【解決手段】不審者検知システム10は、居住空間内の見守り対象者1に関する情報を取得する見守りセンサ40と、見守り対象者を遠隔見守りする見守り者(家族14、16、チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22、24、友人26、自治会班長28)に取得された見守り対象者に関する情報を通知する通知部と、見守り対象者が居住空間12から外出している間に見守りセンサにより居住空間内に生体の存在を検知すると、居住空間内に生体が存在する旨を見守り対象者及び/又は見守り者に通知する異常通知部と、を備える。
前記異常通知部は、前記見守り対象者が前記居住空間から外出している間に前記複数のセンサのうちいずれかのセンサにより前記居住空間内に前記生体の存在を検知すると、前記検知したセンサが仮想的に割り当てられた前記見守り者に前記居住空間内に前記生体が存在する旨を通知する請求項3に記載の不審者検知システム。
前記割当部は、前記見守り対象者が前記居住空間内に存在する場合と前記居住空間から外出している場合とで、前記見守り者へのセンサの仮想的な割り当てを異ならせる請求項3又は4に記載の不審者検知システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
〔不審者検知システムの構成〕
図1は、本発明が適用される不審者検知システムの概略構成図である。同図に示す不審者検知システム10は、見守り対象者1の動作や生体情報(呼吸、心拍等)などの見守り対象者1に関する情報や、日常の生活環境の状態などの見守り対象者1の居住空間12に関する情報を非接触かつ非侵襲により検出し、個別の見守り者で構成される見守りチーム36(以下、見守り者36と表記)が見守り者36毎に見守り通信網に接続された端末36a(以下、端末36aと表記)を用いて見守り対象者1を遠隔見守りする(遠隔地から安否確認や生活のモニタリングをする)装置である。
【0019】
さらに、不審者検知システム10は、見守り対象者1が居住空間12から外出している間に居住空間12を監視し、居住空間12の内部に人物や動物などの生体の存在を検知すると、その旨を見守り対象者1や見守り者36に通知する装置である。
【0020】
不審者検知システム10は、複数の見守り者36が見守り対象者1を見守ることができる。
図1は、見守り対象者1が居住空間12に1人で暮らしている独居者である場合を示しており、見守り対象者1の居住空間12とは異なる場所にいる家族14,16、チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22,24、友人26、自治会班長28が見守り者36に相当する。
【0021】
家族14,16は、見守り対象者1とは離れて生活する見守り対象者1の親族である。家族14,16は、それぞれ携帯端末14a,16aを有しており、携帯端末14a,16aは、それぞれ見守り対象者1の情報端末1aとインターネットや携帯電話回線などを介して通信可能に接続されている。
【0022】
チームリーダ20は、防犯管理センタや警備会社などでチームリーダとして働いている人物である。駆け付け巡回警備員22,24は、チームリーダ20の部下である。
【0023】
友人26は、見守り対象者1の友達であり、見守り対象者1の居住空間12の近隣に住んでいる。自治会班長28は、見守り対象者1の所属する自治会の班長である。
【0024】
チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22,24、友人26、自治会班長28は、それぞれ携帯端末20a,22a,24a,26a,28aを有している。ここでは、携帯端末14a,16a,20a,22a,24a,26a,28aが端末36aに相当し、携帯端末20a,22a,24a,26a,28aは、それぞれ情報端末1aと通信可能に接続されている。
【0025】
また、不審者検知システム10には、緊急時の連絡先として警察署32が登録されている。
【0026】
さらに、不審者検知システム10は、見守り対象者1の居住空間12とは異なる場所にサーバ34を備えている。サーバ34は不審者検知システム10を統括管理するコンピュータであり、不審者検知システム10の責任者としてのシステム管理者のみがアクセス可能に構成されている。システム管理者としては、例えばチームリーダ20が務めることができる。
【0027】
見守り対象者1の居住空間12には、情報端末1aの他、見守りセンサ40が備えられている。
図2は、情報端末1a及び見守りセンサ40の構成を示すブロック図である。
【0028】
見守りセンサ40は、電波センサ(ドプラセンサ)42、熱感知センサ(人感センサ)44、温度センサ46、湿度センサ48、照度センサ50、開閉スイッチ52、機器操作スイッチ54、カメラ56、マイク58、緊急通報ボタン60、から構成されるセンサ群62を備えている。
【0029】
ドプラセンサ42は、電波を見守り対象者1に照射し、その反射波を利用して見守り対象者1の呼吸や心拍の動きを感知する。人感センサ44は、赤外線により移動する熱源を感知する。温度センサ46は、見守り対象者1の生活環境の温度を測定し、湿度センサ48は、見守り対象者1の生活環境の湿度を測定する。照度センサ50は、見守り対象者1の生活環境の照度を測定することで、居住空間12の照明の点灯の有無を検知する。開閉スイッチ52は、見守り対象者1の居住空間12にあるドアの開閉を検知し、機器操作スイッチ54は、見守り対象者1の居住空間12にある電化製品等の機器の操作の有無を検知する。カメラ56は、見守り対象者1の姿を撮影し、マイク58は、見守り対象者1の音声を集音する。また、緊急通報ボタン60は、見守り対象者1の自らの意思によって操作可能な押しボタンである。
【0030】
センサ群62において、ドプラセンサ42、人感センサ44、開閉スイッチ52、機器操作スイッチ54、カメラ56、マイク58、及び緊急通報ボタン60が見守り対象者に関する情報を取得するセンサであり、温度センサ46、湿度センサ48、及び照度センサ50が居住空間に関する情報を取得するセンサである。
【0031】
見守りセンサ40は、その他に、センサ群62の各センサの出力信号を信号処理し、見守り対象者1に関する情報又は居住環境に関する情報を取得する取得部64、インターネットや携帯電話回線などの任意の通信回線を介して情報端末1aと通信を行う通信部66、見守り対象者1を見守る複数の見守り者36の各々の見守り者36にセンサ群62の複数のセンサのうち1つ又は2以上のセンサを仮想的に割り当てる割当部68、見守り対象者1が居住空間12を留守にして外出しているか否かが設定される外出設定部69などを備えている。
【0032】
なお、センサ群62を構成するセンサは本実施形態に限定されず、適宜見守り対象者1に適したセンサの追加や、不要なセンサの削除をすることができる。また、種類の異なる複数のセンサだけでなく、同じ種類のセンサを異なる場所に複数設置してもよい。例えば、2つのドプラセンサ42を居室と居間にそれぞれ設けるなどの態様が考えられる。
