【実施例】
【0016】
本発明の超音波流量計は検出部の構造に特徴を有するが、
図2は検出部の正面図、
図3はこれの測定管体に平行な断面図である。超音波検出器の実施例としての基本構成は、
図2に示すように、上記半円状振動子21,31の外周に、粘着性両面テープ41,51を介してクッション材61を取付け、そのクッション材を包み込む形の半円形円筒ケース71を設ける。超音波検出器の内部配置は、
図3に示すように、測定配管1の上流側と下流側に距離を隔てて半円状振動子21,31を配置し、それぞれの半円状振動子の外周には粘着性両面テープ41,51を取り付け、クッション材61に貼りつける。このクッション材61は半円形円筒ケース71のほぼ全長に亘って設けるものとする。
図3の下側に示されたもう片側の半円形円筒ケース(72)とその内部構造は、上記の半円形円筒ケースと全く同一な構成・構造を持つ。この2個の半円状振動子は、流量測定に際しては、上下の半円形円筒ケース71,72を帯状ホース締付け金具91,92によって測定管1の両側から半円状振動子の切断面が密着するまで押し付けられて、合せて1個の元の円環状超音波振動子の形状を復元する。それぞれ片側ずつの半円状振動子21,31及び22,32を内蔵した半円形円筒ケー71,72を、付き合わせて嵌合させた時、この半円状振動子が元の1個の円環状振動子を形成するように、半円状振動子の接触面に
図4に見るようなズレ、傾きの発生を目視で確認できるように、半円形円筒ケースの管軸方向外側を開放した構造となし、もし目視してこの2個の半円状振動子のカミ合せ部分に不具合が有れば、半円状振動子の位置の修正を繰返し施すものとする。さらに、半円状振動子のカミ合せが最適であると確認された状態において、半円形円筒ケース71,72を閉じた時の形成される突き合わせ面の片側に、
図4に見るように、管軸長手方向に外筐のほぼ全長に亘って粘着テープ8を貼り付け、上記半円状振動子のカミ合せ部分の最終調整位置精度の持続保持をなさしめるものとする。実際の測定配管の装填・取外しに際しては、上下の半円形円筒ケース71,72の粘着テープ8を取り付けた側とは反対側を開いて行い、装填終了後は、
図6に示すように、上下の半円形円筒ケース71,72の外側を、帯状ホース締付け金具91,92を用いて上下の半円形円筒ケース71,72の嵌合が緩まないように固く締付ける。
【0017】
上記の超音波振動子の材質としては、例えばPZT(ジルコン・チタン酸鉛)などの圧電体に電極を設けた圧電素子が使用できる。また上記2個の半円状振動子は、1個の円環状超音波振動子をその直径に沿って2等分に切断して作成されたものであって、その電気的極性方向を一致させて用いるものとする。
【0018】
また、半円状振動子の外周に貼りつける上記粘着性両面テープ41,51は、2個の半円状振動子のカミ合せを修正するため、複数回取付け取外しを行う必要があるため、粘着性が劣化しないように、再剥離性を特長としたポリイミド系の両面テープを用いる。
【0019】
また、2個の半円状振動子のカミ合せ調整が終了した時点で、上下の半円形円筒ケース71,72の片方の突き合わせ面の外側に沿って、両方のケースを跨いで貼りつけられる粘着テープ8は、半円状振動子のカミ合せ位置の保持・固定を長期間確保するため、耐久性のある粘着力と強度を持ったポリイミド系の粘着テープを用いる。
【0020】
また上記のクッション材61,62は、上記2個の半円状振動子が測定管体1を挟み込んだ時、それぞれの半円状振動子の内径面が測定管体の表面との密着性を確保するように、適切な圧力を継続して保持できるような弾力性のある材質と厚みが選定される。なお上記クッション材61,62は、測定管体に適切な圧力を印加する機能の外に上流下流の超音波振動子2,3からの超音波振動が測定管体1を経由しないで、直接もう一方の超音波振動子に伝播する、クロストーク(漏話)を阻止する機能も持っている。実例として、クロロプレンゴムの1mm〜3mmシートの硬度を選んで用いる。
【0021】
またここに用いる半円形円筒ケースは、プラスチック製の円形管から片側を削り取り、正確に半円形断面を成すよう仕上げたものを用いる。上下の半円形円筒ケース71,72を帯状ホース締付け金具91,92を用いて締め付けた時、測定管体1及び、上下半円状振動子からなる円環状振動子と共通の軸を持つ同心円群を成すものである。実例として、上記プラスチック製の円形管は、硬質塩ビ管を用いることができる。
【0022】
またここでは、帯状ホース締付け金具91,92には、金属製の帯ネジとネジスクリュウを組合せた、幅広のものを用いる。
【0023】
またここには、特に記述しなかった、超音波振動子2,3との電気的接続に必要な信号線及びその導入・導出構造が含まれる。また、測定管体1の入口・出口の案内機構を設けることもできる。
【0024】
このように2個の半円状振動子21,22及び31,32によって構成された一組の超音波送受信器を管路に設置させ、これらを交互に超音波送信器、超音波受信器として作動させれば、測定原理的には従来からの円環状超音波振動子を利用したものと同様に、流量を測定する事ができる。
【0025】
本発明は上記のものに限定されず、その技術思想の範囲内で適宜改変が可能である。例えば、上記超音波振動子とクッション材との接着に使う粘着性両面テープは、半円状振動子のカミ合せ調整の後、加熱して硬化できる粘着材を用いることもできる。