【解決手段】残業代の対象であるか否かを示す情報と、割増率を示す情報と、基礎賃金額を示す情報と、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報と、深夜労働時間を示す情報とを入力として受け、当該情報に基づき、残業代を示す情報を出力する手段を含むシステム。
請求項5に記載のシステムであって、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を出力する前記手段は、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定したときに、
標準労働時間の長さを示す情報と、
有給日に係る補正を示す情報と
を入力として更に受け、当該情報にも基づき、
労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報
を出力する、システム。
請求項5に記載のシステムであって、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を出力する前記手段は、第1の手段と、第2の手段と、第3の手段とを含み、
前記第1の手段は、
休日を示す情報と、
休日に係る補正を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
を入力として受け、当該情報に基づき、
労基法上の休日を示す情報
を出力し、
前記第2の手段は、
労基法上の休日を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
を入力として受け、当該情報に基づき、
労基法上の休日労働時間を示す情報
を出力し、
前記第3の手段は、
労基法上の休日を示す情報と、
所定労働時間を示す情報と、
労働時間制を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
を入力として受け、当該情報に基づき、
法内及び法外残業時間を示す情報
を出力し、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報は、労基法上の休日労働時間を示す情報と、法内及び法外残業時間を示す情報とを含む、システム。
請求項20に記載の、コンピュータが実行する方法であって、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を求める前記ステップは、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定するステップを含み、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を求める前記ステップにおいて、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定したときに、
標準労働時間の長さを示す情報と、
有給日に係る補正を示す情報と
にも基づき、
労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報
は求められる、方法。
請求項20に記載の、コンピュータが実行する方法であって、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を出力する前記ステップは、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップとを含み、
前記第1のステップは、
休日を示す情報と、
休日に係る補正を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
に基づき、
労基法上の休日を示す情報
を求めるステップであり、
前記第2のステップは、
労基法上の休日を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
に基づき、
労基法上の休日労働時間を示す情報
を求めるステップであり、
前記第3のステップは、
労基法上の休日を示す情報と、
所定労働時間を示す情報と、
労働時間制を示す情報と、
実労働時間を示す情報と
に基づき、
法内及び法外残業時間を示す情報
を求めるステップであり、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報は、労基法上の休日労働時間を示す情報と、法内及び法外残業時間を示す情報とを含む、方法。
請求項22に記載の、コンピュータが実行する方法であって、前記第3のステップは、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定するステップを含み、前記第3のステップにおいて、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定したときに、
標準労働時間の長さを示す情報と、
有給日に係る補正を示す情報と
にも基づき、
法内及び法外残業時間を示す情報
