(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-156557(P2017-156557A)
(43)【公開日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】位相板、レンズ、および偏光分離素子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20170810BHJP
G02B 1/02 20060101ALI20170810BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/02
G02B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-39853(P2016-39853)
(22)【出願日】2016年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】302060650
【氏名又は名称】株式会社フォトニックラティス
(71)【出願人】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川上 彰二郎
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 貴之
(72)【発明者】
【氏名】居城 俊和
(72)【発明者】
【氏名】千葉 貴史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA24
2H149AB01
2H149BA04
2H149DA01
2H149DA02
2H149DA14
2H149FD46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1枚の基板の上に異なる位相差をもつ位相板を集積させる。
【解決手段】3次元空間x,y,zにおいてxおよびy方向に複屈折の主軸を持ち、z方向に光が伝搬するz方向に積層されたフォトニック結晶を含み、xy面内において周期的な溝がy方向に周期pで並ぶことで複屈折を発現している位相板であって、溝がx方向に沿った直線ではなくx方向に対して周期qで折れ曲がっており、溝の折れ曲がる角度θによって位相差が変化する。3次元フォトニック結晶微小波長板の集合体積層することにより、場所によって位相差を制御できる位相板を与える。これにより特定偏光に対して動作するレンズもしくは偏光分離素子を1枚の基板の上に複数形成し、高機能な光学素子を実現する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間x,y,zにおいてxおよびy方向に複屈折の主軸を持ち、光が伝搬する方向であるz方向に積層されたフォトニック結晶を含み、xy面内において周期的な溝がy方向に周期pで並ぶことで複屈折を発現している位相板であって、
前記溝がx方向に沿った直線ではなくx方向に対して周期qで折れ曲がっており、前記溝の折れ曲がる角度θによって位相差が変化することを特徴とした
位相板。
【請求項2】
前記周期pおよび周期qが、前記位相板を伝播する前記光の波長以下である
請求項1に記載の位相板。
【請求項3】
3次元空間x,y,zにおいて、x軸およびy軸を複屈折の主軸とし、z方向に伸びる柱状の中央部と、
前記中央部を中心にし、xおよびy方向の外側に向かって前記中央部を囲む少なくとも1つの周辺部とを有し、
前記中央部もしくは前記周辺部のいずれかは、請求項1または請求項2に記載の位相板であり、
前記中央部は、前記周辺部よりも高い実効屈折率を持ち、xまたはy方向に電界をもつ光をz方向に導く
レンズ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の位相板を含む偏光分離素子であって、
3次元空間x,y,zにおいて、x方向に前記偏光分離素子を伝播する光の波長以上の周期で短冊状に領域分割されており、その分割された一つ一つの領域内に、y方向に主軸方位を持つ前記位相板が形成されており、それらの領域の端から端にむかってy軸方向に位相差が単調増加もしくは単調減少する構造において、
y方向においては光の入射範囲内で位相が一様であり、x方向の偏光とy方向の偏光がyz面内で異なる方向に伝搬する
偏光分離素子。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の位相板を含む偏光分離素子であって、
3次元空間x,y,zにおいて、x方向に前記偏光分離素子を伝播する光の波長以上の周期で短冊状に領域分割されており、その分割された一つ一つの領域内に、y方向に主軸方位を持つ前記位相板が形成されており、それらの領域の端から端に向かってy方向に位相差が単調増加もしくは単調減少する構造において、
y方向の端ではy方向に延びる溝が角度θで折れ曲がり、y方向に進むにつれて前記角度θが単調増加し、前記角度θが45度になるところを境に溝がx方向に延びる構造となり、y方向の端ではx方向に延びる溝となることで、連続的に形状が入れ替わる構造を持ち、
