【課題】 火力の状態や空気質の状態などの客観情報に基づく運転と、使用者の意思に沿った運転とを適切に切り替えて、利便性を向上させたかつ安全性の高い換気制御システムを提供する。
【解決手段】 調理器10と、換気装置20と、検知器30と、連携制御部40とを備え、連携制御部は、調理器の調理器運転状態情報と、換気装置の風量状態情報と、検知器の空気質情報に基づいて換気装置制御部に前記送風機の風量を指示する換気制御システム100を提供する。換気制御システム100は、連携制御部の指示に基づく風量で運転している状態において、換気装置の風量操作部に対して指示操作がなされたと判断した場合には、所定時間が経過するまで連携制御部の指示を無効とし、風量操作部に対する指示操作に基づいて換気装置の風量を制御し、所定時間の経過後は無効を解除し、連携制御部の指示に基づいて風量を制御する。
前記連携制御部は、最後に前記換気装置制御部に指示した前記送風機の風量を記憶する記憶部を有し、前記記憶部が記憶する風量と前記換気装置伝達部から伝達された風量状態情報における風量を比較し、両風量が互いに異なる場合、前記風量操作部に対して指示操作がなされたと判断することを特徴とする請求項1に記載の換気制御システム。
前記換気装置伝達部は、前記風量操作部に対して指示操作があった場合、該指示操作があったことを前記連携制御部に伝達し、前記連携制御部は、該指示操作があったことを伝達された場合には、前記風量操作部に対して指示操作がなされたと判断することを特徴とする請求項1に記載の換気制御システム。
前記連携制御部は、前記所定時間経過する前であっても、前記空気質情報が異常と判断された場合は、前記調理器制御部に前記加熱部の火力の停止を指示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の換気制御システム。
前記連携制御部は、前記所定時間経過する前であっても、前記空気質情報が異常と判断された場合は、前記換気装置制御部に前記送風機の風量の増加を指示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の換気制御システム。
前記連携制御部は、前記所定時間経過する前に前記風量状態情報に変化があった場合、再び前記風量操作部に対して指示操作がなされたと判断し、前記風量状態情報に変化があった時から前記所定時間が経過するまで前記連携制御部の指示を無効とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の換気制御システム。
前記連携制御部は、前記所定時間経過する前に前記調理器運転状態情報に変化があった場合、前記調理器運転状態情報に対して予め定められた風量と、前記調理器運転状態情報に変化があった時の前記風量状態情報の風量を比較し、前記予め定められた風量の方が大きい場合、前記換気装置制御部に前記予め定められた風量を指示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の換気制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、油煙等を検知した濃度等に基づいて送風機の風量を制御している場合に、使用者が風量を変更しようと指示操作しても油煙等の濃度等の客観的な情報に基づく運転が優先されたり、使用者の指示操作により風量が変更されてもそのまま使用者が指示した風量が継続されたりして、使用者にとって使い勝手の悪い換気制御システムとなっている。
そこで、本発明は、火力の状態や空気質の状態などの客観情報に基づく運転と、使用者の意思に沿った運転とを適切に切り替えて、利便性を向上させたかつ安全性の高い換気制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、室内に設置された調理器と、室内の空気を換気する換気装置と、室内の空気の質を検知する検知器と、連携制御部とを含み、調理器は、加熱部と、加熱部の火力を制御する調理器制御部と、加熱部の火力の状態を含む調理器運転状態を連携制御部に伝達する調理器伝達部とを備え、換気装置は、送風機と、送風機の風量を制御する換気装置制御部と、送風機の風量の状態を連携制御部に伝達する換気装置伝達部と、送風機の風量を手動で指示操作するための風量操作部とを備え、検知器は、室内の空気の質を検知する検知部と、検知部が検知した空気の質を連携制御部に伝達する検知器伝達部とを備え、連携制御部は、調理器伝達部から伝達された加熱部の調理器運転状態情報と、換気装置伝達部から伝達された送風機の風量状態情報と、検知器伝達部から伝達された空気質情報のいずれかまたはこれらを組合せた情報に基づいて、換気装置制御部に送風機の風量を指示する換気制御システムであって、連携制御部の指示に基づく風量で運転している状態において、風量操作部に対して指示操作がなされたと判断した場合には、所定時間が経過するまで連携制御部の指示は無効とされ、風量操作部に対する指示操作に基づいて送風機の風量を制御し、所定時間の経過後は無効を解除し、連携制御部の指示に基づいて送風機の風量を制御する換気制御システムが提供される。
