【解決手段】角膜内皮細胞撮影装置は、被検眼の角膜に向けてスリット光を照射する照射系と、照射系に対して斜めに配置された受光系とを含む。受光系は、1以上の正レンズと、撮像素子と、負レンズとを含む。撮像素子は、照射系によりスリット光が照射された角膜からの反射光のうち角膜内皮からの反射成分を1以上の正レンズを介して受光する。負レンズは、1以上の正レンズと撮像素子との間に配置されている。負レンズの光学中心は1以上の正レンズの少なくとも1つの光軸から外れた位置に配置され、かつ、負レンズの光軸は1以上の正レンズの少なくとも1つの光軸に対して傾斜して配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る角膜内皮細胞撮影装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0011】
以下では、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、被検者から見て光学系の奥行き方向(光軸方向、前後方向)をZ方向とする。X方向及びY方向をXY方向と表記する場合がある。
【0012】
実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置は、被検眼にスリット光を照射し、スリット光が照射された被検眼の角膜からの反射光のうち角膜内皮からの反射成分を受光して角膜内皮細胞を撮影することが可能な装置である。角膜内皮細胞撮影装置は、基台と、基台の上方に設けられたベース部と、ベース部に対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能な測定ヘッドとを含む。測定ヘッドには、被検眼の角膜内皮細胞を撮影するための光学系が設けられている。基台には、顎受け部と額当て部とを保持する保持部材が設けられている。例えば公知のアライメント手法を用いて、顎受け部に顎を載せつつ額当て部に額を当てた被検者に対して測定ヘッドを移動させることにより、被検眼に対する光学系のアライメントを行うことが可能である(特許文献1を参照)。
【0013】
以下では、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置が広視野の角膜内皮細胞の画像を取得する場合について説明する。実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置は、撮影範囲が異なる複数の角膜内皮細胞の画像を取得し、これらの画像を合成することで広視野の角膜内皮細胞の画像をパノラマ画像として取得する。
【0014】
[光学系]
図1に、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の光学系の構成例を示す。
図1に示す光学系は、上記の測定ヘッドに設けられている。
図1では、被検眼に対する光学系のアライメントを行うための構成の図示が省略されている。
【0015】
角膜内皮細胞撮影装置1は、照射系10と、受光系20とを含む。照射系10には、被検眼Eの角膜Cに向けてスリット光を照射するための光学系が設けられている。受光系20には、照射系10によりスリット光が照射された被検眼Eの角膜Cからの反射光のうち角膜内皮からの反射成分を受光するための光学系が設けられている。角膜Cにおいて照射系10の光軸O2(例えば照射系10の対物レンズの光軸)が受光系20の光軸O3(例えば受光系20の対物レンズの光軸)に交差するように、受光系20は照射系10に対して斜めに配置されている。すなわち、被検眼Eの正面方向の軸をO1とすると、軸O1と照射系10の光軸O2とのなす角度がθi(例えばθi=30度)となるように照射系10が設けられ、軸O1と受光系20の光軸O3とのなす角度がθoとなるように受光系20が設けられる。θoはθiと等しい角度であってよい。
【0016】
(照射系)
照射系10は、光源11と、コリメータレンズ12と、スリットが形成されている視野絞り13と、開口部が形成されている開口絞り14と、対物レンズ15とを含む。光源11は、例えば赤外発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。視野絞り13には、1以上のスリットが形成されている。視野絞り13は、光源11からの光の光路におけるスリットの位置を変更可能に構成されている。この実施形態では、視野絞り13は、図示しない移動機構(後述の移動機構13M)により移動可能である。移動機構により視野絞り13を移動することにより、コリメータレンズ12を通過した光の光路におけるスリットの位置が変更される。
【0017】
例えば、視野絞り13は、光源11からの光の光路に略平行に設けられた回動軸を中心に回動可能なターレット板を含む。このターレット板には、回動軸を中心とする円周方向に沿って1以上のスリットが形成されている。ターレット板に2以上のスリットが形成されている場合、移動機構は、一のスリットの一部と他の一のスリットの一部とが光源11からの光の光路において重複するようにターレット板を回動させる。ターレット板に1つのスリットが形成されている場合、移動機構は、回動前のスリットの一部と回動後のスリットの一部とが光源11からの光の光路において重複するようにターレット板を回動させる。
