特開2017-155236(P2017-155236A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017155236-車両の暖房および/または空調方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-155236(P2017-155236A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】車両の暖房および/または空調方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20170810BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20170810BHJP
   F25B 27/02 20060101ALI20170810BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20170810BHJP
   B60H 1/08 20060101ALI20170810BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
   C09K5/04 F
   C09K5/04 E
   C09K5/04 B
   F01P3/20 F
   F01P3/20 H
   F25B27/02 F
   F25B1/00 396Z
   B60H1/08 611Z
   B60H1/22 671
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-44647(P2017-44647)
(22)【出願日】2017年3月9日
(62)【分割の表示】特願2011-549640(P2011-549640)の分割
【原出願日】2010年2月8日
(31)【優先権主張番号】0950941
(32)【優先日】2009年2月13日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ラシェド, ウィザム
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211BA23
3L211CA12
3L211CA14
3L211DA99
(57)【要約】
【課題】車両の暖房および/または空調方法。
【解決手段】2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、プロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種の化合物とを含む組成物に関する。本発明はさらに、上記組成物を含む冷却剤が流れる可逆冷却ループを用いて自動車の客室を暖房および/または空調する方法。本発明方法は外部温度が−20℃以下であるときに特に適している。本発明方法は熱機関と電気モータを交互に用いて運転するように設計されたハイブリッド自動車、および電気自動車にも同様に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜80重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜25重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、2〜50重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物。
【請求項2】
55〜75重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜30重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、15〜40重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物。
【請求項3】
60〜70重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜15重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、25〜35重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物。
【請求項4】
第1熱交換器と、温度調整膨張弁と、第2熱交換器と、圧縮器と、冷却剤の流れの方向を逆転する手段とを有する、内部を冷却剤が流れる可逆冷却ループを用いて自動車の客室を暖房および/または空調する方法において、
上記冷却剤が請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
第1熱交換器および第2熱交換器が空気/冷却剤型である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1熱交換器および第2熱交換器がエネルギーを客室用の空気に伝達する第2回路を用いる液体/冷却剤型のものである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
冷却ループが内燃機関冷却回路に熱的に結合されている請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1熱交換器を冷却剤と自動車の内燃機関からの排ガスの両方が同時に流れる請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記冷却ループが自動車の内燃機関に入る空気流または自動車の内燃機関から放出される放出ガスと熱的に連結する少なくとも一つの熱交換器を分路(derivation)として有する請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
