特開2017-160585(P2017-160585A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-160585(P2017-160585A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】繊維機械のクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 11/00 20060101AFI20170818BHJP
【FI】
   D01H11/00 A
   D01H11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-15004(P2017-15004)
(22)【出願日】2017年1月31日
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 010.9
(32)【優先日】2016年2月4日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】509120344
【氏名又は名称】ライター インゴルスタドト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和なぎさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィグ、 ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】アダルベルト、 シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター、 ラインハルト
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA02
4L056AA15
4L056AA45
4L056BG02
4L056BG12
4L056BG32
4L056EA18
4L056EB17
4L056ED01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の同一のワークステーションからなる繊維機械のクリーニング方法であって、個別のワークステーションの汚れの程度の違いを考慮するクリーニング方法を提供する。
【解決手段】ワークステーション2のクリーニング要求が発行され、クリーニングされるワークステーションに移動式クリーニング装置1が接近してワークステーションをクリーニングする、複数の同一のワークステーションからなる繊維機械21のクリーニング方法であって、各ワークステーションで前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存して、クリーニング要求が発行され、イベントが、予め定められた障害、好ましくは、品質の測定値の形式である測定値の予め定められた組み合わせ、糸継ぎプロセス、ボビンの変更、および/またはケンスの変更を含む、繊維機械のクリーニング方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークステーション(2)のクリーニング要求が発行され、クリーニングされるワークステーション(2)に移動式のクリーニング装置(1)が接近して当該ワークステーション(2)をクリーニングする、複数の同一のワークステーション(2)からなる繊維機械(21)のクリーニング方法であって、
前記クリーニング要求が、各ワークステーション(2)で前回のクリーニング以降に発生したイベントに依存して発行されることを特徴とするクリーニング方法。
【請求項2】
前記イベントが、予め定められた障害、好ましくは、品質の測定値の形式である測定値の予め定められた組み合わせ、糸継ぎプロセス、ボビン(9)の変更、および/またはケンス(4)の変更を含むことを特徴とする、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
前記ワークステーション(2)により要求されたクリーニングを実行する場合、前記クリーニング装置(1)の経路に沿って位置するワークステーション(2)も、各ワークステーション(2)で前回のクリーニングプロセス以降に発生した前記イベントに依存してクリーニングされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
前記依存が、(好ましくは重み付けされた)イベント数の超過であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
前記イベントが、それらのイベントから各ワークステーション(2)までの距離に応じて重み付けされることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項6】
前記依存が、予め定められたイベントシーケンスであることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項7】
ワークステーション(2)の前回のクリーニングから予め定められた時間が経過した場合、当該ワークステーション(2)のクリーニング要求が発行されることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項8】