【0018】
或いは、視野絞り13は、光源11からの光の光路に交差する方向にスライド可能なスライド板を含んでもよい。このスライド板には、1以上のスリットが形成されている。スライド板に2以上のスリットが形成されている場合、移動機構は、一のスリットの一部と他の一のスリットの一部とが光源11からの光の光路において重複するようにスライド板を移動させる。スライド板に1つのスリットが形成されている場合、移動機構は、移動前のスリットの一部と移動後のスリットの一部とが光源11からの光の光路において重複するようにスライド板を移動させる。
【0019】
視野絞り13は、光源11からの光の光路におけるスリットの位置が被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。
【0020】
光源11から出力された光は、コリメータレンズ12により平行光束とされる。平行光束とされた光源11からの光は、視野絞り13に照射される。コリメータレンズ12により平行光束とされた光が視野絞り13に形成されたスリットを通過することによりスリット光が形成される。形成されたスリット光は、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜Cに向けて斜めから照射される。光源11からの光の光路におけるスリットの位置を変更することにより、角膜Cにおけるスリット光の照射領域を変更することができる。
【0021】
(受光系)
受光系20は、対物レンズ21と、平凸レンズ22と、凹レンズ23と、スリットが形成されている絞り24と、結像レンズ25と、撮像素子26とを含む。対物レンズ21、平凸レンズ22、及び結像レンズ25は、正の屈折力を有するレンズ(正レンズ)である。凹レンズ23は、対物レンズ21と撮像素子26との間に配置され、負の屈折力を有するレンズ(負レンズ)である。
【0022】
凹レンズ23の光学中心は対物レンズ21及び平凸レンズ22の少なくとも1つの光軸から外れた位置に配置され、かつ、凹レンズ23の光軸は対物レンズ21及び平凸レンズ22の少なくとも1つの光軸に対して傾斜して配置されている(チルトシフト配置)。対物レンズ21及び平凸レンズ22の少なくとも一方が、チルトシフト配置されていてもよい。すなわち、対物レンズ21の光学中心は、平凸レンズ22の光軸から外れた位置に配置され、かつ、対物レンズ21の光軸は平凸レンズ22の光軸に対して傾斜して配置されていてもよい。
【0023】
絞り24は、被検眼Eに対する光学系(照射系10及び受光系20)のアライメントが合致した状態で角膜上皮からの反射光束の部分を遮光し、角膜内皮の反射光束の部分だけがスリットを通過するように配置されている。結像レンズ25は、凹レンズ23を通過した光を撮像素子26の撮像面に結像させる。撮像素子26は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を含む。
【0024】
絞り24は、角膜Cからの反射光の光路におけるスリットの位置が被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。撮像素子26の撮像面は、被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。
【0025】
照射系10により角膜Cに照射されたスリット光の反射光は、対物レンズ21に導かれる。反射光の光束は、
図2に示すように反射光束R1、R2、R3を含む。反射光束R1は、角膜Cの角膜上皮である角膜表面Caの反射光束である。反射光束R2は、角膜内皮Cbの反射光束である。反射光束R3は、角膜Cの角膜実質Ccの反射光束である。反射光束R1、R2、R3は、対物レンズ21を通過し、平凸レンズ22を通過する。平凸レンズ22は、通過する光の収差特性を補正するようにチルトシフト配置されており、反射光束R1、R2、R3の収差特性を補正する。平凸レンズ22を通過した光は、凹レンズ23により屈折される。
【0026】
図3に、凹レンズ23による結像特性の変化を模式的に示す。
図3において、縦軸はMTF(Modulation Transfer Function)値を表し、横軸はデフォーカス量を表す。
図3は、凹レンズ23の光学中心(1点)と当該光学中心を基準とする四隅近傍の位置(4点)とを通る光のMTF特性を模式的に表したものである。
【0027】
特性T1は、光軸O3と同軸に凹レンズ23を配置し、かつ、主面が光軸O3に直交するように配置したときの凹レンズ23による結像特性に相当する。特性T2は、上記のようにチルトシフト配置したときの凹レンズ23による結像特性に相当する。凹レンズ23の光学中心及び光軸のそれぞれを上記のように配置するようにしたので、結像特性が特性T1から特性T2に変更することができる。特性T1と特性T2とを比較すると、チルトシフト配置することにより、凹レンズ23のレンズ面内において、通過する光の結像特性を揃えることができる。それにより、角膜頂点とその周辺部とのピント差を大幅に低減することができるため、角膜が円錐角膜等であっても角膜の形態に依存することなく、解像力の高い鮮明な角膜内皮細胞の画像の取得が可能になる。
【0028】
