【解決手段】 ラジカル重合性有機基を有する親水性樹脂(A)と、着色剤(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを必須成分として含有する感光性樹脂組成物であって、着色剤(B)が(メタ)アクリル酸の金属塩(B1)または(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物(b)の金属塩(B2)であることを特徴とするアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物を用いる。
ラジカル重合性有機基を有する親水性樹脂(A)と、着色剤(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを必須成分として含有する感光性樹脂組成物であって、着色剤(B)が(メタ)アクリル酸の金属塩(B1)または(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物(b)の金属塩(B2)であることを特徴とするアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物は、ラジカル重合性有機基を有する親水性樹脂(A)と、着色剤(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)と、光重合開始剤(D)とを必須成分として含有し、さらに着色剤(B)が(メタ)アクリル酸の金属塩(B1)または(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物の金属塩(B2)であることを特徴とする。
【0011】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートまたはメタクリレート」を、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸またはメタクリル酸」を、「(メタ)アクリル樹脂」とは「アクリル樹脂またはメタクリル樹脂」を、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基またはメタクリロイル基」を、「(メタ)アクリロイロキシ基」とは「アクリロイロキシ基またはメタクリロイロキシ基」を意味する。
【0012】
また、本発明においてアルカリ現像可能とは、現像液を用いて未硬化部を除去する工程で、現像液のアルカリ性水溶液で未硬化部分がきれいに除去できることを意味する。
【0013】
以下において、本発明の感光性樹脂組成物の必須構成成分である(A)〜(D)について順に説明する。
【0014】
本発明における第1の必須成分であるラジカル重合性基を有する親水性樹脂(A)における親水性の指標はHLBにより規定され、一般にこの数値が大きいほど親水性が高いことを示す。
本発明の親水性樹脂(A)のHLB値は、好ましくは4〜19、さらに好ましくは5〜19、特に好ましくは6〜19である。4以上であればフォトスペーサーの現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
【0015】
ここでの「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法による計算値として知られているものであり、グリフィン法による計算値ではない。
HLB値は有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
【0016】
また、親水性樹脂(A)の溶解度パラメーター(以下、SP値という。)[(単位は(cal/cm
3)
1/2]は、好ましくは7〜14、さらに好ましくは8〜13、特に好ましくは9〜13である。7以上であるとさらに現像性が良好に発揮でき、14以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
【0017】
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F. Fedors(147〜154頁)」
【0018】
本発明の親水性樹脂(A)は、分子内に含有するラジカル重合性基を有するが、そのラジカル重合性基としては、光硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびアリル基が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0019】
また、本発明のラジカル重合性基を有する親水性樹脂(A)が分子内に含有する親水性に寄与する官能基は、アルカリ現像性の観点から、カルボキシル基、エポキシ基、スルホン酸基、リン酸基が好ましく、より好ましくはカルボキシル基である。
【0020】
本発明で用いることができる親水性樹脂(A)の具体的な例としては、ラジカル重合性基を有する親水性エポキシ樹脂(A1)およびラジカル重合性基を有する親水性(メタ)アクリル樹脂(A2)などが挙げられる。
【0021】
本発明のラジカル重合性基を有する親水性エポキシ樹脂(A1)としては市販品のエポキシ樹脂にラジカル重合性基を有する化合物を反応させ、さらに親水性の官能基を有する化合物を反応することによって合成することができる。
例えば、分子中にエポキシ基を有するノボラック型のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、さらにフタル酸や無水フタル酸などの多価カルボン酸や多価カルボン酸無水物を反応が挙げられる。
【0022】
本発明のラジカル重合性基を有する親水性(メタ)アクリル樹脂(A2)は既存の方法により(メタ)アクリル酸誘導体を重合させ、さらにラジカル重合性基を有する化合物を反応することで得ることができる。
【0023】
親水性(メタ)アクリル樹脂(A2)の製造方法としてはラジカル重合が好ましく、溶液重合法が分子量を調節しやすいため好ましい。
【0024】
親水性(メタ)アクリル樹脂(A2)を製造するために使用するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸(a21)、(メタ)アクリル酸エステル(a22)があげられる。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル(a22)としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルである。
【0026】
本発明の親水性樹脂(A)の数平均分子量は、通常3,000〜100,000であり、好ましくは3,000〜50,000である。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物中の親水性樹脂(A)の含有量は、現像性の観点から(A)〜(D)の合計重量に基づいて、8〜65重量%、好ましくは15〜55重量%である。
