【解決手段】タブレット端末1は、パネル状の筐体と、筐体に対し回動可能に接続され、筐体に対して開閉可能な板状のスタンド部と、筐体が面内方向に上から下へ移動した後、筐体に生じる衝撃を検出する衝撃検出部8と、筐体の所定の傾きを検出する移動検出部9と、衝撃検出部8において衝撃が検出された後の所定時間内に、移動検出部9において所定の傾きが検出されたか否かを判断する判断部10と、判断部10において、所定時間内に移動検出部9において所定の傾きが検出されたと判断されたとき、閉じられているスタンド部を開放させる制御部7とを備える。
前記スタンド部に対して前記筐体を任意の角度で固定し、前記筐体が起立した状態を維持させるヒンジ機構を更に備える請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯情報端末。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るタブレット端末を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るタブレット端末を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るタブレット端末の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るタブレット端末を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るタブレット端末を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るタブレット端末の動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構及びスタンドの自動開放機構を示す正面図である。
【
図8】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末を示す部分拡大縦断面図である。
【
図9】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図である。
【
図10】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図である。
【
図11】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図12】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図13】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図14】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図である。
【
図15】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図17】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図18】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構を示す正面図である。
【
図19】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す縦断面図である。
【
図20】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す正面図である。
【
図21】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す横断面図である。
【
図22】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す縦断面図である。
【
図23】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す正面図である。
【
図24】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す横断面図である。
【
図25】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す縦断面図である。
【
図26】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のワンウェイヒンジ機構及びスタンドの自動開放機構を示す正面図である。
【
図27】本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末のスタンドの自動開放機構を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るタブレット端末1について、図面を用いて説明する。
タブレット端末1は、携帯情報端末の一例であり、