は求められる、方法。
請求項25に記載の、コンピュータが実行する方法であって、所定労働時間を示す情報を出力する前記ステップは、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定するステップを含み、所定労働時間を示す情報を出力する前記ステップにおいて、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示していると判定したときに、
清算期間における総労働時間の長さを示す情報
にも基づき、
所定労働時間を示す情報
は求められる、方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1 本発明の実施の態様の一例
図1A及び1Bは、本発明の実施の態様に従う、残業代推計システム100の例を示している。
図1Bは、
図1Aの対応する部分に付される符号を示している。
【0012】
111〜126は、残業代推計システム100全体として入力される情報を示している。127は、残業代推計システム100全体として出力される情報を示している。131〜139は、残業代推計システム100が含む手段を示している。各手段は、情報の入力を受け、受けた情報を処理して情報を出力する。なお、残業代推計システム100は、図示しない他の手段を含むことができる。矢印は、当該矢印の向きに情報が伝達されることを表している。
【0013】
残業代推計システム100は、残業代を知りたいユーザが用いるコンピュータである。なお、「コンピュータ」について、その一例を節8にて説明しているので、参照されたい。
【0014】
2 残業代推計システム100の入力情報及び出力情報
以下、残業代推計システム100に入力される情報及び残業代推計システム100から出力される情報について説明する。なお、以下に述べる情報の一部は、入力されない場合があり、また、当該情報は不明であるとの入力を含むことができる。従って、
図1A及び1Bに示された矢印は、常に存在するというわけでないことに留意されたい。
【0015】
2−1 役職を示す情報
役職111は、ユーザの仕事上の役職を示す情報である。この情報は、既定の役職(「役職なし」、「係長」、「課長」等)を選択するもの情報であってよい。また、この情報は、既定の役職の何れにも該当しないとの情報を含むことができる。
【0016】
2−2 業種を示す情報
業種112は、ユーザの仕事の業種を示す情報である。この情報は、既定の業種(「製造業」等)を選択する情報であってよい。また、この情報は、既定の業種の何れにも該当しないとの情報を含むことができる。
【0017】
2−3 企業規模を示す情報
企業規模113は、ユーザの勤務先の企業規模を示す情報である。この情報は、既定の企業規模の範囲(「従業員数50人以下」、「従業員数50人より多く100人以下」、「資本金5000万円以下」、「資本金5000万円より大きく1億円以下」等)を選択する情報であってよい。また、この情報は、既定の企業規模の範囲を複数選択する情報(「従業員数50人以下」且つ「資本金5000万円以下」を選択する情報)であってよい。更に、この情報は、既定の企業規模の範囲の何れにも該当しないとの情報を含むことができる。
【0018】
2−4 基本給及び手当の額を示す情報
基本給・手当の額114は、ユーザの仕事の基本給及び手当の額を示す情報である。
【0019】
2−5 休日を示す情報
休日115は、ユーザの仕事の休日を示す情報である。この情報は、ユーザの仕事の普段の休日を示すものであってよい。また、この情報は、休日を示すものであればどのようなものであってもよく、例えば、休日の日付(「12月19日及び12月20日」等)を表す情報、休日の曜日(「土曜日及び日曜日」、「7月の第3月曜日」等)を表す情報、1週間あたりの休日数(「2日」等)を表す情報、1月あたりの休日数(「8日」等)を表す情報であってよい。
【0020】
なお、ユーザの仕事の休日が定まっておらず(例えば、前日にならないと休日がわからない等)、普段の休日を特定できない場合には、休日を示す情報は、入力されないか又は休日は不明である旨を示してよい。なお、そのようなユーザは、後述する休日に係る補正を示す情報125を利用して、休日を入力することになる。
【0021】
2−6 規則上の休憩時間の長さを示す情報
規則上の休憩時間長116は、ユーザの仕事の規則上の休憩時間の長さを示す情報である。なお、時間の開始時刻と終了時刻とを示す情報は、開始時刻と終了時刻との間の長さとして、時間の長さを示す情報でもあることに留意されたい。
【0022】
2−7 勤務態様を示す情報
勤務態様117は、ユーザの勤務態様を示す情報である。この情報は、既定の勤務態様(「始業・就業時刻が決まっている」、「始業・就業時刻は決まっているが、日、週又は月によって異なる」、「始業・就業時刻が決まっていない」、「主な勤務場所は自宅ではない」、「主な勤務場所は自宅である」等)を選択する情報であってよい。また、この情報は、既定の勤務態様の何れにも該当しないとの情報を含むことができる。
