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特開2017-155057パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤を含有する医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-155057(P2017-155057A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤を含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/768 20150101AFI20170810BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170810BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170810BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20170810BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170810BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
   A61K35/768
   A61K45/00
   A61P35/00
   A61K31/495
   A61K31/496
   A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-116440(P2017-116440)
(22)【出願日】2017年6月14日
(62)【分割の表示】特願2016-528375(P2016-528375)の分割
【原出願日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】13003664.3
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512151403
【氏名又は名称】ドイッチェス・クレープスフォルシュングスツェントルム
【氏名又は名称原語表記】DEUTSCHES KREBSFORSCHUNGSZENTRUM
(71)【出願人】
【識別番号】509161141
【氏名又は名称】ルプレヒト−カールス−ウニヴェルジテート ハイデルベルク
【氏名又は名称原語表記】Ruprecht−Karls−Universitaet Heidelberg
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】マルキーニ,アントーニオ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,レア
(72)【発明者】
【氏名】ロンメレーレ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ゲレットネキー,カルステン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】正常組織に対する望ましくない副作用を増加させることなく、相互に補完してそれらの個々の治療作用を強化する、H−1PVおよび他の抗癌剤を含む併用療法の合理的設計に対するニーズがある。
【解決手段】 (a)パルボウイルス、および(b)Bcl−2阻害剤を含む医薬組成物、ならびに癌、例えば充実性腫瘍を治療するための前記組成物の使用について記載する。好ましい阻害剤は、BH3ミメティックであるABT−737およびABT−199である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)パルボウイルスおよび(b)Bcl−2阻害剤を含有する医薬組成物であって、前記パルボウイルスは、H−1(H−1PV)、または、LuIII、マウス微小ウイルス(MMV)、マウスパルボウイルス(MPV)、ラット微小ウイルス(RMV)、ラットパルボウイルス(RPV)およびラットウイルス(RV)から選択される関連齧歯類パルボウイルスである医薬組成物。
【請求項2】
(a)前記パルボウイルスおよび(b)前記Bcl−2阻害剤を別個の実体として含有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記Bcl−2阻害剤は、ABT−737またはABT−199である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
腫瘍を治療する方法において使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記パルボウイルスおよび前記Bcl−2阻害剤が連続的に投与されることを特徴とする、請求項4に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
充実性腫瘍および/または癌始原幹細胞を治療するためであることを特徴とする、請求項4または5に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
パルボウイルス細胞毒性に対して抵抗性である腫瘍を治療するためであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記腫瘍は、脳腫瘍、膵臓癌、子宮頸癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌または大腸癌である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
神経膠腫または再発性多形性膠芽細胞腫を治療するためであることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記パルボウイルスおよび/またはBcl−2阻害剤が腫瘍内投与されることを特徴とする、請求項4〜9のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)パルボウイルスおよび(b)Bcl−2阻害剤を含む医薬組成物、ならびに、癌、例えば充実性腫瘍を治療するための上記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界中において二番目に多い死亡原因である。男性の半数および女性の三分の一は彼らの寿命中に何らかの形態の癌と診断されると推定されている。さらに、癌は主として老化を原因とする疾患であり、世界中の癌死亡数は、高齢者の比率が増大するために2007年から2030年までに約45%(死亡数が790万人から1150万人へ)増加すると予測されている(WHOの推定値、2008年)。癌は、最も費用を要する疾患でもある。米国立癌研究所からの最新の推定値は、2007年において米国内の癌に要した総経済費用が2,268億ドルであったことを示しており、より成功が得られる予防的介入が講じられず、早期発見がなされず、より効率的な治療法が開発されなければ、既に莫大なこの経済的負担は今後二十年間の間にさらに増大すると予測されている。過去三十年間にわたる米国および欧州における癌五年後生存率の増加によって証明されている多数の形態の癌の予防、発見、診断および治療における大きな進歩にもかかわらず、例えば膵臓、肝臓、肺、脳などの一部の腫瘍タイプは依然として効果的治療法が得られておらず、新規の治療選択肢の開発が求められている。正常細胞には影響を及ぼすことなく癌細胞を殺滅する癌特異的脆弱性を利用する腫瘍細胞崩壊性ウイルスは、癌と闘うための前途有望なツールとして急速に浮上しつつある(非特許文献1(Breitbach他、2011)、非特許文献2(Russell他、2012))。現在は十二種類もの腫瘍細胞崩壊性ウイルスが、単独で、または他の抗癌剤と併用されて様々な悪性腫瘍に対する第I〜III相臨床試験中である(非特許文献2(Russell他、2012))。中でも特に、腫瘍細胞崩壊性ラットパルボウイルスH−1PVは、再発性多形性膠芽細胞腫(GBM)を有する患者における第I/IIa相臨床試験において安全性および有効性の初発症候に関して評価されている(非特許文献3(Geletneky他、2012))。
【0003】
H−1PVは、5.1kbの長い一本鎖DNAを含有する小さな(直径が約25nmの)非エンベロープ二十面体粒子である(非特許文献4(Cotmore及びTattersall、2007))。H−1PVのゲノム機構は、二つのプロモーターであるP4早期プロモーターおよびP38後期プロモーターの制御下にある二つの転写単位からなる。P4は、非構造的(NS)タンパク質(NS1およびNS2)をコードする遺伝子の発現を調節し、P38はカプシド(VP)タンパク質(VP1、VP2、VP3)をコードする遺伝子の発現を調節する(非特許文献4(Cotmore及びTattersall、2007))。このウイルスは、高速分割する癌細胞内で優先的に増殖する。この腫瘍選択性は、癌性細胞によるウイルスのより良好な取り込みに基づくのではなく、むしろ癌細胞がウイルスDNA複製のために必要とされる例えばサイクリンA、E2FもしくはCREB/ATFなどの因子を過剰発現するという事実に起因する。さらに、癌細胞はウイルス増殖に好都合である効率的抗ウイルス免疫応答を起こす能力に欠陥があることが多い(非特許文献5(Nuesch他、2012))。このウイルスは、多数の細胞死経路を活性化することが公知である。細胞タイプおよび増殖条件に依存して、H−1PVは、アポトーシス(非特許文献6(Hristov他、2010)、非特許文献7(Ohshima他、1998)、非特許文献8(Rayet他、1998)、非特許文献9(Ueno他、2001))、ネクローシス(非特許文献10(Ran他、1999))またはカテプシンB依存性細胞死(非特許文献11(非特許文献11(di Piazza他、2007))を誘導する場合がある。このウイルスはTRAIL(Tumor Necrosis Factor Related Apoptosis Inducing Ligand)に抵抗性である癌細胞、シスプラチンおよびBcl−2が過剰発現している場合でさえ(非特許文献11(Di Piazza他、2007))腫瘍崩壊を誘導することができた。後者の結果は、Bcl−2がパルボウイルス細胞毒性のネガティブモジュレーターではないことを示唆している。近年、パルボウイルスおよびそれと化学療法もしくはHDAC阻害剤との併用を使用する癌療法が報告されている(特許文献1(国際公開第2009/083232(A1)号パンフレット)、特許文献2(国際公開第2011/113600(A1)号パンフレット))。
