【解決手段】コンタクト6は、相手側導電部材100を挟むことでこの相手側導電部材100に接触するための一対の片部38,39と、一対の片部38,39間の間隔が所定値に達したときに一対の片部38,39間の間隔が大きくなることを抑制するための開き抑制部50と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、コンタクトとして、種々の用途に広く適用することができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ1(以下、単にコネクタ1ともいう。)の斜視図である。
図2は、コネクタ1の一部を示す正面図である。
図3は、コネクタ1の一部を示す背面図である。
図4は、コネクタ1の断面図であり、コネクタ1を側方から見た状態を示している。
図5は、コネクタ1のコンタクト6に相手側導電部材100が挿入された状態を示す斜視図である。
図6は、コンタクト6に被覆電線2が接続された構成を有するサブアセンブリ20の斜視図である。
図7は、コンタクト6を当該コンタクト6の上側から見た状態を示す斜視図である。
図8は、コンタクト6を当該コンタクト6の下側から見た状態を示す斜視図である。
図9は、コンタクト6の平面図である。
図10は、コンタクト6の側面図である。
図11は、コンタクト6の正面図である。
図12は、コンタクト6の開き抑制部50,60によってコンタクト6の一対の片部38,39;48,49間の間隔が大きくなることを抑制している状態を示す斜視図である。
【0024】
図1〜
図6を参照して、電気コネクタ1は、相手側導電部材100と電気的且つ機械的に接続されるコネクタとして設けられている。相手側導電部材100は、たとえば、断面矩形の棒状の導電部材を用いて形成されている。相手側導電部材100の材料として、銅合金などを例示することができる。相手側導電部材100は、所定の幅K3を有している。相手側導電部材100は、図示しないハウジングに収容されており、このハウジングと協働して相手側電気コネクタを構成している。相手側電気コネクタの相手側導電部材100は、電線などを介して回路基板などの接続対象(図示せず)に接続されている。
【0025】
コネクタ1は、複数の被覆電線2を介して図示しない回路基板などの接続対象に接続されている。また、コネクタ1は、相手側電気コネクタ(相手側導電部材100)に接続されることで、当該相手側電気コネクタを介して、相手側電気コネクタに接続されている接続対象に接続される。
【0026】
各被覆電線2は、被覆部3と、芯線部4とを有している。
【0027】
被覆部3は、合成樹脂等の絶縁性の材料を用いて形成された、筒状の部材であり、弾力性を有している。被覆部3は、芯線部4を、芯線部4の周方向の全域に亘って覆っている。
【0028】
芯線部4は、金属等の導電材料を用いて形成されている。芯線部4の一端部は、コネクタ1のコンタクト6に接触している。芯線部4の他端部は、前述した接続対象に接続されている。
【0029】
コネクタ1は、ハウジング5と、複数のコンタクト6と、リテーナ7と、を有している。
【0030】
ハウジング5は、たとえば、合成樹脂を用いて形成された絶縁性の一体成形品であり、ブロック状に形成されている。なお、以下では、コネクタ1の長さ方向を、長さ方向X1という。また、コネクタ1の平面視において、長さ方向X1と直交する方向を、幅方向Y1という。また、長さ方向X1及び幅方向Y1の双方と直交する方向を、厚み方向Z1という。また、コネクタ1のうち、長さ方向X1の一方側を前側といい、長さ方向X1の他方側を後側という場合がある。
【0031】
ハウジング5は、複数のコンタクト6を保持するために設けられている。ハウジング5は、幅方向Y1に細長い形状に形成されているとともに、厚み方向Z1に扁平な形状に形成されている。
【0032】
ハウジング5は、複数のコンタクト6を収容するための複数のコンタクト収容部8と、コンタクト収容部8に連続する前側開口部9と、を有している。
【0033】
コンタクト収容部8は、コンタクト6の数と同じ数設けられている。コンタクト収容部8は、本実施形態では、幅方向Y1に沿って等間隔に複数設けられているとともに、厚み方向Z1に沿って2段設けられている。各コンタクト収容部8は、長さ方向X1に細長く延びる空間を形成しており、ハウジング5の前端面5aおよび後端面5bに開放されている。各コンタクト収容部8は、長さ方向X1におけるハウジング5の後端面5bから前端面5aに進むに従い次第に小さくなる形状を含んでいる。コンタクト収容部8のうち、ハウジング5の前端面5aに開放されている箇所は、前側開口部9の一部を形成している。
【0034】
前側開口部9は、ハウジング5の前端面5aに形成された開口部であり、接続用孔部10と、開放部11と、を有している。
【0035】