【0033】
情報端末1aは、見守り対象者1が所持する例えばコンピュータやスマートフォンなどである。情報端末1aは、表示部70、入力部72、及び通信部74などを備えている。
【0034】
表示部70は、各種情報を表示するディスプレイであり、例えば液晶ディスプレイや、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどが用いられる。入力部72は、見守り対象者1が各種情報を入力するための入力インターフェースである。ここでは、入力部72として、表示部70に重ねられて配置された全面が透明のタッチパネルが用いられる。通信部74(通知部の一例)は、インターネットや携帯電話回線などの任意の通信回線に接続することで、見守りセンサ40や他の携帯端末、コンピュータなどと通信を行う。
【0035】
本実施形態では、割当部68を見守りセンサ40が備えているが、情報端末1aやサーバ34が備える態様も可能である。
【0036】
〔ドプラセンサの構成〕
ドプラセンサ42は、無変調CW(Continuous Wave)方式とFMCW(Frequency-Modulated Continuous Wave)方式とに動作モードの切替えが可能な例えばマイクロ波センサであり、前者の動作モード(以下、無変調CWモードという)時には見守り対象者1の動きの速度に対応した周波数成分の信号を含む検出信号を出力し、後者の動作モード(以下、FMCWモード(距離計測モード)という)時には見守り対象者1までの距離に対応した周波数成分の信号を含む検出信号を出力する。
【0037】
図3は、ドプラセンサ42の内部構成を示す図である。ドプラセンサ42は、同図に示すように所定の周波数の送信信号を生成する発振器76と、発振器76からの送信信号を電波である送信波に変換して居住空間12に送波する送信アンテナ78と、送信アンテナ78から送波されて居住空間12において反射された反射波を受波して電気信号である受信信号に変換する受信アンテナ80と、受信アンテナ80からの受信信号に発振器76からの送信信号を混合する混合器82と、混合器82により得られた混合信号に基づいてドプラセンサ42から出力する検出信号を生成する出力部84と、を有する。
【0038】
発振器76は、無変調CWモード時には一定周波数fc0の正弦波信号を送信信号として出力し、FMCWモード時には周波数fc0の正弦波信号に対して所定の周波数変調幅Δf、所定の周期TのFM変調をかけたFM変調信号を送信信号として出力する。
【0039】
混合器82は、受信アンテナ80からの受信信号に発振器76からの送信信号を混合することにより、受信信号の周波数と送信信号の周波数との差分周波数を周波数成分として含む混合信号を生成する。
【0040】
出力部84は、例えばローパスフィルタや増幅器を含み、混合器82により出力された混合信号からローパスフィルタにより所定の遮断周波数よりも低い低周波成分の信号を抽出し、抽出した信号を所定の倍率で増幅する。これによって、受信アンテナ80からの受信信号と発振器76からの送信信号との差分周波数を周波数成分とする検出信号が生成され、その検出信号がドプラセンサ42の出力信号として出力される。
【0041】
従って、無変調CWモードにおいてドプラセンサ42から出力される検出信号は、見守り対象者1の動く速度に応じた周波数(ドプラ周波数)で振動し、動く部分の体積が大きいほど大きな振幅になるという特性を示す。
【0042】
一方、FMCWモードにおいてドプラセンサ42から出力される検出信号は、ドプラセンサ42から見守り対象者1までの距離に応じた周波数で振動するという特性を示す。
【0043】
なお、ドプラセンサ42は、検出信号として相互に位相が90度異なるIn−phase(同相)のIチャンネル信号とQuadrature−phase(直交相)のQチャンネル信号とを出力部84から出力する態様のものであってもよい。その場合において、本実施の形態では見守り対象者1の動きの方向を考慮しないことから、Iチャンネル信号とQチャンネル信号の両方は不要であるため、Iチャンネル信号とQチャンネル信号のいずれか一方を検出信号として用いてもよいし、Iチャンネル信号とQチャンネル信号とから上記特性を有する検出信号を生成するようにしてもよい。
【0044】
また、ドプラセンサ42の動作モードを切り替えるのではなく、無変調CWモードで動作するドプラセンサ42とFMCWモードで動作するドプラセンサ42とを別々に備えていてもよい。
【0045】
取得部64は、ドプラセンサ42から出力された検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して取り込む図示しないA/D変換器と、A/D変換器により取り込まれた検出信号に基づいて見守り対象者1の状態を判別し、判別結果に応じた処理(解析)等を行う図示しない解析部と、を備えている。
【0046】
〔ドプラセンサによる生体情報の取得〕
図4及び
図5のフローチャートを用いて、ドプラセンサ42による見守り対象者1の生体情報の取得について説明する。なお、不審者検知システム10の作動中において
図4及び
図5の処理が終了すると、所定の条件が満たされたとき、例えば他の処理が終了したときや一定時間が経過したとき等に
図4の処理が再度実施される。
【0047】
まず、ステップST10において、ドプラセンサ42の動作モードをFMCWモード(距離計測モード)に設定する。そして、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号に基づいてドプラセンサ42から見守り対象者1(体動重心)までの距離D1を検出(測定)する。例えば、FMCWモードのドプラセンサ42からの検出信号には、上述のようにドプラセンサ42から見守り対象者1までの距離D1に応じた周波数成分の信号が含まれており、検出信号をFFT等により周波数解析することで距離D1が求められる。
【0048】
そして、距離D1の測定が終了すると、ドプラセンサ42の動作モードを無変調CWモード(ドプラセンサモード)に切り替える。
【0049】
なお、ステップST10は所定時間間隔ごと(例えば5秒ごと)に実施され、最も新しく求められた距離をD1とすると、1回前に求められた距離D1を距離D2として記憶する。
【0050】
ステップST12では、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号が暗ノイズより大きいか否かを判定する。即ち、検出信号の振幅が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0051】
その結果、NOと判定した場合には、見守り対象者1(生体)が存在しないと判定して以下の処理を実施せずに本フローチャートの処理を終了する。一方、YESと判定した場合には、見守り対象者1が存在すると判定してステップST14に移行する。
【0052】