【0028】
本発明の第2の必須成分である着色剤(B)は、(メタ)アクリル酸の金属塩(B1)、または(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物(b)の金属塩(B2)であるが、その金属塩としては、黄色度の観点から、銅塩およびコバルト塩が好ましく、より好ましくは銅塩である。なお、(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物(b)の金属塩(B2)の分類からは(メタ)アクリル酸の金属塩(B1)自体を除く。
【0029】
また、本発明の金属塩(B2)の構成成分である(メタ)アクリロイル基と酸性基を有する化合物(b)の酸性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基が好ましく、より好ましくはカルボキシル基である。
【0030】
(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物(b)は、酸性基にカルボキシル基を有する化合物としては、カルボキシル基を含有するエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、酸性基にスルホン酸基を有する化合物としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられ、酸性基にリン酸基を有する化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0031】
本発明の着色剤としては、酢酸銅(II)、塩基性炭酸銅(II)などの無機金属塩と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリロイル基と酸性基を含有する化合物とを反応させ合成することができる。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物中の着色剤(B)の含有量は、透過率および黄色度の観点から(A)〜(D)の合計重量に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0033】
本発明の第3の必須成分である多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、分子量が3,000未満であり、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーあれば、とくに限定されずに用いられる。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、2官能(メタ)アクリレート(C1)、3官能(メタ)アクリレート(C2)、4〜6官能(メタ)アクリレート(C3)及び7〜10官能(メタ)アクリレート(C4)が挙げられる。
【0034】
2官能(メタ)アクリレート(C1)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えば、グリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1,5−ペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−エチル−1,3−プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート];多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート];OH基含有両末端エポキシアクリレート;多価アルコールと(メタ)アクリル酸とヒドロキシカルボン酸のエステル化物[例えばヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
なお、多価アルコールの水酸基のすべてを(メタ)アクリル酸、アルキレンオキサイド付加物などと反応させる必要はなく、未反応の水酸基が残っていてもよい。
【0035】
3官能(メタ)アクリレート(C2)としては、グリセリンのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート;及びトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
4〜6官能(メタ)アクリレート(C3)としては、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
7〜10官能の(メタ)アクリレート化合物としては例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により得られる化合物など、ジイソシアネート化合物と水酸基含有多官能(メタ)アクリレート化合物との反応により得ることができる。
【0038】
多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)のうち、硬化性の観点から好ましくは3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであり、さらに好ましくはグリセリン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーである。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)の含有量は、硬化性の観点から(A)〜(D)の合計重量に基づいて、10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
【0040】
本発明の第4の必須成分である光重合開始剤(D)として、可視光線、紫外線、遠赤外線、荷電粒子線及びX線等の放射線の露光により、重合性不飽和化合物の重合を開始しうるラジカルを発生する成分であればどのようなものでもよい。
【0041】
光重合開始剤(D)としては、α−ヒドロキシアルキルフェノン型(D1)(例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等);α−アミノアルキルフェノン型(D2)(例えば、(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等);チオキサントン化合物型(D3)(例えば、(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等);リン酸エステル型(D4)(例えば、(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等);アシルオキシム系型(D5)(例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等);ベンジルジメチルケタール型(D6)等;ベンゾフェノン型(D7)(例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4‘−メチルジフェニルスルフィド等)が挙げられる。
