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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-155759(P2017-155759A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】回転伝達機構
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/10 20060101AFI20170810BHJP
【FI】
   F16D1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-36971(P2016-36971)
(22)【出願日】2016年2月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】山岡 守
(57)【要約】
【課題】同軸状に配置された第1部材と第2部材との間での回転伝達を狭いスペースで行うことができる回転伝達機構を提供すること。
【解決手段】モータ装置100の回転伝達機構5では、駆動部材4と、駆動部材4と同軸状に配置された従動部材7との間で軸線L周りの回転を伝達する。駆動部材4は、軸線Lから径方向に離間する位置で軸線L方向の一方側に突出した第1凸部45を備えている。従動部材7は、第1凸部45が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が軸線L周りの他方側CCWに向けて設けられている。第1凸部45は、軸線L方向からみたときに軸線L周りの一方側CWの端面である第1端面451が凸曲面になっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材と同軸状に配置された第2部材との間で軸線周りの回転を伝達する回転伝達機構であって、
前記第1部材は、前記軸線から径方向に離間する位置で前記軸線方向の一方側に突出した第1凸部を備え、
前記第2部材には、前記第1凸部が前記軸線周りの一方側から当接可能な第1平坦部が前記軸線周りの他方側に向けて設けられていることを特徴とする回転伝達機構。
【請求項2】
前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記一方側の端面である第1端面が凸曲面になっていることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達機構。
【請求項3】
前記第2部材には、前記第1凸部が前記軸線周りの前記他方側から当接可能な第2平坦部が前記軸線周りの前記一方側に向けて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転伝達機構。
【請求項4】
前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記他方側の端面である第2端面が凸曲面になっていることを特徴とする請求項3に記載の回転伝達機構。
【請求項5】
前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに、前記軸線周りに延在する円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項6】
前記第2部材は、前記軸線方向からみたとき扇形形状をもって前記軸線方向の前記他方側に突出した凸部を備え、
前記第1平坦部は、前記凸部の前記軸線周りの前記他方側の側面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項7】
前記第1部材は、前記第1凸部に対して前記軸線周りの前記他方側かつ前記軸線から径方向に離間する位置に前記軸線方向の前記一方側に突出した第2凸部を備え、
前記第2部材には、前記第2凸部が前記軸線周りの前記他方側から当接可能な第2平坦部が前記軸線周りの前記一方側に向けて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転伝達機構。
【請求項8】
前記第2凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記他方側の端面である第2端面が凸曲面になっていることを特徴とする請求項7に記載の回転伝達機構。
【請求項9】
前記第1部材は、駆動源からの回転が伝達される駆動部材であり、
前記第2部材は、前記第1部材に従動する従動部材であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項10】
前記第1部材および前記第2部材のうちの一方の部材が、駆動源からの回転が伝達される駆動部材であり、他方の部材が、前記第1部材に従動する従動部材であり、
前記従動部材に対しては、前記従動部材を前記軸線周りの前記他方側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転伝達機構。