【0023】
2−8 規則上の始業終業時刻を示す情報
規則上の始業終業時刻118は、ユーザの仕事の規則上の始業時刻及び終業時刻を示す情報である。なお、時間の始業時刻と終業時刻とを示す情報は、開始時刻と終了時刻との間の長さとして、時間の長さを示す情報でもあることに留意されたい。
【0024】
2−9 普段の休憩時間の長さを示す情報
普段の休憩時間長119は、ユーザの仕事の普段の休憩時間の長さを示す情報である。普段の休憩時間の長さは、規則上の休憩時間の長さと等しい場合もあれば、規則上の休憩時間の長さよりも大きい場合も小さい場合もある。例えば、規則上の休憩時間においても普段は実際には働いている時間があるならば、普段の休憩時間の長さは、規則上の休憩時間の長さよりも小さくなりうる。また、例えば、規則上の休憩時間に加えて普段は実際には休憩している時間があるのならば、普段の休憩時間の長さは、規則上の休憩時間よりも大きくなりうる。
【0025】
2−10 清算期間における総労働時間の長さを示す情報
清算期間における総労働時間長120は、ユーザの勤務体系がフレックスタイム制である場合の、清算期間における総労働時間の長さを示す情報である。
【0026】
2−11 標準労働時間の長さを示す情報
標準労働時間長121は、ユーザの勤務体系がフレックスタイム制である場合の、標準労働時間の長さを示す情報である。
【0027】
2−12 ジオフェンス内時間を示す情報
ジオフェンス内時間122は、ユーザが所持するデバイス、例えばスマートフォンが、ある地理的領域の閉じた境界(以下、「ジオフェンス」ともいう。)内にあった時間(以下、「ジオフェンス内時間」という。)を示す情報である。
【0028】
ジオフェンスの形状は任意であり、例えば、ある地点を中心としたある半径の円であることができる。ある地点は、ユーザの勤務地や営業上の得意先等、ユーザが仕事中に滞在する地点であることができる。ジオフェンスは複数存在することができ、その場合、ジオフェンス内時間は、ユーザが所持するデバイスが、複数のジオフェンスのうちの何れかにあった時間である。
【0029】
ジオフェンス内時間は、複数の日についての時間でありうる。更に、ジオフェンス内時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。例えば、ジオフェンス内時間を示す情報122は、
2015年12月21日について、
7時0分〜12時30分、
14時30分〜17時30分、
19時0分〜20時0分、
21時30分〜22時0分及び
22時30分〜23時0分と、
2015年12月22日について、
9時0分〜16時0分と
を示すことができる。
【0030】
なお、ユーザが所持するデバイスは、残業代推計システム100自身でありうる。
【0031】
2−13 労働時間に係る補正を示す情報
労働時間補正123は、労働時間に係る補正を示す情報である。この情報は、ユーザが入力した、労働時間及び非労働時間のうちの一方または双方を特定する情報であってよい。特定される労働時間又は非労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、特定される労働時間又は非労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。例えば、労働時間に係る補正を示す情報は、
2015年12月21日について、
労働時間として18時0分〜19時0分、
労働時間として20時0分〜21時30分、及び
非労働時間として22時45分〜23時0分と、
2015年12月22について、
労働時間として16時0分〜17時0分と
を示すことができる。
【0032】
2−14 休憩時間の長さに係る補正を示す情報
休憩時間長補正124は、休憩時間の長さに係る補正を示す情報である。この情報は、ユーザが入力した、休憩時間の長さを特定する情報であってよい。特定される休憩時間の長さは、複数の日についての長さでありうる。例えば、休憩時間の長さに係る補正を示す情報124は、
2015年12月21日について、30分と、
2015年12月22日について、45分と
を示すことができる。
【0033】
2−15 休日に係る補正を示す情報
休日補正125は、休日を示す情報115が示す休日に係る補正を示す情報である。この情報は、ユーザが入力した、普段の休日以外の休日と、普段の休日に該当するが休日でない日とのうちの一方又は双方を特定する情報であってよい。例えば、日曜日が普段の休日に該当する場合に、仕事の都合である日曜日に勤務する必要があり、翌日の月曜日が休日として勤務先から指定されたときに、このような情報が必要となる。
【0034】
2−16 有給日に係る補正を示す情報
有給日補正126は、ユーザの勤務体系がフレックスタイム制である場合に必要となる情報であって、有給休暇である日を示す情報である。詳細には、この情報は、ユーザの勤務体系がフレックスタイム制である場合には、残業代の計算において、有給休暇である日の労働時間の長さを、そうでない日とは区別して、標準労働時間の長さに基づき求める必要があるために入力される情報である。