【0004】
主要非構造的タンパク質NS1は、ウイルスDNA複製、ウイルス遺伝子発現および細胞毒性の主要調節因子である。NS1の単独発現は、全ウイルスと同様に、反応性酸素種の蓄積およびDNA損傷による細胞周期停止、アポトーシスおよび細胞溶解を誘導するために十分である(非特許文献6(Hristov他、2010))。その腫瘍細胞崩壊活性の結果として、このウイルスは、GBMに対する臨床試験を開始するための基礎となる、多数の動物モデルにおいて立証された腫瘍抑制性を有することが証明されている(非特許文献3(Geletneky他、2012))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/083232(A1)号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/113600(A1)号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Breitbach CJ, Burke J, Jonker D, Stephenson J, Haas AR, Chow LQ, Nieva J, Hwang TH, Moon A, Patt R et al (2011) Intravenous delivery of a multi- mechanistic cancer-targeted oncolytic poxvirus in humans. Nature 477: 99- 102
【非特許文献2】Russell SJ, Peng KW, Bell JC (2012) Oncolytic virotherapy. Nat Biotechnol30: 658-670
【非特許文献3】Geletneky K, Huesing J, RommelaereJ, Schlehofer JR, Leuchs B, Dahm M, Krebs O, von KnebelDoeberitz M, Huber B, HajdaJ (2012) Phase I/IIa study of intratumoral/intracerebral or intravenous/intracerebral administration of Parvovirus H-l (ParvOryx) in patients with progressive primary or recurrent glioblastoma multiforme: ParvOryxOlprotocol. BMC cancer 12: 99
【非特許文献4】Cotmore SF, Tattersall P (2007) Parvoviral host range and cell entry mechanisms. Adv Virus Res 70: 183-232
【非特許文献5】Nuesch JP, Lacroix J, Marchini A, Rommelaere J (2012) Molecular pathways: rodent parvoviruses--mechanisms of oncolysis and prospects for clinical cancer treatment. Clin Cancer Res 18: 3516-3523
【非特許文献6】Hristov G, Kramer M, Li J, El-Andaloussi N, Mora R, Daeffler L, Zentgraf H, Rommelaere J, Marchini A (2010) Through Its Nonstructural Protein NS1, Parvovirus H-l Induces Apoptosis via Accumulation of Reactive Oxygen Species. J Virol 84: 5909-5922
【非特許文献7】Ohshima T, IwamaM, Ueno Y, Sugiyama F, Nakajima T, Fukamizu A, Yagami K (1998) Induction of apoptosis in vitro and in vivo by H-l parvovirus infection. The Journal of general virology 79 ( Pt 12) : 3067-3071
【非特許文献8】Rayet B, Lopez-Guerrero JA, Rommelaere J, Dinsart C (1998) Induction of programmed cell death by parvovirus H-1 in U937 cells: connection with the tumor necrosis factor alpha signalling pathway. J Virol 72: 8893-8903
【非特許文献9】Ueno Y, Harada T, Iseki H, Ohshima T, Sugiyama F, Yagami K (2001) Propagation of rat parvovirus in thymic lymphoma cell line C58(NT)d and subsequent appearance of a resistant cell clone after lytic infection. J Virol 75: 3965-3970
【非特許文献10】Ran Z, RayetB, Rommelaere J, Faisst S (1999) Parvovirus H-l-induced cell death: influence of intracellular NAD consumption on the regulation of necrosis and apoptosis. Virus Res 65: 161-174
【非特許文献11】Di Piazza M, MaderC, Geletneky K, Herrero y CalleM, Weber E, Schlehofer J, DeleuL, Rommelaere J (2007) Cytosolic Activation of Cathepsins Mediates Parvovirus H-l-Induced Killing of Cisplatin and TRAIL-Resistant Glioma Cells. Journal of Virology 81: 4186-4198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、他の抗癌剤を用いた場合にも観察されるような癌療法の枠組みにおいては、一部の癌細胞が腫瘍再発をもたらすH−1PV細胞毒性に対して抵抗性である、または抵抗性を獲得する可能性があるというリスクがある。このため、正常組織に対する望ましくない副作用を増加させることなく、相互に補完してそれらの個々の治療作用を強化する、H−1PVおよび他の抗癌剤を含む併用療法の合理的設計に対するニーズがある。
【0008】
このため、本発明の目的は、改良されたパルボウイルスに基づく療法のための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、本発明の目的は、特許請求の範囲に規定した主題により達成される。
【0010】
結果として本発明を生じさせた試験では、Bcl−2阻害剤であるABT−737もしくはABT−199が癌細胞を殺滅する際にH−1PVとの相乗作用を示すかどうかが問われた。ABT−737(およびABT−199)の亜致死量は、広範囲の充実性腫瘍、例えば神経膠腫(n=11)、膵臓癌(n=3)、子宮頸癌(n=3)、肺癌(n=3)、頭頸部癌(n=3)、乳癌(n=1)および結腸癌(n=1)に由来する25種のヒト細胞系において、正常非形質転換初代細胞に対するウイルスの安全性プロファイルを維持しながらH−1PVの腫瘍細胞崩壊活性を相乗的方法で増強することが証明された。驚くべきことに、強力な相乗作用は、パルボウイルス細胞毒性に抵抗性であることが有名な癌細胞系においても観察された。注目すべきことに、H−1PV/ABT−737共処置は、脳腫瘍および子宮頸癌に由来する腫瘍始原幹細胞(tumour initiating stem−cell)培養に対しても有効であった(n=5)。H−1PV/ABT−737共処置された神経膠腫由来細胞系では、ミトコンドリア膜透過化(mitochondrial membrane permilization(MMP))ならびにカスパーゼ−3および7の活性化を特徴とするアポトーシスの誘導の増加もまた証明することができた。
【0011】