これによれば、火力の状態や空気質の状態などの客観情報に基づく風量で運転している状態においても使用者の指示操作がなされたと判断した場合には、使用者の意思に沿った動作を提供すると共に、所定時間の経過後は再び客観情報に基づく風量で運転することで、利便性が向上した換気制御システムを提供できる。
【0006】
さらに、連携制御部は、最後に換気装置制御部に指示した送風機の風量を記憶する記憶部を有し、記憶部が記憶する風量と換気装置伝達部から伝達された風量状態情報における風量を比較し、両風量が互いに異なる場合、風量操作部に対して指示操作がなされたと判断することを特徴としてもよい。
これによれば、簡易な構成により使用者の指示操作に基づく風量であるか否かを判断できるので、使用者の指示操作がなされたにも拘わらず、客観情報に基づく運転に切り替えてしまうことを所定時間防止することができる。また、これにより、使用者の意思に基づく運転制御が行われるため、利便性が向上する。
【0007】
さらに、換気装置伝達部は、風量操作部に対して指示操作があった場合、その指示操作があったことを連携制御部に伝達し、連携制御部は、その指示操作があったことを伝達された場合には、風量操作部に対して指示操作がなされたと判断することを特徴としてもよい。
これによれば、簡易な構成により使用者の指示操作に基づく風量であるか否かを判断できるので、使用者の指示操作がなされたにも拘わらず、客観情報に基づく運転に切り替えてしまうことを所定時間防止することができる。また、これにより、使用者の意思に基づく運転制御が行われるため、利便性が向上する。
【0008】
さらに、連携制御部の指示を無効にするとは、連携制御部が、所定時間が経過するまで換気装置制御部に送風機の風量を指示しない、または、換気装置制御部が、所定時間が経過するまで連携制御部からの送風機の風量の指示を受け付けないことを特徴としてもよい。
これによれば、的確に使用者の意思に基づく運転制御を行うことができる。
【0009】
さらに、連携制御部は、所定時間経過する前であっても、空気質情報が異常と判断された場合は、調理器制御部に加熱部の火力の停止を指示することを特徴としてもよい。
これによれば、使用者の指示に基づき運転している場合であっても、異常状態に対応して調理器を停止することで安全性を確保することができる。
【0010】
さらに、連携制御部は、所定時間経過する前であっても、空気質情報が異常と判断された場合は、換気装置制御部に送風機の風量の増加を指示することを特徴としてもよい。
これによれば、使用者の指示に基づき運転している場合であっても、異常状態に対応して換気装置の風量を増加することで安全性を確保することができる。
【0011】
さらに、連携制御部は、所定時間経過する前に風量状態情報に変化があった場合、再び風量操作部に対して指示操作がなされたと判断し、風量状態情報に変化があった時から所定時間が経過するまで連携制御部の指示を無効とすることを特徴としてもよい。
これによれば、使用者の指示に基づき運転している場合にさらに使用者の指示操作が行われた場合、使用者の最後の指示操作を起点として、そこから所定時間が経過するまで使用者の意思に沿った運転を行うことで、使用者の指示に沿った運転を行うことができる。
【0012】
さらに、連携制御部は、所定時間経過する前に調理器運転状態情報に変化があった場合、調理器運転状態情報に対して予め定められた風量と、調理器運転状態情報に変化があった時の風量状態情報の風量を比較し、予め定められた風量の方が大きい場合、換気装置制御部に予め定められた風量を指示することを特徴としてもよい。
これによれば、使用者の指示に基づいた風量で運転している場合であっても、調理器の火力などの運転状態に応じた風量より小さい場合には客観情報に基づいて運転されるので、適切に換気を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、火力の状態や空気質の状態などの客観情報に基づく運転と、使用者の意思に沿った運転とを適切に切り替えて、利便性を向上させたかつ安全性の高い換気制御システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照して、各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1および