【請求項11】
前記第1部材が前記駆動部材であり、
前記第2部材が前記従動部材であることを特徴とする請求項10に記載の回転伝達機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸状に配置された第1部材と第2部材との間で回転を伝達する回転伝達機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動部材の回転を従動部材に伝達するにあたって、駆動部材と従動部材とをカップリング部材を介して接続することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−194085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、駆動部材と従動部材との間にカップリング部材を設けた構成では、部品点数が増えるとともに、駆動部材と従動部材との間に無駄なスペースが発生するという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、同軸状に配置された第1部材と第2部材との間での回転伝達を狭いスペースで行うことができる回転伝達機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、第1部材と、前記第1部材と同軸状に配置された第2部材との間で軸線周りの回転を伝達する回転伝達機構であって、前記第1部材は、前記軸線から径方向に離間する位置で前記軸線方向の一方側に突出した第1凸部を備え、前記第2部材には、前記第1凸部が前記軸線周りの一方側から当接可能な第1平坦部が前記軸線周りの他方側に向けて設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1部材が軸線周りに一方側に回転した際、第1部材に設けられた第1凸部が第2部材に当接し、第2部材が軸線周りに一方側に回転する。これとは逆に、第2部材が軸線周りに他方側に回転した際、第2部材が第1部材の第1凸部に当接し、第1部材が軸線周りに他方側に回転する。このため、カップリング部材を用いないため、回転伝達機構を狭いスペースに設けることができる。
【0008】
本発明において、前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記一方側の端面である第1端面が凸曲面になっている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1部材または第2部材に多少の傾きが発生しても、第1凸部と第1平坦部との間に余計な負荷が発生することを抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記第2部材には、前記第1凸部が前記軸線周りの前記他方側から当接可能な第2平坦部が前記軸線周りの前記一方側に向けて設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1部材が軸線周りに他方側に回転した際、第1部材に設けられた第1凸部が第2部材に当接し、第2部材が軸線周りに他方側に回転する。これとは逆に、第2部材が軸線周りに一方側に回転した際、第2部材が第1部材の第1凸部に当接し、第1部材が軸線周りに一方側に回転する。その際、第1凸部が当接する個所は、第2部材において軸線周りの他方側に向いた第2平坦部であるため、双方向に回転を伝達可能な構成とした場合に、第1部材と第2部材との間に多少の位置ずれが発生しても
、余計な負荷が発生することを抑制することができる。それ故、組み立てに高い精度が求められないので、回転伝達機構等の組み立てが容易である。
【0010】
本発明において、前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記他方側の端面である第2端面が凸曲面になっている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1部材または第2部材に多少の傾きが発生しても、第1凸部と第2平坦部との間に余計な負荷が発生することを抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記第1凸部は、前記軸線方向からみたときに、前記軸線周りに延在する円弧状に形成されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1凸部の強度が大きいので、大きなトルクを伝達することができる。
【0012】
本発明において、前記第2部材は、前記軸線方向からみたとき扇形形状をもって前記軸線方向の前記他方側に突出した凸部を備え、前記第1平坦部は、前記凸部の前記軸線周りの前記他方側の側面に設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1平坦部が設けられている部分の強度が大きいので、大きなトルクを伝達することができる。
【0013】