稼働中のワークステーション(2)についてのみ、クリーニング要求が発行されることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項9】
前記繊維機械(21)に沿って移動可能な独立したクリーニングユニットまたはメンテナンス装置が、前記クリーニング装置(1)として使用されることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項10】
複数のクリーニング装置(1)と、重複領域(U)とが設けられ、
前記重複領域(U)が、少なくとも2つのクリーニング装置(1)によりクリーニングすることが可能であり、好ましくは最大で1つのクリーニング装置(1)が、前記重複領域(U)内に留まることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項11】
ワークステーション(2)のクリーニング要求が前記重複領域(U)で発行された場合、作業負荷が小さいほうのクリーニング装置(1)により、クリーニングプロセスが実行されることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ワークステーション(2)のクリーニング要求が前記重複領域(U)で発行された場合、当該クリーニング要求が発行されたワークステーション(2)に近いほうのクリーニング装置(1)により、クリーニングプロセスが実行されることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
複数の同一のワークステーション(2)と、移動式クリーニング装置(1)と、制御装置(23)とを備え、前記制御装置(23)が、ワークステーション(2)のクリーニング要求を発行するように形成され、前記クリーニング装置(1)が、クリーニング要求が発行されたワークステーション(2)に接近して当該ワークステーション(2)をクリーニングするように形成された繊維機械であって、
前記制御装置(23)が、各ワークステーション(2)で前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存してクリーニング要求を発行する態様で形成されていることを特徴とする、繊維機械。
【請求項14】
前記クリーニング装置(1)が、前記繊維機械(2)に沿って移動可能な、独立したクリーニングユニットとして、または、メンテナンス装置の一部として、形成されていることを特徴とする、請求項13に記載の繊維機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークステーションのクリーニング要求が発行され、クリーニングされるワークステーションに移動式のクリーニング装置が接近して当該ワークステーションをクリーニングする、複数の同一のワークステーションからなる繊維機械のクリーニング方法に関する。
さらに、本発明は、複数の同一のワークステーションと、移動式のクリーニング装置と、制御装置とを備える繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維機械のワークステーションを移動式のクリーニング装置によりクリーニングすることは、よく知られている。
クリーニング装置が個別のワークステーションに接近する態様については、多数の方法が存在する。
たとえば、特許文献1では、クリーニング装置が、第1のワークステーションから最後のワークステーションまでワークステーション間を移動する方法が説明されている。
そのような作業サイクルが完了すると、クリーニング装置は、直後に、または、一定の待機時間が経過してから、次の作業サイクルを開始する。
しかしながら、この方法は、ワークステーションによって汚れの速度が異なるという事実を考慮していない。
この差異は、たとえば、提供する材料の違い、以前に発生した糸切れの回数の違い、さらには、繊維機械のワークステーションの空間的な位置の違いにも起因する。
よって、ワークステーションごとに異なるタイミングでクリーニングを行うことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP0259622B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、複数の同一のワークステーションからなる繊維機械のクリーニング方法であって、個別のワークステーションの汚れの程度の違いを考慮するクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、独立請求項の特徴を備えた、繊維機械のクリーニング方法および繊維機械により実現される。
【0006】
本発明は、複数の同一のワークステーションからなる繊維機械のクリーニング方法に関する。
たとえば、この繊維機械は、一連の同一のワークステーションを備えて、移動式のクリーニング装置によりクリーニングされるロータ精紡機、空気精紡機、リング精紡機、巻取器、またはその他の繊維機械である。
精紡機の場合、ワークステーションは、ケンスから取り出されたスライバを糸に紡ぎ、その糸をボビンに巻き付けるユニットを意味するものと理解される。
【0007】