図1に示すように、パネル状の筐体2を備え、筐体2にディスプレイモジュールが設けられる。筐体2には、内部にCPU及びメモリ等を搭載した回路基板や、バッテリー等の電源部などが収容される。タブレット端末1は、上述したCPU等によって実現される制御部7を備える。
【0014】
筐体2に設けられるディスプレイモジュールは、例えば、液晶ディスプレイを備えて、液晶ディスプレイによって画像を表示する。なお、画像を表示するディスプレイモジュールは、液晶ディスプレイを備える場合に限定されず、有機ELディスプレイ等でもよい。ディスプレイモジュールは、タッチパネルを備え、表示面上で触れられた指等の外部からの接触を検出して、入力を行うことができる。
【0015】
タブレット端末1の筐体2には、
図1に示すように、裏面側に開閉可能な板状のスタンド3が設けられる。スタンド3は、例えばヒンジ4を中心にして回動可能な構成を有しており、スタンド3を開くことで、タブレット端末1を自立させることができる。反対に、スタンド3を閉じることで、スタンド3が筐体2の裏面側に収容されて、突起がないパネル状の端末として取り扱うことができる。
【0016】
タブレット端末1は、近接センサー5と、加速度センサー6と、制御部7を更に備える。
【0017】
近接センサー5は、例えば、筐体2の上端部近傍に内蔵される。近接センサー5は、物体(誘電体)が筐体2の上端部の近くに近接又は接触していることを検出する。近接センサー5は、検出結果を制御部7へ送信する。近接センサー5は、誘導形、静電容量形など一般的に用いられているものを適用できる。なお、近接センサー5は、筐体2の側端部近傍に内蔵されてもよい。この場合、物体(誘電体)が筐体2の側端部の近くに近接又は接触していることを検出できる。
【0018】
近接センサー5による検出結果は、筐体2がユーザーによって把持されている等のユーザーによって接触されている状況と、筐体2が鞄の中に収容されている等のユーザーによって接触されていない状況とを区別するための条件として用いられる。
【0019】
加速度センサー6は、筐体2内部に設置される。加速度センサー6は、筐体2に生じる加速度を検出する。
図1に示すように、筐体2の表示面内の水平方向をX軸、表示面内の垂直方向をY軸、表示面に対して垂直方向をZ軸としたとき、加速度センサー6は、少なくともY軸方向及びZ軸方向の加速度を検出する。加速度センサー6は、検出された加速度に関する信号を制御部7へ送信する。
【0020】
制御部7は、
図2に示すように、衝撃検出部8と、移動検出部9と、判断部10と、ロック制御部11などを有する。
【0021】
衝撃検出部8は、加速度センサー6で検出されたY軸方向の加速度に基づいて、筐体2が面内方向に上から下へ移動した後、筐体2に生じる衝撃を検出する。衝撃検出部8は、例えば、速度変化を算出して、筐体2に衝撃が生じたことや、検出された加速度に基づいて生じた衝撃力を検出できる。衝撃検出部8で得られる検出結果は、衝撃検出部8から判断部10へ送られる。衝撃検出部8で得られる検出結果は、筐体2がテーブルや机などの載置面に載置された状況と、例えばユーザーが歩きながら手に持っている等の載置面に載置されていない状況とを区別するための条件として用いられる。
【0022】
移動検出部9は、加速度センサー6で検出されたZ軸方向の加速度に基づいて、筐体2の表示面の面内方向に対して垂直方向の移動を検出する。移動検出部9は、例えば、検出された加速度に基づいて、筐体2の移動量や移動方向を検出できる。移動検出部9で得られる検出結果は、移動検出部9から判断部10へ送られる。移動検出部9で得られる検出結果は、テーブルなどの載置面に載置された後、ユーザーが見やすい角度に傾けられた状況と、単に載置面に置かれただけ等のユーザーによって使用されるまでは到っていない状況とを区別するための条件として用いられる。
【0023】
判断部10は、近接センサー5で得られた検出結果に基づいて、筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じたか否かを判断する。また、判断部10は、衝撃検出部8で得られた検出結果に基づいて、筐体2が、筐体2の面内方向に上から下へ移動した後、筐体2にY軸方向の所定以上の衝撃が生じたか否かを判断する。さらに、判断部10は、予め記録されている所定角度と、移動検出部9で検出された移動量や移動方向に基づいて、筐体2が所定角度以上に傾けられたか否かを判断する。判断部10が検出する傾きは、X軸周りの筐体2の回転である。
【0024】
判断部10は、筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じており、筐体2にY軸方向の衝撃が生じた後の所定時間内に、筐体が所定角度以上に傾けられたと判断した場合、ロック制御部11へロック解除に関する信号を送信する。それ以外の場合、例えば、筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じていない場合、筐体2にY軸方向の衝撃が生じていない場合、筐体2が傾けられていない場合、又は、所定時間を過ぎてから筐体2が傾けられた場合には、判断部10は、ロック制御部11へロック解除に関する信号を送信しない。
【0025】