y方向においては光の入射範囲内で一様であり、x方向の偏光とy方向の偏光がyz面内で異なる方向に伝搬する
偏光分離素子。
【請求項6】
前記フォトニック結晶は、高屈折率材料と低屈折率材料とがz方向に積層された構造であり、
前記高屈折率材料が、5酸化タンタル、5酸化ニオブ、アモルファスシリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムの1種、またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであり、
前記低屈折率材料が、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムを含むフッ化物の1種、またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものである
請求項1または請求項2に記載の位相板。
【請求項7】
異なる方位及び位相差を持った複数の前記位相板が、一枚の基板上の複数領域に一括集積されている
請求項1または請求項2に記載の位相板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己クローニング型フォトニック結晶を利用した位相板に関する。具体的に説明すると、本発明は、場所ごとの構造を制御することで、それぞれの場所に入射した光の位相を制御することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
入射する光の偏光方向によって異なる実効屈折率を持つことを複屈折とよぶ。通常、方解石のような異方性を持つ光学結晶は複屈折を持つ。この複屈折を利用することで、直交する偏光間に異なる位相差を与えることができる。こうした素子を位相板と呼ぶ。
位相差が波長の1/4の場合は1/4波長板とよばれ、例えば直線偏光を円偏光に変換する際に用いられる。位相差が波長の1/2の場合には1/2波長板と呼ばれ、偏光の主軸方向を回転させる際に用いられる。
【0003】
位相板の実現方法は上記の光学結晶だけではなく、入射する光の波長に比べ小さい微細構造を形成することで実現できることは知られている(例えば非特許文献1参照)。その実現方法について例えばフェムト秒レーザを用いた方法(例えば特許文献1参照)、ドライエッチングにより微細な溝を実現する方法(例えば非特許文献2参照)が提案されている。
しかしレーザによる描画ではスループットに限界があり、大面積の素子を量産することは膨大な設備投資が必要である。一方でドライエッチングにより波長に比べて周期の短い溝を形成して波長板を実現する場合、例えば屈折率1.46のSiO
2を溝加工し、波長500nmで動作する1/2波長板を実現しようとすると、深さ2500nm程度の溝が必要となり、このような高いアスペクト比の構造を安定して実現することは困難である。
【0004】
一方、本発明者らは、平坦な基板上に任意の凹凸構造を与え、その後エッチングと成膜を繰り返す自己クローニング法を提案した(たとえば特許文献2参照)。自己クローニング法は、誘電体交互多層膜を基本構造としたフォトニック結晶を実現する。基板の凹凸をたとえば一方向に並んだ溝にすることで、
図1に示すような構造異方性を持った多層膜が実現できる。多層膜の積層で機能を実現するため、段落0003に記載したようなアスペクト比の問題もなく、安定して高い位相差を実現できる。
こうした構造では基板の溝の向きで異方性の向きを変えられるため、例えば1枚の基板上に異なる方位を持った位相板を実現することができる(たとえば特許文献3参照)。
また光の波長から見て十分に長い溝ではなく、有限の長さの溝の集合とすることで異方性の強さを場所によって制御することができる(例えば特許文献4を参照)。ただし光の回折が発生すると効率が悪化するため、用いることのできるパラメータの範囲は限られている。
なおこうしたことは段落0003で述べた、深い溝もしくは空隙によって複屈折を発現させる場合にも同様のことができることは自明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】「ナノ空孔周期配列体の作製方法及びその装置」特開2006−239718号公報
【特許文献2】「3次元周期構造体及びその作製方法並びに膜の製造方法」特開平10−335758号公報
【特許文献3】「集積型光学素子」特開2003−31552号公報
【特許文献4】「多値波長板」特開2008−336250号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M.Born and E. Wolf, 「光学の原理」、東海大学出版会、pp.1030-1033
