(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-155055(P2017-155055A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】バイオマス由来のメチルメタクリレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/08 20060101AFI20170810BHJP
C07C 69/54 20060101ALI20170810BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20170810BHJP
C07C 29/151 20060101ALI20170810BHJP
C07C 47/22 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/35 20060101ALI20170810BHJP
C07C 1/24 20060101ALI20170810BHJP
C07C 11/09 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/65 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/50 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/29 20060101ALI20170810BHJP
C07C 29/44 20060101ALI20170810BHJP
C07C 6/04 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/75 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/62 20060101ALI20170810BHJP
C07C 45/52 20060101ALI20170810BHJP
C07C 51/21 20060101ALI20170810BHJP
C07C 57/055 20060101ALI20170810BHJP
C07C 51/235 20060101ALI20170810BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20170810BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/54 Z
C07C31/04
C07C29/151
C07C47/22 Z
C07C45/35
C07C1/24
C07C11/09
C07C45/65
C07C45/50
C07C45/29
C07C29/44
C07C6/04
C07C45/75
C07C45/62
C07C45/52
C07C51/21
C07C57/055 B
C07C51/235
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-111376(P2017-111376)
(22)【出願日】2017年6月6日
(62)【分割の表示】特願2015-92509(P2015-92509)の分割
【原出願日】2010年1月5日
(31)【優先権主張番号】0950028
(32)【優先日】2009年1月6日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ, ジャン−リュク
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC13
4H006AC41
4H006AC45
4H006AC46
4H006AC48
4H006BA05
4H006BA07
4H006BA09
4H006BA72
4H006BD70
4H006BE20
4H006BE30
4H006BE40
4H006BS10
4H006FE11
4H006KA06
4H039CA60
4H039CL35
(57)【要約】
【課題】メタクロレインを酸化してメタクリル酸にし、後者をメタノールでエステル化してメチルメタクリレートを製造する方法。
【解決手段】上記反応で用いるメタクロレインおよびメタノールの少なくとも一方の少なくとも一部が、バイオマスから始める反応または一連の反応によって得られものであることを特徴とする方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクロレインを酸化してメタクリル酸にし、後者をメタノールでエステル化してメチルメタクリレートを製造する方法において、
上記反応で用いるメタクロレインおよびメタノールの少なくとも一方の少なくとも一部が、バイオマスから始める反応または一連の反応によって得られものであることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記の酸化およびエステル化を2つの連続した段階で行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記の酸化およびエステル化を同時に行う請求項1に記載の方法。
【請求項4】