【0035】
2−17 残業代を示す情報
残業代127は、ユーザの仕事の残業代を示す情報である。
【0036】
3 残業代推計システム100が含む手段
以下、残業代推計システム100が含む手段について説明する。なお、これら手段の各々が、残業代推計システム100のハードウェア資源と、ソフトウェアとが協働した具体的手段であることは、当業者には明らかであると思料する。また、残業代推計システム100は、明確に分かれた手段を含まないが、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働することにより、当該手段が実行する処理を全体として行うように構成されたものであってもよい。
【0037】
3−1 労働時間制判定手段131
図2Aにわかりやすく示されるように、労働時間制判定手段131は、業種を示す情報112と、休日を示す情報115と、規則上の休憩時間の長さを示す情報116と、勤務態様を示す情報117と、規則上の終業始業時刻を示す情報118とを入力として受け、これら情報に基づき労働時間制を求め、労働時間制を示す情報を出力する。
【0038】
労働時間制は、例えばフレックスタイム制を含む。また、労働時間制を示す情報は、残業代推計システム100の対象外の労働時間制である旨を示すものであってもよい。
【0039】
また、労働時間制判定手段への情報の入力は、段階的なものであってよい。例えば、勤務態様を示す情報117の入力を受けるために、労働時間制判定手段131は、「始業・就業時刻が決まっている」と「始業・就業時刻が決まっていない」との選択肢を示し、「始業・終業時刻が決まっている」が選択された場合に、更に、「毎日同じである」と「日、週又は月によって異なる」との選択肢を示すことができる。
【0040】
なお、情報の入力が段階的なものであってよいことは、他の手段及び他の情報についても同様である。
【0041】
3−2 残業代対象非対象判定手段132
図2Bにわかりやすく示されるように、残業代対象非対象判定手段132は、役職を示す情報111、業種を示す情報112及び労働時間制を示す情報を入力として受け、これら情報に基づきユーザの仕事が残業代の対象であるか否かを判定し、残業代の対象であるか否かを示す情報を出力する。
【0042】
残業代対象非対象判定手段132は、例えば、残業代の対象でない役職のリストと、残業代の対象でない業種のリストと、残業代の対象でない労働時間制のリストとを用いて、役職を示す情報111が示す役職と、業種を示す情報112が示す業種と、労働時間制を示す情報が示す労働時間制との何れかが、上記リストに含まれていると判定したときに、残業代の対象でないと判定し、含まれていないと判定したときに、残業代の対象であると判定することができる。そのようなリストの一例を
図4Aに示す。この図において、「…」は省略を表している。
【0043】
また、残業代対象非対象判定手段132は、例えば、ある役職と、ある業種と、ある労働時間制との組についての残業代の対象であるか否かが記載されたテーブルを用いて、ユーザの仕事が残業代の対象であるか否かを判定することができる。そのようなテーブルの一例を
図4Bに示す。この図において、「…」は省略を表している。
【0044】
また、残業代対象非対象判定手段132は、情報の入力を段階的に受けることができる。例えば、最初に業種を示す情報112の入力を受け、この情報が特定の業種を示している場合に、その時点で他の情報の入力を受けることなく残業代の対象でないと判定することができる。
【0045】
なお、情報の入力を段階的に受け、状況に応じてその他の情報の入力を不要とできることは、他の手段についても同様である。
【0046】
3−3 割増率判定手段133
図2Cにわかりやすく示されるように、割増率判定手段133は、業種を示す情報112及び企業規模を示す情報113を入力として受け、これら情報に基づきユーザの仕事の残業代の割増率を求め、割増率を示す情報を出力する。割増率を示す情報は、残業の種類ごとの割増率を示してよく、例えば、法外残業についての割増率と、法内残業についての割増率とを示すことができる。
【0047】
割増率判定手段133は、例えば、ある業種と、ある企業規模との組についての残業代の割増率が記載されたテーブルを用いて、ユーザの仕事の残業代の割増率を判定する。そのようなテーブルの一例を
図4Cに示す。この図において、「…」は省略を表している。
【0048】
3−4 実労働時間決定手段134
図2Dにわかりやすく示されるように、実労働時間決定手段134は、休日を示す情報115と、規則上の始業終業時刻を示す情報118と、普段の休憩時間の長さを示す情報119と、ジオフェンス内時間を示す情報122と、労働時間に係る補正を示す情報123と、休憩時間の長さに係る補正を示す情報124と、休日に係る補正を示す情報125とを入力として受け、これら情報に基づき実労働時間を求め、実労働時間を示す情報を出力する。
【0049】