【非特許文献2】Panasonic Technical Journal Vol. 58, No. 1, Apr. 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学系において、位相板は偏光を制御する上で重要な光学素子である。かつ光学結晶では異方性の軸は結晶構造で決まるため、例えば1枚の素子の面内で異なる方位の領域を複数実現することは困難である。もちろん複数の素子を貼り合わせることで実現は可能であるが、境界部分に不整領域が生じる。また数百ミクロン以下といった微小な領域分割はほぼ不可能である。
【0008】
一方で本発明のような人工構造を用いた位相板では、場所によって異なる方位の素子を実現したり、場所によって異なる位相差を実現したりすることができる。こうした機能は、例えば光通信に用いられる光集積回路に溝を切って、上記のような位相板を差し込むことで、チャンネルごとに偏光状態を制御し、異なる位相差を与えることができるため、高機能を集積化することができる。
【0009】
また本素子を用いることで特定偏光に対しての実効屈折率を面内で制御することができるようになる。すると例えばレンズを実現でき、従来の曲面加工によるレンズでは実現できなかったような微小なレンズを高精度に実現できる。
【0010】
また直交偏光間の位相差に分布をつけことできるということは、それぞれの偏光に対して逆の位相分布を実現することができることと等値であり、別の位相面を実現することで偏光分離素子が実現できる。
【0011】
本発明はそのような機能集積化位相板において異なる位相差を制御性良く実現することのできる位相板、レンズ、もしくは偏光分離素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面は、基板面内で異なる位相差を持つ複合位相板に関する。本発明の位相板は、
図2に示すような2種類以上の透明誘電体多層膜を基本構造とし、3次元空間においてxおよびy方向に複屈折の主軸を持ち、光が伝播する方向であるz方向に2種以上の屈折率の異なる物質(透明体)積層されて伸びている。位相板に入射した光はz方向に伝搬する。具体的に、位相板は、自己クローニング型フォトニック結晶で構成されている。位相板は、
図3に示すようにxy面内において周期的な溝がy方向に周期pで並ぶことで複屈折を発現している構造であり、その溝がx方向に沿った直線ではなくx方向に対して周期qで折れ曲がっているおり、その溝が折れ曲がる角度θによって位相差が変化することを特徴とした位相板である。なお、ここにいう、溝が周期qでx方向に対して角度θ折れ曲がっていることとは、
図3に示されるように、x方向と平行に延びる仮想線に対して角度+θで傾斜する溝と角度−θで傾斜する溝とを一つの周期pとし、この周期pがx方向に繰り返されていることを意味する。つまり、折れ曲がりの頂点を基準として線対称となるようにx軸に対して傾斜した溝を一つの周期pとし、この周期pがx方向に繰り返されることとなる。
【0013】
こうした構造は基板に
図4のような周期的な溝を形成しておき、その上に自己クローニング法を用いてフォトニック結晶を形成することで容易に実現される。その位相板の持つ位相差はx軸方向に対する角度θに依存するため、1枚の基板の任意の領域に任意の角度θを持つ構造を実現すれば、その領域ごとに異なる位相差を持つ位相板を実現することができる。
なお位相板の主軸方位は実効屈折率の高い方向を示す遅軸、実効屈折率の低い方向を示す速軸のどちらであってもかまわない。
また図では溝を折れ曲がった直線で表しているが曲線であってもかまわない。
【0014】
このようなxy面内で周期性を持つ構造ではxy面内の周期p及び周期qを、動作する光の波長以下にすることが望ましい。周期p及び周期qが動作する光の波長以上の周期を持つ場合、光が回折し、例えば垂直に入れた光が垂直以外の方向にも出射される。したがって垂直方向への透過率が低下する。もちろんその度合いは構造によるため、波長よりも大きな周期を持っていても、必要とされる性能を満たせば十分用いることができることは明らかである。
具体的に、位相板に入射する光の波長が200nm〜1800nmであることを想定し、xy面内の周期p及び周期qは200nm〜1800nm以下とすることが好ましい。
また周期的に並ぶ溝の方向は任意の方向でよく、ある領域の隣に別の方向の構造も実現できる。その場合、個々の領域で異なる主軸方位を実現することができる。
【0015】
なおxy面内で異なる位相差を持つ位相板を実現する方法として特許文献4がある。この場合は溝の方向を変えるのではなく、溝の連続性を変化させ位相差を制御している。ただしこの場合、位相差は溝の周期に対して非常に敏感に変化するため制御しづらいという欠点がある。一方で本発明の場合、位相差は溝の角度θに対して緩やかに変化するため制御性に優れるという特徴を持つ。
【0016】
