(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-161434(P2017-161434A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】オートレベルの視準線検査装置、及びオートレベルの視準線検査方法
(51)【国際特許分類】
G01C 5/00 20060101AFI20170818BHJP
【FI】
G01C5/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-47851(P2016-47851)
(22)【出願日】2016年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100091580
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 雅文
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 洋
(57)【要約】
【課題】オートレベルの視準線検査に際して、客観的で迅速な判定を行う。
【解決手段】錘付糸を配置して表示した鉛直線111、112をオートレベル10で観察して、オートレベルの視準線の状態を判定する。それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線111、112を撮像し、画像データから2本の鉛直線の画像である鉛直線画像データを抽出し、画像データから視準線の画像である視準線画像データを抽出し、更に2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして2本の鉛直線の平行度を測定する。そして、2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、鉛直線画像データと視準線画像データとをパターンマッチングして、鉛直線に対する視準線の傾きを求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘付糸を配置して表示した鉛直線をオートレベルで観察して、前記オートレベルの視準線の状態を判定するオートレベルの視準線検査装置において、
それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線を表示する鉛直線表示部と、
前記オートレベルの接眼部に配置され、前記2本の鉛直線の像と、前記視準線の像とを含む視野を撮像して画像データを出力する撮像装置と、
前記画像データから前記2本の鉛直線の画像である鉛直線画像データを抽出する手段と、
前記画像データから前記視準線の画像である視準線画像データを抽出する手段と
前記2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして前記2本の鉛直線の平行度を測定する手段と、
前記2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、前記鉛直線画像データと前記視準線画像データとをパターンマッチングして、前記鉛直線に対する前記視準線の傾きを求める手段と、
を備えることを特徴とするオートレベルの視準線検査装置。
【請求項2】
前記2本の鉛直線を前記視準線と比較して、それぞれに対して取得した前記鉛直線に対する視準線の角度を平均して前記視準線の傾きを求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオートレベルの視準線検査装置。
【請求項3】
前記傾きと閾値とを比較して、合否結果を出力する手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオートレベルの視準線検査装置。
【請求項4】
、
前記鉛直線の画像、前記視準線の画像、合否の結果、及び前記傾きの値を表示する手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のオートレベルの視準線検査装置。
【請求項5】
錘付糸を配置して表示した鉛直線をオートレベルで観察して、前記オートレベルの視準線の状態を判定するオートレベルの視準線検査方法において、
それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線を撮像して画像データを取得するするステップと、
前記画像データから前記2本の鉛直線の画像である鉛直線画像データを抽出する手段と、
前記画像データから前記視準線の画像である視準線画像データを抽出するステップと、
前記2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして前記2本の鉛直線の平行度を測定するステップと、
前記2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、前記鉛直線画像データと前記視準線画像データとをパターンマッチングして、前記鉛直線に対する前記視準線の傾きを求めるステップと、
を備えることを特徴とするオートレベルの視準線検査方法。
