【課題】排水口と側面排水口とを備え、側面排水口からの配管を排水口の配管に接続した排水配管において、排水口から泡まじりの排水を流した場合に、側面排水口から泡が逆流することを容易且つ確実に防止する排水配管を提供する。
槽体の底面に設けられた排水口と、槽体の側面に設けられた側面排水口と、排水口からの排水を下水側に排出する主排水管と、側面排水口からの排水を主排水管の途中部分に排出する枝排水管と、からなる槽体の排水配管において、
常時閉塞して排水口からの泡の逆流が側面排水口に生じることを防止すると共に、側面排水口から排水を生じた場合のみ開口して主排水管側への通水を行う逆流防止弁を備えて構成する。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図4に示した、本発明の第一実施例の排水配管は、槽体である洗面ボウルSに施工される排水配管であって、以下に記載する主排水管、枝排水管、逆流防止弁3を備えた継手管12、から構成され、以下に記載する洗面台に施工される。
洗面ボウルSは、上方が開口した略箱体形状を成す槽体であって、底面には後述する排水口本体5を取り付ける底面開口部H1を、側面の上端近傍には側面排水口本体9を取り付ける側面開口部H2を、それぞれ備えてなる。
主排水管は、洗面ボウルSの底面の底面開口部H1に接続され、槽体底面からの排水を下水側に排出するための配管であって、以下に記載する、排水口本体5、テールピース管7、トラップ管8、より構成されてなる。
排水口本体5は、略円筒形状を成す管体であって、上端外側面には外径方向に突出するフランジ部6を備え、該フランジ部6よりも下方の側面に管体の内外を貫通する貫通孔5aを2カ所備えてなる。また、貫通孔5aの下方の外側面には、下端まで雄ネジを備えてなる。また、施工完了時、排水口本体5の内部は槽体である洗面ボウルS内の排水を排出する排水口1を形成する。
テールピース管7は、略直線状を成す管体からなる部材であって、上端の内周部分に排水口本体5の雄ネジと螺合する雌ネジを備えてなる。
トラップ管8はS字形状に屈曲させた管体を、90度横転させた形状を成す配管部材であって、使用時にその内部に排水を溜めることによってトラップ機能と呼ばれる、下流側から上流側への臭気また害虫類の逆流を防止する機能を備えた部材である。本実施例ではJ字形状に屈曲した管体を2本組み合わせてS字形状となるように構成している。また、トラップ管8の下流側は直下方向に延出されており、トラップ管8の下流側端部と、下水側に繋がる床下配管とが接続されるように構成されてなる。
枝排水管は、洗面台の側面の上端近傍に設けられた、側面開口部H2に接続され、槽体側面からの排水を主排水管側に排出するための配管であって、以下に記載する、側面排水口本体9、エルボ管10、ホース管11、枝付き管4、継手管12、より構成されてなる。
側面排水口本体9は、略円筒形状を成す管体であって、その一端の外側面には外径方向に突出する鍔部9aを備えてなる。また、側面排水口本体9の外側面には、下龍側端部まで雄ネジを備えてなる。また、施工完了時、側面排水口本体9の内部は槽体である洗面ボウルS内の排水を排出する側面排水口2を形成する。
エルボ管10は、90度に屈曲した管体からなる部材であって、上流側の端部の内周部分に側面排水口本体9の雄ネジと螺合する雌ネジを備えてなる。
ホース管11は洗面ボウルSの外側面に沿って配置される、可撓性を備えた管体であって、一端はエルボ管10の下流側端部に接続され、他端には、内部に雌ネジを備えたナット部材11aを回動自在に備えてなる。
枝付き管4は、上下に延出された主管部4aと、該主管部4aの側面から延出された枝管部4b、から構成される管体である。この枝管部4bの端部の外周の外径は、一般的な規格品のホース管11の内の一つ(例えば管径30ミリメートル)の寸法の内径に合致するに構成されてなる。
また、後述するように、施工完了時、主管部4aの内部に、排水口本体5の一部が同心円状に収納配置される。即ち、主管部4aは、主排水管の一部である排水口本体5に沿って設けられる管体である。
継手管12は、その内部に逆流防止弁3を構成する管体であって、以下に記載する継手管本体13と、弁本体15と、弁押え部材16と、から構成される。