本発明において、前記第1部材は、前記第1凸部に対して前記軸線周りの前記他方側かつ前記軸線から径方向に離間する位置に前記軸線方向の前記一方側に突出した第2凸部を備え、前記第2部材には、前記第2凸部が前記軸線周りの前記他方側から当接可能な第2平坦部が前記軸線周りの前記一方側に向けて設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1部材が軸線周りに他方側に回転した際、第1部材に設けられた第2凸部が第2部材に当接し、第2部材が軸線周りに他方側に回転する。これとは逆に、第2部材が軸線周りに一方側に回転した際、第2部材が第1部材の第2凸部に当接し、第2部材が軸線周りに一方側に回転する。その際、第2凸部が当接する個所は、第2部材において軸線周りの他方側に向いた第2平坦部であるため、双方向に回転を伝達可能な構成とした場合に、第1部材と第2部材との間に多少の位置ずれが発生しても、余計な負荷が発生することを抑制することができる。それ故、組み立てに高い精度が求められないので、回転伝達機構等の組み立てが容易である。
【0014】
本発明において、前記第2凸部は、前記軸線方向からみたときに前記軸線周りの前記他方側の端面である第2端面が凸曲面になっている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1部材または第2部材に多少の傾きが発生しても、第2凸部と第2平坦部との間に余計な負荷が発生することを抑制することができる。
【0015】
本発明において、前記第1部材は、駆動源からの回転が伝達される駆動部材であり、前記第2部材は、前記第1部材に従動する従動部材である態様を採用することができる。
【0016】
本発明において、軸線周りの一方側のみの回転が伝達される場合、前記第1部材および前記第2部材のうちの一方の部材が、駆動源からの回転が伝達される駆動部材であり、他方の部材が、前記第1部材に従動する従動部材であり、前記従動部材に対しては、前記従動部材を前記軸線周りの前記他方側に付勢する付勢部材が設けられている態様を採用することが好ましい。かかる構成によれば、第1凸部と第1平坦部とが常に接する状態にあるので、駆動部材が回転を開始した際、従動部材が迅速に回転を開始する。この場合、前記第1部材が前記駆動部材であり、前記第2部材が前記従動部材である態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、第1部材が軸線周りに一方側に回転した際、第1部材に設けられた第1凸
部が第2部材に当接し、第2部材が軸線周りに一方側に回転する。これとは逆に、第2部材が軸線周りに他方側に回転した際、第2部材が第1部材の第1凸部に当接し、第1部材が軸線周りに他方側に回転する。このため、組カップリング部材を用いないため、回転伝達機構を狭いスペースに設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係るモータ装置の内部を一方側からみた斜視図である。
図2図1に示すモータ装置の内部を他方側からみた斜視図である。
図3図1に示すモータ装置から従動部材およびセンサ機構を分離させたときの分解斜視図である。
図4図1に示すモータ装置の回転伝達機構を構成する部材の説明図である。
図5図1に示すモータ装置の回転伝達機構の説明図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るモータ装置に設けた回転伝達機構の断面図である。
図7】本発明の実施の形態3に係るモータ装置に設けた回転伝達機構の断面図である。
図8】本発明の実施の形態4に係るモータ装置に設けた回転伝達機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用したモータ装置を説明する。なお、以下の説明では、モータ1の軸線にLmを付し、モータ軸線Lmが延在しているモータ軸線Lm方向において、回転軸12が歯車列3の側に突出している側を出力側Lmaとし、その反対側を反出力側Lmbとして説明する。また、駆動部材4および従動部材7の中心軸線を軸線Lとし、軸線Lが延在している軸線L方向の一方側にLaを付し、軸線L方向の他方側にLbを付し、軸線L周りの一方側にCWを付し、軸線L周りの他方側にCCWを付して説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(モータ装置100の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100の内部を一方側からみた斜視図である。図2は、図1に示すモータ装置100の内部を他方側からみた斜視図である。図3は、図1に示すモータ装置100から従動部材7およびセンサ機構6を分離させたときの分解斜視図である。
【0021】
