【解決手段】装用可能な触覚対応型の装置100は、アクチュエータ102と、コントローラ104と、入力装置106と、を有する。コントローラ104が、アクチュエータ102及び入力装置106に電気的に接続されている。コントローラ104は、動作及び触覚駆動信号をアクチュエータ102に選択的に送信し、且つ、入力装置106から入力信号を受信した際に触覚駆動信号を生成するように、構成されている。触覚駆動信号は、具体的にはメッセージを表現している。装用可能物品を通じて触覚フィードバックを供給する方法は、非触覚駆動信号を選択的に生成し、且つ、非触覚駆動信号をアクチュエータ102に印加するステップと、触覚駆動信号を選択的に生成し、且つ、触覚駆動信号をアクチュエータ102に印加するステップと、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照し、様々な実施形態について詳細に説明することとするが、添付図面においては、同一の参照符号は、いくつかの図の全体を通じて、同一の部分又は組立体を表している。様々な実施形態に対する参照は、添付の請求項の範囲を限定するものではない。更には、本明細書において記述されているすべての例は、限定を目的としたものではなく、且つ、添付の請求項の多数の可能な実施形態のうちのいくつかを記述したものに過ぎない。
【0010】
又、適宜、単数形において使用されている用語は、複数形をも含んでおり、且つ、逆も又真である。本明細書における「1つの(a)」の使用は、そうではない旨が記述されていない限り、或いは、「1つ又は複数の(one or more)」の使用が明らかに不適切でない限り、「1つ又は複数の」を意味している。「又は(or)」の使用は、そうではない旨が記述されていない限り、「及び/又は(and/or)」を意味している。「有する(comprise)」「有する(comprises)」、「有する(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」の使用は、相互交換可能であり、且つ、限定を意図したものではない。又、「などの(such as)」という用語も、限定を意図したものではない。例えば、「含む(including)」という用語は、「限定を伴うことなしに含む(including, but not limited to)」を意味している。
【0011】
要すれば、本特許文献は、人間によって装用可能な物品に関し、この場合に、物品は、非触覚動作及び触覚動作を実行するアクチュエータを有する。
【0012】
まず、
図1を参照すれば、装用可能物品100は、アクチュエータ102と、コントローラ104と、入力装置106と、を有する。装用可能物品100は、人間によって装用可能な任意のタイプの物であってもよい。装用可能物品100の例は、衣服、履物、人工四肢などの人工装具、帽子及びヘルメットなどの被り物、身体上において装用される競技用具、防弾チョッキ、ヘルメット、及びその他の胴体防護具などの保護用具、眼鏡、ネクタイ及びスカーフなどのアクセサリ、ベルト及びサスペンダ、ブレスレット、ネックレス、及び腕時計などの宝石類、並びに、身体上において装用されうるこれら以外の任意のものを含む。
【0013】
アクチュエータ102は、装用可能物品に対して動作を実行するべく運動を開始する任意の制御されたメカニズム又はその他の構造であってもよい。アクチュエータ102によって実行される動作の例は、装用可能物品100を人体に固定するステップ、装用可能物品100のフィット状態を調節するステップ、又は物品100に対して任意のその他の動作を実行するステップと、を含む。様々な実施形態は、単一のアクチュエータ又は2つ以上のアクチュエータを含むことができる。
【0014】
入力装置106は、信号をコントローラ104に入力する任意の装置である。入力装置106の例は、スイッチなどの制御装置である。入力装置106の別の例は、信号をコントローラ104に入力するトランスデューサである。入力装置106として使用されうるトランスデューサの例は、アンテナ及びセンサを含む。様々な実施形態は、単一の入力装置を含むことも可能であり、或いは、2つ以上の入力装置を含むこともできる。更には、様々な実施形態は、異なるタイプの入力装置を含むこともできる。例えば、少なくともいくつかの可能な実施形態は、スイッチと、アンテナ又はセンサなどのトランスデューサと、を含む。
【0015】
コントローラ104は、入力装置106からの信号又はデータの受信に基づいてアクチュエータ102の動作を制御する任意のタイプの回路である。データは、プロセッサ、プログラムモジュール、及び本明細書において開示されているその他のハードウェアによって処理される任意のタイプのパラメータ、命令、フラグ、又はその他の情報であってよい。
【0016】
動作の際に、コントローラ104及びアクチュエータ102は、非触覚動作を有する。このような動作の例は、装用可能物品100を人間の上部において閉鎖又は固定するように留め具を動作させるステップ又は装用可能物品100のフィット状態を調節するステップを含む。動作は、スイッチなどの入力装置106を動作させることによって実行される。アクチュエータ102の非触覚動作は、触感を人間に対して生成する場合もあるが、キュー、通知、又はその他の情報などの特定のメッセージを伝達するべく意図されてはいない。
【0017】
又、コントローラ104及びアクチュエータ102は、触覚動作をも有する。このような動作においては、入力装置106は、刺激され、且つ、信号をコントローラ104に入力する。これに応答して、コントローラ104は、物品100を装用している人物に触覚フィードバックを提供するように、アクチュエータ102を動作させる。触覚フィードバックは、通常、具体的には、物品100を装用している人物に対するメッセージを表現している。メッセージは、通知であってもよく、或いは、その他のタイプの相対的に複雑な情報を含むこともできる。アクチュエータ102の触覚動作は、非触覚動作から弁別可能であるようなものであってよい。例えば、自動ベルトは、本明細書において更に詳述するように、非触覚動作においては、相対的に低速のレートにおいて、自動的に締められうる。次いで、ベルトは、触覚動作において、相対的に迅速なレートにおいて、或いは、特定の運動パターンに従って、締められうる。
【0018】
触覚効果は、人間に供給される任意のタイプの触感であってよい。触覚効果は、具体的には、キュー、通知、又は相対的に複雑な情報などのメッセージを表現している。
【0019】
図2は、
図1に示されている装用可能物品に実質的に類似した装用可能物品100の代替実施形態を示しており、且つ、こちらも、入力装置106と、コントローラ100と、アクチュエータ102と、を含む。
【0020】
又、本実施形態における装用可能物品100は、識別情報を保存するRFIDタグ108をも含む。RFIDタグ108上におい保存されうる識別情報の例は、装用可能物品100を装用している人物、装用可能物品100のタイプ、RFIDタグを含む特定の装用可能物品、装用可能物品100上において含まれているアクチュエータ102のタイプを識別する情報、或いは、任意のその他の情報を含む。
【0021】
本実施形態においては、装用可能物品100は、具体的には、触覚メッセージと関連するデータを表現している信号を受信するためのアンテナである少なくとも1つの入力装置106を含む。
【0022】