冷却ループが、内燃機関および/またはバッテリーからエネルギーを回収するために車両に設置される請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか一項に記載の可逆冷却ループを備えた装置。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の熱伝導流体としての使用。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物のR−22、R−407CおよびR−404Aの代替物としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却、空調および暖房、特にヒートポンプでの使用に適した2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関(moteur thermique)は内燃機関の冷却と客室の暖房に用いられる冷却剤が流れる回路を有している。この回路はポンプとスペースヒーターを有し、このスペースヒーターを空気流が通り、冷却剤が蓄えた熱を回収して客室を暖房する。
【0003】
自動車の客室を冷却する空調系は蒸発器と、圧縮器と、凝縮器と、温度調整膨張弁と、(液体と気体との間で)状態を変えることができる流体(一般に冷却剤(refregerant)とよばれる)とを有している。圧縮器はベルト・プーリーを用いて自動車機関によって直接駆動され、冷却剤を圧縮し、冷却剤を高圧、高温下で凝縮器へ戻す。凝縮器は強制換気され、高圧、高温の気体状態で来る気体を凝縮する。凝縮器はその中を流れる空気の温度を下げて、気体を液化する。蒸発器は客室に送る空気から熱を取る熱交換器である。温度調整膨張弁は蒸発器の温度および圧力に応じて流量範囲を変え、ループへの気体の入口流量を調節できる。外部からの熱は蒸発器を通って冷却される。
【0004】
電気自動車の空調システムは密閉シールされ、圧縮器は電動コンプレッサであり、そのシステム構造は中間熱伝導回路を用いた密閉系(グリコール型)である。自動車の空調で一般に用いられる冷却剤は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)である。
【0005】
特許文献1(国際特許第WO 2008/107623号公報)に記載の自動車エネルギー管理システムは冷却剤が循環する可逆冷却ループと、冷却モード位置とヒートポンプモード位置との間を移動可能な冷却ループの動作サイクルの逆転手段と、冷却剤からエネルギーを回収するための少なくとも一つの第1源と、冷却剤を蒸発させ、その流体を液体から二相状態へ膨張させる少なくとも一つの第2源とを有し、上記逆転手段ヒートポンプモードに対応する位置と同じ位置にあるときに冷却剤を第1回収源から少なくとも一つの蒸発源へ流すことができる。
【0006】
しかし、この特許文献1に記載の系で冷却剤としてHFC-134aを用い且つ外部温度が約−15℃の場合には、圧縮器が起動する前に既に蒸発器内で負圧状態が始まり、この負圧状態によって空気が系内に侵入し、腐食現象が促進され、圧縮器、熱交換器および温度調整膨張弁等の部品が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許第WO 2008/107623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、圧縮器の起動時に冷却ループの蒸発器へ空気が侵入するのを防止し、および/または、冷却ループの効率を向上させる熱伝導流体と、その使用、特に冷却ループ内での冷却剤としての使用とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの対象は、5〜80重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜25重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、2〜50重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物にある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例の概念図。
図2】本発明の第2実施例の概念図。
図3】本発明の第3実施例の概念図。
図4】本発明の第4実施例の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明組成物は、40〜75重量%、好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜75重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜30重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、15〜40重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む。
本発明組成物は、60〜70重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜15重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、25〜35重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含むのが有利である。
好ましいグループ−Cの化合物はプロパンである。
【0012】
本発明組成物は、冷却、空調および暖房での熱伝導流体としての使用に特に適している。
本発明組成物は、現在の冷却剤、例えばR−22(クロロジフルオロメタン)、R−404A(4重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン、52重量%のトリフルオロエタンおよび44重量%のペンタフルオロエタンの混合物)およびR−407C(52重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン、23重量%のジフルオロメタンおよび25重量%のペンタフルオロエタンの混合物)の代替物として冷却で使用できる。R−407Cはショッピングセンター(スーパーマーケット)、保冷輸送、ヒートポンプおよび可逆ヒートポンプで冷却剤として冷却および加熱で用いられているが、R−407CのGWP(地球温暖化係数)は1800である。
