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特開2017-161433オートレベルの解像性能判定装置、及びオートレベルの解像性能判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-161433(P2017-161433A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】オートレベルの解像性能判定装置、及びオートレベルの解像性能判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 5/00 20060101AFI20170818BHJP
【FI】
   G01C5/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-47850(P2016-47850)
(22)【出願日】2016年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100091580
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 雅文
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 洋
(57)【要約】
【課題】オートレベルの解像性能の検査に際して、客観的で迅速かつ正確な判定を行う。
【解決手段】オートレベル10で観察した解像度チャート111の画像に基づいてオートレベルの解像性能を判定する。オートレベルの接眼部に配置された解像度チャート表示部110で解像性能検査チャートの画像データを出力し、この画像データから各解像度解像度チャート画像112の縞模様画像113を分割し、これらグレイヒストグラムを生成し、更にグレイヒストグラムの濃度分布についての標準偏差を取得し、予め定めた基準値を比較してこの比較結果に基づいて各縞模様画像113における解像性能を判定し、全ての縞模様画像113の解像性能に基づいてオートレベルの総合的な解像性能を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するオートレベルの解像性能判定装置において、
前記オートレベルの接眼部に配置され、前記解像性能検査チャートの画像データを出力する撮像装置と、
前記撮像装置で取得した前記画像データのグレイヒストグラムを生成するグレイヒストグラム生成手段と、
前記グレイヒストグラムの濃度分布についての標準偏差を取得する標準偏差取得手段と、
取得した前記標準偏差を予め定めた基準値を比較する比較手段と、
前記比較の結果に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とするオートレベルの解像性能判定装置。
【請求項2】
前記解像性能検査チャートには、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像が表示されており、
前記グレイヒストグラム生成手段は、前記撮像装置が取得した前記画像データに含まれる前記複数の解像度チャート画像の画像データを分離して、それぞれの画像データについて前記グレイヒストグラムを生成することを特徴とする請求項1に記載のオートレベルの解像性能判定装置。
【請求項3】
前記解像度チャート画像は、異なる方向についての解像度を測定するための複数の縞模様画像が含まれることを特徴とする請求項2に記載のオートレベルの解像性能判定装置。
【請求項4】
前記複数の解像度チャート画像のうち、予め定めた解像度チャート画像について合格したとき前記オートレベルを合格と判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のオートレベルの解像性能判定装置。
【請求項5】
前記撮像装置で撮像した前記解像性能検査チャートの画像、及び検査結果の画像を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のオートレベルの解像性能判定装置。
【請求項6】
オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するオートレベルの解像性能判定方法において、
前記オートレベルの接眼部に配置され、前記解像性能検査チャートの画像データを出力するステップと、
前記画像データのグレイヒストグラムを生成するステップと、
前記グレイヒストグラムの濃度分布についての標準偏差を取得するステップと、
取得した前記標準偏差を予め定めた基準値を比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するステップと、
を備えることを特徴とするオートレベルの解像性能判定方法。
【請求項7】
前記解像性能検査チャートには、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像が表示されており、