アポトーシスシグナルへの変化した応答は、癌の顕著な特徴である(Hanahan & Weinberg,2011)。アポトーシスは、二つの異なる、それでもクロストークする経路:プロアポトーシスリガンド、例えば細胞表面死受容体を活性化するApo2/TRAILによって開始される外因性経路および細胞内ストレスシグナルによって誘発されてミトコンドリア外膜透過化(MMP)、その後にミトコンドリアから細胞質ゾルへのシトクロムCの遊離および最後にカスパーゼ類の活性化を生じさせる内因性経路の活性化を通して発生する。B細胞リンパ腫2(Bcl−2)ファミリーメンバーは、ミトコンドリア外膜の完全性を制御するアポトーシスの調節において中心的役割を果たす(Youle & Strasser,2008)。これまでにBcl−2タンパク質フェミリーの二十五のメンバーが同定されている。それらはアポトーシス経路に及ぼす作用およびBcl−2ホモロジードメインの数に依存して、抗アポトーシスタンパク質(Bcl−2、Bcl−X、Bcl−w、Mcl−1、Bfl−1)、プロアポトーシスBH3 only タンパク質(Bim、Bad、Bid、Bikなど)およびBax様プロアポトーシスタンパク質(Bax、BakおよびBok)に細分される(Bajwa他、2012)。プロアポトーシスタンパク質と抗アポトーシスタンパク質との平衡が細胞の運命を決定する。プロアポトーシスタンパク質の数を抗アポトーシスタンパク質によって相殺できない場合、BakおよびBaxはオリゴマー化してミトコンドリア膜内に大きなコンダクタンス孔を形成して、結果としてアポトーシスの誘導を生じさせる。抗アポトーシスBcl−2タンパク質は、リンパ腫、肺癌、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、脳腫瘍および乳癌を含む様々なタイプの癌において過剰発現することが多く(Andersen他、2005)、ならびに腫瘍開始(tumour initiation)、進行および従来型化学療法薬への抵抗性に関連することが多い(Bajwa他、2012)。このため、これらの抗アポトーシスタンパク質の活性に対する拮抗を試みることに多くの努力が向けられてきた。これらの戦略の一つは、例えばBH3ミメティックであるABT−737およびABT−199などの選択的低分子の使用である。
【0012】
BH3onlyタンパク質と同様に、BH3ミメティックは、抗アポトーシスBcl−2ファミリーメンバーをそれらの疎水性溝に結合することにより阻害する(Cragg他、2009)。活性化BH3onlyタンパク質の遊離は、BaxおよびBakの活性化を誘導してアポトーシスを誘発する。BH3ミメティックであるABT−737は、Oltersdorfおよび同僚らにより発見された。これは高親和性(Ki≦1nM)でBcl−2、Bcl−XおよびBcl−wに結合し(Oltersdorf他、2005)、Bcl−2由来のBIMのようなBH3onlyタンパク質と置換する(Del Gaizo Moore他、2007)。インビトロでは、白血病およびリンパ腫細胞中、多発性骨髄腫および小細胞性肺癌由来細胞系では単独物質としてアポトーシスを誘導することが証明された(Vogler他、2009)。ABT−737処置は、異種移植片マウスモデルにおいて小細胞性肺癌の完全退行をもたらした(Oltersdorf他、2005)。さらにABT−737は、非小細胞性肺癌における抗癌薬パクリタキセル(Oltersdorf他、2005)ならびに神経膠芽細胞腫細胞におけるビンクリスチンおよびエトポシド(Tagscherer他、2008)の細胞毒性を相乗作用的に増強することが証明された。非悪性の末梢血単核球(PBMC)は、半有効濃度(EC50)が1,000nMより高いと決定されたのでABT−737に対して感受性ではない(Del Gaizo Moore他、2007)。現在、ABT−737の経口利用可能な誘導体であるABT−263は、リンパ性悪性腫瘍、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫および末梢T細胞リンパ腫に対する第II相臨床試験(ClinicalTrials.gov)において試験されている。しかし、血小板減少症に関する懸念は、それらの強力な抗癌活性にもかかわらず急性白血病の臨床試験へのABT−737およびABT−263の導入を制限している。これは、血小板のBCL−Xへの依存性の結果として、予想通りの毒性に起因する可能性が最も高い(Davids & Letai、2012)。近年、Souersおよび同僚らは、ABT−737の密接に関連する経口利用可能なアナログであるABT−263を修飾することによって高選択性Bcl−2阻害剤ABT−199を生成した。ABT−199は、高親和性でBcl−2に選択的に結合するが(K≦0.01nM)、Bcl−X(K=48nM)およびBcl−w(K=245nM)には結合しない(Souers他、2013)。インビトロでは、数種のヒト血液学的腫瘍異種移植片モデルにおいて腫瘍増殖を阻害することが証明されたが、ABT−737とは対照的に、少ない副作用でヒト血小板を減少させない(Souers他、2013)。近年、Bcl−2阻害剤処置は、慢性リンパ球性白血病(CLL)由来細胞系を水疱性口内炎ウイルス(VSV)腫瘍崩壊に感作させること、およびアポトーシス抵抗性は克服され得ることが報告されている(Samuel他、2010;Samuel他、2013)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1aABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1bABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1cABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1dABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1eABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1fABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1gABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1hABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1iABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1jABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図1kABT−737は相乗的方法でヒト神経膠腫細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を11種の神経膠腫細胞系(a〜k)において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell(プラーク形成単位/細胞数))および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2aABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2bABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2cABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2dABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2eABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2fABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2gABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2hABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2iABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2jABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2kABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2lABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2mABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図2nABT−737は相乗的方法で様々な腫瘍実体由来のヒト細胞系に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置の細胞毒性を三例の膵管腺癌(a〜c)、三例の子宮頸癌(d〜f)、三例の肺癌(g〜i)、三例の頭頸部扁平上皮癌(j〜l)、一例の結腸直腸癌(m)および一例の乳癌(n)細胞系において評価した(細胞系の名称はグラフの最上部に明示した)。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図3aABT−737は相乗的方法で癌幹細胞(CSC)に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置を多形性膠芽細胞腫(GBM)腫瘍(a〜c)ならびにGBM(U87、d)および子宮頸癌(HeLa、e)を有する患者に由来する癌細胞系から単離したCSCに対して試験した。10,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図3bABT−737は相乗的方法で癌幹細胞(CSC)に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置を多形性膠芽細胞腫(GBM)腫瘍(a〜c)ならびにGBM(U87、d)および子宮頸癌(HeLa、e)を有する患者に由来する癌細胞系から単離したCSCに対して試験した。10,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図3cABT−737は相乗的方法で癌幹細胞(CSC)に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置を多形性膠芽細胞腫(GBM)腫瘍(a〜c)ならびにGBM(U87、d)および子宮頸癌(HeLa、e)を有する患者に由来する癌細胞系から単離したCSCに対して試験した。