【請求項6】
前記2本の鉛直線を前記視準線と比較して、それぞれに対して取得した前記鉛直線に対する視準線の角度を平均して前記視準線の傾きを求めることを特徴とする請求項5に記載のオートレベルの視準線検査方法。
【請求項7】
前記傾きと閾値とを比較して、合否結果を出力するステップを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のオートレベルの視準線検査方法。
【請求項8】
、
前記鉛直線の画像、前記視準線の画像、合否の結果、及び前記傾きの値を表示するステップを備えることを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載のオートレベルの視準線検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートレベルの視準線の状態を検査するオートレベルの視準線検査装置及びオートレベルの視準線検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測量機の一つとして、自動的に水平位置を検出するために使用されるオートレベルが公知である(例えば特許文献1参照)。オートレベルには、視準望遠鏡と、水平補償光学系とからなり、視準望遠鏡を略水平にセットして基準位置を視準すると、望遠鏡の光軸が完全に水平面内に位置していなくても、水平補償光学系により視準線が水平になる。また、視準望遠鏡を光軸に直交する鉛直軸を中心に回動させ、別の視準点を視準すると、その視準点は、基準位置を含む水平面内に位置している。
【0003】
オートレベルは、視準望遠鏡を構成する光学系中に視準線(レチクル)が配置され、この視準線を接眼部から観察して目標に重ね合わせる。この視準線は、横線と縦線とが交差したクロスヘアとして配置されており、オートレベルを設置して使用状態にしたとき、縦線が鉛直方向、横線が水平方向となるように自動的に設定される。
【0004】
そして、このようなオートレベルの製造に際しては、完成品検査として、視準線が所定の誤差内に配置されているかを検査する工程が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−180230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したオートレベルの視準線の検査としては、検査台に設置された視準望遠鏡を介してつり下げられた錘付糸で表示した鉛直線を検査者が目視で観察することにより行っている。
図7は目視による視準線の検査を説明する図である。検査者は、視準線の縦線31が錘付糸による鉛直線21と一致するか、あるいはどの程度ずれているかを観察することにより検査を行う。検査の合否は、例えば、視準線の縦線の幅寸法を基準として、錘付糸が縦線の上下端でのずれがどの程度の量であるかで判断される。
【0007】
しかしながら、目視による視準線の判定は熟練を要するし、検査者により必ずしも判定水準が一定ではない。また、判定に時間がかかり、検査の効率がよくないという問題がある。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、オートレベルの視準線検査に際して、客観的で迅速な判定を行うことができるオートレベルの視準線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する請求項1に記載の発明は、錘付糸を配置して表示した鉛直線をオートレベルで観察して、前記オートレベルの視準線の状態を判定するオートレベルの視準線検査装置において、それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線を表示する鉛直線表示部と、前記オートレベルの接眼部に配置され、前記2本の鉛直線の像と、前記視準線の像とを含む視野を撮像して画像データを出力する撮像装置と、前記画像データから前記2本の鉛直線の画像である鉛直線画像データを抽出する手段と、前記画像データから前記視準線の画像である視準線画像データを抽出する手段と前記2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして前記2本の鉛直線の平行度を測定する手段と、前記2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、前記鉛直線画像データと前記視準線画像データとをパターンマッチングして、前記鉛直線に対する前記視準線の傾きを求める手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、オートレベルの視準線検査装置は、それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線、即ち固有振動数が異なる錘付糸で表示された2本の鉛直線を撮像し、この2本の鉛直線の平行度が一定となった状態における鉛直線を基準として視準線の傾きを判定する。即ち、撮像装置で2本の鉛直線を撮像して、画像データを取得し、この画像データから鉛直線と、視準線画像とが抽出され、2本の鉛直線が一定の平行度であることが確認された状態で、鉛直線と視準線の傾きが求められる。このため、視準線の傾きを客観的、且つ迅速に測定することができる。