図2に示されている実施形態は、RFID読取器とリモート装置の間の通信を提供するネットワークを有する環境における使用を含む多数の用途を有する。動作の際に、人間は、RFIDタグ108を検出すると共に識別情報を読み取るRFID読取器の近傍に移動し、その結果、読み取られた識別情報がリモート装置に送信される。識別情報の受信に応答して、リモート装置は、触覚効果と関連するデータを装用可能物品100に対して供給するかどうかを判定する。計算装置が、データを送信するように判定した場合には、信号が、生成され、且つ、アンテナに送信される。アンテナは、信号を受信し、信号は、コントローラ104によって処理される。次いで、コントローラは、触覚メッセージを供給するように、アクチュエータ102を制御する。
【0023】
その他の実施形態は、コントローラ104とリモート装置又はネットワークの間において通信するべく、RFIDタグ及び読取器以外のハードウェア、ソフトウェア、及びシステムを使用している環境において使用することができる。例えば、装用可能物品100は、コントローラ104とのデータ通信状態にあるBluetooth(登録商標)トランシーバを有することができよう。Bluetooth(登録商標)レシーバは、リモート装置との通信状態にあるBluetooth(登録商標)ビーコンによるデータ通信又は存在検知を提供することができよう。この例においては、Bluetooth(登録商標)ビーコンは、Bluetooth(登録商標)レシーバによって受信されると共にコントローラ104によって処理される触覚メッセージ又はその他のデータを定期的にブロードキャストすることができよう。別の例においては、カメラ又はその他の撮像装置が、リモート装置とのデータ通信状態にあってもよく、且つ、人物の顔面又は特定の衣料品の画像をリモート装置に提供することができよう。リモート装置が人物の顔面又は衣料品を認識した場合に、リモート装置は、触覚メッセージ又はその他のデータがコントローラに送信されるべきかどうかを判定すると共に触覚メッセージ又はデータをコントローラ104に送信することが可能であり、その結果、コントローラ104が、触覚メッセージ又はデータを処理することになろう。
【0024】
図3は、
図1に示されている装用可能物品100の可能な実施形態の更に詳細なブロックダイアグラムを示している。
【0025】
この実施形態においては、装用可能物品100は、アクチュエータ102と、コントローラ104と、を含む。2つの入力装置が、コントローラとの電気的通信状態にあり、且つ、非触覚制御装置110と、センサ112と、を含む。アクチュエータ駆動回路114が、コントローラ104及びアクチュエータ102との電気的通信状態にある。
【0026】
アクチュエータ102は、動きを生成する任意の装置であってもよい。アクチュエータの例は、モーターなどのメカニズム、ソレノイドなどのリニアアクチュエータ、磁気又は電磁気メカニズム、並びに、形状記憶合金、圧電材料、電気活性ポリマー、及びスマート流体を含む材料などのスマートマテリアルを含む。
【0027】
非触覚制御装置110は、非触覚動作の実行を起動する入力装置である。非触覚制御装置110の一例は、人間が手動で作動させるスイッチである。別の例は、特定の状態において自動的に実行されるスイッチを含む。非触覚制御装置の更に別の例は、検出された状態と関連する命令又はセンサ出力を伝達する信号を受信するアンテナを含む。スイッチは、回路内の接続を実施、切断、又は変更する任意のメカニズムであってもよい。
【0028】
センサ112は、刺激の受信に応答して信号を出力する任意の機器又はその他の装置であってもよい。センサ112は、コントローラ104に有線接続することも可能であり、或いは、無線でコントローラ104に接続することもできる。センサ112は、アクチュエータ102又は装用可能物品100の非触覚動作、アクチュエータ102又は装用可能物品100の触覚動作、又は装用可能物品100の物理的状態、環境状態、又はその他の人間又は物体の存在などの様々な異なる状態、イベント、及び物を検出又は検知するべく、使用することができる。
【0029】
センサ112の例は、マイクロフォンなどの音響又はサウンドセンサ、振動センサ、酒気検知器、一酸化炭素及び二酸化炭素センサ、及びガイガーカウンタなどの化学及び粒子センサ、電圧検出器又はホール効果センサなどの電気及び磁気センサ、フローセンサ、GPS受信機、高度計、ジャイロスコープ、又は加速度計などのナビゲーションセンサ又は機器、圧電材料、測距器、走行距離計、速度計、衝撃検出器などの位置、近接性、及び運動に関係したセンサ、電荷結合装置(CCD:Charge−Coupled Device)、CMOSセンサ、赤外線センサ、及び光検出器などの撮像及びその他の光学センサ、ピエゾメータ、及び触覚センサ、圧電センサ及びひずみゲージなどの力センサ、温度計、熱量計、サーミスタ、熱電対、及びパイロメータなどの温度及び熱センサ、動き検出器、三角測量センサ、レーダー、光電セル、ソナー、及びホール効果センサなどの近接性及び存在センサ、バイオチップ、血圧センサ、脈拍/Oxセンサ、血糖センサなどの生体計測センサ、及び心臓モニタを含む。更には、センサ112は、いくつかの実施形態においては、センサ及びアクチュエータの両方として機能する、圧電ポリマーなどの、スマートマテリアルによって形成することもできる。更なるセンサについては、2014年2月25日付で発行された「Interactivity model for shared feedback on mobile devices」という名称の米国特許第8,659,571号明細書に開示されており、この特許文献の開示は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0030】
アンテナ又はセンサを含む装用可能物品100により、コントローラ104は、物品100がなんらかの装用エリアを有するかどうか、物品100上の留め具の状態、又は物品100の人間上の位置決めなどの、物品100の非触覚動作、触覚動作、及び状態を含む装用可能物品100の動作又は状態に関する入力又はフィードバックを受信することができる。コントローラ104は、信号、情報、又はデータ入力を処理することが可能であり、且つ、次いで、装用可能物品100の動作又は状態に関係した触覚メッセージを供給するように、アクチュエータ102を制御することができる。又、コントローラ104は、装用可能物品100自体の動作又は状態以外の状態、側面、及び物に関係した入力又はフィードバックを受信することもできる。例えば、コントローラは、装用可能物品100が曝露されている又は露出されうる環境状態に関する情報、装用可能物品100を装用している人物の行為又は運動に関する情報、及びセンサ112によって検知されうる又はその他の方法でコントローラ104に供給されうる任意のその他の情報を受信することができる。
【0031】
アクチュエータ駆動回路114は、コントローラ104から触覚信号を受信する回路である。触覚信号は、具体的には、触覚データを表現しており、且つ、触覚データは、触覚駆動信号を生成するべくアクチュエータ制御回路114が使用するパラメータを定義している。触覚データによって定義されうるパラメータの例は、イベントとの関係における周波数、振幅、位相、反転、持続時間、波形、動作開始時間、立ち上がり時間、フェード時間、及び遅延又は先行時間を含む。触覚駆動信号は、アクチュエータ102に印加される。
【0032】