メタノールの少なくとも一部を木材の熱分解か、基本的に一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを生じる動植物由来の材料のガス化か、農作物、例えば小麦、サトウキビまたはビートの発酵による発酵性生成物、従ってアルコールから作り、
メタノール製造用合成ガスの少なくとも一部をセルロースパルプの製造の廃液および漂白液の回収物から得る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
メタクロレインの少なくとも一部をイソブテン、tert-ブタノールおよび/または両者の混合物のうちの少なくとも一つの酸化によって作り、イソブテン(必要に応じてtert-ブタノールとの混合物として)はイソブタノールの脱水で得ることができ、イソブタノールの少なくとも一部はフーゼル油の蒸留で作っておくことができ、および/または、少なくとも一種の植物材料を少なくとも一種の酵母の存在下で発酵して得ることができ、この植物材料は一般に発酵前に加水分解し、発酵の後に蒸留段階を実施してイソブタノールを水溶液の形で回収し、この溶液に続いて濃縮段階を実施し、および/またはメタノールのエタノールとの縮合で得ることができ、メタノールおよび/またはエタノールはバイオマスから得られる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メタクロレインの少なくとも一部をイソブチルアルデヒドの酸化脱水素化によって作り、このイソブチルアルデヒドの少なくとも一部はプロピレンと合成ガスとの反応および/またはイソブタノールの酸化で得ることができ、
イソブタノールの少なくとも一部はフーゼル油の蒸留で作っておくことができ、および/または、少なくとも一種の植物材料を少なくとも一種の酵母の存在下で発酵して得ることができ、この植物材料は一般に発酵前に加水分解し、発酵の後に蒸留段階を実施してイソブタノールを水溶液の形で回収し、この溶液に続いて濃縮段階を実施し、および/またはメタノールのエタノールとの縮合で得ることができ、メタノールおよび/またはエタノールはバイオマスから得られ、
合成ガスの少なくとも一部を、任意の動植物由来の材料のガス化および/またはセルロースパルプの製造の廃液および漂白液の回収物から得ることができる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プロピレンの少なくとも一部をイソプロパノールの脱水によって作り、イソプロパノール自体はバイオマス発酵で作り、または、エチレンとブト−2−エンとのメタセシス反応によって作り、これら自体はアルコールの混合物の脱水によって作り、バイオマス発酵で得られる少なくともエタノールとブタン−1−オルとを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メタクロレインの少なくとも一部をプロパンアルデヒドのホルムアルデヒドに対する反応によって作り、
このプロパンアルデヒドの少なくとも一部はアクロレインの水素化で得ることができ、アクロレインの少なくとも一部はグリセロールの脱水で得られ、グリセロールの少なくとも一部は、油性植物、例えばトリグリセリドを含む菜種、ヒマワリまたは大豆から始めるバイオ燃料の製造の副生成物として得ることができ、これらのトリグリセリドの加水分解またはトランスエステル化によって、それぞれ脂肪酸および脂肪エステルに加えて、グリセロールを生成でき、かつ
メタノールの酸化によるホルムアルデヒドの少なくとも一部、用いられるメタノールの少なくとも一部を木材の熱分解か、基本的に一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを生じる動植物由来の材料のガス化か、農作物、例えば小麦、トウモロコシ、サトウキビまたはビートの発酵による発酵性生成物従ってアルコールから作っておく請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
炭素の全重量に対して少なくとも0.4×10-10重量%の14Cを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造されたメチルメタクリレートの、ポリ(メチルメタクリレート)製造でのモノマーとして、高級メタクリレート有機合成の出発材料として、アクリルエマルションおよびアクリル樹脂製造で用いる化合物として、ポリ(塩化ビニル)の添加剤として、コポリマー製造でのコモノマーとして、および、潤滑剤の添加剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオマス由来のメチルメタクリレートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メチルメタクリレートは多くの重合または共重合反応の出発材料であり、これはアルツグラス(Altuglas、登録商標)およびプレキシグラス(Plexiglas、登録商標)で知られるポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を製造するためのモノマーである。メチルメタクリレートは粉末、顆粒またはシートの形で提供され、種々の物品、例えば自動車産業での各種物品、家庭用品、事務用品、標識およびディスプレー用シート、輸送、建築、ライトおよび衛生陶器の分野、防音壁、芸術作品、フラットスクリーン等の成形に用いられている。