【0042】
これらのうち硬化物の硬化性の観点から好ましいのはα−アミノアルキルフェノンであり、さらに好ましいのは2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1である。
【0043】
光重合開始剤(D)の使用量は、(A)〜(D)の合計に基づいて硬化性および硬化物の着色の観点から2〜15重量%、好ましくは5〜10重量%である。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物には、(A)〜(D)以外に、密着性をより向上させる目的で、さらに加水分解性アルコキシ基を有する化合物(E)を併用することが好ましい。
【0045】
この目的に使用できる加水分解性アルコキシ基を有する化合物(E1)としては、アルコキシチタン、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、アルコキシアルミニウム、アルコキシジルコニア等のアルコキシ基を有する化合物およびその縮合物等が挙げられる。
【0046】
なかでも密着性を向上させる目的で、加水分解性アルコキシ基を有する化合物(E)としては、アルコキシシラン、アルコキシシロキサンが好ましく、さらに好ましくは下記一般式(1)で表されるシラン化合物(E1)およびその縮合物であるシロキサン化合物(E2)である。
【0048】
式(1)中、R
1は、(メタ)アクリロイロキシアルキル基、グリシドキシアルキル基、メルカプトアルキル基及びアミノアルキル基からなる群から選ばれる1種以上であって、そのアルキル基の炭素数が1〜6である有機基を表す。
【0049】
また、R
2は、アルキル基、脂環式飽和炭化水素基、または芳香族炭化水素を表す。R
3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。mは0または1である。
【0050】
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよびn−ドデシル基などの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよび2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基が挙げられ、脂環式飽和炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基およびメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0051】
芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基およびアルキルアリール基が挙げられる。
アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル基;アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチルアルキルアリール基としてはメチルフェニルおよびエチルフェニル基などが挙げられる。
【0052】
R
2のうち好ましいのは硬化反応性の観点から直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
【0053】
R
3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびsec−ブチル基などが挙げられ、好ましいのは熱硬化反応性の観点からメチル基およびエチル基である。
【0054】
一般式(1)において、R
1として(メタ)アクリロイロキシアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0のとき、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0055】
mが1のとき、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0056】
R
1としてグリシドキシアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0のとき、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1のとき、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0057】
R
1としてメルカプトアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0のとき、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1のとき、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
R
1としてアミノアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0のとき、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、N−2アミノエチルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2アミノエチルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1のとき、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、N−2アミノエチルγ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2アミノエチルγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
加水分解性アルコキシ基を有する化合物(E1)のうち好ましいのは、アルコキシ基を3個有する(メタ)アクリロイロキシアルキル基を有する3官能シラン化合物、(メタ)アクリロイロキシアルキル基を有する3官能シラン化合物を必須構成単量体とする縮合物及びアルコキシ基を3個有するグリシドキシアルキル基を有する3官能シラン化合物を必須構成単量体とする縮合物であり、更に好ましいのは、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランを必須構成単量体とする縮合物である。