ステップST14では、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号の振幅Sと事前に決められた所定の第1閾値T1とを比較し、振幅Sが第1閾値T1より大きい(S>T1)か否かを判定する。なお、以下において振幅という場合には一定時間内における信号の最大値と最小値との差を示すものとする。
【0053】
その結果、
図6(A)の検出信号のようにS>T1が満たされてYESと判定した場合には、ステップST16に移行し、見守り対象者1が活発に動いている状態と判別する。そして、ステップST42に移行する。
【0054】
一方、
図6(B)の検出信号のようにS>T1が満たされずにNOと判定した場合には、ステップST18に移行し、見守り対象者1の体動が穏やかな状態と判別する。そして、ステップST20に移行する。
【0055】
ステップST20では、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号を所定の増幅率(例えば10〜100倍程度)で増幅する。そして、検出信号から呼吸領域の周波数帯域である第1周波数帯域の信号成分を抽出して第1抽出信号を生成し、ステップST22に移行する。
【0056】
ここで、検出信号の増幅は所期の増幅率となるように取得部64において実施してもよいし、ドプラセンサ42の出力部84における増幅器の利得を変更してもよい。
【0057】
また、ドプラセンサ42からの検出信号は、フーリエ変換によって周波数スペクトルで表すと、例えば
図7のようなグラフを示す。なお、同図の横軸は周波数、縦軸は各周波数の信号の強さ(振幅)を示す。
【0058】
同図に示すように検出信号には、0(Hz)から所定周波数fmax(Hz)までの周波数成分の信号が含まれるとして、その周波数帯域0〜fmaxにおいて、呼吸に対する胸部及び腹部の動きに起因する第1周波数帯域(呼吸領域)の信号が低周波側に存在し、心拍に対する心臓付近の動きに起因する第2周波数帯域(心拍領域)の信号が高周波側に存在する。
【0059】
呼吸領域の周波数帯域である第1周波数帯域をf1〜f2とし、心拍領域の周波数帯域である第2周波数帯域をf3〜f4とすると、0≦f1<f2<f3<f4≦fmaxの関係を有する。
【0060】
ステップST22では、取得部64は、ステップST20において検出信号の第1周波数帯域f1〜f2から抽出した第1抽出信号の振幅S1と事前に決められた所定の第2閾値T2とを比較し、振幅S1が第2閾値T2より大きい(S1>T2)か否かを判定する。
【0061】
その結果、
図8(A)の第1抽出信号のようにS1>T2が満たされてYESと判定した場合には、ステップST24に移行し、見守り対象者1が呼吸している状態と判別する。そして、一定時間の間、第1抽出信号に基づいて呼吸数を計測する。呼吸数の計測が終了すると、ステップST42に移行する。
【0062】
一方、
図8(B)の第1抽出信号のようにS1>T2が満たされずにNOと判定した場合には、ステップST26に移行し、見守り対象者1の呼吸が極めて穏やかな状態と判別する。そして、ステップST28に移行する。
【0063】
ステップST28では、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号を所定の増幅率(例えば1000〜10000倍程度)で増幅する。そして、検出信号から心拍領域の周波数帯域である第2周波数帯域f3〜f4(
図7参照)の信号成分を抽出して第2抽出信号を生成し、ステップST30に移行する。
【0064】
ステップST30では、取得部64は、ステップST28において抽出した第2抽出信号の振幅S2と事前に決められた所定の第3閾値T3とを比較し、振幅S2が第3閾値T3より大きい(S2>T3)か否かを判定する。
【0065】
その結果、
図9(A)の第2抽出信号のようにS2>T3が満たされてYESと判定した場合には、ステップST32に移行し、見守り対象者1の心拍が動いている状態と判別する。そして、一定時間の間、第2抽出信号に基づいて心拍数を計測する。心拍数の計測が終了すると、ステップST42に移行する。
【0066】
一方、
図9(B)の第2抽出信号のようにS2>T3が満たされずにNOと判定した場合には、ステップST34に移行し、見守り対象者1の心拍を確認できない状態と判別する。そして、ステップST36に移行する。
【0067】
ステップST36では、取得部64は、ドプラセンサ42からの検出信号(ステップST28で増幅した全周波数帯域の検出信号)を判定信号としてその判定信号の振幅S3と事前に決められた所定の第4閾値T4とを比較し、振幅S3が第4閾値T4より大きい(S3>T4)か否かを判定する。
【0068】
その結果、YESと判定した場合には、ステップST42に移行する。
【0069】
一方、NOと判定した場合には、ステップST38に移行し、取得部64は、見守り対象者1が異常な状態と判定する。そして、ステップST40に移行する。
【0070】
なお、判定信号は、検出信号ではなく第1抽出信号であってもよい。また、第4閾値T4は、第3閾値T3と同じ値であってもよい。
【0071】
ステップST40では、取得部64は、見守り対象者1が異常である旨を示す通報情報を生成し、通信部66と情報端末1aを介して端末36aに送信する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0072】
ステップST14、ステップST22、ステップST30、又はステップST36においてYESと判定した場合に移行したステップST42では、取得部64は、距離D2と距離D1との差が事前に決められた所定の閾値Dxより大きい(D2−D1>Dx)か否かを判定する。即ち、見守り対象者1が短時間の間に大きく動いたか否かを判定する。
【0073】
その結果、NOと判定した場合には、ステップST44に移行し、見守り対象者1が正常な状態と判定する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0074】
一方、YESと判定した場合には、見守り対象者1の転倒や落下が想定されるため、ステップST46に移行し、他のセンサで追加確認を行う。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0075】
ここで、ステップST14においてYESと判定してステップST44において見守り対象者1が正常な状態であると判定するような場合には、検出信号において体動を示す信号の中に呼吸や心拍を示す信号が埋没してしまい、検出信号に基づいて呼吸や心拍に関する生体情報の解析を行うことが困難である。また、ステップST14においてYESと判定した場合には、呼吸と心拍も当然に行われていると想定され、他の部屋への移動なども想定されることから、見守り対象者1が正常か否かの判断等においては呼吸や心拍に関する生体情報の解析は不要である。
【0076】
このようなことから、ステップST14においてYESと判定した場合には、呼吸や心拍に関する生体情報の解析が行われないため、見守りセンサ40における処理負担を軽減することができ、また、見守り対象者1の状態を迅速に把握することができる。