図1図2および図3に示すモータ装置100は、開閉部材等の部材の姿勢等を切り換えるための装置であり、ハウジング(図示せず)の内部に、駆動源としてのモータ1と、駆動部材4を含む歯車列3と、出力部材として従動部材7とを有している。モータ1は、ステッピングモータ1aであり、回転軸12の外周面に固着された永久磁石(図示せず)を備えたロータ10と、永久磁石の外周面を覆う筒状のステータ20と有している。永久磁石の外周面には、N極とS極が周方向において交互に配置されている。ステータ20は、モータ軸線Lm方向に重ねて配置された一対のステータ組21、22を有している。ステータ20の両端面のうち、出力側Lmaの端面にはフレーム9が固定されている。フレーム9は、ステータ20の端面に固定された第1板部91と、第1板部91に出力側Lmaで対向する第2板部(図示せず)、第1板部91と第2板部とを繋ぐ第3板部93とを備えており、回転軸12の出力側Lmaの先端部は、第2板部に形成された軸穴(図示せず)によって回転可能に支持されている。回転軸12の外周面には、ウォームが形成された筒状部材18が固定されている。
【0022】
(歯車列3の構成)
歯車列3は、第1歯車31と、第2歯車32と、第3歯車33と、第4歯車34と、第5歯車35と、第6歯車としての駆動部材4とを有している。第1歯車31は支軸310に回転可能に支持され、第2歯車32は支軸320に回転可能に支持され、第3歯車33は支軸330に回転可能に支持され、第4歯車34は支軸340に回転可能に支持され、第5歯車35は支軸350に回転可能に支持されている。支軸310、320、330、340、350はハウジジング(図示せず)に支持されている。また、駆動部材4および従動部材7は、ハウジング等によって軸線L周りに回転可能に支持されている。
【0023】
第1歯車31は、筒状部材18のウォームと噛み合うウォームホイール311と、ウォームホイール311と一体の歯車312とを有しており、歯車312は、ウォームホイール311より小径である。第2歯車32は、歯車312と噛み合う歯車321と、歯車321と一体の歯車322とを有している。歯車321は、歯車322より大径であり、歯車312より大径である。第3歯車33は、歯車322と噛み合っており、歯車322より大径である。第4歯車34は、第3歯車33と噛み合う歯車341と、歯車341と一体の歯車342とを有している。歯車341は、第3歯車33より大径であり、歯車342より大径である。第5歯車35は、筒部351と、筒部351から径方向外側に突出した扇形歯車352とを有しており、扇形歯車352は、歯車342と噛み合っている。扇形歯車352の曲率半径は、歯車342の半径より大である。また、筒部351には、支軸350が嵌る軸穴358が形成されている。
【0024】
第5歯車35では、筒部351と同軸状に歯車353が形成されており、歯車353は、駆動部材4の歯車42と噛み合っている。従って、モータ1の回転は、歯車列3を介して駆動部材4に伝達され、駆動部材4は軸線L周りに回転する。また、駆動部材4の回転は、後述する回転伝達機構5を介して、駆動部材4と同軸状に配置された従動部材7に伝達される結果、従動部材7は、軸線L周りに回転する。
【0025】
(センサ機構6の構成)
図3に示すように、モータ装置100には、ロータ10の回転を検出するセンサ機構6が設けられている。本形態において、センサ機構6は、ロータ10と一体に回転する磁石61と、磁石61に対向する磁気センサ素子62とからなる。本形態において、磁石61は、回転軸12の反出力側Lmb側の端部に連結された回転板63に保持されている。本形態において、磁石61は、回転板63の出力側Lmaの面において、周方向の1か所に設けられた磁石保持穴631の内側に保持されている。従って、磁石61は、周方向の1か所に設けられている。磁気センサ素子62は、モータ基板25に保持されており、ロータ10が回転して磁石61が磁気センサ素子62の近傍を通過する際、磁石61に径方向外側で対向する。従って、センサ機構6によれば、ロータ10の角度位置や回転数を検出することができる。本形態において、磁気センサ素子62はホール素子である。なお、モータ基板25にはコネクタ29が保持されている。
【0026】
(回転伝達機構5の構成)
図4は、図1に示すモータ装置100の回転伝達機構5を構成する部材の説明図であり、図4(a)、(b)は、回転伝達機構5を構成する駆動部材4の斜視図、および回転伝達機構5を構成する従動部材7の斜視図である。図5は、図1に示すモータ装置100の回転伝達機構5の説明図であり、図5(a)、(b)は、回転伝達機構5の側面図、および回転伝達機構5のA−A′断面図である。
【0027】
モータ装置100において、駆動部材4と従動部材7との間には、図4および図5に示す回転伝達機構5が構成されており、回転伝達機構5は、駆動部材4の軸線L周りの一方側CWへの回転を従動部材7に伝達し、従動部材7を軸線L周りの一方側CWに回転させる。本形態において、従動部材7には、ハウジング(図示せず)等との間に、従動部材7
を軸線L周りの他方側CCWに向けて付勢する付勢部材8が設けられている。かかる付勢部材8は、例えば、一方端が従動部材7に保持され、他方端がハウジング等に保持された捩りコイルバネ等からなる。図4等には、付勢部材8を矢印で示してある。
【0028】