【0060】
本発明のポリシロキサン化合物(E2)は、上記の一般式(1)で表されるシラン化合物(E1)の縮合物であり、酸触媒を使用した縮合反応等の公知の方法により得ることができる。
シラン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いても良い。
【0061】
加水分解性アルコキシ基を有する化合物(E)の使用量は、(A)〜(D)の合計に基づいて、密着性の観点から 0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物には、単官能(メタ)アクリレート(F)を併用しても差し支えないが、このような単官能(メタ)アクリレート(F)としては、リン酸基、カルボキシル基、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、更に好ましくはリン酸基を有する単官能(メタ)アクリレートである。
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
本発明の感光性樹脂組成物には、レベリング剤(G)を含有させてもよく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤等が挙げられる。これらのうちで塗布性の観点から、フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤が好ましく、相溶性の観点からオキシアルキル鎖を有する界面活性剤が好ましい。
【0064】
本発明の感光性樹脂組成物には、酸化防止剤(H)を含有させてもよく、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。これらのうち、光硬化性と酸化防止能の観点から、好ましくはフェノール系酸化防止剤であり、特に好ましくは2,6−ジーt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4、6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート(イルガノックス1076)、チオジエチエレンビス[3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1035)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](イルガノックス245)、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス259)、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010)である。
【0065】
本発明の感光性樹脂組成物には溶剤を含有させてもよく、ケトン溶剤(シクロヘキサノン等)、エーテル溶剤(エーテルエステル溶剤及びエーテルアルコール溶剤を含む)(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びメトキシブチルアセテート等)、エステル溶剤(酢酸ブチル等)、エーテル溶剤(エーテルエステル溶剤及びエーテルアルコール溶剤等)、アルコール溶剤(ケトンアルコール溶剤を含む)(1.3−ブチレングリコール及びジアセトンアルコール等)、エステル溶剤(乳酸エチル等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)等が挙げられる。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、プラネタリーミキサー等の公知の混合装置により、上記の各成分を混合等することにより得ることができる。また感光性樹脂組成物は、通常、室温で液状であり、その粘度は25℃で1〜200mPa・s、好ましくは2〜150mPa・sである。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物から硬化物を得る好ましい形成工程は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布後、光照射し、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行う工程である。
硬化物の形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われるが、これに限定されるものではない。
【0068】
・ 基板の上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布する工程
塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
膜厚は、好ましくは0.5〜100μmである
【0069】
(2)塗布された感光性樹脂組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる(プリベーク)工程
乾燥温度としては、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは30〜110℃である。
乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、さらに好ましくは1〜8分、特に好ましくは1〜5分である。乾燥は減圧、常圧どちらでもよい。
【0070】
(3)所定のフォトマスクを介して、活性光線により感光性樹脂組成物層の露光を行う工程
活性光線としては、例えば、可視光線、紫外線、およびレーザー光線が挙げられる。
光線源としては、例えば、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、および半導体レーザーが挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm
2、生産コストの観点から20〜100mJ/cm
2がさらに好ましい。露光を行う工程においては、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分が反応して光硬化反応する。
【0071】
(4)光照射後、未露光部を現像液で除去し、現像を行う工程
現像液は、通常、アルカリ水溶液を用いる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、およびヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機アルカリの水溶液が挙げられる。
これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、好ましくは20〜45℃である。現像時間は、膜厚や感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
【0072】
(5)後加熱(ポストベーク)工程
ポストベークの温度としては50〜150℃、好ましくは100〜120℃、さらに好ましくは110〜130℃である。
ポストベークの時間は、5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間、さらに好ましくは15分〜45分である。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0074】
製造例1 [メタクリロイル基を有する親水性アクリル樹脂(A−1)の製造]
加熱冷却・攪拌装置、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート172部を仕込み、90℃まで加熱した。ここにメタクリル酸177部、メタクリル酸メチル13部、メタクリル酸イソボルニル395部、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート207部を均一混合した溶液と、ジメチル−2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12部を均一混合した溶液をそれぞれ滴下し、ガラス製コルベン中でラジカル重合を行い、反応物を得た。
この反応物にさらにグリシジルメタクリレート19部を仕込み、90℃にて5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで樹脂濃度が50重量%となるように希釈して、本発明のメタクリロイル基を有する親水性アクリル樹脂(A−1)の50%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
この樹脂の純分換算した酸価は100.2であった。GPCによる数平均分子量(Mn)は5,800であった。なお、SP値は10.5、HLB値は5.8であった。
【0075】
製造例2 [アクリロイル基を有する親水性エポキシ樹脂(A−2)の製造]
加熱冷却・攪拌装置、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN―102S」(日本化薬(株)製 エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部(1.07モル部)、トリフェニルホスフィン2部及びp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。
反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部(0.60モル部)を仕込み、90℃にて5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで樹脂濃度が50重量%となるように希釈して、本発明のアクリロイル基を有する親水性カルボキシル基含有クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A−2)の50%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
この樹脂の純分換算した酸価は88.4であった。GPCによる数平均分子量(Mn)は3,200であった。なお、SP値は11.3、HLB値は6.4であった。
【0076】
比較製造例1 [ラジカル重合性基を有しない親水性アクリル樹脂(A’−1)の製造]
加熱冷却・攪拌装置、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート172部を仕込み、90℃まで加熱した。
ここにメタクリル酸177部、メタクリル酸メチル13部、メタクリル酸イソボルニル395部、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート207部を均一混合した溶液と、ジメチル−2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12部を均一混合した溶液をそれぞれ滴下し、ガラス製コルベン中でラジカル重合を行い、反応物を得た。
その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで樹脂濃度が50重量%となるように希釈して、アクリル樹脂(A’−1)の50%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。なお、このアクリル樹脂(A’−1)はラジカル重合性基を有していない。この樹脂の純分換算した酸価は100.2であった。GPCによる数平均分子量(Mn)は5,500であった。なお、SP値は135.7、HLB値は5.5であった。
【0077】
製造例3 [アクリル酸の銅塩(B1−1)の製造]
加熱冷却・攪拌装置を備えたガラス製コルベンに、銅塩として塩基性炭酸銅(II)10.0部とアクリル酸151.0部を混合し、90℃に加熱することでアクリル酸の銅塩(B1−1)の青色の液体を得た。
【0078】
製造例4 [アクリルロイル基とカルボキシル基を有する金属塩(B2−1)]
加熱冷却・攪拌装置を備えたガラス製コルベンに、銅塩として塩基性炭酸銅(II)100部、アクリロイル基を有する親水性エポキシ樹脂(A−2)100部を混合し、90℃に加熱することでアクリルロイル基とカルボキシル基を有する金属塩(B2−1)の青色の液体を得た。
【0079】
製造例5 [メタクリルロイル基とリン酸基を有する金属塩(B2−2)]
加熱冷却・攪拌装置を備えたガラス製コルベンに、銅塩として酢酸銅(II)100部、メタクリロイル基とリン酸基を有する化合物として、メタクリル変性リン酸エステル(商品名:KAYAMER PM−21、日本化薬(株)社製)600部を混合し、90℃に加熱することでメタクリルロイル基とリン酸基を有する金属塩(B2−2)の青色の液体を得た。
【0080】
実施例1
表1の配合部数(重量部)に従い、ガラス製の容器に製造例1で製造したメタクリロイル基を有する親水性アクリル樹脂のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50%溶液(A−1)、(B1−1)、(C−1)、(D−1)、(F−1)、(G−1)、(H−1)、溶剤を仕込み、均一になるまで攪拌し、実施例1の感光性樹脂組成物を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例2〜7および比較例1〜5
