(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-155395(P2017-155395A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20170810BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-59218(P2016-59218)
(22)【出願日】2016年3月4日
(71)【出願人】
【識別番号】515103065
【氏名又は名称】岳上 佳典
(72)【発明者】
【氏名】岳上 佳典
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185BA16
(57)【要約】
【課題】鼻と口を覆うマスクについて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間からの呼吸気の洩れを軽減させることを目的とする。
【解決手段】適度の柔軟性をもつ薄膜片5は、マスク本体1の上辺部に設けてあり、マスク本体上辺と薄膜片の一辺とが接合している。
図1では、薄膜片は接合している辺よりも薄膜片を逆U字形に折り曲げたときに下側となる辺が長く、この辺を縮めることで薄膜片の下側中間部を膨らませた状態とする。この膨らみによりマスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間を塞ぎ、この隙間からの呼吸気の洩れを軽減させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体上辺部に、適度に柔軟性があり、マスク本体上辺部より上方に突出した薄膜片を有し、薄膜片の下辺部がマスク本体上辺部と接合または粘着している。
薄膜片の横辺の長さは、接合または粘着している辺よりも、反対側の辺が中央部側で長くなっており、長い辺の長さを狭めると長い辺は膨らんだ状態となる。この特性を利用して、薄膜片を逆U字形に折り曲げた状態では薄膜片の下側になった辺が膨らむ構造であることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1のマスクに薄膜片の両端側を下げて薄膜片の下側になった辺が膨らむ状態となる構造であることを特徴とするマスク。
【請求項3】
マスク本体上辺部に、適度に柔軟性がある薄膜片を有し、薄膜片の上辺部がマスク本体上辺部と接合または粘着している。薄膜片の横辺の長さは、接合または粘着している辺よりも、反対側の辺が中央部側で長くなっており、長い辺の長さを狭めると長い辺は膨らんだ状態となる。この特性を利用して、薄膜片の下辺が膨らむ状態となる構造であることを特徴とするマスク。
【請求項4】
請求項3のマスクに薄膜片の両端側を下げて薄膜片の下辺が膨らむ状態となる構造であることを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻と口を覆うマスクにおいて、上部の隙間からの呼吸気の洩れを軽減させるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なマスクでは、鼻と口を覆うマスクにおいて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間からの呼吸気の洩れにより、マスクの吸気浄化機能を損ない又、吐気の水蒸気によりメガネが曇るという問題があった。
【0003】
このようなマスク上部の隙間からの呼吸気の洩れを軽減ないし解消すべく、従来より幾つかの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1にあるように、マスク上部に塑性変形する樹脂や金属板をもうけ、これを鼻の形に合わせて折り曲げて前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0005】
また、例えば特許文献2にあるように、マスク上部に粘着性の物質を備え、鼻および頬と粘着することにより、前記隙間の密閉を図っているものがある。
【0006】
さらに、例えば特許文献3、4にあるように、マスク上部にスポンジ状物質を備え、前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0007】
さらにまた、例えば特許文献5、6にあるように、マスク上端部に薄膜状で空気を通さないか又は空気を通しにくい素材で構成された薄膜片を頬に押しつけることにより前記の隙間を塞ぐように図っているものがある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2006−305279号広報
【特許文献2】 特開2006−263172号広報
【特許文献3】 特開2008−148984号広報
【特許文献4】 特開2003−236000号広報
【特許文献5】 特開2007−054270号広報
【特許文献6】 特開2007−061585号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述特許文献1に記載された塑性変形する樹脂や金属板をもうけたものでは、マスク上端部を頬に密着させることが難しく、前記の隙間を十分に塞ぐことができず機能は不十分である。
【0010】
また、前述特許文献2に記載された粘着性を付与したものでは、装着感の好みがあり、脱着回数も限定されると考えられ、必ずしも良い方法であるとはいえない。
【0011】
さらに、前述特許文献3、4に記載されたマスク上部にスポンジ状物質を備えたものでは、使わない時の厚み及び容積が大きく保管上で良いとはいえない。
【0012】
そして、前述特許文献5、6に記載された薄膜片を頬に押しつけるようにしたものでは、薄膜片が平面的であり必ずしも前記の隙間を必ずしも塞ぐとはいえず機能が十分とはいえない。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装着者の鼻の両側部分と頬部分およびマスク上辺で形成される隙間を塞ぎ、この隙間からの呼吸気の洩れを軽減させるマスクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1のマスクでは、薄膜片は鼻と口を覆うマスク本体上部に設け、適度に柔軟性がある布状またはシート状の素材で出来ており、薄膜片は下部がマスク本体上辺部に接合または粘着しており、上部はマスク本体上辺部より上方に突出している。また、薄膜片の横辺の長さは、接合または粘着している辺より、反対側が長くなっている。
