【解決手段】血液凝固検査システムは、分析機コンソール装置およびコンソール装置内に着脱可能に据え付けることができるように構成された単回使用成分を含む。血液凝固検査システムは、例えば、ポイント・オブ・ケアの現場で特に有用な自動化されたトロンボエラストメトリーシステムとして操作できる。システムは、各測定モジュールのための個別の作動システム、および初期および実行中の校正およびエラー検出のためのファームウェアのような特徴を備えて構成されてもよい。
前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各個別の測定モジュールは、前記プローブ・カップ装置のカップを加熱するように構成されたヒータをさらに含む、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の制御コンソール。
前記トロンボエラストメトリー分析システムの前記1または複数個のプロセッサによって、前記CCDからの前記輝度分布データの立下りエッジまたは立上りエッジの位置を測定することをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサで、前記トロンボエラストメトリー分析システムの作動ユニットに対する滑動ユニットの検出位置を示す位置指示データを受け取ることと、
前記トロンボエラストメトリー分析システムの前記1または複数個のプロセッサによって、前記受け取られた位置指示データを1または複数個の許容閾値と比較することと、
前記トロンボエラストメトリー分析システムの前記1または複数個のプロセッサによって、かつ前記受け取られた位置指示データの前記1または複数個の許容閾値との比較に基づいて、前記1または複数個の許容閾値よりも大きい前記受け取られた位置指示データに応じて、位置エラー指示を生成することと、をさらに備える、
請求項13に記載の方法。
前記位置指示データは、前記滑動ユニットが直線経路に沿って前後に直線移動するときに前記滑動ユニットのリアルタイム位置を示す、1または複数個のセンサからの1または複数個の信号を備える、
請求項15または16に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
血液サンプル(該血液サンプルには、本明細書で使用されるように、血液または血漿のような血液の誘導体を含むことが理解されるであろう)の特性を検査するためのシステムのいくつかの実施形態は、ポイント・オブ・ケア全血液凝固分析を提供するように血液サンプルを検査するために構成された制御コンソールを含む。例えば、前記システムは、種々の試薬と混合された1または複数個の血液のサンプルの受け取りに応じて、血液凝固特性の詳細かつ迅速な結果を提供するための自動化されたトロンボエラストメトリーシステムとして使用できる。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記トロンボエラストメトリーシステムは、再使用可能な分析機コンソールおよび該コンソールに対応するように構成された1または複数個の単回使用成分(single−use components)を含む。一例では、トロンボエラストメトリーシステムを操作するために、ユーザは、数多くの血液および試薬の移動および混合操作を開始するように前記分析機コンソールのユーザインターフェースによって促される。その後、前記分析機コンソールは、(前記分析機コンソールまたは前記血液サンプルとのユーザの相互作用をさらに要求せずに)前記検査を自動で実行し、質的なグラフィカル表示および量的なパラメータを用いて、その結果をグラフィカルディスプレイ上に映し出す。かかる分析は、凝塊時間、凝塊形態、凝塊安定性、および溶解のような止血の全機構に関する情報を提供する。さらに、かかる情報は、前記システムのユーザインターフェースから迅速に出力されて、ポイント・オブ・ケア(例えば、手術室で患者が手術を受けている間)での患者の血液特性を示す、信頼性があり、かつ迅速な結果を提供することができる。
【0007】
一実施形態では、血液サンプルの凝固特性を測定するための制御コンソールは、(i)制御ユニットハウジング、(ii)血液サンプルの凝固特性を映し出すために、前記制御ユニットハウジングに結合されたユーザインターフェース、および(iii)前記制御ユニットハウジング内に収容された、複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールを含む。前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各測定モジュールは、前記血液サンプルを検査するためのプローブを、プローブ・カップ装置を用いて受け取るように構成されたシャフトを含む。前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各個別の測定モジュールは、前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの他の全ての個別の測定モジュールのシャフトの回転から独立して、前記個別の測定モジュールのそれぞれのシャフトを回転させる専用の作動ユニットを含む。
【0008】
血液サンプルの凝固特性を測定するためのかかる制御コンソールは、必要に応じて、1または複数個の以下の特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記作動ユニットは、ステッパモータを備える。前記ステッパモータは、必要に応じて、ネジ切りされた駆動シャフトを含んでもよい。種々の実施形態では、前記作動ユニットは、滑動ユニットも含む。前記滑動ユニットは、前記モータの前記ネジ状切りされた駆動シャフトにネジ係合されたネジ切りされたカラーを有してもよく、これにより、前記モータは、前記滑動ユニットを直線状に変換して駆動できる。特定の実施形態では、前記作動ユニットは、バネ線も含む。いくつかのかかる実施形態では、前記滑動ユニットと前記シャフトとの間に延在するバネ線のために、前記滑動ユニットの直線変換は、前記シャフトの回転運動を生じさせてもよい。
【0009】
血液サンプルの凝固特性を測定するための制御コンソールの種々の実施形態では、前記作動ユニットは、前記バネ線を前記滑動ユニットに引き付ける磁石をさらに備える。前記バネ線は、前記滑動ユニットの湾曲表面に、磁気によって引き付けられてもよい。必要に応じて、前記作動ユニットは、前記滑動ユニットの位置を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記センサは、ホール効果センサを含む。種々の実施形態では、前記作動ユニットは、前記滑動ユニットの移動量限界を検出するように構成された、1または複数個の移動末端センサを含んでもよい。前記制御コンソールは、前記制御ユニットハウジング内に収容された1または複数個の振動センサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各個別の測定モジュールは、1または複数個の振動センサを含む。
【0010】
血液サンプルの凝固特性を測定するための制御コンソールの特定の実施形態では、前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各個別の測定モジュールは、電荷結合素子(CCD)部品を評価するための評価ユニットを含む。いくつかの実施形態では、前記評価ユニットは、(i)前記CCDからの輝度分布データを受け取り、(ii)前記輝度分布データに基づいて、CCD校正データを生成し、かつ(iii)前記CCD校正データをリアルタイム測定されたCCD輝度分布データと比較するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定モジュールの各個別の測定モジュールは、前記プローブ・カップ装置内のカップを加熱するように構成されたヒータをさらに含んでもよい。
【0011】