本形態において、駆動部材4は、第1円盤部41と、第1円盤部41から軸線L方向の他方側Lbに突出する歯車42と、第1円盤部41に対して軸線L方向の一方側Laに設けられた第2円盤部43とが同軸状に形成されている。第2円盤部43は、第1円盤部41より小径である。また、駆動部材4は、第2円盤部43の端面44から軸線L方向の一方側Laに突出した第1凸部45を有する第1部材として構成されている。本形態において、第1凸部45は、軸線Lから径方向に離間する位置に円弧状に設けられている。本形態において、第1凸部45は、約90°の角度範囲にわたって形成されている。ここで、第1凸部45の軸線L周りの一方側CWの端面である第1端面451は、軸線L方向からみたときに凸曲面になっている。これに対して、第1凸部45の軸線L周りの他方側CCWの端面である第2端面452は、軸線L方向からみたときに平坦面になっている。
【0029】
従動部材7は、第1凸部45の第1端面451が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が軸線L周りの他方側CCWに向けて設けられた第2部材になっている。本形態において、従動部材7は、断面円形の軸部71と、軸部71の軸線L方向の他方側Lbの端面72から軸線L方向の一方側Laに突出した凸部73とを有している。凸部73は、軸線L方向からみたとき、約180°の円弧角を有する扇形であり、円弧面74の両端を直線的に結ぶ側面75を有している。かかる構成の従動部材7では、端面72に相当する部分が凸部73からみて凹んだ凹部720になっている。従って、駆動部材4の端面44と従動部材7の端面72が対向するように、駆動部材4と従動部材7とを軸線L方向の所定位置に配置すると、凹部720に相当する部分に第1凸部45が位置する。この状態では、軸線Lに対して直交する方向からみたとき、第1凸部45が凸部73の側面75と重なる。従って、側面75のうち、図4(b)に斜線を付して示すように、軸線周りLの他方側CCWに向いている部分によって、第1凸部45の第1端面451が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が構成されている。
【0030】
本形態では、駆動部材4の端面44と従動部材7の凸部73とは、軸線L方向で離間し、従動部材7の端面72と駆動部材4の第1凸部45とは、軸線L方向で離間している。すなわち、駆動部材4と従動部材7とは、第1凸部45と第1平坦部751とにおいてのみ接触している。
【0031】
(モータ装置100での動作)
このように構成したモータ装置100において、モータ1が正回転すると、モータ1の回転は、歯車列3を介して駆動部材4に伝達される。このため、回転伝達機構5において、駆動部材4が軸線L周りに一方側CWに回転し、駆動部材4の第1凸部45の第1端面451が軸線L周りの一方側CWから従動部材7の第1平坦部751を押圧する。その結果、従動部材7は、付勢部材8の付勢力に抗して、軸線L周りに一方側CWに回転し、モータ1の停止によって、所定の角度位置で停止する。この状態は、筒状部材18ウォームとウォームホイール311との間の負荷等によって維持される。
【0032】
これに対して、従動部材7を元の位置に戻す際には、モータ1が逆回転する。その結果、駆動部材4が軸線L周りに他方側CCWに回転する。この場合でも、従動部材7は、付勢部材8の付勢力によって軸線L周りに他方側CCWに付勢されているので、駆動部材4の第1凸部45の第1端面451と従動部材7の第1平坦部751とが接する状態が常に維持される。
【0033】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のモータ装置100の回転伝達機構5において、駆動部材4は、軸線Lから径方向に離間した位置で軸線L方向の一方側Laに突出した第1凸部45を備えた第1部材として構成され、従動部材7は、第1凸部45が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が形成された第2部材として構成されている。このため、駆動部材4(第1部材)が軸線L周りに一方側CWに回転した際、駆動部材4に設けられた第1凸部45が従動部材7に当接し、従動部材7が軸線L周りに一方側CWに回転する。その際、従動部材7において駆動部材4の第1凸部45が当接する個所は、軸線L周りの他方側CCWに向いた第1平坦部751である。このため、駆動部材4および従動部材7との間に多少の位置ずれが発生しても、余計な負荷が発生することを抑制することができる。それ故、組み立てに高い精度が求められないので、回転伝達機構5等の組み立てが容易である。
【0034】
また、駆動部材4において第1凸部45は約90°の角度範囲に形成されているのに対して、従動部材7において凸部73は円弧角が180°の扇形であり、凹部720が約180°の角度範囲に存在する。従って、凹部720の内側に第1凸部45を配置するのが容易であるため、回転伝達機構5等の組み立てが容易である。また、カップリング部材を用いないため、回転伝達機構5を狭いスペースに設けることができる。