継手管本体13は略円筒形状を成す管体であって、上流側端部は外側面にホース管11のナット部材11aの雌ネジと螺合する雌ネジを備えてなり、またその内部には、後述する弁本体15の回転軸15bを回動自在に収納する溝部14を備えてなる。
また、継手管本体13の下流側端部は、その内径が一般的な規格品のホース管11の内の一つの内径と同じ寸法に構成されてなる。ここでは、上記枝付き管4の枝管部4b端と同様の、管径30ミリメートルとなるように構成されている。このため、継手管本体13の上記端部は、枝付き管4の枝管部4bに対し、枝管部4b端部をその内部に収納するようにして接続することができる。
弁押え部材16は、後述する弁本体15を継手管本体13の端部からその内部に配置した後、更に継手管12端部より挿入するリング状の部材であって、溝部14に配置された回転軸15bが端部側より抜けないように押えると共に、通常時、また逆流の発生時に弁本体15の弁体15aが当接して逆流した泡の通過を防ぐ弁座部16aを備えてなる。
弁本体15は、略円盤状の部材であって、弁座部16aに当接して継手管12内の流路を閉塞する弁体15aと、該弁体15aの端部に備えられた、溝部14に回動自在に配置される回転軸15bと、から構成されてなる。
施工完了時、弁本体15が継手管本体13内に、回動自在に収納配置された場合、弁本体15の弁体15aは、通常時は自重にて垂立した状態となることで弁座部16aに当接し、排水の流路を閉塞する。このため、枝付き管4の枝管部4bから、泡等が逆流を生じても、弁本体15よりも上流側に逆流が上昇することを防止する。
一方、側面排水口2から流れてきた排水が逆流防止弁3に達した場合、排水の水圧によって弁部材は回転軸15bを中心に回転し、弁体15aが弁座部16aから離間して排水の流路を開口し、これにより排水を下流側に流出することができる。
即ち、本実施例の継手管12は、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3をその内部に備えてなる。また、本実施例では、弁本体15は回転軸15bと溝部14とを組み合わせたことでヒンジ部3aを形成する。即ち、本実施例の逆流防止弁3は、管体(継手管12)に対して回動自在に取り付けられるヒンジ部3aを備えた弁体15aからなる。
また、本実施例の排水配管は、必要に応じ排水口本体5の上端の開口を覆って閉塞する、弾性素材からなる蓋部材17を備えてなる。
【0015】
上記した各部材から構成される排水配管は、以下のようにして洗面台に施工される。
尚、本実施例において、特に詳述しない場合でも、各配管の接続箇所等は、必要に応じ接着やパッキングを利用した接続により、漏水などが生じないように構成されてなる。
始めに、工場等において、ホース管11のナット部材11aを備えない側の端部に、エルボ管10の下流側端部を接着によって水密的に接続する。
また、継手管本体13の下流側端部に、枝付き管4の枝管部4bを、接着によって水密的に接続する。
また、継手管本体13の溝部14に弁本体15の回転軸15bを収納し、更に弁押え部材16を継手管本体13内に挿入して、継手管本体13内に逆流防止弁3を構成する。
更に、ホース管11のナット部材11aの雌ネジを継手管本体13の雄ネジに螺合させて、継手管本体13をホース管11に水密的且つ着脱自在に接続する。
上記のようにして枝排水管の一部を構成した上で、施工現場に各部材を搬入し、次のようにして施工を行う。
施工現場において、まず、キャビネットや台座等を設置した上で、その上に洗面ボウルSを配置して洗面台を構成する。また、この際のキャビネット下の床面には開口が設けられ、開口部分から下水側に繋がる、床下空間に配管された床下配管に管体を接続できるように構成されてなる。
次に、洗面ボウルSの底面開口部H1に排水口本体5を挿通し、排水口本体5のフランジ部6下面と、底面開口部H1周縁の上面とが当接するように配置する。更に枝付き管4を、洗面ボウルSの下方側から配置する。この時は、枝付き管4の主管部4aの内部に、主管部4aと排水口本体5とが同心円状になるように、枝付き管4を挿通させる。また、枝管部4bが側面排水口2側を向く方に配置しておく。
