特開2017-159715(P2017-159715A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-159715(P2017-159715A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】バルクローリ
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20170818BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   B60P3/22 Z
   B65D88/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-44049(P2016-44049)
(22)【出願日】2016年3月8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 充てん設備許可申請のための添付図書,平成27年10月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸太
(72)【発明者】
【氏名】山代 幸広
【テーマコード(参考)】
3E070
【Fターム(参考)】
3E070AA07
3E070AB32
3E070PA01
3E070RA10
3E070RA30
3E070VA30
(57)【要約】
【課題】 前扉を開いた状態にしたときに、ガスダンパを用いなくても、衝撃により閉まる虞れのない弁箱を備えるバルクローリを提供すること。
【解決手段】 流体を貯蔵するタンク3内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱10を有し、弁箱10の前扉が、上端ヒンジ部16により弁箱10に連結された傾斜部11と、傾斜部11から延設された垂直部を備えるバルクローリにおいて、垂直部が、傾斜部11と一体に形成された垂直上面部12と、垂直上面部12に中間ヒンジ部17により連結された垂直下面部13を有すること、中間ヒンジ部17を中心として、垂直部12、13を折り畳みながら、傾斜部11及び垂直部12、13を、上端ヒンジ部16を中心として180度回転させたときに、傾斜部11及び垂直部12、13の重心が、上端ヒンジ部16より裏面側に位置すること、を特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯蔵するタンク内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱を有し、前記弁箱の前扉が、上端ヒンジ部により前記弁箱に連結された傾斜部と、前記傾斜部から延設された垂直部を備えるバルクローリにおいて、
前記垂直部が、前記傾斜部と一体に形成された垂直上面部と、前記垂直上面部に中間ヒンジ部により連結された垂直下面部を有すること、
前記中間ヒンジ部を中心として、前記垂直部を折り畳みながら、前記傾斜部及び前記垂直部を、前記上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、前記傾斜部及び前記垂直部の重心が、前記上端ヒンジ部よりバルクローリ中心側に位置すること、
を特徴とするバルクローリ。
【請求項2】
請求項1に記載するバルクローリにおいて、
前記垂直上面部に磁石が取り付けられており、前記傾斜部及び前記垂直部を、前記上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、前記磁石がホースケースに吸着すること、
を特徴とするバルクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を貯蔵するタンク内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱を有し、弁箱の前扉が、上端ヒンジ部により前記弁箱に連結された傾斜部と、傾斜部から延設された垂直部を備えるバルクローリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来のバルクローリは、供給先にタンク内の流体を供給するためのホースを収納するためのホースケースを備えている。ホースケースは、円筒形状のタンクの側面下部に設置されている。また、ステーションにおいてタンク内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱が、ホースケースの下部に設置されている。
特許文献2の図5に記載されているように、弁箱は、折り畳み式の前扉により開閉されるが、上側にホースケースが配置されているため、前扉は、開いた状態で、後方まで移動できない。そのため、前扉は、ガスダンパにより開いた状態が保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-071614号公報
【特許文献2】特開2004-067179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバルクローリには、次の問題があった。
すなわち、一対のガスダンパという部品が必要であるため、コストアップする問題があった。
一方、タンクの直径を大きくすることにより、搬送量を増加させることが要望されていた。しかし、タンクの直径を大きくすると、バルクローリの重心が高くなり、転倒する虞れがあり問題であった。
その問題を解決するために、本出願人は、別の特許出願において、タンクの直径を大きくした時にできるタンクの下部空間に、ホースケースを設置することにより、バルクローリの回転モーメントを減少させることを提案している。