図2を参照して、本実施例に係る換気制御システム100について説明する。換気制御システム100は、室内RMに設置された調理器10と、室内RMの空気を換気する換気装置20と、室内RMの空気の質を検知する検知器30と、検知器30に設けられる連携制御部40とを備える。室内RMは、マンションや戸建てなど住宅におけるキッチン(台所)であるが、飲食店の厨房などであってもよい。
【0016】
調理器10は、使用者がなべやフライパンを使用し調理を行うための機器であり、調理のため調理器操作部14を操作してなべ等を加熱すると、調理器10の上方や周囲に熱、水分、油分、燃焼ガス等を発生させる。換気装置20は、調理器10の上方に設けられ、風量操作部24を操作して、調理器10が発生させた油分等を捕集し、屋外へ排気することにより、室内RMの空気を換気する。検知器30は、加熱された空気が滞留することが多い調理器近傍の壁面の天井付近に設けられ、室内RMの空気質、たとえば、空気の温度、湿度、臭気、油分を含む油煙などの汚染物質、燃焼排ガス、未燃焼ガスなどを検知する検知部31を有する。
【0017】
したがって、検知器30は、調理器10の使用により、空気の温度や湿度の上昇、臭気の増加、油煙などの汚染物質、燃焼排ガス、未燃焼ガスなどの増加を検知したり、換気装置20の使用により、空気の温度や湿度の下降、臭気の減少、油煙などの汚染物質、燃焼排ガス、未燃焼ガスなどの減少を検知したりする。検知器30は、音を発する報知部(図示せず)を備えて、有害ガスなどを検知した場合には警報を鳴らす警報機であってもよい。連携制御部40は、調理器10、換気装置20、および検知器30の各機器が上述したように空気質の観点から関連しているので、各機器を連携させるために制御を行う。本実施例では、連携制御部40は、検知器30に備えられるが、これに特に限定されることはなく、調理器10または換気装置20に備えられてもよいし、これ以外の機器や、または独立に備えられてもよい。
【0018】
調理器10は、なべ等を加熱する加熱部11と、加熱部11の火力を使用者が調節する調理器操作部14と、調理器操作部14の指示に基づき加熱部11の火力を制御する調理器制御部12と、加熱部11の火力の状態を含む調理器運転状態を連携制御部40に伝達する調理器伝達部13とを備える。調理器操作部14は、加熱部11におけるゼロから最大出力までの間の火力を多段階または無段階で調節可能に構成されている。たとえば、火力を多段階で調節できる場合、調理器操作部14は、4つの押しボタンなどで構成されて、加熱部11の火力を、「消火」(火力がゼロ)、「弱」、「中」、「強」(火力が最大出力)の4段階で調節できるようになっている。また、火力を無段階で調節できる場合、調理器操作部14は、回転摘みなどで構成されて、加熱部11の火力を回転摘みの回転角度に応じて火力を調節できるようになっている。なお、調理器運転状態には、加熱部11の火力の状態以外に、調理器において事前設定された調理段階などの状態が含まれる。
【0019】
調理器制御部12は、調理器操作部14が多段階の場合、「消火」の指示があれば火力をゼロにする。すなわち、調理器制御部12は、火力のエネルギー源がガスであればガスの出力をなくし、電気であれば電力をゼロとするように制御する。また、調理器制御部12は、「中」の指示であれば、最大出力の半分程度の火力を出力できるように加熱部11の火力を制御する。さらに、調理器制御部12は、調理器操作部14が無段階の場合、たとえば回転摘みの回転角度に応じて火力を制御する。
【0020】
調理器伝達部13は、調理器操作部14で指示され調理器制御部12で制御された加熱部11の火力などについての状態情報を連携制御部40に伝達するべく、他の機器との間で通信を行う。調理器伝達部13の通信の方法は、他の機器の通信方法と共通していれば、特に限定されない。たとえば、有線通信でもよいし無線通信であってもよい。無線通信の場合、Bluetooth(登録商標)による通信、赤外線による通信、Wifiによる通信等であってもよい。
【0021】