前記グレイヒストグラムを生成するステップにおいて、前記画像データに含まれる前記複数の解像度チャート画像の画像データを分離して、それぞれの画像データについて前記グレイヒストグラムを生成することを特徴とする請求項6に記載のオートレベルの解像性能判定方法。
【請求項8】
前記解像度チャート画像は、異なる方向についての解像度を測定するための複数の縞模様画像が含まれることを特徴とする請求項7に記載のオートレベルの解像性能判定方法。
【請求項9】
前記複数の解像度チャート画像のうち、予め定めた解像度チャート画像について合格したとき前記オートレベルを合格と判定するステップを備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のオートレベルの解像性能判定方法。
【請求項10】
前記撮像装置で撮像した前記解像性能検査チャートの画像、及び検査結果の画像を表示するステップを備えることを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載のオートレベルの解像性能判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートレベルの解像性能を検査するオートレベルの解像性能判定装置、及びオートレベルの解像性能判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測量機の一つとして、自動的に水平位置を検出するために使用されるオートレベルが公知である(例えば特許文献1参照)。オートレベルには、視準望遠鏡と、水平補償光学系とからなり、視準望遠鏡を略水平にセットして基準位置を視準すると、望遠鏡の光軸が完全に水平面内に位置していなくても、水平補償光学系により視準線が水平になる。また、視準望遠鏡を光軸に直交する鉛直軸を中心に回動させ、別の視準点を視準すると、その視準点は、基準位置を含む水平面内に位置している。
【0003】
そして、このようなオートレベルの製造に際しては、完成品検査として、解像性能が所定の状態であるかを検査する工程が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−180230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したオートレベルの視準線の検査としては、検査台に設置された視準望遠鏡を介して解像性能検査チャートを検査員が目視で観察することにより行っている。検査員は、解像性能検査チャートの見え方を観察して規定の状態であるかを判定する。解像性能検査チャートは、例えば、中央とその周囲、合計5箇所に配置された、4種、即ち垂直方向、水平方向、右上がり45度、左上がり45度に配置された所定間隔の縞模様画像が表示されたテストチャートを被検査対象であるオートレベルで視認することによりなされる。検査の結果は、観察像として全体に平均してテストチャートが視認できるかが、総合して判定されることにより行われている。
【0006】
しかしながら、目視による解像性能の判定は、熟練を要するし、検査者により必ずしも判定水準が一定ではない。また、判定の効率がよくないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、オートレベルの解像性能の検査に際して、客観的で迅速かつ正確な判定を行うことができるオートレベルの解像性能判定装置、及びオートレベルの解像性能判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する請求項1に記載の発明は、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するオートレベルの解像性能判定装置において、前記オートレベルの接眼部に配置され、前記解像性能検査チャートの画像データを出力する撮像装置と、前記撮像装置で取得した前記画像データのグレイヒストグラムを生成するグレイヒスとグラム生成手段と、前記グレイヒストグラムの濃度分布についての標準偏差を取得する標準偏差取得手段と、取得した前記標準偏差を予め定めた基準値を比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、撮像装置で取得した解像性能検査チャートの画像データのグレイヒストグラムについて標準偏差を求め、この標準偏差と基準値とに基づいてオートレベルの解像度を判定する。よって、客観的な値に基づいてオートレベルの解像性能を正確かつ迅速に判定できる。
【0010】
同じく請求項2に記載の発明は、前記解像性能検査チャートには、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像が表示されており、前記グレイヒストグラム生成手段は、撮像装置が取得した画像データに含まれる前記複数の解像度チャート画像の画像データを分離して、それぞれの画像データについて前記グレイヒストグラムを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像についてのグレイヒストグラムの標準偏差を求める。よって、オートレベルの視野の各所における解像性能を判定できる。
【0012】
