【解決手段】ヒンジ装置30は、2つの筐体間を開閉可能に連結するものであって、一方の筐体と他方の筐体との間にそれぞれ設けられた第1リンク部材33および第2リンク部材34と、一方の筐体に対して第1リンク部材33を回動可能に連結する第1軸35と、他方の筐体に対して第1リンク部材33を回動可能に連結する第2軸36と、一方の筐体に対して第2リンク部材34を回動可能に連結する第3軸37と、他方の筐体に対して第2リンク部材34を回動可能に連結する第4軸38と、を備え、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のそれぞれは、同軸ではない。
前記第1軸、前記第2軸、前記第3軸および前記第4軸の少なくとも1つに対して回転トルクを発生させるトルク発生機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のいずれか一方は、前記第1軸および前記第2軸の周囲、あるいは前記第3軸および前記第4軸の周囲に巻きつけられた板ばねで構成され、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のいずれか他方は、前記第1軸および前記第2軸、あるいは前記第3軸および前記第4軸を連結する板状部材で構成され、
前記板ばねは、前記トルク発生機構として機能することを特徴とする請求項2に記載のヒンジ装置。
前記トルク発生機構は、前記第1軸、前記第2軸、前記第3軸および前記第4軸のそれぞれに対して回転トルクを発生させることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るヒンジ装置および当該ヒンジ装置を備える電子機器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
まず、本発明の各実施形態に係るヒンジ装置を適用可能な電子機器の構成について、
図1を参照しながら説明する。電子機器1は、本体筐体10と、ディスプレイ筐体20と、左右のヒンジ装置30と、を備えている。なお、以下では、
図1に示す状態からディスプレイ筐体20を本体筐体10に対して閉じた状態(0度位置)を基準とし、ディスプレイ筐体20および本体筐体10のヒンジ装置30側の端部を後端(後方)、その反対側の端部を前端(前方)、厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明を行う。
【0017】
電子機器1は、ヒンジ装置30を備えることにより、ディスプレイ筐体20を本体筐体10に対して90度前後の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用でき(
図1参照)、ディスプレイ筐体20を本体筐体10に対して360度位置まで回動させて反転させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用できる、いわゆるコンバーチブル型PCである。ただし、本発明は、上記のようなコンバーチブル型PC以外にも、例えばディスプレイ筐体20が180度位置程度までしか回動しない一般的なノート型PC、携帯電話、スマートフォンまたは電子手帳等、2つの筐体がヒンジ装置によって開閉可能に連結された構成の電子機器であれば好適に適用できる。
【0018】
本体筐体10は、
図1に示すように、平板状かつ箱状に形成されている。本体筐体10は、その後端部に設けられたヒンジ装置30によってディスプレイ筐体20と連結されている。また、本体筐体10の上面10aにはキーボード装置11等の入力手段が設けられ、本体筐体10の内部には図示しない基板、演算装置およびメモリ等の各種電子部品が設けられている。なお、キーボード装置11は、例えば本体筐体10の上面10aに設けられた図示しないタッチパネル式のディスプレイに表示される方式で構成されてもよい。
【0019】
ディスプレイ筐体20は、
図1に示すように、本体筐体10よりも薄い平板状に形成されている。ディスプレイ筐体20は、その後端部に設けられたヒンジ装置30によって本体筐体10と連結されている。また、ディスプレイ筐体20の下面20aにはディスプレイ装置21等の表示装置が設けられている。なお、ディスプレイ装置21は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置によって構成されている。
【0020】
ヒンジ装置30は、本体筐体10とディスプレイ筐体20からなる2つの筐体間を開閉可能に連結するものである。ヒンジ装置30は、ここでは
図1に示すように左右一対で構成されており、ディスプレイ装置21の外側に配置されている。ヒンジ装置30は、リンク機構により、ディスプレイ筐体20を本体筐体10に対して、0度位置から360度位置まで回動させる。
