【解決手段】可撓性絶縁構造は、バッティングおよびエアロゲル含有粒子とバインダの混合物を含み、エアロゲル含有粒子は、少なくとも1層のバッティングに含浸する。可撓性絶縁構造を調製するための方法は、エアロゲル含有粒子およびバインダを含む混合物を1つまたは複数のバッティング層を有するバッティングに塗布すること、ならびにバインダを乾燥させることまたは乾燥させることができること、それによって可撓性絶縁構造を形成することを含む。
前記バッティングは織布または不織布であり、高分子繊維バッティング、ガラス繊維バッティング、鉱物綿繊維バッティング、炭素繊維およびそれらのあらゆる組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可撓性絶縁構造体。
前記物品は、衣類、履物、パイプインパイプ配置、絶縁容器、建築物、自動車、船舶、航空機および運動用品の物品からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に構造体の様々な詳細および部分の組合せを含む本発明の上記および他の特徴、ならびに他の利点を、添付図面を参照することにより具体的に説明し、特許請求の範囲に指摘する。本発明を具現化する具体的な方法およびデバイスは、例示として示されており、本発明の限定として示されていないことが理解されよう。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な多数の実施形態に利用されてもよい。
【0014】
本発明は、概して、繊維成分を概して1つまたは複数の層の形で、またナノポーラス材料、例えばエアロゲル含有粒子を含む絶縁物品(構造体)、物品または構造体の生成方法、および使用方法に関する。
【0015】
概して層は、高い繊維構造体(すなわちバッティング)の形をとり、多くの場合不織布である。不織布材料において、繊維はランダムウェブ(メッシュ)またはマット内で機械的にかみ合うことにより一緒に保持され、結合は、例えば、でんぷん、接着剤、ガゼイン、ゴム、ラテックス、合成樹脂、セルロース誘導体などの媒体を使用して、繊維の溶解により、かつ/または例えば当技術分野に公知であるような他の手段によって達成できる。場合によっては、不織布層は、約0.75〜約4.5インチの長さの範囲が可能な捲縮繊維から作成される。繊維の直径は、約0.1〜約10,000ミクロンの範囲内であることが可能である。他の繊維の寸法を選択することが可能である。
【0016】
また織布繊維層も、絡み織り、平織または、例えば当技術分野に公知である他の織物技術を使用して利用できる。
【0017】
一部の実施形態では、バッティングは絶縁特性を有する。例えば、バッティングは、23℃で約80mW/m−K以下、例えば約20mW/m−K〜約60mW/m−Kの範囲内、多くの場合、約25mW/m−K〜約50mW/m−Kの範囲内の熱伝導率を有することができる。
【0018】
他の実施形態では、バッティングは、高温の適用に適切である。例えば、利用されるバッティングは、約200℃を超える、例えば、約300℃を超える、また約600℃を超える温度でも劣化せずに耐えることができる。他の実施形態では、バッティングは、難燃性および/または耐火性、低い火炎伝播および望ましい表面燃焼特徴などを有する。
【0019】
バッティングは、可撓性であることが可能であり、具体例では、バッティングは、巻き上げた形で提供される。
【0020】
バッティングは、あらゆる適切な材料、例えばガラス繊維などの金属酸化物繊維、鉱物綿繊維、例えば石もしくはスラグ繊維、生体溶解性セラミック繊維、炭素繊維、高分子系繊維、例えばポリエステル、アラミド、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマーブレンドおよびコポリマーなど、金属繊維、セルロース繊維、植物由来の繊維、他の適切な繊維または繊維の組合せなどから作成することができる。
【0021】
具体的な実装形態では、バッティングは、全体または一部がガラス繊維で、例えば、A−ガラス(25%のソーダおよび石灰を含む高アルカリガラス、化学物質に良好な耐性を供給するが電気特性が比較的低い)、C−ガラス(高い耐化学性をもつ特定の混合物)、E−ガラス(アルカリ含有量が低い電気グレード)、S−ガラス(E−ガラスより33%高い引張強度をもつ高い強度のガラス)、D−ガラス(優れた電気特性をもつが機械的特性がE−ガラスもしくはS−ガラスに比べて少ない、低誘電率の材料)、または例えば当技術分野に公知であるような他のタイプのガラス繊維を使用して作成される。
【0022】
他の具体的な実装形態では、バッティングは、例えば3M Corporationによって製造され、ダックダウンの絶縁性の1〜1.5倍を提供すると宣伝されているThinsulate(商標)、または合成超極細繊維に基づいて、グースダウンの実現可能な代替であることが多い材料である、PrimaLoft(登録商標)(Albany International Corporationの登録商標)などの絶縁剛性高分子材料からなる、基本的に絶縁剛性高分子材料からなる、または絶縁剛性高分子材料を含む。多くの場合、バッティングに使用される高分子材料は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートとポリプレピレンの混合物を含む。他の場合、バッティング高分子材料は、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンイソフタレートコポリマーおよび/またはアクリルを含む。他の高分子、例えば、ポリエステル、ポリマーブレンドおよびコポリマーなどを利用してバッティングを形成することができる。
【0023】
バッティング材料は、その密度によって特徴付けられることが可能である。適切なバッティング材料は、約1kg/m
3〜約20kg/m
3の範囲内、例えば4kg/m
3の濃度を有することができる。ウェブまたはメッシュ状のバッティング、例えば繊維ガラスから作成されるバッティングなどは、当技術分野に公知であるようなメッシュ数によって、またはウェブ内に存在する(平均)開口サイズの説明に適切な他の方法で特徴付けられることが可能である。通常、より大きいメッシュ数はより小さい開口を示し、より小さいメッシュ数はより大きい開口を示す。
【0024】