図1において、凹レンズ23により屈折された反射光束R1、R2、R3は、絞り24に照射される。絞り24に照射された反射光束R1、R2、R3のうち反射光束R2は、スリットを通過し、結像レンズ25により撮像素子26の撮像面に結像される。それにより、撮像素子26の撮像面に角膜内皮細胞像が結像され、この角膜内皮細胞像が撮像される。
【0029】
[処理系]
図4に、角膜内皮細胞撮影装置1の処理系の構成例のブロック図を示す。角膜内皮細胞撮影装置1の処理系は、制御部100を中心に構成される。
【0030】
(制御部)
制御部100は、角膜内皮細胞撮影装置1の各部の制御を行う。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。主制御部101の機能は、例えばマイクロプロセッサにより実現される。記憶部102には、角膜内皮細胞撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、光源制御用プログラム、撮像素子制御用プログラム、データ処理用プログラム及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部101が動作することにより、制御部100は制御処理を実行する。
【0031】
照射系10の制御には、光源11の制御や、移動機構13Mを駆動する駆動部13Dの制御(視野絞り13の制御)などがある。光源11の制御には、光源11の点灯、消灯、光量調整などがある。移動機構13Mは、上記のように、光源11からの光の光路に略平行に設けられた回動軸を中心に回動可能なターレット板を回動させる。駆動部13Dには、例えば、移動機構13Mを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。制御部100は、駆動部13Dに対して制御信号を送ることにより移動機構13Mに対する制御を行うことができる。
【0032】
受光系20の制御には、撮像素子26の制御などがある。撮像素子26の制御には、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。制御部100は、撮像素子26からの出力信号(映像信号)を取得することができる。
【0033】
制御部100は、各種情報を後述のUI部120に含まれる表示デバイスに表示させる。表示デバイスに表示される情報には、制御部100により生成された情報、データ処理部110によるデータ処理後の情報などがある。
【0034】
(データ処理部)
データ処理部110は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、撮像素子26により得られた画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像に対する解析処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
【0035】
データ処理部110は、画像合成部111と、解析部112とを含む。画像合成部111は、移動機構13Mによる視野絞り13の移動によってスリットの位置が互いに異なる状態で撮像素子26により得られた2以上の画像を合成して合成画像(パノラマ画像)を生成する。画像合成部111は、画像の端部の一部が互いに重複するように得られた2つの画像に対して当該重複部分が一致するように位置合わせ処理を施し、位置合わせが行われた2つの画像を並べて配置することで2つの画像を合成する。画像合成部111は、このような合成処理を繰り返すことで合成画像を生成する。
【0036】
解析部112は、撮像素子26からの出力信号に基づいて角膜内皮細胞の状態を表す情報を求める。例えば、解析部112は、撮像素子26からの出力信号に基づいて生成され複数の角膜内皮細胞が描出された画像を解析することにより角膜内皮細胞の境界を特定し、特定された境界に基づいて角膜内皮細胞を特定する。解析部112は、特定された角膜内皮細胞の面積や形状を求め、角膜内皮細胞の状態を表す情報を求める。角膜内皮細胞の状態を表す情報には、細胞の数、細胞の密度、最小細胞面積、最大細胞面積、平均細胞面積、細胞面積の標準偏差、細胞面積の変動係数、細胞面積のヒストグラム、六角形細胞出現率、形状のヒストグラムなどがある。
【0037】
なお、画像合成部111は、解析部112により特定された重複領域内の角膜内皮細胞の境界に基づいて2つの画像の位置合わせを行い、位置合わせが行われた2つの画像を並べて配置することで2つの画像を合成してもよい。
【0038】
(UI部)
UI(User Interface)部120は、ユーザと角膜内皮細胞撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。UI部120は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部100は、操作デバイスに対する操作内容を受け、操作内容に対応した制御信号を各部に出力することが可能である。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
【0039】