換気装置20は、送風機21と、送風機21の風量を手動で指示操作するための風量操作部24と、送風機21の風量を制御する換気装置制御部22と、送風機21の風量の状態を連携制御部40に伝達する換気装置伝達部23とを備える。送風機21は、油分等を含む空気を吸引し、屋外へ排気するための原動力となる。風量操作部24は、送風機21におけるゼロから最大出力までの間の風量を多段階で調節可能に構成されている。たとえば、風量操作部24は、4つの押しボタンなどで構成されて、送風機21の風量を、「停止」(風量がゼロ)、「弱」、「中」、「強」(風量が最大出力)の4段階で調節できるようになっている。
【0022】
換気装置制御部22は、「停止」の指示があれば風量をゼロにする。すなわち、換気装置制御部22は、送風機21への通電を行わないように制御する。また、換気装置制御部22は、「強」の指示であれば、最大風量を出力できるように送風機21へ最大電力を供給するように制御する。換気装置伝達部23は、換気装置制御部22で制御された送風機21の風量についての状態情報を連携制御部40に伝達するべく、他の機器との間で通信を行う。換気装置伝達部23の通信の方法は、他の機器の通信方法と共通していれば、特に限定されない。
【0023】
検知器30は、室内RMの空気の質を検知する検知部31と、検知部31で検知した空気の質をランク分けする検知器制御部32と、検知部31が検知した空気の質(空気の質の情報自体であってもよいし、後述するように検知器制御部32がランク分けした空気の質のランクであってもよい。以下これらを空気質情報という。)を連携制御部40に伝達する検知器伝達部33と、を備える。検知部31は、空気の温度、湿度、臭気、油分を含む油煙などの汚染物質、燃焼排ガス、未燃焼ガスなどを検知するセンサを備える。
【0024】
検知器制御部32は、検知部31が検知した室内RMの空気質を所定の基準に照らしてランク分けする。たとえば、検知器制御部32は、室内RMの空気質を、「正常」、「やや悪い」、「悪い」、「非常に悪い」の4つにランク分けする。たとえば、室内RMの空気の温度が25°C、湿度が50%であり、油分等の汚染物質がない場合、検知器制御部32は、室内RMの空気質は「正常」のランクにランク分けする。また、たとえば、検知部31が検知した室内RMの空気質が悪化した場合は、検知器制御部32は、悪化の程度に応じて、室内RMの空気質が「やや悪い」、「悪い」、「非常に悪い」のいずれかのランクにランク分けする。
【0025】
検知器伝達部33は、空気質情報を連携制御部40に伝達するべく、他の機器との間で通信を行う。換気装置伝達部23の通信の方法は、他の機器の通信方法と共通していれば、特に限定されない。なお、本実施例の場合、調理器10や換気装置20との伝達のためには共通な通信方法を行う必要があるが、連携制御部40は検知器30に設けられているので、空気質情報を連携制御部40に伝達するためのローカルな通信方法であってもよい。
【0026】
連携制御部40は、本実施例の場合、調理器伝達部13から検知器伝達部33を経由して伝達された加熱部11の調理器運転状態情報と、換気装置伝達部23から検知器伝達部33を経由して伝達された送風機21の風量状態情報と、検知器伝達部33から伝達された空気質情報とを取得する。たとえば、連携制御部40が調理器10に備えられる場合、連携制御部40は、調理器伝達部13から伝達された加熱部11の調理器運転状態情報と、換気装置伝達部23から調理器伝達部13を経由して伝達された送風機21の風量状態情報と、検知器伝達部33から調理器伝達部13を経由して伝達された空気質情報とを取得する。また、連携制御部40が、調理器10、換気装置20、検知器30のいずれにも備えられず、独立して設けられる場合には、連携制御部40は、自身で他の機器の伝達部と通信できるように伝達部を備えた上で、各機器の伝達部からそれぞれの調理器運転状態情報、風量状態情報、空気質情報を取得する。また、連携制御部40は、調理器運転状態情報、風量状態情報、空気質情報のすべてではなく、必要に応じてこれらの一部の情報だけを取得してもよい。
【0027】
連携制御部40は、これらの情報に基づいて、
図3乃至
図6に述べる方法で、換気装置制御部22に送風機21の風量を指示する。まず、
図3を参照して、連携制御部40が、調理器運転状態情報、風量状態情報、および空気質情報を利用せず、調理器10、換気装置20、および検知器30が互いに連携しない状態(連動オフ状態)を説明する。
【0028】
連動オフ状態であっても、検知器30は、室内RMの空気質を検知し、検知器制御部32は、検知した空気質をランク分けして、「正常」である場合にはその旨の情報を、「悪い」などの「異常」である場合にはその旨の情報を空気質情報として連携制御部40に伝達する。しかし、連動オフ状態の場合は、連携制御部40は、伝達された空気質が「正常」である旨、または「異常」である旨の情報、またはそれらに基づく必要な風量の情報を換気装置制御部22に伝達しない。