厚さおよび重量は、通常特定のバッティングに対して指定された他の特性である。例えば、バッティング層は、所望の適用に適切な厚さを有することができる。具体例では、バッティングは、約0.5mmの薄さ、または約110mmの厚さであることが可能である。具体例では、バッティングは、4、8、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100または102mmである。より薄いバッティングは、より容易に巻くことができ、例えば、より薄いバッティングは、より小さい半径の周囲に巻き付けることができる一方で、より厚いバッティングは、引張強度および他の特性などの機械的強度を追加することができる。適切なバッティング層は、例えば、少なくとも50g/m
2、例えば、100g/m
2、150g/m
2、200g/m
2、250g/m
2またはそれ以上の重量でさえも有することができる。
【0025】
説明用の例として提示すると、表1はThinsulate(商標)Ultra Lite Loftの数個のコマーシャルグレードの特性を示す。
【0027】
バッティングは、2つ以上の層から、例えば多数重なった形で配置されて、作成することができる。多くの実装形態では、多層は基本的にすべて同じ材料から作成され、層の厚さ、密度、メッシュ数、および/または他のバッティングに関連したパラメータに関して同じである、または異なることが可能である。また異なる材料から製造された層も利用することができ、このような層は、同じまたは異なる層の厚さ、密度、メッシュ数、および/または他のバッティングに関連したパラメータを有することができる。
【0028】
本明細書に記載された構造体に存在する層の少なくとも1つは、ナノポーラス材料を含む。本明細書で使用される場合、用語「ナノポーラス」は、約1ミクロン未満、例えば0.1ミクロン未満の孔を有する材料を指す。適切なナノポーラス材料の例には、金属酸化物、例えば、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウム、バナジウムおよびイットリウムなど、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに限定されない。
【0029】
例示的実施形態では、ナノポーラス材料はエアロゲルである。エアロゲルは、大きい粒子内細孔容積を有する低い密度の多孔質体であり、通常、湿潤ゲルから細孔液を取り除くことによって生成される。しかし、乾燥プロセスをゲル孔内の毛細管力によって複雑にする可能性があり、ゲル孔内の毛細管力はゲルの縮小または高密度化を引き起こす可能性がある。1つの製造手法では、三次元構造の崩壊は、基本的に超臨界乾燥を使用することによって除去される。また湿潤ゲルは環境気圧を使用して乾燥されることも可能であり、非超臨界乾燥プロセスとも呼ばれる。例えばシリカ系湿潤ゲルに適用する際、乾燥前に実行された表面改質、例えばエンドキャッピングは、乾燥生成物における縮小を恒久的に防止する。ゲルは、乾燥中も依然として縮小する可能性があるが、押し戻してゲルの以前の気孔率を回復させる。
【0030】
また「キセロゲル」と呼ばれる生成物は、それから液体が取り除かれた湿潤ゲルから得られる。この用語は、乾燥中に毛細管力によって圧縮された乾燥ゲルを指すことが多く、恒久的な変化および固体の網状の崩壊を特徴とする。
【0031】
便宜上、用語「エアロゲル」は、本明細書では一般的な意味で使用され、「エアロゲル」および「キセロゲル」の両方を指す。
【0032】
エアロゲルは、通常低いかさ密度(約0.15g/cm
3以下、多くの場合約0.03〜0.3g/cm
3)、非常に高い表面積(概して1グラム当たり約300〜約1,000平方メートル(m
2/g)以上、例えば約600〜約1000m
2/g)、高い気孔率(約90%以上、例えば約95%を超える)、および比較的大きい細孔容積(例えば1グラム当たり約3ミリメートル(mL/g)、例えば約3.5mL/g以上、例えば7mL/g)を有する。エアロゲルは、1ミクロン(μm)未満の孔をもつナノポーラス構造を有することができる。しばしば、エアロゲルは、約20ナノメートル(nm)の平均孔径を有する。不定型の構造におけるこれらの特性の組合せは、あらゆる密着性の固体材料に対して最低熱伝導率値(例えば、平均温度37℃で1気圧において9〜16mW/m・K)を与える。エアロゲルは、青色光を散乱する、ほぼ透明もしくは半透明であることが可能であり、または不透明であることが可能である。
【0033】
一般的なタイプのエアロゲルは、シリカ系である。シリコン以外の金属酸化物に基づくエアロゲル、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウム、バナジウムおよびイットリウムなど、またはそれらの混合物も利用できる。
【0034】
また有機エアロゲル、例えば、ホルムアルデヒドと組み合わせたレゾルシノールまたはメラミンおよびデンドリティックポリマーなども公知であり、本発明もこれらの材料を使用して実施することができる。
【0035】
適切なエアロゲル材料およびそれらの調製のためのプロセスは、例えば、Schwertfegerらにより2001年10月25日に公開された米国特許出願第2001/0034375A1号に記載されており、その教示は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
多くの実装形態では、利用されるエアロゲルは疎水性である。本明細書で使用される場合、用語「疎水性」および「疎水化された」は、一部ならびに完全に疎水化されたエアロゲルを指す。一部が疎水化されたエアロゲルの疎水性は、さらに増やすことができる。完全に疎水化されたエアロゲルでは、網羅の程度が最高に達し、基本的にすべての化学的に到達可能な群を改質する。
【0037】
疎水性は、当技術分野に公知の方法、例えば、接触角測定によって、またはメタノール(MeOH)ウェッタビリティによって決定することができる。エアロゲルに関する疎水性の検討は、例えば、Hrubesh et al.により2004年3月23日に発行された米国特許第6,709,600B2号に見出され、その教示は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
疎水性エアロゲルは、疎水化剤、例えば、シリル化剤、ハロゲン含有化合物および特にフッ素含有アルコキシランまたはアルコキシロキサンなどのフッ素含有化合物、例えばトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(TEPTMOS)、ならびに当技術分野に公知の他の疎水化化合物を使用することによって生成されることが可能である。
【0039】