視野絞り13は実施形態に係る「スリット部材」の一例である。対物レンズ21及び平凸レンズ22は実施形態に係る「1以上の正レンズ」の一例である。凹レンズ23は実施形態に係る「負レンズ」の一例である。結像レンズ25は実施形態に係る「正レンズ」の一例である。対物レンズ21は実施形態に係る「第1正レンズ」の一例である。平凸レンズ22は実施形態に係る「第2正レンズ」の一例である。
【0040】
[動作]
実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置1の動作について説明する。以下では、視野絞り13が、光源11からの光の光路に略平行に設けられた回動軸O2´を中心に回動可能であり、回動軸O2´を中心とする円周方向に2以上のスリットが形成されているターレット板を含むものとする。すなわち、2以上のスリットのそれぞれを通過することにより形成されたスリット光により角膜Cにおける照射領域を変更しつつ、取得された2以上の画像を並べて配置することでパノラマ画像が生成されるものとする。
【0041】
図5に、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置1の動作の一例を示す。
図5は、角膜内皮細胞のパノラマ画像を取得する場合の実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置1の動作例のフロー図を表す。
【0042】
(S1)
主制御部101は、公知のアライメント手法により被検眼Eに対する光学系のXY方向の位置合わせを行う。例えば、主制御部101は、被検眼Eにアライメント視標光を投影させ、その反射光を撮像素子(撮像素子26でも可)の撮像面に結像させる。それにより、当該撮像素子の撮像面にアライメント視標光のプルキンエ像による像が結像される。主制御部101は、当該撮像素子によるアライメント視標光の反射光の受光結果に基づいてUI部120の表示デバイスにアライメント視標光による像を表示させる。ユーザは、当該像を所定のアライメントマーク内に誘導するようにUI部120に含まれる操作デバイスに対する操作を行うことにより、光学系を含む測定ヘッドをXY方向に移動させてXYアライメントを行う。自動でXYアライメントを行う場合、主制御部101は、アライメントマークに対する像の変位をキャンセルするように測定ヘッドをXY方向に移動させる。
【0043】
次に、主制御部101は、公知のアライメント手法により被検眼Eに対する光学系のZ方向の位置合わせを行う。例えば、主制御部101は、Zアライメントを行うためのスリット光を被検眼Eに投影させる。主制御部101は、その反射光をラインセンサ等で受光し、その受光位置がZ方向のアライメントが適正となる位置としてあらかじめ決定された位置となるように光学系を含む測定ヘッドをZ方向に移動させてZアライメントを行う。
【0044】
主制御部101は、視野絞り13に形成された2以上のスリットのうち所定のスリットが光源11からの光の光路に配置されるように移動機構13Mを制御する。
【0045】
(S2)
主制御部101は、撮像素子26の撮像面に結像された角膜内皮細胞を撮影させる。主制御部101は、撮像素子26により得られた映像信号を取得し、当該映像信号に基づく画像データ(又は映像信号)を記憶部102に記憶させる。
【0046】
(S3)
次に、主制御部101は、回動前のスリットの一部と回動後のスリットの一部とが光源11からの光の光路において重複するように駆動部13Dを制御して移動機構13Mによりターレット板を回動させる。それにより、S2において撮影が行われたときの角膜Cにおけるスリット光の照射領域が移動される。
【0047】
(S4)
主制御部101は、撮像素子26の撮像面に結像された角膜内皮細胞を撮影させる。主制御部101は、撮像素子26により得られた映像信号を取得し、当該映像信号に基づく画像データを記憶部102に記憶させる。
【0048】
(S5)
主制御部101は、次の撮影を行うか否かを判定する。角膜Cにおける照射領域を変更しつつ撮影を行う回数はあらかじめ決められており、主制御部101は、当該回数に基づいて次の撮影を行うか否かを判定することができる。また、主制御部101は、UI部120の操作デバイスに対するユーザの操作内容に基づいて、次の撮影を行うか否かを判定してもよい。次の撮影を行うと判定されたとき(S5:N)、角膜内皮細胞撮影装置1の動作はS3に移行する。S5から移行された2回目のS3における光源11からの光の光路におけるスリットの一部は、1回目のS3における光源11からの光の光路におけるスリットの一部と重複するように配置される。
【0049】
図6A及び
図6Bに、
図5のS2〜S5の動作説明図を示す。説明の便宜上、
図6A及び
図6Bは、
図1の光学系の一部を模式的に表している。
図6A及び
図6Bにおいて、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図6A及び
図6Bでは、ターレット板は、光源11からの光の光路に略平行に設けられた回動軸O2´を中心に回動可能であり、回動軸O2´を中心とする円周方向に3つのスリットSL1、SL2、SL3が形成されているものとする。すなわち、スリットSL1により形成されたスリット光を用いて取得された第1画像、スリットSL2により形成されたスリット光を用いて取得された第2画像、及びスリットSL3により形成されたスリット光を用いて取得された第3画像のうち少なくとも2つを並べて配置することでパノラマ画像が生成されるものとする。