本発明における位相板は、フォトニック結晶である。フォトニック結晶は、公知であるが、導波する光の動作波長よりも短い周期で屈折率が周期的に変化する構造体であるといえる。特に、波長板は、自己クローニング作用により形成されたフォトニック結晶であることが好ましい。フォトニック結晶は、光学素子として機能する微小周期構造体である。具体的なフォトニック結晶の製造方法としては、特許文献3に開示されているように、1次元的または2次元的に周期的な凹凸をもつ基板の上に、2種類以上の屈折率の異なる物質(透明体)を周期的に順次積層し、その積層の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを単独でまたは成膜と同時に用いることにより、光学素子(波長板)を製造する方法があげられる。この方法は、自己クローニング法ともよばれる。そして、この自己クローニング法により形成されたフォトニック結晶は、自己クローニング型フォトニック結晶とよばれる。なお、自己クローニング型フォトニック結晶を用いて波長板を構成する技術は公知である(例えば特許文献3参照)。例えばフォトニック結晶の別の作製方法として、フェムト秒レーザをガラスに照射することで周期的な空隙を作製する方法が挙げられる(例えば非特許文献3参照)。
【0017】
自己クローニング型フォトニック結晶は、高屈折率材料と低屈折率材料とをz方向に交互に積層した構造を有する。高屈折率材料は、5酸化タンタル、5酸化ニオブ、アモルファスシリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムの1種またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。低屈折率材料は、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムを含むフッ化物の1種またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。
【0018】
自己クローニング作用で形成される周期溝状(凹凸)の構造において溝の基本周期が、入射する光の光波長以下であることが好ましい。また、溝の基本周期は、入射する光の光波長の6分の1以下または8分の1以下とすることもできる。前述したとおり、位相板に入射する光の波長は200nm〜1800nmを想定するとよい。
【0019】
上述したとおり、本発明の位相板は基板に垂直に入る光(すなわちz方向に伝播する光)について動作する。もちろん垂直以外の入射角度においても動作するが、入射角に応じて位相差は変化する。
【0020】
本発明の第2の側面は、第1の側面に係る位相板を用いて実現したレンズに関する。
例えば
図5のようにそれぞれ異なる溝のパターンを持つ複数の領域を1枚の基板の上に形成し、積層するとそれぞれ異なる位相差を持つ領域を実現できる。それぞれの領域は特定方向の偏光を持つ光から見た場合、それぞれの領域が異なる実効屈折率を持つことになる。
したがって例えば
図5のように円環状の複数領域にそれぞれ実効屈折率の異なる溝のパターンを配し、特定方向に対して中央部分の実効屈折率が最大となり最外周部分の実効屈折率が最少となるように設定することで、入射した光をある焦点距離で集光するレンズとして機能する。
【0021】
本発明の第3の側面は、第1の側面に係る位相板を用いて実現した偏光分離素子に関する。例えば
図7のように複数領域がy方向に周期的に並ぶように配置し、その周期の中で特定偏光に対する実効屈折率がy方向に増加、もしくは減少となるように配置する。
図7には各領域の境界に隙間が見えるが、角度を徐々に変化させることで隙間は無視できる。実際には各領域が入射する光の波長よりも短い周期で段階的に変化することで実現される。
そのように実効屈折率の増減が光の波長に比べて大きい周期で並ぶことで、入射した光が特定方向に回折される回折格子として機能する。今回の構造では直交する偏光を入れた場合、実効屈折率の増減が逆転するため位相の分布が逆になり、逆方向に回折され、偏光分離素子として機能する。
また
図7の構造では溝がy方向に平行なパターン部分と溝がx方向に折れ曲がりながら伸びる構造との接続は実際には不連続部分が生じる。そこで
図8に示すように折れ曲がる角度が45度になる領域801において溝の折れ曲がりをx軸に対して対称に折り返すことで、滑らかにつなげることができる。
【0022】
デジタルコヒーレント光通信(あるいはコヒーレント光通信)では、一つの光学素子が扱うべき光ビームが、所定の直線偏光に限定される場合が多い。従来の屈折勾配型レンズでは等方的な屈折率の大小差により光を集めるが、本発明に係る直線偏光系(片偏光系)の光学素子では複屈折を用いることができる。入射光の電界に対し複屈折の遅軸方向を平行に置くと位相遅れが大きく片偏光に対しては屈折率が高いのと同等である。速軸を平行に置くとその反対である。
また一方でデジタルコヒーレント光通信では直交する偏光を分離、合成する機能が各所で必要となる。その場合、薄い板状の素子で偏光分離が可能であれば光学系の設計自由度が高まり、高集積化が実現できる。