【0003】
メチルメタクリレートは高級メタクリレートの有機合成の出発材料であり、この高級メタクリレートもアクリルエマルションおよびアクリル樹脂の製造に用いられ、ポリ(塩化ビニル)用添加剤の役目をし、多くのコポリマー、例えばメチルメタクリレート/ブタジエン/スチレンコポリマーの製造でコモノマーとして用いられ、潤滑剤用添加剤の役目をする。さらに多くの用途があり、特に、医療用プロテーゼ、凝集剤、洗浄剤等が挙げられる。アクリルエマルションおよびアクリル樹脂は塗料、接着剤、紙、テキスタイル、インク等の分野で用いられる。アクリル樹脂もPMMAと同じ用途のシートの製造で用いられる。
【0004】
メチルメタクリレートは種々の方法で得ることができる。その一つの方法はメタクロレインを酸化してメタクリル酸を生成し、このメタクリル酸をメタノールでエステル化することである。
【0005】
特許文献1(欧州特許出願第1,994,978号公報)および特許文献2(欧州特許出願第1,995,231号公報)には、メタクリル酸をメタノールでエステル化してメチルメタクリレートを製造する方法が記載されている。メタクリル酸はイソブテンの酸化で得られるメタクロレインの酸化で得られる。
【0006】
特許文献3(欧州特許第1,813,586号公報)および特許文献4(米国特許第3,819,685号明細書)では、メタクロレインをメタノールの存在下で酸化して、直接メチルメタクリレートを製造する。
【0007】
特許文献5(英国特許第2,094,782号公報)では、水素と一酸化炭素の存在下でプロピレンをヒドロホルミル化してイソブチルアルデヒドを製造し、このイソブチルアルデヒドから得られるメタクロレインからメチルメタクリレートを製造する。
特許文献6(欧州特許第058,927号公報)では、プロパナールとホルモルおよび第2アミンとを酸の存在下で反応させてメタクロレインを得る。
【0008】
これらのメチルメタクリレートの合成で用いる出発材料は主として石油由来または合成由来であり、従って、多くのCO
2発生源を含み、温室化効果を増加させる原因となる。地球上の石油資源の減少を考慮すると、これらの出発材料の供給源は徐々に枯渇しつつある。
【0009】
バイオマスから得られる出発材料は再生可能な資源であり、環境への影響は少なく、石油製品の精製工程(エネルギーの点で非常にコスト高である)は不必要であり、化石CO
2の発生量が減り、地球温暖化に対する影響が少ない。植物は成長のために大気中のCO
2を炭素1モル当たり(炭素12g当たり)44gのCO
2の速さで消費する。すなわち、再生可能資源を使用することで大気中のCO
2の量の削減ができる。植物材料はほぼ世界中で需要に応じて大量に栽培できるという利点を有する。
【0010】
従って、化石由来の出発材料に依存せずに、バイオマスを出発材料として用いるメチルメタクリレートの合成方法に対するニーズがある。
【0011】
「バイオマス」という用語は、天然で生産される動植物由来の出発材料を意味する。植物材料の特徴は植物が成長するために大気CO
2を消費し、酸素を生成する点にある。動物は成長するためにこの植物出発材料を消費することで大気中のCO
2に由来する炭素を取り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願第1,994,978号公報
【特許文献2】欧州特許出願第1,995,231号公報
【特許文献3】欧州特許第1,813,586号公報
【特許文献4】米国特許第3,819,685号明細書
【特許文献5】英国特許第2,094,782号公報
【特許文献6】欧州特許第058,927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記の持続可能な発展という課題に対して対応することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の対象は、メタクロレインを酸化してメタクリル酸にし、後者をメタノールでエステル化してメチルメタクリレートを製造する方法において、
上記反応で用いるメタクロレインとメタノールの少なくとも一方の少なくとも一部が、バイオマスから始める反応または一連の反応によって得られものであることを特徴とする方法にある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の酸化および上記エステル化は2つの連続した段階または同時に行うことができる。
メタノールの少なくとも一部を木材の熱分解か、基本的に一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを生じる動植物由来の材料のガス化か、農作物、例えば小麦、サトウキビまたはビートの発酵による発酵性生成物従ってアルコールから作り、
メタノール製造用合成ガスの少なくとも一部をセルロースパルプの製造の廃液および漂白液の回収物から得ることができる。
【0016】