【0013】
温室効果に対する流体の寄与はGWP(地球温暖化係数)規格によって定量化される。このGWPは二酸化炭素の基準値を1にして温暖化可能性を合計したものである。
本発明組成物のGWPは450以下である。
本発明組成物は空調、好ましくは自動車の空調で用いることもできる。
本発明組成物は暖房、特にヒートポンプでの暖房、好ましくは自動車の客室の暖房で用いることができる。
【0014】
本発明の別の対象は、第1熱交換器と、温度調整膨張弁と、第2熱交換器と、圧縮器と、冷却剤の流れの方向を逆転する手段とを有する、内部を冷却剤が流れる可逆冷却ループを用いて自動車の客室を暖房および/または空調する方法において、冷却剤が上記組成物を含むことを特徴とする方法にある。
【0015】
冷却ループ内の冷却剤の流れ方向を逆にして冷却ループの動作サイクルを逆転する上記手段は四方弁にすることができる。
【0016】
本発明の冷却剤は2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの安定剤をさらに含むことができる。安定剤としては特にニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾ−ル、例えばトルトリアゾールまたはベンゾトリアゾ−ル、フェノール化合物、例えばトコフェノール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、エポキシド(フッ素化またはパーフッ素化されたアルキルエポキシド、または、アルケニルまたは芳香族エポキシドでもよい)、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、チオールおよびラクトンが挙げられる。
【0017】
第1熱交換器は、冷却モードまたはヒートポンプモードのループの動作モードに応じて蒸発器またはエネルギー回収装置の役目をする。同じことが第2熱交換器にもいえる。冷却モードでは第2熱交換器を自動車の客室に吹込れる空気流の冷却に使用できる。ヒートポンプモードでは第2熱交換器を自動車の客室への空気流を加熱するのに使用できる。
【0018】
第1熱交換器および第2熱交換器は空気/冷却剤型である。液体/冷却剤交換器を用いることもでき、液体が中間流体の役目をし、エネルギーを空気に伝達する。
本発明方法では熱交換器を介して冷却ループを内燃機関冷却回路に熱的に結合できる。従って、冷却ループは少なくとも一つの熱交換器を有し、この熱交換器中を冷却剤と熱伝導流体、特に内燃機関冷却回路の空気または水とが同時に流れる。
【0019】
本発明方法の変形例では、第1熱交換器中を冷却剤と自動車の内燃機関からの放出ガスとの両方が同時に流れる。後者は熱伝導流体回路と熱的に連結できる。
本発明方法では、冷却ループは分路として少なくとも一つの熱交換器を有することができ、この熱交換器は自動車の内燃機関に入る空気流または自動車の内燃機関からの放出ガスと熱的に連結する。
【0020】
本発明方法は、外部温度が−20℃以下、好ましくは−30℃以下であるときに特に適している。
本発明方法の冷却ループは、ヒートポンプモード時に、ごく低温の外部からの空気を加熱し、次いで、この空気を客室に吹込み、その中の空気を新しくすることができる。低温外部空気と冷却剤との間の熱交換はループの凝縮器によって、直接または熱伝導流体を含む中間熱交換器を介して行われる。凝縮器を用いたこの熱交換によって、凝縮器を介して冷却剤を凝縮でき、さらに、この冷却剤を外部温度に近い温度にサブクールできる。
本発明方法は、内燃機関と電気モータを交互に用いて運転するように設計されたハイブリッド自動車にも同様に適している。本発明方法は、客室とバッテリーの両方に対して気候条件(高温または低温)に応じてエネルギー入力を最良に管理し、特に、熱伝導流体回路を介してバッテリーに温熱または冷熱を供給できる。
【0021】
上記組成物を含む冷却剤が流れる可逆冷却ループを自動車に備えたものは、低温起動時に客室の暖房および内燃機関の加熱のために使用できる内燃機関および/またはバッテリーからのエネルギーの回収に特に適している。この可逆冷却ループにポンプを備えることによって、ランキンモード(すなわち、圧縮器がタービンの役目をする)で運転し、内燃機関で生成され、熱交換後に冷却剤によって運ばれる熱エネルギーを有効利用することができる。
本発明はさらに、上記冷却ループを備えた装置にも関するものである。
【実施例】
【0022】
図1]は本発明の第1実施例の冷却ループ(16)の概念図を示し、第1熱交換器(13)と、温度調整膨張弁(14)と、第2熱交換器(15)と、圧縮器(11)と、四方弁(12)とを備えている。第1熱交換器および第2熱交換器は空気/冷却剤型である。第1熱交換器(13)には冷却ループ(16)の冷却剤とファンから送られる空気流が通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の熱交換器(図示せず)を通る。同様に、ファンから送られる空気流は第2熱交換器(15)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の別の熱交換器(図示せず)を通る。空気流の方向は冷却ループ(16)の動作モードと、内燃機関の必要条件との関数である。すなわち、内燃機関が待機モードで且つ冷却ループ(16)がヒートポンプモードの場合には、空気は機関冷却回路の熱交換器で加熱された後に、熱交換器(13)に送られ、冷却ループ(16)の流体の蒸発を加速し、それによって、この冷却ループの性能を向上させることができる。
【0023】
冷却回路の熱交換器は内燃機関の必要条件(内燃機関に流入する空気の加熱または内燃機関が生じるエネルギーの有効利用)に応じて弁を用いて作動できる。