10,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図3dABT−737は相乗的方法で癌幹細胞(CSC)に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置を多形性膠芽細胞腫(GBM)腫瘍(a〜c)ならびにGBM(U87、d)および子宮頸癌(HeLa、e)を有する患者に由来する癌細胞系から単離したCSCに対して試験した。10,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図3eABT−737は相乗的方法で癌幹細胞(CSC)に対するH−1PV誘導性細胞毒性を増強する LDHアッセイ。H−1PV/ABT−737共処置を多形性膠芽細胞腫(GBM)腫瘍(a〜c)ならびにGBM(U87、d)および子宮頸癌(HeLa、e)を有する患者に由来する癌細胞系から単離したCSCに対して試験した。10,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図4aABT−737およびH−1PVは本発明の処置条件下で正常初代細胞に対して有害ではない H−1PV/ABT−737共処置の安全性プロファイルをヒトアストロサイト(a)、初代口腔線維芽細胞(POF、b)、メラノサイト(c)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF、d)において評価した。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/または40μΜのABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染九十六時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図4bABT−737およびH−1PVは本発明の処置条件下で正常初代細胞に対して有害ではない H−1PV/ABT−737共処置の安全性プロファイルをヒトアストロサイト(a)、初代口腔線維芽細胞(POF、b)、メラノサイト(c)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF、d)において評価した。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/または40μΜのABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染九十六時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図4cABT−737およびH−1PVは本発明の処置条件下で正常初代細胞に対して有害ではない H−1PV/ABT−737共処置の安全性プロファイルをヒトアストロサイト(a)、初代口腔線維芽細胞(POF、b)、メラノサイト(c)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF、d)において評価した。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/または40μΜのABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染九十六時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図4dABT−737およびH−1PVは本発明の処置条件下で正常初代細胞に対して有害ではない H−1PV/ABT−737共処置の安全性プロファイルをヒトアストロサイト(a)、初代口腔線維芽細胞(POF、b)、メラノサイト(c)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF、d)において評価した。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PV(MOI:pfu/cell)および/または40μΜのABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染九十六時間後に、細胞溶解物を材料および方法の項目に記載したようにLDHアッセイによって分析した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図5aABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5bABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5cABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5dABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5eABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5fABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5gABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図5hABT−737は相乗的方法でH−1PV誘導性アポトーシスを増強する 処置に応答したDNA断片化(サブ−G1細胞集団)の発生を八種のヒト神経膠腫細胞系(a〜h)においてヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH37およびNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737(ABT)を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後に、細胞を材料および方法の項目に記載したように染色および分析した。上方パネルには代表的なヒストグラムプロットを示した。下方パネルのグラフは、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている(下方パネル)。
図6aABT−737およびH−1PVはミトコンドリア膜透過化(MMP)を誘導する H−1PV/ABT−737共処置がMMP(アポトーシスの顕著な特徴)に及ぼす作用を四種の神経膠腫細胞系(a〜d)においてMitotracker Red染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後、細胞をMitotracker Redで染色し、収集し、フローサイトメトリーによって分析した。MMPを備える細胞のパーセンテージは、CellQuestソフトウエアを用いて決定した。上方パネルには、各条件についての代表的ヒストグラムプロットを示した。下方パネルには、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図6bABT−737およびH−1PVはミトコンドリア膜透過化(MMP)を誘導する H−1PV/ABT−737共処置がMMP(アポトーシスの顕著な特徴)に及ぼす作用を四種の神経膠腫細胞系(a〜d)においてMitotracker Red染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後、細胞をMitotracker Redで染色し、収集し、フローサイトメトリーによって分析した。MMPを備える細胞のパーセンテージは、CellQuestソフトウエアを用いて決定した。上方パネルには、各条件についての代表的ヒストグラムプロットを示した。下方パネルには、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図6cABT−737およびH−1PVはミトコンドリア膜透過化(MMP)を誘導する H−1PV/ABT−737共処置がMMP(アポトーシスの顕著な特徴)に及ぼす作用を四種の神経膠腫細胞系(a〜d)においてMitotracker Red染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後、細胞をMitotracker Redで染色し、収集し、フローサイトメトリーによって分析した。MMPを備える細胞のパーセンテージは、CellQuestソフトウエアを用いて決定した。上方パネルには、各条件についての代表的ヒストグラムプロットを示した。下方パネルには、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図6dABT−737およびH−1PVはミトコンドリア膜透過化(MMP)を誘導する H−1PV/ABT−737共処置がMMP(アポトーシスの顕著な特徴)に及ぼす作用を四種の神経膠腫細胞系(a〜d)においてMitotracker Red染色およびフローサイトメトリーによって評価した。2.5×10細胞/ウエル(またはNCH125については6.25×10細胞/ウエル)を6ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八〜九十六時間後、細胞をMitotracker Redで染色し、収集し、フローサイトメトリーによって分析した。MMPを備える細胞のパーセンテージは、CellQuestソフトウエアを用いて決定した。上方パネルには、各条件についての代表的ヒストグラムプロットを示した。下方パネルには、三回ずつ実施した典型的な実験の結果を示した。棒は、平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図7aABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7bABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7cABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7dABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7eABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7fABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7gABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図7hABT−737およびH−1PVはカスパーゼ−3/7によるアポトーシスを誘導する アポトーシスの誘導をCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を使用して八種のヒト神経膠腫細胞系中の活性カスパーゼ−3および7(切断型)を分析することによって評価した(a〜h)。4,000細胞/ウエルを10ウエル顕微鏡スライド上に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737を用いて、または用いずに処置した。感染四十八時間後、細胞をカスパーゼ−3/7緑色検出試薬で染色し、固定した。核はDAPI染色によって視認した。蛍光シグナルは、二十倍の倍率で青色および緑色チャネルを用いて顕微鏡により検出した。代表的画像を示した。