接続用孔部10は、各コンタクト収容部8に設けられている。接続用孔部10は、コンタクト収容部8の一部を形成しており、ハウジング5の前端面5aとコンタクト収容部8内部の空間と連続する孔部である。接続用孔部10は、相手側導電部材100を挿入可能な大きさに形成されている。本実施形態では、接続用孔部10は、正面視で矩形状に形成されている。開放部11は、厚み方向Z1に並ぶ2つの接続用孔部10,10間に配置されており、本実施形態では、厚み方向Z1におけるハウジング5の略中央に配置されている。開放部11は、幅方向Y1に延びており、コンタクト収容部8に収容されたコンタクト6をハウジング5の前端面5a側に露呈させている。
【0036】
上記の構成を有するハウジング5のコンタクト収容部8に、コンタクト6が収容されている。
【0037】
図4〜
図11を参照して、コンタクト6は、1つのコンタクト収容部8に1つ収容されている。各コンタクト6は、対応する被覆電線2に接続されており、また、相手側電気コネクタの対応する相手側導電部材100と接触することにより、当該相手側導電部材100に接続される。なお、各コンタクト6の構成は同一である。
【0038】
コンタクト6は、導電性を有する材料を用いて形成されている。より具体的には、コンタクト6は、たとえば、銅合金を素材として構成されている。そして、コンタクト6の表面には、たとえば、すずめっきまたは金めっきなどのめっき処理が施されている。コンタクト6は、本実施形態では、1枚の金属板をプレス加工および切断加工することにより形成された一体成形品である。
【0039】
コンタクト6は、長さ方向X1に細長い形状に形成されている。また、コンタクト6の前側部分は、相手側導電部材100を受け容れる筒状部分を有している。
【0040】
コンタクト6は、長さ方向X1に沿って延びるベース部21と、ベース部21の後側部分に設けられた電線固定部22と、ベース部21の前側部分に設けられた前側ユニット23と、を有している。
【0041】
ベース部21は、厚み方向Z1と直交する方向に延びる略平板状の部分である。ベース部21の長さ(長さ方向X1の長さ)は、ベース部21の幅(幅方向Y1の長さ)よりも大きく設定されている。ベース部21の幅は、ベース部21の後端部側の一部が他の部分よりも細くされている。また、ベース部21のうち、前側ユニット23が形成されている部分の一部において、幅方向Y1の両端が切り欠かれた形状に形成されている。
【0042】
ベース部21は、ハウジング5のコンタクト収容部8のうち、厚み方向Z1におけるハウジング5の中心寄りに配置されている。ベース部21の後端部は、長さ方向X1におけるハウジング5の中間部に配置されている。ベース部21の前端部は、コンタクト収容部8の前端部に配置されている。そして、ベース部21の前端部から、抜け止め部24が延びている。
【0043】
抜け止め部24は、ベース部21に片持ち支持されており、ベース部21から厚み方向Z1におけるハウジング5の中央部に向けて延びている。抜け止め部24は、長さ方向X1に沿って後側に向けて延びており、ハウジング5のコンタクト収容部8に形成された段部5cと向かい合っている。抜け止め部24がこの段部5cに受けられることで、コンタクト6は、コンタクト収容部8から抜かれる方向(後側)に抜けることを抑制されている。
【0044】
電線固定部22は、被覆電線2の一端部が固定される部分として設けられている。電線固定部22は、ベース部21の後部と、被覆固定部25と、芯線固定部26と、を有している。
【0045】
被覆固定部25は、ベース部21の後端部から延びる一対の第1かしめ片27,27を有している。各第1かしめ片27,27は、幅方向Y1におけるベース部21の端部から延びる、鉤形形状に形成されている。一対の第1かしめ片27,27がベース部21と協働して被覆部3を挟み込むことで、被覆部3がコンタクト6に固定されている。被覆固定部25の前方に、芯線固定部26が配置されている。
【0046】
芯線固定部26は、ベース部21の中間部から延びる一対の第2かしめ片28,28を有している。各第2かしめ片28,28は、幅方向Y1におけるベース部21の端部から延びる、鉤形形状に形成されている。被覆部3の一端部から、芯線部4が露出している。一対の第2かしめ片28,28がベース部21と協働して芯線部4を挟み込むことで、芯線部4がコンタクト6に固定されている。これにより、芯線部4とコンタクト6とが電気的に接続されている。被覆電線2とコンタクト6とが一体化されることで、サブアセンブリ20が形成されている。芯線固定部26の前方に、前側ユニット23が配置されている。
【0047】
前側ユニット23は、導電接続部31と、リテーナ受け部32と、開き抑制ユニット33と、有している。
【0048】