【0021】
[ヒンジ装置の構成]
以下、本発明の実施形態に係るヒンジ装置30の具体的構成について、
図2〜
図5を参照しながら説明する。なお、
図2は、
図1における右側のヒンジ装置30を拡大した斜視図である。また、
図3は、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が180度の場合(
図8参照)のヒンジ装置30を示す平面図である。また、
図5は、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が0度の場合のヒンジ装置30を示す側面図である。同図では、説明の便宜上、フレーム部材12,22の描写を省略している。
【0022】
ヒンジ装置30は、
図2、
図3および
図5に示すように、第1固定部材31と、第2固定部材32と、第1リンク部材33と、第2リンク部材34と、第1軸35と、第2軸36と、第3軸37と、第4軸38と、トルク発生機構39A、39Bと、を備えている。
【0023】
第1固定部材31は、板状に形成され、
図2および
図3に示すように、本体筐体10のフレーム部材12に隣接して配置されている。すなわち、第1固定部材31は、本体筐体10のディスプレイ筐体20と接続される側縁で、本体筐体10のその他の側縁を形成するフレーム部材12に隣接する位置に配置されている。そして、第1固定部材31は、
図3に示すように、ネジ穴31dが形成されたフリンジ部31cを備え、例えばネジ穴31dにネジ部材等が挿通されることにより、本体筐体10に固定されている。
【0024】
第1固定部材31には、
図2および
図3に示すように、切欠部31aと、凹部31bとが形成されている。そして、本体筐体10とディスプレイ筐体20との回動運動の軸を担う第1軸35が切欠部31aに、第3軸37が凹部31bに設けられている。また、切欠部31aとフレーム部材12との間には第1リンク部材33が配置されており、その一端側が第1軸35によって回動可能に軸支されている。凹部31bには第2リンク部材34が配置されており、その一端側が第3軸37によって回動可能に軸支されている。
【0025】
第2固定部材32は、板状に形成され、
図2および
図3に示すように、ディスプレイ筐体20のフレーム部材22に隣接して配置されている。すなわち、第2固定部材32は、ディスプレイ筐体20の本体筐体10と接続される側縁で、ディスプレイ筐体20のその他の側縁を形成するフレーム部材22に隣接する位置に配置されている。そして、第2固定部材32は、
図3に示すように、ネジ穴32dが形成されたフリンジ部32cを備え、例えばネジ穴32dにネジ部材等が挿通されることにより、ディスプレイ筐体20に固定されている。
【0026】
第2固定部材32には、
図2および
図3に示すように、切欠部32aと、凹部32bとが形成されている。そして、本体筐体10とディスプレイ筐体20との回動運動の軸を担う第2軸36が切欠部32aに、第4軸38が凹部32bに設けられている。また、切欠部32aとフレーム部材22との間には第1リンク部材33が配置されており、その他端側が第2軸36によって回動可能に軸支されている。凹部32bには第2リンク部材34が配置されており、その他端側が第4軸38によって回動可能に軸支されている。
【0027】
なお、
図3に示すように、切欠部31aの開口部分と、切欠部32aの開口部分とは対向位置に形成されており、切欠部31a,32aおよびフレーム部材22によって形成された空間に、第1リンク部材33(第1軸35および第2軸36を含む)が収容されている。また、凹部31bの開口部分と、凹部32bの開口部分とは対向位置に形成されており、凹部31b,32bによって形成された空間に、第2リンク部材34(第3軸37および第4軸38を含む)が収容されている。
【0028】
第1リンク部材33は、
図3に示すように、本体筐体10とディスプレイ筐体20との間に設けられている。第1リンク部材33は、具体的には本体筐体10に固定された第1固定部材31の切欠部31aと、ディスプレイ筐体20に固定された第2固定部材32の切欠部32aとの間に亘って配置されている。なお、第1リンク部材33は、ここでは第2リンク部材34と同じ長さで構成されている。
【0029】
第2リンク部材34は、
図3に示すように、本体筐体10とディスプレイ筐体20との間に設けられている。第2リンク部材34は、具体的には本体筐体10に固定された第1固定部材31の凹部31bと、ディスプレイ筐体20に固定された第2固定部材32の凹部32bとの間に亘って配置されている。
【0030】
第1軸35は、
