【解決手段】アクチュエーター増幅装置108は、ハウジング構成要素106と、ハウジング構成要素に結合し、力及び変位を与えるプッシュプルアクチュエーター102と、レバーアーム112及び支点部114を含むレバー構成要素110と、レバーアーム112に結合されたハプティックタッチ面とを備える。プッシュプルアクチュエーター102からハプティックタッチ面に伝達される変位の量は、レバー構成要素110によって低減する。プッシュプルアクチュエーター102からハプティックタッチ面に伝達される力の量は、レバー構成要素110によって増大する。ハプティックタッチ面が材料止めに接触すると、材料止めは圧縮され、ハプティックタッチ面の勢いを減衰させるようなヒステリシスを示す。
前記レバーアームの前記第1の端部は、前記プッシュプルアクチュエーターのプランジャーに結合され、前記プッシュプルアクチュエーターの本体は、前記アクチュエーター取付台に配置されている、請求項1に記載のシステム。
前記ハウジング構成要素に結合された材料止めであって、前記可動質量体が前記材料止めに接触すると前記可動質量体の勢いを減衰させるように構成されている材料止めを更に備える、請求項1に記載のシステム。
前記材料止めは、前記可動質量体が前記材料止めに接触すると圧縮され、該圧縮された材料止めは、前記可動質量体の勢いを減衰させるヒステリシスを示す、請求項7に記載のシステム。
前記レバーアームの前記第1の端部は、前記プッシュプルアクチュエーターのプランジャーに結合され、前記プッシュプルアクチュエーターの本体は、前記アクチュエーター取付台に配置されている、請求項11に記載のシステム。
前記ハウジング構成要素に結合された材料止めであって、前記ハプティックタッチ面が前記材料止めに接触すると前記ハプティックタッチ面の勢いを減衰させるように構成されている材料止めを更に備える、請求項11に記載のシステム。
前記材料止めは、前記ハプティックタッチ面が前記材料止めに接触すると圧縮され、該圧縮された材料止めは、前記ハプティックタッチ面の勢いを減衰させるヒステリシスを示す、請求項17に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の原理を説明し、かつ関係する技術分野における当業者が本発明を作成し使用するのを可能にするのに更に役立つ。図面は一定の縮尺にはなっていない。
【0014】
ここで、本発明の具体的な実施形態について、図を参照して説明する。図では、同様の参照符号が同じか又は機能的に同様の要素を示す。以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明又は本発明の応用及び使用を限定するようには意図されていない。さらに、上記の技術分野、背景技術、発明の概要又は以下の詳細な説明に提示されているいかなる明示された又は暗示された理論によっても拘束される意図はない。さらに、本明細書に記載する実施形態は、主に、重量のあるフローティングタッチスクリーンアセンブリで使用されるアクチュエーター増幅装置に関するが、当業者は、本明細書が他の可動質量体に等しく適用されることを理解するであろう。本明細書に例示するアクチュエーター増幅装置の実施形態は、タッチ面又はタッチ要素の後方にグラフィカルディスプレイが配置されているタッチスクリーンの文脈内で記載する。しかしながら、本発明は、こうしたタッチスクリーン用のアクチュエーター増幅装置に限定されず、任意の触覚的に励起されるタッチ面又はタッチ要素にも等しく適用可能であることが理解されよう。例えば、アクチュエーター増幅装置は、ディスプレイ画面がタッチパッドと同一場所に配置されていないコンピューターのタッチパッドに適用することができる。静電容量式センサー、近接場効果センサー、圧電センサー又は他のセンサー技術によって生成することができる少なくとも1つのタッチセンシティブ領域又はタッチセンシティブ領域のアレイを備えたタッチ要素に適用することができる。グラフィカル要素は、タッチ要素の後方又は別個の場所に位置しホストコンピューターによって更新されるディスプレイとすることができ、又は、単に、関連するタッチ要素のタッチセンシティブ領域を示す特徴(例えば、グラフィックス)を含むプラスチック面とすることができる。したがって、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲で使用する場合のハプティックタッチ面という用語は、従来のタッチスクリーンとともに、ハプティック効果を適用することができる任意のタッチ面又はタッチ要素及び関連するグラフィカル要素を包含するように解釈されるべきである。
【0015】
図1は、ソレノイド又はプッシュプルアクチュエーター102によって与えられるハプティック効果を増幅するシステム100の上面図である。システム100は、本発明の一実施形態によるアクチュエーター増幅装置108を含み、