【0035】
また、駆動部材4に設けた第1凸部45の軸線L周りの一方側CWの第1端面451が凸曲面になっているため、駆動部材4または従動部材7に多少の傾きが発生しても、第1凸部45と第1平坦部751との間に余計な負荷が発生することを抑制することができる。
【0036】
また、駆動部材4の端面44と従動部材7の凸部73とは、軸線L方向で離間し、従動部材7の端面72と駆動部材4の第1凸部45とは、軸線L方向で離間している等、駆動部材4と従動部材7とは、第1凸部45と第1平坦部751とにおいてのみ接触する。それ故、回転伝達機構5の組み立てが容易である。
【0037】
また、駆動部材4において第1凸部45が円弧状に形成され、従動部材7において扇形の凸部73の側面75の一部によって第1平坦部751が構成されている。従って、第1凸部45の強度が大であるとともに、第1平坦部751が形成されている部分の強度も大である。それ故、大きなトルクを伝達することができる。
【0038】
また、従動部材7に対しては、従動部材7を軸線L周りの他方側CCWに付勢する付勢部材8が設けられているため、第1凸部45と第1平坦部751とが常に接する状態にある。従って、駆動部材4が回転を開始した際、従動部材7が迅速に回転を開始する。
【0039】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係るモータ装置100に設けた回転伝達機構5の断面図であり、図5(a)のA−A′断面図に対応する。なお、本形態および後述する実施の形態3、4の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0040】
図6に示す回転伝達機構5において、駆動部材4は、実施の形態1と同様、駆動部材4は、端面44から軸線L方向の一方側に突出した第1凸部45を有する第1部材として構成されている。本形態において、第1凸部45は、軸線Lから離間する位置で円弧状に設けられている。第1凸部45は、約90°の角度範囲にわたって円弧状に形成されている。
【0041】
本形態では、駆動部材4(第1部材)が軸線L周りに一方側CWに回転した際に従動部
材7を軸線L周りに一方側CWに回転させるとともに、駆動部材4(第1部材)が軸線L周りに他方側CCWに回転した際に従動部材7を軸線L周りに他方側CCWに回転させる。
【0042】
本形態において、従動部材7(第2部材)では、凸部73が、軸線L方向からみたとき、約220°の円弧角を有する扇形になっており、側面75は、中心(軸線Lが通る部分)と円弧面74の軸線L周りの他方側CCWの端部とを結ぶ第1側面756と、中心と円弧面74の軸線L周りの一方側CWの端部とを結ぶ第2側面757を有している。ここで、第1側面756は、軸線L周りの他方側CCWに向き、第2側面757は、軸線L周りの一方側CWに向いている。従って、本形態では、第1側面756に、第1凸部45の第1端面451が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が構成され、第2側面757に、第1凸部45の第2端面452が軸線L周りの他方側CCWから当接可能な第2平坦部752が構成されている。
【0043】
また、第1凸部45の軸線L周りの一方側CWの第1端面451は、軸線L方向からみたときに凸曲面になっており、第1凸部45の軸線L周りの他方側CCWの第2端面452も、軸線L方向からみたときに凸曲面になっている。
【0044】
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、駆動部材4および従動部材7との間に多少の位置ずれが発生しても、余計な負荷が発生することを抑制することができる。このため、双方向に回転を伝達可能な回転伝達機構5であっても、組み立てに高い精度が求められないので、回転伝達機構5の組み立てが容易である等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0045】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係るモータ装置100に設けた回転伝達機構5の断面図であり、図5(a)のA−A′断面図に対応する。
【0046】
図7に示す回転伝達機構5において、駆動部材4は、実施の形態1と同様、43の端面44から軸線L方向の一方側に突出した第1凸部46を有する第1部材として構成されている。本形態において、第1凸部46は、軸線Lから離間する位置で円柱状に設けられている。従って、第1凸部46の軸線L周りの一方側CWの端面である第1端面461は、軸線L方向からみたときに凸曲面になっており、第1凸部46の軸線L周りの他方側CCWの端面である第2端面462も、軸線L方向からみたときに凸曲面になっている。
【0047】
本形態でも、実施の形態2と同様、駆動部材4が軸線L周りに一方側CWに回転した際に従動部材7を軸線L周りに一方側CWに回転させるとともに、駆動部材4が軸線L周りに他方側CCWに回転した際に従動部材7を軸線L周りに他方側CCWに回転させる。