なお、実労働時間決定手段134は、以下に説明する2つの手段を含むものとして構成してもよい。
【0050】
3−4−1 推定労働時間決定手段241
推定労働時間決定手段241は、休日を示す情報115と、規則上の始業終業時刻を示す情報118と、普段の休憩時間の長さを示す情報119と、ジオフェンス内時間を示す情報122と、休日に係る補正を示す情報125とを入力として受け、これら情報に基づき推定労働時間を求め、推定労働時間を示す情報を出力する。なお、普段の休憩時間の長さを示す情報119は、推定労働時間決定手段241への入力ではなく、以下に説明する推定労働時間補正手段242への入力であってもよい。
【0051】
推定労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、推定労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。なお、推定労働時間を示す情報は、普段の休憩時間の長さを示す情報119を含むことができる。
【0052】
推定労働時間は、少なくとも休日を示す情報115及び休日に係る補正を示す情報125から推定される休日でない日についての、規則上の始業終業時刻を示す情報118から導出される始業時刻と終業時刻との間の時間と、ジオフェンス内時間を示す情報122が示すジオフェンス内時間との少なくとも一方に含まれる時間であってよい。また、推定労働時間は、少なくとも休日を示す情報115及び休日に係る補正を示す情報125から推定される休日である日についての、ジオフェンス内時間を示す情報122が示すジオフェンス内時間を含んでいてよい。
【0053】
更に、例えば、
ジオフェンス内時間の終わりの時刻と始業時刻との間の時間の長さ、
終業時刻とジオフェンス内時間の始まりの時刻との間の時間の長さ、
ジオフェンス内時間の終わりの時刻と別のジオフェンス内時間の始まりの時刻との間の時間の長さ
が所定の時の長さ以下である場合には、当該時間を推定労働時間に含めてもよい。
【0054】
図4Dは、推定労働時間の具体例を示している。411は、412〜421に関連した時刻を示している。412、413及び414は、それぞれ、始業時刻と終業時刻との間の時間、ジオフェンス内時間及び推定労働時間を表している。時間415、417、419及び421は、始業時刻と終業時刻との間の時間412とジオフェンス内時間413との少なくとも一方に含まれる時間であり、従って、推定労働時間414の一部となっている。時間416及び418は、その長さが所定の時の長さより大きい時間であり、従って、推定労働時間の一部となっていない。なお、
図4Dにおいて、「所定の時の長さ」は45分としているが、30分等、より短くてもよいし、4時間等、より長くてもよい。一方、時間420は、その長さが所定の時の長さ以下の時間であり、従って、推定労働時間の一部となっている。
【0055】
3−4−2 推定労働時間補正手段242
推定労働時間補正手段242は、推定労働時間を示す情報と、労働時間に係る補正を示す情報123と、休憩時間の長さに係る補正を示す情報124とを入力として受け、これら情報に基づき推定労働時間を補正し、補正後の推定労働時間である実労働時間を示す情報を出力する。なお、推定労働時間補正手段242は、推定労働時間を示す情報が普段の休憩時間の長さを示す情報119を含まない場合に、普段の休憩時間の長さを示す情報119を入力として更に受けてもよい。
【0056】
実労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、実労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。なお、実労働時間を示す情報は、示される実労働時間に係る各日についての休憩時間の長さを示す情報を含むことができる。
【0057】
3−5 所定労働時間決定手段135
図2Eにわかりやすく示されるように、所定労働時間決定手段135は、業種を示す情報112と、企業規模を示す情報113と、休日を示す情報115と、規則上の休憩時間の長さを示す情報116と、規則上の始業終業時刻118と、労働時間制を示す情報と、休日に係る補正を示す情報125とを入力として受け、これら情報に基づき所定労働時間を求め、所定労働時間を示す情報を出力する。
【0058】
また、所定労働時間決定手段135は、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示す場合に、清算期間における総労働時間の長さを示す情報120を入力として更に受け、この情報にも基づき所定労働時間を求めてもよい。
【0059】
所定労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、所定労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。なお、所定労働時間を示す情報は、規則上の休憩時間の長さを示す情報116を含むことができる。
【0060】