図1は、固定質量体すなわちハウジング構成要素106の一部に結合されたアクチュエーター増幅装置108を示す。
図2は、可動質量体すなわちハプティックタッチ面104の上面縮小図であり、ハプティックタッチ面104は、アクチュエーター増幅装置108がハウジング構成要素106の中に封入されるか又はハウジング構成要素106とハプティックタッチ面104との間に配置されるように、ハウジング構成要素106の上に配置されている。本明細書においてより詳細に説明するように、アクチュエーター増幅装置108は、レバーアーム112及び支点部114を有するレバー構成要素110を備える。レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102によってハプティックタッチ面104に与えられる変位を伝達しかつ低減させるように構成され、また、プッシュプルアクチュエーター102によってハプティックタッチ面104に与えられる力を伝達しかつ増幅するようにも構成されている。言い換えれば、レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102によって与えられる大きい移動/小さい力を受け取り、レバー構成要素110の使用を通してそれを小さい移動/大きい力に変換する。プッシュプルアクチュエーター102の出力される力を機械的に変更するか又は増大させることにより、レバー構成要素110は、レバー構成要素110の使用を通して重量のあるフローティングタッチスクリーン及びタッチ面ハプティクスアセンブリを可能にする。レバー構成要素110は、個々の力要件に対して又は任意の標準プッシュプルアクチュエーターに対して設計することができる。レバー構成要素110は、アクチュエーターの出力される力と設計のハプティック要件とによってのみ制限される力を与えるように設計されている。
【0016】
より詳細には、
図1を参照すると、アクチュエーター増幅装置108は、プッシュプルアクチュエーター102をハウジング構成要素106に取り付けるように構成されたアクチュエーター取付台116と、レバー構成要素110と、レバー構成要素110をハプティックタッチ面104に取り付けるように構成された出力インターフェース118とを備える。アクチュエーター取付台116は、ハウジング構成要素106に取り付けられるか又はそれと一体的に形成され、アクチュエーター取付台116の中又は上にプッシュプルアクチュエーター102を受け入れることによって、プッシュプルアクチュエーター102をハウジング構成要素106に結合するように構成されている。本発明の一実施形態では、ハウジング構成要素106は、自動車のダッシュボードフレームであり、ハプティックタッチ面104は、ハウジング構成要素106に対して移動するように構成されたタッチスクリーンである。一実施形態では、ハプティックタッチ面104は、200グラム〜2000グラムの重量である。ハウジング構成要素106は据付構成要素であり、それは、プッシュプルアクチュエーター102を介して動かされるように意図又は構成されておらず、本発明の一実施形態では、システム100の構成要素を少なくとも部分的に封入しかつ保護するケーシングであることを意味する。しかしながら、ハウジング構成要素106は、任意のタイプの固定又は接地された質量体とすることができ、ハプティックタッチ面104は、任意のタイプの可動質量体とすることができる。本明細書で用いる「固定質量体」という用語は、プッシュプルアクチュエーター102を介して動かされるように意図又は構成されていない据付構成要素を含み、本明細書で用いる「可動質量体」という用語は、固定質量体に対してプッシュプルアクチュエーター102を介して動かされるように意図又は構成されている構成要素を含む。
【0017】
レバー構成要素110は、(固定質量体すなわちハウジング構成要素106に結合された)アクチュエーター取付台116と(可動質量体すなわちハプティックタッチ面104に結合された)出力インターフェース118との間に延在している。レバー構成要素110のレバーアーム112は、プッシュプルアクチュエーター102に結合されてそこから力を受け取る第1の端部111と、レバー構成要素110の支点部114に結合された反対側すなわち第2の端部113とを有している。支点部114は、ハウジング構成要素106の一部に取り付けられている。より詳細には、プッシュプルアクチュエーター102の本体101が、アクチュエーター取付台116内に又は上に配置され、レバーアーム112の第1の端部111は、プッシュプルアクチュエーター102のプランジャー103に結合されている。例えばピンである場合がある出力インターフェース118が、レバーアーム112にその第2の端部113に隣接して結合され、ハプティックタッチ面104に取り付けられている。本明細書で用いる第2の端部113に「隣接」するとは、出力インターフェース118が、支点部114の動作を干渉しないように、支点部114のすぐ横にあるか又はわずかにのみ間隔を空けて配置されていることを含む。ハプティックタッチ面104は、ハウジング構成要素106に直接取り付けられておらず、出力インターフェース118にのみ直接取り付けられている。
