(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-161014(P2017-161014A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】電磁弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20170818BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
F16K31/06 305E
F16K31/06 305A
H01F7/16 R
H01F7/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-46942(P2016-46942)
(22)【出願日】2016年3月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】倉持 健太
(72)【発明者】
【氏名】坂下 純一
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】安田 智宏
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA02
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DB37
3H106DC09
3H106DC18
3H106DD09
3H106EE16
3H106GA23
3H106KK17
5E048AB06
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】ステータコア、円環状コアおよび金属ケース底部が十分な面接触を維持することができ、効率的に磁束を流すことができる電磁弁装置を提供する。
【解決手段】
ケース6は、軸方向一方側が開口し、この開口に臨む周縁が内側に折り曲げられた加締め部7を有する筒状のステータコア13は、コイルボビン10の内側にコイルボビン10と同軸に配置され、軸方向に貫通する貫通穴を有する。円環状コア16は、ケース6の底面とステータコア13の間に配置されている。円環状コア16及びステータコア13が、ケース6の底部と加締め部7との間に挟み込まれて固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材から構成された有底筒状ケースであって、軸方向一方側が開口し、この開口に臨む周縁が内側に折り曲げられた加締め部を有するケースと、
ケースの内部にケースと同軸に配置され、軸方向一方側から他方側に貫通する貫通穴を有し、両端が開口する筒状のコイルボビンと、
前記コイルボビンの外周に巻かれたコイルと、
磁性材から構成され、前記コイルボビンの内側に前記コイルボビンと同軸に配置され、軸方向に貫通する貫通穴を有する筒状のステータコアと、
磁性材から構成され、前記貫通穴の内部において、前記ステータコアと同軸に且つ軸方向に移動可能に配置されたプランジャと、
磁性材から構成され、前記ケースの底面と前記ステータコアとの間に配置される円環状コアと、
前記コイルの励磁により前記プランジャの軸方向移動により開閉動作する弁と、
を備え、
前記円環状コア及び前記ステータコアが、前記ケースの底部と前記加締め部との間に挟み込まれて固定されている電磁弁装置。
【請求項2】
前記円環状コアにおける前記ステータコアに向き合う面には、前記ステータコアの端部が係合する段部が設けられ、
前記円環状コアは、前記段部に係合するステータコアの端部により径方向の位置決めがなされている請求項1に記載の電磁弁装置。
【請求項3】
前記円環状コアの中央には、軸方向に貫通する円形のプランジャ挿通穴が円環状コアと同軸に設けられ、このプランジャ挿通穴の内径は、前記プランジャ外周直径より僅かに大きく、
前記円環状コアの段部は、前記プランジャ挿通穴の周囲に前記プランジャ挿通穴と同軸に設けられ、
前記円環状コアの段部は、前記円環状コアの軸方向の厚みが薄い軸方向端面と、貫通穴の穴径よりも径が大きい内面壁からなり、
前記内面壁の内径が前記ボビンに設けた貫通穴の内径と一致している請求項2に記載の電磁弁装置。
【請求項4】
前記ケースの開口部と前記ステータコアとの間に配置されたピンガイドコアと、
前記プランジャの中心軸に同方向に、前記ピンガイドコアに設けられたガイド穴と、
前記ガイド穴内に往復可能に挿入された柱状ピンを備え、
前記ピンの軸方向他方側が前記プランジャの軸方向一方側に接触し、前記ピンの軸方向一方側が前記弁に接触し、
前記円環状コア及びステータコアが、前記ピンガイドコアを介して、前記ケースの底部と前記加締め部との間に挟み込まれて固定されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の電磁弁装置。