別の実施形態では、トロンボエラストメトリー分析システムのCCD部品を評価するための方法は、1または複数個のトロンボエラストメトリー分析システムのプロセッサまたは個別のADモジュールの1または複数個のプロセッサによって実行される。前記方法は、前記CCDからの輝度分布データを受け取ること、CCD校正データを生成すること(ここで、前記CCD校正データは、前記CCDからの前記輝度分布データに基づいて生成される)、および前記CCD校正データをリアルタイム測定されたCCD輝度分布データと比較すること(ここで、前記トロンボエラストメトリー分析システムは、トロンボエラストメトリー分析を実行している)を含む。いくつかの実施形態では、前記CCDからの前記輝度分布データは、前記CCDの複数個の個別のピクセルからの個別の輝度分布データを表す。
【0012】
前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサまたは個別のADモジュールの1または複数個のプロセッサによって実行されるトロンボエラストメトリー分析システムのCCDコンポーネントを評価するためのかかる方法は、必要に応じて、1または複数個の以下の特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記CCDからの輝度分布データの立下りエッジまたは立上りエッジの位置を決定することをさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、前記トロンボエラストメトリー分析システムの正確さを制御する方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサまたは個別のADモジュールの1または複数個のプロセッサによって実行される。前記方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの振動の検出レベルを示す振動データを受け取ること、受け取られた前記振動データを許容閾値と比較すること、および前記許容閾値よりも大きい受け取られた前記振動データに応じて、振動エラー指示を生成することを含む。
【0014】
前記トロンボエラストメトリー分析システムの正確さを制御するかかる方法は、必要に応じて、1または複数個の以下の特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの作動ユニットに対して検出された滑動ユニットの位置を示す位置指示データを、前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサで受け取ることも含む。特定の実施形態では、前記方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサによって、前記受け取られた位置指示データを1または複数個の許容閾値と比較することも含む。種々の実施形態では、前記方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサによって、かつ1または複数個の許容閾値と前記受け取られた前記位置指示データとの比較に基づいて、前記1または複数個の許容閾値よりも大きくなる前記受け取られた位置指示データに応じて、位置エラー指示を生成することも含む。
【0015】
別の実施形態では、トロンボエラストメトリー分析システムの正確さを制御する方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの1または複数個のプロセッサによって、または個別のADモジュールの1または複数個のプロセッサによって実行される。前記方法は、前記トロンボエラストメトリー分析システムの作動ユニットに対して検出された滑動ユニットの位置を示す位置指示データを受け取ること、受け取られた前記位置指示データを1または複数個の許容閾値と比較すること、および(前記1または複数個の許容閾値と前記受け取られた位置指示データとの比較に基づいて)、前記1または複数個の許容閾値よりも大きい前記受け取られた位置指示データに応じて、位置エラー指示を生成することを含む。
【0016】
トロンボエラストメトリー分析システムの正確さを制御するかかる方法は、必要に応じて、1または複数個の以下の特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記位置指示データは、前記滑動ユニットが目的とされる移動限界位置に位置するか否かを示す1または複数個の移動末端センサからの1または複数個の信号を含む。特定の実施形態では、前記位置指示データは、前記滑動ユニットが直線経路に沿って前後に直線的に移動するときに前記滑動ユニットのリアルタイム位置を示す、1または複数個のセンサからの1または複数個の信号を含む。
【0017】
本願明細書に記載された実施形態のいくつかまたは全ては、1または複数個の以下の利点を提供してもよい。第1に、本明細書に記載されたトロンボエラストメトリーシステムのいくつかの実施形態は、個別のモジュールまたはチャンネルのための、複数個の検査および測定チャンネルの独立した作動ユニットを備えて構成される。例えば、いくつかの実施形態では、前記トロンボエラストメトリーシステムは、4個のモジュールまたはチャンネルを含み、これらのそれぞれは、独立した作動ユニットを有する。したがって、各検査および測定モジュールの作動は、他の検査および測定モジュールと独立に制御されることができる。加えて、複数個の検査および測定モジュールの各モジュールに独立した作動ユニットを使用すると、いくつかの状況において、システムのメンテナンス性能に利点を与えるモジュール設計が得られる。
【0018】
第2に、前記トロンボエラストメトリーシステムのいくつかの実施形態の作動ユニットは、位置制御可能な回転作動装置(例えば、プログラム制御可能なステッパモータ制御システムに結合されるステッパモータ、またはフィードバックエンコーダを備え、かつ制御システムに結合される別の種類の好適な回転作動装置)を用いて駆動される。位置制御可能な作動装置(例えば、モータ)の使用は、プログラム可能な作動パターンを可能にする点で有利である。加えて、いくつかの実施形態では、ステッパモータは、いくつかの他の種類のモータと比べて、回転式のトロンボエラストメトリーシステムをより正確に作動できるようにする。さらに、いくつかの実施形態では、前記ステッパモータは、振動のようなある外部エラー因子からの隔離性を高める。
【0019】
第3に、前記トロンボエラストメトリーシステムのいくつかの実施形態は、前記トロンボエラストメトリー検査システムの前記CCD(電荷結合素子)部品の自己評価および校正のためのファームウェアを備えて構成される。したがって、いくつかの場合、測定の不正確さは、低減されまたは取り除かれる。いくつかのかかる実施形態では、前記CCDの各個別のピクセルの機能性は、トロンボエラストメトリー検査の実行前に検証される。その結果、前記トロンボエラストメトリーシステムの性能の不変性が高められる。
【0020】
第4に、前記トロンボエラストメトリーシステムのいくつかの実施形態は、前記回転式のトロンボエラストメトリーの作動および検出システムの機能面を監視し、かつ評価するための追加のファームフェアを備えて構成される。例えば、いくつかの実施形態では、前記測定信号を歪ませる虞のある振動が検出されて、前記トロンボエラストメトリーシステムを管理するために使用される。さらに、いくつかの実施形態では、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動システムの動きおよび移動末端の位置を検出するセンサが含まれる。前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの機能面を監視し、かつ評価するこれらのシステムは、ロバストな測定システムを提供し、測定の質を高めること(例えば、前記トロンボエラストメトリー測定の正確さおよび/または精密さを高めること)を容易にする。
【0021】