第1実施例では、メタクロレインの少なくとも一部をイソブテン、tert-ブタノールおよび/または両者の混合物のうちの少なくとも一つの酸化によって作り、イソブテン(必要に応じてtert-ブタノールとの混合物として)はイソブタノールの脱水で得ることができ、イソブタノールの少なくとも一部はフーゼル油の蒸留で作っておくことができ、および/または、少なくとも一種の植物材料を少なくとも一種の酵母の存在下で発酵して得ることができ、この植物材料は一般に発酵前に加水分解し、発酵の後に蒸留段階を実施してイソブタノールを水溶液の形で回収し、この溶液に続いて濃縮段階を実施し、および/またはメタノールのエタノールとの縮合で得ることができ、メタノールおよび/またはエタノールはバイオマスから得られる。
【0017】
本発明の第2実施例では、メタクロレインの少なくとも一部をイソブチルアルデヒドの酸化脱水素化によって作り、このイソブチルアルデヒドの少なくとも一部はプロピレンと合成ガスとの反応および/またはイソブタノールの酸化で得ることができ、
イソブタノールの少なくとも一部はフーゼル油の蒸留で得ることができ、および/または、少なくとも一種の植物材料を少なくとも一種の酵母の存在下で発酵して得ることができ、この植物材料は一般に発酵前に加水分解し、発酵の後に蒸留段階を実施してイソブタノールを水溶液の形で回収し、この溶液に続いて濃縮段階を実施し、および/またはメタノールのエタノールとの縮合で得ることができ、メタノールおよび/またはエタノールはバイオマスから得られ、
合成ガスの少なくとも一部を、任意の動植物由来の材料のガス化および/またはセルロースパルプの製造の廃液および漂白液の回収物から得ることができる。
【0018】
プロピレンの少なくとも一部をイソプロパノールの脱水によって作り、イソプロパノール自体はバイオマス発酵で作り、または、エチレンとブト−2−エンとのメタセシス反応によって作る。これら自体はアルコールの混合物の脱水によって作り、バイオマス発酵で得られる少なくともエタノールとブタン−1−オルとを含む。
【0019】
第3実施例では、メタクロレインの少なくとも一部をプロパンアルデヒドのホルムアルデヒドに対する反応によって作り、
このプロパンアルデヒドの少なくとも一部はアクロレインの水素化で得ることができ、アクロレインの少なくとも一部はグリセロールの脱水で得られ、グリセロールの少なくとも一部は、油性植物、例えばトリグリセリドを含む菜種、ヒマワリまたは大豆から始めるバイオ燃料の製造の副生成物として得ることができ、これらのトリグリセリドの加水分解またはトランスエステル化によって、それぞれ脂肪酸および脂肪エステルに加えて、グリセロールを生成できる。
メタノールの酸化によるホルムアルデヒドの少なくとも一部、用いられるメタノールの少なくとも一部を木材の熱分解か、基本的に一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを生じる動植物由来の材料のガス化か、農作物、例えば小麦、トウモロコシ、サトウキビまたはビートの発酵による発酵性生成物従ってアルコールから作る。
【0020】
本発明の別の対象は、上記の方法で製造されたメチルメタクリレートの、ポリ(メチルメタクリレート)製造でのモノマーとして、高級メタクリレート有機合成の出発材料として、アクリルエマルションおよびアクリル樹脂製造で用いる化合物として、ポリ(塩化ビニル)の添加剤として、コポリマー製造でのコモノマーとして、および、潤滑剤の添加剤としての使用にある。
【0021】
バイオマスのメタノールとしての有価物回収(varorisation)
既に述べたように、メタノールは、木材の熱分解か、動植物由来の任意の材料のガス化で主として一酸化炭素と水素とで構成される合成ガスを作る(必要に応じて水性ガスシフト反応によって水と反応させ、H
2/CO比をメタノールの合成に適した比率に調節する)か、農作物、例えば小麦、トウモロコシ、サトウキビまたはビートから始める発酵で発酵性生成物、従ってアルコールを生成することによって得られる。
【0022】
動物由来の材料としては魚の油および脂肪、例えばタラの肝油、鯨油、マッコウクジラの油、イルカ油、アザラシ油、イワシ油、ニシン油またはサメ肝油、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマおよびトリの油および脂肪、例えば獣脂、ラード、乳脂肪、豚脂肪、鶏脂、牛脂、豚脂または馬脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
植物由来の材料としては、農業からのリグノセルロース残留物、穀類藁飼料、例えば小麦の藁飼料またはトウモロコシ藁飼料または穂かす飼料、穀類かす、例えばトウモロコシかす;穀粉、例えば小麦粉、穀類、例えば小麦、大麦、ソルガムまたはトウモロコシ;木材または木の廃材および木くず;穀物;サトウキビまたはサトウキビかす;エンドウの巻きひげおよび茎;ビートまたは糖蜜、例えばビート糖蜜;キクイモ、ジャガイモ、ジャガイモ茎またはジャガイモかす;でんぷん;セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの混合物;および製紙工業からの黒液(炭素リッチな材料)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の一実施例では、メタノールを製造するための合成ガス(syngas)はセルロースパルプの製造で出る廃液および漂白液を回収して得る。特にセルロースの製造および漂白で出る廃液のガス化およびメタノール製造を記載したChermecの特許文献7(欧州特許第666,831号公報)またはChermecの特許文献8(米国特許第7,294,225号明細書)および合成ガスからのメタノール製造に関する下記論文(非特許文献1)を参照されたい。