コントローラ104は、バス116と、プロセッサ118と、入出力(I/O)コントローラ120と、メモリ122と、を有する。バス116は、プロセッサ118、メモリ122、及びI/Oコントローラ120を含むコントローラ104内のコンポーネントの間においてデータを転送するための経路を提供するための導体又は送信ラインを含む。バス116は、通常、制御バス、アドレスバス、及びデータバスを有する。但し、バス116は、コントローラ104内のコンポーネントの間においてデータを転送するのに適した任意のバス又はバスの組合せであってもよい。
【0033】
I/Oコントローラ120は、コントローラ103並びに非触覚制御装置110、センサ112、及びアクチュエータ駆動回路114などの周辺又は外部装置の動作を監視する回路である。又、I/Oコントローラ120は、コントローラ104と周辺装置の間のデータフローを管理し、これにより、周辺装置の監視及び制御と関連した詳細から、プロセッサ118を解放している。I/Oコントローラ120がインターフェイスしうるその他の周辺又は外部装置の例は、外部ストレージ装置、モニタ、キーボード、ポインティング装置などの入力装置、外部計算装置、アンテナ、人間によって装用されたその他の物品、及び任意のその他のリモート装置を含む。
【0034】
プロセッサ118は、情報を処理するように構成された任意の回路であってもよく、且つ、任意の適切なアナログ又はデジタル回路を含むことができる。又、プロセッサ118は、命令を実行するプログラム可能な回路を含むこともできる。プログラム可能な回路の例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラム可能なゲートアレイ(PLA)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、又は命令を実行するのに適した任意のその他のプロセッサ又はハードウェアを含む。様々な実施形態においては、プロセッサ118は、単一のユニットであってもよく、或いは、2つ以上のユニットの組合せであってもよい。プロセッサ118が2つ以上のユニットを含む場合には、これらのユニットは、物理的に、単一のコントローラ内に、或いは、別個の複数の装置内に、配置することができる。
【0035】
メモリ122は、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)などの揮発性メモリ、読み出し専用メモリ(ROM:Read−Only Memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光メモリ、又は任意のその他の適切なメモリ技術を含むことができる。又、メモリ122は、揮発性及び不揮発性メモリの組合せを含むこともできる。
【0036】
メモリ122は、イベント検出モジュール124、触覚判定モジュール126、登録モジュール128、通信モジュール130、非触覚制御モジュール132、及び触覚制御モジュール134を含むプロセッサ118による実行用のいくつかのプログラムモジュールを保存することができる。それぞれのモジュールは、1つ又は複数の特定のタスクを実行するデータ、ルーチン、オブジェクト、呼出し、及びその他の命令の集合体である。本明細書には、特定のモジュールが開示されているが、本明細書において記述されている様々な命令及びタスクは、単一のモジュール、モジュールの異なる組合せ、本明細書において開示されているもの以外のモジュール、或いは、コントローラ104との通信状態にあるリモート装置によって実行されるモジュールにより、実行することができる。
【0037】
イベント検出モジュール124は、センサ112、アンテナ、又はリモート装置からデータを受信するようにプログラムされている。データを受信した際に、イベント検出モジュール124は、触覚効果と関連するイベント、状態、又は動作状態が存在しているかどうかを判定する。
【0038】
触覚効果と関連するイベントを識別した際に、触覚判定モジュール126は、アクチュエータ102を通じて供給するべき触覚効果を判定するために、センサ112、アンテナ、又はリモート装置から受信されたデータを分析する。触覚効果を判定するべく触覚判定モジュール126が使用しうる例示用の技法は、触覚効果を選択するべく決定を下すようにプログラムされた規則を含む。別の例は、触覚効果をセンサ又はアンテナから受信されたデータに関係付けるルックアップテーブル又はデータベースを含む。
【0039】
触覚制御モジュール134は、触覚判定モジュール126が、アクチュエータ102に供給するべき触覚効果を識別した際に、触覚信号を生成する。触覚制御モジュール134は、触覚データを受信し、且つ、触覚信号を生成する。触覚制御モジュール134は、触覚信号をアクチュエータ駆動回路114に送信し、その結果、アクチュエータ駆動回路114が触覚駆動信号を生成する。触覚駆動信号は、具体的には、物品100を装用している人物に伝達されるべきメッセージを表現している。
【0040】
非触覚制御装置110が作動した際に、I/Oコントローラ120は、非触覚動作データをコントローラ104に入力する。非触覚制御モジュール132は、非触覚動作データを受信すると共に非触覚動作信号を生成し、この非触覚動作信号がアクチュエータ駆動回路114に入力される。次いで、アクチュエータ駆動回路114は、非触覚駆動信号を生成し、且つ、非触覚駆動信号をアクチュエータ102に印加する。又、様々な実施形態においては、非触覚制御装置及びI/Oコントローラ120は、単純なオン又はオフ命令を通知するフラグなどの2値情報をコントローラ104に入力することもできる。或いは、この代わりに、非触覚制御装置110及びI/Oコントローラ120は、アクチュエータ102の相対的に複雑な制御を処理及び提供するべく、非触覚制御モジュール132用の相対的に複雑な命令を通知する相対的に複雑な情報を入力することもできる。
【0041】
登録モジュール128は、装置情報、コンテキスト情報、又はシステム機能のために使用されるその他のデータなどの登録データを受信及び処理している。装置情報は、アドレスなどの識別データ、或いは、装用可能物品100、装用可能物品100のタイプ、装用可能物品100内において含まれているハードウェアのタイプ、物品100を装用している人物、又は物品100が属している人物を識別しうるその他のデータを含んでもよい。又、識別情報は、装用可能物品100上において含まれているハードウェアの能力(例えば、装置が、触覚フィードバックを提供する能力を有しているか、デジタルコンテンツを保存する能力を有しているか、ユーザー入力を受信する能力を有しているかなど)を識別することもできる。アドレスの例は、メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)アドレス、ユニフォームリソースロケータ(URL:Uniform Resource Locator)、又はその他のネットワークアドレスを含む。又、アドレスデータは、デジタルコンテンツを転送するべく通信チャネルが確立されうる場所を識別するポート情報及び/又はその他の装置情報を含むこともできる。代替実施形態においては、登録データは、RFIDタグ108上において保存することができる。
【0042】
装用可能物品100に関する識別データを登録することにより、且つ、本明細書において更に詳細に記述されているように、リモート装置は、触覚データ命令などのデータを装用可能物品100との間において転送することができるように、装用可能物品100について通知されてもよい。
【0043】