【0077】
また、ステップST22においてYESと判定してステップST44において見守り対象者1が正常な状態であると判定するような場合には、検出信号において呼吸を示す信号の中に心拍を示す信号が埋没していまい、検出信号に基づいて心拍に関する生体情報の解析を行うことが困難である。また、ステップST22においてYESと判定した場合には、心拍も当然に行われていると想定されることから見守り対象者1が正常か否かの判断等においては心拍に関する生体情報の解析は不要である。
【0078】
このようなことから、ステップST22においてYESと判定した場合には、ステップST24で呼吸数の計測を行う一方、心拍に関する生体情報の解析を行わないため、呼吸数の計測に対して、さらに平行に処理すべき次のデータ採取と解析、他センサとの通信や他の処理装置などとの連携処理に対して、取得部64の処理能力の多くを割り当てて高精度かつ迅速に呼吸数の計測を行うことができ、また、見守り対象者1の状態を迅速に把握することができる。
【0079】
更に、ステップST30においてYESと判定してステップST44において見守り対象者1が正常な状態であると判定するような場合には、検出信号において体動や呼吸を示す信号が穏やかでかつ規則性を確認出来る一方で、
図7に示すf3〜f4領域の抽出により心拍に関する生体情報の解析が可能となる。
【0080】
このようなことから、ステップST30においてYESと判定した場合には、ステップST32で心拍の計測を行う一方、呼吸に関する生体情報の解析を行わないため、心拍の計測に対して取得部64の処理能力の略全てを割り当てて高精度かつ迅速に心拍の計測を行うことができ、また、見守り対象者1の状態を迅速に把握することができる。
【0081】
また、ステップST36においてYESと判定してステップST44において、見守り対象者1が正常な状態であると判定するような場合には、検出信号において体動、呼吸、心拍の何れの信号も感知できなかったときでも、弱い体動により偶然的に感知できなかった可能性があり、見守り対象者1が異常な状態であると判定してその旨の通報を行うと誤報となる可能性がある。
【0082】
このようなことから、ステップST36においてYESと判定した場合には、見守り対象者1が異常であると判断しないことで、誤報を未然に防止することができ、通報の信頼性の向上を図ることができる。
【0083】
以上、上記
図4及び
図5のフローチャートの処理では記載されていないが、ステップST24で計測された呼吸数やステップST32で計測された心拍数の情報は、サーバ34や個別に生体情報へのアクセスを許可されている端末36aからの要求などにより見守りセンサ40や情報端末1aから送信されて、要求元が適宜確認することができる。
【0084】
また、上記
図4及び
図5のフローチャートの処理において、ステップST20、ステップST28において検出信号の増幅率を変更しているが、検出信号の信号レベルを解析し易くするためであって、必ずしも増幅率を変更する必要はない。
【0085】
以上のように、ドプラセンサ42によって見守り対象者1の生体情報を取得し、見守り対象者1の状態を確認することができる。
【0086】
〔センサの仮想割り当て〕
本実施形態に係る不審者検知システム10は、見守り者36ごとに個別の仮想(論理)センサを割り当てる方式である。仮想(論理)センサ割当方式は、見守り対象者1と各見守り者36との親密度や信頼感に応じて、センサ群62の中から各見守り者36に個別にセンサ(構成・配置・仕様)を割り当てる。各見守り者36の携帯端末やコンピュータなどの端末36aには、それぞれ割り当てられたセンサによって取得された見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報が通知される。
【0087】
見守り対象者1に緊急事態が発生したと思われる兆候をドプラセンサ42などで検知して、直ちに通報すれば誤報の確率が上昇する。確度を上げるためには目(画像)や耳(音声)による確認などが必要となるが、プライバシ保護の視点では、見守り対象者1からの拒絶反応が大きい。
【0088】
しかし、本実施形態に係る不審者検知システム10では、モニタしている画像や音声は、緊急事態とシステムが判断し、かつ見守り対象者1が許可した人や組織以外に見せない/聞かせないような制御も可能であり、プライバシやセキュリティが保護され、見守り対象者1から開示の同意も得やすい。
【0089】
センサの割り当ては、見守り対象者1が情報端末1aの入力部72を用いて設定することができる。設定された割り当ては、割当部68に記憶される。なお、センサの割り当ては、見守り対象者1の意思に沿って、チームリーダ20がサーバ34を用いて設定することも可能である。
【0090】
図10は、仮想センサの割り当ての一例を示す図である。同図に示す例では、家族14,16には、センサ群62の全てのセンサにより取得された情報が通知される。また、チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22,24には、人感センサ44、開閉スイッチ52、機器操作スイッチ54、及び緊急通報ボタン60により取得された情報が通知され、友人26には、温度センサ46、湿度センサ48、照度センサ50、及び緊急通報ボタン60により取得された情報が通知される。さらに、自治会班長28には、緊急通報ボタン60により取得された情報のみが通知される。
【0091】
一般に、見守り対象者1の家族14,16には、日常生活の履歴や現在の状況などがモニタできる多くのセンサを割り当て、親密度の浅い異常時駆け付け見守り者36には、プライバシに配慮して、生体と環境情報センサなどの一部のみを割り当てる。
【0092】
また、割当部68は、個々の仮想センサとして割り当てる機能や仕様の情報を有しており、各センサの機能や仕様の一部のみを個別の見守り者36や組織に割り当てることも可能である。また、センサの感度や反応するレベル範囲なども、それぞれのセンサの仕様範囲内で指定可能である。
【0093】
〔不審者の検知〕
見守り対象者1は、居住空間12から外出する際には、見守りセンサ40を外出モードに設定することができる。また、外出から帰宅した際には、外出モードを解除することができる。外出モードの設定/解除は、見守り対象者1が情報端末1aの入力部72を用いて設定することができる。外出モードの設定/解除の状態は、見守りセンサ40の外出設定部69に記憶される。
【0094】
なお、外出モードの設定/解除は、見守り対象者1からの電話連絡などにより、チームリーダ20がサーバ34を用いて行うことも可能である。さらに、人感センサ44や開閉スイッチ52、カメラ56の検出結果から、見守り対象者1が外出/帰宅したことを検出し、自動的に外出モードの設定/解除を行ってもよい。
【0095】
図11は、外出モード時の不審者検知システム10の概略構成図である。同図に示すように、見守りセンサ40が外出モードに設定されると、居住空間12が見守り対象となり、見守り対象者1が見守り者36に追加される。