ロック制御部11は、判断部10から受信したロック解除に関する信号に基づいて、スタンド3を固定しているロック機構13のロックを解除させる。これにより、筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じており、筐体2にY軸方向の衝撃が生じた後の所定時間内に、筐体が所定角度以上に傾けられた場合、閉じられているスタンド3が開放される。
【0026】
ロック機構13は、筐体2とスタンド3とを機械的に結合したり解除したりする構造を有する。ロック機構13の構造は、一般的に使用されるものを適用できる。ロック機構13は、ロック制御部11から送信されたロック解除に関する信号に基づいて、機械的に結合された筐体2とスタンド3との結合を解除する。また、ロック機構13は、モーターでもよい。モーターは、ロック制御部11から送信されたロック解除に関する信号に基づいて、動作を開始して、スタンド3を開放する。スタンド3が閉じられた状態や開かれた状態でモーターが動作しない場合、スタンド3が筐体2に対して固定(ロック)される。
【0027】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係るタブレット端末1の動作について説明する。
まず、近接センサー5において、物体(誘電体)が近接又は接触しているか否かが検出される(ステップS1)。物体(誘電体)による近接又は接触が検出されていない場合、筐体2が鞄の中に収容されている等のユーザーによって接触されていない状況である可能性があるため、継続して、近接センサー5において、物体(誘電体)が近接又は接触しているか否かが検出される。
【0028】
物体(誘電体)による近接又は接触が検出された場合、衝撃検出部8において、加速度センサー6で検出されたY軸方向の加速度に基づいて、筐体2が面内方向に上から下へ移動した後、筐体2にY軸方向の所定以上の衝撃が生じたか否かが検出される(ステップS2)。筐体2にY軸方向の所定以上の衝撃が生じていない場合、例えばユーザーが歩きながら手に持っている等の載置面に載置されていない状況である可能性があるため、近接センサー5において、物体(誘電体)が近接又は接触しているか否かを検出するステップ(S1)へ戻る。
【0029】
筐体2にY軸方向の所定以上の衝撃が生じたことが検出された場合、筐体2が所定角度以上に傾けられたか否かが判断される(ステップS3)。また、衝撃が生じた後の所定時間が経過しているか否かが判断され(ステップS4)、所定時間内に筐体2が所定角度以上に傾けられた場合、ロック解除に関する信号が判断部10からロック制御部11へ送信され、ロック制御部11は、スタンド3を固定しているロック機構13のロックを解除させる(ステップS5)。
【0030】
一方、所定時間内に筐体2が所定角度以上に傾けられていない場合、単に載置面に置かれただけ等のユーザーによって使用されるまでは到っていない状況である可能性があるため、近接センサー5において、物体(誘電体)が近接又は接触しているか否かを検出するステップ(S1)へ戻る。
【0031】
筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じており、筐体2にY軸方向の衝撃が生じた後の所定時間内に、筐体が所定角度以上に傾けられたと判断された場合には、筐体2がユーザーによって把持されている等のユーザーによって接触されている状況、筐体2が載置面に載置された状況、及び、ユーザーが見やすい角度に傾けられた状況になっていると考えられる。そこで、本実施形態では、筐体2への物体(誘電体)の近接又は接触が生じており、筐体2にY軸方向の衝撃が生じた後の所定時間内に、筐体が所定角度以上に傾けられたと判断された場合、スタンド3を固定しているロック機構13のロックが解除される。その結果、閉じられているスタンド3が開放される。
【0032】
なお、上述した実施形態では、衝撃検出部8が、加速度センサー6で検出されたY軸方向の加速度に基づいて筐体2に生じる衝撃を検出するとしたが、XYZ軸方向のうち2つ以上の方向の加速度に基づいて、筐体2に生じる衝撃を検出するとしてよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、移動検出部9が、加速度センサー6で検出されたZ軸方向の加速度に基づいて、筐体2の表示面の面内方向に対して垂直方向の移動を検出するとしたが、本発明はこの例に限定されない。移動検出部9は、本発明に係る傾き検出部の一例であり、移動検出部9の代わりに、筐体2の所定の傾きを検出する傾き検出部が設けられてもよい。例えば、筐体2にジャイロセンサを更に設け、ジャイロセンサで検出される角速度に基づいて、傾き検出部が、筐体2の所定の傾き、例えば、筐体2の表示面の面内方向に対して垂直方向の移動を検出してもよい。また、加速度センサーを複数設け、それらの加速度センサーの検出値を総合して筐体2の傾きを検出してもよい。
【0034】
さらに、上述した実施形態では、近接センサー5で検出された近接又は接触、衝撃検出部8で検出された衝撃、移動検出部9で検出された移動量や移動方向に基づく所定角度以上の傾きの三つの条件をすべて満たすときに、ロック機構13のロックが解除されるとしたが、本発明はこの例に限定されない。これら三つの条件のうち少なくとも二つを満たすとき、ロック機構13のロックが解除されるとしてもよい。