なお、実効屈折率について説明する。波長板は有限な厚さをもつフォトニック結晶で構成されていて、導波されるべき偏波を持つ光が波長板内の単位光路長あたりに受ける位相遅れを2πN/λラジアンで表すときのNが実効屈折率である。λは使用波長である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、1枚の基板の上に任意の位相差を持つ位相板を任意の領域に形成することが可能となり、面内で任意の位相分布を実現できる。従来にも面内パターンで位相差を制御する素子は提案されていたが、そちらに比べはるかに高い自由度で位相差を制御することができる。
【0024】
本発明の素子用いてレンズを実現すれば光学素子の厚さおよび焦点距離を薄型に改善して、発光デバイスと受光デバイスを効率よく簡便に結合することが可能となる。たとえばコヒーレント光通信用に平面光回路(PLC)と光ファイバを結合したり、あるいはInP光変調器の微小で楕円形状の光を直径が大きく円形の光ファイバに平板貼り合わせの方法で実装できるなど、部品数削減、工数節約、原価低減などの便益が大きい。また、光通信やレーザー応用において、設計で意図していない偏波成分により、好ましくない効果を引き起こすことがある。本光学素子は、所定の直線偏光対して集光する光導波機能を持つ一方、これに直交する偏波に対しては発散あるいは放射機能を持つことから、本光学素子を、一定偏波を前提とするデバイス間の接続に使用することで偏波消光比を向上させることができる。
【0025】
また同じくデジタルコヒーレント光通信では直行する偏光それぞれに異なる信号を乗せて伝送することが行われる。そこでは偏光の分離・合成が必要不可欠であり、偏光分離の機能は欠かせない。例えば本発明の偏光分離素子を適用することで、光学系に1枚素子を挿入することで簡便に偏光分離が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、従来のフォトニック結晶型波長板を示している。自己クローニング法を用いて2種類の透明媒質を凹凸のある基板の上に積層してある。
【
図2】
図2は、本発明の基本となる位相板の構造を示しており、
図1の構造のx方向にも周期性を導入した構造である。
【
図3】
図3は、
図2の溝の構造をz方向から見た平面図である。実線が尾根の線を表し、点線が谷の線を表している。y方向の周期がpであり、x方向の周期がqである。溝の構造はx軸に対して角度±θで折れ曲がっている。
【
図5】
図5は、本発明の位相板がレンズとして機能するパターンを示した図である。入射する光がx方向に偏光している場合、図中の点線上における実効屈折率折率分布が下のグラフに書かれており中心部が高くなるように設計されている。
【
図6】
図6は、
図2の構造をz方向に積層してレンズ構造にしたもの、またそれをxy面内に複合化した一例を示している。
【
図7】
図7は、周期的にパターンを変えることで実効屈折率を周期的に変化させ、偏光分離素子として機能させる際の溝のパターンを示している。入射する光がx方向に偏光している場合の点線上の実効屈折率を
図7の下のグラフに示す。
【
図8】
図8は、周期的にパターンを変えることで実効屈折率を周期的に変化させ、偏光分離素子として機能させる際の溝のパターンを示している。
図8に示した例は、途中で溝の方向が90度滑らかに入れ替わる構造となっている。
【
図9】
図9は、場所ごとに位相差の異なる領域を1枚の板の上に形成し、波長532nmで測定した結果を示す。横軸は自己クローニング構造の積層周期であり、縦軸は位相差である。
【
図10】
図10は、
図9で測定した素子を上から電子顕微鏡で観察した写真の一例である。
【
図11】
図11は、場所ごとに位相差の異なる領域を1枚の板の上に形成し、波長1550nmで測定した結果を示す。横軸は自己クローニング構造の積層周期であり、縦軸は位相差である。
【
図12】
図12は、
図5に示すレンズを波長1550nm用に設計し、FDTD法によりシミュレーションした結果を示す。直径10ミクロンで左から入ったビームがレンズ部から9ミクロン右に離れたところに直径3ミクロンに集光されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態を実施例に則して説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0028】
図1は、自己クローニング型フォトニック結晶によって形成された従来の波長板を示す。自己クローニング型フォトニック結晶は、3次元空間x,y,zにおいて、xy面に1次元的または2次元的に周期的な凹凸をもつ基板101の上に、z方向に2種類以上の物質(透明体)を周期的に順次積層した構造を持つ。この積層の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを単独で、または成膜と同時に用いることにより、光学素子(波長板)として利用できる。