【0018】
図3は、レバー構成要素110のその動作及び移動を例示する拡大図であり、レバー構成要素110は、単に例示の目的でアクチュエーター増幅装置108から取り外されている。プッシュプルアクチュエーター102は、力F
O及び変位D
Oを与えるか又は出力するように構成されている。例示的な実施形態では、プッシュプルアクチュエーター102は、レバーアーム112の第1の端部111に引張力を与えており、それにより、レバーアーム112の第1の端部111は変位D
Oの長さを動く、すなわち移動することになる。レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102から力F
Oを受け取ると支点部114で枢動するように構成されている。より詳細には、レバーアーム112の第1の端部111が引張方向に移動するとき、レバー構成要素110は支点部114に沿って右回り(時計回り)に枢動する。レバー構成要素110の移動により、(レバーアーム112にその第2の端部113に隣接して結合されている)出力インターフェース118もまた移動し、その結果、出力インターフェース118に結合されているハプティックタッチ面104を移動させる。出力インターフェース118は、同様の引張方向に移動するが、出力インターフェース118によって動かされる距離は、レバーアーム112の第1の端部111によって動かされる距離よりはるかに小さい。
図3に示すように、出力インターフェース118及びそれに結合されたハプティックタッチ面104は、変位D
Oではなく低減した変位D
Rの長さにわたって動く、すなわち移動する。したがって、レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102によってハプティックタッチ面104に与えられる変位を伝達しかつ低減させる。言い換えれば、プッシュプルアクチュエーター102からハプティックタッチ面104に伝達される変位の量は、レバー構成要素110によって低減する。本発明の一実施形態では、低減した変位D
Rは、マイクロメートルレベルであるが、低減した変位D
Rの量は、プッシュプルアクチュエーター102からの力F
Oの量、レバー構成要素110の寸法及び支点部114の位置によって決まることが理解されよう。
【0019】
機械効率のために、レバー構成要素110はまた、プッシュプルアクチュエーター102によってハプティックタッチ面104に与えられる力F
Oを伝達しかつ増幅する。言い換えれば、プッシュプルアクチュエーター102からハプティックタッチ面104に伝達される力の量は、レバー構成要素110によって増大する。より詳細には、レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102からの入力される動力を保存し、移動に抗する力と引き換えに(trade off)、出力される力において所望の増幅を得る。レバー構成要素110に入る動力及びそこから出る動力は同じでなければならず、動力は、力と速度との積である。レバー構成要素110が支点部114の上で枢動する際、レバーアーム112の第1の端部111は、レバーアーム112の第2の端部113より支点部114から離れており、したがって、第1の端部111は第2の端部113より高速に移動する。したがって、レバーアーム112の第1の端部111に加えられる力F
Oは、レバーアーム112の第2の端部113において増幅した力F
Aまで増幅、すなわち増大する。そして、増幅した力F
Aは、出力インターフェース118からハプティックタッチ面104まで伝達されて、必要な加速度プロファイルをもたらす。したがって、レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102の出力される力(力F
O)に機械効率を掛け合わせ、したがって単独のプッシュプルアクチュエーター102に比較して、結合されたプッシュプルアクチュエーター102及びレバー構成要素110の新たな出力される力(増幅された力F
A)及び出力される移動(低減した変位D
R)がもたらされる。レバー構成要素110は、プッシュプルアクチュエーター102の出力される力及びプッシュプルアクチュエーター102のプランジャー103の移動を変更する。
