特開2017-159245(P2017-159245A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-159245(P2017-159245A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】廃液処理用包装体
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20170818BHJP
   G21F 9/12 20060101ALI20170818BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20170818BHJP
   B65D 65/00 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   B01J20/26 D
   G21F9/12 501B
   G21F9/12 501J
   G21F9/12 501K
   C02F1/28 A
   B65D65/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-46469(P2016-46469)
(22)【出願日】2016年3月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥山 博史
【テーマコード(参考)】
3E086
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB02
3E086AD01
3E086BA02
3E086BA15
3E086BA19
3E086BB72
3E086BB90
3E086CA40
4D624AA04
4D624AB10
4D624BA05
4D624BA17
4D624BA19
4D624BB01
4D624BC01
4D624DA01
4G066AA66B
4G066AA67B
4G066AB05D
4G066AB06D
4G066AC02B
4G066AC17B
4G066AC24B
4G066AC35B
4G066BA12
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA12
4G066CA43
4G066DA08
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】 廃液の吸収性能に優れる廃液処理用包装体を提供する。
【解決手段】 水溶性ビニルモノマー及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマーを必須構成単量体とする架橋重合体を含有する吸収性樹脂と、透水性外装とを有してなる廃液処理用包装体;該廃液処理用包装体を用いて廃液を処理する方法であって、以下の工程(1)を含む廃液の処理方法。
工程(1):廃液と廃液処理用包装体とを接触させて、廃液を吸収する
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単量体とする架橋重合体(A)を含有する吸収性樹脂(X)と、透水性外装(G)とを有してなり、該(X)が1.0〜50kgである廃液処理用包装体(Z)。
【請求項2】
さらに、パルプ、バーミキュライト、パーライトおよびウレタン発泡体からなる群から選ばれる少なくとも1種の吸収助剤(J)を有してなる請求項1記載の廃液処理用包装体。
【請求項3】
(X)と(J)との重量比[(X)/(J)]が40/60〜95/5である請求項2記載の廃液処理用包装体。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の廃液処理用包装体(Z)を用いて廃液を処理する方法であって、以下の工程(1)を含む廃液の処理方法。
工程(1):廃液と廃液処理用包装体とを接触させて、廃液を吸収する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種産業分野から排出される廃液は増加の一途をたどっている。廃液としては工場廃液等、種々の廃液がある。例えば、原子力発電所等からから排出される放射性廃液は、少量でも漏れ出すと放射能汚染が広がる恐れがあるために、保管タンクなどに封入され、保管されている。
また、原子力発電所での重大事故の後では、建屋内の放射性廃液をポンプで汲み出している。しかしながら、ポンプを用いるだけではある程度の廃水が残り、この廃液を処理する方法が求められている。
この課題を解決すべく、透水性袋体の中にポリアクリル酸重合体を収納した放射線汚染水処理用具が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−114180号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では吸収性能が不十分であり、前記建屋内の放射性汚水の処理には十分に満足できるものではなかった。本発明の目的は、廃液の吸収性能に優れる廃液処理用包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単量体とする架橋重合体(A)を含有する吸収性樹脂(X)と、透水性外装(G)とを有してなり、該(X)が1.0〜50kgである廃液処理用包装体(Z)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の廃液処理用包装体(Z)は以下の効果を奏する。
(1)廃液(特に放射性廃液)の吸収性能(吸収量、吸収速度)に優れる。
(2)該(Z)を用いた廃液の処理方法により、効率的に廃液を吸収、減容できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<架橋重合体(A)>
本発明における架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性となる加水分解性ビニルモノマー(a2)を必須構成単量体とする。
上記必須構成単量体である水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマーとなる加水分解性ビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体等が挙げられる。
【0008】
これらのうち、廃液の吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましいのはアニオン性ビニルモノマー{アニオン性基(カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及び水酸基等)を有するビニルモノマー}(a11)、特に好ましいのは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩){(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等};不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましいのは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0009】
なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、「・・・酸(塩)」とは「・・・酸」及び/又は「・・・酸塩」を意味する。塩としては、カリウム、ナトリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩並びにカルシウム等のアルカリ土類金属塩が含まれる。