図3に示すように、第1リンク部材33の一端側に設けられている。第1軸35は、第1固定部材31の切欠部31aとフレーム部材12との間で第1リンク部材33の一端側を軸支することにより、本体筐体10に対して、第1リンク部材33を回動可能に連結している。
【0031】
第2軸36は、
図3に示すように、第1リンク部材33の他端側に設けられている。第2軸36は、第2固定部材32の切欠部32aとフレーム部材22との間で第1リンク部材33の他端側を軸支することにより、ディスプレイ筐体20に対して、第1リンク部材33を回動可能に連結している。
【0032】
第3軸37は、
図3に示すように、第2リンク部材34の一端側に設けられている。第3軸37は、第1固定部材31の凹部31b内で第2リンク部材34の一端側を軸支することにより、本体筐体10に対して、第2リンク部材34を回動可能に連結している。
【0033】
第4軸38は、
図3に示すように、第2リンク部材34の他端側に設けられている。第4軸38は、第2固定部材32の凹部32b内で第2リンク部材34の他端側を軸支することにより、ディスプレイ筐体20に対して、第2リンク部材34を回動可能に連結している。
【0034】
トルク発生機構39A(
図5参照)は、第1軸35および第2軸36に回転トルクを発生させるものである。また、トルク発生機構39B(
図5参照、他図では図示省略)は、第3軸37および第4軸38に回転トルクを発生させるものである。トルク発生機構39A,38Bは、例えば板ばねによって構成することができ、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38に板ばねを巻きつけることで回転トルクを発生できるようにする。
【0035】
本実施形態では、第1リンク部材33自体をトルク発生機構39Aとしての板ばねで構成し、第2リンク部材34自体をトルク発生機構39Bとしての板ばねで構成する。第1リンク部材33自体をトルク発生機構39Aとしての板ばね(第1板ばね)で構成する場合、
図5に示すように、第1軸35および第2軸36の外径に合わせて両端を丸めた板ばねを、第1軸35および第2軸36の周囲に設けるとともに、第1軸35および第2軸36の間に亘って設ければよい。また、第2リンク部材34自体をトルク発生機構39Bとしての板ばね(第2板ばね)で構成する場合も、同様に、第3軸37および第4軸38の外径に合わせて両端を丸めた板ばねを、第3軸37および第4軸38の周囲に設けるとともに、第3軸37および第4軸38の間に亘って設ければよい。
【0036】
トルク発生機構39A,39Bは、
図5に示すように、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のそれぞれに板ばねとして設けた場合、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のそれぞれに対して回転トルクを発生させることができる。すなわちこの場合は、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のそれぞれにトルク発生機構39A,39Bが設けられていることになる。
【0037】
本実施形態に係るヒンジ装置30は、このように各軸にトルク発生機構39A,39Bを設けることにより、本体筐体10およびディスプレイ筐体20を開閉する際に要求される回転トルクを、4本の軸で分散して受け持つことができる。従って、例えばトルク発生機構を1つまたは2つのみ有する従来のヒンジ装置と比較して、開閉に伴うトルク発生機構39A,39Bの構成部品(各軸、板ばね)の摩耗や破損を軽減することができる。
【0038】
また、トルク発生機構39A,39Bを、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38の少なくとも1つに対してのみ設け、その他には設けない構成にしてもよい。すなわち一部の軸のみに回転トルクを発生させるような構成としてもよい。この場合、第1リンク部材33、第2リンク部材34のうち、回転トルクを発生させたい端部でのみ、第1軸35、第2軸36、第3軸37または第4軸38との回転トルクを発生させる程度に各軸に板ばねを巻き付け、その他の端部は相対的に極めて弱い力で各軸に巻き付けるように板ばねを設ければよい。また、回転トルクを発生させたい端部以外の他の端部を、ばね性のない筒形状あるいは穴形状に形成するだけとすることもできる。
【0039】
例えば、第1リンク部材33の端部で第1軸35および第2軸36との間で回転トルクを発生させ、第2リンク部材34の端部で第3軸37および第4軸38との間では回転トルクを発生させない(あるいは相対的に極めて弱い力の回転トルクのみを発生させる)場合には、