【0020】
変位D
O及び低減した変位D
Rは、レバー構成要素110のそれぞれ異なる入力レバー及び出力レバーとみなすことができる。同様に、力F
O及び増幅した力F
Aは、それぞれ入力レバー及び出力レバーにおいて、それぞれ異なる入力される力及び出力される力とみなすことができる。力F
Oは入力レバーにおける入力であり、増幅した力F
Aは、出力レバーにおける出力である。増幅した力F
Aには、レバー構成要素110の機械効率が掛け合わされる。
【0021】
したがって、アクチュエーター増幅装置108は、プッシュプルアクチュエーター102によってハプティックタッチ面104に与えられるか又は出力される力を増幅する。アクチュエーター増幅装置108は、制限なしに所望の比で力を増幅することができる。例えば、比は、0.001:1又は1000:1とすることができ、必要な変更は、出力インターフェースの位置のみである。本発明は、単一のレバー構成要素110のみを必要とし、アクチュエーター増幅装置108は、より大きいか又はより重量のあるフォームファクターでのハプティクスを可能にし、サイズ制限は、アクチュエーターの能力及び必要なハプティック効果のみに制限される。しかしながら、単一のプッシュプルアクチュエーターで利用されているように記載しているが、当業者により、システムの所望の又は必要な出力される力に応じて、複数のアクチュエーターとともに本明細書に記載するアクチュエーター増幅装置を使用することができることが理解されよう。
【0022】
図4は、アクチュエーター増幅装置108が組み込まれているハプティックデバイス440の様々な構成要素の組立分解斜視図である。ハプティックデバイス440は、タッチスクリーン430に対するハプティックフィードバックを与える。タッチスクリーン430に加えて、ハプティックデバイス440は、キャリアー432と、タッチスクリーン430のユーザーにハプティック効果を与えるプッシュプルアクチュエーター102と、ダストシール434と、LCD構成要素436と、ハウジング構成要素438とを備える。タッチスクリーン430及びハウジング構成要素438は、タッチスクリーン430がハウジング構成要素438に対して移動可能であるように互いに結合される。言い換えれば、少なくともタッチスクリーン430は可動質量体であり、ハウジング構成要素438は固定質量体である。ハプティックデバイス440の他の構成要素は、その構成要素のサイズ、位置決め及び特定の構成に応じて、タッチスクリーン430に結合されてそれと同時に移動することができる。例えば、1つの実施形態では、キャリアー432、ダストシール434、LCD構成要素436及びタッチスクリーン430は、これらの構成要素がまとめて可動質量体とみなされるように互いに結合することができる。キャリアー432は、鋼若しくはアルミニウム等の板金、又はポリカーボネート若しくはPC−ABS等のプラスチック材料から形成することができる。アクチュエーター増幅装置108は、上述した出力インターフェース118を介して、出力インターフェース118がタッチスクリーン430に結合されるように、可動質量体の少なくとも1つの構成要素に取り付けられる。アクチュエーター増幅装置108のサイズ及び位置決めは、可動質量体に取り付けるための出力インターフェース118の所望の位置決めに応じて、
図4に示すものから変更することができる。別の実施形態では、キャリアー432及びタッチスクリーン430は、まとめて可動質量体とみなされるように互いに結合することができる。キャリアー432及びタッチスクリーン430がまとめて可動質量体であるとき、LCD構成要素436は、ダストシール434が、タッチスクリーン430とLCD構成要素436との間の塵埃侵入を防止するように設置されて、任意の好適な方法でハウジング構成要素438に結合される。ハウジング構成要素438は、概して、コンパートメント又はケーシングであるとみなされるが、任意のタイプの基礎構成要素とすることができる。一実施形態では、ハプティックデバイス440は、例えば7インチタッチスクリーンディスプレイを備えた医療デバイスとすることができる。ハプティックデバイス440は、例えば、コンピューター、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機、メディアプレイヤー、プリンター、オフィス電話等、自動車用インターフェース(例えば、タッチスクリーン、タッチパッド又はタッチパネル)を有する多数のデバイスのうちの任意のものとすることができる。ソフトウェアを用いて、ハプティックデバイス440のユーザーに対してハプティックフィードバックが与えられる。