【0096】
見守り対象者1が外出中に、見守りセンサ40により居住空間12の内部に生体の存在を検知すると、見守りセンサ40から通常は居住空間12で暮らしている外出中の見守り対象者1の情報端末1aへ、居住空間12に見守り対象者1以外の予期せぬ来訪者があった旨の通報が入る。割当部68において、他の見守り者36や組織に割り当てるセンサの感度レベルを低く設定している場合には、これらの人には通報されない。また、他の見守り者36や組織にも見守り対象者1と同じ感度レベルに設定している場合には、予期せぬ来訪者の検知の通知が同時に配信される。
【0097】
情報端末1aに予期せぬ来訪者の検知の通報を受信した場合は、見守り対象者1は居住空間12に設置された不図示の固定電話に電話したり、異常事態の追加確認手段である不図示の音声での呼び掛けセンサを使用して、来訪者の確認をしたりすることが可能である。また、カメラ56の視野に入るのであれば、画像での確認を行うことも可能である。
【0098】
確認の結果、来訪者が不審者である場合は、警察署32や不図示の警備会社などへ住居への掛け付けを要請する。また、来訪者が家族や知人である場合は、来訪の要件などを確認し、その後の対応を決めれば良い。
【0099】
〔見守り対象者の不審者検知方法〕
図12は、不審者検知システム10における見守り方法及び不審者検知方法の処理を示すフローチャートである。
【0100】
最初に、ステップST51において、見守り対象者1は、情報端末1aの入力部72を用いて、各見守り者36に対して見守りセンサ40のセンサ群62の各センサの仮想割り当ての設定を行う。ここでは、
図10に示した割り当ての設定を行ったものとする。設定された割り当ては、割当部68に記憶される。なお、割当部68に予め記憶されている仮想割り当ての設定を用いてもよい。また、外出モードの設定時と解除時とで、異なる仮想割り当てを設定してもよい。
【0101】
次に、ステップST52において、見守りセンサ40は、センサ群62及び取得部64により、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報をそれぞれ取得する(取得工程の一例)。即ち、ドプラセンサ42により見守り対象者1の生体情報を取得し、人感センサ44により見守り対象者1の居場所情報を取得し、温度センサ46により居住空間12の温度情報を取得し、湿度センサ48により居住空間12の湿度情報を取得し、照度センサ50により居住空間12の照度情報を取得し、開閉スイッチ52によりドアの開閉情報を取得し、機器操作スイッチ54により機器の操作情報を取得し、カメラ56により見守り対象者1の姿を撮影し、マイク58により見守り対象者1の音声を集音し、緊急通報ボタン60の操作情報を取得する。取得された情報は、通信部66を介して情報端末1aに送信される。なお、センサ群62の全てのセンサにおいて常時情報を取得するのではなく、特定の処理モード時だけ情報取得するセンサ、あるいは特定の処理モード時だけ情報を取得しないセンサ等を設けてもよい。
【0102】
次に、ステップST53において、見守りセンサ40が外出モードに設定されているか否かを判定する。前述のように、見守り対象者1は、居住空間12から外出する際には、情報端末1aの入力部72を用いて見守りセンサ40を外出モードに設定することができる。ここでは、取得部64において外出設定部69を読み出し、見守りセンサ40が外出モードに設定されているか否かを判定する。外出モードに設定されていない場合はステップST54へ移行し、外出モードに設定されている場合はステップST59へ移行する。
【0103】
外出モードに設定されていない場合、即ち見守り対象者1が居住空間12の内部に存在する場合は、ステップST54において、取得部64は、ステップST52で取得した見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報から、見守り対象者1や見守り対象者1の居住空間12の異常を検知したか否かを判定する。
【0104】
ドプラセンサ42において見守り対象者1の状態を検出する方法については前述したが、その他のセンサにおいて見守り対象者1や居住空間12の異常を検知する方法については、公知の方法を用いることができる。
【0105】
ステップST54において異常を検知した場合は、ステップST55に移行し、見守りセンサ40は、センサ群62のうち異常を検知したセンサを割り当てられた見守り者36を割当部68から検索し、情報端末1aを介してその見守り者36の端末36aに緊急通報を行う。例えば、ドプラセンサ42において異常を検知した場合であれば、ドプラセンサ42が割り当てられている家族14,16の携帯端末14a,16aに緊急通報を行う。また、開閉スイッチ52において異常を検知した場合であれば、家族14,16、チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22,24の携帯端末14a,16a,20a,22a,24aに緊急通報を行う。
【0106】
携帯端末20aにおいて緊急通報を受信したチームリーダ20は、駆け付け巡回警備員22,24に対して見守り対象者1の居住空間12への駆け付けを指示する。駆け付けた駆け付け巡回警備員22,24のいずれかのチーム員は、チームリーダ20に見守り対象者1の状況を報告する。この報告に対し、チームリーダ20は、必要に応じて図示しない病院などへの連絡を行う。
【0107】
ステップST54において異常を検知しなかった場合は、ステップST56に移行し、見守りセンサ40は、定時連絡の時間(予め決められた時刻の一例)になったか否かを判定する。定時連絡の時間になっていない場合は、ステップST52に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0108】
定時連絡の時間になった場合は、ステップST57に移行し、見守りセンサ40は、各見守り者36の端末36aに対し、各見守り者36に割り当てられた仮想センサの検出結果を通知する(通知工程の一例)。例えば、家族14,16の携帯端末14a,16aにはセンサ群62の全てのセンサにより取得された情報を通知し、チームリーダ20、駆け付け巡回警備員22,24の携帯端末20a,22a,24aには、人感センサ44、開閉スイッチ52、機器操作スイッチ54、及び緊急通報ボタン60により取得された情報を通知する。また、友人26の携帯端末26aには、温度センサ46、湿度センサ48、照度センサ50、及び緊急通報ボタン60により取得された情報を通知し、自治会班長28の携帯端末28aには、緊急通報ボタン60により取得された情報を通知する。通知後、ステップST58へ移行する。
【0109】