装用可能物品の登録及びこれらとの間におけるデータの通信については、2013年12月13日付けで出願された「METHOD AND APPARATUS OF BODY−MEDIATED DIGITAL CONTENT TRANSFER AND HAPTIC FEEDBACK」という名称の米国特許出願第14/106,275号明細書に詳細に記述されており、この特許文献の開示は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0044】
通信モジュール130は、コントローラ104とリモート装置の間における通信を促進している。リモート装置の例は、計算装置、センサ、その他の装用可能物品、運動器具、及びスマート家電を含む。計算装置の例は、サーバー、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ホームオートメーションコンピュータ及びコントローラ、並びに、プログラム可能な任意のその他の装置を含む。通信は、無線又は有線通信信号又はデータ経路上における通信を含むデータ通信に適した任意の形態を有することができる。様々な実施形態においては、通信モジュールは、装用可能物品又はその他のリモート装置の中央集中コントローラとして、その他の装用可能物品又はその他のリモート装置と通信するピアとして、或いは、コントローラが、いくつかの状況においては、中央集中コントローラとして、且つ、その他の状況においては、ピアとして、機能しうるように、ハイブリッド型の中央集中コントローラ及びピアとして、コントローラ104を構成してもよい。
【0045】
プログラムモジュールの代替実施形態が可能である。例えば、いくつかの代替実施形態は、イベント検出モジュール124、触覚判定モジュール126、登録モジュール128、通信モジュール130、非触覚制御モジュール132、及び触覚制御モジュール134よりも多くの又は少ない数のプログラムモジュールを有しうるであろう。例えば、コントローラ104は、単一の触覚効果のみを供給するように構成することができる。このような実施形態は、触覚判定モジュール126を有していなくてもよく、且つ、イベント検出モジュール124又はなんらかのその他のモジュールが、触覚制御モジュール134が触覚データを触覚制御モジュール134に送信するようにさせることになろう。その他の代替実施形態においては、イベント検出モジュール124が存在しておらず、且つ、コントローラ104がセンサ112から入力を受信した際に、触覚制御モジュール134が触覚信号をアクチュエータ制御回路114に送信している。
【0046】
いくつかの可能な実施形態においては、プログラムモジュールのうちの1つ又は複数は、リモート計算装置又はその他の装用可能物品などのリモート装置内に位置している。例えば、イベント判定モジュール124は、リモート計算装置内に配置することが可能であり、リモート計算装置は、触覚効果のライブラリ及び触覚効果を供給する時点を定義した規則をも保存している。このような実施形態においては、コントローラ104は、触覚効果がアクチュエータ102を通じて供給されるべきであるとイベント検出モジュール124が判定した際に、データをリモート装置に伝達している。このデータは、コントローラ104がセンサ112から入力を受信したことを通知するフラグと同程度の単純なものであってもよく、或いは、センサ112によって通知された状態のタイプを識別したものや入力信号が受信されたセンサ112のタイプを識別したものなどのように、相対的に複雑なものであってもよいであろう。リモート装置上の触覚判定モジュール126は、データ及び命令を処理し、マッチングした触覚データをメモリ122から取得し、且つ、次いで、アクチュエータ102を通じて触覚効果を処理及び生成するべく、触覚データをコントローラ104に送信することになる。又、更にその他の可能な実施形態においては、イベント検出モジュール124は、リモート装置内に配置されており、このケースにおいては、コントローラ104は、センサ112から入力を受信した際に、データをリモート装置に伝達している。
【0047】
図4に示されている装用可能物品100は、
図3に示されている装用可能物品に実質的に類似しており、且つ、コントローラ104と、非触覚制御装置110と、センサ112と、アクチュエータ駆動回路114と、アクチュエータ102と、を含む。これに加えて、コントローラ104は、ネットワークインターフェイスコントローラ(NIC:Network Interface Controller)106を含む。アンテナ138は、NIC136との電気的通信状態にあり、且つ、コントローラ104とリモート装置の間の無線通信を提供する。通信モジュール130は、アンテナ138を通じて受信された信号内において具体的に表現されている処理データと、アンテナ138を通じてリモード装置に送信されるべき準備データと、を含むアンテナ138を通じた通信を制御するようにプログラムされている。通信は、Bluetooth(登録商標)、セルラー規格(例えば、CDMA、GPRS、GSM(登録商標)、2.5G、3G、3.5G、4G)、WiGig、IEEE802.11a/b/g/n/ac、IEEE802.16(例えば、WiMax)などの規格を含む任意の無線送信技法によるものであってもよい。
【0048】
又、NIC136は、データを送信するための任意の適切なポート及びコネクタを使用することにより、且つ、RS232、USB、FireWire、Ethernet(登録商標)、MIDI、eSATA、又はthunderboltなどの任意の適切な規格に従って、有線接続を通じたコントローラ104とリモート装置の間における有線通信を提供することもできる。
【0049】
次に
図5及び本開示の別の場所における記述内容を参照すれば、装用可能物品100は、ネットワーク140及びリモート装置内において動作することが可能であり、且つ、これらのとの間において通信することもできる。リモート装置の例は、計算装置142、センサ144、RFID読取器146、並びに、その他の装用可能物品、運動器具、スマート家電、及びその他の装置などのその他の接続された装置を含む。その他の実施形態においては、ネットワーク140は、リモート装置の異なる組合せ及び本明細書において開示されているもの以外のリモート装置との間におけるデータ通信を提供している。
【0050】
ネットワーク140は、建物、自動車又はその他の車両、又は屋外の定義されたエリア内などのような、装用可能物品100が装用されることになる環境141において動作している。これに加えて、様々な実施形態においては、ネットワーク140は、パブリックネットワーク、プライベートネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネットなどのワイドエリアネットワーク、或いは、これらのなんらかの組合せである。
【0051】
様々な実施形態においては、計算装置142は、装用可能物品100上のコントローラ104と通信している。このような実施形態においては、計算装置142は、データを処理するべくプログラムモジュールを実行し、且つ、データをコントローラ104に伝達している。例えば、計算装置142は、センサ112から入力を受信し、センサ112は、装用可能物品100内に存在していてもよく、或いは、装用可能物品100からリモート状態にあってもよいであろう。次いで、計算装置142は、センサデータを装用可能物品100内のコントローラ104に伝達する。別の例においては、計算装置142は、データを1つの装用可能装置から受信し、且つ、異なる装用可能物品の間における触覚効果の供給を調整するべく、このデータを別の装用可能装置内のコントローラに中継している。別の例においては、計算装置142は、スマート家電又は運動器具などのその他のリモート装置143からデータを受信し、且つ、このデータを装用可能物品内のコントローラに中継している。更に別の可能な実施形態においては、装用可能物品100内のコントローラ104は、センサの読取りなどのデータを計算装置142に伝達し、次いで、計算装置142は、触覚効果を供給するかどうか又は供給するべき触覚効果を判定している。次いで、計算装置142は、適切なデータをコントローラ104に返している。