【請求項5】
前記ステータコアと前記ピンガイドコアとの間には、前記ステータコアと前記ピンガイドコアとの間に生じる磁路を前記プランジャ側に迂回させる非磁性部材が介在されている請求項2から請求項4のいずれかに記載の電磁弁装置。
【請求項6】
前記非磁性部材は、前記ステータコアと同一の外径とステータコアと同一の中心軸を有する円筒状部材であり、
前記ステータコアおよびピンガイドコアの対向するそれぞれの端部には、それぞれの外周よりも小径で、同一の外径を有する段部が形成され、
前記非磁性部材の両端が、前記ステータコアと前記ピンガイドコアの段部にはめ込まれ、これらの段部によって軸方向の位置が規制されている請求項5に記載の電磁弁装置。
【請求項7】
)
前記ピンガイドコアの前記ケース開口部側の端部には、軸方向他方側が前記コイルボビンの軸方向一端側に当接するフランジ部を備え、
前記ピンガイドコアを介して、前記コイルボビンおよび前記ステータコアがケースの底部と前記加締め部との間に密着保持されている請求項6に記載の電磁弁装置。
【請求項8】
前記円環状コアの中央には軸方向に貫通するプランジャ挿通穴が設けられ、このプランジャ挿通穴の内径は、前記プランジャ外周直径および前記ステータコアの貫通穴の内径より大きい請求項1から請求項3のいずれかに記載の電磁弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の変速機のコントロールバルブとして使用するのに適した電磁弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機には、変速機構を制御するためのコントロールバルブが設けられる。このコントロールバルブは、電磁弁装置を使用して変速機構に対して所定の大きさの油圧を供給・停止することにより、変速機構を制御する。
【0003】
従来、この種の電磁弁装置の一つとして、特許文献1や特許文献2に示すように、スプール弁をプランジャによって往復動させるものがある。この種の電磁弁装置では、一端が開口した有底の金属ケース内に、コイルとステータコアを同軸に配置し、ステータコアの中心に挿入したプランジャをコイルの発生する磁力により往復動させる。プランジャは、その同軸延長上に配置されたピンを押圧し、このピンの先端がスプール弁を押圧することで、スプール弁が移動する。
【0004】
この種の電磁弁装置においては、金属ケースおよびその内部に設けられたステータコアを通る磁気回路が形成され、その際、金属ケースの底部は、磁気回路のヨーク部として機能する。しかし、一般に金属ケースはステータコアに比較して薄手の金属板を、絞り加工によりカップ状にプレス成型して製造されることから、その断面積が小さく、磁気抵抗が大きい。これを改善するために、特許文献2においては、金属ケースの底部に円環状コアを配置し、この円環状コアをステータコアに接触させることで、ヨーク部の断面積を大きくして、磁気抵抗を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−275899号公報
【特許文献2】特開2015−75165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の技術は、コイルと円環状コアの間に配置したウエーブワッシャによって、円環状コアを金属ケースの底部内面に押圧させるものであるから、ウエーブワッシャのばね力の変動により円環状コアと金属ケース底部との面接触が不安定になり、磁気吸引力が変動するという課題があった。
【0007】
本発明は、ステータコア、円環状コアおよび金属ケース底部が十分な面接触を維持することができ、効率的に磁束を流すことができる電磁弁装置の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電磁弁装置は、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)磁性材から構成された有底筒状のケースであって、軸方向一方側が開口し、この開口に臨む周縁が内側に折り曲げられた加締め部を有するケースと、
(2)ケースの内部に筒状ケースと同軸に配置され、軸方向一方側から他方側に貫通する貫通穴を有し、両端が開口する筒状のコイルボビンと、
(3)前記コイルボビンの外周に巻かれたコイルと、
(4)磁性材から構成され、前記コイルボビンの内側に前記コイルボビンと同軸に配置され、軸方向に貫通する貫通穴を有する筒状のステータコアと、
(5)磁性材から構成され、前記貫通穴の内部において、前記ステータコアと同軸に且つ軸方向に移動可能に配置されたプランジャと、