ホースケースをタンクの下部空間に設置すること、すなわち、ホースケースをバルクローリの中心線側に近づけることにより、弁箱の上部に空間を形成することができた。
弁箱の上部にできた空間を利用して、前扉の傾斜部(垂直面に対して傾斜した部分)と垂直部の間に中間ヒンジ部を設けることにより、ガスダンパを無くすことを本発明者らは考えた。
しかし、それでは、折り畳んだ前扉の重心が上端ヒンジ部(上端ヒンジ部は、本体箱に対して、傾斜部が180度回転可能に保持している。)の真上付近にあるため、衝撃等により前扉が閉まってしまう問題があった。衝撃等により前扉が閉まってしまうと、作業性を悪くするため問題であった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決して、前扉を開いた状態にしたときに、ガスダンパを用いなくても、衝撃により閉まる虞れのない弁箱を備えるバルクローリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のバルクローリは、次の構成を有している。
(1)流体を貯蔵するタンク内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱を有し、弁箱の前扉が、上端ヒンジ部により弁箱に連結された傾斜部と、傾斜部から延設された垂直部を備えるバルクローリにおいて、垂直部が、傾斜部と一体に形成された垂直上面部と、垂直上面部に中間ヒンジ部により連結された垂直下面部を有すること、中間ヒンジ部を中心として、垂直部を折り畳みながら、傾斜部及び垂直部を、上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、傾斜部及び垂直部の重心が、上端ヒンジ部よりバルクローリ中心側に位置すること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載するバルクローリにおいて、前記垂直上面部に磁石が取り付けられており、前記傾斜部及び前記垂直部を、前記上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、前記磁石がホースケースに吸着すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバルクローリは、次のような作用、効果を奏する。
(1)流体を貯蔵するタンク内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱を有し、弁箱の前扉が、上端ヒンジ部により弁箱に連結された傾斜部と、傾斜部から延設された垂直部を備えるバルクローリにおいて、垂直部が、傾斜部と一体に形成された垂直上面部と、垂直上面部に中間ヒンジ部により連結された垂直下面部を有すること、中間ヒンジ部を中心として、垂直部を折り畳みながら、傾斜部及び垂直部を、上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、傾斜部及び垂直部の重心が、上端ヒンジ部よりバルクローリ中心側に位置すること、を特徴とするので、衝撃等により前扉が閉まってしまう虞れがなく作業性が良い。作業性を良くすると共に、ガスダンパを無くすことができるため、コストダウンを実現することができる。
【0009】
(2)(1)に記載するバルクローリにおいて、前記垂直上面部に磁石が取り付けられており、前記傾斜部及び前記垂直部を、前記上端ヒンジ部を中心として180度回転させたときに、前記磁石がホースケース本体に吸着すること、を特徴とするので、衝撃が大きい場合でも、磁石により前扉がホースケースに吸引されているため、閉じる虞れが減少し、衝撃等により前扉が閉まってしまう虞れがなく作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例である弁箱の正面図である。
図2図1のAA断面図である。
図3】作用を説明する図である。
図4】作用を説明する図である。
図5図1のBB断面図である。
図6】本発明の一実施例であるバルクローリの側面図である。
図7】バルクローリの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のバルクローリの一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。図6に、バルクローリ1の側面図を示し、図7に、バルクローリ1の平面図を示す。
図6、7に示すように、バルクローリ1は、運転台2と、複数のタイヤ7を有している。そして、シャーシの上には、タンク3と、燃料基地において、液化ガスをタンク3に充填するときに使用するホースを収納する充填ホース収納箱6が載置されている。
本発明のバルクローリ1のタンク3の直径は、1900mmと従来(1825mm)と比較して4%以上大きくしている。これは、1回の輸送で大量の液化ガスを搬送したいという要望に応えるためである。
しかし、タンク3の直径を大きくすると、バルクローリ1の重心が高くなり、転倒する虞れがあり問題であった。
【0012】
その問題を解決するために、本出願人は、別の特許出願において、タンクの直径を大きくした時にできるタンクの下部空間に、客先に流体を供給するために使用するホース5を収納するホースケース4を設置している。図7に示すように、ホースケース4の全ての部分は、タンク3の直下に位置する。法令では、タンク3の直下に無い部品は所定の厚みを有することが定められているが、本実施例では、ホースケース4がタンク3の直下にあるため、ホースケース4の鋼板の厚みを薄くしている。
ホースケース4の鋼板の厚みを薄くすることにより、ホースケース4の質量を低減すると共に、設置する位置をバルクローリ1の中心線に近づけていることにより、バルクローリ1に作用する回転モーメントを減少させることができた。