【0011】
同じく請求項2に記載の発明は、前記2本の鉛直線を前記視準線と比較して、それぞれに対して取得した前記鉛直線に対する視準線の角度を平均して前記視準線の傾きを求めることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、2本の鉛直線に対してそれぞれ視準線の傾きが求められ、この傾きを平均して視準線の傾きを得る。このため、鉛直線の揺れに対して安定した測定結果を取得することができる。
【0013】
同じく請求項3に記載の発明は、前記傾きと閾値とを比較して、合否結果を出力する手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、視準線と鉛直線との傾きが閾値との比較により合否判定がなされる。このため、視準線設置状態の合否を客観的、且つ迅速に判定することができる。
【0015】
同じく請求項4に記載の発明は、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値を表示する手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値が表示される。よって、検査者は、検査の状態を視認することができる。
【0017】
同じく請求項5に記載の発明は、錘付糸を配置して表示した鉛直線をオートレベルで観察して、前記オートレベルの視準線の状態を判定するオートレベルの視準線検査方法において、それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線を撮像して画像データを取得するするステップと、前記画像データから前記2本の鉛直線の画像である鉛直線画像データを抽出する手段と、前記画像データから前記視準線の画像である視準線画像データを抽出するステップと、前記2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして前記2本の鉛直線の平行度を測定するステップと、前記2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、前記鉛直線画像データと前記視準線画像データとをパターンマッチングして、前記鉛直線に対する前記視準線の傾きを求めるステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、それぞれ異なる長さの錘付糸で表示した2本の鉛直線、即ち固有振動数が異なる錘付糸で表示された2本の鉛直線を撮像し、この2本の鉛直線の平行度が一定となった状態における鉛直線を基準として視準線の傾きを判定する。即ち、2本の鉛直線の画像データを取得し、この画像データから鉛直線画像データと、視準線画像データとが抽出され、2本の鉛直線が一定の平行度であることが確認された状態で、鉛直線と視準線の傾きが求められる。このため、視準線の傾きを客観的、且つ迅速に測定することができる。
【0019】
同じく請求項6に記載の発明は、前記2本の鉛直線を前記視準線と比較して、それぞれに対して取得した前記鉛直線に対する視準線の角度を平均して前記視準線の傾きを求めることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、2本の鉛直線に対してそれぞれ視準線の傾きが求められ、この傾きを平均して視準線の傾きを得る。このため、鉛直線の揺れに対して安定した測定結果を取得することができる。
【0021】
同じく請求項7に記載の発明は、前記傾きと閾値とを比較して、合否結果を出力するステップを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、視準線と鉛直線との傾きが閾値との比較により合否判定がなされる。このため、視準線設置状態の合否を客観的、且つ迅速に判定することができる。
【0023】
同じく請求項8に記載の発明は、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値を表示するステップと、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値が表示される。よって、検査者は、検査の状態を視認することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、オートレベルの視準線検査に際して、客観的で迅速な判定を行うことができる。
【0026】
即ち、請求項1及び請求項5に記載の発明によれば、錘付糸の揺れの影響を受けることなく、視準線の傾きを客観的、且つ迅速に測定することができる。
【0027】
また、請求項2及び請求項6に記載の発明によれば、2本の鉛直線に対してそれぞれ視準線の傾きが求められ、この傾きを平均して視準線の傾きを得るので、鉛直線の揺れに対して安定した測定結果を取得することができる。
【0028】
また、請求項3及び請求項7に記載の発明によれば、視準線と鉛直線との傾きが閾値との比較により合否判定がなされるので、視準線設置状態の合否を客観的、且つ迅速に判定することができる。