本発明の1または複数個の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の詳細な説明で明らかにされる。本発明の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明および図面から、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、一例示的な血液検査システム100のいくつかの実施形態は、血液分析機コンソール110とともに、血液分析機コンソール110に結合されるグラフィカルユーザインターフェース120を含む。図示された実施形態では、血液検査システム100は、血液サンプルの多数の血液凝固特性を測定するように構成されるトロンボエラストメトリーシステムである。かかるトロンボエラストメトリーシステム100の一例は、ドイツ国のミュンヘンに本部が設けられたテム・インターナショナル・ゲーエムベーハーから入手できるロテム(ROTEM(登録商標))・デルタ・トロンボエラストメトリーシステムである。トロンボエラストメトリーおよびトロンボエラストグラフィは、(例えば、凝固因子および阻害剤、血小板、およびフィブリンに関連する)凝塊形成中およびその後のフィブリン溶解現象中に、血餅の硬さを連続的に図として記録することによって、血液の弾性を測定することに基づく。
【0025】
例示的なトロンボエラストメトリーシステム100は、生体外での血液診断を実行し、ポイント・オブ・ケアの現場で(例えば、患者が手術中および手術の準備中にあるときの手術現場などで)特に有利である。加えて、トロンボエラストメトリーシステム100は、実験室設置の全血液凝固分析システムとして使用され得る。トロンボエラストメトリーシステム100は、血液サンプルの凝固状態の定量的および定性的な指示を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース120に表示されたグラフィカル表示は、種々の血液診断結果(例えば、テモグラム(TEMogram)と称されることがある1または複数個のプロット、数値データまたは測定結果、またはこれらの組み合わせ)を反映しており、前記種々の血液診断結果によって、凝固因子および阻害剤、フィブリノゲン、血小板などの成分と線維素溶解系との間の相互作用が説明されてもよい。例えば、
図2も参照すると、いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース120は、凝塊形成中に、連続的に図として記録した血餅の硬さをグラフィカル表示200として提供する。
図2は、グラフィック200の一例であり、例えば、分析を実行中に、該グラフィックはトロンボエラストメトリーシステム100によって計算され表示されて、これにより、凝塊形成中に血餅の硬さが定量化される。いくつかの実施形態では、凝塊形成中に、血餅の硬さに関連する複数個のかかるグラフィカル表示200が、グラフィカルユーザインターフェース120に同時に表示される。
【0027】
さらに
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、分析機コンソール110は、ハードウェア装置、およびトロンボエラストメトリーシステム100の操作を制御するサブシステムを収容する。例えば、分析機コンソール110は、1または複数個のプロセッサ、および操作システムおよび他の実行可能な指令を保存できるメモリ装置を収容する。いくつかの実施形態では、前記実行可能な指令は、前記1または複数個のプロセッサによって実行される場合、血液凝固特性を示す血液検査結果のデータの分析、およびユーザインターフェース120を介した出力などの操作を前記システム100に実行させるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、分析機コンソール110は、また、種々の内部サブシステムを収容し、種々の電子接続受部(図示しない)を含み、カートリッジポート(図示しない)を含む。前記種々の電子接続受部は、これらに限定される訳ではないが、1または複数個のUSBポート、イーサネット(登録商標)ポート(例えば、RJ45)、VGAコネクタ、サブD9コネクタ(RS232)などのようなネットワークおよびデバイスのコネクタを含んでもよい。かかる接続受部は、分析機コンソール110の後側、または分析機コンソール110上の他の便利な位置に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、1または複数個のUSBポートは、分析機コンソール110の前側または前側近傍に配置されてもよい。そのように配置されたUSBポートは、例えば、メモリスティックへのデータの記憶についてユーザの利便性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100は、これらに限られる訳ではないが、Wi−Fi、ブルートゥース(登録商標)、NFC、RF、IRなどのようなワイヤレス通信方式を用いて操作するように構成される。
【0029】
さらに
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース120は、トロンボエラストメトリーシステム100によって検査するための血液サンプルの準備中に、ユーザの助けとなるグラフィカル形式および/またはテキスト形式のユーザ指令を伝えるように使用もされる。必要に応じて、グラフィカルユーザインターフェース120は、分析機コンソール110に結合されていて、タッチスクリーンディスプレイである。これにより、ユーザは、例えば、情報を入力でき、かつメニュー項目を選択できる。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース120は、分析機コンソール110に固定して取り付けられる。特定の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース120は、分析機コンソール110に対して、回転可能であり、および/または、それ以外に、位置調節可能または取り外し可能である。
【0030】
血液検査システム100は、キーボード130、および/または、マウス、タッチパッド、トラックボールなどのような他の種類のユーザ入力デバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100は、外設のバーコードリーダも含む。かかる外設のバーコードリーダは、これらに限られる訳ではないが、血液サンプルのデータ、ユーザ識別子、患者識別子、正常値などのようなデータの簡便な一次元または二次元バーコード入力(entry)を円滑にすることができる。これに代えて、またはこれに加えて、トロンボエラストメトリーシステム100は、近接場通信タグ、RFIDタグなどを読み取るように構成されたリーダを備えてもよい。いくつかの実施形態では、リモートデバイスがトロンボエラストメトリーシステム100からの情報を受け取ることができ、および/または入力できるように、コンピュータデータネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、LANなど)が使用されてもよい。
【0031】
図示されたトロンボエラストメトリーシステム100は、電子システムのピペット160も含む。該システムのピペット160を用いると、ユーザは、検査前の血液サンプルを準備する工程中に、測定された体積量の液体(血液または試薬など)を簡便に分配できる。いくつかの実施形態では、前記システムのピペット160は、半自動式のソフトウェアで管理された装置である。例えば、いくつかの実施形態では、前記システムのピペット160は、目的とされる量の液体をある容器から自動的に抜き取り、その後、ユーザは、前記目的量の液体を他の容器内に分配できる。
【0032】
いくつかの実施形態では、血液検査システム100の操作は、トロンボエラストメトリーの実行前に血液サンプルと混合される1または複数個の試薬170を使用することを含む。例えば、試薬170は、これらに限られる訳ではないが、CaCl
2、エラグ酸またはリン脂質、組織因子、ヘパリナーゼ、ポリブレン、サイトカラシンD、トラネキサム酸など、およびこれらの組み合わせのような化合物を備えることができる。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100は、前記システムのピペット160を用いて特定の試薬170を前記血液サンプルと混合するためのユーザ指令を(例えば、グラフィカルユーザインターフェース120を介して)提供するであろう。