冷却モード時には、圧縮器(11)によって圧縮された冷却剤が弁(12)を通って流れ、さらに凝縮器の役目(熱を外に放出)をする熱交換器(13)を流れ、さらに温度調整膨張弁(14)を通り、次いで蒸発器の役目をする熱交換器(15)を通る。従って、自動車の客室に吹き込まれる空気流が冷却される。
【0024】
ヒートポンプモード時には、冷却剤の流れ方向を弁(12)で逆にする。従って、熱交換器(15)が凝縮器の役目をし、熱交換器(13)が蒸発器の役目をする。熱交換器(15)は自動車の客室の空気流を加熱するのに用いることができる。
【0025】
図2]の概念図で示す本発明の第2実施例の冷却ループ(26)では、第1熱交換器(23)と、温度調整膨張弁(24)と、第2熱交換器(25)と、圧縮器(21)と、四方弁(22)と、冷却モードでの流体の流れに対して一端が熱交換器(23)の出口に連結され且つ他端が熱交換器(25)の出口に連結された分路(d3)とを備える。この分路は熱交換器(d1)(この熱交換器中を内燃機関に入る空気流または放出ガス流が通る)と、温度調整膨張弁(d2)とを備える。第1熱交換器および第2熱交換器(23、25)は空気/冷却剤型である。冷却ループ(26)の冷却剤およびファンから供給される空気流は第1熱交換器(23)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の熱交換器(図示せず)を通る。同様に、ファンから送られる空気流は第2熱交換器(25)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の別の熱交換器(図示せず)を通る。
【0026】
空気流の方向はループ(26)の動作モードおよび内燃機関の必要条件の関数である。例えば、内燃機関が待機モードで且つ冷却ループ(26)がヒートポンプモードの場合には、空気は機関冷却回路の熱交換器で加熱された後、熱交換器(23)に送られ、冷却ループ(26)の流体の蒸発を加速する。従って、この冷却ループの性能を向上できる。
冷却回路の熱交換器は内燃機関の必要条件(内燃機関に流入する空気の加熱またはこの内燃機関が生じるエネルギーの有効利用)に応じて弁によって作動できる。
【0027】
熱交換器(d1)は冷却モードまたはヒートポンプモードのいずれかのエネルギー必要条件に従って作動できる。この分路(d3)に逆止弁を取り付けて、分路(d3)を作動または停止させることができる。
【0028】
ファンによって送られた空気流は熱交換器(d1)を通る。同じ空気流が内燃機関冷却回路の別の熱交換器を通ることができ、さらに、放出ガス回路、内燃機関の空気取り入れ口またはハイブリッド自動車のバッテリーに設けた他の熱交換器を通ることもできる。
【0029】
図3]の概念図で示す本発明の第3実施例の冷却ループ(36)は第1熱交換器(33)と、温度調整膨張弁(34)と、第2熱交換器(35)と、圧縮器(31)と、四方弁(32)とを備える。第1熱交換器および第2熱交換器(33、35)は空気/冷却剤型である。これらの熱交換器(33、35)の動作は[図1]に示す第1実施例の動作と同じである。冷却ループ回路(36)と内燃機関冷却回路または第2グリコール−水回路の両方に2つの流体/液体熱交換器(38、37)を付ける。中間気体流体(空気)の無いこの流体/液体熱交換器を取り付けることによって空気/流体熱交換器と比較して熱交換が向上する。
【0030】
図4]の概念図で示す本発明の第4実施例の冷却ループ(46)は、第1熱交換器セット(43、48)と、温度調整膨張弁(44)と、第2熱交換器セット(45、47)と、圧縮器(41)と、四方弁(42)とを備える。分路(d1)は冷却モードでの流体の流れに対して一端が熱交換器(43)の出口に連結され且つ他端が熱交換器(47)の出口に連結される。この分路は熱交換器(d1)(内燃機関に入る空気流または放出ガス流れが通る)と、温度調整膨張弁(d2)とを備える。この分路の動作は[図2]に示す第2実施例の動作と同じである。
熱交換器(43、45)は空気/冷却剤型であり、熱交換器(48、47)は液体/冷却剤型である。これらの交換器の動作は[図3]に示す第3実施例のものと同じである。
【0031】
本発明方法は、バッテリーで運転するように設計された電気自動車にも同様に適している。本発明方法は、客室とバッテリーの両方に対して気候条件(高温または低温)に応じてエネルギー入力を最良に管理し、特に、熱伝導流体回路を介してバッテリーに温熱または冷熱を供給できる。
本発明方法は、さらに、水素で運転する車両にも適している。
【0032】
実験部分
加熱モード時の可逆ヒートポンプ:
車両でのヒートポンプ運転条件での冷却剤の性能のシミュレーションを凝縮器温度を40℃に固定して行った。
凝縮温度:+40℃(T cond)
圧縮器入口温度:−10℃(Te comp)
蒸発器出口温度:−20℃(Evap outlet temp)
温度調整膨張弁入口温度:−10℃
Evap P:蒸発器の圧力
Cond P:凝縮器の圧力
圧縮率:圧縮率は低圧に対する高圧の比。
スライド:これは蒸発器に沿った温度の変化
COP:これは性能係数(coefficient de performance)で、ヒートポンプの場合、系が受け取ったまたは消費した動力に対する、系によって供給される有効熱能力で定義される。
CAP:これは容積能力(capacite volumetrique)すなわち容積単位当たりの比熱容量(kJ/m3)である。
%CAPまたはCOPは本発明組成物のR−407Cのそれに対するCAPまたはCOPの値の比である。
圧縮器の等エントロピー効率:これは流体に伝達される実際のエネルギーと等エントロピーエネルギーとの比である。
圧縮器の等エントロピー効率は0.7に等しいとみなされる。
【0033】
【表1】
【0034】
A:HFO−1234yf(重量%)
B:HFC−134a(重量%)
C:プロパン(重量%)
【0035】
冷却モード時の可逆ヒートポンプ:
車両での空気冷却の運転条件での冷却剤の性能のシミュレーションを蒸発器温度を5℃に固定して行った。
凝縮温度:+40℃(T cond)
圧縮器入口温度:+15℃(Te comp)
蒸発器出口温度:5℃(Evap outlet temp)
温度調整膨張弁入口温度:35℃
Evap P:蒸発器の圧力