次に、排水口本体5の下端から、排水口本体5の雄ネジにテールピース管7の雌ネジを螺合させて締め付けを行う。この時、枝付き管4の主管部4aは、上端は洗面ボウルSの底面開口部H1周縁の下面に、下端はテールピース管7の上端にそれぞれ水密的に当接した状態となる。
このようにして、底面開口部H1の周縁を、枝付き管4の主管部4aを介して、排水口本体5のフランジ部6とテールピース管7上面とで挟持することで、排水口本体5及びテールピース管7が洗面ボウルSに接続固定される。
次に、洗面ボウルSの側面開口部H2の周縁の裏面側に、エルボ管10の上流側端部を当接させた上で、側面排水口本体9を側面開口部H2に挿通し、側面排水口本体9の雄ネジを、エルボ管10の雌ネジに螺合させ、締め付けを行う。
このようにして、側面開口部H2の周縁を、側面排水口本体9の鍔部9aとエルボ管10の上流側端部とで挟持することで、側面排水口本体9及びエルボ管10が洗面ボウルSに接続固定される。
更に、テールピース管7の下流側端部にトラップ管8の上流側端部を接続し、トラップ管8の下流側端部を床下配管に接続して、本実施例の排水配管の、洗面台への施工が完了する。
尚、継手管12を上記のように構成・接続したことから、本実施例の排水配管は、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3を備えた継手管12を、枝管部4bの端部に接続した排水配管である。
【0016】
上記のように構成した配管構造において、洗面台を使用し、洗面ボウルS内に排水が発生すると、排水は、洗面ボウルS底面に配置された排水口本体5内部の排水口1から、排水口本体5内部、テールピース管7、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
また、上記排水口1に、
図3のように蓋部材17を配置して排水口1からの排水が行われないようにした上で、洗面ボウルS内に吐水を行うと、吐水は排出されること無く洗面ボウルS内に吐水が溜まってゆく。溜まった吐水の水位が側面排水口2の下端よりも上方に達すると、洗面ボウルS内に溜まった吐水は側面排水口2から、側面排水口本体9内部、エルボ管10、ホース管11、継手管12、枝付き管4の枝管部4b、枝付き管4の主管部4a内から排水口本体5の貫通孔5aを介して排水口本体5内に流入し、更に(排水口1からの排水の場合と同様に)テールピース管7、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
尚、上記のように側面排水口2から排水が行われる場合、排水が継手管12内を通過する際に、
図3に示したように、排水の水圧によって継手管12の内部で弁本体15が回転軸15bを中心に回動して排水の流路を開放し、排水の通過が行われる。排水が終了し、継手管12内から排水が無くなると、弁本体15は再び弁本体15の自重によって垂立した状態となることで弁座部16aに当接し、排水の流路を閉塞する。
また、上記のようにして排水が行われ、トラップ管8内を排水が通過する際、トラップ管8の屈曲部分の内部に排水の溜まり部分が生じる。この排水の溜まり部分によって、トラップ管8内の流路には、(長期間の放置によって蒸発しない限り)排水が常に満水状態となっている箇所が発生する。この、流路が排水によって満水となった部分によって、下流側から臭気や害虫類が屋内側に逆流することが防止される。このように、下水側に繋がる配管から臭気や害虫類が屋内側に侵入することを防止する機能を「トラップ機能」と呼ぶ。また、上記トラップ管8の曲がり部分に溜まって流路を満水状態とした排水は「封水」と呼ばれる。本実施例のトラップ管8は、封水を利用してトラップ機能を生じさせた、「封水式排水トラップ」である。
【0017】
上記のように構成した配管構造において、洗面台にて石鹸・洗剤などを使用し、洗面ボウルS内に泡混じりの排水を発生させた上で、この排水を排水口1から排出した場合、泡混じりの排水は、洗面ボウルS底面に配置された排水口本体5内部の排水口1から、排水口本体5内部、テールピース管7、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