シリル化化合物、例えば、シラン、ハロシラン、ハロアルキルシラン、アルコキシシラン、アルコキシアルキルシラン、アルコキシハロシラン、ジシロキサンおよびジシラザンなどを利用することが多い。適切なシリル化剤の例には、ジエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、エチルフェニルジクロロシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、例えば、トリメチルブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、シムジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルジクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス{3−(トリエトキシシリル)プロピル}テトラスルフィド、ヘキサメチルジシラザンおよびそれらの組合せが含まれるが、これに限定されない。
【0040】
親水化剤は、エアロゲルの形成中および/または後続の処理ステップ、例えば表面処理に使用することができる。
【0041】
一部の例では、エアロゲルは、親水性表面、または例えば親水性エアロゲルを表面活性薬剤で処理することによって得たシェルを有し、本明細書では界面活性剤、分散剤または湿潤剤とも呼ばれる。
【0042】
界面活性剤の量を増加させることは、水相が浸透できる深さ、ひいては親水性エアロゲルのコアを包囲する親水性コーティングの厚さを増加させる傾向がある。
【0043】
本明細書に記載された絶縁構造体は、繊維、乳白剤、着色顔料、染料または混合物などの添加物を含むことができ、場合によっては、これらの添加物はエアロゲル化合物内に存在する。例えば、シリカエアロゲルは、繊維および/または1つもしくは複数の金属またはその化合物を含むために調製することができる。具体例には、アルミニウム、スズ、チタニウム、ジルコニウムまたは他の非石英金属およびそれらの酸化物が含まれる。乳白剤の非限定的例には、カーボンブラック、チタニウム酸化物、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、およびそれらの混合物が含まれる。添加物を、あらゆる適切な量で、例えば所望の特性および/または特定の適用に依存して提供することが可能である。
【0044】
概して、利用されるナノポーラス材料、例えば本明細書に記載されたシリカエアロゲルは、その場で形成されるのとは対照的に、絶縁構造体の製造中に予め製造される。特定の実施形態は、例えばエアロゲル含有粒子、例えば顆粒、ペレット、ビード、粉末または他のタイプのエアロゲル含有粒子材料を利用する。適切な粒子材料は、エアロゲル、例えば石英系エアロゲルからなる、基本的にエアロゲルからなる、またはエアロゲルを含む。
【0045】
粒子は、企図された適用に適切なあらゆる粒子サイズを有することができる。例えば、エアロゲル粒子は、約0.01ミクロン(μm)〜約10.0ミリメートル(mm)の範囲であることが可能であり、例えば0.3〜5.0mmの範囲で平均粒子サイズを有することができる。多くの例では、平均粒子サイズは、約1ミクロン〜100μmの範囲内、例えば8〜10μmの範囲内である。他の適切な粒子サイズは、約0.3〜約1μm、約1〜約3、5または8μm、約10〜約15または約20μm、約20〜約35μm、または約35〜約50μmの範囲内である。また粒子サイズの組合せも使用できる。具体例では、粒子サイズは、バッティングを通して浸透の所望の程度、利用されるバッティングのタイプ、バッティング層(複数可)内のメッシュ開口のサイズおよびバッティングまたはバッシング層の厚さなどの、要因を考慮して選択される。
【0046】
特定の形の市販のエアロゲル材料の例は、米国マサチューセッツ州BillericaのCabot CorporationによりNanogel(登録商標)の商品名で供給されているものである。Nanogel(登録商標)エアロゲル顆粒は、高い表面積を有し、約90%を超える多孔質であり、広範囲の粒子サイズ、例えば上に記載された範囲などで利用可能である。半透明のNanogel(登録商標)エアロゲルの具体的なグレードは、例えば、TLD302、TLD301、TLD201またはTLD100という名称のものを含み、IR不透明Nanogel(登録商標)エアロゲルの具体的なグレードは、例えば、RGD303またはCBTLD103の名称のものを含み、不透明のNanogel(登録商標)エアロゲルの具体的なグレードは、例えばOGD303の名称のものを含む。
【0047】
またエアロゲル含有材料は、好ましくは粒子の形で、モノリシックエアロゲルまたはエアロゲル系組成物、シートおよびブランケットなどからも抽出できる。例えば、このようなエアロゲル材料の片を、破壊する、刻む、粉砕することにより、またはそれを通してエアロゲル粒子がエアロゲルモノリス、組成物、ブランケット、シートおよび他のこのような前駆体から獲得することができる、他の適切な技法によって獲得できる。
【0048】
エアロゲル含有材料の粒子または片を生成するために処理できる材料の例には、エアロゲルおよび繊維(例えば繊維を補強したエアロゲル)、ならびに任意選択で少なくとも1つのバインダを含有するエアロゲル系組成物などの、エアロゲル系組成物が含まれる。繊維はあらゆる適切な構造を有することができる。例えば、繊維を、平行方向に、垂直方向に、共通方向に、またはランダム方向に配向することができる。繊維は、繊維の組成物、サイズまたは構造に関して異なることが可能である。組成物内で、繊維の1つのタイプは、異なる寸法(長さおよび直径)であることが可能であり、繊維の配向は異なることが可能である。例えば長い繊維は、面内に位置合わせされる一方で、より短い繊維はランダムに分布される。具体例は、例えばFrank et al.により2005年5月3日に発行された米国特許第6,887,563号に記載されており、その教示は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。他の例には、少なくとも1つのエアロゲルおよび少なくとも1つのシンタクチックフォームが含まれる。例えば、その教示は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、エアロゲル系組成物という名称の国際公開第WO2007047970号に説明されたように、エアロゲルを被覆して、高分子がエアロゲルの孔の中に侵入するのを防止することができる。