一実施形態では、タッチスクリーン430は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等、実行しているアプリケーションプログラム及び/又はオペレーティングシステムに基づいてグラフィカル環境を表示することができる。グラフィカル環境は、例えば、背景、ウィンドウ、データリスト、カーソル、ボタン等のアイコン、及びGUI環境において既知である他のグラフィカルオブジェクトを含むことができる。ユーザーは、タッチスクリーン430の様々な領域にタッチすることによってハプティックデバイス440とインタラクトして、画面に表示される仮想グラフィカルオブジェクトを作動させ、移動させ、裏返し(フリップし)、前進させ又は他の方法で操作し、それにより、デバイスに入力を与える。引用することにより本明細書の一部をなすRosenberg他の上記米国特許第8,059,105号に例示されているように、こうしたタッチスクリーン及びGUIは既知である。
【0023】
ハプティックデバイス440のタッチスクリーン430は、ハプティックタッチスクリーンとみなすことができ、なぜなら、ハプティックデバイス440に対して、プッシュプルアクチュエーター102と、プッシュプルアクチュエーター102がユーザーのタッチと協働してタッチスクリーン430の所望の動きをもたらすようにする信号をプッシュプルアクチュエーター102に与える、関連する制御ハードウェア及びソフトウェアとが提供されているためである。信号は、例えば、仮想ボタン押下又は仮想要素間の衝突に関連してジョルト(jolt:激しい動き)を引き起こすか、又は画面を横切る仮想要素の移動に関連して振動を引き起こすか、又は引用することにより本明細書の一部をなすRosenberg他の上記米国特許第8,059,105号により詳細に記載されているように他のタイプの画面移動を引き起こすように与えることができる。触感フィードバック、タッチフィードバック及び振動触覚フィードバックとしても知られるこうしたハプティックフィードバック又はハプティック効果により、ハプティックデバイス440のユーザーに対してより直観的な、魅力的なかつ自然な体験が可能になり、したがって、ユーザーとハプティックデバイス440との間のインタラクションは、ハプティック効果によって与えられる触感フィードバックを通して著しく改善される。
【0024】
図4の実施形態では、ハプティックデバイス440は、タッチスクリーン430の横方向運動又は変位を許容する、すなわち可能にするように構成されている。言い換えれば、アクチュエーター増幅装置108はハプティックデバイス440内で、プッシュプルアクチュエーター102がx軸に沿って左右にタッチスクリーン430を移動させるように方向付けられている。しかしながら、本発明の別の実施形態によれば、プッシュプルアクチュエーター及びアクチュエーター増幅装置は、タッチスクリーン又はハプティックタッチ面をz軸に沿って上下に移動させるように構成することができる。より詳細には、
図4Aは、ハプティックデバイス440Aの様々な構成要素の組立分解斜視図である。ハプティックデバイス440Aは、ハプティックデバイス440と同じ構成要素を含むが、ハプティックデバイス440Aは、ハプティックデバイス440A内でアクチュエーター増幅装置408によって与えられるか又は出力される増幅した力がz軸に沿って上方向及び/又は下方向であるように方向付けられている、プッシュプルアクチュエーター402及びアクチュエーター増幅装置408を含むという点が異なる。より詳細には、
図4Bは、アクチュエーター増幅装置408のその動作を例示するための側面図である。単に明確にするために、
図4Bには、キャリアー432、ダストシール434、LCD構成要素436は図示しておらず、
図4Bは、固定質量体としてのハウジング構成要素438と唯一の可動質量体としてのタッチスクリーン430とを備えたアクチュエーター増幅装置408の動作を示す。しかしながら、
図4に関して上述したように、キャリアー432、ダストシール434、LCD構成要素436のうちの1つ又は複数は、タッチスクリーン430に結合され、それと同時に可動質量体として移動可能とすることができる。アクチュエーター増幅装置408は、プッシュプルアクチュエーター402をハウジング構成要素438に取り付けるように構成されたアクチュエーター取付台416と、レバーアーム412及び支点部414を有するレバー構成要素410と、レバー構成要素410をタッチスクリーン430に結合するように構成された出力インターフェース418とを含む。アクチュエーター取付台416は、ハウジング構成要素438の床437に取り付けられるか又は一体的に形成され(