【0029】
また、連動オフ状態であっても、調理器10は、使用者の操作により点火されたことや火力が「中」や「強」に変化したことをその時の調理器運転状態情報として連携制御部40に伝達する。しかし、連動オフ状態の場合は、連携制御部40は、伝達された火力が「中」である旨、または「強」である旨、「消火」された旨などの情報、またはそれらに基づく必要な風量の情報を換気装置制御部22に伝達しない。
【0030】
また、換気装置20は、使用者の風量操作部24に対する操作により「中」の風量が指示された場合は、換気装置制御部22は「中」の風量が出力できるように送風機21を制御し(風量中運転)、連動オフ状態であっても、「中」で運転されている旨を風量状態情報として連携制御部40へ伝達する。しかし、連動オフ状態の場合は、連携制御部40は、伝達された風量が「中」などである旨の情報を、検知器30や調理器10に伝達しない。
【0031】
図4は、連携制御部40が、調理器運転状態情報および空気質情報を利用して、調理器10、換気装置20、および検知器30が互いに連携する状態(連動オン状態)における基本的な動作を示す。検知器30は、同様に、室内RMの空気質を検知し、検知器制御部32は、検知した空気質をランク分けして、「正常」や「異常」などの旨の情報を空気質情報として連携制御部40に伝達する。そして、さらに連携制御部40は、伝達された空気質が「正常」や「異常」である旨の情報またはそれに基づく必要な風量を換気装置制御部22に伝達し、指示する。
【0032】
たとえば、検知器30が特に「異常」を検知せず、「正常」の空気質情報を連携制御部40に伝達していた際に、検知器30が臭気の「異常」を検知した場合、検知器30は「異常」の空気質情報を連携制御部40に伝達すると共に、連携制御部40は、「異常」である旨の情報またはその「異常」のレベルに基づく必要な風量を換気装置制御部22に伝達し、指示する。そうすると、換気装置制御部22は、送風機21をその指示された風量を出力するように制御する。換気装置20が指示された風量で運転したことにより臭気が屋外に排気されると、検知器30は、その空気質を検知して「正常」にランク分けし、空気質情報として連携制御部40に伝達する。そして、連携制御部40は、伝達された空気質が「正常」である旨の情報またはそれに基づいて風量が不要(風量がゼロ)の停止指示を換気装置制御部22に行う。そうすると、換気装置制御部22は、送風機21を停止する。
【0033】
また、調理器10は、「消火」の状態から加熱部11が点火されて「中」の火力となった場合、火力が「中」である旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。そして、さらに連携制御部40は、火力が「中」である旨の情報またはそれに対応する風量である「中」の風量の情報を換気装置制御部22に伝達、指示する。さらに、調理器10は、「中」の状態から「強」の火力となった場合、火力が「強」である旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。そして、さらに連携制御部40は、火力が「強」である旨の情報またはそれに対応する風量である「強」の風量の情報を換気装置制御部22に伝達、指示する。そして、調理器10は、「強」の状態から「消火」された場合、火力がゼロである旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。そして、連携制御部40は、伝達された調理器運転状態情報に基づく風量であるゼロの風量(「停止」)を換気装置制御部22に伝達、指示する。
【0034】
なお、本実施例では、調理器10が、「消火」、「弱」、「中」、「強」の4段階で火力を調節でき、換気装置20が、「停止」、「弱」、「中」、「強」の4段階で風量を調節できる場合を例示として説明しているので、調理器10の「消火」状態と換気装置20の「停止」状態、調理器10の「弱」状態と換気装置20の「弱」状態、調理器10の「中」状態と換気装置20の「中」状態、調理器10の「強」状態と換気装置20の「強」状態にそれぞれ対応している。もちろんこれに限定されず、調理器10が「消火」、「弱」、「中」、「強」、「最強」の5段階で火力を調節できる場合、調理器10の「消火」状態と換気装置20の「停止」状態、調理器10の「弱」状態と換気装置20の「弱」状態、調理器10の「中」状態と換気装置20の「中」状態、調理器10の「強」または「最強」状態と換気装置20の「強」状態に対応してもよい。また、調理器10が無段階の調節が可能な場合、調理器操作部14の回転摘みの回転角度に対応させて風量を決めてもよい。