同様の操作で、表1の配合部数で、実施例2〜7、および比較例1〜5の感光性樹脂組成物を得た。
【0083】
なお、表1中の略称の化学品の詳細は以下の通りである。
(B’−1):塩基性炭酸銅(II)
(C−1):「ネオマーDA−600」[ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:三洋化成工業(株)社製;官能基数が6個]
(C−2):「ネオマーEA−300」[ペンタエリスリトールテトラアクリレート:三洋化成工業(株)社製;官能基数が4個]
(C−3):「SR−9035」[エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート:サートマー社製;官能基数が3]
(D−1):「イルガキュアー 819」[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:BASF(株)社製)]
(D−2):「イルガキュアー 907」[2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:BASF(株)社製]
(D−3):「ルシリンTPO」[(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド:BASF(株)社製)]
(E1−1):「シランカップリング剤KBM−5103」(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学(株)社製)
(E2−1):「KR−513」(アクリル変性アルコキシポリシロキサン:信越化学(株)社製)
(F−1):「ライトアクリレートPO−A」[フェノキシエチルアクリレート:共栄社化学(株)社製;官能基数が1個]
(F−2):「KAYAMER PM−21」[アクリル変性リン酸エステル:日本化薬(株)社製;官能基数が1個]
(G−1):「KF−352A」[オキシアルキレン鎖を有するポリジメチルシロキサン:信越化学(株)社製]
(G−2):「サーフロンS−386」[オキシアルキレン鎖を有するフッ素化合物:AGCセイミケミカル(株)社製]
(H−1):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ―t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] [「イルガノックス1010」:BASFジャパン(株)社製]
【0084】
実施例1〜7、および比較例1〜5の感光性樹脂組成物の硬化物の黄色度、解像度、密着性の物性測定と性能評価を行った。
【0085】
<透過率の評価>
10cm×10cm四方のガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。この塗膜を減圧下で完全に乾燥した後、ホットプレート上で80℃、3分間加熱した。
得られた塗膜に対し、超高圧水銀灯の光を100mJ/cm
2照射した(i線換算で照度22mW/cm
2)し、その後、0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて30秒間現像を行った後、さらに120℃、30分間加熱して、透過率測定用の基板を作成した。
【0086】
上記の硬化物を紫外線可視分光光度計UV−2400(島津製作所社製)を用いて400nmの透過率を測定した。
タッチパネルの保護膜として使用するには、この評価条件では一般的に97%以上が必要とされる。
【0087】
<黄色度の評価>
[黄色度測定用の基板の作成]
10cm×10cm四方のガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。この塗膜を減圧下で完全に乾燥した後、ホットプレート上で80℃、3分間加熱した。
得られた塗膜に対し、超高圧水銀灯の光を100mJ/cm
2照射し(i線換算で照度22mW/cm
2)し、その後、0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて30秒間現像を行った後、さらに120℃、30分間加熱して、黄色度測定用の基板を作成した。
【0088】
上記の硬化物をJIS Z 8722に準拠した物体色の測定に使用される分光測色計(コニカミノルタ社製「CM3700d」、光源Cを使用)を用い、黄色度(b*)を測定した。
タッチパネルの保護膜に使用するには、この評価条件では一般に黄色度は0以下が必要とされる。
【0089】
<解像度の評価>
[解像性確認硬化パターンの作製]
10cm×10cm四方のガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、乾燥し、乾燥膜厚5μmの塗膜を形成した。この塗膜をホットプレート上で80℃、3分間加熱して溶媒を完全に揮散させた。
得られた乾燥塗膜に対し、長さが約2cmで幅が50μmの開口部を100μmおきに100本刻んだライン形成用のマスクを通して超高圧水銀灯の光を100mJ/cm
2照射した(i線換算で照度22mW/cm
2)。なお、マスクと基板の間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後0.05%KOH水溶液を用いてアルカリ現像した。水洗したのち、150℃で30分間ポストベークを行い、ガラス基板上に長方形のパターンを100μmおきに100本形成した。
【0090】
[解像度の評価]
解像度は、パターンの幅を測定し、マスク開口径の50μmにどれだけ近いかで評価した。この評価方法と条件(マスク開口径)においては、一般には80μm以下が好ましい。
【0091】
<密着性の評価>
上記の導電性硬化膜をJIS K 5600−5−6に準拠し、100個(10個×10個)のマスができるよう1mm幅にカッターナイフで切込みを入れ樹脂密着性を測定する。
測定結果は「試験後に基材フィルム上に残ったマス目/100」で表す。
○:試験後にフィルム上に残ったマス目が100/100
×:試験後にフィルム上に残ったマス目が99/100以下
【0092】
本発明の実施例1〜7の感光性樹脂組成物は、表1に示す通り、黄色度、密着性、解像性のすべての点で優れている。
一方、ラジカル重合性基を有する親水性樹脂(A)を使用しない比較例1、(A)の代わりに重合性基を含まない親水性樹脂を使用した比較例2では解像度および密着性が不良である。メタクリロイル基を含有しない金属塩を使用した比較例3では黄色度が悪化する。多官能(メタ)アクリレート(C)を使用しない実施例4および多官能(メタ)アクリレートの代わりに単官能メタクリレートを用いた実施例5では密着性が不良である。