この方法では、ワークステーションのクリーニング要求が発行される。
これは、ワークステーション自体または繊維機械の制御装置により達成することができる。
クリーニング要求が発行された場合、ワークステーションに移動式クリーニング装置が接近して、当該ワークステーションをクリーニングする。
【0008】
本発明によると、クリーニング要求は、各ワークステーションで前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存して発行される。
そのようなイベントは、前回のクリーニングプロセス以降のワークステーションの汚れを示す。
よって、この方法は、個別のワークステーションの汚れの程度の違いを考慮する。
【0009】
イベントは、予め定められた障害、好ましくは、品質の測定値の形式である測定値の予め定められた組み合わせ、糸継ぎプロセス、ボビンの変更、および/またはケンスの変更を含むと良い。
たとえば、障害は、糸切れやクリヤラカットを含む。
そうすることで、すべて、または、少数の予め定められた障害をイベントと見なすことができる。
たとえば、品質の測定値である測定値は、糸の太さや色を含む。
ここでは、そのような測定値の特定の組み合わせは、ワークステーションにおけるクリーニング要求を示し、結果として、イベントと見なすことができる。
ここでは、糸継ぎプロセスは、糸切れまたはクリヤラカット後に2つの糸端を結び合わせることと、空のボビンまたは部分的に巻取りが行われたボビンに糸を設定することとを意味すると理解される。
この段階でのボビンおよびケンスの変更は、どの程度の撚糸または織物が処理されたかを直接示す。
一定量の撚糸または織物が処理されるごとに、ある程度の汚れが蓄積するため、ボビンおよびケンスの変更は、汚れが蓄積したことの良好な指標である。
さらに、糸継ぎプロセスごとに、埃が堆積し、または、埃が巻き上がる。
よって、これも、また、ワークステーションの汚れの良好な指標である。
しかし、これらのイベントは、排他的なものではない。
すなわち、繊維機械によっては、メンテナンス装置を利用した特定のメンテナンスプロセスや、摩耗部品の交換など、他のイベントを考慮することもできる。
【0010】
ワークステーションにより要求されたクリーニングを実行する場合、クリーニング装置の経路に沿って位置するワークステーションも、各ワークステーションで前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存してクリーニングされると良い。
この場合、そうした依存は、クリーニング装置の経路に沿って位置するワークステーション自体が、クリーニング要求をまだ発行していなくても、既に発生したイベントに基づいて、それらのワークステーションが、クリーニング要求を間もなく発行することが予想される場合に、それらのワークステーションがクリーニングされる態様で選択される。
これにより、クリーニング装置を必要以上に頻繁または長時間にわたり実行することが回避され、クリーニング装置の効率が向上する。
【0011】
依存は、(好ましくは、重み付けされた)イベント数の超過であると良い。
たとえば、ケンスの変更は、比較的大量の撚糸が処理され、よって、高程度の汚れが生じたことを示す。
よって、ケンスの変更の重み付け係数は、比較的大きい。
一方、1回の糸継ぎプロセスでは、比較的低程度の汚れしか生じないため、糸継ぎプロセスの重み付け係数は、比較的小さくなるように選択される。
重み付けされたイベントの特定のしきい値を超えた場合、特定の程度の汚れに達したことを示す。
よって、クリーニング要求が、発行される。
【0012】
上述したように、クリーニング装置の経路に沿って位置するワークステーションについては、それらのワークステーションをクリーニング実行時にクリーニングするか否かを判断するために、ある程度小さいしきい値が選択される。
よって、それらのワークステーションは、実際には、クリーニング要求につながるしきい値に到達していない場合でも、クリーニングされる可能性がある。
【0013】
また、イベントは、それらのイベントから各ワークステーションまでの距離に応じて重み付けされると良い。
よって、汚れの大半は、典型的には、各ワークステーション自体での精紡作業に起因する。
しかし、隣接するワークステーションでの精紡作業も、一定の汚れをワークステーションにもたらす(ただし、距離が大きくなるほど、汚れは減少する)。
よって、イベントが発生したワークステーションから観察対象のワークステーションまでの距離が大きくなるにつれ、小さい重み付け係数が選択される。
典型的には、数台の隣接するワークステーションのイベントを考慮すれば、十分である。
【0014】
また、依存が、予め判断されたイベントシーケンスであると良い。
たとえば、ボビンを2回変更する間に糸継ぎプロセスが特定の回数を超えた場合、欠陥が存在することが仮定される。
この欠陥は、汚れがひどいワークステーションに起因する可能性があるが、他の原因も、考えられる。
よって、特定回数の糸継ぎプロセスが連続して実行された後のクリーニング要求の発行は、欠陥の原因として考えられる汚れを改善する役割を果たす。
クリーニングプロセスが実行された後に、糸継ぎプロセスが何度も連続して実行される場合、欠陥の原因は、おそらく、別にある。