3−6 基礎賃金額決定手段136
図2Fにわかりやすく示されるように、基礎賃金額決定手段136は、基本給及び手当の額を示す情報114と、休日を示す情報115と、所定労働時間を示す情報と、労働時間制を示す情報と、休日に係る補正を示す情報125とを入力として受け、これら情報に基づき基礎賃金額を求め、基礎賃金額を示す情報を出力する。
【0061】
3−7 労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間決定手段137
図2Gにわかりやすく示されるように、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間決定手段137は、所定労働時間を示す情報と、労働時間制を示す情報と、休日を示す情報115と、休日に係る補正を示す情報125と、実労働時間を示す情報とを入力として受け、これら情報に基づき、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を求め、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報を出力する。
【0062】
労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間決定手段137は、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示している場合に、標準労働時間の長さを示す情報121と、有給日に係る補正を示す情報126とを入力として更に受け、これら情報にも基づき労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を求めてもよい。
【0063】
なお、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間決定手段137は、以下に説明する3つの手段を含むものとして構成してもよい。その場合、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報は、以下に説明する労基法上の休日労働時間を示す情報と、法内及び法外残業時間を示す情報とを含む情報である。
【0064】
3−7−1 労基法上の休日特定手段271
労基法上の休日特定手段271は、休日を示す情報115と、休日に係る補正を示す情報125と、実労働時間を示す情報とを入力として受け、これら情報に基づき、労基法上の休日を特定し、労基法上の休日を示す情報を出力する。なお、労基法上の休日を示す情報は、複数の日付を示しうる。
【0065】
3−7−2 労基法上の休日労働時間決定手段272
労基法上の休日労働時間決定手段272は、労基法上の休日を示す情報と、実労働時間を示す情報とを入力として受け、これら情報に基づき、労基法上の休日労働時間を求め、労基法上の休日労働時間を示す情報を出力する。特に、労基法上の休日労働時間決定手段272は、労基法上の休日を示す情報から、労基法上の休日である日を特定することができる。
【0066】
なお、労基法上の休日労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、労基法上の休日労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。なお、労基法上の休日労働時間を示す情報は、示される労基法上の休日労働時間に係る各日についての休憩時間の長さを示す情報を含むことができる。
【0067】
3−7−3 法内及び法外残業時間決定手段273
法内及び法外残業時間決定手段273は、労基法上の休日を示す情報と、所定労働時間を示す情報と、労働時間制を示す情報と、実労働時間を示す情報とを入力として受け、これら情報に基づき法内及び法外残業時間を求め、法内及び法外残業時間を示す情報を出力する。特に、法内及び法外残業時間決定手段273は、労基法上の休日を示す情報から、労基法上の休日でない日を特定することができる。
【0068】
また、法内及び法外残業時間決定手段273は、労働時間制を示す情報がフレックスタイム制を示している場合に、標準労働時間の長さを示す情報121と、有給日に係る補正を示す情報126とを入力として更に受け、これら情報にも基づき法内及び法外残業時間を求めることができる。
【0069】
法内及び法外残業時間は、複数の日についての時間でありうる。また、法内及び法外残業時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。なお、法内及び法外残業時間を示す情報は、法内残業時間及び法外残業時間のそれぞれについて時間を示すことができる。更に、法内及び法外残業時間を示す情報は、示される法内及び法外残業時間に係る各日についての休憩時間の長さを示す情報を含むことができる。
【0070】
3−8 深夜労働時間決定手段138