一方、ステップST53において外出モードに設定されていると判定した場合、すなわち見守り対象者1が居住空間12の内部に存在しない場合は、ステップST59において、取得部64は、ステップST52で取得した見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報から、居住空間12の内部に人物の存在を検知したか否かを判定する。人物の存在を検知していない場合は、ステップST52に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0110】
人物の存在を検知した場合は、ステップST60に移行し、見守りセンサ40は、通信部66(異常通知部の一例)を介して見守り対象者1の情報端末1aに緊急通報を行う(異常通知工程の一例)。割当部68の仮想割り当てに基づいて、見守り対象者1以外の見守り者36(見守り対象者及び/又は見守り者の一例)に通知してもよい。この通知を受けた見守り対象者1は、必要に応じて居住空間12やチームリーダ20へ連絡することができる。
【0111】
最後に、見守りセンサ40は、ステップST58において、見守りを終了するか否かを判定し、見守りの終了が指示されている場合は本フローチャートの処理を終了する。見守りを終了しない場合は、ステップST53に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0112】
以上のように見守り対象者1の見守りを行うことで、見守り対象者1のプライバシを保護しつつ、見守り対象者の安否確認や生活のモニタリングを適切に行うことができる。例えば、家族14,16は、仮想割り当ての設定に応じて、前日の様子や日中の様子などを適宜メールで受信することが可能になる。また、過去の状況なども確認可能である。一方、親密度がそれほど高くない見守り者36には、一部のセンサのみを割り当てることで、プライバシの漏えいを防止することができる。
【0113】
また、見守り対象者1が外出している際には、予期せぬ来訪者の検知を行うことで、居住空間12の防犯に使用することができる。この場合も、センサの仮想割り当てにより、見守り対象者1が在宅であるか不在であるかを無用の人や組織に通知しない事により当該者のプライバシを保護しつつ、来訪者の検知を適切に行うことができる。
【0114】
なお、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲に限定されない。また、以下に示すように、見守り者36に対する通知の内容や表示方法について様々な変形例を適用することができる。
【0115】
〔不審者検知システムの他の構成例〕
図13〜
図16は、不審者検知システム10の他の構成例を示す図である。なお、
図1に示す不審者検知システム10と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0116】
図13は、複数の見守り対象者1間において相互見守りをする場合の不審者検知システム10の例を示している。この例では、見守り対象者1の居住空間12とは異なる場所に住む家族14,16,18、複数の見守り対象者1におけるチームリーダ90、副チームリーダ92、相互駆け付けメンバ94,96,98、管理センタ100が見守り者36に相当する。また、不審者検知システム10には、緊急時の連絡先として消防署(救急)102及び病院104が登録されている。
【0117】
相互駆け付けメンバ96は、例えば近隣に住む友人であり、相互駆け付けメンバ98は、例えば見守り対象者1の所属する自治会の班長である。チームリーダ90、副チームリーダ92、相互駆け付けメンバ94,96,98は、相互に見守られつつ見守りを行っている。すなわち、メンバの1人は他のメンバの見守り対象者1でもあり、他のメンバの見守り者36でもある。チームリーダ90、副チームリーダ92、相互駆け付けメンバ94,96,98のそれぞれの居住空間には、それぞれ見守りセンサ40が設置されている。また、チームリーダ90、副チームリーダ92、相互駆け付けメンバ94,96,98は、それぞれ携帯端末90a,92a,94a,96a,98aを有しており、管理センタ100は、コンピュータ100aを備えている。これら携帯端末90a,92a,94a,96a,98a、コンピュータ100aが端末36aに相当し、それぞれ情報端末1aと通信可能に接続されている。
【0118】
見守り対象者1は、複数の見守り者36の各々の見守り者36にセンサ群62の複数のセンサのうち1つ又は2以上のセンサを仮想的に割り当てることができる。センサ群62の各センサは、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報を取得する。各見守り者36の端末36aには、それぞれ割り当てられたセンサによって取得された見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報が通知される。各メンバにとって自分以外のメンバは見守り対象者1である。したがって、複数の見守り対象者1のうちのいずれの見守り対象者1の情報であるかが識別可能に端末36aに通知・表示される。
【0119】
チームリーダ90は、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報の状況に応じて、救急102や病院104への連絡などの拡大処置または収束を行う。
【0120】
このように構成した場合も、見守り対象者1が外出している際に、予期せぬ来訪者の検知を行うことができる。これにより、居住空間12の不審者検知システムとして機能させることができる。また、センサの仮想割り当てにより、見守り対象者1のプライバシを保護しつつ、来訪者の検知を適切に行うことができる。
【0121】
図14は、見守り対象者1が地方独居者であり、見守り者36にボランティアの人物を有する場合の不審者検知システム10の例を示している。この例では、見守り対象者1の居住空間12とは異なる場所に住む家族14,16,18、チームリーダ106、副チームリーダ108、チーム員110,112,114、役場116が見守り者36に相当する。
【0122】
家族14,16,18は、見守り対象者1とは離れて生活する見守り対象者1の親族である。家族14,16,18は、それぞれ携帯端末14a,16a,18aを有している。
【0123】
チームリーダ106は、介護センタなどでコントロールセンタの役割を果たす人物である。副チームリーダ108は、チームリーダ106が対応できない場合などにチームリーダの役割を果たす人物であり、チーム員110はチームリーダ106及び副チームリーダ108の部下である。
【0124】
チーム員112は、見守り対象者1の友達であり、見守り対象者1の居住空間12の近隣に住んでいる。また、チーム員114は、見守り対象者1の所属する自治会の班長である。すなわち、チーム員112,114は、ボランティアの見守り者である。
【0125】
チームリーダ106、副チームリーダ108、チーム員110,112,114は、それぞれ携帯端末106a,108a,110a,112a,114aを有している。
【0126】