図1に示した例では、基板101は、x方向に延びる凹凸が、y方向に向かって周期的に形成されている。基板101の上には、z方向に向かって、屈折率の異なる第1透明媒質102と第2透明媒質103が交互に積層されている。例えば、第1透明媒質102が高屈折率層を形成し、第2透明媒質103が低屈折率層を形成する。第1透明媒質102と第2透明媒質103は、基板の凹凸に対応した凹凸構造を有する。第1透明媒質102と第2透明媒質103によって構成された積層体は、基板の凹に対応した位置に、谷線104が形成されている。この谷線104がフォトニック結晶に1次元的または2次元的な周期構造をもたらす。このような自己クローニング型フォトニック結晶の製造方法は、特許文献3や特許文献4に開示されているように公知である。
【0029】
自己クローニング型フォトニック結晶を形成する複数種類の透明体は、アモルファスシリコン、5酸化ニオブ、5酸化タンタル、酸化チタン、酸化ハフニウム、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムなどのフッ化物のいずれかであることが好ましい。これらの中から屈折率の異なる2ないし複数種を選択しフォトニック結晶に用いることができる。例えばアモルファスシリコンと二酸化ケイ素、5酸化ニオブと二酸化ケイ素、五酸化タンタルと二酸化ケイ素の組み合わせが望ましいが、それ以外の組み合わせでも可能である。具体的には、自己クローニング型フォトニック結晶は、高屈折率材料と低屈折率材料とをz方向に交互に積層した構造を有する。高屈折率材料は、5酸化タンタル、5酸化ニオブ、アモルファスシリコン、酸化チタン、酸化ハフニウムまたはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。低屈折率材料は、2酸化ケイ素、酸化アルミ、フッ化マグネシウムを含むフッ化物またはこれら2種以上の材料を組み合わせたものであることが好ましい。
【0030】
図1に示されるように、自己クローニング型フォトニック結晶によって形成された波長板は、z軸に平行に光が入射するとき、複屈折性があり、x軸は遅波軸、y軸は速波軸として振る舞う。即ち電界がx軸に平行な波がz軸方向から波長板を垂直に通過するときの位相遅れは、電界がx軸に垂直な波が示す位相遅れより大であって、実効屈折率が大きいのと同等である。電界がy軸に平行な波に対しては、逆の振る舞いをみせる。
【0031】
自己クローニング法では出来上がる構造は基板のパターンに依存している。xy平面での周期性は基板のパターンで決まる。この特徴を生かして領域ごとに溝の方向を変えて、異なる方位を持つ波長板を1枚の基板の上に集積化できることは特許文献3において周知である。また単なる溝ではなく、溝に平行な方向にも周期性を導入することでパターンによって異方性を制御できることは特許文献4において周知である。なおこうした構造の実効屈折率は、溝に平行な方向に偏光した光が感じる実効屈折率のほうが、溝に垂直に偏光した光が感じる実効屈折率に比べ高くなる。つまり位相板で言われる遅軸は溝に平行な方向となる。
【0032】
本発明では
図4のような基板を用意し、その上に自己クローニング法で構造を形成する。これにより、
図2に示した立体構造の位相板が得られる。また、
図2の位相板の平面図は、
図3に示されている。
溝の周期p、qが入射する光の波長に比べて小さければ、この光から見ると個々の領域の平均的な特性を持つ。この場合、
図4中のパターン方位θ(x軸に対する溝の角度θ:
図3参照)を変えると、構造の異方性が制御できる。具体的には角度θが0度であればy方向のみ周期性を持つ構造となり、遅軸がx方向となる。この場合異方性が最も高くなる。
角度θが0から大きくなるにつれ、異方性が弱まっていく。そしてある角度において異方性は0となり、さらに角度を大きくしていくと、遅軸はy方向となる。
溝の周期p、qは入射する光の波長より小さいことが望ましい。溝の周期p、qが波長よりも大きい場合、その周期に応じた光の回折が生じ透過率は劣化することとなるがが、実用上問題なければ、周期p、qが光の波長よりも大きくてもかまわない。
【0033】
つづいて本発明の位相板を用いたレンズについて説明する。レンズは空間的に屈折率の分布をもち、光の位相面を制御することで光を集光・発散させることができる光学素子である。本発明の位相板(
図2、
図3)の軸方向は共通とし、場所ごとに位相差を変化させる。それは軸方向に平行もしくは垂直な偏光から見た場合、実効屈折率が変化していることと等値である。したがってレンズを実現することができる。
【0034】
図5は、上記の自己クローニング型フォトニック結晶を利用して構成されたレンズの上面図である。
図5に示されるように、レンズは、柱状の中央部501と、この中央部501を囲う周辺部502、503を有する。周辺部は、中央部501に隣接し中央部501を囲う第1周辺部502と、この第1周辺部502に隣接し第1周辺部502を囲う第2周辺部503を含んで構成されている。中央部501、第1周辺部502、および第2周辺部503は、3次元空間x,y,zにおいて、x軸およびy軸を複屈折の主軸とし、z方向に伸びる自己クローニング型フォトニック結晶である。中央部501、第1周辺部502、および第2周辺部503は、基本的に、自己クローニング法において同一の基板上に形成されたものであることが好ましく、すべて一体的に成型されている。そして、これらのうち、第1周辺部502を、前述した周期的に溝が折れ曲がる構造を持つ位相板によって形成する。また、例えば、