導電接続部31は、相手側導電部材100と接触するための部分として設けられている。本実施形態では、導電接続部31は、前側ユニット23前側部分に配置されている。リテーナ受け部32は、リテーナ7に受けられる部分として設けられている。本実施形態では、リテーナ受け部32は、前側ユニット23の後側部分に配置されている。また、挿入方向D1における前側ユニット23の下流側に、リテーナ受け部32が配置されている。
【0049】
挿入方向D1は、相手側導電部材100が後述する一対の第1片部38,39間に挿入される際のこれらの片部38,39に対する相手側導電部材100の変位方向である。本実施形態では、挿入方向D1は、長さ方向X1の一方である。導電接続部31およびリテーナ受け部32は、相手側導電部材100の周囲を取り囲む筒状(本実施形態では、略矩形の筒状)に形成されている。
【0050】
導電接続部31は、ベース部21の前側部分と、一対の第1弾性片部34,35と、第1開き抑制部50と、を有している。
【0051】
一対の第1弾性片部34,35は、ベース部21に対する弾性変形が可能な部分として設けられている。一対の第1弾性片部34,35は、幅方向Y1に向かい合うように配置されている。
【0052】
一対の第1弾性片部34,35は、一対の第1ばね部36,37と、一対の第1片部38,39と、を有している。
【0053】
一対の第1ばね部36,37は、ベース部21に連結される、弾性変形可能な部分である。一対の第1ばね部36,37は、幅方向Y1におけるベース部21の両端部から厚み方向Z1の一方に向けて延びている。各第1ばね部36,37は、湾曲状に形成されることによって、ばね性(可撓性)を付与されている。本実施形態では、各第1ばね部36,37は、正面視でU字状に形成されている。より具体的には、各第1ばね部36,37は、ベース部21から厚み方向Z1の一方に延びつつ、一旦、幅方向Y1のうちベース部21から遠ざかる方向に延び、その後、幅方向Y1のうちベース部21に近づく方向に延びている。また、各第1ばね部36,37の前端部は、ベース部21から遠ざかるに従い、後方に向けて進んでいる。これら一対の第1ばね部36,37に、一対の第1片部38,39が支持されている。
【0054】
一対の第1片部38,39は、相手側導電部材100を挟むことでこの相手側導電部材100に接触するために設けられている。各第1片部38,39は、対応する第1ばね部36,37の先端部36a,37aから、厚み方向Z1の一方に沿って延びており、幅方向Y1と略直交する矩形状の板状に形成されている。本実施形態では、厚み方向Z1において、各第1片部38,39の長さは、各第1ばね部36,37の長さより大きく設定されている。また、長さ方向X1において、各第1片部38,39の長さは、各第1ばね部36,37の先端部36a,37aの長さと概ね同じに設定されている。一対の第1片部38,39は、コンタクト収容部8の前端側部分に配置されている。そして、一対の第1片部38,39間の空間は、長さ方向X1に沿って接続用孔部10と並んでいる。一対の第1片部38,39に、接触部40,41が設けられている。
【0055】
接触部40,41は、対応する第1片部38,39の一部を幅方向Y1におけるコンタクト6の中心側に向けて突出させることで形成された凸状の部分である。一対の接触部40,41は、幅方向Y1に向かい合っている。コンタクト5の接続用孔部10に挿入された相手側導電部材100は、一対の第1片部38,39の間に進入することで、これら一対の接触部40,41に接触する。相手側導電部材100が一対の第1片部38,39間に挿入されることで、一対の第1片部38,39間の間隔が拡げられる。これにより、一対の第1ばね部36,37が弾性変形し、一対の第1片部38,39は、弾性的に相手側導電部材100を挟持する。一対の第1片部38,39に、開き抑制ユニット33の第1開き抑制部50が設けられている。開き抑制ユニット33の詳細は、後述する。上記の構成を有する導電接続部31の後方に、リテーナ受け部32が配置されている。
【0056】
リテーナ受け部32は、導電接続部31と同様の構成を有している。導電接続部31とリテーナ受け部32の主な違いは、導電接続部31は、相手側導電部材100と接触するための大きさに形成されており、リテーナ受け部32は、相手側導電部材100と直接接触することを意図されていない点にある。そして、導電接続部31の大きさと比べてリテーナ受け部32の大きさがより大きくされている。
【0057】
リテーナ受け部32は、ベース部21の中間部と、一対の第2弾性片部44,45と、第2開き抑制部60と、を有している。
【0058】
一対の第2弾性片部44,45は、ベース部21に対する弾性変形が可能な部分として設けられている。一対の第2弾性片部44,45は、幅方向Y1に向かい合うように配置されている。
【0059】
一対の第2弾性片部44,45は、一対の第2ばね部46,47と、一対の第2片部48,49と、を有している。
【0060】