図4Aを参照)、アクチュエーター取付台416の中又は上にプッシュプルアクチュエーター402を受け入れ、それによりプッシュプルアクチュエーター402をハウジング構成要素438に結合するように構成されている。この実施形態では、プッシュプルアクチュエーター402は、力F
Oの方向矢印によって示すように、z軸に沿って上方向にレバーアーム412の第1の端部411を移動させるように方向付けられかつ構成されている。機械効率により、レバー構成要素410は、プッシュプルアクチュエーター402によってタッチスクリーン430に与えられる力F
Oを伝達しかつ増幅する。レバー構成要素410が支点部414の上で枢動する際、レバーアーム412の第1の端部411に加えられる力F
Oは、レバーアーム412の第2の端部413において増幅した力F
Aまで増幅、すなわち増大する。そして、増幅した力F
Aは、出力インターフェース418からタッチスクリーン430に伝達され、必要な加速度プロファイルがもたらされる。特に、この実施形態では、支点部414は、ハウジング構成要素438の側壁439(
図4Aを参照)又はハウジング構成要素438の別の同様の部分に取り付けられて、その枢動を可能にする。さらに、この実施形態では、出力インターフェース418は、
図4Bにおいて想像線で示すように、レバーアーム412の第1の端部411が上方向に移動するときにレバーアーム412のクリアランスを与えるのに十分な長さを有する。したがって、アクチュエーター増幅装置408は、アクチュエーター増幅装置108と同様に動作するが、アクチュエーター増幅装置408は、タッチスクリーン又はハプティックタッチ面を上下に移動させるように変更されているという点が異なる。
【0025】
本発明の実施形態では、プッシュプルアクチュエーター102を介してハプティック効果を適用した後、ハプティックタッチ面104の移動を減衰させるか又は減速させる制動システム又は機構を含むことが望ましい場合がある。
図5は、本発明の別の実施形態によるシステム500の断面図であり、そこでは、システム500は、可動質量体すなわちハプティックタッチ面504が接触するとハプティックタッチ面504の勢いを減衰させるように構成された、材料止め522を含む。
図5の実施形態では、システム500は、本明細書においてより詳細に記載するように、ハプティックタッチ面504の上向きの(z軸の方向の)運動又は変位を可能にする。この例では、ハプティックタッチ面504はタッチスクリーンであるが、他の実施形態では、ハプティックタッチ面504は、リニア共振アクチュエーター(LRA)に一般にみられるもの等の固体質量体とすることができ、又は、本明細書に記載する任意のタイプの触覚的に励起されるタッチ面又はタッチ要素とすることができる。システム500は、固定質量体すなわちハウジング構成要素506と、ハウジング構成要素506に結合されてそれに対して移動可能であるハプティックタッチ面504と、ハウジング構成要素506に対してハプティックタッチ面504を移動させる力を与えるように構成されたアクチュエーター502と、ハウジング構成要素506に結合された材料止め522とを含む。材料止め522は、ハプティックタッチ面504が材料止め522に接触するとハプティックタッチ面504の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるように構成された受動制動機構である。本明細書においてより詳細に説明するように、ハプティックタッチ面504が材料止めに接触すると材料止め522は圧縮され、圧縮された材料止めは、ハプティックタッチ面504の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるヒステリシスを示す。
【0026】
上述した構成要素に加えて、システム500はまた、1つ又は複数のサスペンション要素526A、526Bも含むことができ、それらは、ハプティックタッチ面504に対して、システム500内に設置されたときに、z方向又はz軸等の一定方向における又は一定の並進軸に沿った優先的な移動を可能にする一方で、y方向又はy軸及びx方向又はx軸等の他の方向における又は他の並進軸に沿った移動を制限するように構成されている。サスペンション要素526A、526Bは、ばね要素として示されているが、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす、Rosenberg他の米国特許出願公開第2008/0111788号、及び引用することによりその全体が本明細書の一部をなすOlien他の米国特許出願公開第2010/0245254号に例示されているようなゴム、発泡材又は可撓体等のコンプライアント材料とすることができる。サスペンション要素526A、526Bはまた、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすOlien他の米国特許第8,629,954号に例示されているようなコンプライアントグロメットも含むことができ、又は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすRedelsheimer他の米国特許第9,213,409号に例示されているような二重剛性サスペンションシステムとすることができる。