【0035】
また、連携制御部40が、空気質情報および調理器運転状態情報を、対応する風量に変換してから換気装置制御部22にその風量を伝達、指示してもよいし、伝達された空気質情報および調理器運転状態情報をそのまま換気装置制御部22に伝達し、換気装置制御部22がその空気質情報および調理器運転状態情報に対応した風量に変換して、送風機21にその風量を指示してもよい。
【0036】
図5は、連携制御部40が、調理器運転状態情報および空気質情報を利用して、調理器10、換気装置20、および検知器30が互いに連携する状態(連動オン状態)において、検知器30の検知と調理器10の操作が同時並行的に起こる場合の動作を示す。初期状態は、調理器10は「消火」状態、検知器30は「正常」状態、換気装置20は「停止」状態である。
【0037】
使用者が調理器10を火力「中」で点火すると、調理器制御部12は、火力が「中」である旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。連携制御部40は、伝達された調理器運転状態情報に対応した「中」の風量を換気装置制御部22に伝達し、換気装置20は、風量を「中」で運転する。換気装置20が「中」で運転している際に、検知器30が臭気レベルが小などのあまり重大でない異常(異常(小))を検知した場合、検知器30は「異常(小)」としての空気質情報を連携制御部40に伝達する。空気質情報の「異常(小)」に対応する風量が「弱」である場合、連携制御部40は、調理器10の調理器運転状態情報がより大きな風量が必要な状態なので、風量を「弱」とする指示はしない。このように、連携制御部40は、1つの機器の状態に基づいてある風量で運転するように指示した後に、別の機器からその風量より小さな風量で運転してもよい状態の伝達を受けても、風量を変更せず、先の風量を維持する。これにより、より安全な換気制御が可能となる。
【0038】
換気装置20が風量「中」で運転している際に、検知器30が臭気レベルが大などの大きな異常(異常(大))を検知した場合、検知器30は「異常(大)」としての空気質情報を連携制御部40に伝達する。空気質情報の「異常(大)」に対応する風量が「強」である場合、連携制御部40は、調理器10の調理器運転状態情報より大きな風量が必要となったので、風量を「強」とする指示を行う。このように、連携制御部40は、1つの機器の状態に基づいてある風量で運転するように指示した後に、別の機器からその風量より大きな風量で運転する状態の伝達を受けた場合、風量を変更し、より大きな風量で運転するように指示する。これにより、より安全な換気制御が可能となる。
【0039】
換気装置20が風量「強」で運転している際に、調理器10が使用者の操作により「消火」状態となった場合、調理器制御部12は、火力がゼロになった旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。調理器10が単独で「消火」となった場合、連携制御部40は、通常換気装置制御部22に風量をゼロとすべく運転の停止を指示するが、検知器30が伝達した「異常(大)」の空気質情報に基づいて風量「強」の運転を行っているので、風量を「停止」状態とする指示はしない。この場合も上述したように、連携制御部40は、1つの機器の状態に基づいてある風量で運転するように指示した後に、別の機器からその風量より小さな風量で運転してもよい状態の伝達を受けても、風量を変更せず、先の風量を維持する。これにより、より安全な換気制御が可能となる。
【0040】
その後、換気装置20が風量「強」で運転し続け臭気等を排気したことにより、検知器30は異常を検知せず「正常」を検知した場合、「正常」の空気質情報を連携制御部40に伝達する。この伝達により、連携制御部40は運転を継続する理由が消滅したので、換気装置制御部22に「停止」を伝達、指示する。
【0041】
図6は、連携制御部40が、調理器運転状態情報および空気質情報を利用して、調理器10、換気装置20、および検知器30が互いに連携する状態(連動オン状態)において、使用者が換気装置20の風量操作部24を操作して手動で風量を変更する場合の動作を示す。初期状態は、調理器10は「消火」状態、検知器30は「正常」状態、換気装置20は「停止」状態である。
【0042】