【0033】
トロンボエラストメトリー分析機コンソール110は、1または複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定ステーション180(本明細書では、“チャンネル”または“測定モジュール”とも呼ばれる場合がある)も含む。トロンボエラストメトリーシステム100の図示された実施形態は、4個の個別のトロンボエラストメトリー測定ステーション180(つまり、4個のチャンネルまたは4個の測定モジュール)を含む。
【0034】
以下にさらに説明されるように、各トロンボエラストメトリー測定ステーション180は、トロンボエラストメトリー検査の準備中に、ユーザが、血液および試薬を含むサンプルカップを配置するカップホルダーを含む。いくつかの実施形態では、前記カップホルダーは、加熱システムを備えて取り付けられ、これにより、前記サンプルは、体温近傍(例えば、37±1.0℃)まで温められ、その温度に維持されることができる。
【0035】
以下にさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、各トロンボエラストメトリー測定ステーション180は、検査対象のサンプルを含んでいるカップ内に取り外し可能に配置されてもよいピンまたはプローブを含む。前記プローブとカップとの間には隙間が存在する。いくつかの実施形態では、前記シャフトおよびプローブは、(両回転方向に)約10°未満だけ、好ましくは(両回転方向に)約3°〜6°だけ、前後に揺動され、またはその他の方法としては回転される。前記シャフトおよびプローブのかかる揺動は、両回転方向において、振幅が等しくてもよい。前記揺動は測定され、血栓溶解のために前記血液/試薬の混合物が硬くなり始めるにつれて、前記揺動は低減される。トロンボエラストメトリー測定ステーション180により一定時間に亘ってそのような揺動を測定することによって、トロンボエラストメトリーの結果が生じる。
【0036】
図3も参照すると、各トロンボエラストメトリー測定ステーション180(測定モジュール)内に存在し得る一例示的な回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システム300が模式的に示される。いくつかの実施形態では、作動および検出システム300のシャフト310は、単回使用カップ136内に含まれる血液サンプルに回転式のトロンボエラストメトリーを実行するために、単回使用プローブ138と係合できる。
図3では、プローブ138およびカップ136が、全体として、例示的な回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システム300を見易くでき、かつ理解し易くできるように長手方向断面内に示される。いくつかの実施形態では、プローブ138は約6mmの外径を有し、カップ136は約8mmの内径を有する。しかしながら、カップ136およびプローブ138の寸法は、適宜大きくしたり、または小さくしたりできる。
【0037】
この特定の実施形態では、模式的に例示された回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システム300は、台板302、シャフト310、ベアリング312、ミラー314、反力バネ線320、光源330、および検出器340(例えば、電荷結合素子(CCD)など)を含む。単回使用カップ136は、矢印318で示されるように、(例えば、ユーザによって)持ち上げられることができ、これにより、シャフト310の先端位置は、プローブ138の穴139に入り、プローブ138と着脱自在に結合されるようになる。ベアリング312は、台板302およびシャフト310に係合されて、台板302に対するシャフト310の回転運動を生じさせる。バネ線320は、シャフト310に結合されていて、(以下にさらに説明されるモータによって駆動されるような)バネ線320の誘導される動きは、矢印316で示されるように、(両回転方向に)10°未満だけ、好ましくは(両回転方向に)約3°〜約6°だけ前後に揺動するように、シャフト310を誘導できる。ミラー314はシャフト310に結合されている。光源330は、ミラー314に向けて光を照射するように構成され、光は、ミラー314から検出器340に向かって(シャフト310の回転方向に応じた方向に)反射され得る。したがって、プローブ138の動作は、光学検出システム(例えば、検出器340)によって検出される。回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システム300の他の構成もまた本開示内で想定されることが理解されるべきである。
【0038】
カップ136内の血液が凝固し始めるにつれて、(ミラー314から検出器340への光線の反射によって検出されるように)シャフト310の動作の振幅は減ぜられ始める。凝固中、血液のフィブリン骨格は、(血小板とともに)カップ136の表面とプローブ138の表面との間に機械的な弾性結合を生じさせる。このため、1または複数個の前記活性化因子(例えば、試薬)を添加することによって誘導される、進行中の凝固工程が観察および定量され得る。
【0039】
検出器340で検出された動作データは、トロンボエラストメトリーの結果を処理し確定するように、分析機コンソール110で動かしているアルゴリズムによって解析される。このシステムは、これらに限られる訳ではないが、凝塊時間、凝塊形成時間、アルファ角、振幅、凝塊の最大硬さ、溶解開始時間、溶解時間、溶解指数(%)、および最大溶解(%)のような種々のトロンボエラストメトリーパラメータを容易にする。このように、好適な医療介入のために、患者の止血状態の種々の不足を明らかにすることができ、かつ患者の止血状態の種々の不足を説明することができる。検査工程の最後には、プローブ138からシャフト310を非結合状態にするようにカップ136は下降され得る。
【0040】
さらに
図1を参照すると、分析機コンソール110は、1または複数個の個別のトロンボエラストメトリー測定ステーション180に(例えば、1対1に)対応する、1または複数個の回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出モジュール(ADモジュール)400を収容できる。かかる回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、例えば、
図3を参照して先に説明された例示的な回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システム300のように操作できる。
【0041】
図4を参照すると、個別の回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、概して、ハウジング410およびシャフト420を含むことができる。シャフト420は、先に説明されたように、トロンボエラストメトリーおよび/またはトロンボエラストグラフィを実行するために、単回使用プローブ(例えば、
図3のプローブ138)に着脱自在に結合されることができる。つまり、先に説明されたように、シャフト420は、(両回転方向に)10°未満だけ、(両回転方向に)好ましくは約3°〜約6°だけ、回転可能に前後に揺動されることができる。
【0042】
図5を参照すると、回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400の拡大図によって、ADモジュール400の主要な部品は見易くされている。例えば、回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、ハウジング410(3個のハウジング部410a、410b、および410cを含んでいる)、シャフト420、作動ユニット430、バネ線440、LED450、CCD460、およびプリント基板(PCB)アッセンブリ470を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、ハウジング410は、カバー410a、基板410b、および背面カバー410cを含む。ハウジング410は、シャフト420が単回使用プローブに係合できるように基板410bを超えて突出するシャフト420の一部を除いて、ADモジュール400の他の部品を内包する。したがって、いくつかの実施形態では、ADモジュール400は、1ユニットとして取り除かれ、かつ交換されることができるディスクリートモジュールである。