【0050】
まず、S2では、
図6Aに示すようにスリットSL1により形成されたスリット光が角膜Cにおける照射領域SP1に照射される。このとき、角膜上皮からの反射成分と角膜内皮からの反射成分とが撮像素子26に導かれる。
図6Aでは、角膜上皮からの反射成分及び角膜内皮からの反射成分のうち角膜上皮からの反射成分に基づく像IC1が撮像素子26の撮像面PSに結像される。
【0051】
次に、1回目のS3では、ターレット板が回動軸O2´を中心に回動される(回動C1)。それにより、光源11からの光の光路にスリットSL2が配置される。このとき、スリットSL2は、スリットSL1の一部とスリットSL2の一部とが光源11からの光の光路において重複するように配置される。それにより、1回目のS4では、
図6Bに示すようにスリットSL2により形成されたスリット光の照射領域がE1方向に移動し、角膜Cにおける照射領域SP2に照射される。照射領域SP2の一部は照射領域SP1の一部に重複する。このとき、撮像素子26の撮像面PSにおいて、角膜上皮からの反射成分と角膜内皮からの反射成分とがD1方向に移動する。それにより、角膜上皮からの反射成分に基づく像IC1及び角膜内皮からの反射成分に基づく像IC2がD1方向に移動し、撮像素子26の撮像面PSに結像される。
【0052】
同様に、2回目のS3では、ターレット板が回動軸O2´を中心に回動される(回動C2)。それにより、光源11からの光の光路にスリットSL3が配置される。このとき、スリットSL3は、スリットSL2の一部とスリットSL3の一部とが光源光路において重複するように配置される。従って、2回目のS4では、
図6Bに示すようにスリットSL3により形成されたスリット光が角膜Cにおける照射領域SP3に照射される。照射領域SP3の一部は照射領域SP2の一部に重複する。このとき、角膜Cにおけるスリット光の照射領域がE1方向に移動し、照射領域SP3に照射されるため、撮像素子26の撮像面PSにおいて、角膜上皮からの反射成分と角膜内皮からの反射成分とがD1方向に更に移動する。それにより、角膜上皮からの反射成分に基づく像IC1及び角膜内皮からの反射成分に基づく像IC2がD1方向に移動し、撮像素子26の撮像面PSに結像される。
【0053】
S5において次の撮影を行わないと判定されたとき(S5:Y)、角膜内皮細胞撮影装置1の動作はS6に移行する。
【0054】
(S6)
次の撮影を行わないと判定されたとき(S5:Y)、画像合成部111は、S2及びS4において取得された2以上の画像を合成して合成画像を生成する。
【0055】
(S7)
次に、解析部112は、S6において生成された合成画像を解析することにより、上記のように角膜内皮細胞の状態を表す情報を求める。
【0056】
(S8)
次に、主制御部101は、S7において求められた情報をUI部120の表示デバイスに表示させる。このとき、主制御部101は、S6において生成された合成画像と共に当該情報を表示デバイスに表示させることが可能である。以上で、角膜内皮細胞撮影装置1の動作は終了する(エンド)。
【0057】
以上説明したように、照射系10は、一のスリットの一部が他の一のスリットの一部を光源11からの光の光路において重複するように2以上のスリットが形成された視野絞り13を設け、移動機構13Mにより視野絞り13を移動するようにしている。それにより、角膜内皮の異なる照射領域に対するスリット光の順次的な照射を高速化することができる。従って、非常に簡素な構成で、パノラマ画像の生成に必要な角膜内皮細胞の画像を短時間に取得することが可能になる。
【0058】
例えば、固視標の呈示位置を変更することにより新たな角膜内皮細胞が描出された画像の取得に要する時間は最低でも10秒〜20秒程度であるため、その間に眼球が動いてしまう。この場合、眼球の移動により画像の位置合わせが困難になり、パノラマ画像の生成ができない場合が多い。これに対し、実施形態では新たな画像の取得に要する時間は1秒以下(例えば0.2秒程度)であるため、被検者に負担をかけることなく、パノラマ画像を容易に取得することが可能になる。
【0059】
また、受光系20は、対物レンズ21と撮像素子26との間に凹レンズ23を設け、凹レンズ23をチルトシフト配置するようにしている。それにより、角膜頂点とその周辺部とのピント差を大幅に低減することができるため、角膜が円錐角膜等であっても角膜の形態に依存することなく、解像力の高い鮮明な角膜内皮細胞の画像の取得が可能になる。また、取得された角膜内皮細胞の画像中の任意の2つの位置におけるピント差が少ないため、これらの画像の位置合わせを行いやすくなり、パノラマ画像の取得が容易になる。
【0060】
<変形例>
実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置1の光学系の構成は
図1に示す構成に限定されるものではない。
【0061】
図7に、実施形態の変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置の光学系の構成例を示す。