【特許文献7】Chermecの欧州特許第666,831号公報
【特許文献8】Chermecの米国特許第7,294,225号明細書
【非特許文献1】論文「Procedes de petrochimie -Caracteristiques techniques et economiques Tome 1-Editions Technip-le gaz de synthese et ses derives」()
【0025】
バイオマスのフーゼルアルコールともよばれるフーゼル油の蒸留によるイソブタノールとしての有価物回収(varorisation)
エタノール発酵、バイオマスの発酵によって糖類がエタノールを生成し、それによって、エタノール1トン当たり約5kgの比率で、エタノールより重いアルコールが生じる。このアルコール混合物は主として、5、4、3の炭素原子を有するアルコール、例えばアミルおよびイソアミルアルコール、イソブタノールおよびプロパノールからなる。次いで、このアルコール混合物から、特に蒸留技術によって、イソブタノールを単離できる。
【0026】
バイオマスのエタノールとのメタノールの縮合によるイソブタノールとしての有価物回収(varorisation)
メタノールをエタノールと縮合し、Guerbet反応によって、プロパノールとイソブタノール(2−メチルプロパン−1−オル)との混合物が得られ、その他の分岐アルコール、例えば2−メチルブタン−1−オルが少量存在する。このアルコールの混合物の組成は、一方で、Guerbet反応に用いた一種以上の触媒の種類に、他方で、2つの反応物、メタノールとエタノールとの比に依存する。次いで、このアルコール混合物からイソブタノールを例えば蒸留技術を介して単離できる。Guerbet反応の反応機構によって、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドをそれぞれメタノールおよびエタノールから生成し、これらを縮合してペロペナールを製造し、これを還元してプロパノールにする。ホルムアルデヒドをプロパナールと縮合してイソブタノールにする。
【0027】
これらの各種反応およびこれらの反応の実施条件は、特に非特許文献2を参照されたい。
【非特許文献2】E.S.Olson達、応用生化学およびバイオテクノロジー、113〜116巻、2004年、913〜930頁
【0028】
Guerbet反応では、上記のバイオマスからメタノールを、そして、植物材料の発酵によってエタノールを得ることができる。この植物材料は特に、糖、でんぷんおよびこれらを含む植物抽出物から選択でき、特に、ビート、サトウキビ、穀類、例えば小麦、大麦、ソルガムまたはトウモロコシおよびジャガイモが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この植物材料は変形例ではバイオマス(セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの混合物)にすることができる。次いで、例えばサッカロマイセス セレヴィシエまたはその突然変異を用いて、発酵によってエタノールを得る。
【0029】
これらの発酵方法は当業者に周知である。一例としては、下記の方法が挙げられる。植物材料を一種以上の酵母またはこれらの酵母の突然変異体(化学的または物理的応力に応じて天然状態で改質した微生物)の存在下で発酵し、その後、蒸留によってアルコール、特にエタノールを、より濃縮された水溶液の形で回収し、この溶液を続いて、そのアルコール、例えばエタノールのモル濃度をさらに上げることを目的として処理する。エタノールは一般に、フーゼルアルコールともよばれる重質アルコールとの混合物として得られる。この混合物の組成は用いる植物材料および発酵方法に依存する。発酵で生成したエタノールを例えば分子篩、カーボンブラックまたはゼオライト型のフィルターでの吸収によって精製できる。
【0030】
バイオマスのプロピレンとしての有価物回収
既に述べたように、第1変形例では、プロピレンをイソプロパノールの脱水によって作り、イソプロパノールは一種以上の適切な微生物の存在下で再生可能な出発材料を発酵させて作る。この微生物は必要に応じて自然に改質したり、化学的または物理的応力下または遺伝的に改質されていてもよい。この場合に用いる用語は突然変異体である。
【0031】
バイオマスとしては植物由来の材料、動物由来の材料または回収材料(再生材)から得られる動植物由来の材料を用いることができる。
本発明の植物材料は少なくとも糖類および/または多糖類、例えばデンプン、セルロースまたはヘミセルロースを含む。
【0032】
糖類を含む植物材料は基本的にサトウキビおよびテンサイであり、メープル、ナツメヤシ、ヤシ糖、ソルガムまたはリュウゼツランも挙げられる。デンプンを含む植物材料は基本的に穀草類および豆類、例えばトウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、軟質小麦、米、ジャガイモ、キャッサバまたはサツマイモ、または藻類である。