この場合、メンテナンス装置がワークステーションを修理するか、または、操作担当者が多発する糸継ぎプロセスの原因を調査する必要がある。
【0015】
ワークステーションの前回のクリーニングから長時間が経過している場合、そのワークステーションは、具体的には、環境空気に含まれる埃または繊維で汚れている可能性がある。
よって、ワークステーションの前回のクリーニングから予め定められた時間が経過した場合、そのワークステーションのクリーニング要求を発行して、対応するワークステーションが常に過剰に汚れないようにすると良い。
【0016】
クリーニング要求は、稼働中のワークステーションについてのみ発行されると良い。
ワークステーションが長時間にわたって稼働していない場合でも、隣接するワークステーションでのイベントを通じて、クリーニング要求が発行される可能性がある。
しかし、クリーニング要求を発行することに意味があるのは、ワークステーションが、間もなく稼働する場合のみである。
長時間にわたり稼働していないワークステーションの場合、これを予測することはできないため、稼働していないワークステーションがいかなるクリーニング要求も発行しないほうが効率的である。
【0017】
他方、稼働していないワークステーションがクリーニング装置の経路に沿って位置している場合、そのワークステーションの過剰な汚れを防ぐために、前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存して、そのワークステーションもクリーニングすることが、好ましい。
【0018】
移動式クリーニング装置が、独立したクリーニングユニットとして動作すると良い。
その場合、クリーニング装置を、他のメンテナンス装置とほぼ無関係に、繊維機械に沿って個別のワークステーションに移動させることができ、クリーニング要求の処理を他のメンテナンス要求と調整する必要がなくなる。
【0019】
ただし、クリーニング装置を、より大きな移動式メンテナンス装置の一部として動作させることが有利な場合もある。
その場合、クリーニング装置に独立した駆動部を設ける必要がなくなり、クリーニング装置とより大きなメンテナンス装置との衝突に注意する必要もなくなる(メンテナンス装置は、たとえば、上述した糸継ぎプロセスを実行する修理ロボットとして形成される)。
【0020】
多数のワークステーションを備える繊維機械の場合、すべてのクリーニング要求に応えるために、複数のクリーニング装置が必要である。
よって、少なくとも2つのクリーニング装置によりクリーニングすることが可能な重複領域を設けると良い。
重複領域で生じるクリーニング要求をうまく分散させることで、クリーニング装置の効率を向上させることができる。
最大で1つのクリーニング装置が重複領域内に常に留まることが好ましい。
これは、クリーニング装置間の衝突を避けるための、単純だが、効果的な方法である。
【0021】
ワークステーションのクリーニング要求が重複領域で発行された場合、作業負荷が小さいほうのクリーニング装置によりクリーニングプロセスを実行すると良い。
これにより、作業負荷の調整が実現され、クリーニング装置の効率が向上する。
【0022】
ただし、ワークステーションのクリーニング要求が重複領域で発行された場合、クリーニング要求が発行されたワークステーションに近いほうのクリーニング装置によりクリーニングプロセスを実行すると良い。
この方法では、クリーニング装置が必要以上に長い距離を移動することが回避され、クリーニングをより迅速に実行することができる。
【0023】
さらに、複数の同一のワークステーションを備える繊維機械が提案される。
この繊維機械は、移動式のクリーニング装置と、制御装置とをさらに備える。
ここで、制御装置は、ワークステーションのクリーニング要求を発行するように形成され、クリーニング装置は、クリーニング要求が発行されたワークステーションに接近して当該ワークステーションをクリーニングするように形成される。
【0024】
本発明によると、制御装置は、既に説明した事項に応じて繊維機械をクリーニングするように形成される。
よって、制御装置は、各ワークステーションで前回のクリーニングプロセス以降に発生したイベントに依存して、クリーニング要求を発行する。
そのようなイベントは、ワークステーションが前回のクリーニング以降に汚れたことを示す。
よって、制御装置は、クリーニング要求を発行するときに、ワークステーションのさまざまな程度の汚れを考慮するように形成される。
【0025】
ここで、移動式クリーニング装置を独立したクリーニングユニットとして形成すると良い。
その場合、クリーニング装置を、他のメンテナンス装置とほぼ無関係に、繊維機械に沿って個別のワークステーションに移動させることができ、クリーニング要求の処理を他のメンテナンス要求と調整する必要がなくなる。
【0026】
ただし、クリーニング装置を、より大きな移動式メンテナンス装置の一部として形成すると良い場合もある。
その場合、クリーニング装置の独立した駆動部が省略され、クリーニング装置とより大きなメンテナンス装置との衝突に注意する必要がなくなる。
【0027】
本発明は、以下の実施形態で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ワークステーションの前方にあるクリーニング装置の側面図である。