(6)磁性材から構成され、前記ケースの底面と前記ステータコアとの間に配置される円環状コアと、
(7)前記コイルの励磁により前記プランジャの軸方向移動により開閉動作する弁と、
(8)前記円環状コア及び前記ステータコアが、前記ケースの底部と前記加締め部との間に挟み込まれて固定されている。
【0009】
本発明において、以下の構成とすると良い。
(1)前記円環状コアにおける前記ステータコアに向き合う面には、前記ステータコアの端部が係合する段部が設けられ、
前記円環状コアは、前記段部に係合するステータコアの端部により径方向の位置決めがなされている。
【0010】
(2)前記円環状コアの中央には、軸方向に貫通する円形のプランジャ挿通穴が円環状コアと同軸に設けられ、このプランジャ挿通穴の内径は、前記プランジャ外周直径より僅かに大きく、
前記円環状コアの段部は、前記プランジャ挿通穴の周囲に前記プランジャ挿通穴と同軸に設けられ、
前記円環状コアの段部は、前記円環状コアの軸方向の厚みが薄い軸方向端面と、貫通穴の穴径よりも径が大きい内面壁からなり、
前記内面壁の内径が前記ボビンに設けた貫通穴の内径と一致している。
【0011】
(3)前記ケースの開口部と前記ステータコアとの間に配置されたピンガイドコアと、
前記プランジャの中心軸に同方向に、前記ピンガイドコアに設けられたガイド穴と、
前記ガイド穴内に往復可能に挿入された柱状ピンを備え、
前記ピンの軸方向他方側が前記プランジャの軸方向一方側に接触し、前記ピンの軸方向一方側が前記弁に接触し、
前記円環状コア及びステータコアが、前記ピンガイドコアを介して、前記ケースの底部と前記加締め部との間に挟み込まれて固定されている。
【0012】
(4)前記ステータコアと前記ピンガイドコアとの間には、前記ステータコアと前記ピンガイドコアとの間に生じる磁路を前記プランジャ側に迂回させる非磁性部材が介在されている。
【0013】
(5)前記非磁性部材は、前記ステータコアと同一の外径とステータコアと同一の中心軸を有する円筒状部材であり、
前記ステータコアおよび前記ピンガイドコアの対向するそれぞれの端部には、それぞれの外周よりも小径で、同一の外径を有する段部が形成され、
前記非磁性部材の両端が、前記ステータコアとピンガイドコアの段部にはめ込まれ、これらの段部によって軸方向の位置が規制されている。
【0014】
(6)前記ピンガイドコアの前記ケース開口部側の端部には、軸方向他方側が前記コイルボビンの軸方向一端側に当接するフランジ部を備え、
前記ピンガイドコアを介して、前記コイルボビンおよび前記ステータコアがケースの底部と前記加締め部との間に密着保持されている。
【0015】
(7)前記円環状コアの中央には軸方向に貫通するプランジャ挿通穴が設けられ、このプランジャ挿通穴の内径は、前記プランジャ外周直径および前記ステータコアの貫通穴の内径より大きい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ステータコア、円環状コアおよび金属ケース底部が十分な面接触を維持することができ、効率的に磁束を流すことができる電磁弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるプランジャ部分の拡大断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態におけるプランジャ部分の拡大断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の作用を説明する拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態におけるプランジャ部分の拡大断面図である。
【0018】
[1.第1実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1および
図2を参照して説明する。本実施形態において軸とは、スプール弁の長手方向に沿った中心軸をいい、単に周方向あるいは軸方向と言った場合は、中心軸の周方向あるいは中心軸の軸方向を示す。
【0019】
本実施形態の電磁弁装置は、スプール弁部Aとプランジャ部Bとから構成される。
スプール弁部Aは、円筒状のスリーブ1と、その内部に軸方向にスライド可能に挿入されたスプール弁2を有する。スリーブ1には、その壁面を貫通するように、複数のポート3が設けられる。スプール弁2には、ポート3を開閉する弁体4が設けられる。スリーブ1のプランジャ部B側の端部にはフランジ5が設けられ、このフランジ5が、プランジャ部Bのケース6に設けられた加締め部7に押さえられることで、スプール弁部Aはプランジャ部Bに固定される。スリーブ1のプランジャ部Bとは反対側の端部にはキャップ8が設けられ、このキャップ8とスプール弁2の端部との間にコイルスプリング9が挿入される。