同じく請求項3に記載の発明は、前記解像度チャート画像は、異なる方向についての解像度を測定するための複数の縞模様画像が含まれることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、画像解像度チャート画像には、異なる方向についての解像度を測定するための画像が含まれるので、オートレベルについて異なる方向の解像度を判定することができる。
【0014】
同じく請求項4に記載の発明は、前記複数の解像度チャート画像のうち、予め定めた位置の解像度チャート画像について合格したとき前記オートレベルを合格と判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、必要とされる位置を定めて、当該箇所において所望の解像性能を備えるオートレベルを合格と判定できる。よって、オートレベルの使用に適合した解像性能判定を行うことができる。
【0016】
同じく請求項5に記載の発明は、前記撮像装置で撮像した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果の画像を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果を表示できる。よって、判定者は、表示手段を観察しつつ、解像性能の判定を確実かつ迅速に行うことができる。
【0018】
同じく請求項6に記載の発明は、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するオートレベルの解像性能判定方法において、前記オートレベルの接眼部に配置され、前記解像性能検査チャートの画像データを出力するステップと、前記画像データのグレイヒストグラムを生成するステップと、前記グレイヒストグラムの濃度分布についての標準偏差を取得するステップと、取得した前記標準偏差を予め定めた基準値を比較するステップと、比較結果に基づいて前記オートレベルの解像性能を判定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、撮像装置で取得した解像性能検査チャートの画像データのグレイヒストグラムについて標準偏差を求め、この標準偏差と基準値とに基づいてオートレベルの解像度を判定する。よって、客観的な値に基づいてオートレベルの解像性能を迅速かつ正確に判定できる。
【0020】
同じく請求項7に記載の発明は、前記解像性能検査チャートには、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像が表示されており、前記グレイヒストグラムを生成するステップにおいて、前記画像データに含まれる前記複数の解像度チャート画像の画像データを分離して、それぞれの画像データについて前記グレイヒストグラムを生成することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、視野中の異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像についてのグレイヒストグラムの標準偏差を求める。よって、オートレベルの視野の各所における解像性能を判定できる。
【0022】
同じく請求項8に記載の発明は、前記解像度チャート画像は、異なる方向についての解像度を測定するための複数の縞模様画像が含まれることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、画像解像度チャート画像には、異なる方向についての解像度を測定するための画像が含まれるので、オートレベルについて異なる方向の解像度を判定することができる。
【0024】
同じく請求項9に記載の発明は、前記複数の解像度チャート画像のうち、予め定めた解像度チャート画像について合格したとき前記オートレベルを合格と判定するステップを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、必要とされる位置を定めて、当該箇所において所望の解像性能を備えるオートレベルを合格と判定できる。よって、オートレベルの使用に適合した解像性能判定を行うことができる。
【0026】
同じく請求項10に記載の発明は、前記撮像装置で撮像した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果の画像を表示するステップを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果を表示できる。よって、判定者は、表示手段を観察しつつ、解像性能の判定を確実かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、オートレベルの解像性能の検査に際して、客観的で迅速な判定を行うことができる。
【0029】
即ち、請求項1及び請求項6に記載の発明によれば、撮像装置で取得した解像性能検査チャートの画像データのグレイヒストグラムについて標準偏差を求め、この標準偏差と基準値とに基づいてオートレベルの解像度を判定ので、客観的な値に基づいてオートレベルの解像性能を迅速に判定できる。