ホースケース4をタンク3の下部空間に設置すること、すなわち、ホースケース4をバルクローリ1の中心線側に近づけることにより、弁箱10の上部に空間を形成することができた。すなわち、弁箱10の後方には、弁箱10の奥行の3/5程度までホースケース4が位置しているが、前方の2/5の上部は空間になっている。
【0013】
図1に、本発明の弁箱10の正面図を示す。図2に、図1のAA断面図を示し、図5図1のBB断面図を示す。
弁箱10の内部には、図示しないが、タンク3に接続する充填口、充填用弁、メーターが備えられている。
図1、2に示すように、弁箱10の前扉は、傾斜部11と、傾斜部11から延設された垂直上面部12と、垂直上面部12と2つの中間ヒンジ部17により連結された垂直下面部13とを備えている。前扉は、傾斜部11の上端が2つの上端ヒンジ部16により本体箱18に連結されている。
傾斜部11には、内部メーターを視認するための窓15が備えられている。垂直上面部12には2個の永久磁石21が付設されている。垂直下面部13には、平面ハンドル14が備えられている。
図4に示すように、上端ヒンジ部16は、本体箱18に対して、傾斜部11が180度回転可能に保持している。
【0014】
次に、上記構成を有する弁箱10の作用について説明する。
図2に示している状態は、前扉が閉じられた状態である。この状態では、平面ハンドル14はロックされている。窓15を通して内部のメーターを視認することができる。バルクローリ1の運行中等通常の場合は、弁箱10は図2の状態にある。
燃料基地において、タンク3に液化ガスを充填する場合について説明する。図3に前扉が開いていく途中の状態を示し、図4に前扉が全開した状態を示す。
図2の状態で、作業者は、平面ハンドル14のハンドル部を上に回転させる。これにより平面ハンドル14のロックが外れ前扉を開くことが可能な状態となる。
【0015】
作業者は、平面ハンドル14のハンドルを引き上げた後、回転させることによりロックが外れ、ハンドルを持ったまま手前方向に前扉を持ち上げる。これにより、傾斜部11が上端ヒンジ部16を中心にして図3において時計回りに回転すると共に、垂直下面部13が垂直上面部12に対して、中間ヒンジ部17を中心に図3において反時計回りに回転し、図3の状態となる。
作業者がさらに前扉を上方向に持ち上げることにより、傾斜部11が上端ヒンジ部16を中心にしてさらに時計回りに回転すると共に、垂直下面部13が垂直上面部12に対して、中間ヒンジ部17を中心にさらに反時計回りに回転し、図4の状態となる。
図4の状態では、上端ヒンジ部16は、図2の状態から180度回転している。垂直上面部12は、ホースケース4の表面にほぼ当接する位置にある。
垂直下面部は、平面ハンドル14のフランジ部が垂直上面部12の裏面に当接した状態に位置している。
【0016】
この状態で作業者は、基地側のローディングアームと、弁箱10内の図示しない充填口とを接続する。そして、基地側のポンプを始動することにより、タンク3に液化ガスを充填する。
図4の状態では、前扉の重心は、上端ヒンジ部16の垂線に対して十分右側の位置にあるので、前扉に作用する回転モーメントは、図4において時計回りに大きく作用しているため、前扉が自然に反時計回りに回転することはなく、バルクローリ1が少し傾斜して停車されている場合でも、前扉が自然に閉まる虞れはない。
さらに、永久磁石21がホースケース4に当接し磁力により吸着されているので、前扉が自然に閉まる虞れはさらに低減されている。
【0017】
以上詳細に説明したように、本実施例のバルクローリ1によれば、(1)流体を貯蔵するタンク3内に流体を充填するための操作用バルブを収納する弁箱10を有し、弁箱10の前扉が、上端ヒンジ部16により弁箱10に連結された傾斜部11と、傾斜部11から延設された垂直部を備えるバルクローリにおいて、垂直部が、傾斜部11と一体に形成された垂直上面部12と、垂直上面部12に中間ヒンジ部17により連結された垂直下面部13を有すること、中間ヒンジ部17を中心として、垂直部12、13を折り畳みながら、傾斜部11及び垂直部12、13を、上端ヒンジ部16を中心として180度回転させたときに、傾斜部11及び垂直部12、13の重心が、上端ヒンジ部16よりバルクローリ中心側に位置すること、を特徴とするので、衝撃等により前扉が閉まってしまう虞れがなく作業性が良い。作業性を良くすると共に、ガスダンパを無くすことができるため、コストダウンを実現することができる。
【0018】
(2)(1)に記載するバルクローリ1において、垂直上面部12に永久磁石21が取り付けられており、傾斜部11及び垂直部12、13を、上端ヒンジ部16を中心として180度回転させたときに、永久磁石21がホースケース4に吸着すること、を特徴とするので、衝撃が大きい場合でも、永久磁石21により前扉がホースケース4に吸引されているため、閉じる虞れが減少し、衝撃等により前扉が閉まってしまう虞れがなく作業性が良い。
【0019】
本発明のバルクローリについては、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、本実施例では、永久磁石を用いて前扉を閉じた状態に安定して保持しているが、垂直下面部13の裏側にウエイトを付設して回転モーメントを大きくしても良い。
また、本実施例では、永久磁石を前扉の裏側に設置しているが、前扉の表側に設置しても良い。
【符号の説明】
【0020】
1 バルクローリ
3 タンク
4 ホースケース
6 充填ホース収納箱
10 弁箱
11 傾斜部
12 垂直上面部
13 垂直下面部
14 平面ハンドル
16 上端ヒンジ部
17 中間ヒンジ部
18 本体箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7