図7において、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置1aの構成が角膜内皮細胞撮影装置1の構成と異なる点は、照射系10に代えて照射系10aが設けられている点である。照射系10aは、第1スリット光出力系30Aと、第2スリット光出力系30Bと、第3スリット光出力系30Cと、ハーフミラーHM1、HM2と、開口絞り14と、対物レンズ15とを含む。
【0063】
第1スリット光出力系30Aは、第1光源11Aと、第1コリメータレンズ12Aと、第1視野絞り13Aとを含む。第1光源11Aは、光源11と同様である。第1視野絞り13Aには、第1スリットが形成されている。第1視野絞り13Aは、第1光源11Aからの光の光路に配置されている。
【0064】
第2スリット光出力系30Bは、第2光源11Bと、第2コリメータレンズ12Bと、第2視野絞り13Bとを含む。第2光源11Bは、光源11と同様である。第2視野絞り13Bには、第2スリットが形成されている。第2視野絞り13Bは、第2光源11Bからの光の光路に配置されている。第2スリットは、当該スリットを通過した第2スリット光の角膜Cにおける照射領域の一部が第1スリットを通過した第1スリット光の角膜Cにおける照射領域の一部と重複するように形成されている。
【0065】
第3スリット光出力系30Cは、第3光源11Cと、第3コリメータレンズ12Cと、第3視野絞り13Cとを含む。第3光源11Cは、光源11と同様である。第3視野絞り13Cには、第3スリットが形成されている。第3視野絞り13Cは、第3光源11Cからの光の光路に配置されている。第3スリットは、当該スリットを通過した第3スリット光の角膜Cにおける照射領域の一部が第2スリットを通過した第2スリット光の角膜Cにおける照射領域の一部と重複するように形成されている。
【0066】
ハーフミラーHM1は、第1光源11Aからの光の光路と第2光源11Bからの光の光路とを結合する。ハーフミラーHM2は、ハーフミラーHM1により結合された光路と第3光源11Cからの光の光路とを結合する。
【0067】
第1視野絞り13Aは、第1光源11Aからの光の光路におけるスリットの位置が被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。第2視野絞り13Bは、第2光源11Bからの光の光路におけるスリットの位置が被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。第3視野絞り13Cは、第3光源11Cからの光の光路におけるスリットの位置が被検眼Eの角膜内皮と光学的に略共役になるように配置されている。
【0068】
以上のような構成により、第1光源11A、第2光源11B及び第3光源11Cを選択的に点灯することにより、角膜Cにおけるスリット光の照射領域が変更される。照射系10aは、角膜Cにおける一のスリット光の照射領域の一部と他の一のスリット光の照射領域の一部とを重複させることができる。
【0069】
第2光源11B及び第3光源11Cが消灯された状態で第1光源11Aが点灯されると、第1光源11Aから出力された光は、第1コリメータレンズ12Aにより平行光束とされる。平行光束とされた第1光源11Aからの光は、第1視野絞り13Aに照射される。第1コリメータレンズ12Aにより平行光束とされた光が第1スリットを通過することにより第1スリット光が形成される。第1スリット光は、ハーフミラーHM1、HM2を透過し、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜Cに向けて斜めから照射される。
【0070】
第1光源11A及び第3光源11Cが消灯された状態で第2光源11Bが点灯されると、第2光源11Bから出力された光は、第2コリメータレンズ12Bにより平行光束とされる。平行光束とされた第2光源11Bからの光は、第2視野絞り13Bに照射される。第2コリメータレンズ12Bにより平行光束とされた光が第2スリットを通過することにより第2スリット光が形成される。第2スリット光は、ハーフミラーHM1により反射され、ハーフミラーHM2を透過し、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜Cに向けて斜めから照射される。
【0071】
第1光源11A及び第2光源11Bが消灯された状態で第3光源11Cが点灯されると、第3光源11Cから出力された光は、第3コリメータレンズ12Cにより平行光束とされる。平行光束とされた第3光源11Cからの光は、第3視野絞り13Cに照射される。第3コリメータレンズ12Cにより平行光束とされた光が第3スリットを通過することにより第3スリット光が形成される。第3スリット光は、ハーフミラーHM2により反射され、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜Cに向けて斜めから照射される。
【0072】
図8に、変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置1aの処理系の構成例のブロック図を示す。
図8において、
図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