【0030】
また、請求項2及び請求項7に記載の発明によれば、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像についてのグレイヒストグラムの標準偏差を求めので、オートレベルの視野の各所における解像性能を判定できる。
【0031】
また、請求項3及び請求項8に記載の発明によれば、画像解像度チャート画像には、異なる方向についての解像度を測定するための画像が含まれるので、オートレベルについて異なる方向の解像度を判定することができる。
【0032】
更に、請求項4及び請求項9に記載の発明によれば、必要とされる位置を定めて、当該箇所において所望の解像性能を備えるオートレベルを合格と判定できるので、オートレベルの使用に適合した解像性能判定を行うことができる。
【0033】
そして、請求項5及び請求項10に記載の発明によれば、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果を表示できるので、判定者は、表示手段を観察しつつ、解像性能の判定を確実かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態に係るオートレベルの解像度判定装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置の配置状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置に使用する解像度チャートを示す模式図である。
図4】同オートレベルの解像性能判定装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】同オートレベルの視準線検査装置の処理の流れを示す模式図である。
図6】同オートレベルの解像性能判定装置において、取得した解像性能検査チャートの画像データとグレイヒストグラムとを示す図である。
図7】同オートレベルの解像性能判定装置の解像性能判定の結果を示すものであり、(a)は合格、(b)は不合格を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態に係るオートレベルの解像性能判定装置、及びオートレベルの解像性能判定方法について説明する。
【0036】
以下、実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置について説明する。図1は本発明の実施形態に係るオートレベルの解像度判定装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置の配置状態を示す斜視図である。
【0037】
実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置100(以下単に「解像性能判定装置100」という)は、図1に示すように、オートレベル10で観察される解像度チャート表示部110と、オートレベル10の接眼部に配置された撮像装置120と、この撮像装置120からの画像データを処理してオートレベル10の解像性能を判定する判定処理部130と、表示装置140と、入力手段150を備える。
【0038】
本実施形態では、判定処理部130は、図2に示すように、ラップトップコンピュータ160で実現される。ラップトップコンピュータ160は、キーボード161、液晶表示部162を備える他、マウス180と、補助モニター170とが接続されている。この状態で、ラップトップコンピュータ160は、判定処理部130としての機能と、表示装置140と入力手段150として機能する他、補助モニター170は表示装置140として、マウス180は入力手段150として機能する。
【0039】
図2において、オートレベル10は、試験台11に、解像度チャート表示部110は表示部台12に配置され、オートレベル10の光軸上に解像度チャート表示部110が配置される。また、ラップトップコンピュータ160、補助モニター170はテーブル13上に配置される。
【0040】
まず解像度チャート表示部110について説明する。解像度チャート表示部110は、バックライト114と、解像性能検査チャートである解像度チャート111とが配置され、解像度チャート111は、ガラス基板に形成された透過型解像チャートである。バックライト114からの光が解像度チャート111を透過してオートレベル10で観察できる。解像度チャート111には、解像度を測定するため、所定の間隔を開けて配置された線分からなる図形が表示されている。図3は本発明の実施形態に係るオートレベルの解像性能判定装置に使用する解像度チャートを示す模式図である。
【0041】
図3(a)に示すように、解像度チャート111の表面には、左上解像チャート112UL、左下解像度チャート画像112DL、右上解像度チャート画像112UR、右下解像度チャート画像112DR、及び中央解像度チャート画像112C、即ち5つのチャート画像が表示されている。これらにより、各位置における解像性能を判定できる。
【0042】
