結晶シリコン中の窒素ドーピング濃度は精確に制御でき、また均質なドーピングを達成できる。
【0022】
本願はウェハを製造する方法を提供し、この方法は、上記の方法で製造した単結晶シリコンインゴットを利用することを含み、ウェハは1x10
13〜1x10
16窒素原子/cm
3を含むことを特徴とする。
【0023】
実施形態において、ウェハは1x10
12〜1x10
18重水素原子/cm
3を含む。
【0024】
実施形態において、単結晶シリコンインゴットを切断、表面研削、研磨、エッジ仕上げ及び洗浄により処理してウェハを作製する。
【実施例】
【0025】
本願においては、固相窒素ドーピング及び磁場チョクラルスキー法(MCZ)を単結晶シリコンの窒素ドーピングに応用する。このプロセスは概して、以下のステップ、溶融、シーディング、結晶引き上げ、クラウン部成長、ショルダー部成長及びボディ成長を含む。
図1は、本願の単結晶シリコンの成長方法の一実施形態を示し、次のステップを含む。
S100:シリコン片及びポリシリコンバルクを含むシリコン含有材料を石英るつぼ内で既定の温度で溶融させ、このシリコン片は窒化ケイ素の表面成長を有し且つ重水素でドープする。
S200:磁場を印加する。
S300(結晶引き上げステップ):結晶棒を既定の結晶棒長さに達するまで、種結晶からの既定の引き上げ速度で引き上げる。
S400(クラウン部成長ステップ):引き上げ速度を低下させ、線形冷却速度を維持することで既定の直径を有する単結晶シリコンインゴットを形成する。
S500(ショルダー部及びボディ成長ステップ):単結晶シリコンインゴットが既定の直径を有している間に引き上げ速度を上昇させ、同時に冷却し、線形冷却を終了することで単結晶シリコンインゴットの直径を安定させ、単結晶シリコンインゴットを連続的に成長させる。
【0026】
固相窒素ドーピングステップにおいて、窒化ケイ素の電子工学グレードの膜を、シリコン材料としての表面上で成長した窒化ケイ素を含有するシリコン片を使用して形成する。この窒化ケイ素膜は、シリコン基板上での気相成長、例えば相対的に高い温度での化学気相成長(CVD)又は比較的低い温度及び低い圧力でのプラズマ化学気相成長(PECVD)により得られる。反応を以下に示す。
【0027】
3SiH
4(g)+4NH
3(g)→Si
3N
4(s)+12H
2(g)
【0028】
3SiCl
4(g)+4NH
3(g)→Si
3N
4(s)+12HCl(g)
【0029】
3SiCl
2H
2(g)+4NH
3(g)→Si
3N
4(s)+6HCl(g)+6H
2(g)
【0030】
上記の反応において、gは気体を表し、sは固体を表す。
【0031】
厚さ20〜5000nmの窒化ケイ素層は、シリコン基板上でのCVD又はPECVDにより形成できる。
【0032】
次に、重水素イオン注入を、窒化ケイ素層を有するシリコン基板に行う。注入エネルギーは1〜800keVであり、注入ドーズ量は1x10
12〜1x10
18イオン/cm
2である。
【0033】
上記のシリコン含有材料を石英るつぼに入れ、1900〜2000℃(すなわち、窒化ケイ素の融点より高い)、アルゴン導入下で十分に混合し溶融させる。次に、得られた溶融物を冷却して溶融物表面の中心領域の温度を約1400℃(すなわち、シリコンの融点)にする。
【0034】
磁場をるつぼ及び溶融物に印加する。好ましくは、磁場は超伝導勾配磁場である。磁場は、溶融物表面に対して0〜45°又は45〜90°で傾斜した磁力線を有し、好ましくは角度は0〜10°又は80〜90°である。磁場は、1000〜5000ガウスの強さを有する。
【0035】
種結晶をシーディングし、次に既定の結晶引き上げ速度を適用して結晶棒を引き上げる。既定の結晶棒長さに達したら、引き上げ速度を低下させてクラウン部成長ステップに移る。クラウン部成長ステップにおいて、低下した引き上げ速度及び安定した線形冷却速度を適用することで既定の直径を有する単結晶シリコンインゴットを形成し、次にショルダー部及びボディ成長ステップに移る。
単結晶シリコンインゴットが要件を満たしている間に、引き上げ速度を急速に上昇させ、温度を急速に低下させ、線形冷却を同時に終了し、上昇速度をるつぼに適用する。引き上げ速度を単結晶シリコンインゴットの直径変化に応じて緩やかに調節する。単結晶シリコンインゴットの直径が比較的安定している間、自動直径制御プログラムを利用して以下の手順をモニタする。
【0036】
上記の方法において、単結晶シリコンの窒素ドープ濃度はより精確に制御でき、また均一な窒素ドーピングを達成できる。本願の方法で製造した単結晶シリコンインゴット又はウェハは、1x10
13〜1x10
16窒素原子/cm
3及び1x10
12〜1x10
18重水素原子/cm
3を含む。
【0037】
急速熱アニール(RTA)処理を、得られた窒素ドープ単結晶シリコンウェハに行うことで、シート表面から深さ0.5μm以内に存在するCOP(Crystal orginated particle)欠陥を除去する。表面のCOP密度は約50%以下まで低減できる。得られたシリコンウェハは、表面上に内部微小欠陥(BMD)を有さない。
【0038】
重水素原子のシリコン溶融物への添加により、重水素原子を単結晶シリコンインゴット内の空間又は間隙におさめ且つ酸素及び炭素不純物の濃度を低下させることができる。単結晶シリコンインゴットから作製されるウェハ上でのデバイスの形成中、重水素原子はゲート絶縁層と半導体との界面へと外方拡散し、またダングリングボンドに共有結合してより安定した構造を形成する。したがって、ホットキャリア効果を防止でき、漏れ電流を低減でき、デバイスの特性を強化できる。
【0039】
上記の方法の具体例を、特定の実施形態を用いて説明してきた。これらの実施形態は説明のためのものであって、限定的ではない。多くの変化形、改変、追加及び改良が可能である。これら及び他の変化形、改変、追加及び改良は、後出の請求項で定義される本発明の範囲に含まれ得る。