図2Hにわかりやすく示されるように、深夜労働時間決定手段138は、実労働時間を示す情報を入力として受け、この情報に基づき深夜労働時間を求め、深夜労働時間を示す情報を出力する。深夜労働時間は、実労働時間のうち、22時〜5時に該当する時間とすることができる。
【0071】
深夜労働時間は、複数の日についての時間でありうる。また、深夜労働時間は、ある日について、連続していない複数の時間でありうる。
【0072】
3−9 残業代決定手段139
図2Iにわかりやすく示されるように、残業代決定手段139は、残業代の対象であるか否かを示す情報と、割増率を示す情報と、基礎賃金額を示す情報と、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報と、深夜労働時間を示す情報とを入力として受け、これら情報に基づき残業代を求め、残業代を示す情報127を出力する。
【0073】
残業代決定手段139は、残業代の対象であるか否かを示す情報が残業代の対象でないと示している場合には、残業代を0円と求めてよい。
【0074】
残業代決定手段139は、残業代の対象であるか否かを示す情報が残業代の対象であると示している場合には、例えば以下のように残業代を求めることができる。
【0075】
まず、基礎賃金額を示す情報から、単位時間当たりの賃金額を導出する。
【0076】
次に、労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報と深夜労働時間を示す情報とから、深夜労働時間でない労基法上の休日労働時間の長さ、法内残業時間の長さ及び法外残業時間の長さと、深夜労働時間である労基法上の休日労働時間の長さ、法内残業時間の長さ及び法外残業時間の長さとを導出する。
【0077】
そして、割増率を示す情報から、上記長さのそれぞれに対応する割増率を導出する。
【0078】
最後に、上記長さのそれぞれについて、当該長さと、単位時間当たりの賃金額と、対応する割増率とを乗じ、得られた額を合計したものを残業代とすることができる。
【0079】
4 本発明の実施の別の態様の一例
本発明の実施の別の態様は、上記手段のうちの少なくとも1つを含むか、又は、上記手段のうちの少なくとも1つが行う処理を行うように構成されたシステムである。
【0080】
例えば、本発明の実施の別の態様は、
残業代の対象であるか否かを示す情報と、
割増率を示す情報と、
基礎賃金額を示す情報と、
労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報と、
深夜労働時間を示す情報と
を入力として受け、これら情報に基づき、
残業代を示す情報
を出力する残業代決定手段
を含むシステムである。
【0081】
また、例えば、本発明の実施の別の態様は、
図3に示す残業代推計システム300であってもよい。コンピュータ310〜330はネットワーク340を介して互いに接続されており、コンピュータ310〜330の各々は、上記手段のうちの少なくとも1つを含むか、又は、上記手段のうちの少なくとも1つが行う処理を行うように構成されたものである。即ち、この態様において、情報はネットワーク340を介して入出力されうる。なお、
図3において、コンピュータの数は3つであるが、この数は例示に過ぎず、残業代推計システム300を構成するコンピュータの数に制限はないことは言うまでもない。
【0082】
5 本発明の実施の態様のまた別の態様の一例
本発明の実施のまた別の態様は、上記手段のうちの少なくとも1つが行う処理を行うステップか、又は、上記手段のうちの少なくとも1つが受ける情報の入力に基づき、当該手段が出力する情報を求めるステップを含む、コンピュータが行う方法である。
【0083】
例えば、本発明の実施のまた別の態様は、
残業代の対象であるか否かを示す情報と、
割増率を示す情報と、
基礎賃金額を示す情報と、
労基法上の休日労働時間並びに法内及び法外残業時間を示す情報と、
深夜労働時間を示す情報と
に基づき、
残業代を示す情報
を求めるステップを含む、コンピュータが行う方法である。
【0084】
6 本発明の実施の態様の更に別の態様の一例
本発明の更に別の態様は、コンピュータが行う上記方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0085】
7 情報の入力手法及び提示手法の例
上に説明した各手段に入力される情報は、ユーザが直接入力するものであってもよい。例えば、残業代の対象であるか否かを示す情報を、残業代対象非対称判定手段132の出力としてではなく、ユーザが直接入力してもよい。
【0086】
また、上に説明した各手段から出力される情報を、ユーザに提示してもよい。残業代を示す情報をユーザに提示してもよいことは言うまでもなく、残業代を示す情報を求める過程で出力される情報、例えば、残業代の対象であるか否かを示す情報をユーザに提示してもよい。
【0087】
本発明において、情報の入力手法は任意である。また、情報は、任意の手法によりユーザに提示することができる。以下、情報の入力手法及び提示手法の例について説明する。
【0088】
7−1 情報の入力手法の例1