【0048】
本形態において、従動部材7(第2部材)では、凸部73が、軸線L方向からみたとき、約270°の円弧角を有する扇形になっており、側面75は、中心(軸線Lが通る部分)と円弧面74の軸線L周りの他方側CCWの端部とを結ぶ第1側面756と、中心と円弧面74の軸線L周りの一方側CWの端部とを結ぶ第2側面757を有している。ここで、第1側面756は、軸線L周りの他方側CCWに向き、第2側面757は、軸線L周りの一方側CWに向いている。従って、第1側面756に、第1凸部46の第1端面461が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が構成され、第2側面757に、第1凸部46の第2端面462が軸線L周りの他方側CCWから当接可能な第2平坦部752が構成されている。
【0049】
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、駆動部材4および従動部材7との間
に多少の位置ずれが発生しても、余計な負荷が発生することを抑制することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0050】
[実施の形態4]
図8は、本発明の実施の形態4に係るモータ装置100に設けた回転伝達機構5の断面図であり、図5(a)のA−A′断面図に対応する。
【0051】
図8に示す回転伝達機構5において、駆動部材4は、実施の形態3と同様、端面44から軸線L方向の一方側に突出した円柱状の第1凸部46を有する第1部材として構成されている。かかる第1凸部46の軸線L周りの一方側CWの第1端面461は、軸線L方向からみたときに凸曲面になっている。
【0052】
本形態において、駆動部材4は、端面44のうち、第1凸部45から軸線L周りの他方側CCWで離間し、かつ、軸線Lから径方向に離間した位置からは、軸線L方向の一方側に第2凸部47が突出している。第2凸部47は円柱状である。このため、第2凸部47の軸線L周りの他方側CCWの端面である第2端面472は、軸線L方向からみたときに凸曲面になっている。
【0053】
本形態でも、実施の形態3と同様、駆動部材4(第1部材)が軸線L周りに一方側CWに回転した際に従動部材7を軸線L周りに一方側CWに回転させるとともに、駆動部材4(第1部材)が軸線L周りに他方側CCWに回転した際に従動部材7を軸線L周りに他方側CCWに回転させる。
【0054】
本形態において、従動部材7(第2部材)では、凸部73が、軸線L方向からみたとき、約220°の円弧角を有する扇形になっており、側面75は、中心(軸線Lが通る部分)と円弧面74の軸線L周りの他方側CCWの端部とを結ぶ第1側面756と、中心と円弧面74の軸線L周りの一方側CWの端部とを結ぶ第2側面757を有している。ここで、第1側面756は、軸線L周りの他方側CCWに向き、第2側面757は、軸線L周りの一方側CWに向いている。従って、第1側面756に、第1凸部46の第1端面461が軸線L周りの一方側CWから当接可能な第1平坦部751が構成され、第2側面757に、第2凸部47の第2端面472が軸線L周りの他方側CCWから当接可能な第2平坦部752が構成されている。
【0055】
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、駆動部材4および従動部材7との間に多少の位置ずれが発生しても、余計な負荷が発生することを抑制することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0056】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、駆動部材4を、第1凸部45等を有する第1部材として構成し、従動部材7を、第1平坦部751等を有する第2部材として構成したが、従動部材7を、第1凸部等を有する第1部材として構成し、駆動部材4を、第1平坦部等を有する第2部材として構成してもよい。
【0057】
また、本形態では、第6歯車(駆動部材4)と出力部材(従動部材7)との間に回転伝達機構5を設けたが、歯車列3を構成する歯車の間に回転伝達機構5を設けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…モータ(駆動源)、1a…ステッピングモータ、3…歯車列、4…駆動部材、5…回転伝達機構、6…センサ機構、7…従動部材、8…付勢部材、10…ロータ、12…回転軸、20…ステータ、44、72、…端面、45、46…第1凸部、47…第2凸部、7
3…凸部、74…円弧面、75…側面、100…モータ装置、451、461…第1端面、452、462、472…第2端面、720…凹部、751…第1平坦部、752…第2平坦部、756…第1側面757…第2端面、CW…一方側、CCW…他方側、L…軸線、Lm…モータ軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8