【0035】
例えば、衝撃検出部8で検出された衝撃と、移動検出部9で検出された移動量や移動方向に基づく所定角度以上の傾きの二つの条件を用いて、衝撃が生じた後の所定時間内に、所定角度以上の筐体2の傾きが検出されたと判断されたとき、閉じられているスタンド3を開放してもよい。この場合、ユーザーによって把持されている等のユーザーによる筐体2への近接又は接触が生じているか否かが不明であるが、テーブルなどの載置面に載置され、ユーザーが使用しやすい角度まで筐体2が傾けられたことをトリガーとして、スタンド3が開かれる。
【0036】
また、近接センサー5で検出された近接又は接触と、衝撃検出部8で検出された衝撃の二つの条件を用いて、近接センサー5において近接又は接触が検出され、かつ、衝撃検出部8において衝撃が検出されたとき、閉じられているスタンド3を開放してもよい。この場合、テーブルなどの載置面に載置された後、ユーザーが見やすい角度に傾けられた状況になっているかが不明であるが、筐体2が、ユーザーによって把持された状態で、テーブルなどの載置面に載置されたことをトリガーとして、スタンド3が開かれる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯情報端末15について説明する。
携帯情報端末15は、上述した第1実施形態のスタンド3(
図1参照)が設けられた筐体2を有するタブレット端末1に加えて、
図4に示すように、タブレット端末1とは別の筐体のキーボード16を備える。タブレット端末1は、キーボード16に対して、取り外したり、接続したりすることが可能である。すなわち、タブレット端末1は、単独でも使用可能であるし、キーボード16と接続して、キーボード16からの入力を行うこともできる。
【0038】
タブレット端末1の制御部7は、
図5に示すように、接続検出部17を更に有する。
接続検出部17は、タブレット端末1とキーボード16との接続状況を検出する。接続検出部17で得られる検出結果は、接続検出部17から判断部10へ送られる。接続検出部17で得られる検出結果は、タブレット端末1がキーボード16と接続されている状況と、接続されていない状況とを区別するための条件として用いられる。
【0039】
キーボード16には、加速度センサー18が内蔵される。加速度センサー18は、キーボード16に生じる加速度を検出する。加速度センサー18は、検出された加速度に関する信号をタブレット端末1の制御部7へ送信する。
【0040】
制御部7の移動検出部9は、上述した第1実施形態と同様に、タブレット端末1の加速度センサー6で検出されたZ軸方向の加速度に基づいて、筐体2の表示面の面内方向に対して垂直方向の移動を検出する。本実施形態では、移動検出部9は、さらに、キーボード16の加速度センサー18で検出された加速度に基づいて、キーボード16の移動又は静止状態を検出する。これら二つの検出結果は、キーボード16が載置面に置かれた状態でのキーボード16に対する筐体2の開閉状況と、キーボード16が載置面に置かれていない状態でのキーボード16に対する筐体2の開閉状況とを区別するための条件として用いられる。
【0041】
判断部10は、接続検出部17で得られた検出結果に基づいて、タブレット端末1がキーボード16と接続されているか否かを判断する。また、判断部10は、移動検出部9で得られた検出結果に基づいて、キーボード16に対して筐体2が開かれたか否かを判断する。
【0042】
そして、判断部10は、タブレット端末1がキーボード16と接続され、かつ、キーボード16が静止状態で、キーボード16に対して筐体2が開かれたと判断した場合、ロック制御部11へロック解除に関する信号を送信する。それ以外の場合、例えば、タブレット端末1がキーボード16と接続されていない場合、キーボード16が載置面に置かれておらず移動している場合、又は、キーボード16が載置面に置かれているが開かれていない場合には、判断部10は、ロック制御部11へロック解除に関する信号を送信しない。
【0043】
ロック制御部11は、判断部10から受信したロック解除に関する信号に基づいて、スタンド3を固定しているロック機構13のロックを解除させる。これにより、タブレット端末1がキーボード16と接続され、かつ、キーボード16が静止状態で、キーボード16に対して筐体2が開かれた場合、閉じられているスタンド3が開放される。
【0044】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る携帯情報端末15の動作について説明する。
まず、接続検出部17において、タブレット端末1がキーボード16と接続されているか否かが検出される(ステップS11)。タブレット端末1がキーボード16と接続されていない場合、例えばユーザーが歩きながら手に持っている等の載置面に載置されていない状況である可能性があるため、接続検出部17において、タブレット端末1がキーボード16と接続されているか否かを検出するステップ(S11)へ戻る。