左上解像チャート112UL、左下解像度チャート画像112DL、右上解像度チャート画像112UR、右下解像度チャート画像112DR、及び中央解像度チャート画像112Cを区別しないときには、以下解像度チャート画像112として説明する。図3(b)に示すように、それぞれの解像度チャート画像112には、一定の間隔を離間して所定方向に配置した複数の直線からなる4つの画像、即ち右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、垂直縞模様画像113V、水平縞模様画像113Hが表示されている。以下、右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、垂直縞模様画像113V、水平縞模様画像113Hを区別せずに説明するとき、単に縞模様画像113という。これらの解像度を取得することにより、オートレベル10の視野における各方向についての解像性能を判定できる。なお、解像度チャート111は、検査対象となるオートレベル10の種類、例えば倍率、用途により適切なものを使用する。
【0043】
次に撮像装置120について説明する。撮像装置120は、例えばCMOS型撮像素子を備えるデジタルカメラであり、オートレベル10の視野を撮影する。オートレベル10の視野に解像度チャート表示部110が視準されたとき、撮像装置120により、左上解像チャート112UL、左下解像度チャート画像112DL、右上解像度チャート画像112UR、右下解像度チャート画像112DR、及び中央解像度チャート画像112Cが撮像され、画像データ211(図5(B)(b)参照)として出力される。
【0044】
ここで、撮像装置120の選定方法を付記について説明する。解像度チャート111のチャート線(白線もしくは黒線)1本に付きその線幅に、撮像装置120のイメージセンサの画素数3個以上が含まれるように高画素のカメラを選定する。線幅に画素数が3個以上の場合、解像状態によってグレイヒストグラムが明瞭に変化する。また、線幅あたり画素数が2個以下ではグレイヒストグラムの変化が乏しくなり,解像検出センサとしては性能が落ちる。
【0045】
また、撮像装置120に使用するレンズは以下の基準で選定する。口径の小さい接眼像を検出するため,焦点距離の短い高NAのレンズを選定する。イメージセンサ上での視野と線幅あたりの画素数はカメラとレンズの組み合わせによって変化するので実験により組み合わせを変えて選定を行う。
【0046】
次に判定処理部130について説明する。図1に示すように、判定処理部130は、画像分割処理手段131と、グレイヒストグラム生成手段132と、標準偏差取得手段133と、比較手段134と、合否判定手段135と、合格基準設定手段136とを備える。
【0047】
図5(B)(b)は、画像データ211を示す模式図である。画像分割処理手段131は、取得した解像度チャート111の画像データ211を、5個の解像チャート画像データ212に分割する。即ち、画像データ211は、左上解像チャート画像データ212UL、左下解像度チャート画像データ212DL、右上解像度チャート画像データ212UR、右下解像度チャート画像データ212DR、及び中央解像度チャート画像データ212Cに分割される。
【0048】
更に、画像分割処理手段131は、5個の解像チャート画像データ212を、それぞれ4個の縞模様画像データ213に分割する。即ち、各解像チャート画像データ212は、右上がり縞模様画像データ213R、左上がり縞模様画像データ213L、垂直縞模様画像データ213V、水平縞模様画像データ213Hに分割する。これにより、画像データ211は、20(5×4)個の模様画像データに分割される。
【0049】
グレイヒストグラム生成手段132は、20個の縞模様画像データのそれぞれについて、画像の濃度分布を輝度分布として表示するグレイヒストグラムを作成する。なお、グレイヒストグラムは、縦軸として輝度を8ビット(0〜255)で表し、横軸に度数をとる。
【0050】
標準偏差取得手段133は、グレイヒストグラム生成手段132が生成した各グレイヒストグラムにおける輝度分布の標準偏差を算出する。標準偏差は公値の式により求めることができる。
【0051】
比較手段134は、標準偏差取得手段133が算出した標準偏差を予め定めた基準値Sと比較する。これにより、5つの解像度チャート画像112における右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、垂直縞模様画像113V、水平縞模様画像113Hについての解像性能の合否が判定できる。
【0052】
合否判定手段135は、比較手段134が判定した解像度チャート画像112の判定結果を総合的に判定してオートレベル10の解像性能の判定を行う。判定は、合格基準設定手段136が設定した総合判定基準に基づいて行う。
【0053】
総合判定基準は、合格基準設定手段136により、必要に応じて適宜定めることができる。以下の場合、オートレベル10の解像性能が不良とされる。
(1)5つの解像度チャート画像112のうち、一方、例えば上部に配置された左上解像チャート112UL、及び右上解像度チャート画像112URについて不合格が多い場合は不合格とする。これは、5つの解像度チャート画像112のうち、下側、右側、左側に不合格が多い場合も同様である。