図8ABT−199はH−1PV誘導性腫瘍崩壊を増強する LDHアッセイ。H−1PVと併用したABT−737およびABT−199の効果を神経膠芽細胞腫細胞系U138において比較した。4,000細胞/ウエルを96ウエルプレート内に播種し、二十四時間後に指示した濃度のH−1PVおよび/またはABT−737および/またはABT−199を用いて、または用いずに処置した。感染七十二時間後、溶解を受けている(undergoing)細胞のパーセンテージはLDHアッセイによって測定した。棒は、三例の複製物からの平均値を表し、相対標準偏差バーを伴っている。
図9H−1PV/ABT−737共処置はAsPC−1異種移植片の完全退行を生じさせる 5×10個のAsPC−1細胞を五週齢の雌性ヌードラットの右側腹部に皮下注射した。一週間後に(腫瘍が200〜400mmの容積に達した時点)、担癌動物を四群(n=8)に無作為割り付けした。これらの群をPBS(コントロール)、ABT−737(50mg/kg、最初の十四日間にわたり二日目毎に投与)、H−1PV(2.5×10pfu/動物の総用量、四回の腫瘍内投与に分割)のいずれか、または両方の物質の併用を用いて処置した。腫瘍容積は、指示した日にデジタル式カリパスを用いて測定し、式:容積(cm)=幅×長さ/2にしたがって計算した。ラットは、動物福祉規則を順守しながら、腫瘤が4,000mmに達した時点に犠死させた。図示したデータは、標準偏差バーを伴う平均値を示している。
図10ABT−737の構造
図11ABT−199の構造
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、(a)パルボウイルスおよび(b)Bcl−2阻害剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0015】
好ましくは、上記医薬組成物中では、パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤は、有効量で医薬上許容される担体と結合されて存在する。「医薬上許容される」は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨害しない、およびそれが投与される患者にとって非毒性である任意の担体を含むことを意味する。適切な医薬担体の例は当分野において周知であり、リン酸緩衝生理食塩溶液、水、エマルジョン、例えば油/水型エマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、無菌溶液などが含まれる。そのような担体は、従来型方法によって調製することができ、有効量で被験者に投与することができる。
【0016】
本明細書で使用する用語「パルボウイルス」には、野生型もしくはその改良された複製可能な誘導体ならびに関連ウイルスもしくはそのようなウイルスもしくは誘導体に基づくベクターが含まれる。適切なパルボウイルス、誘導体などならびに上記パルボウイルスを活発に産生するために使用できる、および療法のために有用である細胞は、過度の経験による努力を伴わずに、本明細書の開示に基づけば当分野の技術の範囲内で容易に決定できる。
【0017】
「有効量」は、疾患の経過および重症度に影響を及ぼすのに十分であり、そのような病状の減少および寛解をもたらす有効成分の量を意味する。これらの疾患もしくは障害を治療および/または予防するために有用である「有効量」は、当業者は公知の方法を使用して決定してよい。
【0018】
更なる医薬上適合する担体は、ゲル、生体吸収性マトリックス材料、治療薬を含有する移植用エレメント、または任意の他の適切なビヒクル、送達用もしくは投薬用手段もしくは材料を含むことができる。
【0019】
化合物の投与は、様々な方法によって、例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、腫瘍内もしくは皮内投与によって実施されてよい。投与経路は、当然ながら、治療の種類および医薬組成物中に含有される化合物の種類に左右される。パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤の用法・用量は当分野の技術の範囲内で、患者データ、観察所見および例えば患者の体格、体表面積、年齢、性別を含む他の臨床因子、投与すべき特定パルボウイルス、特定阻害剤など、投与の時間および経路、腫瘍のタイプおよび特徴、患者の総体的な健康、および患者が受けている他の薬物療法に基づいて主治医であれば容易に決定できる。
【0020】
本発明によるBcl−2阻害剤と併用したパルボウイルスが血液脳関門を貫通する能力を備える感染性ウイルス粒子を含む場合、ウイルスの静脈内注射によって治療を実施できる、または少なくとも開始できる。しかし、好ましい投与経路は腫瘍内投与である。
【0021】
長期静脈内治療はウイルスに対する中和抗体の形成の結果として非効率になりやすいので、初期レジメン静脈内ウイルス投与後に様々な投与方法を採用することができる、またはパルボウイルス治療の全経過を通して代替的にそのような様々な投与技術、例えば頭蓋内もしくは腫瘍内ウイルス投与を使用することができる。
【0022】
また別の特定の投与技術として、パルボウイルス(ウイルス、ベクターおよび/または細胞薬)は、患者に植え込まれた起源から患者に投与することができる。例えば、更なる外科的介入を実施せずに様々な回数でパルボウイルス組成物を局所注入することを許容するために、シリコンもしくは他の生体適合性材料でできたカテーテルを腫瘍除去中または別個の手技によって患者の体内に据え付けられた小型の皮下リザーバー(Rickhamリザーバー)に接続することができる。パルボウイルスもしくはパルボウイルス由来ベクターは、定位外科技術によって、または神経ナビゲーションターゲティング技術によって腫瘍内に注入することもできる。
【0023】
パルボウイルスの投与はさらに、適切なポンプシステム、例えば蠕動注入ポンプまたは対流強化送達(CED)ポンプを使用した低流量での埋め込み型カテーテルを介したウイルス粒子もしくはウイルス粒子を含有する流体の持続注入によって実施することもできる。
【0024】
パルボウイルス組成物のさらに別の投与方法は、所望の癌組織へパルボウイルスを分注するために構築および配置された埋め込み型製品からである。例えば、パルボウイルス、例えばパルボウイルスH−1が含浸させられているウエハーを使用できるが、このときウエハーは外科的腫瘍除去の終了時に切除腔の辺縁に取り付けられる。そのような治療介入においては、複数のウエハーを使用できる。活発にパルボウイルス、例えばパルボウイルスH−1、もしくはH−1に基づくベクターを産生する細胞を腫瘍内または腫瘍除去後の腫瘍腔内に注入することができる。
【0025】
本発明による併用療法は、癌、特に(しかし排他的ではなく)脳腫瘍、膵臓癌、子宮頸癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌もしくは大腸癌の治療的処置のために有用であり、上記疾患の予後を有意に改善することができる。本発明による併用療法は、さらに安全性を高めて副作用を減少および/または回避しながら、抗癌有効性を維持する、または強化さえする低治療用量でウイルスおよび/またはbcl−2阻害剤の臨床使用を可能にできる。パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤との強力な相乗作用を考えると、治療用量の減量を予見することができ、例えばこれまで使用された単一成分用量の半分もしくは三分の一で所望の治療効果を維持する。減少した用量を考えると、(重篤な)副作用は減少させられる、または回避さえされる可能性がある。
【0026】
パルボウイルス感染は腫瘍細胞の殺滅をもたらすが正常細胞を傷つけることはなく、そのような感染は、有害な神経学的もしくはその他の副作用を伴わずに腫瘍特異的療法を達成するために、例えば、適切なパルボウイルス、例えばパルボウイルスH−1または関連するウイルスまたはそのようなウイルスに基づくベクターの脳内使用によって実施できる。
【0027】
本発明はさらに、癌を治療するための(a)医薬組成物を調製するための(a)パルボウイルスおよび(b)Bcl−2阻害剤の使用に関する。
【0028】
(a)および(b)の投与方法は、同時であっても連続的であってもよいが、好ましくは、(a)および(b)は連続的(もしくは別個に)投与される。これは、(a)および(b)が一緒に摂取するために単一単位剤形で、または同時もしくは所定の時間差をあけて投与される別個の実体(例えば別個の容器内で)として提供されてよいことを意味する。この時間差は、一時間〜一週間、好ましくは十二時間〜三日間であってよい。さらに、パルボウイルスをBcl−2阻害剤とは別の投与方法で投与することも可能である。これに関連して、パルボウイルスまたはBcl−2阻害剤のどちらかを腫瘍内へ、および他方を全身性もしくは経口のいずれかで投与するのが有益な場合がある。特に好ましい実施形態では、パルボウイルスは腫瘍内投与され、Bcl−2阻害剤は静脈内もしくは経口投与される。