さらに他の例では、エアロゲルは、例えば、ブランケットシートを一緒に積層して多層構造体を形成する配置におけるブランケットから抽出できる。割れたモノリスは、その教示が参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Frank et al.により1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,075号に説明されており、これらはまた、本明細書に開示された自立型剛性組成物の生成において、適切な前駆体として働くこともできる。さらなる例では、利用されるエアロゲルは、例えば、その教示が参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Frank et al.により2005年5月3日に発行された米国特許第6,887,563号に説明されたように、エアロゲル材料、バインダおよび少なくとも1つの繊維材料の組成物を含む。使用可能なエアロゲル材料の他の適切な例は、その教示が参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Frank et al.により1998年7月28日に発行された米国特許第5,786,059号に開示されたような複合繊維を含む、繊維ウェブ/エアロゲル組成物である。またエアロゲル粒子は、例えば、その教示が参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、どちらもLee et al.により公開された、2005年3月3日に公開された米国特許出願公開第2005/0046086A1号、および2005年8月4日に公開された米国特許出願公開第2005/0167891A1号に記載されたように、湿潤ゲル構造体から生成されたシートまたはブランケットから抽出できる。市場では、エアロゲルタイプのブランケットまたはシートは、米国マサチューセッツ州BillericaのCabot Corporationから、または米国マサチューセッツ州NorthboroughのAspen Aerogels,Inc.から入手可能である。
【0049】
またエアロゲル含有材料の組合せも利用できる。例えば、異なるタイプのエアロゲル含有材料、例えば、異なる粒子サイズ、音響および/もしくは光伝達特性を有する粒状エアロゲルの組合せまたは混合物。これに限定されないが、ヒュームドシリカ、コロイドシリカまたは沈降シリカ、カーボンブラック、酸化チタン、パーライト、ガラス、セラミックまたは高分子マイクロスフェアなどのマイクロスフェア、ケイ酸塩、コポリマー、テンシド、鉱物粉末および繊維などを含む、例えば非エアロゲルナノポーラス金属酸化物、例えばシリカなどの、他の材料とエアロゲルとの混合も使用できる。
【0050】
ナノポーラス材料は、例えば予め製造されたエアロゲル粒子の形で、通常他の成分と組み合わせて提供される。多くの実施形態では、ナノポーラス材料、例えば、予め調製されたエアロゲル含有材料は、バインダと組み合わせて提供される。多くの例では、バインダは、ある特定の条件下で、固まり、硬くなり、または硬化する材料である。便宜上、これらおよび同様のこのようなプロセスは、本明細書では「乾燥」と言う。好ましくは、これらの「乾燥」プロセスは不可逆である。
【0051】
多くの実装形態では、バインダは、硫酸カルシウム半水和物(CaSO4・0.5H20)に基づいた材料、石膏を含む、基本的に石膏からなる、または石膏からなる。通常、焼石膏(硫酸カルシウム)は、水性スラリーの形で使用され、乾燥に誘起された結晶化は、硫酸カルシウムの結晶が機械的特性をバインダに提供するために組み合わさる、硫酸カルシウムの結晶の形成をもたらす。石灰プラスタ(酸化カルシウムに基づく)の場合、水性スラリーは、大気中の二酸化炭素の影響を受けて炭酸カルシウムを形成する、水酸化カルシウムを形成する。
【0052】
他の適切なバインダは、例えば、セメント、石灰、混合マグネシウム塩、ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウム、プラスタおよび/または他の無機物もしくは無機物含有組成物などの、1つまたは複数の材料を含む、基本的に1つまたは複数の材料からなる、または1つまたは複数の材料からなる。例えば、セメントは、石灰石、粘土および他の成分、例えばアルミナの含水ケイ酸塩を含むことが多い。例えば、水硬セメントは、混合水との化学反応の結果として、水と組み合わせた後、固まり硬化する材料であり、硬化後、水中でさえも強度および安定性を維持する。この強度および安定性のための重要要件は、水との即時反応で形成される水和物が、基本的に水に溶けないことである。水硬セメントを固め硬化することは、含水化合物の形成によってもたらされ、含水化合物は、セメント成分と水との間の反応の結果として生成される。反応および反応生成物は、それぞれ水和、および水和物または水和相と呼ばれる。反応を即座に開始する結果として、硬化は、最初はわずかだが時間とともに増加して観察することができる。硬直がある特定レベルに達する点は、凝結の開始と呼ばれる。さらなる圧密は凝結と呼ばれ、凝結後、硬化相が始まる。次いで材料の圧縮強度は着実に増し、「超速硬」セメントの場合数日から普通のセメントの場合数年の範囲の期間に亘る。
【0053】
またバインダは、例えばアクリレート、他のラテックス組成物、エポキシ重合体、ポリウレタン、ポリエチレンポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレン重合体(例えば、Teflon(商標)の名称で市販されている)などの1つまたは複数の有機材料からなる、基本的に1つまたは複数の有機材料からなる、または1つまたは複数の有機材料を含む。多くの有機バインダは、重合化または例えば、当技術分野に公知であるような硬化プロセスを通して固まるまたは硬化することができる。
【0054】
バインダを、エアロゲル成分とあらゆる適切な割合で組み合わせることができる。例には、エアロゲルとバインダの重量比が100:5〜100:30の範囲が含まれるが、これに限定されない。エアロゲルとバインダの他の割合を選択することができる。具体例では、エアロゲルとバインダの重量比は、100:10、100:15、100:20、または100:25である。
【0055】
本発明の一部の態様は、1つまたは複数の界面活性剤を利用する。エアロゲル(例えばエアロゲル粒子)およびバインダとともに使用できる適切な界面活性剤は、イオン性(陰イオン性および陽イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤および高分子化合物などであることが可能である。また異なるタイプの界面活性剤の組合せも利用できる。