【0052】
更に別の可能な例においては、RFID読取器146又はなんらかのその他のセンサは、RFIDタグ108の存在及び装用可能物品100の存在を検出し、且つ、その存在を計算装置142に伝達している。RFID読取器146は、RFIDタグ108から識別データを取得すると共に取得した識別データを計算装置142に伝達し、次いで、計算装置142は、このデータを処理し、且つ、このデータを装用可能物品100内のコントローラに伝達するかどうかを判定している。計算装置142は、触覚判定モジュール126を実行してもよいであろう。触覚判定モジュール126が、触覚効果を供給するように判定した場合には、計算装置142は、触覚効果と関連するデータを装用可能物品100のコントローラ104に伝達してもよく、次いで、コントローラ104は、触覚効果をアクチュエータ102を通じて供給する。触覚効果を供給するかどうかの判定は、RFIDタグ108から取得された識別データ、又はRFIDタグ108から取得された識別データの組合せ、並びに、センサ112からの入力などの更なるデータ又は第三者供給源から受信された天気予報などのデータを含む様々な要因に基づいたものであってもよい。
【0053】
これに加えて、様々な実施形態においては、触覚効果を定義すると共に触覚駆動信号用のパラメータを定義する触覚データは、計算装置142によって判定することができる。1つの利用可能な触覚効果しか存在していない場合には、計算装置142は、触覚効果と関連するイベントが発生したことを判定した際に、触覚データを取得する。計算装置142は、処理のために、この触覚データを装用可能物品100内のコントローラ104に伝達する。或いは、この代わりに、計算装置142は、識別データに対応した触覚効果を識別するべく、触覚判定モジュール126を実行する。
【0054】
例示用の用途においては、
図6に示されている靴に類似すると共に更に詳細に後述される作動型の履物を装用した人物が屋内から屋外に歩き始めた際に、人物は、ドアの近傍において位置決めされたRFID読取器146のそばを通過することになる。RFID読取器146は、作動型の靴の存在を検出することになり、且つ、この存在を計算装置142に伝達することになる。計算装置142が、雨などの悪天候が存在しているという情報を受信した場合には、計算装置142は、触覚効果と関連していると共に、人物が長靴に変更し、且つ、傘を把持するか、又はレインコートを着用するべきであることを通知するメッセージと関連するデータを送信することになる。
【0055】
別の例においては、減量を試みている人物が、自動ベルトなどの作動型の物品100を装用している。人物が、RFID読取器146又はその他の近接検出器を装備した冷蔵庫に接近した場合に、RFID読取器146又はその他の近接検出器は、作動型のベルトの存在を検出し、且つ、この存在を計算装置142に伝達する。次いで、計算装置142は、データをコントローラ104に送信し、コントローラ104は、ベルト上に位置している。送信されたデータは、触覚効果と、自身が選択した食物に注意するように人物に対して助言するメッセージと、に関連している。
【0056】
更に別の例においては、ネクタイなどの作動型の物品100を装用している人物が、会合に参加しているか、又は静かなエリア内に位置しており、且つ、自身のスマートフォン上において通話を受信している。電話機は、作動型の物品100を認知しており、且つ、その通話が緊急事態であると判定する。その結果、電話機は、触覚効果並びにその通話が重要であると共に可能な限り早期に対応する必要があるというメッセージと関連付けられた信号を作動型の物品100に対して送信する。この例においては、ネクタイは、スマートマテリアルを有しており、スマートマテリアルは、ネクタイが、一時的に、又は緊急事態通話が接続される時点まで、締まるようにする。
【0057】
別の例においては、ビデオ又は映画用の触覚トラックを装用可能物品100を通じて再生することができる。この例においては、映画内において提示されるイベント又は感情との間において、アクチュエータ102の動作を調整することができる。映画内の爆発との間において、突然に又は反復的に締まる又は緩むアクチュエータ102の動作を調整することが可能であり、或いは、アクチュエータは、特に緊張したシーンにおいて、装用可能物品を締めることができよう。同様に、キャラクタが戦闘型のゲームにおいて撃たれたり、レーシングゲームにおいてクラッシュが発生したり、或いは、スポーツゲームにおいて衝突が発生した際などのビデオゲーム内のイベント及び感情との間において、装用可能物品内のアクチュエータ102の動作を調整することもできる。
【0058】
又、アクチュエータ102は、ユーザーがユーザーインターフェイスとやり取りしている際に、フィードバックを提供するように動作させることもできる。例えば、物理環境又は仮想現実に基づいたユーザーインターフェイスを含むコンピュータ、スマートフォン、ゲームコンソール用のユーザーインターフェイスとインターフェイスしている際に、ボタン、マウス又はペンなどのポインティング装置、又はその他のコントロール又はオブジェクトを使用した際に、触覚フィードバックを提供するべく、シャツのカフス、ベルト、ジッパー、又は衣服のその他の部分内のアクチュエータを振動又は運動させることができる。
【0059】
2013年12月13日付けで出願された「METHOD AND APPARATUS OF BODY−MEDIATED DIGITAL CONTENT TRANSFER AND HAPTIC FEEDBACK」という名称の米国特許出願第14/106,275号明細書に提供されている例を含む触覚対応型の衣服のその他の例及び用途も、同様に、可能であり、この特許文献の開示は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。米国特許出願第14/106,275号明細書に開示されているこのような1つの例においては、流れの感覚を供給するように、アクチュエータ102を動作させることができる。この例においては、人間が流れの感覚を感じるエリアを増大させるように、単一の装用可能物品100内の又は複数の装用可能物品内の異なるアクチュエータ102の動作を調整することができる。
【0060】
又、装用可能装置100の様々な実施形態は、リモート装置とは独立的に動作することもできる。例えば、靴、ベルト、ネクタイ、安全装置、又は医療機器は、処理のために信号をコントローラ104に入力する圧力センサを含むことができよう。コントローラは、装用可能物品が過剰に締まっているか又は緩んでいると判定した場合に、装用可能物品が過剰に締まっている又は緩んでいることを通知する触覚メッセージを供給するように、アクチュエータ102を制御することができよう。例えば、靴の内部において走者又はその他の人物の足が膨張することにより、靴を過剰に締め始めた場合には、アクチュエータ102は、靴を緩めるように人物に対して通知するための触覚メッセージを供給してもよいであろう。別の例においては、ヘルメットは、人物の頭部上における位置決め又は顎のストラップが固定されているかどうかを検出するべく、一連のセンサを有してもよいであろう。コントローラ104は、センサから入力を受信することが可能であり、且つ、ミスフィットが存在しているかどうかを判定することが可能であり、且つ、その結果、ミスフィットが存在している場合には、触覚メッセージを供給するようにアクチュエータ102を制御することができる。又、ヘルメットなどの装用可能物品は、ヘルメット材料内の亀裂などの構造的な障害を検出するように、センサを含むこともできよう。センサが、ヘルメット内の障害を通知する信号を入力した場合に、コントローラ104は、障害を通知する触覚メッセージを供給するように、アクチュエータ102を制御することができよう。