図4の変形例に示すように、第1リンク部材33のみを板ばねで構成し、第2リンク部材34Aを第3軸37または第4軸38の軸方向に薄い板状の部材で構成することができる。この場合、第1リンク部材33を構成する板ばねは、第1軸35および第2軸36の周囲に巻きつけられており、リンク機構として機能すると同時にトルク発生機構としても機能する。また、第2リンク部材34Aを構成する板状部材は、第3軸37および第4軸38を単に連結するリンク機構として機能する。
【0040】
図4に示した例では、第3軸37または第4軸38は薄板状の第2リンク部材34Aに形成された挿入穴(不図示)に挿入されるだけであり、第1リンク部材33のようなトルク発生機構を備えない構成となっている。なお、同図では、第2リンク部材34Aが薄い板状部材で構成されているため、それに合わせて、第1固定部材31Aおよび第2固定部材32Bには、凹部31b,32b(
図3参照)の代わりに切欠部31Ab,32Abが形成されている。そして、切欠部31Ab,32Abによって形成された空間に、第2リンク部材34A(第3軸37および第4軸38を含む)が収容されている。
【0041】
図4に示すように、一部の軸のみに回転トルクを発生させるような構成とすることにより、例えば筐体の薄型化や省スペース化等に伴って第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のうちの一部の軸にトルク発生機構39A,39Bを設けることができない場合等も、筐体を開閉する際に要求される回転トルクを残りの軸で受け持つことができる。
【0042】
ここで、本実施形態に係るヒンジ装置30は、従来の2軸構造のヒンジ装置とは異なり、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38の4軸を備えている。第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38は、
図3に示すように、軸方向がそれぞれ平行となるように配置されている。一方、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38は、
図5に示すように、同軸ではなく、ヒンジ装置30を側面側から見た際にそれぞれ異なる位置に配置されている。
【0043】
本実施形態に係るヒンジ装置30は、上記のような同軸ではない4本の軸(第1軸35〜第4軸38)と、これらの軸によって軸支された2つのリンク部材(第1リンク部材33、第2リンク部材34)とで2つの筐体を連結することにより、従来のヒンジ装置におけるヒンジブロックをなくすことができるため、部品点数を大幅に削減し、装置構成を従来よりも大幅に小型軽量化することができる。
【0044】
[ヒンジ装置の動作]
以下、本発明の実施形態に係るヒンジ装置30の回動動作について、
図5〜
図13を参照しながら説明する。なお、これらの図は、ユーザがディスプレイ筐体20を把持して本体筐体10に対して開く動作を示しており、本体筐体10の上面10aとディスプレイ筐体20の下面20aとが対向した状態(
図5参照)から、本体筐体10の下面10bとディスプレイ筐体20の上面20bとが対向した状態(
図13参照)までにおける45度ごとの変遷を示している。
【0045】
まず、
図5に示すように、本体筐体10に対してディスプレイ筐体20が閉じており、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が0度である場合、第1リンク部材33と第2リンク部材34とが対称の角度で交差する状態となる。
【0046】
続いて、
図6〜
図9に示すように、ディスプレイ筐体20を開き、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度を、0度から45度(
図6参照)、90度(
図7参照)、135度(
図8参照)、180度(
図9参照)にすると、第1リンク部材33の他端側(第2軸36側)が第1軸35を回転軸として時計回りに回転するとともに、第2リンク部材34の他端側(第4軸38側)が第3軸37を回転軸として時計回りに回転する。
【0047】
すなわち、第1リンク部材33および第2リンク部材34の本体筐体10に対する角度が徐々に小さくなり、
図9に示すように、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が180度になると、本体筐体10、第1リンク部材33、第2リンク部材34およびディスプレイ筐体20が一直線状に並んだ状態になる。
【0048】
このように、本実施形態に係るヒンジ装置30は、同軸ではない4本の軸(第1軸35〜第4軸38)と、これらの軸によって軸支された2つのリンク部材(第1リンク部材33、第2リンク部材34)とで2つの筐体を連結するリンク機構を採用することにより小型化を図ることができるため、本体筐体10に対してディスプレイ筐体20の開き角度を180度にした際に(