【0056】
陰イオン性界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸塩および高級アルキルエーテル硫酸塩、より具体的には、ラウリル硫酸アンモニウムおよびポリオキシエチレンラウリエーテル硫酸ナトリウムを含むことができる。陽イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪族アンモニウム塩およびアミン塩、より具体的には、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシエチレンアルキルアミンを含む。両性界面活性剤は、例えば、アルキルジメチルベタインなどのベタイン型、またはアルキルジメチルアミンオキシドなどのオキシド型であってもよい。非イオン性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルなどを含む。
【0057】
利用できる界面活性剤の具体例には、すべてBASF製のPluronic P84、PE6100、PE6800、L121、Emulan EL、Lutensol FSA10、Lutensol XP89、Michelmann製のMP5490、AEROSOL OT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)、BORLOX 12i(分岐アルキルジメチルアミンオキシド)、LAS(直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩)およびTRITON 100(オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール)、TWEEN 100界面活性剤のようなTWEEN界面活性剤、ならびにBASFプルロニック界面活性剤などが含まれるが、これに限定されない。一般部類は、グリコール、ポリオキシエチレン脂肪エーテルなどのアルコキシレートポリオキシアルキレン脂肪エーテル、ソルビタンエステル、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、Hypermenポリマー界面活性剤のような高分子界面活性剤、ヤシ油アルキルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウムおよびコアミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸、リン酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、Renex非イオン性界面活性剤(エチレンオキシドおよび不飽和脂肪酸およびヘテロ環式樹脂酸の反応によって形成される非イオン性エステル)、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体またはそれらの組合せである。
【0058】
界面活性剤の具体的な量は、粒子サイズ、界面活性剤のタイプおよび/または他の適切な基準などの要因を考慮することによって選択することができる。多くの場合、エアロゲル含有粒子およびバインダの量に対する界面活性剤の重量比は、少なくとも約1:100、例えば約10:100〜約30:100である。利用できる例示的割合は、5:100、15:100、20:100または25:100、35:100を含む。
【0059】
他の含有物が存在することは可能である。本明細書で使用される場合、用語「別の含有物」、「他の含有物」または「追加の含有物(複数可)」は、利用される予め調製されたナノポーラス材料(例えば、エアロゲル含有粒子)の外側にある化合物または材料を指す。例えば、Nanogel(登録商標)エアロゲル粒子を利用する場合、用語「他の含有物」は、Nanogel(登録商標)エアロゲル粒子内または表面にすでに存在する含有物より、むしろ使用されるNanogel(登録商標)エアロゲル粒子と組み合わせることができる含有物を指す。これらの他の含有物を、最終生成物に補強を提供するため、エアロゲル粒子の外表面を湿らせるため、接着をバッティング基板に増加させるため、特定のバッティング材料により粘着するように組成物をレンダリングして、組成物または完成した絶縁物品内の所望された他の特徴を提供するもしくは高めるため、または他の理由のために使用できる。
【0060】
利用できる他の含有物の例には、乳白剤、粘性調節剤、硬化剤、バインダが硬化する速度を上げるまたは下げる薬剤、機械的強度を高める薬剤または材料、粘性調節剤、pH調節剤、可塑剤、潤滑剤、強化剤、難燃剤(例えば、ハロゲン含有化合物、臭素酸塩、ホウ酸塩、アルミニウムトリヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド、他の酸化物および/または繊維、プラスチックおよび組成物の分野で公知の他の化合物)などが含まれるが、これに限定されない。また他の含有物の組合せも利用できる。
【0061】
具体例では、他の含有物は、繊維、ヒュームドシリカ、コロイドシリカまたは沈降シリカ、カーボンブラックおよび二酸化チタンを含むがこれに限定されない乳白剤、パーライト、ガラスまたは高分子マイクロスフェアなどのマイクロスフェア、シリカ、例えば、ケイ酸カルシウム、コポリマー、テンシド、鉱物粉末、フィルム構築成分、界面活性剤、およびそれらのあらゆる組合せから選択される。
【0062】
例えば、繊維は、通常、長さと直径の縦横比が、1を超える、好ましくは5を超える、より好ましくは8を超える細長い、例えば円筒の形状を有する。多くの例では、適切な繊維は、少なくとも20の長さと直径の比を有する。繊維は、織布、不織布、短繊維、または長繊維であることが可能である。繊維は、単一成分、複合成分、例えば、1つの材料から作成されたコア、および別の材料から作成されたシースを含む、または多成分であることが可能である。繊維は、中空または中実であってもよく、平坦、長方形、円筒形または不規則の断面を有してもよい。繊維は、弛緩している、刻まれている、束になっている、またはウェブもしくはスクリム内で一緒に連結されていてもよい。
【0063】
追加できる繊維の例には、鉱物綿繊維、例えば、ガラス、石もしくはスラグ繊維、生体溶解性セラミック繊維、または織布、不織布もしくは連続して作成されたガラスもしくは石の繊維の刻まれた形が含まれる。炭素繊維、高分子系繊維、金属繊維、例えば鋼繊維、セルロース繊維、植物由来繊維、例えば綿、木材または麻繊維。また繊維の組合せも使用できる。