【0020】
プランジャ部Bは、磁性材から構成された有底筒状のケース6を有する。ケース6は、軸方向一方側が開口し、この開口に臨む周縁が内側に折り曲げられた加締め部7を有する。ケース6の内部には、ケース6と同軸にコイルボビン10が配置される。コイルボビン10は、両端が開口し、軸方向一方側から他方側に貫通する貫通穴を有する。コイルボビン10の外周にはコイル12が巻かれている。コイルボビン10は樹脂成型品によって形成される。コイルボビン10におけるコイル12の巻回部分の両端にフランジが設けられ、軸方向一方側のフランジには、ケース6外部に露出したコネクタ11が一体に成形されている。
【0021】
コイルボビン10の貫通穴内に、筒状のステータコア13がコイルボビン10と同軸に配置される。ステータコア13は、磁性材から構成され、軸方向に貫通する貫通穴を有する。ステータコア13の貫通穴の内部にプランジャ15が配置される。プランジャ15は、磁性材から構成され、ステータコア13と同軸に且つ軸方向に移動可能に配置される。ケース6の底面とステータコア13との間に磁性材から構成された円環状コア16が配置される。ケース6内側面と底内面との角部は、湾曲したR形状になっており、円環状コア16の径方向外側の周面がR形状のケース6内側面まで達していない。すなわち、円環状コア16の直径は、ケース6底部の平坦な部分に収まる大きさである。
【0022】
円環状コア16におけるステータコア13に向き合う面には、ステータコア13の端部が係合する段部17が設けられる。円環状コア16は、段部17に係合するステータコア13の端部により径方向の位置決めがなされる。円環状コア16の中央には、軸方向に貫通する円形のプランジャ挿通穴18が円環状コア16と同軸に設けられる。プランジャ挿通穴18の内径は、プランジャ15外周直径より僅かに大きく、プランジャ15外周面に接触することは無い。
【0023】
円環状コア16の段部17は、プランジャ挿通穴18の周囲に、プランジャ挿通穴18と同軸に設けられる。段部17は、円環状コア16の軸方向の厚みが薄い軸方向端面と、貫通穴の穴径よりも径が大きい内面壁からなり、内面壁の内径がコイルボビン10に設けた貫通穴の内径と一致している。
【0024】
ケース6の開口部とステータコア13との間にピンガイドコア19が配置される。ピンガイドコア19とステータコア13は接触することなく、離れて配置される。ピンガイドコア19には、プランジャ15の中心軸に同方向にガイド穴が設けられる。ガイド穴内に柱状のプッシュピン21が往復可能に挿入される。プッシュピン21の軸方向他方側がプランジャ15の軸方向一方側に接触し、プッシュピン21の軸方向一方側がスプール弁2に接触し、スプール弁2を押圧する。
【0025】
ステータコア13とピンガイドコア19との間には、ステータコア13とピンガイドコア19との間に生じる磁路をプランジャ15側に迂回させる非磁性部材22が介在される。非磁性部材22は、例えば、ステンレスやアルミなどの金属、硬質の樹脂で構成され、ステータコア13と同一の外径とステータコア13と同一の中心軸を有する円筒状部材である。ステータコア13およびピンガイドコア19の対向するそれぞれの端部には、それぞれの外周よりも小径で、同一の外径を有する段部23が形成される。非磁性部材22の両端がステータコア13とピンガイドコア19の段部23にはめ込まれ、これらの段部23によって非磁性部材22の軸方向および周方向の位置が規制される。
【0026】
ピンガイドコア19のケース6開口部側の端部には、軸方向他方側がコイルボビン10の軸方向一端側に当接するフランジ部24を備える。フランジ部24はスプール弁部Aのフランジ5と重ね合わされると共に、ボビンの軸方向一端にも当接しており、加締め部7によってケース6の底部側に押圧されている。
【0027】
[1.2 作用・効果]
上記のような構成を有する第1実施形態の作用効果は、以下のとおりである。
(1)加締め部7の押圧力が、フランジ5、ピンガイドコア19、非磁性部材22、ステータコア13の順に円環状コア16に伝わり、円環状コア16をケース6の底部に密着させる。同時に、加締め部7の押圧力は、フランジ5、ピンガイドコア19、コイルボビン10の順に円環状コア16に伝わり、これらの部材をケース6底部に密着させている。その結果、円環状コア16とケース6の底面との面接触が安定的に保たれ、磁気回路のロスが低減され、プランジャ15の吸引力が向上する。
【0028】
(2)円筒状の非磁性部材22を段部23によってステータコア13およびピンガイドコア19に組み合わせているので、ステータコア13、非磁性部材22、ピンガイドコア19の周方向および軸方向の確実な位置決めがなされる。その結果、ケース6開口部の加締め力を確実に受け止めることができ、円環状コア16とステータコア13、円環状コア16とケース6底部の密着性が高まり、磁束の漏れがなくなる。