【0015】
このため薄膜片をマスク本体の上辺部から内側下に折り曲げ、下側になった長い辺を接合している辺と同じ長さ方向に寄せると、下側の辺は膨らんだ状態となる構造であり、この膨らみが鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【0016】
請求項2のマスクでは、請求項1のマスクでマスク本体と薄膜片の接合または粘着している部分の途中から端が下がっている。薄膜片の端を下げることでも下側の辺は膨らんだ状態と出来るので、請求項1での手段と合わせると膨らみを大きくすることができる構造であり、この膨らみが鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【0017】
請求項3のマスクでは、薄膜片は鼻と口を覆うマスク本体上部に設け、適度に柔軟性がある布状またはシート状の素材で出来ており、薄膜片は上辺部がマスク本体上辺部に接合または粘着している。また、薄膜片の横辺の長さは、接合または粘着している上辺より、反対側の下辺が長くなっている。このため薄膜片の下辺を上辺と同じ長さ方向に寄せると下辺は膨らんだ状態となる構造であり、この膨らみが鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【0018】
請求項4のマスクでは、請求項3のマスクでマスク本体と薄膜片の接合または粘着している部分が、上辺部の途中から端が下げてある。上辺部の途中から端を下げることでも下側の辺は膨らんだ状態と出来るので、請求項3での手段と合わせると膨らみを大きくすることができる構造であり、この膨らみが鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、薄膜片の膨らみでマスクの鼻と頬とマスク上辺の間に形成される隙間を減らし、この隙間からの呼吸気の洩れを軽減させるので、マスクの吸気浄化機能を損なうことを軽減する。
【0020】
また、薄膜片の材質として通気性がマスク本体より悪いものを用いて、吐気が上方へ行くのを制限することにより、メガネをかけた時にメガネが曇ることを減らす効果も期待できる。
【0021】
本発明では、保管時のマスクの厚みはマスク本体に薄膜片の厚みが加わるだけであり、スポンジ等の弾性体を使用する方法に比べて保管の容積が少なくできる。
【0022】
薄膜片の膨らみは、耳掛け紐による引張力を受けないので、マスクを口鼻に当てる力を増やすために耳掛け紐の引張り力を強くしても、薄膜片の膨らみは影響を受けず、漏れを軽減させる機能は低下しない。
【0023】
本発明は、プリーツ形のマスクでも立体形のマスクにでも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す薄膜片を左右2分割しているマスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図3】同上マスクで薄膜片を膨らせた後の裏面図である
【
図4】同上マスクで薄膜片を膨らせた後の上から見た図である
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す薄膜片が1枚でできたマスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図6】同上マスクで薄膜片を膨らせる前の上から見た図である
【
図7】本発明の第1の実施の形態を示す薄膜片を左右2分割している立体型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図8】本発明の第1の実施の形態を示す薄膜片が1枚でできた立体型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図9】本発明の第2の実施の形態を示す薄膜片を左右2分割しているマスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図10】同上マスクで薄膜片を膨らせた後の裏面図である
【
図11】本発明の第3の実施の形態を示すマスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である。
【
図12】同上マスクで薄膜片を膨らせた後の裏面図である
【
図13】本発明の第4の実施の形態を示すマスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である。
【
図14】同上マスクで薄膜片を膨らせた後の裏面図である
【発明を実施するための形態】
【0025】
薄膜片の膨らみを安定的に確保し、マスク使用中の薄膜片とマスク本体とのずれを防止を図るため、薄膜片が膨らんだ状態で薄膜片とマスク本体が接する位置に粘着部を配置すると良い。粘着部に粘着材を付けておくのは、薄膜片又はマスク本体のどちらでも良い。
【0026】
薄膜片の膨らみを安定的に保持するために、薄膜片の膨らむ辺側を布または樹脂などの芯材を用いて補強しても良いし、薄膜片の膨らむ辺を折り返して辺側の強度を増しても良い。
【0027】
薄膜片とマスク本体との接合または粘着の位置は、中央部が下がっていても一直線でも良い。
【0028】
薄膜片は左右に分割して設けても良いし、中央部に折返しなどの広がり代を設けて1枚で作っても良い。
【0029】
請求項1のマスクでは、薄膜片とマスク本体上辺部との接合は、薄膜片はマスク本体の内側でも外側でも突き合わせでも良い。
【0030】
請求項2のマスクでは、マスク本体の上辺左右各々が山形または台形の場合には、薄膜片とマスク本体の接合は、マスク上辺での突き合わせでも良い。
【符号の説明】
【0031】
1 マスク本体
2 耳掛紐
3 接合または粘着部
4 粘着部
5 薄膜片
6 薄膜片の折返し部