【0044】
回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、シャフト420も含む。図示された実施形態では、シャフト420は、ベアリング422およびミラー424を含む。ADモジュール400が組み立てられると、ベアリング422は、基板410bに固定して結合される。このため、シャフト420は、基板410bに対して自在に回転できる。ミラー424は、シャフト420に取り付けられていて、LED450からの光をCCD460に向けて反射するように構成される。回転式のトロンボエラストメトリー検査中に、シャフト420が揺動するにつれて、(ミラー424がシャフト420に取り付けられていることにより、)ミラー424の向きもこれに応じて揺動する。したがって、回転式のトロンボエラストメトリー検査中に、LED450からの光は、シャフト420が揺動するにつれて変化する角度で、ミラー424から反射される(およびCCD460に向かう)ようになる。
【0045】
回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、作動ユニット430も含む。作動ユニット430(
図6を参照して、以下により詳細に説明される)は、シャフト420を回転揺動させる推進力を付与する。
【0046】
図示された実施形態では、バネ線440は、作動ユニット430とシャフト420との間を結合する。換言すれば、作動ユニット430は、バネ線440を駆動し、バネ線440は、作動ユニット430からシャフト420に前記推進力を伝える。
【0047】
回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400はLED450も含む。いくつかの実施形態では、LED450はPCBアッセンブリ470に固定して据え付けられ、前記PCBアッセンブリはハウジング410に固定して据え付けられる。LED450は、ミラー424方向に安定して(steadily)方向付けられる光を放出する。いくつかの実施形態では、1または複数個のレンズが、LED450とともに用いられる。
【0048】
LED450からの光は、ミラー424からCCD460方向に反射される。CCD460は、CCD460の面に沿って配置される(例えば、おおよそ直線状に配置される)複数個のピクセルを含む。したがって、シャフト420が回転するにつれて、ミラー424から反射される光は、CCD460の面を横断するようにスキャンする。LED光を受け取るCCD460の特定のピクセルの位置を検出することによって、角度位置およびシャフト420の回転角に関連する他の特性が測定されることができる。いくつかの実施形態では、他の型式の光検出器(CCD型の検出器以外)が、CCD460の代わりに使用され、またはCCD460に加えて使用される。
【0049】
回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、PCBアッセンブリ470も含む。PCBアッセンブリ470は、電子デバイスおよび回路素子を含み、該デバイスおよび回路素子は、回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400の操作のために使用される。特定の実施形態では、PCBアッセンブリ470(その中に保存される実行可能コードを含んでいる)は、前記CCDからの輝度分布データを受け取り、前記輝度分布データに基づいてCCD校正データを生成し、前記CCD校正データをリアルタイム測定されたCCD校正データと比較するように構成された評価ユニットを備える。いくつかの実施形態では、PCBアッセンブリ470は、マイクロプロセッサ、モータドライバ、ヒューズ、集積回路などを含む。PCBアッセンブリ470は、これらに限られる訳ではないが、振動センサ、加速度センサ、ホール効果センサ、移動末端検出器、近接センサ、光学センサ、マイクロスイッチなどのような1または複数個の型式のセンサを含んでいてもよい。
【0050】
図6を参照すると、回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400の一例示的な作動ユニット430は、作動ユニット部品を見易くするために拡大図で示される。図示された実施形態では、作動ユニット430は、モータ432、滑動ユニット434、および滑動案内部材438を含む。モータ432は、滑動案内部材438に据え付けられる。滑動ユニット434は、滑動案内部材438に摺動可能に係合される。モータ432は、滑動ユニット434に係合され、これにより、以下でさらに説明されるように、モータ432は、滑動ユニット434に推進力を付与することができる。
【0051】
例示的な作動ユニット430は、多数の作動上の利点を提供するために設計される。例えば、以下の説明からより明白になるように、作動ユニット430は小型であり、軽量であり、外部振動に強く、機械的に精密であり、電子的に取り付けられ、高度に制御可能であり、繰り返し位置決め可能であり、耐久性があるなどである。
【0052】
いつくかの実施形態では、モータ432はステッパモータである。したがって、いくつかのかかる実施形態では、モータ432は、既定の方法で回転および操作するように、プログラムされ、かつ制御されることができる。つまり、いくつかの実施形態では、モータ432は、これらに限られる訳ではないが、回転速度、回転数、加速、減速、方向などのようなパラメータを含む選択されたパラメータに応じて操作されるようにプログラムされることができる。かかる因子は、回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400または分析機コンソール110のメモリ中にプログラムされていてもよい。したがって、モータ432のための種々の作動曲線は、容易に選択され、および/または望み通りに調節されることができる。いくつかの実施形態では、全ての回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、同一の作動曲線を用いて操作するようにプログラムされる。他の実施形態では、1または複数個の回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400は、1または複数個の他の回転式のトロンボエラストメトリーADモジュール400と比べて、異なる作動曲線を用いて操作するようにプログラムされる。
【0053】
モータ432は駆動シャフト433を含む。いくつかの実施形態では、駆動シャフト433は送りネジである。前記送りネジの雄ネジは、滑動ユニット434の内側がネジ切りされた位置と螺合されてもよい。いくつかのかかる実施形態では、駆動シャフト433は、精密にネジ切りされた送りネジであり、これにより、滑動ユニット434の正確かつ円滑な制御が容易になる。駆動シャフト433および滑動ユニット434が螺合されると、モータ432の回転は滑動ユニット434の直線移動になる。つまり、モータ432の駆動シャフト433が回転するにつれて、滑動ユニット434は、滑動案内部材438内を摺動可能に移動するようになる。モータ432の回転方向が逆(例えば、反時計周りに対して時計周り)になると、滑動案内部材438に対する滑動ユニット434の直線方向は、これに応じて逆になる。
【0054】