この場合において、排水配管上に封水式排水トラップを備えたことで、排水中の泡が下流側に流出しにくくなる状態が発生する。詳述すると、封水式排水トラップを含む配管において、排水等が封水の部分を通過して下流側に流出するためには、封水の水面よりも下方になる位置まで通過しなければならないが、泡は気体を含有している為、排水に比べて比重は相当に軽く、封水水面よりも下方に下がるためには泡と共に流れる排水の勢いが相当に強くなければならない。このため、排水の量が少なく、勢いが弱かったり、排水の終了間際で排水の流れの勢いが弱まった状態の際に流れ込む泡は、封水を超えることができず、封水よりも上流側に残留する。
この場合に、洗面ボウルS側面の排水口1からは排水が継続して流れている場合が多く、泡は封水の水面上から堆積してゆき、排水口本体5内部、貫通孔5a、枝付き管4の主管部4a内、枝管部4b、まで充満するが、本実施例では、継手管12内において、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3を備えてなる。具体的には、継手管本体13の内部において、弁本体15が弁座部16aに通常時当接すると共に、下流側から上流側へ泡の圧力が生じても、そのまま弁本体15の弁体15aが、弁座部16aに強く当接して、確実に泡の逆流を防止する。
このため、排水中に石鹸・洗剤などに由来する泡が混入していても、継手管12の逆流防止弁3によって逆流が防止され、側面排水口2から泡が逆流して溢れ出す、ということは無い。
【0018】
また、上記継手管12の逆流防止弁3の回動する回転軸15bのように、機械要素を備えた場合、排水中の塵芥や油分、また泡の原因となった石鹸・洗剤成分などが回転軸15b等に付着したり、また弁体15aと弁座部16aとの間に付着し弁体15aから弁座部16aを離間し難くする場合があるが、本実施例では、継手管12の端部とホース管11とをナット部材11aを利用して接続しており、ナット部材11aの螺合を緩めることで、ホース管11と継手管12とを容易に着脱・分離することができる。このようにホース管11と継手管12とを着脱・分離し、弁本体15や弁押え部材16を取り出して、各部材や継手管12内部を清掃し、再度接続を行うことで、上記の様に排水中の石鹸や洗剤、塵芥や油分等の汚濁物質などに由来する動作異常を容易に解消することができる。また、部材の破損等による動作異常が発生しても、同様にホース管11と継手管12とを容易に着脱・分離し、破損した部材(弁本体15や弁押え部材16)の交換を行う等することで、容易に修理作業を行うことができる。
即ち、本実施例では、逆流防止弁3を備えた枝排水管の管体である継手管12が、他の枝排水管の部材であるホース管11に対して着脱自在に構成され、着脱により開放された箇所から弁体15aを枝排水管外に取り出して部材交換や清掃が可能に構成されてなる。
【0019】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図5乃至
図8に示した、本発明の第二実施例の排水配管は、槽体である洗面ボウルSに施工される排水配管であって、以下に記載する枝付き管4、トラップ管8、側面排水口本体9、エルボ管10、ホース管11、弁本体15より構成されてなる。
この内、トラップ管8、側面排水口本体9、エルボ管10、ホース管11は、段落0014に記載された第一実施例の各部材と同一の構成のため、説明は省略し、洗面ボウルS、枝付き管4、弁本体15、及び弁押え部材16の構造について説明する。
洗面ボウルSは、上方が開口した略箱体形状を成す槽体であって、底面には上下に貫通した開口からなる排水口1を、側面の上端近傍には側面排水口本体9を取り付ける側面開口部H2を、それぞれ備えてなる。また、排水口1周縁の下面には、後述するビス部材18aを螺合するためのネジ穴部18bを複数備えてなる。
枝付き管4は、上下に延出された主管部4aと、該主管部4aの側面から延出された枝管部4b、から構成される管体であって、主管部4aの上面には外周方向に突出したフランジ部6を備え、また該フランジ部6の数カ所に、後述するビス部材18aが貫通するための穴部6aを備えてなる。