【0029】
本発明の一つの好ましい実施形態では、作用物質の併用が充実性腫瘍の治療において利用される。例は、脳腫瘍、膵臓癌、子宮頸癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌または大腸癌である。好ましい実施形態では、これらの腫瘍はパルボウイルス毒性に抵抗性である。本発明の医薬組成物の特別の利点は、癌を発症させる幹細胞さえ首尾よく治療できることである。
【0030】
本発明の一つの実施形態では、本組成物のパルボウイルスには、パルボウイルスH−1(H−1PV)もしくは関連パルボウイルス、例えばLuIII、マウス微小ウイルス(MMV)、マウスパルボウイルス(MPV)、ラット微小ウイルス(RMV)、ラットパルボウイルス(RPV)またはラットウイルス(RV)である。
【0031】
本発明による作用物質の併用によって治療可能な患者には、ヒトならびに非ヒト動物が含まれる。後者の例には、非限定的に、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌおよびネコの動物が含まれる。
【0032】
本発明の目的のために有用なBcl−2阻害剤には、(a)好ましくは正常細胞に対する副作用を伴わずにパルボウイルスの抗癌効力を増加させる、および(b)Bcl−2、Bcl−X、Bcl−w、Mcl−1、Bfl−1 pBcl−2のような抗アポトーシスタンパク質を阻害する、および/またはプロアポトーシス性BH3 only タンパク質(bim、Bad、Bid、Bikなど)もしくはBax様プロアポトーシスタンパク質(Bax、Bak、Bok)の模倣化合物(mimetic)である全ての化合物が含まれる。Bcl−2阻害剤の投与は、非経口および経腸経路による全身性を含む様々な方法(上記参照)で実施できる。好ましくは、パルボウイルスおよびBcl−2阻害剤は、別個の化合物として投与される。2種の薬剤を用いた併用治療もまた可能である。
【0033】
併用療法のために適切なBcl−2阻害剤の例には、ABT−263、メシル酸オバトクラックス(GX15070)、TW−37、HA14−1、アポゴシポロン(Apogossypolone)(ApoG2)、BAM7、サブトクラックス(Sabutoclax)、AT101およびBM−1074が含まれる。特に好ましいのは、BH3模倣化合物である低分子阻害剤、好ましくはABT−737(Selleck Chemicals LLC社、テキサス州ヒューストンから入手可能、図10)およびABT−199(Active Biochemicals社、ニュージャージー州メイプルウッドから入手可能、図11)の使用である。下記の実施例では、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
材料および方法
(A)細胞系および培養
ヒト神経膠芽細胞腫(glioblastoma)由来細胞系U373、U251、T98G、A172およびU87は、Dr.Iris Augustin(DKFZ、独国ハイデルベルク)のご厚意により贈呈された。U138およびU343は、腫瘍バンク(DKFZ、独国ハイデルベルク)によって提供された。神経膠芽細胞腫由来細胞系であるNCH89、NCH82、NCH125および膠肉腫(gliosarcoma)由来細胞系NCH37は、神経外科学科(独国ハイデルベルク)で調製され、特性解析された。HeLaおよびSiHa子宮頸癌(CC)細胞系は、Prof.Dr.Angel Alonso(DKFZ、独国ハイデルベルク)のご厚意で提供された。CC由来細胞系CaSkiおよび膵管腺癌(PDAC)由来細胞系MIA PaCa−2、T3M−4およびAsPC−1は、ATCC(LGC Standards GmBH社、独国ヴェーゼル)から購入した。頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞系HNC97、Cal27、211MCおよびヒト初代口腔線維芽細胞(POF)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF)は、Dr.Massimo Tommasino(IARC、仏国リオン)のご厚意で贈呈された。肺癌(LC)細胞系EKVX、Hop92、H322M、結腸直腸癌細胞系HCT−116および乳癌細胞系Hs578Tは、国立癌研究所(NCI)(メリーランド州ベテスダ)から購入した。神経膠腫(glioma)由来細胞系LN229、LN308および神経膠腫始原細胞(GIC)系T269、S24およびT325は、Prof.W.Wick(ハイデルベルク大学神経腫瘍学科、独国)のご厚意により提供された。
【0035】
幹細胞様U87細胞は、Yuおよび同僚ら(Yu他、2008)により記載されたようにU87細胞系から単離した。スフェロイドは、Chenおよび同僚ら(Chen他、2011)によって記載された方法にしたがってHeLa細胞系から産生した。ヒトメラノサイトは、Invitrogen社(カリフォルニア州カールスバッド)から、そしてアストロサイトはScienCell Research Laboratories社(カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。
【0036】
神経膠腫由来細胞系は、高濃度グルコース(Gibco,Life Technologies社、独国ダルムシュタット)を備えるダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。HeLa、CaSki、SiHa、AsPC−1、HNC−97、211MC、Cal27およびHFF細胞系は、DMEM(SIGMA−Aldrich、独国ミュンヘン)中で増殖させた。T3M−4、MIA PaCa−2、H322M、HOP−92、EKVX、HCT−116およびHs578Tは、ロズウェルパーク記念研究所(Roswell Park Memorial Institute)培地1640(RPMI、Invitrogen社、独国カールスルーエ)中で培養した。全培地には、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS、PAA社、独国コルベ)および2mMのL−グルタミン(Gibco社)を補給した。神経膠腫細胞を除いて、培地はさらに100U/mLのペニシリン(Gibco社)および100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco社)を含有した。神経膠腫由来癌幹細胞(CSC)培養T269、S24、T325およびU87は、20%のBIT−100(Provitro社、独国ベルリン)、100U/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco社)ならびに20ng/mLのヒト線維芽細胞増殖因子(FGF−2)および20ng/mLの上皮成長因子(EGF)(Biochrom AG社、独国ベルリン)が補給されたDMEM/F−12(Gibco)中で増殖させた。スフェロイドHeLa細胞は、10ng/mLのFGF−2および10ng/mLのEGFを補給した無血清Quantum 263培地(Biochrom社)中で培養した。メラノサイトは、ヒトメラノサイト成長補給剤(Human Melanocyte Growth Supplement(HMGS)(Invitrogen社、独国ダルムシュタット)を備える培地254中で培養した。アストロサイトは、アストロサイト用培地(Gibco社)中で培養した。POFは、L−グルタミンおよびフェノールレッドを含まないDMEM中で培養した。全細胞は、37℃、5%のCO、湿度95%で増殖させ、マイコプラズマ汚染について定期的にチェックした。
【0037】
(B)ウイルスの産生
野生型H−1PVはNB324K細胞中でBarbara Leuchsによって産生され、以前に記載されたようにイオジキサノール勾配において精製した(Wrzesinski他、2003)。ウイルス力価は、プラークアッセイによって決定した(Daeffler他、2003)。H−1PVは、Moritaおよび同僚ら(Morita他、2003)によって記載されたように総線量50mL/cmを用いてUV処置した。
【0038】
(C)乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)アッセイ
H−1PV細胞毒性は、膜完全性の消失(溶解)に起因して細胞から遊離される酵素乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の定量によって評価した。本アッセイは、CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイキットを製造業者(Promega社、独国ハイデルベルク)の取扱説明書にしたがって使用して実施した。
【0039】
細胞は、通常は10%のFBSを補給した各培養培地50μL中に4,000細胞/ウエルの密度で96ウエルプレート中に播種した。一部の細胞系の異なる増殖率を考慮に入れて、T3M−4およびHeLa細胞に対しては2,000細胞、癌幹細胞培養に対しては10,000細胞を播種した。二十四時間後、H−1PVおよび/またはABT−737を含む、または含まない50μLのFBSフリー培地(Selleck Chemicals LLC社、テキサス州ヒューストン)を表1に指示した濃度で細胞に加えた。
【0040】
【表1-1】
【表1-2】
【0041】
メラノサイト、アストロサイト、HFFおよびPOFを40μΜのABT−737の存在下または非存在下において、50および100pfu/cellの高感染多重度(MOI、細胞1個当たりのプラーク形成単位(pfu/cell))でH−1PVで感染させた。LDHアッセイは、感染後に七十二時間の代わりに長い九十六時間のインキュベーション時間行ったことを除いて上述したように実施した。
【0042】