制御部100aは、角膜内皮細胞撮影装置1aの各部の制御を行う。制御部100aは、主制御部101aと、記憶部102aとを含む。主制御部101aの機能は、主制御部101と同様に、例えばマイクロプロセッサにより実現される。記憶部102aには、記憶部102と同様に、角膜内皮細胞撮影装置1aを制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部101aが動作することにより、制御部100aは制御処理を実行する。
【0074】
照射系10aの制御には、第1光源11Aの制御や第2光源11Bの制御や第3光源11Cの制御などがある。第1光源11Aの制御には、第1光源11Aの点灯、消灯、光量調整などがある。第2光源11Bの制御には、第2光源11Bの点灯、消灯、光量調整などがある。第3光源11Cの制御には、第3光源11Cの点灯、消灯、光量調整などがある。制御部100aは、第1光源11A〜第3光源11Cを順次に択一的に点灯させることにより、角膜Cにおけるスリット光の照射領域を変更することができる。
【0075】
制御部100aは、制御部100と同様に、受光系20やデータ処理部110やUI部120を制御することができる。
【0076】
図9に、変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置1aの動作の一例を示す。
図9は、角膜内皮細胞のパノラマ画像を取得する場合の角膜内皮細胞撮影装置1aの動作例のフロー図を表す。
【0077】
(S11)
主制御部101aは、公知のアライメント手法により被検眼Eに対する光学系の位置合わせを行う。S11は、S1と同様である。
【0078】
(S12)
主制御部101aは、第1光源11Aを点灯させ、第2光源11B及び第3光源11Cを消灯させる。それにより、第1光源11Aから出力された光は、第1コリメータレンズ12Aを通過し、第1視野絞り13Aに形成された第1スリットを通過することにより第1スリット光とされる。第1スリット光は、ハーフミラーHM1、HM2を透過し、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜Cにおける所定の照射領域(例えば
図6Aの照射領域SP1)に照射される。
【0079】
(S13)
主制御部101aは、撮像素子26の撮像面に結像された角膜内皮細胞を撮影させる。S13は、S2と同様である。
【0080】
(S14)
主制御部101aは、第2光源11Bを点灯させ、第1光源11A及び第3光源11Cを消灯させる。それにより、第2光源11Bから出力された光は、第2コリメータレンズ12Bを通過し、第2視野絞り13Bに形成された第2スリットを通過することにより第2スリット光とされる。第2スリット光は、ハーフミラーHM1により反射され、ハーフミラーHM2を透過し、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜CにおいてS12の照射領域の一部に重複する照射領域(例えば
図6Bの照射領域SP2)に照射される。
【0081】
(S15)
主制御部101aは、撮像素子26の撮像面に結像された角膜内皮細胞を撮影させる。S15は、S4と同様である。
【0082】
(S16)
主制御部101aは、第3光源11Cを点灯させ、第1光源11A及び第2光源11Bを消灯させる。それにより、第3光源11Cから出力された光は、第3コリメータレンズ12Cを通過し、第3視野絞り13Cに形成された第3スリットを通過することにより第3スリット光とされる。第3スリット光は、ハーフミラーHM2により反射され、開口絞り14に形成された開口部を通過し、対物レンズ15に導かれる。対物レンズ15に導かれた光は、角膜CにおいてS14の照射領域の一部に重複する照射領域(例えば
図6Bの照射領域SP3)に照射される。
【0083】
(S17)
主制御部101aは、撮像素子26の撮像面に結像された角膜内皮細胞を撮影させる。S17は、2回目のS4と同様である。
【0084】
(S18)
画像合成部111は、S13、S15及びS17の少なくとも2つにおいて取得された複数の画像を合成して合成画像を生成する。画像合成部111は、一のスリット光に基づく角膜内皮からの反射成分を受光した撮像素子26により得られた一の画像と、他の一のスリット光に基づく角膜内皮からの反射成分を受光した撮像素子26により得られた他の一の画像とを合成して合成画像を生成する。S18は、S6と同様である。
【0085】
(S19)
次に、解析部112は、S18において生成された合成画像を解析することにより、上記のように角膜内皮細胞の状態を表す情報を求める。S19は、S7と同様である。
【0086】
(S20)
次に、主制御部101aは、S19において求められた情報をUI部120の表示デバイスに表示させる。S20は、S8と同様である。以上で、角膜内皮細胞撮影装置1aの動作は終了する(エンド)。
【0087】
以上説明したように、照射系10aは、角膜Cにおける照射領域が互いに異なる複数のスリット光出力系を設け、それぞれのスリットを通過したスリット光を角膜Cの互いに異なる領域に順次に照射する。それにより、実施形態と同様に、非常に簡素な構成で、パノラマ画像の生成に必要な角膜内皮細胞の画像を短時間で取得することが可能になる。特に、実施形態と異なり、視野絞りを移動させる必要がないため、構成の簡素化と作動音の発生の抑制とが可能になる。