図9参照)ヒンジ装置30が出っ張ることがなく、本体筐体10とディスプレイ筐体20とを完全にフラットな状態にすることができる。
【0049】
続いて、
図10〜
図13に示すように、ディスプレイ筐体20をさらに開き、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度を、180度から225度(
図10参照)、270度(
図11参照)、315度(
図12参照)、360度(
図13参照)にすると、第1リンク部材33の他端側(第2軸36側)が第1軸35を回転軸として時計回りにさらに回転するとともに、第2リンク部材34の他端側(第4軸38側)が第3軸37を回転軸としてさらに時計回りに回転する。そして、
図13に示すように、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が360度になると、第1リンク部材33と第2リンク部材34とが、再び対称の角度で交差する状態となる。
【0050】
ここで、本実施形態に係るヒンジ装置30では、
図5〜
図13に示すように、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度に応じて第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態(交差角度)が変化するが、両者の関係は一意的に決まっている。すなわち、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度がある所定の角度である場合、第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態も必ずある所定の交差状態となる。
【0051】
また、本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度が対称の場合、第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態も対称となる。例えば、開き角度が0度の場合(
図5参照)と360度の場合(
図13参照)は、第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態も対称の形になる。また、開き角度が45度の場合(
図6参照)と315度の場合(
図12参照)、開き角度が90度の場合(
図7参照)と270度の場合(
図11参照)、開き角度が135度の場合(
図8参照)と225度の場合(
図10参照)も、それぞれ第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態が対称の形になる。なお、このような本体筐体10に対するディスプレイ筐体20の開き角度と第1リンク部材33および第2リンク部材34の交差状態との関係は、
図1に示すようにヒンジ装置30が左右一対で設けられた場合においても、左右で全て共通となる。
【0052】
本実施形態に係るヒンジ装置30は、
図5〜
図8および
図10〜
図13に示すように、本体筐体10に対してディスプレイ筐体20が180度以外の開き角度で開かれている場合、第1リンク部材33と第2リンク部材34とが常に交差した状態となるため、例えば建築物の筋交い等と同様に、2つのリンク部材によって本体筐体10とディスプレイ筐体20を支持することができ、装置全体の強度が向上する。
【0053】
以上、本発明に係るヒンジ装置および当該ヒンジ装置を備える電子機器について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0054】
例えば、前記したヒンジ装置30は、
図2および
図3に示すように、フレーム部材12やフレーム部材22に隣接して配置されていたが、フレーム部材12,22の位置にヒンジ装置30を配置しても構わない。すなわち、ヒンジ装置30が設けられる範囲にはフレーム部材12,22を設けず、当該ヒンジ装置30を電子機器1の最も外側の一角に設けても構わない。
【0055】
また、前記したヒンジ装置30は、
図2および
図3に示すように、フレーム部材12やフレーム部材22に隣接して配置されていたが、フレーム部材12,22から離間した位置にヒンジ装置30を配置しても構わない。ヒンジ装置30がフレーム部材12,22から離間した位置に設けられる場合には、切欠部31aに切欠部32aをフレーム部材12,22側が開口している形状ではなく、凹部31bや凹部32bのようにフレーム部材12,22側が閉じた凹状とする。
【0056】
また、前記したヒンジ装置30は、