【0029】
更に、請求項4及び請求項8に記載の発明によれば、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値が表示される。よって、検査者は、検査の状態を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係るオートレベルの視準線検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】同オートレベルの視準線検査装置の配置状態を示す斜視図である。
【
図3】同オートレベルの視準線検査装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】同オートレベルの視準線検査装置の処理状態を示す模式図である。
【
図5】同オートレベルの視準線検査装置の判定の表示を示すものであり、(a)は合格、(b)は不合格を示す模式図である。
【
図6】同オートレベル視準線の測定不能の表示を示す模式図である。
【
図7】従来のオートレベルの視準線判定を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態に係るオートレベルの視準線検査装置及びオートレベルの視準線検査方法について説明する。
【0032】
以下、実施形態に係るオートレベルの視準線検査装置について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るオートレベルの視準線検査装置の構成を示すブロック図、
図2は同オートレベルの視準線検査装置の配置状態を示す斜視図である。
【0033】
実施形態に係るオートレベルの視準線検査装置100(以下単に「検査装置100」という)は、
図1に示すように、オートレベル10で観察される鉛直線表示部110と、オートレベル10の接眼部に配置された撮像装置120と、この撮像装置120からの画像データを処理してオートレベル10の視準線の傾き状態の合否を判定する判定処理部130と、表示装置140と、入力手段150を備える。
【0034】
本実施形態では、判定処理部130は、
図2に示すように、ラップトップコンピュータ160で実現される。ラップトップコンピュータ160は、キーボード161、液晶表示部162を備える他、マウス180と、補助モニター170とが接続されている。この状態で、ラップトップコンピュータ160は、判定処理部130としての機能と、表示装置140と入力手段150として機能する他、補助モニター170は表示装置140として、マウス180は入力手段150として機能する。
【0035】
図2において、オートレベル10は、試験台210に、鉛直線表示部110は表示部台220に配置され、オートレベル10の光軸上に鉛直線表示部110が配置される。また、ラップトップコンピュータ160、補助モニター170はテーブル230に配置される。
【0036】
まず鉛直線表示部110について説明する。鉛直線表示部110は、バックライト113に2本の鉛直線111、112を配置したものである。この鉛直線111、112は、異なる長さ(L1、L2)のナイロンテグス糸に錘を取付けて、所定の間隔を開けて垂下したものであり、振動した場合には異なる周期で振動する。なお、鉛直線111、112として使用する糸は、表面に「けば」が発生しにくいものを使用する。
【0037】
次に撮像装置120について説明する。撮像装置120は、例えばCCD撮像素子を備えるカメラであり、オートレベル10の視準望遠鏡の視野を撮影する。オートレベル10の視界に鉛直線表示部110が視準されたとき、撮像装置120により、2本の鉛直線111、112と、十字(クロスヘア)をなす視準線とが撮像され、画像データとして出力される。
【0038】
次に判定処理部130について説明する。
図1に示すように、判定処理部130は、鉛直線画像抽出手段131と、視準線画像抽出手段132と、平行度測定手段133と、傾き取得手段134と、平均手段135と、合否判定手段136とを備える。
【0039】
鉛直線画像抽出手段131は、撮像装置120からの画像データから2本の鉛直線画像データを抽出する。視準線画像抽出手段132は、画像データから前記視準線の画像である視準線画像データを抽出する。平行度測定手段133は、2本の鉛直線画像データをパターンマッチングして前記2本の鉛直線の平行度を測定する。傾き取得手段134は、2本の鉛直線の平行度が一定の範囲あるとき、鉛直線画像データと前記視準線画像データとをパターンマッチングして、2本の鉛直線に対する視準線の傾き量をそれぞれ求める。平均手段135は、2つの傾き量を平均する。合否判定手段136は、傾き取得手段134で取得した傾きと閾値とを比較して、合否結果を出力する。
【0040】
ここで、判定処理部130は処理装置としてCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、補助記憶装置としてHDD(Hard Disc Drive)を備えて構成され、CPUでオートレベルの視準線検査方法のプログラムを実行することにより上記の手段を実現する。