【0064】
追加される他の含有物の量は、特定の適用および他の要因に依存してもよい。したがって他の含有物は、混合物の総重量の0重量%を超える、例えば2重量%を超える、例えば5重量%を超える、10重量%を超える、15重量%を超える、20重量%を超えるまたは25重量%を超える量で存在することができる。他の含有物は、約90重量%未満、例えば約75重量%未満または50重量%未満の量で成分内に存在することができる。
【0065】
乾式混合または湿式混合技法を利用して、ナノポーラス材料(予め調製されたエアロゲル含有粒子など)、バインダ、ならびに使用される場合、界面活性剤および/または他の含有物を組み合わせることができる。2つ以上またはすべての成分を同時に追加することができる。また、含有物をあらゆる適切な順番を使用して、連続して組み合わせることもできる。
【0066】
多くの実施形態では、1つまたは複数の出発物質は液体を含み、混合によりスラリーが生成される。他の実施形態では、乾燥出発物質を液体とあらゆる適切な順番で組み合わせることができ、混合を使用してスラリーを生成することができる。
【0067】
混合は手動で(例えば、手動撹拌または振動によって)実行できる。具体的な実装形態では、スラリーは、混合器またはミキサー、例えば、セメントミキサー、手持ち式もしくは工業用羽根車などの支援により形成される。リボン混合器、ダブルリボンブレード、遊星型ミキサー、および例えば当技術分野に公知であるような他の適切な混合装置も利用できる。場合によっては、刃の設計および/または特性、例えば刃の鋭さを増したものは、混合プロセスを、場合によっては、最終生産物の特性を完了させるために必要な時間を低減することができる。具体例では、軽粒子、例えばエアロゲル粒子は、液相の中に押し込められる。他の例では、液滴はより軽量の粒子に移動される。
【0068】
混合速度、温度、せん断の程度、液体および/もしくは固体物質の順番ならびに/または添加速度などのパラメータを調節することができ、作動の規模、成分の物理的および/または化学的性質などに依存してもよい。
【0069】
混合技法を選択して、エアロゲル粒子の実寸を変更する(通常低減する)ことができる。具体例では、選択された混合技法は、エアロゲル粒子の少なくとも一部のサイズを低減するために、例えば、利用されるバッティングの中にかつ/または利用されるバッティングを通るエアロゲル材料の浸透を向上させるために、充分な剪断力を提供する。他の例では、例えば、出発エアロゲル粒子が特定のバッティングに適切な粒子サイズを有する場合、より緩やかな混合技法を利用することができる。さらに他の例では、混合技法は、エアロゲル粒子のサイズ分布を修正するために選択される。次いで粒子のサイズ分布における変化を利用して、粒子の充填効率を改善させることができる。
【0070】
混合は、室温または他の適切な温度で行うことができる。通常、成分は環境大気内で組み合わせられるが、特定のガス雰囲気および/または圧力を提供することができる。
【0071】
多くの場合、スラリーは水性である、すなわちその液相は、50体積%を超える水を含む。また非水性スラリーも使用できる。このような非水性スラリーは、1つまたは複数の有機化合物、例えば、有機溶剤、界面活性剤および希釈剤などを含むことができる。非水性スラリーは、約0〜約50体積%、例えば5、10、15、20、25、30、35、40、45または49体積%の量の水を含むことができる。
【0072】
スラリー粘度は、例えば、利用されるバッティング材料のタイプ、バッティングの厚さ、スラリーで処理されるバッティング層の数、スラリーでバッティングを処理するために利用される技法などの、要因を考慮して選択される。例えば、より濃密なかつ/またはより厚いウェブは、低い粘度のスラリーの使用から恩恵を得てもよい一方で、より粘度のあるスラリーを薄いかつ/またはオープンウェブとともに使用できる。多くの場合、スラリーは、約2,000センチポイズ(cP)〜約100,000cP、例えば、10,000cP、20,000cP、30,000cP、40,000cP、50,000cP、60,000cP、70,000cP、80,000cP、または90,000cPの範囲内の粘度を有する。
【0073】
バッティングを様々なプロセスによりスラリーで処理できる。多くの実施形態では、1つまたは複数のバッティング層は、スラリーで含浸される。一部の実装形態では、選択されたプロセスは、利用される少なくとも1つのバッティング層の浸透を提供する。他の実装形態では、プロセスは、2つ以上のバッティング層の浸透を提供する。一例では、スラリーは第1のバッティング層に塗布され、次いで第1のバッティング層は第2のバッティング層によって被覆される。次いでスラリーは第2のバッティング層に塗布され、プロセスは所望の数の層に対して続けられる。さらなる実装形態では、選択された方法は、拡大または工業プロセス、例えばエアレイドおよび/またはロールツーロール製造に適切である。
【0074】
スラリーをバッティングに塗布するために企図された具体的技法には、バッティングをスラリー内に例えば浴撹拌で、または浴撹拌なしで液浸することまたは浸漬すること、バッティングに亘ってスラリーを注ぐこと、注入、バッティングにスラリーを噴霧または塗ること、かつ/または例えば当技術分野に公知であるような他のプロセスが含まれるが、これに限定されない。スラリー内にバッティングを漬けることは、複数(2つ以上)の層のバッティングに浸透させるのに特に有益であることが発見された。具体的な実装形態では、漬けることは、振動させること、かき混ぜること、または漬ける全期間に対して、またはより少ないインターバルに対して別の適切な形の撹拌の存在下で行われた。また浸漬浴の断続的な撹拌も利用できる。
【0075】
スラリーをバッティングに塗布することを、環境条件、例えば、室温および/もしくは大気圧で、または他の適切な条件で実行することができる。例えば、バッティングを室温より高温で処理することができる。例えば、圧力差を使用して、バッティング内のウェブ開口を通るスラリーの浸透を向上させることができる。
【0076】
多くの実装形態では、エアロゲル含有粒子は、単一または複数の層のバッティングの厚さ全体に分布される。利用される全バッティング層(複数可)の厚さ全体に分布されるエアロゲル(または他のナノポーラス材料)を含む絶縁構造体を、「含浸」構造体または物質と呼ぶことができる。「部分的な」含浸構造において、エアロゲル(または他のナノポーラス材料)は、利用されるバッティング層のすべてではないが一部を通って分布される。「塗られた」絶縁構造において、エアロゲル(または他のナノポーラス材料)は、構造体の一面に存在するが、塗られた層の反対側の面、例えば、複数層の配置におけるバッティングの外層の内側の面に浸透しない。