図6は、装用可能物品の可能な一実施形態を示している。この実施形態においては、装用可能物品は、自動紐150
a〜150
dを有する靴148である。靴148は、ソール152と、ソール152に接続された上部部分154と、靴紐又はストラップ150
a〜150
dと、自動紐締めシステム156と、を含む。ソール153は、空洞153を定義している。上部部分154は、上部部分154が膨張し、これにより、装用者の足を挿入するための余裕を生成できるようにするためのギャップを定義している。
【0061】
自動紐締めシステム156は、駆動シャフト160を有するモーター158と、駆動シャフト160上において取り付けられた第1及び第2プーリー162
a及び162
bと、を含む。モーター158、駆動シャフト160、及びプーリー162
a及び162
bは、空洞内において位置決めされている。又、自動紐締めシステム156は、スロット(図示されていない)内において位置決めされたヨーク164をも含み、スロットは、ソール152内において定義され、且つ、空洞153から、靴152の上部部分154に近接した位置まで延在している。第1及び第2ベルト168
a及び168
bは、それぞれ、第1及び第2プーリー162
a及び162
bに接続された一端を有する。ベルト168
a及び168
bは、スロットを通じて延在しており、且つ、ヨーク164に接続された反対側端部を有し、反対側端部も、スロット内において位置決めされている。
【0062】
ストラップ150
a〜150
bは、ギャップの1つの側部エッジの近傍において上部部分154に接続された第1端部を有する。そして、ストラップは、ギャップの上方において、上部部分154の反対側の側部に沿って、且つ、スロット166内に、延在している。ストラップ150
a〜150
dの反対側端部は、ヨーク164に接続されている。動作の際に、モーター158は、ベルト168
a及び168
bを引っ張る又は取り込むべく、プーリー162
a及び162
bを1つの方向において回転させ、その結果、ベルトは、プーリー162
a及び162
bに近接するように、ヨーク164を引っ張る。ヨーク164は、ストラップ150
a〜150
dを引っ張り、且つ、靴148を装用者の足に対して締める又は固定する。靴148を脱ぐには、モーター158が、駆動シャフト160及びプーリー162
a及び162
bを反対方向において回転させることになり、その結果、ストラップ150
a〜150
dが解放される又は緩む。
【0063】
コントローラ104は、ソール152内において位置決めされており、且つ、ソール152の表面上において位置決めされたモーター158及び非触覚制御装置110との電気的通信状態にある。この実施形態においては、非触覚制御装置110は、装用者が自身の足を挿入し、且つ、スイッチに圧力を印加した際に作動する圧力感知スイッチであり、圧力感知スイッチは、ストラップ150
a〜150
dがしっかりと締められる時点まで、コントローラ104がモーター158を駆動するようにする。又、圧力感知スイッチは、装用者が自身の踵を十分に引き上げた際に圧力感知スイッチに印加された力が既定の量だけ低減され、その結果、ストラップ150
a〜150
dが既定の量だけ緩められる時点までコントローラ104がモーター158を駆動させるように、作動する。本明細書において開示されている自己紐締め靴148は、その主要な事業場所をBeaverton, Oregonに有するNike, Inc.によって開発されたNike Air Magシューズに実質的に類似しており、且つ、更には、2014年7月8日付けで発行された「AUTOMATIC LACING SYSTEM」という名称の米国特許第8,769,844号明細書において開示されているシューズにも実質的に類似しており、この特許文献の開示は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0064】
これに加えて、センサ112が靴148内において取り付けられており、センサ112も、コントローラ104との電気的に通信状態にある。本明細書において更に詳細に説明するように、センサ112は、既定の状態を検知した際に信号をコントローラ104に入力する。センサ112から入力信号を受信した際に、且つ、実施形態に応じて、コントローラ104は、靴148を装用している人物に触覚効果を供給するかどうか及び供給するべき触覚効果を判定する。この旨の判定を下した際に、コントローラ104は、触覚信号を生成し、且つ、触覚信号をアクチュエータ駆動回路(
図6には、図示されていない)に伝達する。アクチュエータ駆動回路は、触覚駆動信号を生成し、且つ、判定された触覚効果に対応すると共に既定のメッセージを伝達する既定のパターンにおいてストラップ150
a〜150
dを運動させるように、触覚駆動信号をモーター158に印加する。
【0065】
既定のパターンは、靴148を装用している人物にメッセージを伝達しうる任意のパターンであってもよい。例えば、コントローラ104は、既定のインターバルに従って、或いは、変化するインターバルに従って、既定の回数にわたって、或いは、所定のパターンにおいて、ストラップ150
a〜150
dを反復的に緩めてもよいと共に、締めてもよいであろう。別の触覚効果は、靴148が、当初、人間の足に着用される際にストラップ159
a〜150
dに通常印加される張力とは異なるその長さに沿った長手方向の張力を有するように、ストラップ150
a〜150
dを締めると共に、緩めるというものであってもよいであろう。更に別の例においては、ストラップ150
a〜150
dの張力は、異なる張力のシーケンスを提供するように、変更されるか又は変化させられている。
【0066】
代替実施形態においては、コントローラ104は、センサ112に加えて、コントローラ104がリモート装置と通信できるように、アンテナ138を含むことができる。その他の実施形態においては、靴158内のコントローラ104は、アンテナ138を含んでいるが、センサは、含んでいない。又、靴158は、RFIDタグ108を含むこともできる。
【0067】
靴の別の代替実施形態は、足を受け入れるために、フラットであるか又は拡大された開口部を有する第1の形状と、人間の足の周りにおいて成形された第2の形状の間において折り畳まれるか又は遷移するオリガミ型構成を有するスマートマテリアルを有する。人間が靴に足を挿入した際に、センサは、人間の足を検出し、且つ、コントローラに信号を入力する。その結果、コントローラは、第1形状から、人間の足の周りにおいて成形された第2形状に折れ曲がるように、スマートマテリアルを制御する。又、この実施形態においては、スマートマテリアルは、電流又は電界などの外部力が印加された際に振動することができる。ある実施形態においては、スマートマテリアルは、触覚アクチュエータ及び留め具として機能している。その他の実施形態においては、スマートマテリアルは、足の力を検出した際に信号を出力するセンサとして機能しており、且つ、従って、触覚アクチュエータ、留め具、及びセンサとして機能している。