一対の第2ばね部46,47は、ベース部21に連結される、弾性変形可能な部分である。一対の第2ばね部46,47は、幅方向Y1におけるベース部21の両端部から厚み方向Z1の一方に向けて延びている。各第2ばね部46,47は、湾曲状に形成されることによって、ばね性(可撓性)を付与されている。本実施形態では、各第2ばね部46,47は、正面視でU字状に形成されている。より具体的には、各第2ばね部46,47は、ベース部21から厚み方向Z1の一方に延びつつ、一旦、幅方向Y1のうちベース部21から遠ざかる方向に延び、その後、幅方向Y1のうちベース部21に近づく方向に延びている。
【0061】
また、各第2ばね部46,47の前端部は、対応する第1ばね部36,37の後端部と連続しており、当該対応する第1ばね部36,37と一体的に弾性変形可能である。ベース部21の近傍において、各第2ばね部46,47の前端部と対応する第1ばね部36,37の後端部との間に、切欠部21a,21aが形成されている。また、一対の第2片部48,49と対応する第1片部38,39とは、互いに分離されている。この構成により、各ばね部36,37,46,47の可撓性は、より大きくされている。
【0062】
各第2ばね部46,47のうち、ベース部21から遠いほうの端部である先端部46a,47aの位置は、対応する第1ばね部36,37の先端部36a,37aの位置と比べて、幅方向Y1の外側に位置している。これら一対の第2ばね部46,47に、一対の第2片部48,49が支持されている。一対の第2片部48,49は、一対の第1片部38,39と挿入方向D1に沿って並んでいる。
【0063】
一対の第2片部48,49は、リテーナ7に受けられることでコンタクト6がハウジング5のコンタクト収容部8に対して位置決めされる部分として設けられている。各第2片部48,49は、対応する第2ばね部46,47の先端部46a,47aから、厚み方向Z1の一方に沿って延びており、幅方向Y1と略直交する矩形状の板状に形成されている。本実施形態では、厚み方向Z1において、各第2片部48,49の長さは、各第2ばね部46,47の長さよりも大きく設定されている。また、各第2片部48,49の後端部は、第2ばね部46,47の後方に位置している。各第2片部48,49は、挿入方向D1において、第1片部38,39に隣接配置されている。
【0064】
ベース部21からの一対の第2片部48,49の高さは、ベース部21からの一対の第1片部38,39の高さと略同じに設定されている。一対の第2片部48,49は、コンタクト収容部8の前側部分に配置されている。そして、一対の第2片部48,49間の空間は、長さ方向X1に沿ってハウジング5の接続用孔部10と並んでいる。第1片部38,39および第2片部48,49に外力が作用していないときにおいて、一対の第2片部48,49間の間隔は、一対の第1片部38,39間の間隔よりも大きく設定されている。これにより、一対の第2片部48,49は、相手側導電部材100とは接触しないように構成されている。一対の第2片部48,49および一対の第1片部38,39に、開き抑制ユニット33が設けられている。
【0065】
開き抑制ユニット33は、導電接続部31およびリテーナ受け部32が過度に変形することを抑制するために設けられている。
【0066】
開き抑制ユニット33は、第1開き抑制部50と、第2開き抑制部60と、を有している。すなわち、第1開き抑制部50は、導電接続部50の一部であるとともに、開き抑制ユニット33の一部でもある。また、第2開き抑制部60は、リテーナ受け部32の一部であるとともに、開き抑制ユニット33の一部でもある。
【0067】
第1開き抑制部50は、一対の第1片部38,39間の間隔が所定値に達したときに一対の第1片部38,39間の間隔および一対の第2片部48,49間の間隔のそれぞれがさらに大きくなることを抑制するために、導電接続部31に設けられている。また、第2開き抑制部60は、一対の第2片部48,49間の間隔が所定値に達したときに一対の第1片部38,39間の間隔および一対の第2片部48,49間の間隔のそれぞれがさらに大きくなることを抑制するために、リテーナ受け部32に設けられている。このように、一対の第1片部38,39に第1開き抑制部50が設けられているとともに、一対の第2片部48,49に第2開き抑制部60が設けられている。
【0068】
なお、本発明の「一対の片部」とは、一対の第1片部38,39を示している場合と、一対の第1片部38,39および一対の第2片部48,49の双方を示している場合と、のそれぞれの場合を示している。
【0069】
第1開き抑制部50は、一対の第1片部38,39の一方(本実施形態では、第1片部38)に設けられた第1係合部51と、一対の第1片部38,39の他方(本実施形態では、第1片部39)に設けられ第1係合部51に係合するための第2係合部52と、を含んでいる。そして、一対の第1片部38,39に設けられた一対の接触部40,41間の間隔が拡がるときに第1係合部51と第2係合部52との間の間隔が狭くなるように、第1係合部51と第2係合部52とが配置されている。