【0088】
第1視野絞り13A〜第3視野絞り13Cの任意の2つのそれぞれは、実施形態に係る「第1スリット部材」、「第2スリット部材」の一例である。ハーフミラーHM1又はハーフミラーHM2は実施形態に係る「光路結合部材」の一例である。
【0089】
なお、本変形例では3つのスリット光出力系を設けた場合について説明したが、2つのスリット光出力系、又は4以上のスリット光出力系を設けてもよい。
【0090】
[効果]
実施形態の効果について説明する。
【0091】
実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置(角膜内皮細胞撮影装置1)は、照射系(照射系10)と、受光系(受光系20)とを含む。照射系は、被検眼(被検眼E)の角膜(角膜C)に向けてスリット光を照射する。受光系は、照射系に対して斜めに配置されている。受光系は、1以上の正レンズ(対物レンズ21、平凸レンズ22)と、撮像素子(撮像素子26)と、負レンズ(凹レンズ23)とを含む。撮像素子は、照射系によりスリット光が照射された角膜からの反射光のうち角膜内皮からの反射成分を1以上の正レンズを介して受光する。負レンズは、1以上の正レンズと撮像素子との間に配置されている。負レンズの光学中心は1以上の正レンズの少なくとも1つの光軸から外れた位置に配置され、かつ、負レンズの光軸は1以上の正レンズの少なくとも1つの光軸に対して傾斜して配置されている。
【0092】
このような構成によれば、負レンズのレンズ面内において、通過する光の結像特性を揃えることができる。それにより、角膜頂点とその周辺部とのピント差を大幅に低減することができるため、角膜が円錐角膜等であっても角膜の形態に依存することなく、解像力の高い鮮明な角膜内皮細胞の画像の取得が可能になる。また、取得された角膜内皮細胞の画像中の任意の2つの位置におけるピント差が少ないため、これらの画像の位置合わせを行いやすくなり、パノラマ画像の取得が容易になる。
【0093】
また、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置では、1以上の正レンズは、第1正レンズ(対物レンズ21)と、第2正レンズ(平凸レンズ22)とを含み、第1正レンズの光学中心は第2正レンズの光軸から外れた位置に配置され、かつ、第1正レンズの光軸は第2正レンズの光軸に対して傾斜して配置されていてもよい。
【0094】
このような構成によれば、収差が補正され、かつ、任意の2つの位置においてピント差が少ない角膜内皮細胞の画像の取得が可能になる。
【0095】
また、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置では、受光系は、負レンズと撮像素子との間に配置され負レンズを通過した光を撮像素子の撮像面に結像させる正レンズ(結像レンズ25)を更に含んでもよい。
【0096】
このような構成によれば、負レンズのレンズ面内において結像特性が揃えられた状態で角膜内皮からの反射成分を撮像素子の撮像面に結像させることができるので、角膜の形態に依存することなく解像力の高い鮮明な角膜内皮細胞の画像の取得が可能になる。
【0097】
また、実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置は、撮像素子からの出力信号に基づいて角膜内皮細胞の状態を表す情報を求める解析部(解析部112)を含んでもよい。
【0098】
このような構成によれば、角膜の形態に依存することなく、角膜内皮細胞に関して精度の高い情報を提供することができる。
【0099】
<その他>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0100】
実施形態又はその変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置の光学系の構成は
図1又は
図7に示す構成に限定されるものではない。
【0101】
実施形態又はその変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置の照射系において、視野絞り13や複数のスリット光出力系を用いることにより角膜Cにおけるスリット光の照射領域を変更する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。例えば、開口絞り14と対物レンズ15との間に補正部材(光学素子)を設け、光軸O2に対して当該補正部材を傾斜配置させ、光軸O2に対する傾斜角度を変更することにより、当該補正部材を通過するスリット光の角膜Cにおける照射領域を変更してもよい。
【0102】
実施形態又はその変形例に係る角膜内皮細胞撮影装置の受光系において、絞り24を用いて角膜Cからのスリット光の反射光のうち角膜内皮からの反射成分を通過させる場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。例えば、対物レンズ21と平凸レンズ22との間に補正部材(光学素子)を設け、光軸O3に対して当該補正部材を傾斜配置させ、光軸O3に対する傾斜角度を変更することにより、角膜内皮からの反射成分だけを通過させるようにしてもよい。