【0045】
タブレット端末1がキーボード16と接続されていることが検出された場合、キーボード16が静止状態で維持されているか否かが判断される(ステップS12)。キーボード16が静止状態で維持されていない場合も、ユーザーが歩きながら手に持っている等の載置面に載置されていない状況である可能性があるため、接続検出部17において、タブレット端末1がキーボード16と接続されているか否かを検出するステップ(S11)へ戻る。
【0046】
キーボード16が静止状態で維持されていることが検出された場合、キーボード16に対して筐体2が開かれたか否かを検出する(ステップS13)。キーボード16に対して筐体2が開かれたことが検出された場合、ロック解除に関する信号が判断部10からロック制御部11へ送信され、ロック制御部11は、スタンド3を固定しているロック機構13のロックを解除させる(ステップS14)。
【0047】
一方、キーボード16に対して筐体2が開かれていない場合は、単に載置面に置かれただけ等のユーザーによって使用されるまでは到っていない状況である可能性があるため、接続検出部17において、タブレット端末1がキーボード16と接続されているか否かを検出するステップ(S11)へ戻る。
【0048】
タブレット端末1がキーボード16と接続され、かつ、キーボード16が静止状態で、キーボード16に対して筐体2が開かれたと判断した場合には、筐体2が載置面に載置された状況、及び、ユーザーが使用を開始しようとしている状況になっていると考えられる。そこで、本実施形態では、タブレット端末1がキーボード16と接続され、かつ、キーボード16が静止状態で、キーボード16に対して筐体2が開かれたと判断した場合、スタンド3を固定しているロック機構13のロックが解除される。その結果、閉じられているスタンド3が開放される。
【0049】
[ワンウェイヒンジ機構]
次に、本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末1に適用可能なワンウェイヒンジ機構20について説明する。
ワンウェイヒンジ機構20は、スタンド3に対して筐体2を任意の角度で固定し、筐体2が起立した状態を維持させる。また、ワンウェイヒンジ機構20は、筐体2が起立した状態から、スタンド3と筐体2とのなす角を小さくする方向に力が作用したとき、すなわち、筐体2を押したとき、トルクがかかり、筐体2が起立した状態から、スタンド3と筐体2とのなす角を大きくする方向に力が作用したとき、すなわち、筐体2を引いたとき、トルクがかからない。
【0050】
ワンウェイヒンジ機構20は、
図7に示すように、ねじりばね21と、第1ブラケット22と、第2ブラケット23と、第1嵌合部24と、第2嵌合部25と、圧縮ばね26と、トルクヒンジ27と、第3ブラケット28とを有する。
【0051】
第1ブラケット22は、スタンド3に固定される固定部29と、筐体2のX軸方向に設けられる軸部30とを有する。固定部29と軸部30と第1嵌合部24は、一体的に結合されており、第1嵌合部24は、第1ブラケット22に対して空転しない。第3ブラケット28は、筐体2に固定される固定部31と、筐体2のX軸方向に設けられる軸部32とを有する。固定部31と軸部32とトルクヒンジ27は、一体的に結合されており、トルクヒンジ27は、第3ブラケット28に対して空転しない。
【0052】
第1ブラケット22の軸部30は、第2ブラケット23によって、回転可能に支持される。第2ブラケット23は、筐体2に固定されている。ねじりばね21は、一端部がスタンド3側と接触し、他端部が筐体2側と接触している。圧縮ばね26は、一端部が第2嵌合部25と接触し、他端部がトルクヒンジ27と接触している。
【0053】
まず、筐体2とスタンド3が互いに離れる方向に動作する場合について説明する。筐体2とスタンド3が互いに離れる方向に動作する場合とは、(1)
図9に示すように、筐体2とスタンド3の固定が解除されて、スタンドが開かれるときと、(2)
図10に示すように、スタンド3が載置面に置かれていて、筐体2を引くように起こすときがある。いずれの場合も同じ挙動をとる。
【0054】
初めに、筐体2とスタンド3の固定が解除される((1)の場合)、又は、スタンド3が載置面に置かれていて、筐体2が起こされる((2)の場合)。このとき、
図11に示すように、ねじりばね21のばね力によって(スタンド3の角度によってはスタンド3の自重を加えた力によって)、スタンド3に対して、スタンド3が開く方向に力が作用する。その際、第1ブラケット22の軸部30と第1嵌合部24が一体的に回転する。
【0055】
その結果、
図12に示すように、第1嵌合部24の突起部が、第2嵌合部25の突起部と接触し、第2嵌合部25が押圧されて、圧縮ばね26が収縮する。
【0056】
さらに、第1ブラケット22の軸部30と第1嵌合部24が回転すると、
図13に示すように、第1嵌合部24の突起部が、第2嵌合部25の突起部を越えて、圧縮ばね26によって、第2嵌合部25が元の位置に戻る。
【0057】
この動作が繰り返し行われることによって、スタンド3は、トルクヒンジ27の摩擦力を受けることなく、スタンド3が自動的に開かれる。