【0029】
(3)段部17によりステータコア13と円環状コア16との接触面積を増大させているため、磁束のロスを軽減してケース6の底部に磁束を確実に受け渡せる。
(4)ステータコア13とピンガイドコア19の間に非磁性部材22を設けることにより、磁路が必ずプランジャ15を経由するようにして、コイル12により発生した磁力がプランジャ15に効率よく作用する。
【0030】
(5)プランジャ15が円環状コア16の中心のプランジャ挿通穴18にまで、入り込むので、ケース6の底部に円環状コア16があっても、プランジャ15のストロークを確保でき、円環状コア16の厚さ分の小型化が可能になる。
(6)円環状磁性コアの径方向外側の周面は、ケース6には達しておらず、ケース6への収納作業性も良く、加工工数や組立工数も抑えられる。
【0031】
(7)円環状コア16とコイルボビン10とを当接させ、加締め部7の押圧力をコイルボビン10から円環状コア16に伝えるようにしたので、コイルボビン10の軸方向の位置決めも正確である。
(8)ケース6内側面と底内面との角部は、R形状の為、円環状磁性コアの径方向外側の周面がケース6内側面まで達していないため、底面側が浮くことも無く、円環状磁性コアとケース6底面との密着性も保持できる。
【0032】
[2.第2実施形態]
第2実施形態を
図3および
図4に従って説明する。第2実施形態では、
図3に示すように、プランジャ挿通穴18の内径がプランジャ15の外径よりも十分大きく、プランジャ15が円環状コア16の内側に挿入された場合に、プランジャ15外周とプランジャ挿通穴18との間に隙間25が形成される。
【0033】
第1実施形態では、
図4(a)に示すように、環状コアに設けたプランジャ挿通穴18の内径が、プランジャ15が移動できる程度にプランジャ15の外形よりもわずかに大きい。一方、第2実施形態では、
図4(b)に示すように、プランジャ挿通穴18の内径がプランジャ15の外径よりも十分大きい。そのため、第2実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、プランジャ15がプランジャ挿通穴18内に出没する際に、プランジャ15端部とプランジャ挿通穴18の縁が接触することがなく、プランジャ15のストロークが十分確保される利点を有する。
【0034】
[3.第3実施形態]
第3実施形態を
図5により説明する。第3実施形態は、円環状コア16に段部17を設けない構成である。ステータコア13は、軸方向他方側の端部において、円環状コア16の表面に当接している。円環状コア16とケース6の底部、円環状コア16とステータコア13、或いは円環状コア16とコイルボビン10を接着剤で固定したり、円環状コア16とケース6底部或いは円環状コア16とコイルボビン10とに位置決め用の段部や凹凸を設けることにより、円環状コア16の周方向の位置決めが可能な場合には、円環状コア16に段部17を設けなくてもよい。
【0035】
第3実施形態においても、加締め部7の押圧力が、ステータコア13を介して円環状コア16に伝わることから、円環状コア16とケース6底部との密着性を確保することができ、効率的な磁気回路を得ることができる。
【0036】
[4.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
【0037】
(1)ステータコア13、非磁性部材22、ピンガイドコア19の位置決めは、単なる突き合わせ、接着溶接、樹脂製部材によるモールド成型などでもよい。
(2)ケース6の加締め部7は、ピンガイドコア19やスリーブ1を加締めるものでなくともよく、ケース6の加締め部7で直接ステータコア13を押圧するものでもよい。
(3)ケース6の底部側に段部17を設けて、円環状コア16の周方向の位置決めを行ってもよい。
【0038】
(4)前記各実施形態は、
図6(a)のように段部17がステータコア13を外側から抱え込む形状であるが、
図6(b)のように、円環状コア16の段部17がステータコア13の内側に入り込んでもよい。
【符号の説明】
【0039】
A…スプール弁部、B…プランジャ部、1…スリーブ、2…スプール弁、3…ポート、4…弁体、5…フランジ、6…ケース、7…加締め部、8…キャップ、9…コイルスプリング、10…コイルボビン、11…コネクタ、12…コイル、13…ステータコア、15…プランジャ、16…円環状コア、17…段部、18…プランジャ挿通穴、19…ピンガイドコア、21…プッシュピン、22…非磁性部材、23…段部、24…フランジ部、25…隙間