【0068】
図7は、装用可能物品100に含まれうる自動ジッパー172を示している。ジッパー172は、両側のチェーン174
a及び174
bを含み、且つ、それぞれのチェーンは、それぞれ、1つのチェーンの歯が、反対側のチェーンの歯との関係において、オフセットされ、且つ、これと選択的に噛合するように、位置決めされた歯176
a及び176
bを有する。スライダ178が、Y字形状のチャネルを定義しており、Y字形状のチャネルは、両側のチェーン174
a及び174
bに係合し、且つ、スライダ178が、それぞれ、チェーンに沿って上方及び下方に運動するのに伴って、両側の歯176
a及び176
bを噛合させるか又は係合解除させる。ハウジング180が、スライダ178に動作自在に接続されており、且つ、自動ジッピングシステム184を収容している。プルタブ182が、動作自在にハウジング180に接続されており、プルタブ182は、ジッパー172の長さに沿ってスライダ178を手動で運動させるべく使用することができる。スライダ178は、ジッパー172が十分に閉じられた位置とジッパー172が十分に開放している位置の間における移動の最大長を有する。
【0069】
自動ジッピングシステム184は、モーター186と、2つのギア188
a及び188
bと、コントローラ104と、スイッチなどの非触覚入力装置110と、アンテナ118と、を有する。2つのギア188
a及び188
bは、モーター186の駆動シャフト上において取り付けられている。一方のギア188
aは、1つのチェーン174
a内の歯176
aの間のギャップに係合する歯を有する。他方のギア188
bも、反対側のチェーン174
b内の歯176
bの間のギャップに係合する歯を有する。動作の際に、モーター186は、ジッパー172を閉じるためにスライダ178をチェーン174
a及び174
bに沿って上方に運動させるべく、1つの方向において、且つ、ジッパー172を開放するためにスライダ178をチェーンに沿って下方に運動させるべく、反対方向において、ギアを回転させる。
【0070】
本明細書において更に詳細に説明するように、アンテナ118は、具体的には触覚効果に関係するデータを表現する信号をリモート装置から受信する。コントローラ104は、受信されたデータを処理し、且つ、触覚効果を供給するべく、スライダ178を既定のパターンにおいて運動させるように、モーター186を制御する。触覚効果は、スライダの移動の最大長を下回る所定の距離又は動きの範囲だけのスライダ178の運動であってもよい。上方及び下方のパターンにおいて、或いは、特定のシーケンスにおいて、ジッパー100に沿ってスライダ178を反復的に運動させることにより、長さが変化しうるインターバルにおいてスライダ178を間欠的に運動させることにより、異なる速度又は加速度パターンにおいてスライダ178を運動させることにより、或いは、任意のその他のパターン又は運動により、その他の触覚効果を供給することもできる。これに加えて、物品を装用している人物からの命令を受信することなしにスライダ178を運動させることが触覚効果であってもよい。
【0071】
ユーザーがスライダ178を手動で引っ張っている際の別の可能な触覚フィードバックは、フォースフィードバックを提供するべく、手動運動とは反対の方向においてスライダ178を運動させるように、モーター186及びギア188
a及び188
bを制御することであってもよい。このフォースフィードバックは、ジッパーの長さに沿った仮想的なデテント又はなんらかのその他の触覚効果を供給するべく、且つ、異なる触覚メッセージを供給するべく、様々なパターン及び大きさにおいて供給することができる。例えば、フォースフィードバックは、ジッパーを緩める又は開放することが推奨されないことを通知するべく、スライダ178がジッパーの長さに沿って運動するのに伴って仮想的なデテントのシーケンスを生成するように、間欠的に供給することができる。
【0072】
又、仮想的なデテントは、留め具が移動した距離の感覚を提供するべく、使用することもできる。例えば、アクチュエータは、4分の1インチごとに、或いは、1センチメートルごとに、仮想的なデテントを定期的に適用することができる。又、仮想的なデテントは、留め具又はアクチュエータが自動的に動作している際に適用することもできる。例えば、アクチュエータが、唐突に急加速させるか又はその動作速度を一時的に変更するように動作している際に、余分なパルスをアクチュエータに対して定期的に印加することができる。
【0073】
別の例においては、モーター186は、スライダ178が停止部に衝突するか又はその近傍に移動した際に、フォースフィードバック又はなんらかのその他の自動運動を提供することにより、その動きの範囲の末尾についてユーザーに通知するように、動作することができる。この例においては、スライダ又はジッパーは、力センサ、近接センサ、エンコーダ、又はステッパモーターなどのスライダの相対的な位置を判定するためのメカニズムを有することになろう。又、スライダ178は、スライダが、ジッパーのチェーン174のうちの一方と係合解除し、これにより、ジッパーと、従って、装用可能物品と、が十分に開放した状態にあることを通知した場合に、触覚フィードバックを提供することもできる。
【0074】
代替実施形態は、自動ジッパーシステム184内に、且つ、コントローラ1045との電気的通信状態において、含まれたセンサを含むことができる。センサ112は、アンテナ138に加えて、或いは、その代わりに、使用することができる。これに加えて、ジッパー172が図示されているが、本明細書において開示されている実施形態は、その他のスライド留め具などのその他のタイプの留め具、ベルトバックルなどのバックル、スナップ、クリップ、クラスプ、ボタン、スマートマテリアル、ボタン、アイアンドフック、フック及びループ留め具、紐、ストラップ、又は弾性バンドに対して適用することもできる。
【0075】
図8Aは、アクチュエータ102がスマートマテリアルを有するいくつかの可能な実施形態の断面図である。この実施形態においては、装用可能物品100は、フィラメント、ファイバ、又はヤーンなどの材料のストランド192によって織られた織物によって形成されている。織物として織られたストランドは、スマートマテリアルから形成された1つ又は複数のストランド194を含む。図示の実施形態においては、スマートマテリアルによって形成されたストランド194は、織り方の1つの方向において方向付けされており、且つ、ほぼ、互いに平行である。
【0076】
スマートマテリアルによって形成されたストランド194の数は、スマートマテリアルと、スマートマテリアルの非触覚機能と、物品100を装用している人物によって知覚されるべく十分に強力な感覚を供給するためのスマートマテリアルの能力と、に応じて変化することになる。スマートマテリアルの非触覚機能の例は、物品のフィット状態を調節すること、物品を装用している人物に対して物品を固定すること、湿度、周辺温度、体温、及びその他の環境的又は生体計測的要因などの状態に基づいて織物の気孔率を調節することを含む。装用可能物品のコントローラ及びその他のコンポーネントは、示されていないが、本明細書において記述されているものに類似している。