【0010】
また、廃液の吸収性能の観点から、アニオン性ビニルモノマー(a11)と後述のノニオン性ビニルモノマー(a12)とを組み合わせることが好ましい。(a11)と(a12)とのモル比[(a11)/(a12)]は、好ましくは1/99〜80/20、さらに好ましくは、5/95〜40/60、とくに好ましくは10/90〜30/70である。
該モル比[(a11)/(a12)]が80/20以下であることで、廃液の吸収性能が良好となる。
【0011】
前記ノニオン性ビニルモノマー(a12)としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノプロミルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。該(a12)は1種又は2種以上を用いることができる。
上記(a12)のうち、好ましいのは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、さらに好ましいのはアクリルアミドである。
【0012】
架橋重合体(A)に含まれる水溶性ビニルモノマー(a1)単量体がアニオン性ビニルモノマーの場合、これは未中和体であっても、中和体(水溶性ビニルモノマー塩単量体)であっても構わないが、架橋重合体(A)を製造する上での作業性の改良等の目的で水溶性ビニルモノマー(a1)単量体の一部又は全てを中和して水溶性ビニルモノマー塩単量体としてもよい。
【0013】
(a1)としてアニオン性ビニルモノマーを使用した場合に、(A)に含まれるアニオン性ビニルモノマー由来のアニオン部分を中和体としたい場合は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属又はこれらの水溶液を、重合前のモノマー段階、あるいは重合後の含水ゲルに添加すれば良い。
【0014】
架橋重合体(A)の水溶性ビニルモノマー(a1)として、アニオン性ビニルモノマー{最も好ましくはアクリル酸(塩)}を使用する場合、アニオン性ビニルモノマーの最終的な中和度{アニオン性ビニルモノマーのアニオン基及びアニオン塩基の合計モル数に基づく、アニオン塩基の含有量(モル%)}は、廃液の吸収性能の観点から、好ましくは30〜100、さらに好ましくは40〜95、特に好ましくは50〜90である。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単量体としてもよく、2種以上を構成単量体としてもよい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のうち、廃液の吸収性能の観点から、(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で構成単量体とすることである。
【0016】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の両方を構成単量体とする場合、これらのビニルモノマー単量体のモル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、廃液の吸収性能がさらに良好となる。
【0017】
架橋重合体(A)は、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)と共重合できるその他のビニルモノマーを構成単量体とすることができるが、その他のビニルモノマー(a3)を構成単量体として含まないことが好ましい。
【0018】
その他のビニルモノマー(a3)としてはたとえば、特開2003−225565号公報に記載のビニルモノマー等が挙げられる。
その他のビニルモノマー(a3)を構成単量体とする場合、その他のビニルモノマー単量体の含有量(モル%)は、廃液の吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単量体及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単量体の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
【0019】
本発明において、架橋重合体(A)は、必須構成単量体である(a1)及び/又は(a2)が、反応性基を有する場合(カルボキシル基を有するものとアミノ基を有するものの併用等)は、自己架橋させても良いが、必要により内部架橋剤(c)を使用してもよい。
内部架橋剤(c)としては、公知の内部架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。
これらの内部架橋剤のうち、廃液の吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレー、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、炭素数2〜10のポリオールの(ポリ)グリシジルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラアリルオキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0020】
内部架橋剤(c)の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単量体及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単量体の合計モル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、廃液の吸収性能がさらに良好となる。
【0021】
架橋重合体(A)は、公知の方法{特開2003−225565号公報及び特開2005−075982号公報等}と同様にして、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(c)を重合して、含水ゲルを調製し、必要により含水ゲルを細断した後、乾燥して架橋重合体(A)としてもよい。
【0022】
また、架橋重合体(A)は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された吸収性樹脂粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0023】
架橋重合体(A)が粉砕された粒子状である場合、(A)の重量平均粒子径(μm)は廃液の吸収性能、取り扱いの観点から、好ましくは100〜2000、さらに好ましくは200〜1000、特に好ましくは300〜850である。
【0024】
架橋重合体(A)は、必要により表面架橋剤を反応させて、表面を架橋処理してもよい。
表面架橋剤としては、公知の表面架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の表面架橋剤が使用できる。
これらの表面架橋剤のうち、廃液の吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単量体の水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)単量体の加水分解によって生成する水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0025】