ABT−737およびABT−199の効果を直接的に比較するために、神経膠芽細胞腫細胞系U138はH−1PVにより5および10pfu/cellのMOIで感染させ、0.5μΜのABT−737またはABT−199(Active Biochemicals社、ニュージャージー州メイプルウッド)を用いて、または用いずに処置した。
【0043】
試験した各状態に対して、七例の複製物(replicate)を調製し、その内三例は界面活性剤の存在下での全細胞溶解を計算するために使用した。プレートの一列は、バックグラウンドを計算するために細胞を含めずに放置した。37℃で七十二時間後、細胞は、以前に記載されたようにLDHアッセイのために処置した(El−Andaloussi他、2012)。
【0044】
手短には、プレートの三列において1ウエル当たり10μLの10×溶解バッファー[リン酸緩衝食塩液(PBS)中の9%(v/v)のTriton X−100(AppliChem社、独国ダルムシュタット)]を加え、これらを100%細胞溶解コントロールとして機能させた。他の列には10μLのPBSを加えた。細胞溶解が完了した時点に、各ウエルの30μLの上清を新たな96ウエルプレートに移した。キットによって提供された30μLの基質ミックスを各ウエルに加えた。プレートは光線から保護し、室温で三十分間インキュベートし、その後にキットによって提供された30μLの停止液を加えることによって反応を停止させた。吸光度は、Multiscan ELISAリーダーを使用して492nmの波長で測定した。テトラゾリウム塩からレッドホルマザン生成物への転換によって形成される色の量は、溶解細胞の数に比例している。各条件に対して、本発明者らは溶解バッファーを含めて(A)または含めずに(B)インキュベートした三つのウエルの平均値を計算した。細胞を含まないウエル内で測定した平均値(バックグラウンド)を、細胞を含むウエル内で得られた数値から減じた。全溶解のパーセンテージは、下記の式を使用して計算した。
細胞溶解率[%]=(A−バックグラウンド)/(B−バックグラウンド)×100
【0045】
(D)フローサイトメトリーによるサブ−G1アポトーシス集団の決定
処置後のアポトーシス細胞を検出するためにヨウ化プロピジウム染色を実施した。この色素はDNA中にインターカレートされるので、DNA中でフローサイトメトリーによって測定できる。蛍光発光は、細胞中のDNA含量に比例する。アポトーシス細胞は、核DNA断片化を特徴とし、低蛍光発光(サブ−G1アポトーシス細胞集団)によって同定できる(Riccardi & Nicoletti、2006)。
【0046】
神経膠腫細胞(U373、U251、U138、U343、A172、NCH37、U87、NCH125)は、6.25×10細胞/ウエルの密度で播種されたNCH37およびNCH125細胞を除いて3mLの培養培地中の2.5×10細胞/ウエルの密度で6ウエルプレート内に播種した。播種二十四時間後、細胞は、0.5〜7.5pfu/cellのMOIでH−1PVを用いて、または用いずに感染させた、および/または0.25〜5μΜのABT−737を用いて処置した。H−1PVおよびABT−737は10%のFBSを含むDMEM中に希釈し、200μLの最終量をウエルに加えた。全条件を三回ずつ試験した。
【0047】
感染の四十八時間後(U251、U138、A172、U87、NCH125)、七十二時間後(U373)または九十六時間後(U343、NCH37)、上清および細胞(トリプシン処理により収集した)を集め、PBSで洗浄した。遠心分離後、細胞ペレットを500μLのPBS中に再懸濁させ、細胞は4.5mLの氷冷70%エタノールを滴下して固定した。細胞はその後、二十四時間まで−20℃で保管した。染色する工程の前に、細胞を遠心分離し、PBSで一回洗浄した。細胞は次に20μg/mLのヨウ化プロピジウム(Sigma−Aldrich社)および200μg/mLのRNase(Promega社)を含有する1mLのDNA染色溶液中に再懸濁させ、室温の暗所で三十分間インキュベートした。細胞懸濁液はナイロンネットでろ過し、FACSCalibur(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)上で測定した。少なくとも二万例の事象を獲得し、CellQuestソフトウエア(BD Biosciences社)を用いて分析した。ヨウ化プロピジウムは、FL−2チャネル内で検出された。アポトーシス細胞断片に対するゲートを設定するためには未処置細胞使用したが、これは未処置細胞が生存性非アポトーシス細胞の蛍光発光を示すからであった。サブ−G1集団のパーセンテージを各サンプル中で決定し、平均値は三回の測定から計算した。
【0048】
(E)ミトコンドリア膜透過化(MMP)の評価
生細胞中のミトコンドリアを染色する蛍光色素MitoTracker(登録商標)Red CMXRos(Molecular Probes、Invitrogen社、独国ダルムシュタット)を使用してMMPの変化を測定した。ミトコンドリア膜内の細孔形成に起因して、アポトーシス細胞は色素を保持することができず、フローサイトメトリー分析において低い蛍光シグナルを示す。
【0049】
神経膠腫細胞は、6.25×10細胞/ウエルの密度で播種されたNCH125細胞を除いて3mLの培養培地中の2.5×10細胞/ウエルの密度で6ウエルプレート内に播種した。二十四時間後、細胞は2.5pfu/cell(U343およびNCH125)または5pfu/cell(U373)または7.5pfu/cell(U138)のMOIでH−1PVを用いて、もしくは用いずに感染させ、0.5μΜ(U373、U138、U343)もしくは1μΜ(NCH125)の濃度でABT−737を用いて、もしくは用いずに処置した、または両方の作用物質を用いて共処置した。インキュベーションの四十八時間後(U138、NCH125)または七十二時間後(U373)または九十六時間後(U343)、培地は、補給剤を含まないDMEM中に色素MitoTracker(登録商標)Red CMXRos(200nM)を含有する1mLのミトコンドリア染色溶液と取り替えた。37℃での一時間の染色後、細胞はトリプシン処理により収集し、PBSで一回洗浄し、最終的にPBS中に再懸濁させた。細胞懸濁液をFACSCalibur(BD Biosciences社)で分析した。少なくとも一万例の事象を獲得し、CellQuestソフトウエア(BD Biosciences社)を用いて分析した。MMPを経験した細胞の平均値は三例の複製物から計算した。
【0050】
(F)活性切断カスパーゼ−3/7形態の検出
H−1PVおよびABT−737を用いた処置後のカスパーゼ−3/7の切断(アポトーシスの顕著な特徴)は、CellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬(Invitrogen社、独国ダルムシュタット)を使用して分析した。アポトーシス細胞中でのカスパーゼ−3もしくは7の活性化は、試薬からのペプチド配列の切断を生じさせ、これは核酸結合色素を遊離させる。色素がDNAに結合すると、蛍光顕微鏡によって検出できる緑色蛍光シグナルが生成される。
【0051】
細胞は、10ウエル顕微鏡スライド上に4,000細胞/ウエルの密度で播種した。二十四時間後、細胞は、0.25μΜのABT−737(U373)または1μΜ(NCH37、NCH125)または1.25μΜ(A172)または2.5μM(U251、U138、U343、U87)の存在下または非存在下において、1pfu/cell(NCH37およびNCH125)または5pfu/cell(U373、U251、U138、A172、U87)または10pfu/cell(U343)のMOIでH−1PVで感染させた。未処置細胞をコントロールとして使用した。二十四時間後、細胞は10μΜのCellEvent(登録商標)Caspase−3/7緑色検出試薬を用いて三十分間染色した。細胞は次にPBSで洗浄し、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)を用いて固定した。核染色のためには、市販のDAPI溶液(Vector Laboratories社、独国レラッハ)を細胞に加えた。PBSを用いた染色後、細胞をカバースリップに載荷し、倍率二十倍で青色および緑色チャネルを使用して蛍光顕微鏡(Keyence社、独国ノイ・イーゼンブルク)により分析した。
【0052】
(実施例2)
ABT−737は相乗的方法でH−1PVの腫瘍細胞崩壊活性を増強する
H−1PVが様々な組織由来のヒト癌細胞系に感染することができ、細胞毒性活性を発揮することは公知である。しかし、全細胞系がウイルス細胞毒性に同一レベルで応答するわけではなく、一部の細胞系はウイルスに対して極めて感受性であるが、他の細胞系はほぼ抵抗性である(E1−Andaloussi他、2012)。このため、ウイルスの極めて優れた安全性プロファイルを保持しながら癌細胞を殺滅することにおいてH−1PVと協働できるであろう他の抗癌剤を見いだすことは極めて重要であろう。癌細胞は細胞死経路における欠陥、例えば抗アポトーシスBcl−2ファミリーメンバー、例えばBcl−2、Bcl−X、Bcl−wおよびMcl−1などの過剰発現を特徴とすることが多いので、本発明者らは、これらの欠陥がH−1PV細胞毒性に対して寄与する可能性があると仮説を立て、H−1PVと併用においてBcl−2阻害剤であるABT−737の使用が癌細胞内のアポトーシス細胞死を回復させ、強化された処置効果を生じさせられるかどうかを探索した。
【0053】