【0070】
第1係合部51は、一方の第1片部38の前部から延びている。第1係合部51は、略矩形の板状に形成されており、一方の第1片部38の先端部から幅方向Y1に沿って他方の第1片部39側に向けて延びている。第1係合部51の先端部は、他方の第1片部39の先端部に隣接している。第2係合部52は、他方の第1片部39の後部から延びている。第2係合部52は、略矩形の板状に形成されており、他方の第1片部39の先端部から幅方向Y1に沿って一方の第1片部38側に向けて延びている。第2係合部52の先端部は、一方の第1片部38の先端部に隣接している。
【0071】
第1係合部51と第2係合部52は、長さ方向X1に並んでいるとともに、挿入方向D1に沿って延びている。そして、第1係合部51の先端部には、第1受け部51aが形成されている。また、第2係合部52の先端部には、第2受け部52aが形成されている。
【0072】
第1受け部51aは、第1係合部51のうち、第2係合部52側に向けて長さ方向X1の一方側に延びる小片状部分である。第2受け部52aは、第2係合部52のうち、第1係合部51側に向けて長さ方向X1の他方側に延びる小片状部分である。そして、第1受け部51aと第2受け部52aとは、幅方向Y1に向かい合っている。換言すれば、第1係合部51の第1受け部51aと第2係合部52の第2受け部52aは、一対の第1片部38,39が開閉されるときの開閉方向D2(本実施形態では、一対の第1片部38,39が向かい合う幅方向Y1)に向かい合っている。
【0073】
このように、第1係合部51および第2係合部52は、幅方向Y1のうちの互いに反対の方向に延びた後、鉤状の先端部分に形成された第1受け部51aおよび第2受け部52aが開閉方向D2に互いに向かい合うように配置されている。上記の構成により、一対の接触部40,41間の間隔が拡がるときに第1係合部51と第2係合部52との間の間隔が狭くなる。
【0074】
また、一対の第1片部38,39に外力が作用していないときにおいて、開閉方向D2における、第1係合部51の第1受け部51aと第2係合部52の第2受け部52aとの間の間隔K1が規定されている。この間隔K1は、一対の接触部40,41間の間隔K2と相手側導電部材100の幅K3との差K3−K2よりも大きく設定されている。すなわち、K1>(K3−K2)に設定されている。
【0075】
第2開き抑制部60は、一対の第2片部48,49の一方(本実施形態では、第2片部48)に設けられた第1係合部61と、一対の第2片部48,49の他方(本実施形態では、第2片部49)に設けられ第1係合部61に係合するための第2係合部62と、を含んでいる。そして、一対の第2片部48,49間の間隔が拡がるときに第1係合部61と第2係合部62との間の間隔が狭くなるように、第1係合部61と第2係合部62とが配置されている。
【0076】
第1係合部61は、一方の第2片部48の前部から延びている。第1係合部61は、略矩形の板状に形成されており、一方の第2片部48の先端部から幅方向Y1に沿って他方の第2片部49側に向けて延びている。第1係合部61の先端部は、他方の第2片部49の先端部に隣接している。第2係合部62は、他方の第2片部49の後部から延びている。第2係合部62は、略矩形の板状に形成されており、他方の第2片部49の先端部から幅方向Y1に沿って一方の第2片部48側に向けて延びている。第2係合部62の先端部は、一方の第2片部48の先端部に隣接している。
【0077】
第1係合部61と第2係合部62は、長さ方向X1に並んでいるとともに、挿入方向D1に沿って延びている。そして、第1係合部61の先端部には、第1受け部61aが形成されている。また、第2係合部62の先端部には、第2受け部62aが形成されている。
【0078】
第1受け部61aは、第1係合部61のうち、第2係合部62側に向けて長さ方向X1の一方側に延びる小片状部分である。第2受け部62aは、第2係合部62のうち、第1係合部61側に向けて長さ方向X1の他方側に延びる小片状部分である。そして、第1受け部61aと第2受け部62aとは、幅方向Y1に向かい合っている。換言すれば、第1係合部61の第1受け部61aと第2係合部62の第2受け部62aは、一対の第2片部48,49が開閉されるときの開閉方向D2に向かい合っている。
【0079】
このように、第1係合部61および第2係合部62は、幅方向Y1のうちの互いに反対の方向に延びた後、鉤状の先端部分に形成された第1受け部61aおよび第2受け部62aが幅方向Y1(開閉方向D2)に互いに向かい合うように配置されている。上記の構成により、一対の第2片部48,49間の間隔が拡がるときに第1係合部61と第2係合部62との間の間隔が狭くなる。なお、一対の第2片部48,49間に外力が作用していないときにおいて、開閉方向D2における第1係合部61の第1受け部61aと、第2係合部62の第2受け部62aとの間の間隔は、第1受け部51a,第2受け部52a間の間隔K1以上に設定されている。