役場116は、例えば高齢者に関する業務を行う老人課などであり、情報端末1aと通信可能に接続されたコンピュータ116aが備えられている。また、不審者検知システム10には、緊急時の連絡先として救急102及び病院104が登録されている。
【0127】
携帯端末14a,16a,18a,106a,108a,110a,112a,114a、コンピュータ116aが端末36aに相当し、それぞれ情報端末1aと通信可能に接続されている。
【0128】
見守り対象者1は、複数の見守り者36の各々の見守り者36にセンサ群62の複数のセンサのうち1つ又は2以上のセンサを仮想的に割り当てることができる。センサ群62の各センサは、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報を取得する。
【0129】
このように構成した場合も、見守り対象者1が外出している際に、予期せぬ来訪者の検知を行うことができる。これにより、居住空間12の不審者検知システムとして機能させることができる。また、センサの仮想割り当てにより、見守り対象者1のプライバシを保護しつつ、来訪者の検知を適切に行うことができる。
【0130】
図15は、見守り対象者1がサービス付き高齢者向け住宅における独居者である場合の不審者検知システム10の例を示している。この例では、N人の見守り対象者1−1、1−2、…、1−N(以下、見守り対象者1−1〜1−Nと表記する)が存在し、見守り対象者1−1〜1−Nの居住空間12−1〜12−Nには、それぞれ見守りセンサ40−1〜40−Nが対応して設けられている。
【0131】
ここでは、見守り対象者1−1〜1−Nとそれぞれ離れて暮らす見守り対象者1−1〜1−Nの家族14−1〜14−N、介護士詰所のチームリーダ118、M人の巡回介護士120−1〜120−M、救急対応を行う医療センタ122が見守り者36に相当する。巡回介護士120−1〜120−Mは、警備会社の警備員であってもよい。また、不審者検知システム10には、緊急時の連絡先として救急102及び病院104が登録されている。
【0132】
見守り対象者1−1〜1−Nは、情報端末1a−1〜1a−Nを、家族14−1〜14−Nは、携帯端末14a−1〜14a−Nをそれぞれ有している。また、チームリーダ118は携帯端末118aを、巡回介護士120−1〜120−Mは、携帯端末120a−1〜120a−Mをそれぞれ有している。さらに、医療センタ122には、コンピュータ122aが備えられている。これらの携帯端末14a−1〜14a−N、118a、120a−1〜120a−M、及びコンピュータ122aが端末36aに相当し、それぞれ情報端末1a−1〜1a−Nと通信可能に接続されている。
【0133】
各見守り対象者1−1〜1−Nは、複数の見守り者36の各々の見守り者36にセンサ群62の複数のセンサのうち1つ又は2以上のセンサを仮想的に割り当てることができる。センサ群62の各センサは、見守り対象者1−1〜1−Nに関する情報又は居住空間12−1〜12−Nに関する情報を取得する。
【0134】
チームリーダ118の携帯端末118aには、見守り対象者1−1〜1−Nに関する情報又は居住空間12−1〜12−Nに関する情報の全ての状況が一覧表示される。また、各見守り者36の端末36aには、それぞれ割り当てられたセンサによって取得された見守り対象者1−1〜1−Nに関する情報又は居住空間12−1〜12−Nに関する情報が、複数の見守り対象者1−1〜1−Nのうちどの見守り対象者1の情報であるかが識別可能に通知・表示される。
【0135】
見守り対象者1−1〜1−Nのいずれかの見守り対象者1に異常が発生した場合には、チームリーダ118は、巡回介護士120−1〜120−Mに対し、該当する見守り対象者1の居住空間12への駆け付けを指示する。駆け付けた巡回介護士120−1〜120−Mのいずれかの巡回介護士120は、チームリーダ118に見守り対象者1の状況を報告する。この報告に対し、チームリーダ118は、必要に応じて救急102や病院104への連絡を行う。
【0136】
このように構成した場合も、見守り対象者1−1〜1−Nが外出している際に、居住空間12−1〜12−Nの予期せぬ来訪者の検知を行うことができる。これにより、居住空間12−1〜12−Nの不審者検知として機能させることができる。また、センサの仮想割り当てにより、見守り対象者1−1〜1−Nのプライバシを保護しつつ、来訪者の検知を適切に行うことができる。
【0137】
図16は、見守り対象者1が都会の独居者である場合の不審者検知システム10の例を示している。この例では、見守り対象者1の居住空間12とは異なる場所に住む家族14、医療センタ122、介護センタのチームリーダ124、警備会社の警備員126が見守り者36に相当し、見守り者36はプロ集団で構成されている。また、家族14の有する携帯端末14a、医療センタ122に備えられたコンピュータ122a、チームリーダ124の有する携帯端末124a、警備員126の有する携帯端末126aが端末36aに相当し、それぞれ見守り対象者1の有する情報端末1aと通信可能に接続されている。
【0138】
見守り対象者1は、複数の見守り者36の各々の見守り者36にセンサ群62の複数のセンサのうち1つ又は2以上のセンサを仮想的に割り当てることができる。センサ群62の各センサは、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報を取得する。各見守り者36の端末36aには、それぞれ割り当てられたセンサによって取得された見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報が通知される。
【0139】
チームリーダ124は、見守り対象者1に関する情報又は居住空間12に関する情報の状況に応じて、医療センタ122や救急102への連絡などの拡大処置または収束を行う。
【0140】
このように構成した場合も、見守り対象者1が外出している際に、予期せぬ来訪者の検知を行うことができる。これにより、居住空間12の不審者検知システムとして機能させることができる。また、センサの仮想割り当てにより、見守り対象者1のプライバシを保護しつつ、来訪者の検知を適切に行うことができる。
【0141】
〔携帯端末やコンピュータにおける表示〕
見守り対象者1の情報を各見守り者36の端末36aにおいて表示する際には、後述するD1〜D10の表示をアニメ化し、背景、メッセージ、数値とともに色を変えて、視認性を高める表示とする。表示する画面の基本色は状況に相応しいものを使用する。取得時間・場所・生体情報・生活環境の情報も表示する。
【0142】
見守り対象者1のマクロな情報として、各見守り者36の端末36aにおいて、次の10通りの表示区分で表示される。
【0143】
(M1)複数人います。見守りが不要な状態です。
(M2)きっと家には不在です。見当たりません。玄関ドアが、−時−分に開きました。
(M3)検知できない場所にいるようです。(ドアからの出入りは無い)
(M4)洗面所(トイレ)に居ます。−時−分から
(M5)浴室に居ます。−時−分から
(M6)玄関・廊下に居ます。−時−分から