使用者が調理器10を火力「弱」で点火すると、調理器制御部12は、火力が「弱」である旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。連携制御部40は、伝達された調理器運転状態情報に対応した「弱」の風量を換気装置制御部22に伝達し、換気装置20は、風量を「弱」で運転する。換気装置20が「弱」で運転している際に、使用者は、たとえば室内RMの温度を下げようと思い、風量操作部24を操作して換気装置20の風量を「中」とする指示操作をした。そうすると、換気装置制御部22は、送風機21を風量「中」で運転するよう制御すると共に、その指示操作あったことを連携制御部40に伝達する。かかる伝達があった場合、連携制御部40は、風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断する。このようにすることで、簡易な構成により使用者の指示操作に基づく風量であるか否かを判断できる。
【0043】
換気装置20が、空気質情報や調理器運転状態情報に対応した風量で連携制御部40の指示による運転している状態において、風量操作部24の操作により風量が指示された場合、所定期間手動優先モードになる。手動優先モードとは、このモードの時に空気質情報や調理器運転状態情報が伝達されて風量を変更する場合であっても変更を行わないモードである。所定期間とは、使用者の意思によりその風量を継続したい時間であり、数分から数十分が想定され、適宜定められる。
【0044】
たとえば、本図に示すように、手動優先モードが継続している最中に、調理器10の火力が「強」とされた旨の調理器運転状態情報が伝達されても、風量操作部24に対して風量「中」とする指示操作がなされているので、連携制御部40の指示は無効とされる。なお、この場合の「連携制御部40の指示が無効にされる」とは、連携制御部40が、所定時間が経過するまで換気装置制御部22に送風機21の風量を指示しない、または、換気装置制御部22が、所定時間が経過するまで連携制御部40からの送風機21の風量の指示を受け付けない、または、換気装置制御部22が、連携制御部40からの送風機21の風量の指示を受け付けても、所定時間が経過するまで送風機21に風量の指示を行わないことを意味する。これによれば、換気制御システム100は、的確に使用者の意思に基づく運転制御を行うことができる。
【0045】
そして、所定時間が経過すると、連携制御部40は、手動優先モードを解除し、連動オン状態に戻る。そうすると、たとえば、検知器30が異常(大)を検知した場合、その旨の空気質情報を連携制御部40に伝達し、連携制御部40は、異常(大)の空気質情報に対応する風量である風量「強」の指示を換気装置制御部22に行う。上述したように、連携制御部40の指示に基づく風量で運転している状態において、連携制御部40が風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断した場合には、所定時間が経過するまで連携制御部40の指示を無効とし、換気装置制御部22は風量操作部24に対する指示操作に基づいて送風機21の風量を制御する。そして、連携制御部40はその所定時間の経過後は指示の無効を解除し、換気制御システム100は、連携制御部40の指示に基づいて送風機21の風量を制御する。
【0046】
このように、火力の状態や空気質の状態などの客観情報に基づく風量で運転している状態においても使用者の指示操作がなされたと判断した場合には、使用者の意思に沿った動作を提供すると共に、所定時間の経過後は再び客観情報に基づく風量で運転することで、利便性が向上した換気制御システム100を提供できる。また、風量操作部24に指示操作あったことの伝達があった場合、連携制御部40は、風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断することで、簡易な構成により使用者の指示操作に基づく風量であるか否かを判断できるので、使用者の指示操作がなされたにも拘わらず、客観情報に基づく運転に切り替えてしまうことを所定時間防止することができる。また、これにより、使用者の意思に基づく運転制御が行われるため、利便性が向上する。
【0047】
<第一実施例の変形例>
図7は、連携制御部40が、調理器運転状態情報および空気質情報を利用して、調理器10、換気装置20、および検知器30が互いに連携する状態(連動オン状態)において、使用者が換気装置20の風量操作部24を操作して手動で風量を変更した後、所定時間内に火力の変更や空気質が悪化した場合の動作を示す。
【0048】