【0080】
上記の構成を有するコンタクト6は、リテーナ7によって、ハウジング5に対して位置決めされている。リテーナ7は、合成樹脂などを用いて形成された絶縁性の部材である。リテーナ7は、ハウジング5の後端面5bに隣接して配置されるベース部7aと、このベース部7aからハウジング5内へ延びる複数の挿入片7bと、を有している。
【0081】
ベース部7aは、ハウジング5に着脱可能な態様で固定されている。ベース部7aは、幅方向Y1に沿って延びており、複数の被覆電線2を通過可能な貫通孔を有している。挿入片7bは、コンタクト収容部8の数と同じ数設けられている。各挿入片7bは、対応するコンタクト収容部8内に延びている。挿入片7bの先端側のうち、コンタクト収容部8の内側面と対向する部分は、テーパ状に形成されており、前方に進むに従い厚みが薄くされている。また、コンタクト収容部8のうち、挿入片7bの上記テーパ状の部分と対向する部分は、上記テーパ状の部分の形状と同様のテーパ形状に形成されている。そして、これらのテーパ状部分が互いに隣接している。また、挿入片7bは、コンタクト6のリテーナ受け部32の一対の第2片部48,49を受けている。
【0082】
上記の構成を有するコネクタ1において、導電接続部31の一対の第1片部38,39間に相手側導電部材100が挿入された場合、
図5に示すように、一対の第1片部38,39間の間隔が拡がるとともに、一対の接触部40,41が相手側導電部材100と接触する。これにより、コンタクト6と相手側導電部材100との接続が達成される。このとき、リテーナ受け部32の一対の第2弾性片部44,45は、相手側導電部材100とは接触していない。
【0083】
図6を参照して、一方、コネクタ1の製造途中において、たとえば、コンタクト6に被覆電線2が固定された構成を有するサブアセンブリ20が存在することとなる。すなわち、被覆電線2が固定されているけれどもハウジング5には収容されていない状態のコンタクト6を含むサブアセンブリ20が存在することとなる。この場合、複数のサブアセンブリ20が束ねられた状態で一時的に保管される場合がある。この場合において、サブアセンブリ20同士が絡むことなどにより、一対の第1片部38,39間の間隔が開くような外力、および、一対の第2片部48,49間の間隔が開くような外力(外力F1)が作用することがある。
【0084】
このような場合において、
図12に示すように、上記の外力F1が大きいと、一対の第1片部38,39間の間隔が所定値に達する。そして、第1係合部51の第1受け部51aと第2係合部52の第2受け部52aとが互いに接触する。これにより、一対の第1片部38,39間の間隔がさらに開くことは規制される。同様に、一対の第2片部48,49間の間隔が所定値に達する。そして、第1係合部61の第1受け部61aと第2係合部62の第2受け部62aとが互いに接触する。これにより、一対の第2片部48,49間の間隔がさらに開くことは規制される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によると、たとえば、コンタクト6に異物が接触することなどにより、一対の第1片部38,39間の間隔および一対の第2片部48,49間の間隔の少なくとも一方を過度に開かせようとする大きな外力F1がコンタクト6に作用する場合がある。この場合、第1開き抑制部50および第2開き抑制部60の作用により、一対の第1片部38,39間の間隔および一対の第2片部48,49間の間隔が過度に大きくなることを抑制できる。これにより、コンタクト6の製造時、および、搬送時などにおいて、一対の第1片部38,39間の間隔および一対の第2片部48,49間の間隔が過度に大きくなることを抑制できる。その結果、相手側導電部材100と接触するときの一対の第1片部38,39間の間隔が過度に大きくなることを抑制できる。すなわち、相手側導電部材100と接触する箇所が過度に変位することを抑制できる。これにより、相手側導電部材100とコンタクト6とを接続するときに、相手側導電部材100とコンタクト6との接触不良が生じることを、より確実に抑制できる。
【0086】
また、本実施形態によると、各開き抑制部50,60において、一対の第1片部38,39間の間隔が拡がるときおよび一対の第2片部48,49間の間隔が拡がるときに、第1係合部51,61と対応する第2係合部52,62との間の間隔が狭くなるように、これら第1係合部51,61と第2係合部52,62とが配置されている。この構成によると、一対の第1片部38,39間の間隔、および、一対の第2片部48,49間の間隔が所定値に達したときに、第1係合部51,61と対応する第2係合部52,62との係合によって、対応する一対の片部38,39;48,49間の間隔がさらに拡がることを抑制できる。しかも、各係合部51,52を対応する接触部40,41に隣接して配置することができる。よって、コンタクト6をよりコンパクトにすることができる。