図1に示すように、電子機器1に左右一対で設けられていたが、電子機器1の左右方向における中央に1つのみ設けても構わないし、左右一対の他に、その間に1つまたはそれ以上のヒンジ装置30を設けても構わない。
【0057】
なお、ヒンジ装置30を2つ以上設ける場合においては、少なくともいずれか1つのヒンジ装置30にルク発生機構39A,39Bを設けるようにして、その他のヒンジ装置30にはトルク発生機構39A,39Bを設けないようにすることもできる。あるいは、1つまたは複数のヒンジ装置30にはトルク発生機構39A,39Bを設け、その他の1つまたは複数のヒンジ装置30にはトルク発生機構39A,39Bを設けないようにすることもできる。これにより、例えば筐体の薄型化等に伴って複数のヒンジ装置30のうちの一部にトルク発生機構39A,39Bを設けることができない場合等も、筐体を開閉する際に要求される回転トルクを残りのヒンジ装置30で受け持つことができる。
【0058】
また、前記したヒンジ装置30は、
図2および
図3に示すように、第1リンク部材33および第2リンク部材34と、本体筐体10およびディスプレイ筐体20との間に第1固定部材31および第2固定部材32を備えていたが、第1固定部材31を本体筐体10と一体的に形成したり、第2固定部材32をディスプレイ筐体20と一体的に形成したりしても構わない。この場合、本体筐体10およびディスプレイ筐体20の後端部に、切欠部31a,32aおよび凹部31b,32bを直接形成し、これらに第1リンク部材33および第2リンク部材34を配置すればよい。これにより、4本の軸(第1軸35〜第4軸38)と2つのリンク部材(第1リンク部材33、第2リンク部材34)のみによってヒンジ装置を構成することができ、前記したヒンジ装置30よりもさらに部品点数を削減することができる。
【0059】
また、前記したヒンジ装置30は、
図5に示すように、第1リンク部材33自体をトルク発生機構39Aとしての板ばねで構成し、第2リンク部材34自体をトルク発生機構39Bとしての板ばねで構成していたが、第1リンク部材33とトルク発生機構39Aとを別体で構成したり、第2リンク部材34とトルク発生機構39Bとを別体で構成したりすることもできる。この場合、第1リンク部材33に別体のトルク発生機構39Aを固定する構成としたり、第2リンク部材34に別体のトルク発生機構39Bを固定する構成としたりすることもできる。あるいは、第1固定部材31や第2固定部材32にトルク発生機構39Aやトルク発生機構39Bを固定して、第1軸35、第2軸36、第3軸37または第4軸38が回転する構成としてもよい。
【0060】
また、前記したヒンジ装置30は、例えば各軸を圧入することにより回転トルクを発生させる構成としても構わない。これにより、例えば筐体の薄型化等に伴って第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のうちの一部の軸にトルク発生機構39A,39Bを設けることができない場合等も、筐体を開閉する際に要求される回転トルクを残りの軸で受け持つことができる。
【0061】
また、
図4で説明したヒンジ装置30の変形例では、第1リンク部材33を板ばね(トルク発生機構)で構成し、第2リンク部材34Aを薄い板状部材(リンク機構)として構成していたが、それとは逆に、第1リンク部材33を薄い板状部材(リンク機構)で構成し、第2リンク部材34Aを板ばね(トルク発生機構)で構成しても構わない。
【0062】
また、前記したヒンジ装置30は、
図5に示すように、トルク発生機構39A,39Bとして板ばねを用いていたが、例えば軸受となる部分に各軸を圧入することにより回転トルクを発生させる構成としても構わない。
【0063】
また、前記したヒンジ装置30は、例えばトルク発生機構39A,39Bによって発生する回転トルクが強すぎる等、回転トルクの強弱を調整したい場合は、第1軸35、第2軸36、第3軸37および第4軸38のうちの回転トルクを弱めたい軸を例えばカシメ等によって固定し、残りの軸で回転トルクを受け持つようにしても構わない。
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のいずれか一方は、前記第1軸および前記第2軸の周囲、あるいは前記第3軸および前記第4軸の周囲に巻きつけられた板ばねで構成され、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のいずれか他方は、前記第1軸および前記第2軸、あるいは前記第3軸および前記第4軸を連結する板状部材で構成され、
前記板ばねは、前記トルク発生機構として機能することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。