図5Aは、情報を入力するための例示の画面510を示している。各手段は、ユーザから情報の入力を要求するときに、画面510を表示することができる。なお、この例においては、タッチパネルディスプレイをユーザインターフェースとして有する残業代推計システム100又は300が実施されていると仮定している。
【0089】
511は、要求する情報についての説明を含むUIコンポーネントである。512〜514は、情報を入力するための選択肢を提示するUIコンポーネントである。なお、要求する情報に応じて511〜514の表記が変わることは言うまでもない。
【0090】
ユーザが512〜514のうちの何れかをタップすることにより、タップされたUIコンポーネントに対応した情報が入力されることになる。タップの後、各手段は、別の情報を要求するための画面を表示することができる。
【0091】
7−2 情報の入力手法の例2
図5Bは、情報を入力するための例示の画面520を示している。各手段は、ユーザから情報の入力を要求するときに、画面520を表示することができる。なお、この例においては、タッチパネルディスプレイをユーザインターフェースとして有する残業代推計システム100又は300が実施されていると仮定している。
【0092】
521は、要求する情報についての説明を含むUIコンポーネントである。522は、情報を入力するためのボックスを提示するUIコンポーネントである。523は、情報の入力を確定するためのUIコンポーネントである。なお、要求する情報に応じて、521の表記が変わることは言うまでもない。また、523の表記は任意である。
【0093】
ユーザは、522をタップすることにより、値や文字等の情報を直接入力することができる。ユーザが523をタップすることにより、522に入力された値や文字等が、情報の入力として確定される。タップの後、各手段は、別の情報を要求するための画面を表示することができる。
【0094】
7−3 情報の提示手法の例
図5Cは、情報を提示するための例示の画面530を示している。各手段は、情報をユーザに提示するため、画面530を表示することができる。
【0095】
531は、提示する情報を含むUIコンポーネントである。532は、情報の提示を終えるためのUIコンポーネントである。なお、532の表記は任意である。
【0096】
ユーザが532をタップすることにより、各手段は画面530の表示を終えることができる。
【0097】
なお、情報の提示は、音声等であっても構わないことに留意されたい。
【0098】
8 コンピュータ
以下、システム100又はコンピュータ310〜330として用いることができるコンピュータの、ハードウェア構成の一例について説明する。
【0099】
図6は、コンピュータのハードウェア構成の一例を表している。同図に示すように、コンピュータ600は、主に、プロセッサ610と、主記憶装置620と、補助記憶装置630と、ユーザインターフェース640と、通信インターフェース650とを備えており、これらはアドレスバス、データバス、コントロールバス等を含むバスライン660を介して相互に接続されている。なお、バスライン660と各ハードウェア資源との間には適宜インターフェース回路(図示せず)が介在している場合もある。
【0100】
プロセッサ610は、コンピュータ全体の制御を行う。
【0101】
主記憶装置620は、プロセッサ610に対して作業領域を提供し、例えばSRAM、DRAM等の揮発性メモリである。
【0102】
補助記憶装置630は、ソフトウェアであるプログラム等や各種データ等を格納する、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。当該プログラムは、任意の時点で補助記憶装置630からバスライン660を介して主記憶装置620へとロードされる。
【0103】
ユーザインターフェース640は、ユーザに情報を提示すること及びユーザから情報の入力を受けることの一方又は双方を行うものであり、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、マイク、スピーカ等である。
【0104】
通信インターフェース650は、ネットワーク340と接続されるものであり、ネットワーク340を介してデータを送受する。通信インターフェース650とネットワーク340とは、有線又は無線で接続されうる。通信インターフェース650は、ネットワークに係る情報、例えば、Wifiのアクセスポイントに係る情報、通信キャリアの基地局に関する情報等も取得することがある。
【0105】
なお、図示していないが、コンピュータは、その他のハードウェア資源を含むことがあり、その他のハードウェア資源は、例えば、GPS信号受信ユニットである。その他のハードウェア資源も、任意の経路で、例えばバスライン660を介して、少なくともプロセッサ610と接続されている。
【0106】
9 むすび
以上、本発明の実施の態様の例を説明したが、他の類似する実施態様の採用や、適宜態様の変更又は追加を行うことができることに留意されたい。