また枝管部4bの外側面にはホース管11のナット部材11aの雌ネジと螺合する雄ネジを備えてなり、またその内部には、弁本体15の回転軸15bを回動自在に収納する溝部14を備えてなる。
弁押え部材16は、後述する弁本体15を枝付き管4の枝管部4bの端部からその内部に配置した後、更に枝管部4b端部より挿入するリング状の部材であって、溝部14に配置された回転軸15bが端部側より抜けないように押えると共に、通常時、また逆流の発生時に弁本体15の弁体15aが当接して逆流した泡の通過を防ぐ弁座部16aを備えてなる。
弁本体15は、略円盤状の部材であって、弁座部16aに当接して枝管部4b内の流路を閉塞する弁体15aと、該弁体15aの端部に備えられた、溝部14に回動自在に配置される回転軸15bと、から構成されてなる。
施工完了時、弁本体15が枝管部4b内に、回動自在に収納配置された場合、弁本体15の弁体15aは、通常時は自重にて垂立した状態となることで弁座部16aに当接し、排水の流路を閉塞する。このため、枝付き管4の主管部4aから、泡等が逆流を生じても、弁本体15よりも上流側に逆流が上昇することを防止する。
一方、側面排水口2から流れてきた排水が逆流防止弁3に達した場合、排水の水圧によって弁部材は回転軸15bを中心に回転し、弁体15aが弁座部16aから離間して排水の流路を開口し、これにより排水を下流側に流出することができる。
即ち、本実施例の枝付き管4の枝管部4bは、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3をその内部に備えてなる。また、本実施例では、弁本体15は回転軸15bと溝部14とを組み合わせたことでヒンジ部3aを形成する。即ち、本実施例の逆流防止弁3は、管体(枝管部4b)に対して回動自在に取り付けられるヒンジ部3aを備えた弁体15aからなる。
また、本実施例の枝付き管4と逆流防止弁3においては、枝付き管4の枝管部4b内に弁体15aの回動の程度をコントロールする突起部分4cを設けてなる。
この突起部分4cによって、弁本体15の弁体15aは、最も開いた時(弁座部16aから離間した時)、その先端が枝付き管4の主管部4a内に突出すると共に、弁体15aの平面と、主管部4aの弁体15aに対向する面とが成す角度(
図7のAで示される角度)が略45度以下となるように構成されてなる。これにより、枝管部4bを通過して主管部4a内に流入する排水は、主管部4aの弁体15aに対向する面に衝突する場合でも、弁体15aがガイドとなって45度より小さい角度で衝突することとなり、衝突の衝撃が(壁面に正面から衝突する等45度を超える角度で衝突する場合に比べ)小さくなり、本管部へ合流する際に、合流がスムーズに行われて乱流の発生を防ぎ、排水性能を良好なものとすることができる。
尚、本実施例では上記のように弁本体15の弁体15aは、最も開いた時、弁体15aの平面と、主管部4aの弁体15aに対向する面とが成す角度を略45度以下となるように構成したが、要求されるのは弁体15aにガイドされて枝管部4bを通過した排水が、対向する壁面に衝突する際に略45度以下となることであって、弁体15aを通過してから対向する壁面に衝突するまでに重力によって多少下方に屈曲するため、その分を見越して、弁体15aが最も開いた時、弁体15aの平面と、主管部4aの弁体15aに対向する面とが成す角度が55度程度までであれば、ほぼ確実に、排水が枝管部4bに対向する壁面に衝突する際に略45度以下とすることができる。もちろん、確実さを求めるのであれば、上記本実施例のように、略45度以下となるようにすることで確実に略45度以下とすることができる。
ビス部材18aは、枝付き管4を洗面ボウルS下面に取り付けるための雄ネジを備えた部材であって、枝付き管4の穴部6aを貫通した上で、洗面ボウルSの下面のネジ穴部18bに螺合するように構成されてなる。
また、本実施例の排水配管は、必要に応じ排水口本体5の上端の開口を覆って閉塞する、弾性素材からなる蓋部材17を備えてなる。
【0020】
上記した各部材から構成される排水配管は、以下のようにして洗面台に施工される。