【0077】
処理されたバッティングを、例えば室温または室温より高温で、空気または特別な環境、例えば不活性ガスを使用して乾燥することができる。乾燥は、単にスラリーを乾燥できることによって、またはオーブン、乾燥室、スラリーを含むバッティングに向けた気体流、処理されたバッティングを通って真空を引き込むこと、もしくは例えば当技術分野に公知であるようなあらゆる他の適切な乾燥装置を使用することによって実行できる。具体例では、乾燥ステップは、拡大もしくは工業製造プロセスに適切な機器および/または技法を使用して行われる。
【0078】
構造は追加の要素を含むことができる。例えば、本明細書に記載された構造の外部(外側)面の片方または両方を、フィルム、フォイル、コーティングまたは保護用の別のタイプの外層で被覆して、多数に重なった配置を形成するために反射コーティング、水バリアまたは水蒸気バリアを提供することができる。
【0079】
このような構造を生成するために、例えばフィルム、フォイル、または他の適切な材料から作成した1つまたは複数のカバー層を、構造の外面の片方または両方に、製造プロセス中または製造プロセス後のあらゆる適切なときに貼り付けることができる。例えば、混合物(スラリー)を塗布する前に、カバーをバッティングの外層の外面に提供することができる。他の場合には、カバーを完成した構造の外面に取り付けることができる。構造の両(外)面が被覆される際、カバー層は同じであることも異なっていることも可能である。例えば、コーティングを、どちらも同じ水バリアまたは水蒸気バリアの材料から作成することができる。他の場合には、一方のカバー層を、ロールを解く間に保護を提供するように設計できるが、他方は反射フィルムであることが可能である。
【0080】
カバーをあらゆる適切な手段によって取り付けることができる。例えば、カバーを積層する、接着する、塗る、噴霧する、ステープルおよび締結具などの機械的手段によって固定する、または別法としてバッティングの外面もしくは完成した構造に付着することができる。
【0081】
また追加要素を、バッティング材料以外の材料から作成された、1つまたは複数の内層の形で提供できる。このような構造を製造するための1つの手法では、1つまたは複数の非バッティング層はバッティング層を散りばめられ、プロセスは、1つまたは複数のバッティング層が確実にスラリーを含浸されるように適合されることが可能である。浸漬技法、スラリーを各バッティング層に連続塗布する、または他の適切な方法を利用できる。
【0082】
構造は、少なくとも1つの内側の非バッティング層および少なくとも1つのカバー層を含むことができる。
【0083】
得られる構造(物品)は、ブランケット、マット、シートおよび可撓性の板などの形であることが可能である。構造は、少なくとも一部が可撓性を有し、多くの場合、構造が対象の周囲を包む、構造を巻き付けるまたは巻き付きを解く、折り曲げる、折り畳む、およびエアロゲル含有ブランケットまたは可撓性の組成物に所望の他の作動を可能にさせるのに充分な可撓性がある。本明細書に記載された実施形態による、可撓性のある絶縁材料の写真が
図1に示されている。
【0084】
多くの場合、本明細書に記載された可撓性のある絶縁構造は、約50ミリワット割るメートル掛ける度ケルビン(mW/(m・K)以下、例えば約30以下、例えば約25以下、および多くの場合、約23mW/(m・K)以下である、熱伝導率(23℃で1気圧における)を有する。
【0085】
構造は、特定の光透過特性、例えば、少なくとも一部の可視光を通す、防音特性、例えば、吸音性および/または音響反射特徴などの他の特性を有することができる。また本明細書に記載された可撓性のある絶縁構造は、電気絶縁特性を有することもできる。
【0086】
また防火設備に関連した特性、例えば、総熱含有量、火炎伝播指数、表面燃焼特徴、可燃性なども提供できる。
【0087】
多くの実装形態では、構造は、少なくとも150℃、しばしば少なくとも300℃、例えば、約100℃〜約800℃の範囲内、例えば約200℃〜約600℃の範囲内の温度に著しく劣化することなく耐えることができる。
【0088】
多くの場合、構造は疎水性特性を有する。
【0089】
構造は、圧縮荷重下で、例えば耐荷重特性を有して良好に実行できる。
【0090】
可撓性のある絶縁構造を、例えばパイプインパイプ配置における絶縁パイプ、容器または他の工業機器、建築物内、自動車、船舶、航空機および他の適用、衣類内、履物、ならびに運動用品などに使用できる。多くの実装形態では、構造は高温の適用、例えば、約150℃〜約800℃の範囲内で使用される。一例では、対象を絶縁する方法には、対象を含む物品において請求項1の可撓性のある絶縁構造を組み込むこと、および物品を少なくとも150℃の温度に曝すことが含まれる。
【実施例】
【0091】
例1
300gの脱イオン水、0.33gの50%溶液のPluronicP84(BASF)、16.7gの硫酸カルシウム半水和物(Sigma Aldrich)および33gのTLD302グレードのNanogel(登録商標)エアロゲルを米国コネティカット州のWaring Products製のWaring Commercial 7010G Blenderミキサーを使用して3分間Low設定で混合して、混合物(またはスラリー)を形成した。
【0092】
混合物を2種類の超極細合成繊維断熱材、すなわち、Thinsulate(商標)100(3M製)およびPrimaLoft(登録商標)1.8ozに(背部を取り除いて)流し込んだ。45分後、試料の検査で、PrimaLoft(登録商標)絶縁体を通って浸透したのは水のみで、Thinsulate(商標)材料を通って浸透するものはなかったことが明らかになった。Thinsulate(商標)絶縁体内のバッティングはエアロゲル粒子の浸透を妨げたと考えられる。
【0093】
例2
500gの脱イオン水、0.33gの50%溶液のPluronic P84(BASF)、16.7gの硫酸カルシウム半水和物(Sigma Aldrich)および33gのTLD302グレードのNanogel(登録商標)エアロゲルをWaring Commercial 7010G Blenderを使用して3分間「Low」設定で混合した。
【0094】