図5に示したように、中央部501は溝がy方向と平行に延びるようにし、第2周辺部503は溝がx方向と平行に延びるようにすればよい。また、中央部501と第2周辺部503の溝のパターンは
図5に示したものと逆にすることもできる。
【0035】
図5に示されるように、中央部501と第1周辺部502は、略断面円形(すなわち円柱状)で同心円状に配置されていることが好ましいが、このような形状に限定されない。中央部501と第1周辺部502の断面は、正円形の他に、三角形、四角形、五角形、六角形、その他多角形、あるいは楕円形などとすることも可能である。その場合の半径はこれに外接する円の半径をもって半径とする。また、第2周辺部503の形状は、特に限定されず、第1周辺部502に隣接して、これを囲うことのできる形状であればよい。
【0036】
なお、
図5のようなレンズを形成するにあたり、
図1に示した基板101は、研磨もしくはエッチングによって切除される。ただし、基板101は、一部光導波路として残る場合があるため、石英などの透明材料で形成したものであることが好ましい。これにより、光がレンズのz方向に透過する。
【0037】
フォトニック結晶を
図5のように3領域に配置すると、x方向の偏光に対して、中央部501は透過位相遅れが最大、第2周辺部503は最小、それらの間の第1周辺部502はその平均の遅れを示す。第2周辺部503は、谷線104(溝)がy軸に平行であり、第1周辺部502は、谷線104がある角度θを持ち光に対して等方的になるようにする。また、中央部501では、谷線104がx軸に平行に延びている。つまり、中央部501は、x軸を遅軸としてもつ波長板領域であり、第1周辺部502は、異方性が弱く二つの偏波の伝搬位相遅れが小さい波長板領域であり、第2周辺部503は、x軸を速軸としてもつ波長板領域であるといえる。このように、中央部501には、特定の方向に平行な谷線が周期的に形成され、第2周辺部503には、特定の方向の直交する谷線が周期的に形成され、第1周辺部502には、ある角度に折れ曲がった周期構造が配置されていることが望ましい。なおその折れ曲がった溝の方向はx方向でもy方向でも構わない。また第1周辺部502は完全に等方的でなくても、中央部501と第2周辺部503の間の実効屈折率の値であれば、レンズ作用を実現することができる。
【0038】
図5に示された3階調構造において、x方向の直線偏光に対して、中央部501の実効屈折率が最大となり、第2周辺部503の実効屈折率が最小となり、第1周辺部502の実効屈折率はこれらの間の値をとる。この場合には、中央部501、第1周辺部502、および第2周辺部503のうち、中央部501の実効屈折率が最も高く、第2周辺部503の実効屈折率が最も低い。このため、中央部501に入射した直線偏波光の位相面は中央部が周辺部に比べ遅れることで、集光作用が実現される。一方でy方向の偏光を入れた場合、位相面は中央が周辺部に比べ進むことで、発散作用を実現することができる。
【0039】
図6は、
図2の構造をz方向に積層してレンズ構造にしたもの、またそれをxy面内に複合化した一例を示している。
図6に示されるように、レンズ構造は、同じフォトニック結晶の中に、複数箇所に形成することができる。それぞれのレンズ構造は、同じ設計パラメータ(波長板の数、向き、直径、屈折率又は周期など)を有していてもよいし、異なる設計パラメータを有していてもよい。
【0040】
図6に示されるように、各導波路構造は、
図5に示したものと同様に、中央部601、第1周辺部602、および第2周辺部603を有している。これに加えて、複数の導波路構造をxy面内に複合化した複合体は、各導波路構造を一体的に連結するための基体部604を有している。複合体においては、基体部604の中に、各導波路構造が埋没した状態となる。各導波路構造と基体部604は、自己クローニング法において、基本的に、同一の基板上に形成されたものであることが好ましく、すべて一体的に成型されている。基体部604は、1次元的または2次元的な周期凹凸構造を有していてもよいが、有していなくてもよい。基体部604の実効屈折率は、第2周辺部603の実効屈折率よりもさらに低いことが好ましい。
【0041】
また場所によって実効屈折理を制御できるという本発明の特徴を用いると、回折を利用した偏光分離素子を実現することができる。
図6のように、ある領域がxy面内においてy方向に平行に領域分割されており、その分割された個別領域ごとの内部で異なるパターンにより実効屈折率が変化している構造を実現することができる。分割された複数の個別領域を持つ領域が周期rで周期的にy方向に並ぶことで回折格子を実現できる。周期rよりも十分広いビーム径の光が入射した場合、各領域内で位相面が傾きかつそれが周期rで横に並ぶため、回折がおこる。周期rで並ぶ領域内での位相はそれぞれ一様な方向に一定の割合で増加もしくは減少することが望ましく、特に領域内での両端の位相差が2πである場合、効率よく回折を起こすことができる。両端の位相差は積層数で制御することができ、積層数が多いほど位相差が大きくなる。