(2)5つの解像度チャート画像112の右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、垂直縞模様画像113V、水平縞模様画像113Hの一つ、例えば右上がり縞模様画像113Rに不合格が多い。これは、他の左上がり縞模様画像113L、水平縞模様画像113H、垂直縞模様画像113Vに不合格が多い場合も同様である。
(3)5つの解像度チャート画像112中の右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、垂直縞模様画像113V、水平縞模様画像113Hの一つ、例えば右上がり縞模様画像113Rについて、不合格が多数ある。例えば、半数以上が不合格である場合である。
(4)その他、オートレベル10の使用上の要求により定める。
【0054】
ここで、判定処理部130は処理装置としてCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、補助記憶装置としてHDD(Hard Disc Drive)を備えて構成され、CPUでオートレベルの解像性能検査プログラムを実行することにより上記の手段を実現する。
【0055】
補助モニター170には、撮像装置120で撮像した解像度チャート111のライブ画像が表示される.撮像の前に、補助モニター170を見ながら、オートレベルの合焦と撮像装置のアライメントを行う.合焦はオートレベルの合焦ツマミの調整による。撮像装置のアライメントはその下部に設けられた多軸ステージによる。解像度チャート111を表示することにより、オートレベル10と解像度チャート表示部110との光軸の調整や、オートレベル10の合焦を容易にできる。
一方,表示装置140としてのラップトップコンピュータ160の液晶表示部162には・・・5つの解像度チャート画像112中の各縞模様画像113の合否の結果、及び総合判定されたオートレベル10の合否等の解析結果が表示される。
【0056】
次に解像性能判定装置100の処理について説明する。図4は同オートレベルの解像性能判定装置の処理の流れを示すフローチャート、図5は同オートレベルの解像性能検査装置の処理の流れを示す模式図である。
【0057】
まず、図2図3(A)に示すように、オートレベル10を試験台11に配置し、解像度チャート表示部110を表示部台12に配置した状態で、図3(A)、(B)(a)に示すように、オートレベル10で解像度チャート111の左上解像チャート112UL、左下解像度チャート画像112DL、右上解像度チャート画像112UR、右下解像度チャート画像112DR、及び中央解像度チャート画像112Cを視野中で観察できる状態とする。そして、撮像装置120でこれらを撮像する(ステップS1)。撮像装置120からの画像データは、判定処理部130に送出される(ステップS2)。
【0058】
判定処理部130においては、画像分割処理手段131において、画像データ211を5個の解像チャートデータ212に分離する(ステップS3)。画像分割処理手段131では、更に解像度チャート画像データをそれぞれ、4個の縞模様画像データ213に分割する(ステップS4)。次いでグレイヒストグラム生成手段132において、図5(B)(d)に示すように、それぞれの縞模様画像データ213についてのグレイヒストグラム220が生成される(ステップS5)。
【0059】
このグレイヒストグラムは、図5(B)(c)に示すように、着目した解像チャート画像データ212中の着目領域214について求められる。グレイヒストグラムは、図5(d)に示すように、縦軸に例えば濃度(0〜255)、横軸に度数をとったグラフとして得られる。次いで、標準偏差取得手段133において、各グレイヒストグラムにおける標準偏差が求められる(ステップS6)。
【0060】
図6は同オートレベルの解像性能判定装置において、取得した解像性能検査チャートの画像データとグレイヒストグラムとを示す図である。(1)に解像状態が悪い例を、(2)に基準となる解像状態を、(3)に解像状態が良好な場合を示し、それぞれ(a)に画像、(b)にグレイヒストグラム、(c)に標準偏差(Deviation)及び輝度分布範囲(Range)を記載している。
【0061】
ここで、比較手段134において、基準となる解像状態を、例えば(2)に示した状態とする。このときの標準偏差(この例では11.4046)を基準値Sとし、この基準値Sより標準偏差が大きい場合に合格とする。この場合、輝度分布は54である。(1)に示した解像状態が悪い場合は、(a)に示すように画像がぼやけ、黒部と白部とがにじみ灰色となっている。このため、輝度分布範囲が狭く(この例では36)、標準偏差が基準より小さい(この例では、6.6151)。一方(3)に示した解像がよい場合は、(a)に示すように画像が明瞭であり、黒部と白部とが明確に分離している。このため、輝度分布範囲が広く(この例では102)、両端に山部が形成され標準偏差が基準値より大きい(この例では27.9844)。このようにして、取得した標準偏差を基準値Sと比較して各縞模様画像113の合否を決定する。従って、基準値Sを変更することにより、合格の基準を変更することができる。