尚、本実施例において、特に詳述しない場合でも、各配管の接続箇所等は、必要に応じ接着やパッキングを利用した接続により、漏水などが生じないように構成されてなる。
始めに、工場等において、ホース管11のナット部材11aを備えない側の端部に、エルボ管10の下流側端部を接着によって水密的に接続する。
また、枝付き管4の溝部14に、弁本体15の回転軸15bを収納し、更に弁押え部材16を枝管部4b内に挿入して、枝管部4b内に逆流防止弁3を構成する。
更に、ホース管11のナット部材11aの雌ネジを枝付き管4の枝管部4bの雄ネジに螺合させて、枝付き管4をホース管11に水密的且つ着脱自在に接続する。
上記のようにして枝排水管の一部を構成した上で、施工現場に各部材を搬入し、次のようにして施工を行う。
施工現場において、まず、キャビネットや台座等を設置した上で、その上に洗面ボウルSを配置して洗面台を構成する。また、この際のキャビネット下の床面には開口が設けられ、開口部分から下水側に繋がる、床下空間に配管された床下配管に管体を接続できるように構成されてなる。
次に、洗面ボウルSの排水口1周縁の下面に枝付き管4のフランジ部6を当接させ、更にフランジ部6に複数設けられた穴部6aを介した上でビス部材18aをネジ穴部18bに螺合させて、枝付き管4を洗面ボウルSに接続固定する(前述のように、必要に応じてパッキングを利用し水密的に接続する)。
また、この接続の際には、枝管部4bが側面排水口2側を向く方に配置しておく。
次に、洗面ボウルSの側面開口部H2の周縁の裏面側に、エルボ管10の上流側端部を当接させた上で、側面排水口本体9を側面開口部H2に挿通し、側面排水口本体9の雄ネジを、エルボ管10の雌ネジに螺合させ、締め付けを行う。
このようにして、側面開口部H2の周縁を、側面排水口本体9の鍔部9aとエルボ管10の上流側端部とで挟持することで、側面排水口本体9及びエルボ管10が洗面ボウルSに接続固定される。
更に、枝付き管4の下端にトラップ管8の上流側端部を接続し、トラップ管8の下流側端部を床下配管に接続して、本実施例の排水配管の、洗面台への施工が完了する。
尚、枝付き管4の枝管部4bを上記のように構成・接続したことから、本実施例の排水配管は、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3を、枝付き管4の枝管部4bに備えた排水配管である。
【0021】
上記のように構成した配管構造において、洗面台を使用し、洗面ボウルS内に排水が発生すると、排水は、洗面ボウルS底面の排水口1から、枝付き管4の主管部4a内部、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
また、上記排水口1に、
図7のように蓋部材17を配置して排水口1からの排水が行われないようにした上で、洗面ボウルS内に吐水を行うと、吐水は排出されること無く洗面ボウルS内に吐水が溜まってゆく。溜まった吐水の水位が側面排水口2の下端よりも上方に達すると、洗面ボウルS内に溜まった吐水は側面排水口2から、側面排水口本体9内部、エルボ管10、ホース管11、枝付き管4の枝管部4bから、(排水口1からの排水の場合と同様に)枝付き管4の主管部4a内、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
尚、上記のように側面排水口2から排水が行われる場合、排水が枝管部4b内を通過する際に、
図7に示したように排水の水圧によって枝管部4bの内部で弁本体15が回転軸15bを中心に回動して排水の流路を開放し、排水の通過が行われる。排水が終了し、枝管部4b内から排水が無くなると、弁本体15は再び弁本体15の自重によって垂立した状態となることで弁座部16aに当接し、排水の流路を閉塞する。
また、この逆流防止弁3の弁体15aを排水が通過する際には、前述のように、突起部分4cによって弁体15aの開口の程度がコントロールされ、弁体15aの平面と、主管部4aの弁体15aに対向する面とが成す角度(