混合物をPrimaLoft(登録商標)の試料に支持材を取り除いて流し込んだ。PrimaLoft(登録商標)材料は4層の繊維から構成されていた。数個の群の試料を検討した。試料における各層はPrimaLoft(登録商標)繊維の4分の1に対応する。第1群の試料は1層を有し、第2群の試料は1層のサンドイッチの形であり、第3群の試料は2層を有し、第4群の試料は2層のサンドイッチ配置を有していた。
【0095】
「サンドイッチ」配置において、1つまたは2つの層は下に置かれ、混合物は底層(複数可)の上面の上に流し込まれ、1つまたは2つの層は頂部上に置かれた。
【0096】
説明のために、例えば、底部繊維層12が
図2Aに示されている。混合物14は、エアロゲルおよびバインダを含み、
図2Bに示されたように層12の上面に加えられた。次いで層16は混合物14の頂部上に置かれ、
図2Cに示されたように2層(12および16)を含むサンドイッチ構造がもたらされた。
【0097】
3層以上を有するサンドイッチ構造体は、
図3A〜3Cに示されたように準備することができる。2つの積層された底部繊維層、具体的には繊維層22および24が
図3Aに示されている。混合物14(エアロゲルおよびバインダを含む)を、
図3Bに示されたように繊維層24の上面に加える(流し込む)。構造体は、層26および28を備える混合物14の頂部を被覆することによって完成され、
図3Cに示されたように3層以上(この場合は計4層)を含むサンドイッチ構造体がもたらされる。
【0098】
24時間後、1層の試料(第1群)のそれぞれに対して、混合物がその層を通して底部に浸透した。分解すると、サンドイッチにされた1層の試料(第2群)は、両側に同量の乾燥した混合物を有していた。2層の試料(第3群)については、混合物は底部に浸透していなかった。分解すると、2層のサンドイッチ型の試料(第4群)は、乾燥した混合物がない清浄な頂上層を提示した。
【0099】
例3
500gの脱イオン水、0.33gの50%溶液のPluronic P84(BASF)、16.7gの硫酸カルシウム半水和物(Sigma Aldrich)および33gのTLD302グレードのNanogel(登録商標)エアロゲル(粒子サイズは1.2〜3.2mmの範囲)を米国コネティカット州のWaring Products製のWaring Commercial 7010G Blenderミキサーを使用して3分間Low設定で混合した。
【0100】
混合物の一部を以下のようにプラスチックスクリューの頂部容器内に置いた。第1の容器には、混合物が1層のPrimaLoft(登録商標)2片とともに含まれ、第2の容器には、混合物が2cmx2cmの1層の厚さのPrimaLoft(登録商標)45片とともに含まれた。どちらの容器も1時間振動させた。試料を取り除き、型内に平らに置き、一晩乾燥させることができた。どちらの手法も、Nanogel(登録商標)エアロゲル混合物を充分に含浸したPrimaLoft(登録商標)の試料をもたらした。
【0101】
例4
混合物には、グレードTLD201(粒子サイズは1〜30ミクロン、8〜10ミクロンのd50)のNanogel(登録商標)タイプのエアロゲル(例3のTLD302グレードではない)の使用以外は、上記の例3に使用したのと同じ含有物および量が含まれた。混合は手動によって行われ、混合物を1層の大きい片および1層の2cmx2cmの片とともに振動させ、一晩乾燥した。試料はエアロゲル含有混合物を充分に含浸していることが見出された。
【0102】
TLD201グレードのNanogel(登録商標)エアロゲルは、8〜10ミクロンの粒子サイズを有し、8〜10ミクロンの粒子サイズは、TLD302グレードのNanogel(登録商標)タイプのエアロゲルおよび機械的混合を使用して獲得される、せん断された粒子サイズとほぼ同じであったと考えられる。この結果は、どちらの手法も試料に充分に含浸させたことを示した。
【0103】
例5
500gの脱イオン水、0.33gの50%溶液のPluronic P84(BASF)、16.7gの硫酸カルシウム半水和物(Sigma Aldrich)および33gのTLD302グレードのNanogel(登録商標)エアロゲルを米国コネティカット州のWaring Products製のWaring Commercial 7010G Blenderミキサーを使用して3分間Low設定で混合した。
【0104】
混合物を1ガロンのプラスチック容器内に置いた。完全に積層された(全部で4層のPrimaLoft(登録商標))材料を(背部を取り除いて)6インチx6インチ(試料A)に切断した。完全に積層されたPrimaLoft(登録商標)材料の別の片を、試料すなわち4cmx2cm(試料B)に切断した。これらのすべての試料を混合物内に5分間浸し、その後これらの試料を金網漏斗上に置いた。余分な液体を、真空を適用することによって取り除いた。別の試料(試料C)は、完全に積層された6インチx6インチのPrimaLoft(登録商標)2片からなり、その2片を浸し、次いで互い(全部で8層)の頂部上に置き、乾燥させることができた。すべての試料を80℃のオーブン内で16時間引き続き乾燥させた。
【0105】
熱伝導率測定は、米国マサチューセッツ州のLasercomp製のLasercomp Model FOX200上でASTM C518方法に従って行われた。
【0106】
試料Aは25.57mW/m・Kの熱伝導率を有し、試料Cは23.46mW/m・Kの熱伝導率を有した。複数のより小さい片から作成した試料(試料B)は、熱伝導率測定ができるほど平坦ではなかった。
【0107】
試料AおよびCのどちらも、折り曲げ可能であり切断可能であった。試料Bはより剛性であった。
【0108】
他の考察
真空を引くことは、乾燥プロセスの役に立つことがわかったが、PrimaLoft(登録商標)などの絶縁材料を通してスラリーを引くには無効であると思われた。
【0109】
撹拌および振動は、どちらもPrimaLoft(登録商標)材料を含浸するのに有利であると思われ、完全に積層されたPrimaLoft(登録商標)の処理の際に特に有効であった。
【0110】
本発明は特に発明の好ましい実施形態を参照に示され説明されたが、形式および詳細の様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなくその中でなされ得ることが、当業者には理解されよう。
本発明は特に発明の好ましい実施形態を参照に示され説明されたが、形式および詳細の様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなくその中でなされ得ることが、当業者には理解されよう。