図7も参照すると、滑動ユニット434の一例は、滑動ユニット部品を見易くするために拡大斜視図で示される。滑動ユニット434は、湾曲部材435、ネジ切りされたカラー436、バネ線保持磁石437、滑動ユニット保持磁石439、バネ線取付部材452、および滑動体454を含む。ネジ切りされたカラー436および湾曲部材435は、滑動体454に取り付けられる。バネ線保持磁石437は湾曲部材435に取り付けられる。バネ線取付部材452は湾曲部材435および滑動体454に係合される。滑動ユニット保持磁石439は、滑動案内部材438に取り付けられ、滑動体454に磁力で結合される。
【0055】
湾曲部材435は、バネ線440(
図5参照)が接触する曲面状に形成された横面を有する。湾曲部材435が滑動案内部材438内を前後に直線移動すると、バネ線440と湾曲部材435の曲面状に形成された横面との間の接触領域は位置調節される。該構成は、湾曲部材435の直線運動を、(回転軸として機能するシャフト420とともに)バネ線440の円滑な回転運動に変える。
【0056】
バネ線保持磁石437はバネ線440を引き付け、これにより、滑動ユニット434の前後への動作が生じている間、バネ線440は、湾曲部材435の曲面状に形成された横面と接触し続ける。さらに、いくつかの実施形態では、バネ線保持磁石437は、滑動ユニット434の位置が電子的にモニターされ得るように、PCBアッセンブリ470(
図5参照)に据え付けられたホール効果センサとともに使用される。
【0057】
ネジ切りされたカラー436は、モータ432の駆動シャフト433の雄ネジと相補的な関係にある雌ネジを有する。したがって、ネジ切りされたカラー436は、滑動体454との係合のために回転に制約がかけられていて、駆動シャフト433が回転すると、モータ432の駆動シャフト433の長手方向に沿って直線移動する。ネジ切りされたカラー436が直進移動すると、滑動体454および湾曲部材435も直線移動する(ネジ切りされたカラー436が滑動体454に取り付けられることによる)。滑動ユニット保持マグネット439は、滑動案内部材438に取り付けられ、かつ滑動体454に磁力で結合されているので、滑動体454が滑動案内部材438に対して前後に移動するときに、滑動案内部材438に対して滑動体454を密接な運転関係に正確に維持するのに役立つ。
【0058】
バネ線取付部材452は、滑動体454と結合されるので、バネ線440(
図5参照)を滑動ユニット434に機械的に係合するのに役立つ。このため、バネ線取付部材452は、(バネ線440とバネ線保持磁石437との間の上述の磁力による結合に加えて)バネ線440と滑動ユニット434との間の機械的な接続を容易にする。さらに、いくつかの実施形態では、バネ線取付部材452は、滑動ユニット434の移動または移動末端の検出のために使用される外形的な特徴を含む。例えば、いくつかの実施形態では、バネ線取付部材452は、PCBアッセンブリ470に取り付けられたセンサによって検出可能な1または複数個の突出部を含む。光センサ、近位センサ、機械センサなどは、規定の方法で、バネ線取付部材452の位置を検出するために使用されてもよい。
【0059】
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100(
図1参照)の1または複数個のプロセッサは、CCD評価プロセス800を実行するように構成される。特定の実施形態では、かかるCCD評価プロセス800は、個別のADモジュールの1または複数個のプロセッサ中で(例えば、例示に係るADモジュール400のPCBアッセンブリ470の1または複数個のプロセッサ中で;
図4および5参照)実行されることができる。いくつかのかかる実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100の各個別の測定モジュールは、CCD評価プロセス800を実行するように構成された1または複数個のプロセッサを含んでもよい。CCD評価プロセス800を用いると、いくつかの場合には、トロンボエラストメトリー測定の不正確さを低減することができ、または取り除くことができる。その結果、トロンボエラストメトリーシステム100の性能(例えば、正確さおよび精密さ)の一貫性が高められてもよい。
【0060】
ステップ810では、トロンボエラストメトリーシステムまたはADモジュールの1または複数個のプロセッサは、CCD輝度分布データを受け取る。いくつかの実施形態では、ADモジュールのCCDの複数個のピクセルは、光源(例えば、例示に係るADモジュールのLED450;
図5参照)を用いてアクティブ化される。複数個のピクセルによって生成されて得られるデータは、前記1または複数個のプロセッサによって受け取られる。
【0061】
ステップ820では、トロンボエラストメトリーシステムまたはADモジュールの1または複数個のプロセッサは、ステップ810で受け取られたCCD輝度分布データを用いてCCD校正データを生成する。いくつかの実施形態では、CCDからの輝度分布データの立下りエッジまたは立上りエッジの位置を評価することによって、これが実行される。輝度分布データの立下りエッジまたは立上りエッジは、本明細書中では、“側面”とも称される場合がある。
【0062】
ステップ830では、トロンボエラストメトリーシステムまたはADモジュールの1または複数個のプロセッサは、ステップ820で生成された校正データをリアルタイム測定されたCCD輝度データと比較する。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステムが操作されている間、ステップ830のリアルタイムCCD評価プロセスが繰り返し実行される(循環される)。例えば、いくつかの実施形態では、実行中のリアルタイムCCD評価プロセス830のサイクル時間は、約200ミリ毎秒未満である。いくつかの実施形態では、実行中のリアルタイムCCD評価プロセス830は、校正由来のサンプルを、輝度分布データの立下りエッジまたは立上りエッジ(または輝度分布側面)の現在測定された位置に適合させるための最適化プロセスである。
【0063】
図9を参照すると、いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリーシステム100(
図1参照)またはADモジュールの1または複数個のプロセッサは、二段階のCCD評価プロセス900を実行するように構成される。二段階のCCD評価プロセス900は、起動CCD評価プロセス910および実行中のリアルタイムCCD評価プロセス920を含む。二段階のCCD評価プロセス900を用いると、トロンボエラストメトリー測定の不正確さは、いくつかの場合には、低減されることができ、または取り除かれることができる。その結果、前記個別のADモジュールおよびトロンボエラストメトリーシステム100の性能(例えば、正確さおよび精密さ)の一貫性が全体として高められてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、二段階のCCD評価プロセス900の第一段階は、適合させるサンプル(データポイント)の形で校正データを生成することである。これは、ステップ911から開始し、トロンボエラストメトリーシステム100の起動時に最高の輝度分布側面を評価することによって実行される。CCDの各検査位置では、前記ピクセルが問題なし(OK)または問題あり(not OK)のいずれであるかを決定するように、各光信号分布が分析される。一例として、前記CCDのいくつかのピクセルは、CCDでの汚染が原因となる性能不足のために、問題ありとみなされてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、光分散曲線の全体に亘る二項移動平均を実行し、得られた値を測定データと比較することによって、前記CCDピクセルの状態が分析される。各ピクセルについて、分散曲線の全体に亘る二項移動平均と、ピクセルの測定値との間の差が閾値よりも大きければ、いくつかの実施形態では、前記ピクセルは、問題ありとみなされる。逆に、分散曲線の全体に亘る二項移動平均と、ピクセルの測定値との間の差が閾値よりも小さければ、前記ピクセルは問題なしとみなされる。
【0066】