図7のAで示される角度)が最大でも略45度以下となるように構成されてなる。これにより、弁体15aが一種のガイドとなって、枝管部4bに対向する主管部4aの壁面に対し、排水は45度より小さい角度で衝突することとなり、衝突の衝撃が小さくなり、本管部へ合流する際に、合流がスムーズに行われて乱流の発生を防ぎ、排水性能を良好なものとすることができる。
また、上記のようにして排水が行われた際に、トラップ管8内に排水が溜まることで、トラップ管8が、下流側からの臭気や害虫類の逆流を防止する「封水式排水トラップ」となることは、第一実施例で記載した通りである。
【0022】
上記のように構成した配管構造において、洗面台にて石鹸・洗剤などを使用し、洗面ボウルS内に泡混じりの排水を発生させた上で、この排水を排水口1から排出した場合、泡混じりの排水は、洗面ボウルS底面の排水口1から、枝付き管4の主管部4a内部、トラップ管8、の順に通過し、最終的には床下配管から下水側に排出される。
この場合において、第一実施例と同様に、排水配管上に封水式排水トラップを備えたことで、排水中の泡が下流側に流出しにくくなる状態が発生する。
この場合に、泡は封水の水面上から堆積してゆき、枝付き管4の主管部4a内部に充満するが、本実施例では枝付き管4の枝管部4b内において、常時は閉塞し、側面排水口2から排水を生じた場合のみ開口する逆流防止弁3を備えてなる。具体的には、枝管部4bの内部において、弁本体15が弁座部16aに通常時当接すると共に、下流側から上流側へ泡の圧力が生じても、そのまま弁本体15の弁体15aが、弁座部16aに強く当接して、確実に泡の逆流を防止する。
このため、排水中に石鹸・洗剤などに由来する泡が混入していても、継手管12の逆流防止弁3によって逆流が防止され、側面排水口2から泡が逆流して溢れ出す、ということは無い。
【0023】
また、上記枝管部4bの逆流防止弁3が、第一実施例と同様に、排水中の塵芥や油分、また泡の原因となった石鹸・洗剤成分などの汚濁物質、また弁本体15の破損等によって動作異常を生じる場合があるが、本実施例では、枝管部4bの端部とホース管11とをナット部材11aを利用して接続しており、ナット部材11aの螺合を緩めることで、ホース管11と枝管部4bとを容易に着脱・分離することができる。これにより、弁本体15や弁押え部材16を取り出して各部材や枝管部4b内部を清掃し、また弁本体15や弁押え部材16が破損していた場合は部材の交換を行う等した上で、再度ホース管11と枝管部4bとを接続することで、容易に動作異常を解消したり、破損の修理作業を行うことができる。
即ち、本実施例では、逆流防止弁3を備えた枝排水管の管体である枝管部4bが、他の枝排水管の部材であるホース管11に対して着脱自在に構成され、着脱により開放された箇所から弁体15aを枝排水管外に取り出して部材交換や清掃が可能に構成されてなる。
【0024】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば上記実施例においては、排水配管が施工される排水機器は洗面台の洗面ボウルSであるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、浴槽の排水配管や、流し台の排水配管など、どの様な排水機器の排水配管に採用しても構わない。
また、上記実施例では、枝付き管4の主管部4aを鉛直方向に、枝管部4bを水平方向に、それぞれ配置してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、主管部4aを水平方向に、枝管部4bを略鉛直方向に配置する等しても構わない。
また、上記実施例では、枝付き管4の主管部4aと枝管部4bとはほぼ90度となるように構成されてなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、主管部4aに対して枝管部を例えば70度など傾斜する角度にて構成しても構わない。
また、上記実施例では、逆流防止弁3を側面排水口2からの流路上に配置して構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、排水口1からの流路上であって、側面排水口2からの排水が合流する開口箇所に逆流防止弁3を配置するように構成しても構わない。