【0087】
また、本実施形態によると、一対の第1片部38,39に外力が作用していないときにおいて、一対の第1片部38,39の開閉方向D2における第1係合部51と第2係合部52との間の間隔K1(係合部61,62間の間隔)は、一対の接触部40,41間の間隔K2と相手側導電部材100の幅K3との差K3−K2よりも大きく設定されている。この構成によると、相手側導電部材100と一対の第1片部38,39とが接触する際には、第1係合部51と第2係合部52とは(第1係合部61と第2係合部62とは)互いに接触しないで済む。よって、相手側導電部材100とコンタクト6とが接続されているときには、第1開き抑制部50(第2開き抑制部60)によって、相手側導電部材100とコンタクト6との接続状態が邪魔されることを防止できる。
【0088】
また、本実施形態によると、各係合部51,52,61,62は、挿入方向D1に沿って延びており、且つ、対応する係合部51,52;61,62が開閉方向D2に向かい合って配置されている。この構成によると、第1係合部51,61および対応する第2係合部52,62の互いの接触時の互いの接触面積をより大きくしつつ、各係合部51,52,61,62をよりコンパクトに配置することができる。
【0089】
また、本実施形態によると、一対の第1ばね部36,37の弾性変形によって、一対の第1片部38,39の可動量をより大きくできる。よって、一対の第1片部38,39と相手側導電部材100とがより確実に接触した状態となるように一対の第1片部38,39を変位させることができる。
【0090】
また、本実施形態によると、コンタクト6は、一対の第2片部48,49と、第2開き抑制部60と、を有しており、一対の第2片部48,49に外力が作用していないときにおいて、一対の第2片部48,49間の間隔は、一対の第1片部38,39間の間隔よりも大きく設定されている。この構成によると、一対の第2片部48,49は、一対の第1片部38,39の機能とは異なる機能(具体的には、コンタクト6を保持するリテーナ7に受けられる機能)を発揮できる。また、一対の第2片部48,49についても、一対の第2片部48,49間の間隔が過度に拡がることを、第2開き抑制部60によって抑制できる。
【0091】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。たとえば、次のように変更して実施してもよい。なお、以下では、上述の実施形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
(1)たとえば、第1開き抑制部50に代えて、
図13および
図14に示すように、第1開き抑制部50Aが設けられてもよい。
図13は、本発明の第1変形例の主要部を示す平面図である。
図14は、第1変形例の主要部を示す側面図である。第1開き抑制部50Aの第1係合部51Aは、一方の第1片部38から他方の第1片部39に向けて延びるT字状の部分である。第1係合部51Aの先端部の前端部および後端部は、長さ方向X1に沿って前方および後方に向けて突出しており、これらの突出部分が第1受け部51aA,51aAを形成している。
【0093】
第1開き抑制部50Aの第2係合部52Aは、他方の第1片部39から一方の第1片部38に向けて延びL字状に形成された一対の部分51b,51bを含んでいる。一対の部分51b,51bは、第1係合部51Aを前後に挟むように配置されている。一対の部分51b,51bの先端側部分は、長さ方向X1に沿って互いに近づくように延びている。そして、一対の部分51b,51bの先端側部分に、第2受け部52aA,52aAが設けられている。そして、他方の第1片部39寄りに配置された第1受け部51aA,51aAと、一方の第1片部38寄りに配置された対応する第2受け部52aA,52aAとが、幅方向Y1に向かい合っている。
【0094】
この構成によると、一対の第1片部38,39間の間隔が所定値に達したとき、第1変形例における動作状態を示す
図15に示すように、第1開き抑制部50Aにおいて、長さ方向X1における前後2箇所で、第1係合部51Aと第2係合部52Aとが係合する。これにより、第1開き抑制部50Aにおいて、よりバランスよく荷重を受けることができる。なお、3箇所以上で第1係合部と第2係合部とが接触するように構成されていてもよい。
【0095】
(2)また、第1開き抑制部50に代えて、
図16に示すように、第1開き抑制部50Bが設けられてもよい。
図16は、本発明の第2変形例の主要部を示す正面図である。第1開き抑制部50Bは、第1係合部51Bと、第2係合部52Bと、を有している。
【0096】