再生可能な出発材料として、セルロースまたはヘミセルロースを用いることもでき、これらは適切な微生物の存在下で糖類を含む材料に変換できる。これらの再生可能な材料としては藁、木材または紙が挙げられ、回収材料から得るのが有利である。
回収材料から得られる材料の中では、特に、糖類および/または多糖類を含む植物または有機廃棄物が挙げられる。
再生可能な出発材料は植物材料であるのが好ましい。
多糖類の場合に用いる植物材料は、一般に、発酵前は加水分解の形である。従って、この予備加水分解によって、例えばでんぷんを糖化してでんぷんをグルコースに変換するか、スクロースをグルコースに変換することができる。
発酵に用いる微生物はクロストリジウムベイジェリンキ、クロストリジウム オーランチブチリカムまたはクロストリジウムブチリカムおよびその突然変異体、好ましくはポリマー繊維またはカルシウム型の担体に固定されたものであるのが有利である。
これらの出発材料の発酵によって、基本的にイソプロパノールおよび/またはブタノール、場合によってアセトンも製造される。
発酵段階の後に、イソプロパノールをその他のアルコールから分離することを目的として、精製段階、例えば蒸留を行うのが有利である。
【0033】
アルコールの脱水はγ−アルミナベースの触媒、例えばユーロサポート(Eurosupport)社から商品名ESM 110(登録商標)で市販の触媒(約0.04%の残留Na
2Oを含む非ドープの三葉アルミナ)を用いて行う。
脱水の操作条件は当業者に周知である。参考として、脱水は一般に約400℃の温度で行われる。
【0034】
第2変形例では、プロピレンをエチレンとブト−2−エンとのメタセシス反応によって作り、これら自体はアルコールの混合物の脱水によって作り、クロストリジウムベイジェリンキまたはその突然変異体を用いるバイオマス発酵で得られる少なくともエタノールとブタン−1−オルとを含む。
エチレンとブト−1−エンとを生成するためのエタノールとブタン−1−オルとの脱水は、上記のイソプロパノールの脱水と同じ条件下で行う。次いで、ブト−1−エンの水素異性化反応によってブト−2−エンを作る。最後に、エチレンとブト−2−エンとのメタセシス反応によってプロピレンを生成する。
水素異性化反応およびメタセシス反応の詳細は例えば下記文献に記載されている。
【特許文献9】フランス国特許出願第2,880,018号公報
【0035】
バイオマスのグリセロールとしての有価物回収
グリセロールは、油性植物、例えば油(トリグリセリド)を含む菜種、ヒマワリまたは大豆、または動物性脂肪から得られる。
トリグリセリドの加水分解またはトランスエステル化の段階は、それぞれ脂肪酸および脂肪エステルをグリセロールととともに生成するために行う。
例えば、このトランスエステル化は過剰のアルコール(例えばメタノール)の存在下に撹拌器内で原油と、好ましくは塩基性触媒(例えばナトリウムメトキシドまたはナトリウムヒドロキシド)とを反応させて実施できる。加水分解反応を実施するために、過剰の水の存在下で原油と好ましくは酸性触媒とを反応させる。このトランスエステル化反応または加水分解反応は、30〜250℃、好ましくは40〜120℃の温度で行うのが好ましい。反応器には、水/酸またはアルコール/エステルのモル比が2/1以上に維持されるようにこれらを連続供給するのが好ましい。反応終了後、得られた混合物からグリセロールを静置分離する。
【0036】
本発明を用いることで炭素の少なくとも一部が再生可能な材料に由来するメチルメタクリレートを得ることができる。
【0037】
再生可能な出発材料は天然の動物または植物の資源であり、これらは人間の時間では短期間に再構成することができる。特に、これら資源は消費速度以上の速さで再生可能である。
【0038】
化石原料に由来する材料とは違って、再生可能な出発材料は大気中のCO
2と同じ比率で
14Cを含む。生物(動物または植物)から得られる全ての炭素のサンプルは3つの同位元素:
12C(約98.892%)、
13C(約1.108%)および
14C(痕跡量:1.2×10
-10%)の混合物である。生物組織の
14C/
12C比は大気のそれと同じである。環境中では
14Cは主として2つの形:無機の形すなわち二酸化炭素ガス(CO
2)の形と、有機の形すなわち有機分子中に一体化された炭素の形で存在する。
【0039】
有機生物体中では炭素が環境と絶えず交換しているので、
14C/
12C比は新陳代謝によって一定に保たれる。大気中の
14Cの比率は一定であるので、その比は生物中でも同じである。生物は生きている間
12Cと一緒に
14Cも吸収し、
14C/
12C比の平均値は1.2×l0
-12に等しい。炭素-14は大気窒素(14)の衝撃によって得られ、大気中の酸素で自然に酸化され、CO
2を生成する。人類史上で、
14CO
2の含有量は大気圏内核実験が行われた後に増加し、この年以降、このような実験が中止された後も減少していない。
【0040】
12Cは安定しており、サンプル中の
12C原子の数は経時的に一定である。一方、
14Cは放射性であり(生物中の炭素の1グラム当たり毎分、13.6個の