【0058】
次に、筐体2とスタンド3が互いに近づく方向に動作する場合について説明する。筐体2とスタンド3が互いに近づく方向に動作する場合とは、(1)
図14に示すように、スタンド3が閉じられるときと、(2)
図15に示すように、スタンド3が載置面に置かれていて、筐体2を押すように倒すときがある。いずれの場合も同じ挙動をとる。
【0059】
初めに、筐体2とスタンド3が互いに近づけられる。このとき、
図16に示すように、第1ブラケット22の軸部30と第1嵌合部24が一体的に回転する。
【0060】
その結果、
図17に示すように、第1嵌合部24が、第2嵌合部25と接触し、第1嵌合部24の突起部と、第2嵌合部25の突起部とが互いに噛み合う。
【0061】
次に、
図18に示すように、第1嵌合部24の突起部と、第2嵌合部25の突起部とが互いに噛み合ったまま、第1ブラケット22の軸部30と第1嵌合部24が回転するとき、トルクヒンジ27は、圧縮ばね26から押圧力を受けて、トルクヒンジ27に対して回転方向の力が作用する。トルクヒンジ27の摩擦力が、トルクヒンジ27に作用する回転方向の力よりも大きいときは、スタンド3は閉じずに、スタンド3と筐体2の角度が維持される。一方、トルクヒンジ27に作用する回転方向の力が、トルクヒンジ27の摩擦力よりも大きくなったときは、スタンド3と筐体2の角度が小さくなり、スタンド3が閉ざされる。
【0062】
これにより、所定以上の力を筐体2とスタンド3にかけることで、スタンド3を閉じることができる。一方、所定の力よりも小さい力が筐体2とスタンド3にかかっているとき、例えば、スタンド3が載置面に置かれていて、筐体2の表示面に対して指を接触する程度の力が作用しているときは、筐体2が起立した状態を維持させて、筐体2が倒れないようにすることができる。
【0063】
[スタンドの自動開放機構]
次に、本発明の第1及び第2実施形態に係るタブレット端末1に適用可能なスタンド3の自動開放機構40について説明する。
自動開放機構40は、テーブルなどの載置面に筐体2が置かれたとき、機械的な構造によって、自動的にスタンド3を開放する。例えば、上述したロック機構13とは別に、自動開放機構40を備えて、両方のロックが解除されることで、スタンド3が開放されるようにしてもよい。
【0064】
自動開放機構40は、
図7及び
図8に示すように、例えば、第1スライダ41と、第1ばね部42と、第2スライダ43と、第2ばね部44などを備える。
【0065】
第1スライダ41は、筐体2のX軸方向に設けられる棒状部材であり、一端部側にて第1ばね部42から押圧力を受ける。第1スライダ41は、X軸方向に移動可能である。第1スライダ41の他端部側は、第2スライダ43と接触する。
【0066】
第2スライダ43は、筐体2のY軸方向に設けられる棒状部材であり、上端部側にて第2ばね部44から押圧力を受ける。第2スライダ43は、Y軸方向に移動可能である。第2スライダ43の下端部は、
図19に示すように、筐体2の外周面から突出しており、
図22に示すように、テーブルなどの載置面に載置されて、上方向の力が第2スライダ43に作用したとき、
図23に示すように、第2スライダ43は上方向に移動する。第2スライダ43の側面には、第1スライダ41側に突出した突起部46が形成されている。
【0067】
第1スライダ41の内側には、溝45が、第1スライダ41の長手方向に沿って形成される。溝45には、
図20及び
図21に示すように、スタンド3に設置された係合部12が挿入され、係合部12は溝45の一端部で第1スライダ41と係合される。
図23及び
図24に示すように、第1スライダ41が第2スライダ43の突起部46によって押圧されて、第1スライダ41がX軸方向に移動することで、係合部12と第1スライダ41との係合が解除される。これにより、
図25から
図27に示すように、閉じられていたスタンド3が開放される。
【0068】
図19から
図21は、スタンド3が閉じられており、係合部12が、溝45の一端部で第1スライダ41と係合している状態を示す。その後、
図22から
図24に示すように、筐体2の背面側が下になるようにして、筐体2が傾けられたとき、載置面から第2スライダ43に上方向の力が作用し、第2スライダ43が上方向へ移動する。このとき、第1スライダ41が第2スライダ43の突起部46によって押圧されて、第1スライダ41がX軸方向に移動する。なお、突起部46は、上向きの斜面を有し、突起部46と接触する第1スライダの端部は、下向きの斜面を有する。
【0069】
第1スライダ41がX軸方向に移動することで、
図24に示すように、溝45が、係合部12と係り合わない位置まで移動する。その結果、係合部12と第1スライダ41との係合が解除されて、
図25から
図27に示すように、閉じられていたスタンド3が開放される。
【0070】
第2スライダ43の上方向の移動量と、係合部12と第1スライダ41との係合が解除される第1スライダ41の移動量との関係を調整することで、筐体2が所定角度以上に傾けられたとき、スタンド3が開放されるように設定することができる。