ステップ912では、各ピクセルに関連するデータがバッファに保存される。つまり、ステップ911で全CCDが分析されるので、全ての乱れたピクセルの位置をバッファ内に保存することによって、乱れたピクセルのマップが計算されてもよい。前記データは、実行中のリアルタイムCCD評価プロセス920への入力データとしても使用される。
【0067】
ステップ913では、問題ありのピクセルの集中が最も少ないCCDの位置が、CCD評価アルゴリズムを計算するための最適な位置として決定される。その後、シャフトのミラー(
図4参照)は回転可能に配置され、これにより、前記ミラーから反射するLED光は、前記CCDの最適な位置に向けられる。
【0068】
ステップ914では、次に、最適な位置で測定された輝度分布曲線の外れ値誤差(outlier errors)を取り除くために、最適な位置で測定された輝度分布曲線がフィルタにかけられる。いくつかの実施形態では、フィルタリングプロセスは、前記輝度分布曲線の外れ値部分を直線近似するために適用される。この段階は、例えば、CCDの部分を暗くする何らかの汚れが原因となって生じる問題を解決するように構成される。これらの汚れの大部分は、概して、通常よりも照度が顕著に劣る幅広の目立つ領域(外れ値誤差)として目立つ。いくつかの実施形態では、このステップは、2個の段階を含むアルゴリズムを用いる。第1段階では、固定されたステップ幅を用いて前記曲線をサンプリングして、修正対象の異常な外れ値を探索する。第2段階では、前記外れ値の始点を取得し前記外れ値の終点を探索する。前記輝度分布曲線の傾きを近似することによって、このステップを実行する。前記アルゴリズムは、最も近い問題ない点がこの傾きの延長線の領域内にあると推定する。典型的なCCD輝度分布曲線の形状および前記CCD上の汚れから得られる誤差を観察すると、外れ値は点の値を増やすだけであるべきである。このアルゴリズムは、低メモリフットプリントを有し、いくつかのより複雑なフィルタ核およびFFTアプローチに比べて速く動く。
【0069】
ステップ915では、ステップ914のフィルタ処理されたデータから、輝度分布データの正確な立下りエッジまたは立上りエッジ(側面)の一部が抽出される。前記アルゴリズムは、所定の輝度分布のフィルタ処理された外れ値の正確な端部をロバストに検出するように設計される。
【0070】
いくつかの実施形態では、最小値から開始する場合、前記探索アルゴリズムは、探索された値に好適に合致する最新の起こりうる事象を見出すように設計される。前記輝度分布データ曲線は上昇しているので、最新の起こりうる事象は、高確率で望まれる位置になっている。このカスタムメイドのアルゴリズムは、極めて速く、低メモリフットプリントに対する信頼性が高い。
【0071】
ステップ916では、次に、抽出された輝度分布側面が平滑化されサンプリングされる。いくつかの実施形態では、このことは、極めて小さいノイズを前記側面に適用し、その結果をカーブフィットモデルに近付けることによって行われる。十分な補完点を備える3次スプラインは、非線形曲線を十分良好に近似できるので、前記曲線が正常な形状の場合だけに良好な性能を示す典型的な多項式または線形補完よりも優れている。
【0072】
ステップ917および918では、固定されたステップ幅を備えるサンプルが、最終的な校正ステップとして抽出され、バッファ内に保存される。実行する比較操作が少なくなるので、これにより、メモリフットプリントは実質的に低減され、リアルタイム評価が促進される。
【0073】
問題ありのピクセルの位置を含むバッファがほぼ満たされ(ステップ912)、かつリアルタイム光線位置の評価のためのサンプルを含むバッファがほぼ満たされると(ステップ918)、起動CCD評価プロセス910は完了する。
【0074】
トロンボエラストメトリーシステム100が操作されている間、実行中のリアルタイムCCD評価プロセス920は、(循環的に)繰り返し実行される。例えば、いくつかの実施形態では、実行中のリアルタイムCCD評価プロセス920のサイクル時間は、約50ミリ毎秒である。実行中のリアルタイムCCD評価プロセス920は、校正由来のサンプルを現在測定された輝度分布側面に適合するための最適化プロセスである。
【0075】
ステップ921では、ステップ918からのサンプルは、区間基準(interval based)アルゴリズムによって目的位置と比較されて適合される。前記アルゴリズムは、区間の中央にあるサンプルを評価する。前記区間には、実現可能な目的位置が左側に含まれる。いくつかの実施形態では、第1区間(スペース)は、全CCDピクセル範囲である。次に、前記アルゴリズムは、求められる位置(wanted position)が、所望位置(desired position)の右側または左側のいずれにあるかを決定する(それは、前記輝度分布がモノトーンであるので、実現可能である)。つまり、中央の右側に対して、いずれかのピクセルが大きければ、新たな右側境界が決定される。現在評価されている位置は、次に、探索されたCCDピクセル範囲を等分する新たな区間の新たな右側または左側境界として機能する。前記区間(スペース)が目的を達成することを意味する長さになるまで、このスキームは繰り返し実行される。この第1の迅速な適合アルゴリズムは、前記サンプルを測定された曲線に適合させるのに要する全時間をより低減する。前記アルゴリズムは、約10個のピクセルの範囲内で前記目的位置を正確に見つけるのに約10回の反復だけを要する。前記アルゴリズムは、この迅速な適合の後に使用されるより一般的な最小平均法に比べて、速度の点で優れる。
【0076】
ステップ922では、前記サンプルを可能な限り好適に適合させるための正確な重み付け収束(weighted convergence)が実行される。これは、全てのサンプル間の絶対距離の平均および輝度分布曲線内での該絶対距離に対応する部分を算出することにより行われる。ピクセルごとにピクセルの状態に関する情報(問題なし、または問題あり)が前記メモリ内にあるので、問題ありのピクセルと比較するサンプルを無視できる。これにより、既知の不良ピクセルを無視しない典型的なアプローチと比べて、ロバスト性がより高められる。
【0077】
ステップ923では、光線位置のX軸上にあるサンプルの位置(CCDピクセル位置、バッファ位置)が決定されてソフトウェアに送られる。
【0078】
図10を参照すると、ADモジュールのエラー検出プロセス1000は、トロンボエラストメトリー測定システムのプロセッサによって実行され得る循環プロセスである。ADモジュールのエラー検出プロセス1000は、トロンボエラストメトリー作動および検出システムのエラーの原因を示す可能性があるパラメータを評価するように実行されてもよい。
【0079】
ステップ1010では、ADモジュールのエラー検出プロセス1000が開始する。ADモジュールのエラー検出プロセス1000は、トロンボエラストメトリー測定プロセスと同時に実行され得る。
【0080】
ステップ1020では、トロンボエラストメトリー測定システムのプロセッサが、ADモジュールからのトロンボエラストメトリー測定データの正確さおよび精密さに影響を及ぼす可能性がある、振動の検出量に関連するデータを受け取る。いくつかの実施形態では、前記振動は、ADモジュールの一部品であるボール系センサ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)によって測定される。いくつかの実施形態では、1または複数個の加速度計、圧電センサ、変位センサ、速度センサなどのような他の種類のセンサが振動検出のために用いられる。
【0081】
ステップ1030では、前記プロセッサが、前記受け取られた振動データを1または複数個の閾値と比較する。前記受け取られた振動データが閾値よりも大きければ、前記プロセッサは、振動に関連するエラー指示をステップ1040において生成する。
【0082】