【0062】
更に、合否判定手段135でオートレベル10の解像度が判定基準を満たすかが最終的に判定される(ステップS7)。各画像データ211、212性能が判定基準を満たす場合(ステップS7のYes)には、合格とし(ステップS8)、判定基準に満たない場合(ステップS7のNo)には不合格とする(ステップS9)。合否判定手段135による判定は、上述したように合格基準設定手段136で定めた基準による。この合否の結果はモニター160に表示される(ステップS10)。
【0063】
図7は同オートレベルの解像性能判定装置の解像性能判定の結果を示すものであり、(a)は合格、(b)は不合格を示す模式図である。補助モニター170の表示画面には、総合判定の結果「OK」又は「NG」と、各解像度チャート画像112の各縞模様画像113において、解像度が基準値Sに満たない場合は「×」が表示されている。
【0064】
図7(a)に示した表示画面310では、総合的にオートレベル10の解像性能は合格であり「OK」と表示されている。また、全ての解像度チャート画像112において全ての縞模様画像113が合格している。
【0065】
一方、図7(b)に示す表示画面320では、総合的にオートレベル10の解像性能は不合格であり「NG」と表示されている。また、左上解像チャート112ULにおいては、全ての縞模様画像113が不合格、右上解像度チャート画像112URにおいては右上がり縞模様画像113R、垂直縞模様画像113Vが不合格、左下解像度チャート画像112DLにおいては、右上がり縞模様画像113R、左上がり縞模様画像113L、及び垂直縞模様画像113Vが不合格、右下解像度チャート画像112DRでは、左上がり縞模様画像113L及び水平縞模様画像113Hが不合格、中央解像度チャート画像112Cでは、右上がり縞模様画像113R及び垂直縞模様画像113Vが不合格でそれぞれ「×」が表示されている。この表示画面320により、解像度チャート111のどの部分において解像度が不良であるか、あるいはどの方向で解像度が不良であるかを視認できる。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る解像性能判定装置100によれば、オートレベルの解像性能の検査に際して、客観的で迅速な判定を行うことができる。また、本実施形態に係る解像性能判定装置100によれば、撮像装置で取得した解像度チャート111から取得した画像データ211のグレイヒストグラム220について標準偏差を求め、この標準偏差と基準値Sとに基づいてオートレベルの解像度を判定ので、客観的な値に基づいてオートレベルの解像性能を迅速に判定できる。
【0067】
また、異なる位置に配置された複数の解像度チャート画像112についてのグレイヒストグラムの標準偏差を求めので、オートレベルの視野の各箇所における解像性能を判定できる。
【0068】
また、画像チャート画像には、異なる方向についての解像度を測定するための縞模様画像113が含まれるので、オートレベルについて異なる方向の解像度を判定することができる。
【0069】
更に、視野中の必要とされる位置を予め定めておき、当該箇所において所望の解像性能を備えるオートレベルを合格と判定できるので、オートレベルの使用に適合した解像性能判定を行うことができる。
【0070】
そして、オートレベルで観察した解像性能検査チャートの画像、及び検査結果を表示できるので、判定者は、表示手段を観察しつつ、解像性能の判定を確実かつ迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
10:オートレベル
100:解像性能判定装置
110:解像度チャート表示部
111:解像度チャート
112:解像度チャート画像
112C:中央解像度チャート画像
112DL:左下解像度チャート画像
112DR:右下解像度チャート画像
112UL:左上解像チャート
112UR:右上解像度チャート画像
113:縞模様画像
113H:水平縞模様画像
113L:左上がり縞模様画像
113R:右上がり縞模様画像
113V:垂直縞模様画像
114:バックライト
120:撮像装置
130:判定処理部
131:画像分割処理手段
132:グレイヒストグラム生成手段
133:標準偏差取得手段
134:比較手段
135:合否判定手段
136:合格基準設定手段
140:表示装置
150:入力手段
211:画像データ
212:解像チャートデータ
212C:中央解像度チャート画像データ
212DL:左下解像度チャート画像データ
212DR:右下解像度チャート画像データ
212UL:左上解像チャート画像データ
212UR:右上解像度チャート画像データ
213H:水平縞模様画像データ
213L:左上がり縞模様画像データ
213R:右上がり縞模様画像データ
213V:垂直縞模様画像データ
220:グレイヒストグラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7