14C同位元素が崩壊)、サンプル中のこの原子の数は下記の式に従って時間(t)の関数で減少する:
n=no exp(−at)
【0041】
(ここで、
noは開始時(生物、動植物の死)の
14C原子の数であり、
nは時間tの終了後に残った
14C原子の数であり、
aは崩壊定数(または放射性定数)で、これは半減期に関係する)
【0042】
半減期(または半減時間)とは所定の種の放射性核または不安定粒子の数が崩壊によって半分になるまでの期間であり、半減期T
1/2は式
aT
1/2=ln2によって崩壊定数
aと関係する。
14Cの半減期は5730年である。50,000年で、
14Cの含有量は初期含有量の0.2%以下となるので、検出は困難になる。従って、石油製品または天然ガスまたは石炭は
14Cを含まない。
14Cの半減期(T
1/2)を考慮すると、
14Cの含有量は再生可能な出発材料を抽出してから、本発明のメチルメタクリレートを製造し、さらにはその使用終了までほぼ一定である。
【0043】
本発明で得られるメチルメタクリレートは再生可能な出発材料から生じる有機炭素を含む。そのため、
14Cを含むことを特徴とする。
特に、上記のメチルメタクリレートは炭素の少なくとも1重量%が再生可能な材料に由来する。上記のメチルメタクリレートは炭素の少なくとも20重量%が再生可能な材料に由来するのが好ましい。上記のメチルメタクリレートは炭素の少なくとも40重量%が再生可能な材料に由来するのがさらに好ましい。上記のメチルメタクリレートは炭素の少なくとも60重量%、さらには少なくとも80重量%が再生可能な材料に由来するのが特に好ましい。
【0044】
本発明で得られるメチルメタクリレートは炭素の全重量に対して少なくとも0.01×10
-10重量%、好ましくは少なくとも0.2×10
-10重量%の
14Cを含む。上記メチルメタクリレートは少なくとも0.4×10
-10重量%の
14C、特に少なくとも0.7×10
-10重量%の
14C、さらには少なくとも0.9×10
-10重量%の
14Cを含むのが特に好ましい。
【0045】
本発明の好ましい実施例では、本発明で得られるメチルメタクリレートは100%の再生可能な出発材料から得られる有機炭素を含む、従って、炭素の全重量に対して1.2×10
-10重量%の
14Cを含む。
【0046】
メチルメタクリレートの
14Cの含有量は例えば下記の方法に従って測定できる:
(1)液体シンチレーションを用いたスペクトロメトリ:
この方法の基本は
14Cの崩壊で生じた「β」粒子をカウントすることにある。質量(炭素原子数)が分かっているサンプルに由来するβ線を一定時間測定する。この「放射能」は
14C原子の数に比例し、それは求めることができる。サンプル中に存在する
14Cはβ線を発し、それが液体発光物質(シンチレータ)と接触すると光子が出る。この光子は種々のエネルギー(O〜156 keV)を有し、
14Cスペクトルを形成する。この方法には2つの変形法があり、適当な吸収剤の溶液中で炭素化サンプルを燃焼して予め出したCO
2を測定するか、炭素化サンプルを予めベンゼンに変換してベンゼンを測定する。
【0047】
(2)マススペクトル分析:
サンプルをグラファイトまたはCO
2ガスにし、質量分析機で分析する。この方法では
14Cイオンを
12Cイオンから分離するための加速器と質量分析装置とを使用して、2つの同位元素の比を求める。
【0048】
材料中の
14Cの量を測定するこれらの方法はASTM D6866規格(特にD6866−06)およびASTM D7026規格(特に7026−04)に記載されている。これらの方法でサンプル中のデータを測定し、再生可能な材料に由来する炭素が100%の参照サンプルのデータと比較することで、各サンプル中の再生可能な材料に由来する炭素の相対百分比を求めることができる。
メチルメタクリレートの場合に用いるのに好ましい測定方法はASTM D6866−06規格に記載のマススペクトル分析である。
【0049】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。以下の実施例において特に記載のない限り部および%は重量部および重量%である。
【実施例】
【0050】
実施例1
合成ガスCO/H2の製造と、一酸化炭素の分離
本実施例では、エタノール/水混合物を用いる。エタノールは以下のように糖類のエタノール発酵で得られる:
水/糖類(10kgの糖)混合物を50リットルのプラスチックタンクに注入する。この混合物に、予め0.25lのぬるま湯と混合した0.25lのパン酵母およびカルゴン(硬水軟化剤)を添加し、合わせた混合物を25℃の温度で14日間浸漬させる。酢酸の生成を制限するために、弁を備えた蓋で容器をカバーする。この段階の終了時に、混合物を濾過および静置分離し、溶液を蒸留して水中で96%のエタノールの共沸混合物を回収する。
このエタノール/水混合物をNi/アルミナ触媒を用いて30バールの圧力および900℃の温度に置く。過剰な水を重質不純物と一緒に反応器の出口で凝縮する。
CO/H
2混合物は深冷分離する。混合物を液体窒素トラップに通してCOを保持し、凝縮ガスを再加熱してCOをその他の不純物(メタン、CO
2等)から分離する。
【0051】