Cond P:凝縮器の圧力
スライド:蒸発器に沿った温度の変化
圧縮率:圧縮率は低圧に対する高圧の比。
COP:これは性能係数(coefficient de performance)で、ヒートポンプの場合、系が受け取ったまたは消費した動力に対する、系によって供給される有効熱能力で定義される。
CAP:これは容積能力(capacite volumetrique)すなわち容積単位当たりの比熱容量(kJ/m3)である。
%CAPまたはCOPは本発明組成物のR−407Cのそれに対するCAPまたはCOPの値の比である。
圧縮器の等エントロピー効率:これは流体に伝達される実際のエネルギーと等エントロピーエネルギーとの比である。
圧縮器の等エントロピー効率は0.7に等しいとみなされる。
【0036】
【表2】
【0037】
A:HFO−1234yf(重量%)
B:HFC−134a(重量%)
C:プロパン(重量%)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2017年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
55〜75重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜30重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、15〜40重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物。
【請求項2】
60〜70重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンと、5〜15重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、25〜35重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1熱交換器と、温度調整膨張弁と、第2熱交換器と、圧縮器と、冷却剤の流れの方向を逆転する手段とを有する、内部を冷却剤が流れる可逆冷却ループを用いて自動車の客室を暖房および/または空調する方法において、
上記冷却剤が請求項1または2に記載の組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
第1熱交換器および第2熱交換器が空気/冷却剤型である請求項に記載の方法。
【請求項5】
第1熱交換器および第2熱交換器がエネルギーを客室用の空気に伝達する第2回路を用いる液体/冷却剤型のものである請求項に記載の方法。
【請求項6】
冷却ループが内燃機関冷却回路に熱的に結合されている請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1熱交換器を冷却剤と自動車の内燃機関からの排ガスの両方が同時に流れる請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記冷却ループが自動車の内燃機関に入る空気流または自動車の内燃機関から放出される放出ガスと熱的に連結する少なくとも一つの熱交換器を分路(derivation)として有する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
冷却ループが、内燃機関および/またはバッテリーからエネルギーを回収するために車両に設置される請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項のいずれか一項に記載の可逆冷却ループを備えた装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載の組成物の熱伝導流体としての使用。
【請求項12】
請求項1または2に記載の組成物のR−22、R−407CおよびR−404Aの代替物としての使用。
【手続補正書】
【提出日】2017年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
55〜75重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜30重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、15〜40重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
60〜70重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜15重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、25〜35重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む請求項1に記載の組成物。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明組成物は、40〜75重量%、好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜75重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜30重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、15〜40重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含む。
本発明組成物は、60〜70重量%の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、5〜15重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンと、25〜35重量%のプロパン、プロピレンおよびエチレンから選択される少なくとも一種のグループ−Cの化合物とを含むのが有利である。
好ましいグループ−Cの化合物はプロパンである。