図2】複数のワークステーションと2つのクリーニング装置とを備える繊維機械の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、繊維機械のワークステーション2の前方にある移動式クリーニング装置1を示す。
この場合、繊維機械は、ロータ精紡機である。
ただし、本発明の方法は、原則として、他の精紡機、または一般的には複数の同一のワークステーション2と移動式クリーニング装置1とを備える任意の繊維機械に適用することができる。
【0030】
ワークステーション2は、ケンス4から取り出されたスライバ5を糸6に紡ぐ紡績ユニット3を備える。
その後、糸6は、一対のドローオフローラ7により引き上げられ、トラバース要素8によりボビン9に巻き付けられる。
【0031】
ケンス4の変更、ボビン9の変更、糸6の設定等のイベントは、ワークステーション2から繊維機械の制御装置に送信される。
ワークステーション2についての重み付けされたイベントの予め定められたしきい値に到達するか、または、超えた場合、制御装置は、クリーニング装置1によるワークステーション2のクリーニングを要求する。
【0032】
次に、クリーニング装置1は、レール10に沿ってワークステーション2に移動し、そこで、ワークステーションに割り当てられた位置決め要素11を利用して自らを正確に位置決めする。
本実施形態では、クリーニング自体は、吸込ノズル12により実行される。
ここでは、吸込ノズル12は、複数のアーム13、14、15を利用して、クリーニング装置1のシャーシ16に連結されている。
吸込ノズル12およびアーム13、14、15は、水平軸17、18、19を中心に旋回することができ、吸込ノズルも、垂直軸20を中心に旋回することができる。
よって、吸込ノズル12は、ワークステーション2の吸い込まれる物体に移動することができる。
【0033】
ただし、本明細書に記載される方法は、汚れを吸い込むことによるクリーニングに限定されない。
むしろ、圧縮空気や機械的なクリーニング要素を利用する他のクリーニング方法も考えられる。
【0034】
図2は、複数のワークステーション2と2つのクリーニング装置1とを備える繊維機械21の平面図である。
ここで、クリーニング装置は、レール10に沿って移動することができる。
【0035】
ワークステーション2は、繊維機械21の機械側に位置する専用領域EB1、もう一方の機械側に位置する専用領域EB2、および、重複領域Uの3つの領域のいずれかに割り当てられる。
【0036】
ワークステーション2は、ケンスの変更、ボビンの変更、および/または糸継ぎプロセス等のイベントに関する情報を、機械端部22に配置された制御装置23に送る。
それらのイベントには、制御装置23によって重み付け係数が提供される。
ここで、イベントに関連する汚れが大きくなるほど、重み付け係数も大きくなる。
各ワークステーション2について、重み付けされたイベントの合計が形成される。
その際、隣接するワークステーション2で発生したイベントもカウントされるが、それらのイベントには、イベントからワークステーション2までの距離が大きくなるほど小さくなる重み付け係数がさらに提供される。
【0037】
ワークステーション2についての重み付けされたイベントのしきい値を超えた場合、そのワークステーション2に対するクリーニング要求が発行される。
ワークステーション2が、図2の上方のクリーニング装置1に割り当てられた専用領域EB1に位置している場合、そのクリーニング装置1が、クリーニング要求が発行されたワークステーション2まで移動する。
図2の下方のクリーニング装置1は、専用領域EB2のワークステーション2を担当する。
ただし、重複領域Uのワークステーションについてクリーニング要求が発行された場合、クリーニングプロセスは、作業負荷が小さいほうのクリーニング装置1により実行される。
【0038】
クリーニング要求が発行されたワークステーション2までのクリーニング装置1の経路に沿って、重み付けされたイベントの合計が特定のしきい値を超えるすべてのワークステーション2もクリーニングされる。
【0039】
クリーニングが完了した後、クリーニングされたワークステーション2の重み付けされたイベントの合計は、ゼロに設定され、カウントが最初から開始される。
【0040】
本発明は、図示および説明された実施形態に限定されない。
請求項の範囲内のさまざまな実施形態で図示および説明されていたとしても、実現可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ・・・クリーニング装置
2 ・・・ワークステーション
3 ・・・紡績ユニット
4 ・・・ケンス
5 ・・・スライバ
6 ・・・糸
7 ・・・一対のドローオフローラ
8 ・・・トラバース要素
9 ・・・ボビン
10 ・・・レール
11 ・・・位置決め要素
12 ・・・吸込ノズル
13 ・・・アーム
14 ・・・アーム
15 ・・・アーム
16 ・・・シャーシ
17 ・・・水平軸
18 ・・・水平軸
19 ・・・水平軸
20 ・・・垂直軸
21 ・・・繊維機械
22 ・・・機械端部
23 ・・・制御装置
EB1・・・専用領域
EB2・・・専用領域
U ・・・重複領域



図1
図2
【外国語明細書】
2017160585000001.pdf