実施例2
合成ガスからのメタノールの製造
実施例1で得られた合成ガスを用いてメタノールを合成する。合成ガスの組成をH
2/CO/CO
2比が71/23/6となるように調整し、CO
2含有量を6%にする。ガスの全圧は70バールである。
市販のCu/Zn/Al/O触媒であるMegaMax 700を用いる。反応器に気体混合物を70バールで、10,000h
-1のHSVで供給し、この混合物を240℃の温度で触媒上に通す。生成した気体混合物の圧力を大気圧に下げ、生成したメタノールを蒸留で分離する。
メタノールの選択率は99%、メタノール収率は95%である。
【0052】
実施例3
イソブタノールの製造
フーゼルアルコールともよばれる混合物からイソブタノールを単離できる。本実施例では、市販の混合物を用いる。この混合物は12.4重量%のエタノール、3.5重量%のn−プロパノール、9.5重量%のイソブタノールおよび74.6重量%のイソアミルアルコールを含む。全てのパーセンテージは水を考慮に入れずに示す。フーゼルアルコールの混合物はエタノール蒸留物から得られる。最初に、フーゼルアルコールの混合物を等容量のヘキサンで処理し、相分離によって水を除去する。水を除去した後に、硫酸ナトリウムを添加し(フーゼルアルコール1リットル当たり約0.15kgの塩)、フーゼルアルコール中の含水量を減らす。
次いで、アルコール混合物を蒸留して各種留分を生成する。イソブタノールを含む留分を単離し、その純度をガスクロマトグラフィーでモニターする。イソブタノールリッチな留分は、痕跡量のエタノール(5重量%)とイソアミルアルコール(7重量%)とをさらに含む。次いで、この混合物を再び溶かし、新たに蒸留して、各不純物の含有量が1%以下であるイソブタノールを得る。
【0053】
実施例4
イソブテンの製造
実施例3で得られたイソブタノールをスチームと一緒に蒸発させてイソブタノールと水との等モル混合物を作る。
このプラントでは、イソブタノールを蒸発器で蒸発し、熱交換器で予熱した後に、直径が127mmの反応器の頂部にイソブタノールの容量と触媒の容量との流量の比が1h
-1となるように注入する。反応器は容量が12,700cm
3で重量が6500gのユーロサポート(Eurosupport)社の製品であるESM 110(登録商標)アルミナの層から成る300〜400℃に加熱した触媒床を含む。反応器中で製造された水とイソブテンとの混合物を熱交換器で冷却した後、気/液分離器へ運ぶ。ここで、イソブテンと(場合によって副生成物と混合された)水とを分離する。
【0054】
実施例5
イソブテンからのメタクロレインの製造
実施例4で得られたイソブテンを用いる。
339℃の温度の溶融塩浴中に浸漬した直径が2.54cm、長さが1mの反応器に、2/1/2.5/12のO
2/イソブテン/H
2O/N
2混合物を1000h
-1のHSVで供給する。日本化薬(Nippon Kayaku)のYS79−1触媒を反応器に充填する。触媒床中のホットスポットは412℃に達する。
300時間の操作の後、変換率は99%、メタクロレイン収率は79%、メタクリル酸収率は4.0%である。
【0055】
実施例6
イソブテンからのメタクリル酸の製造
それぞれ367℃および313℃の温度の溶融塩浴中に浸漬した直径が2.54cm、長さが1mの2つの直列反応器に、2/1/2.5/12のO
2/イソブテン/H
2O/N
2混合物を1000h
-1のHSVで供給する。日本化薬のYS79−1触媒を第1反応器に充填し、日本化薬のK80触媒を第2反応器に充填する。第2触媒床中のホットスポットは330℃に達する。
300時間の操作の後、変換率は99%、メタクリル酸収率は37.5%、第1反応器と第2反応器との間のメタクロレインの変換率は52%である。
【0056】
実施例7
メタクリル酸からのメチルメタクリレートの製造
この段階では、実施例6で得られたメタクリル酸と、実施例2で得られたメタノールとを用いる。この酸は安定剤(800ppmのEMHQ)の存在下でメタクリル酸/メタノール比を5にし、LanxessのK2431樹脂を含む下から上まで供給された、85℃に維持されたカラム内で、70分の滞留時間で接触させる。
生成物を回収し、分析する。操作を15時間続けた後、生成物は75%のメタクリル酸と18%のメチルメタクリレートとを含む。メチルメタクリレートを回収する。
【手続補正書】
【提出日】2017年7月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクロレインを酸化してメタクリル酸にし、後者をメタノールでエステル化してメチルメタクリレートを製造する方法において、
上記反応で用いるメタクロレインおよびメタノールの少なくとも一方の少なくとも一部が、バイオマスから始める反応または一連の反応によって得られものであり、
メタノールの少なくとも一部を木材の熱分解か、一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを生じる動植物由来の材料のガス化か、農作物の発酵による発酵性生成物のアルコールから作り、
メタノール製造用合成ガスの少なくとも一部をセルロースパルプの製造の廃液および漂白液の回収物から得て、
メタクロレインをイソブテンの酸化によって作る、
ことを特徴とする方法。