第1係合部51Bは、一方の第1片部38から他方の第1片部39に向けて延びている。第1係合部51Bの先端側の一部は、略90°湾曲している。これにより、第1係合部51Bの先端部は、他方の第1片部39のうち幅方向Y1における外側面39aと幅方向Y1に向かい合うように配置されている。この第1係合部51Bの先端部に、第1受け部51aBが設けられている。そして、他方の第1片部39のうち、先端側の一部が、第2係合部52Bを形成している。第2係合部52Bは、幅方向Y1と略直交する平板状に形成されている。第2係合部52Bのうち、開閉方向D2に沿って第1受け部51aBと向かい合う箇所が、第2受け部52aBを形成している。
【0097】
この構成によると、一対の第1片部38,39間の間隔が所定値に達したとき、第2変形例における動作状態を示す
図17に示すように、第1開き抑制部50Bの第1受け部51aBは、第2受け部52aBに係合することで、一対の第1片部38,39間の間隔のさらなる拡大を抑制する。
【0098】
(3)また、第1開き抑制部50Bに代えて、
図18に示すように、第1開き抑制部50Cが設けられてもよい。
図18は、本発明の第3変形例の主要部を示す正面図である。第1開き抑制部50Cは、第1係合部51Cと、第2係合部52Cと、を有している。第1係合部51Cは、一方の第1片部38から他方の第1片部39側に向けて延びている。第1係合部51Cのうち、厚み方向Z1と直交する部分には、幅方向Y1に所定の長さを有する貫通孔部である第1受け部51aCが形成されている。また、第2係合部52Cは、他方の第1片部39から一方の第1片部38側に延びた後、第1受け部51aCを貫通するように、厚み方向Z1に沿って延びている。そして、第2係合部52Cのうち第1受け部51aCに嵌合している部分が、第2受け部52aCとなっている。
【0099】
この構成によると、一対の第1片部38,39間の間隔が所定値に達したとき、第3変形例における動作状態を示す
図19に示すように、第1開き抑制部50Cの第2係合部52Cの第2受け部52aCは、第1係合部51Cの第1受け部51aCの縁部に係合する。これにより、一対の第1片部38,39間の間隔がさらに拡大することは、抑制される。
【0100】
(4)また、コンタクト6に代えて、
図20〜
図22に示すコンタクト6Dが設けられてもよい。
図20は、本発明の第4変形例の主要部を示す平面図である。
図21は、第4変形例の主要部を示す側面図である。
図22は、第4変形例の主要部を示す正面図である。コンタクト6Dは、ベース部21Dと、ベース部21Dの後部に設けられた電線固定部22(
図20〜
図22では図示せず)と、一対の弾性片部71,72と、第1開き抑制部50Dと、を有している。
【0101】
ベース部21Dは、ベース部21と同様、長さ方向X1に細長く延びている。ベース部21Dの中間部に、一対の弾性片部71,72が設けられている。一対の弾性片部71,72は、幅方向Y1におけるベース部21Dの両端部に支持されている。
【0102】
一対の弾性片部71,72は、長さ方向X1に沿って延びており、厚み方向Z1に起立した姿勢に配置されている。一対の弾性片部71,72は、幅方向Y1に向かい合っている。一対の弾性片部71,72の基端部は、ベース部21Dに支持されている。そして、一対の弾性片部71,72は、ベース部21Dに支持されている部分から長さ方向X1に沿って前方に向けて延びている。
【0103】
一対の弾性片部71,72の基端側部分は、幅方向Y1と直交する略平板状に形成されている。一対の弾性片部71,72の中間部は、長さ方向X1に沿って前方に向かうに従い互いの間隔が狭くなるように延びている。そして、一対の弾性片部71,72の先端部は、前方に向かうに従い互いに離隔するように反った形状に形成されている。
【0104】
一対の弾性片部71,72の基端側部分に、第1開き抑制部50Dが配置されている。第1開き抑制部50Dは、厚み方向Z1における一対の弾性片部71,72の先端部に配置されており、ベース部21Dと厚み方向Z1に向かい合っている。第1開き抑制部50Dの第1係合部51Dは、他方の第1弾性片部72から延びている。また、第1開き抑制部50Dの第2係合部52Dは、一方の第1弾性片部71から延びている。第1係合部51Dの第1受け部51aDと第2係合部52Dの第2受け部52aDは、開閉方向D2に向かい合っている。
【0105】
この構成によると、一対の第1弾性片部71,72間の間隔が所定値に達したとき、第4変形例における動作状態を示す
図23に示すように、第1係合部51Dの第1受け部51aDは、第2係合部52Dの第2受け部52aDに係合する。これにより、一対の第1弾性片部71,72の基端側部分間の間隔がさらに拡大することは、抑制される。
【0106】
(5)また、各上記実施形態および変形例において、第1開き抑制部50A,50B,50C,50Dと同様の構成の第2開き抑制部が設けられてもよい。