最初に、ヒト神経膠腫に対するH−1PV/ABT−737共処置を評価した。このために、11種のヒト細胞系のパネル、即ち、GBMを患う患者から単離された10種(U373、LN308、U251、T98G、U138、U343、A172、LN229、U87、NCH125)神経膠肉腫を患う患者から単離された1種(NCH37)、を使用した。細胞を96ウェルプレート内で増殖させ、ABT−737の存在下または非存在下におけるH−1PV誘導性細胞溶解をLDHアッセイによって分析した(実験条件については表1および実施例1を参照されたい)。ウイルス用量依存性細胞殺滅が試験した全細胞系において観察された。しかし細胞系はウイルス感染に対する感受性について異なり、U373、LN308、U251、T98GおよびU138のような一部の細胞系はウイルス細胞毒性に対して高度に抵抗性で高いウイルス感染多重度(MOI、pfu/cell)で感染させた場合でさえ極めて小さな細胞毒性作用しか提示しなかった(MOI=10にあるH−1PVにより感染させた場合は、細胞殺滅≦25%)が(図1a〜e)、U343、A172およびLN229などの他の細胞系は中間表現型(25〜50%の細胞殺滅)を示し(図1f〜h)、例えばNCH37、U87およびNCH125などの他の細胞系はウイルス細胞毒性に感受性であることが見いだされた(50%を超える細胞殺滅)(図1i〜k)。使用した用量でのABT−737単独では、控えめな細胞毒性作用が観察された神経膠腫U87の唯一の例外を除き、細胞についての明白な細胞毒性を有していなかった(図1a〜k)。注目すべきことに、これらの量のABT−737は、極めて多数の症例において100〜200%超までウイルス細胞毒性を増加させ、統計的有意な相乗的方法でH−1PV腫瘍細胞崩壊を強化するために十分であった。重要なことに、例えばU343(細胞をABT−737の存在下でMOI=10でH−1PVに感染させた場合にH−1PV誘導性細胞殺滅を4.7倍に増加させた)、U138(3.5倍の増加)およびLN308(3.2倍の増加)などの低感受性細胞系さえ、ウイルス細胞毒性作用に感受性になり、ABT−737の存在下で効率的に殺滅された(図1a〜k)。
【0054】
第二に、H−1PV/ABT−737共処置が他の腫瘍実体由来の癌細胞を殺滅することにも有効であるかどうかを調査した。LDHアッセイのために下記の14種のヒト癌細胞系、すなわち、膵管腺癌(PDAC)、MIA PaCa−2、T3M−4およびAsPC−1、子宮頸癌(CC)HeLa、CaSkiおよびSiHa、肺癌(LC)H322M、HOP92およびEKVX、頭頸部皮膚扁平上皮細胞癌(HNSCC)、HNC97、211MCおよびCal27、結腸大腸癌HCT−116および乳癌Hs578T細胞系を選択した。神経膠腫細胞系を用いて得られた結果に一致して、ABT−737は、それらの起源とは無関係に試験した全癌細胞系において相乗的方法でH−1PV誘導性腫瘍細胞崩壊を誘導した(図2a〜n)。
【0055】
癌幹細胞(CSC)は、腫瘍の維持、攻撃性および再発に対して責任を負う可能性が最も高い。このため、第3工程では、新鮮腫瘍(GBM T269、S24およびT325)ならびにGBM(U87)おびCC(HeLa)を患う患者に由来する癌細胞系から単離したCSCを溶解させることにおけるH−1PV/ABT−737共処置の能力を評価した。CSCは、ABT−737と併用して、または併用せずにH−1PVで感染させられる前に腫瘍球体(sphere)として増殖させられた。H−1PVは、様々なCSC培養物を効率的に感染させることができた(データは示していない)。さらにこの場合でも、ABT−737はH−1PV細胞毒性を増加させた(図3a〜e)。
【0056】
最後に、H−1PV/ABT−737共処置が正常ヒト初代細胞にとって安全であるかどうかがチェックされた。正常初代線維芽細胞(口腔および包皮)、メラノサイトおよびアストロサイトは、ABT−737と併用して、または併用せずに、H−1PVにより感染させ、次にMTT(細胞生存性)アッセイ(データは示していない)およびLDH(細胞溶解)アッセイに供した。ウイルスおよびABT−737を高濃度(MOI、各々100および40μΜ)および長時間(七十二時間の代わりに九十六時間)使用した場合でさえ、癌細胞に対して観察された重度の細胞毒性は観察されなかった。これらの結果は、組み合わされた二種の作用物質が正常初代細胞にとって有害ではないという重要な証拠を提供している(図4)。
【0057】
結論として、これらの結果は初めて、H−1PVおよびBcl−2阻害剤であるABT−737の併用が癌に対する妥当なアプローチである可能性があることを証明している。
【0058】
(実施例3)
H−1PV/ABT−737共処置はミトコンドリア膜透過化およびカスパーゼ類の活性化によりアポトーシスを誘導する
ABT−737は、癌細胞においてアポトーシスを回復している抗アポトーシスBcl−2分子の活性を遮断する(Cragg他、2009)。しかし、細胞変性作用を発揮するためには、薬物は初期実験において使用される濃度より高い濃度で使用されなければならない(Tagscherer他、2008)。他方、H−1PVはアポトーシスからネクローシス、カテプシン媒介性細胞死への範囲に渡る多数の細胞死プログラムを誘導する可能性があることは公知である(Nuesch他、2012)。H−1PVがABT−737の存在下または非存在下においてアポトーシスを誘導する能力を八種の神経膠腫細胞系(U373、U251、U138、U343、A172、NCH37、U87、NCH125)の選択において、DNA断片化の発生をフローサイトメトリー分析によって評価することによってチェックした(サブ−G1細胞集団の検出)。H−1PVを用いて、または用いずに感染させた未処置もしくはABT−737処置細胞を集菌し、ヨウ化プロピジウムを用いて染色した。実験で使用した濃度で、ABT−737およびH−1PV単独処置は、アポトーシスを効率的に誘導することができなかった。これとは反対に、併用で使用した場合に2種の作用物質は、分析した全細胞系において観察されたサブ−G1集団の強度の増加によって推定されるようにアポトーシスを誘発することに極めて有効であった(H−1PV単独処置をH−1PV/ABT−737併用と比較した場合に、U251における4.7倍の増加、U343における3.8倍の増加、U373およびNCH125における3.4倍の増加、U87における2.8倍の増加、U138における2.1倍の増加、A172における1.9倍の増加、NCH37における1.8倍の増加)(図5a〜h)。
【0059】
ミトコンドリアは、内因性アポトーシス経路において中心的役割を果たし、ミトコンドリア膜透過化(MMP)はアポトーシスの顕著な特徴である。MMPは、主としてBcl−2ファミリーメンバーによって制御される。H−1PV/ABT−737誘導性アポトーシスがミトコンドリアアポトーシス経路の活性化を含むかどうかという問題を取り扱った。U373、U138、U343およびNCH125神経膠腫細胞系は、ABT−737の存在下または非存在下において、H−1PVを用いて、または用いずに感染させた。四十八〜九十六時間後、細胞はMitoTracker Redを用いて染色し、MMPについてフローサイトメトリーによって分析した(図6a〜d)。ABT−737単独処置はMMPにほとんど影響を及ぼさず、H−1PV単独による感染はわずかなMMPとしか関連していなかったが、H−1PV/ABT−737共処置は劇的にMMPを増加させ(H−1PV単独処置をH−1PV/ABT−737併用と比較した場合に、U373における二倍、U138における2.1倍、U343における3.6倍およびNCH125における3.4倍)、これは共処置誘導性アポトーシスにおけるミトコンドリアの関与を示唆した。
【0060】
次に、H−1PV/ABT−737誘導性アポトーシスにおけるカスパーゼ−3および7が果たす役割を調査した。以前にアポトーシス性サブ−G1細胞集団の存在についてFACS分析によって分析された神経膠腫細胞は、エフェクターカスパーゼ−3および7の活性形を検出するCellEvent(登録商標)カスパーゼ−3/7緑色検出試薬を用いて染色した。以前の結果と一致して、全8種のH−1PV/ABT−737共処置神経膠腫細胞系においてアポトーシスの強度の増加が観察された(図7a〜h)。
【0061】
(実施例4)
ABT−199はABT−737程効果的ではないがH−1PVの腫瘍細胞崩壊活性を強化する
ABT−199は、Bcl−2に対してABT−737より特異的で強力な阻害剤であるが、ABT−737とは対照的にBcl−XおよびBcl−wを標的とすることができない(Souers他、2013)。この実験では、ABT−199もまたH−1PVの腫瘍細胞崩壊活性を強化できるかどうかを調査した。LDH実験は、ヒト膠芽細胞腫細胞系であるU138を使用して実施した。細胞はH−1PVを用いて、または用いずに感染させ、ABT−737もしくはABT−199の存在下または非存在下において増殖させた。以前に見いだされたように、ABT−737は、ウイルス単独(MOI 5で)処置に比較して強化して相乗的方法でH−1PV細胞毒性を3.8倍増加させた。ABT−199はさらに、ABT−737より少ない程度ではあるがウイルスの細胞毒性活性を増加する(1.7倍の増加)こともできた(図8)。H−1PV細胞毒性を促進することにおけるこの差は、U138細胞がBcl−2に加えて、同様にABT−737の標的ではあるがABT−199の標的ではない高レベルの抗アポトーシス性Bcl−XおよびBcl−wも発現するという事実に起因する可能性がある。にもかかわらず、ウイルスと併用したABT−199の使用は、特に低レベルのBcl−XおよびBcl−wを発現する癌においては、優れた安全性プロファイルを考えると価値があると見なすことができる。
【0062】
(実施例5)
H−1PV/ABT−737共処置は定着腫瘍を撲滅する
インビボでのH−1PV/ABT−737相乗作用の妥当性を確認するために、本発明者らは、ヒト膵臓癌のAsPC−1異種移植片ヌードラットモデルを使用した(Li他、2013)。H−1PVおよびABT−737単独は、使用した用量では有意な治療効果を得ることに失敗した(ラットは、腫瘍が4,000mmの最大許容サイズに達した時点に犠死させた)。対照的に、併用治療は強力な相乗効果を生じさせ、全部の共治療動物において完全で永続性の腫瘍寛解をもたらした(図9)。治療群動物のいずれにおいても体重減少または他の有害な副作用は証明されなかった。
【0063】
結論として、上記の実施例の結果は、パルボウイルス(例えば、H−1PV)およびBcl−2阻害剤(例えば、ABT−737)の併用が、癌、特に神経膠腫および膵臓癌に対する妥当なアプローチである可能性があることを初めて証明したものである。
【0064】
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