図8Bは、織り方が、1つの方向において織られた少なくとも1つのストランド194と、通常は直交する方向である方向において織られた少なくとも1つのストランド194と、を含んでいるという点を除いて、スマートマテリアルによって形成されたストランド194を含む織り方を示している。様々な実施形態は、
図8A及び
図8Bに示されている織り方とは異なる織り方を含むことができる。
【0077】
代替実施形態においては、装用可能物品100は、編まれた又は組まれたストランドにより、或いは、ポリマー、皮革、又は金属などのストランド以外の材料により、形成されている。これに加えて、様々な実施形態におけるスマートマテリアルは、織る、編む、又は組む以外の技法により、装用可能物品と組み合わせられている。例えば、スマートマテリアルは、装用可能物品の表面に適用することが可能であり、且つ、接着剤、糸の縫い目、又は留め具によって定位置において保持することができる。別の例においては、スマートマテリアルは、スマートマテリアルを装用可能物品として成形するなどの技法を使用することにより、材料の内部において実施されている。
【0078】
オリガミ型の靴及び本明細書において開示されている実施形態に加えて、スマートマテリアルは、異なるタイプの装用可能物品において、センサ、触覚アクチュエータ、及び留め具として機能することができる。例えば、シャツは、第1の膨張した状態と第2の縮小した状態を有するスマートマテリアルによって形成されたカフスを有することができる。人間が、自身の手をカフスを通じて挿入する際に、スマートマテリアルは、第1状態から第2状態に遷移する。このスマートマテリアルは、カフスボタン、アクチュエータ、及び触覚アクチュエータを代替している。
【0079】
ズボンの弾性的なウエストは、別の例であり、このウエストは、第1弾性状態及び第2非弾性状態を有するスマートマテリアルによって形成されている。人間がズボンを着用し、その結果、ウエスト内のスマートマテリアルの状態は、第1状態から第2状態へと変化する。スマートマテリアルは、ベルトとして機能し、これには、更に詳細に本明細書において開示されているベルトが含まれる。
【0080】
スマートマテリアルは、外部刺激に応答して物理特性を変化させ、これにより、装用可能物品100を変化させると共に物品100を装用している人物によって知覚されうる感覚を生成する任意の材料であってもよい。外部刺激は、コントローラによってスマートマテリアルに印加することができる。スマートマテリアルを制御しうる刺激の例は、電位差、電流、磁界、或いは、コントローラ又はコントローラと通信しているリモート装置によって生成、トリガ、又は制御されうる任意のその他の刺激を含む。様々な実施形態においては、スマートマテリアルの物理特性を変更することにより、スマートマテリアルは、装用可能物品のその他のストランド又は部分との関係において運動し、振動し、或いは、形状を変化させることになる。様々な実施形態において、スマートマテリアルは、線形運動などの異なるタイプの運動、直径又はスマートマテリアルのその他の寸法の変化、及びスマートマテリアルの形状に対する変化を有することができる。スマートマテリアルの形状に対する変化の例は、折れ曲がり、湾曲、スパイラル又は螺旋形状とまっすぐな構成の間における遷移を含むことができる。これに加えて、少なくともいくつかの実施形態においては、スマートマテリアルに対する変化は、可逆的であり、且つ、スマートマテリアルは、2つ以上の形状又は状態の間において遷移することができる。
【0081】
スマートマテリアルの例は、形状記憶合金(温度及び磁気形状記憶合金など)、電子メカニズム(電気歪、静電、圧電、及び強誘電ポリマーなど)を有する電気活性ポリマー、圧電ポリマーを含む圧電材料、導電性ポリマー、セルロース及びその他のバイオポリマー、イオン性ポリマー金属複合体(IPMC:Inonic Polymer Metal Composite)、電気抵抗材料(electrorheostatic material)、磁気抵抗材料(magnetorheostatic material)、磁気歪材料、pH感知ポリマー、ペルチエセル、磁性流体材料、及びその他の流体材料を含む。これに加えて、スマートマテリアルは、ナノ粒子又はナノチューブによって形成されることが可能であり、或いは、さもなければ、これを含むことができる。スマートポリマーの例は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーを含む。又、スマートマテリアルは、ポリマー金属複合体及び異なる材料のその他の組合せを含むことができる。その他の例は、温度、電流、電界、クーロン力、イオンの移動性又は拡散などの力に応答して運動するか又は形状を変化させるスマートマテリアルを含む。
【0082】
これに加えて、スマートマテリアルは、流体、固体、気体、ゲル、固体、長繊維、又はパネル、その他の形状、並びに、これらの組合せなどの様々な状態及び構造を有することができる。又、浮き袋などの圧縮気体構造を使用することもできる。
【0083】
これに加えて、スマートマテリアルのストランド194は、従来の円形形状以外のプロファイルを有することもできる。非円形プロファイルは、スマートマテリアルのストランド194が、材料内においてその他のストランドとの関係において運動することを支援することが可能であり、その結果、装用可能物品100の収縮又は膨張が可能となり、これにより、それぞれ、装用可能物品を締める又は緩めることができる。又、非円形形状は、装用可能物品が通気することにより、装用可能物品を暖め又は冷やすことができるように、織り、編み、又は組みの密度を調節するべく、或いは、装用可能物品の気孔率を調節するべく、使用することもできる。又、気孔率を変化させることにより、高度な又は乏しい撥水性を装用可能物品に付与することができる。代替プロファイル形状の例は、楕円、正方形、又は三角形を含む。物品内のその他のストランドとの関係におけるスマートマテリアルのストランドの運動をも支援しうる微視的な羽根又はプロペラブレードを形成するべく、異なる材料をストランドに追加することができる。その他の可能な実施形態においては、スマートマテリアルは、ストランド以外の構造として形成されている。パッチは、このようなスマートマテリアル用の代替構造の一例である。又、可能な実施形態は、ファイバの直径の変化を生成しうる材料から製造されたファイバを含むことが可能であり、これも、織り、編み、又は組みの密度を調節するべく、或いは、装用可能物品の気孔率を調節するべく、使用することができる。
【0084】
本明細書において開示されている実施形態に加えて、スマートファイバの特性は、装用可能物品の表面上における摩擦特性を変化させるように、使用することもできる。スマートマテリアルに外部力を印加することにより、スマートマテリアルは、滑りやすい状態と滑りやすくない状態の間において変化することができる。例えば、滑りやすい状態と滑りやすくない状態の間において、靴のソールを変化させることができる。別の例において、人工装具装置又は安全装置などの装用可能物品の内側表面は、人体への装用可能物品の着用を容易にするべく、滑りやすい状態に、且つ、次いで、定位置における装用可能物品の保持を支援するべく、滑りやすくない状態に、変化させることができる。
【0085】
上述の様々な実施形態は、例示を目的として提供されたものに過ぎず、且つ、添付の請求項を限定するものと解釈してはならない。当業者は、本明細書において図示及び記述されている例示用の実施形態及び用途に準拠することなしに、且つ、添付の請求項の真の精神及び範囲を逸脱することなしに、実施されうる様々な変更及び変形について容易に認識するであろう。