ステップ1050では、トロンボエラストメトリー測定システムのプロセッサは、ADモジュールの移動する部品の、ADモジュールからのトロンボエラストメトリー測定データの正確さまたは精密さに影響を及ぼす可能性がある検出された位置に関連するデータを受け取る。例えば、前記位置指示データは、これらに限られる訳ではないが、移動末端データ、回転位置データ、直線変換位置データなど、およびこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ADモジュールの一部品である移動末端スイッチ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)が、ADモジュール作動ユニットの絶対位置を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、前記移動末端スイッチは、光学的センサ(photo optic sensor)または近接センサ、リミットスイッチなどの形式である。いくつかの実施形態では、ADモジュールの一部品であるホール効果センサ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)が、位置指示データを生成するために使用される。位置指示データを提供する他の種類のセンサが用いられてもよい。
【0083】
ステップ1060では、前記プロセッサは、ADモジュールの移動する部品の検出位置に関連する受け取られたデータを、1または複数個の閾値と比較する。前記受け取られたデータが前記閾値よりも大きければ、前記プロセッサは、ステップ1070で位置エラー指示を生成する。前記プロセス1000はステップ1020にループバックし、前記プロセス1000が繰り返される。
【0084】
図11を参照すると、プロセスフローチャートは、ADモジュール測定ループ1100並びにトロンボエラストメトリー測定および評価ループ1150をかなり詳細に説明している。前記プロセス1100および1150は、トロンボエラストメトリーシステム100(
図1参照)の作動を管理するためのステップを含み、前記トロンボエラストメトリーシステムのエラー検出および正確さを高めている。
【0085】
トロンボエラストメトリー測定の間、プロセス1100および1150を用いて、リアルタイムで、重要項目が管理され評価される。例えば、測定信号を歪める可能性がある振動が管理され評価される。また、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの動きの質が、ホール効果センサを用いて管理され評価される。さらに、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの動きの正確さが、1または複数個の移動末端センサを用いて管理され評価される。さらに、測定信号の質が評価される。前記振動、動きの質、および動きの正確さを前記光線位置と組み合わせることによって、前記トロンボエラストメトリーシステムのプロセッサは、測定信号の現在の質を決定でき、歪みの原因を分析でき、応答性の高い測定を採用できる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ADモジュールの測定ループ1100は、約50ミリ毎秒で実行される。特定の実施形態では、ADモジュールの測定ループ1100は、ADモジュールでの通常の測定ルーチンの一部である。
【0087】
ステップ1104および1106は、ADモジュールのLED光線の位置に関連する。例えば、いくつかの実施形態では、光線位置が検出され評価される。
【0088】
ステップ1108〜1114は、前記振動の評価に関連する。いくつかの実施形態では、前記振動は、前記ADモジュールの一部品であるボール系センサ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)によって測定される。いくつかの実施形態では、1または複数個の加速度計、圧電センサ、変位センサ、速度センサなどのような他の種類のセンサが、振動検出のために使用される。評価される必要がある得られたデータは、経時的な振動事象である。典型的な評価アルゴリズムは、所定時間中の所定の振動事象の量だけを許可するように制限される場合がある。制限を上回ると、エラーメッセージが、前記トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサに送られる。
【0089】
ステップ116〜1120は、ADモジュールの一部品であるホール効果センサ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)を用いて監視する、回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの評価を含む。測定されたデータは、前記システムの実際の動きの特性を提供する。いくつかの実施形態では、評価アルゴリズムは、前記測定された動きを、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムが実行すべき理論的な動きと比較するように実行されてもよい。例えば、理論と現実との間の絶対差または自乗差の総体が、適切に最適化された場合の好適なアルゴリズムである。差の閾値量が検出されると、エラーメッセージが前記トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサに送られる(ステップ1122)。
【0090】
ステップ1124および1126は、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの絶対的な移動位置の評価を含む。ADモジュールの一部品である末端スイッチ(例えば、ADモジュールのハウジング内のPCB上に配置される)は、サブステップ(ステッパモータ)の精度で、作動ユニットの絶対位置を検出するように使用される。いくつかの実施形態では、前記末端スイッチは、光学的センサ、または近接センサ、リミットスイッチなどの形式である。前記最適な位置からの偏差を集めた統計データは、期待通りに作動されているか否かを決定するように使用される。実際の位置が時間の閾値量に関する目的位置と大きく異なると、エラーメッセージが前記トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサに送られる(ステップ1122)。
【0091】
ステップ1122では、ステップ1116から1126まで作動の質に関して集められたデータによって、前記回転式のトロンボエラストメトリー作動および検出システムの動作の質を完全に評価できる。いくつかの実施形態では、例えば、前記ステッパモータを監視する外部エンコーダを使用することと比べると、前記評価は、低コストかつ小スペースで実現できる。
【0092】
ここで、トロンボエラストメトリー測定および評価ループ1150の説明に話を変える。ステップ1154から1158は、前記トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサによって行われるような、トロンボエラストメトリー測定プロセスに関連する。
【0093】
ステップ1160および1162は、前記ADモジュールによってプロセス1100から送られるエラーの評価を説明する。前記位置が評価された後、前記ADモジュールによって送られるさらなるエラーは、前記トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサによって、現在既知のエラーを解釈するために使用されてもよい。エラーの種類および頻度はソフトウェアによって評価され、ユーザに伝えることが必要なくらい頻度が高い場合、またはユーザに伝えることが必要なくらい重要な場合、エラーメッセージがユーザに示される。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリー測定ソフトウェアを実行するプロセッサであって、エラーの原因となるさらなる情報を伝え、かつハードウェア、電子機器、およびファームウェアのさらなる改善を促進するプロセッサによって、前記ADモジュールエラーは、測定エラーと関連付けられてもよい。
【0094】
本発明の多数の実施形態が説明された。それにも関わらず、本発明の範囲から逸脱せずに、種々の修正がなされてもよいことが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、以下のクレームの範囲内にある。