使用者が調理器10を火力「中」で点火すると、調理器制御部12は、火力が「中」である旨の調理器運転状態情報を連携制御部40に伝達する。連携制御部40は、伝達された調理器運転状態情報に対応した「中」の風量を換気装置制御部22に伝達し、換気装置20は、風量を「中」で運転する。換気装置20が「中」で運転している際に、使用者は、風量操作部24を操作して換気装置20の風量を「弱」とする指示操作をした。そうすると、換気装置制御部22は、送風機21を風量「弱」で運転するように制御すると共に、その指示操作があったことを連携制御部40に伝達する。かかる伝達があった場合、連携制御部40は、風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断する。
【0049】
換気装置20が、空気質情報や調理器運転状態情報に対応した風量で連携制御部40の指示による運転している状態において、風量操作部24の操作により風量が指示された場合、換気装置制御部22は連携制御部40に指示操作があった旨を伝達し、所定期間手動優先モードになる。この手動優先モードが継続している最中に、調理器10の火力が「中」とされたた場合、その旨の調理器運転状態情報が伝達され、連携制御部40は、換気装置制御部22に風量「中」とする旨を伝達、指示してもよい。このように、連携制御部40は、所定時間経過する前に調理器運転状態情報に変化があった場合、調理器運転状態情報に対して予め定められた風量と、調理器運転状態情報に変化があった時の風量状態情報の風量を比較し、予め定められた風量の方が大きい場合、換気装置制御部22に風量が大きい方の風量である予め定められた風量を指示してもよい。これによれば、使用者の指示に基づいた風量で運転している場合であっても、調理器の火力に応じた風量より小さい場合には客観情報に基づいて運転されるので、適切に換気を行うことができる。
【0050】
また、換気装置制御部22が風量「中」で運転しており、手動優先モードが継続している最中であっても、検知器30が有害ガスを検知して、「異常(危険)」の空気質情報が連携制御部40に伝達された場合、連携制御部40は、風量「大」を換気装置制御部22に伝達、指示してもよい。すなわち、連携制御部40は、所定時間経過する前であっても、すなわち手動優先モードが継続している最中に、空気質情報が異常(危険)と判断された場合は、換気装置制御部22に送風機21の風量の増加を指示してもよい。こうすることにより、使用者の指示に基づき運転している場合であっても、異常状態に対応して換気装置の風量を増加することで安全性を確保することができる。また、この場合、連携制御部40は、調理器制御部12に加熱部11の火力の停止(消火)を指示してもよい。こうすることにより、使用者の指示に基づき運転している場合であっても、異常(危険)状態に対応して調理器10を停止することで安全性を確保することができる。
【0051】
換気装置20が、空気質情報や調理器運転状態情報に対応した風量で連携制御部40の指示による運転している状態において、風量操作部24の操作により風量が指示された場合、換気装置制御部22は連携制御部40に指示操作があった旨を伝達せず、風量状態情報を伝達するようにしてもよい。この場合、連携制御部40は、最後に換気装置制御部22に指示した送風機21の風量を記憶する記憶部41を有し、記憶部41が記憶する風量と換気装置伝達部23から伝達された風量状態情報における風量を比較し、両風量が互いに異なる場合、風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断する。これによれば、簡易な構成により使用者の指示操作に基づく風量であるか否かを判断できるので、使用者の指示操作がなされたにも拘わらず、客観情報に基づく運転に切り替えてしまうことを所定時間防止することができる。また、これにより、使用者の意思に基づく運転制御が行われるため、利便性が向上する。
【0052】
さらに、連携制御部40は、所定時間経過する前に風量状態情報に変化があった場合、再び風量操作部24に対して指示操作がなされたと判断し、風量状態情報に変化があった時からさらに所定時間が経過するまで連携制御部40の指示が無効にされることとしてもよい。これによれば、使用者の指示に基づき運転している場合にさらに使用者の指示操作が行われた場合、使用者の最後の指示操作を起点として、そこから所定時間が経過するまで使用者の意思に沿った運転を行うことで、使用者の指示に沿った運転を行うことができる。
【0053】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、適用例、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。