表面架橋剤の含有量(モル%)は、廃液の吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単量体及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単量体のモル数に基づいて、0.005〜0.300が好ましく、さらに好ましくは0.010〜0.200、特に好ましくは0.015〜0.15である。
【0026】
表面架橋反応の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の方法が適用できる。
【0027】
<透水性外装(G)>
本発明における、公知のものでよいが、廃液の吸収性能、後述の廃液処理用包装体(Z)の取り扱い等の観点から、好ましいのは織布、不織布、メッシュ、さらに好ましいのは織布、不織布である。
ここで透水性外装とは、少なくとも表面積の20%以上が透水性を有する外装である。また、透水性は100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと300秒以下であり、好ましくは150秒以下であり、さらに好ましくは60秒以下であることを指す。。
該(G)の形状は、吸収性能、取り扱いのし易さの観点から、好ましいのは袋状、さらに好ましいのはフレコン(フレキシブルコンテナバック)である。
【0028】
<廃液処理用包装体(Z)>
本発明の廃液処理用包装体(Z)は、前記架橋重合体(A)を含有する吸収性樹脂(X)と、前記透水性外装(G)とを有してなり、該(X)が1.0〜50kgである廃液処理用包装体である。該吸収性樹脂(X)の重量は、廃液の吸収性能のバランスの観点から好ましくは3.0〜40kg、さらに好ましくは5.0〜30kg、とくに好ましくは10〜25kgである。
【0029】
上記(Z)の形態としては、例えば、次のものが挙げられる。
(1)透水性外装(G)の袋に、吸収性樹脂(X)と、必要により後述の吸収助剤(J)とを入れたもの。
(2)透水性外装(G)の間に、吸収性樹脂(X)と、必要により(J)とを入れたもの。
上記(1)〜(2)のうち、工業上および取り扱いの観点から、好ましいのは(1)である。
【0030】
また、廃液処理用包装体(Z)の形状、大きさは、用途、目的により、適宜、調整できるが、工業上および取り扱いの観点から、好ましい形状は上記(1)のうち、袋状のものである。
【0031】
<吸収助剤(J)>
本発明の廃液処理用包装体(Z)は、吸収性能向上の観点から、パルプ、バーミキュライト、パーライトおよびウレタン発泡体からなる群から選ばれる少なくとも1種の吸収助剤(J)を有することが好ましい。
該吸収助剤(J)のうち、吸収性能の観点から、好ましいのはパルプ、バーミキュライト、さらに好ましいのはバーミキュライトである。
該(J)の形状は、好ましくは繊維状、粒子状、さらに好ましくは粒子状であり、粒子状の場合、その重量平均粒子径は好ましくは300μm〜10mm、さらに好ましくは500μm〜5mmである。
【0032】
前記(X)と(J)との重量比[(X)/(J)]は吸収性能のバランスの観点から、好ましくは40/60〜95/5、さらに好ましくは60/40〜90/10である。
【0033】
<廃液の処理方法>
本発明の廃液の処理方法は、前記廃液処理用包装体(Z)を用いて廃液を処理する方法であって、以下の工程(1)を含むものであり、さらに工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):廃液と廃液処理用包装体とを接触させて、廃液を吸収する
工程(2):廃液を吸収した廃液処理用包装体を減容する
上記工程において、減容は、メタノール、アセトン等の有機溶剤、塩化ナトリウム塩化カルシウ等の塩またはその水溶液により、廃液を吸収した該包装体の体積を減ずるものである。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部を示す。
【0035】
<製造例1>
アクリル酸145.4部に水9.4部を加え、20〜30℃に冷却しつつ、25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部(アクリル酸の中和度75モル%相当)を加えて中和した。該水溶液にエチレングリコール(EG)ジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−810」、ナガセ化成工業(株)製]0.09部、次亜リン酸ソーダ1水和物0.0146部、過硫酸カリウム0.29部を加えて均一溶解させ、モノマー水溶液を得た。次いで、反応容器にシクロヘキサン624部を仕込み、さらにソルビタンモノステアレート2部を加えて溶解させた後、撹拌しつつ反応容器内を窒素置換した。次に、反応容器内を70℃に温度調整した後、該モノマー水溶液397部を6.6部/分の速度で1時間かけて滴下し、その後、75℃で30分間反応、熟成させて、懸濁液を得た。
懸濁液から、水及びシクロヘキサンを共沸除去し、含水率約20重量%[赤外水分計「FD−100型」、Kett(株)製、加熱温度180℃、20分で測定]の水溶液とした。30℃に冷却し撹拌を停止して樹脂粒子を沈降させ、デカンテーションにより樹脂粒子を分離し、150℃に設定した循風乾燥機にて2時間乾燥させて、架橋重合体(A−1)からなる吸収性樹脂(X−1)を得た。
なお、(X−1)の重量平均粒子径は520μmであった。
【0036】
<実施例1>
吸収性樹脂(X−1)30kgと、バーミキュライト[「焼成バーミキュライト2号品」、ベルミテック社製、重量平均粒子径1.1mm](J−1)12.9kgとを混合機で混合した。この混合物を、原反[PP1500d 15×15平織、小泉製麻製]で作成したフレコン[タテ1.5m×ヨコ1.5m×高さ2.5m]である透水性外装(G−1)に入れて廃液処理用包装体(Z−1)を得た。
【0037】
<実施例2〜5>
実施例1において、表1にしたがった以外は、実施例1と同様にして、廃液処理用包装体(Z−2)〜(Z−5)を得た。
【0038】
<比較例1>
市販のポリオレフィン樹脂のペレット(重量平均粒子径:2mm)(比X−1)30kgを透水性外装(G−1)に入れ、廃液処理用包装体(比Z−1)を得た。
【0039】
上記で得られた各廃液処理用包装体を、後述の評価方法で評価した。結果を表1に示す。
【0040】
<評価方法>
(1)吸収量(kg)
タテ5m×ヨコ5mの水槽に、高さ0.2mの水道水を満たした。この水槽に廃液処理用包装体を底面に接するよう載置して、1時間吸収させた。なお、途中では、水を追加投入して、水位を維持した。
吸収前の包装体の重量(W0)と、吸収後の包装体の重量(W1)から、次式により吸収量<S1>(kg)を求めた。

吸収量<S1>(kg)=(W1)−(W0)
【0041】
(2)吸収速度(%)
上記(1)の評価において、1時間を0.5時間にして、吸収量<S2>(kg)を求めた。吸収量<S1>と吸収量<S2>とから次式により、吸収速度(%)を求めた。

吸収速度(%)=吸収量<S2>×100/吸収量<S1>
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果から、本発明の廃液処理用包装体(Z)は比較のもの比べて、廃液の吸収性能(吸収量、吸収速度)に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の廃液処理用包装体は、廃液の吸収性能に優れており、放射性廃液などの廃液処理に有用である。