(M7)部屋で活発に動いています。(生体情報は表示せず)
(M8)穏やかに活動しています。(生体情報を表示)
(M9)睡眠中と思われます。(生体情報を表示)
(M10)緊急に連絡すべき情報が有ります。(緊急と判断した取得情報と現在の情報を並列に表示)
【0144】
また、緊急通報受信時(M10表示時)には、各見守り者36の端末36aにおいて、下記の選択肢をアイコンなどに表現して選択可能に表示する。
【0145】
(R1)通報を受信した。すぐに駆付け可能です。
(R2)通報を受信した。駆付け出来ない。継続情報を待つ。
(R3)通報を受信した。今回は身守り活動に参加できず。
【0146】
各自の携帯端末において緊急通報を受信した見守り者36は、該当する選択肢(アイコン)を選択(タッピング)する。選択された選択肢の情報は、見守りセンサ40や見守り対象者1の情報端末1aに送信される。
【0147】
〔モニタレベル〕
本実施形態に係る不審者検知システム10は、見守り対象者ごとにモニタレベルを設定することができる。モニタレベルは、後述する通報レベルの閾値を保持し、異常検出の感度を制御することで、過剰通知のリスクを抑制する。設定可能なモニタレベルの一例を以下に示す。
【0148】
(L低):健常者で自由に動き回る人向け
(L中):室内で穏やかに生活する人向け(デフォルト)
(L高):移動に困難を感じる人向け(小さい変化であっても確認を要する)
【0149】
〔通報レベル〕
本実施形態に係る不審者検知システム10は、見守り者36ごとに通報レベルを設定することができる。設定可能な通報レベルの一例を以下に示す。
【0150】
(A無):一切の通報を抑止する(一時的に通報受取りが出来ない場合を想定)
(A小):表示区分M10のみ(緊急通報のみ)
(A中):表示区分M7〜M10のみ(マクロな活動状況のみ。防犯の観点から在宅/不在情報や生体情報は示さない)
(A大):見守りセンサが発信する緊急通報及び定時連絡の情報をすべて開示する。
居住環境:(時間・温度・湿度・照度)
生体情報:(時間・体動・呼吸・心拍)
生活機器の操作情報:(時間)
活動(居住)場所の移動履歴・時間
【0151】
〔緊急通報〕
情報端末1aは、割当部68に記憶された割当設定に従って、見守り者36ごとの通報レベルの閾値に応じた緊急通報を行う。
【0152】
見守り対象者1の保護の活動に参加可能な人からの応答があった場合、「xxさんが緊急連絡を確認しました」と見守りセンサ40や見守り対象者1の情報端末1aにスピーカ出力して伝える。また、同報された他の見守り者36の全員にも同様のメッセージを通報する。
【0153】
見守り対象者1の見守り責任者であるチームリーダ20には、応答者と確認駆付けの可否も通知する。これらの情報を基に、チームリーダ20は、見守り対象者1の保護のチーム編成、駆付け者の指定と指示などを行い、必要に応じて図示しない病院への連絡を行う。
【0154】
また、チームリーダ20は、実働のチーム編成と確認駆付け者の情報を不審者検知システム10の図示しないチーム通知ボックスに投稿する。見守り者36からなるチーム編成員は、この情報を共有可能となる。
【0155】
緊急通報時に緊急事態検出の条件が解除されない場合、連続して通報送信、すなわち見守り者36に同一情報の着信が継続することを抑止するために、緊急連続情報発信の可否フラグを持っていてもよい。このフラグの設定がない場合、5分間に2回、その後30分空けて5分間に2回の発信を行い、これ以降は行わない。時間間隔や回数は見守り対象者1や各見守り者36が設定可能とする。
【0156】
また、緊急連絡を受けた見守り者36は、不審者検知システム10へのログイン操作を行わずに、詳細情報の確認などを行うことができる。また、緊急連絡を受けた見守り者36が携帯端末やコンピュータで受付済の入力(専用ボタンのタップなど)を行えば、以降の緊急通報表示あるいはその端末36aへの送信は抑止される。
【0157】
さらに、通報を受ける見守り者36ごとに危険レベルに応じた通報レベル(閾値)を設定できる。したがって、軽い異常検出で通報を受ける人と、重度の異常検出でのみ通報を受ける人の設定が可能である。例えば、駆け付け可能な近場の見守り者36や施設には、高感度設定(小さい体動変化など)でも通報し、遠隔地の親族などには、かなりリスクが高い条件で通報するなどの態様が可能である。
【0158】
〔定時連絡〕
不審者検知システム10は、定時連絡に設定されている見守り者36に対し、見守り対象者1の情報を定時連絡する。定時連絡は、1日に2回をデフォルトにしており、例えば午前7時と午後7時に行う。
【0159】
見守り対象者1の情報端末1aは、定時連絡に設定されている見守り者36のプライバシ開示レベルに沿った情報を、見守り者36の端末36aに送信する。送信する情報は、見守り者36の端末36aが表示する下記のデータとする。
【0160】
(T1)居住環境:(温度・湿度・照度)
(T2)生体情報:(体動・呼吸・心拍)(データが存在する時だけ点グラフにプロット表示)
(T3)活動(居住)場所の移動履歴(ドプラセンサや各種センサで人を検知した位置を表示する。)
【0161】
情報を受信したコンピュータは、見守りセンサ40の各センサからの情報を15分単位で1日分を点グラフで表示する。表示内容は、プライバシ開示レベルで異なる。
【0162】
なお、情報端末1aは、記録時刻の誤差が蓄積されないように、起動時および定刻に標準時間表示サイトにアクセスして、時刻設定を行う。
【0163】
〔通報情報の管理〕
見守り者36への通知する情報(通報情報)は、不審者検知システム10のサーバ34や見守りセンサ40、あるいは図示しないコンピュータに、センサ群62の各センサの過去ログとともに記録してもよい。通報情報としては、通報ID、通報時刻、通報の通し番号、通報先IDや、通報レベル、通報内容がある。
【0164】
また、不審者検知システム10の管理者は、通報情報の過去ログを図示しないコンピュータやサーバに退避することができる。
【0165】
このように、不審者検知システム10によれば、緊急時の掛け付け要請と確認以外には関わりを期待しない人や組織には、日常の暮らしぶり、生活のリズム、現在の居場所などの情報は発信しないが、離れて暮らす家族へは、昨夜の状況や当日の生活状況の配信、更には、現在の居場所や生活環境情報、外出中であるかどうかなど、常日頃の状況も見守り(開示)可能とするセンサ構成と仕様とすることが可能である。また、家族ではないが、近隣や心の通じ合う親友などには、その親密度や信頼感に応じて、その間の範囲のセンサ構成と仕様とし、発信や開示を許可する設定も可能である。
【0166】
また、不審者検知システム10の誤報率を容認してでも緊急通報の受け取り希望する見守り者36と、検出見逃しは有っても高い精度の通報を希望する見守り者36とが同一システムに混在していても、それぞれの希望に応じて異なる振り分け緊急通報も可能である。
【0167】
これら各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。