【0041】
補助モニター170には、鉛直線の画像、視準線の画像のライブ画像が表示される.撮像の前に、補助モニター170を見ながら、オートレベルの合焦と撮像装置のアライメントを行う.合焦はオートレベルの合焦ツマミの調整による。撮像装置のアライメントはその下部に設けられた多軸ステージによる。鉛直線を表示することにより、オートレベル10と鉛直線表示部110との光軸の調整や、オートレベル10の合焦を容易にできる。一方、表示装置140としてのラップトップコンピュータ160の液晶表示部162には、合否の結果、及び前記傾きの値等、解析結果が表示される。
【0042】
次に検査装置100の処理について説明する。
図4は同オートレベルの視準線検査装置の処理状態を示す模式図、
図5は同オートレベルの視準線検査装置の判定の表示を示すものであり、(a)は合格、(b)は不合格を示す模式図である。
【0043】
まず、
図2、
図3(A)に示すように、オートレベル10を試験台210に配置し、鉛直線表示部110を表示部台220に配置した状態で、(B)(a)に示すように、オートレベル10で鉛直線表示部110の2本の鉛直線111、112を視野中で観察できる状態とする。そして、撮像装置120で鉛直線111、112を撮像する(ステップS1)。撮像装置120からの画像データは、判定処理部130に送られる。そして、鉛直線画像抽出手段131において、2本の鉛直線111、112の画像が抽出される(ステップS2)。ここでは、
図3(B)(a)、(b)に示すように、画像データ20中の鉛直線Aを抽出するために領域20A、鉛直線Bを抽出するために領域20Bが設定され、それぞれの画像データ21A、21Bが抽出される。
【0044】
次いで、同様に視準線Cを抽出するため、領域20Cが設定されて、視準線Cの画像データ21Cが抽出される(ステップS3)。そして、まず、平行度測定手段133において、画像データ21A、21Bのパターンマッチング(ステップS4)をし、2本の鉛直線の平行度が判定される(ステップS5)。パターンマッチングは、公知の手法でなされる。この平行度が予め定めた所定値以内であるかが判定(ステップS6)、所定値内であるとき(ステップS6のYes)は、鉛直線表示部110における2本の鉛直線111、112が揺れていないとして次の処理に進む。平行度が所定値を越える場合(ステップS6のNo)は、2本の鉛直線111、112が揺れていて正しい測定ができないものとして、ステップS1に戻り、再度撮影が行われる。このとき、補助モニター170には、
図6に示すように、再度の計測を促す画面が表示される。
【0045】
鉛直線111、112の平行度が所定値以内であるとき、傾き取得手段134において鉛直線A、Bの画像データ21A、21Bと、視準線Cの画像データ21Cとのパターンマッチングがなされ、それぞれの鉛直線A、Bに対する視準線Cの傾き量が取得され(ステップS7)る。次いで平均手段135において2つの傾き量が平均される(ステップS8)。
【0046】
そして、合否判定手段136がこの取得された傾きの値と予め定めた基準値とを比較し(ステップS9)、基準値以内(ステップS9のYes)であれば合格とし(ステップS10)、基準値を超える場合(ステップS9のNo)には不合格とする(ステップS11)。この合否の結果は補助モニター170に出力され表示される(ステップS12)。
【0047】
図5は同オートレベルの視準線検査装置の判定の表示を示すものであり、(a)は合格、(b)は不合格を示す模式図である。各表示画面には、判定の結果として合格であれば「OK」、不合格であれば「NG」が表示される他、2本の鉛直線A、B、視準線Cの画像、及びそれぞれの鉛直線A、Bと視準線Cがなす角度が表示される。これにより、検査者に判定結果と視準線の状態が理解しやすく表示される。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るオートレベルの視準線検査装置によれば、オートレベルの視準線検査に際して、客観的で迅速な判定を行うことができる。この際、錘付糸の揺れの影響を受けることなく、視準線の傾きを客観的、且つ迅速に測定することができる。
また、2本の異なる長さの錘付糸で表示した鉛直線に対してそれぞれ視準線の傾きが求められ、この傾きを平均して視準線の傾きを得るので、錘付糸の揺れに対して安定した測定結果を取得することができる。視準線と鉛直線との傾きが閾値との比較により合否判定がなされるので、視準線設置状態の合否を客観的、且つ迅速に判定することができる他、前記基準線画像、前記視準線画像、合否の結果、及び前記傾きの値が表示されるので、検査者は、検査の状態を視認することができる。
【符号の説明】
【0049】
10:オートレベル
100:検査装置
110:鉛直線表示部
111、112:鉛直線
120:撮像装置
130:判定処理部
131:鉛直線画像抽出手段
132:視準線画像抽出手段
133:平行度測定手段
134:傾き取得手段
135:平均手段
136:合否判定手段
140:表示装置
150:入力手段
160:ラップトップコンピュータ
161:キーボード
162:液晶表示部
170:補助モニター
180:マウス