【実施例】
【0040】
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
水30gに、砂糖83g、乳糖を主原料とする食品7g、植物油脂7g、食塩2g、乳化剤1gを溶解させて糖液を調製し、上記
図1,2をもって説明した装置の基本構成を備え、温度設定領域として第1〜第4ゾーンを備えた連続真空ベルト乾燥装置(株式会社日阪製作所製)を使用して、下記表1に示す条件で乾燥処理を施した。具体的には、およそ1.7×10
3Paの真空度の減圧乾燥室内の搬送ベルト上に、被乾燥物たる糖液を、直径3mmの円径ノズルから給液量40g/minで給液し、その糖液を載せた搬送ベルトが第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン、第4ゾーンとベルト速度0.18m/minで移動するにともなって、それぞれのゾーンにて140℃、140℃、50℃、20℃での温度処理が施されるようにして、糖液を乾燥した。得られた乾燥物をミルで粉砕して実施例1のチップ状食品を得た。
【0042】
【表1】
【0043】
(実施例2)
給液量50g/minで給液した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のチップ状食品を得た。
【0044】
(実施例3)
給液量60g/minで給液した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のチップ状食品を得た。
【0045】
(実施例4)
水30gに、砂糖135g、抹茶5g、植物油脂7g、乳化剤1gを溶解させて糖液を調製し、実施例1と同様に連続真空ベルト乾燥装置(株式会社日阪製作所製)を使用して、下記表2に示す条件で乾燥処理を施した。具体的には、およそ1.7×10
3Paの真空度の減圧乾燥室内の搬送ベルト上に、被乾燥物たる上記糖液を、直径3mmの円径ノズルから給液量60g/minで給液し、その糖液を載せた搬送ベルトが第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン、第4ゾーンとベルト速度0.18m/minで移動するにともなって、それぞれのゾーンにて120℃、120℃、50℃、20℃での温度処理が施されるようにして、糖液を乾燥した。得られた乾燥物をミルで粉砕して実施例4のチップ状食品を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
(比較例1)
糖液として、オリゴ糖液糖(商品名「ハローデックス」、株式会社林原製、固形分:72%、主成分:マルトシルトレハロース)を用い、実施例1と同様に連続真空ベルト乾燥装置(株式会社日阪製作所製)を使用して、下記表3に示す条件で乾燥処理を施した。具体的には、およそ1.7×10
3Paの真空度の減圧乾燥室内の搬送ベルト上に、被乾燥物たる糖液として上記オリゴ糖液糖を、直径3mmの円径ノズルから給液量40g/minで給液し、そのオリゴ糖液糖を載せた搬送ベルトが第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン、第4ゾーンとベルト速度0.5m/minで移動するにともなって、それぞれのゾーンにて115℃、105℃、80℃、20℃での温度処理が施されるようにして、糖液を乾燥した。得られた乾燥物をミルで粉砕して比較例1の乾燥状食品を得た。
【0048】
【表3】
【0049】
(比較例2)
糖液として、水250gに濃縮イチゴ果汁250g、砂糖500g、デキストリン250gを溶解した溶解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の乾燥状食品を得た。
【0050】
(比較例3)
糖液として、水160gに梅ペースト250g、デキストリン300gを溶解した溶解液を用い、実施例1と同様に連続真空ベルト乾燥装置(株式会社日阪製作所製)を使用して、下記表4に示す条件で乾燥処理を施した。具体的には、およそ1.7×10
3Paの真空度の減圧乾燥室内の搬送ベルト上に、被乾燥物たる糖液として上記溶解液を、直径3mmの円径ノズルから給液量40g/minで給液し、その溶解液を載せた搬送ベルトが第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン、第4ゾーンとベルト速度0.3m/minで移動するにともなって、それぞれのゾーンにて130℃、110℃、90℃、20℃での温度処理が施されるようにして、糖液を乾燥した。得られた乾燥物をミルで粉砕して比較例3の乾燥状食品を得た。
【0051】
【表4】
【0052】
(比較例4)
比較例4として、市販のクッキークランチを用いた。
【0053】
(比較例5)
比較例5として、市販のザラメを用いた。
【0054】
(比較例6)
比較例6として、市販のキャンディをミルで粉砕してチップ状に加工した。
【0055】
(比較例7)
比較例7として、濃縮イチゴ果汁250gにデキストリン50gを溶解し凍結乾燥により乾燥して、ミルで粉砕して、フレーク状食品を得た。
【0056】