なおy方向に偏光した光が角度θで回折された場合、x方向に偏光した光は逆の位相分布が実現されるため―θの方向に回折される。
周期rは光の波長よりも長い必要はある。また長くすればするほど、高次の回折光も発生する。こうした振る舞いは一般的な回折格子と同様である。異なる点は入射する偏光によって動作が逆転するということである。
【実施例1】
【0042】
以下にxy面内で異なる位相差を実現した例を示す。
石英基板上の1mm角の領域に
図3における周期pが180nm、周期qが390nmのパターンで方位θが異なるパターンを電子ビーム露光で形成する。8か所のそれぞれ角度を0度から70度まで10度ずつ異なるパターンを用意した。
そこにSiO
2とNb
2O
5を交互に自己クローニング法で積層する。各層の厚さは40nmで交互に積層した。
それぞれの積層を追加しながら領域の位相差を測定し、角度θと位相差の関係をグラフにしたものを
図9に示す。測定は532nmのレーザを用いて行った。
各領域は積層数に応じて位相差が増加し、かつその傾きはパターンに依存していることが分かる。位相差がマイナスとなっているのは軸方位が90度変わったことを意味する。この結果から折れ曲がるパターンの角度によって位相差が制御できることを実証した。
なお作成した位相板を上から電子顕微鏡で観察した写真を
図10に示す。
【実施例2】
【0043】
波長1.55ミクロン用のパターンを用意し実験を行った結果を示す。石英基板上の1mm角の領域に
図3における周期pが500nm、周期qが720nmのパターンで方位θが異なるパターンを電子ビーム露光で形成する。8か所のそれぞれ角度を0度から70度まで10度ずつ異なるパターンを用意した。そこにSiO
2とNb
2O
5を交互に自己クローニング法で積層する。各層の厚さは120nmで交互に積層した。
それぞれの積層を追加しながら領域の位相差を測定し、角度θと位相差の関係をグラフにしたものを
図11に示す。測定は1550nmのレーザを用いて行った。
各領域は積層数に応じて位相差が増加し、かつその傾きはパターンに依存していることが分かる。位相差がマイナスとなっているのは軸方位が90度変わったことを意味する。
波長ごとに設計を行えば、それぞれの波長で実現できることが示された。
構造の寸法を変えることでさまざまな波長に適用できる。今回の波長は一例であり、別波長でも設計・実現が可能なことは自明である。
【実施例3】
【0044】
波長1.55ミクロン用のレンズを設計した
図5における中央部501は半径2.9ミクロン、第1周辺部502は半径4.1ミクロンとした。中央部501、第2周辺部503の周期はともに500nmであり、第1周辺部502は実施例2と同じ寸法で折れ曲がる角度は55度とした。
X方向に偏光した光を入れた場合の中央部501の実効屈折率は1.886、第1周辺部502の実効屈折率は1.862、第2周辺部503の実効屈折率は1.837となった。
SiO
2とNb
2O
5を交互に自己クローニング法で積層し、各層の厚さは120nmで交互に50周期を積層した構造(厚さ12ミクロン)を想定し、光を入れた場合のシミュレーションを行った。シミュレーションにはFDTD法(有限差分時間領域法)を用いた。その結果を
図12に示す。左側から直径10ミクロンのビームを入射し、出射側には屈折率1.5の接着剤が満たされているとすると、出射端より約9ミクロンの位置に直径3ミクロンで集光されることが確認された。なおy方向に偏光した光を入れた場合は発散される。
【0045】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、実施例に則して本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願に説明した位相板は,使用すべき偏波があらかじめ分かっていることを前提としている。光通信やレーザ応用ではそのような応用領域は多種多様に渡る。代表的なのは半導体レーザの利用では一般に単一偏波動作が利用されるのでレーザと次段との結合、もしくは偏光自由度を二つとも通信の独立のチャネルとするデジタルコヒーレント方式の偏光分離部分などである。
【符号の説明】
【0047】
101…基板
102…第1透明媒質
103…第2透明媒質
104…谷線
501…中央部(x軸を遅軸としてもつ波長板領域)
502…第1周辺部(異方性が小さい波長板領域)
503…第2周辺部(x軸を速軸としてもつ波長板領域)
601…中央部(x軸を遅軸としてもつ波長板領域)
602…第1周辺部(異方性が小さい波長板領域)
603…第2周辺部(x軸を速軸としてもつ波長板領域)
604…基体部
801…溝の方向が入れ替わる部分