下記表5には、実施例1〜4、比較例1〜7の食品について、乾燥方法と乾燥物の性状についてまとめた。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示すように、連続真空ベルト乾燥装置を使用して糖液を乾燥した、実施例1〜4のチップ状食品においては、糖液がガラス転移した状態となるように乾燥されており、キャンディの硬い食感を呈するとともに、ミルで粉砕したとき容易に解砕し、粒径の調整も容易な性状であった。
【0059】
一方、比較例1〜3の乾燥状食品においては、連続真空ベルト乾燥装置を使用したものの糖液がガラス転移した状態となるように乾燥されておらず、特に、比較例1,2の乾燥状食品は、ミルで粉砕した際にすぐに粉末になってしまい、キャンディのような硬い食感が得られなかった。また、比較例3の乾燥状食品は、ミルで粉砕した際に不揃いに粉砕されてしまい、粒径の調整がしづらい性状であった。
【0060】
また、市販のクッキークランチを用いた比較例4では、比較的軟らかい食感で、キャンディのような硬い食感が得られなかった。また、市販のザラメを用いた比較例5では、ミルで粉砕すると不揃いに粉砕されてしまい、粒径の調整がしづらい性状であった。また、市販のキャンディを粉砕してチップ状に加工した比較例6では、ミルで粉砕した際に不揃いに粉砕されてしまい、粒径の調整がしづらい性状であった。
【0061】
また、真空乾燥により乾燥した比較例7の濃縮イチゴ果汁のフレーク状食品においては、糖液がガラス転移した状態となるように乾燥されておらず、キャンディのような硬い食感が得られなかった。
【0062】
[試験例1]
実施例1〜4、比較例1〜7の食品について、粒度の調整のし易さについて確認した。具体的には、家庭用ジューサーミキサーを用いてフラッシュで解砕後、6メッシュをパスし16メッシュにオンする粒径範囲に入るものの回収率を確認した。評価基準は、粒度の調整前に対する質量換算での回収率が40%より下を「×」、40〜80%を「△」、80%以上を「○」とした。その結果を表6に示す。
【0063】
【表6】
【0064】
その結果、実施例1〜4では、6メッシュをパスし16メッシュにオンする粒径範囲に入るものの回収率を80%以上とすることができ、粒度の調整が容易であった。これに対して、比較例1〜7ではそのように粒径を揃えることができなかった。
【0065】
[試験例2]
実施例1〜4、比較例1〜7の食品について、ヨーグルトなどにトッピングするケースを想定し、水濡れ性について確認した。具体的には、水濡れ前および水濡れ2分後におよそ1粒ずつ奥歯(第一臼歯)で噛んだときの硬さについて、水濡れ前を基準として、硬さの残存率を相対評価した。評価基準は、パネラー5名の平均として残存率が40%より下を「×」、40〜80%を「△」、80%以上を「○」とした。その結果を表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】
その結果、実施例1〜4では、硬さの残存率をおよそ85%以上に保つことができた。これは、チップ状食品の表面および内部の組織の全部又は大部分がガラス化して吸水しにくくなっているためと考えられた。これに対して、比較例1〜7ではそのように残存率を保つことができなかった。
【0068】
[試験例3]
実施例1〜4、比較例1〜7の食品について、下記の評価基準で官能評価を行なった。具体的には、パネラー5名の多数意見において、およそ1粒ずつ奥歯(第一臼歯)で噛んだときの硬さについて、キャンディ粉砕品をポジティブコントロール、クッキークランチをネガティブコントロールとし、噛んだときの音や顎にかかる力から総合的に判断して硬さを感じられるものについて「○」と評価し、脆く、硬さが感じられないものを「×」と評価した。
【0069】
また、テクスチャー測定器(「クリープメータRE33005」、株式会社山電製)を使用して、同一の条件で最大応力を測定した。具体的には、温度:20±2℃、テーブル速度:5 mm /sec、治具直径:12.7 mm、治具面積:126.7 mm
2、サンプルのセッティング:直径40 mm、高さ15 mmのステンレスシャーレにすりきり充填、ロードセル:20kgf、モード:破断(95%深さまで)の測定条件で、N数=10として、最大応力を測定し、その平均を求めた。
【0070】
それらの結果を表8に示す。
【0071】
【表8】
【0072】
その結果、実施例1〜4ではカリカリした適度に硬い食感が得られた。これに対して、比較例3、5、6ではガリガリとした硬い食感であり、比較例4、7ではサクサクとした脆い食感であり、比較例1、2では更により脆い食感であった。また、テクスチャー測定器の最大応力の測定値の順番が、官能評価の結果に相応した結果となった。
【0073】
[試験例4]
実施例1〜4、比較例1〜7の食品について、同一の条件で嵩比重(緩密度、密密度)を測定した。具体的には、緩充填嵩比重を、10cm高さから自然落下させた試料が、100ml容ステンレス容器からあふれたところで止め、容器上面をスパーテルですりきり、その重量を測定することによって求めた。また、密充填嵩比重を、10cm高さから自然落下させた試料が、100ml容ステンレス容器を30回廻しながらタップしながら試料を受け、試料が容器からあふれたところで止め、容器上面をスパーテルですりきり、その重量を測定することによって求めた。なお、0.4〜0.8g/cm
3の範囲に入る場合は「〇」、入らない場合は「×」と評価した。その結果を表9に示す。
【0074】
【表9】
【0075】
その結果、実施例1〜4では、密充填嵩比重が0.4〜0.8g/cm
3の範囲となった。