図5の実施形態では、サスペンション要素526A、526Bは、ハプティックタッチ面504をシステム500のハウジング構成要素506に結合し、ハプティックタッチ面504がz軸に沿って移動するのを可能にする。
【0027】
図5の実施形態では、アクチュエーター502は、ハプティックタッチ面504の下側に結合されて示されており、ハプティックタッチ面504の上に、かつユーザーがハプティックタッチ面504に接触している場合はユーザーに、小さいパルス、振動又はテクスチャ感覚を出力する役割を果たす。アクチュエーター502は、ハプティックタッチ面504の下側に接続されて示されているが、アクチュエーター502の位置は、用途とシステム500で利用されるアクチュエーターのタイプとに応じて変更することができることは、当業者には明らかとなろう。アクチュエーター502は、ハプティックタッチ面504に結合されて示されることにより、ハウジング構成要素506に対してハプティックタッチ面504を移動させる力を与えるように構成されていることを表す。アクチュエーター502は、上述したプッシュプルアクチュエーター102とすることができ、その場合、アクチュエーター502は、ハウジング構成要素506に物理的に結合され、また、アクチュエーターによってハプティックタッチ面504に与えられるか又は出力される力を増幅するアクチュエーター増幅装置108を利用することができる。
図5の実施形態では、より詳細に後述するように、アクチュエーター502は、方向矢印524によって示すように、ハプティックタッチ面504をz軸に沿って上方向に移動させる。したがって、
図5の実施形態においてアクチュエーター増幅装置108が利用される場合、アクチュエーター増幅装置108の向きは、
図4A及び
図4Bに関連して上述したようにアクチュエーターによって与えられるか又は出力される力を上方向及び/又は下方向に増幅するように変更される。さらに、材料止め522によって提供される受動制動機構は、他のハプティックアクチュエーターとともに利用することもでき、したがって、本発明の別の実施形態では、アクチュエーター502は、限定されないが、直動質量アクチュエーター(linear moveable mass actuator)、可動質量体を有する慣性アクチュエーター、圧電アクチュエーター、ボイスコイルアクチュエーター、偏心質量アクチュエーター、Eコア型アクチュエーター、可動磁石アクチュエーター又は所望の他のタイプのアクチュエーターを含む、複数の既知のアクチュエータータイプとすることもできる。
【0028】
ハプティックタッチ面504の下側には、スペーサー520が結合されている。スペーサー520は、ハプティックタッチ面504の下側に、ハプティックタッチ面504と同時に移動するように結合されており、本明細書で使用するスペーサー520は、存在する場合、ハプティックタッチ面504の一体構成要素又は延長部とみなされるべきである。言い換えれば、ハプティックタッチ面504及びスペーサー520は、まとめて可動質量体である。
図5に示す実施形態では、スペーサー520は、ハプティックタッチ面504のいかなる下向きの移動も阻止するために使用され、したがって、スペーサー520は、その自由すなわち非取付端部543が材料止め522に近接して又は当接して配置されるような長さを有している。したがって、スペーサー520の反対側のすなわち取付端部541は、ハプティックタッチ面504に結合されており、スペーサー520の非取付端部543は、材料止め522に当接するが、それに結合されていない。他の実施形態(図示せず)では、スペーサー520は省略することができ、又は、ハプティックタッチ面504の幾分かの下向きの移動を可能にすることが望まれる場合、スペーサー520の非取付端部543と材料止め522との間に間隙が存在するように、より短い長さを有することができる。材料止め522は、ハウジング構成要素506に対して有効に固定又は接地されるように、ハウジング構成要素506に結合されている。
図5の実施形態では、材料止め522は、ハウジング構成要素506の床に結合されている。接着剤で材料止め522をハウジング構成要素506に結合することができ、又は、限定されないがクリップ等の他の取付方法を用いることができる。
【0029】
ハプティックタッチ面504は、ゼロ又はそれより多いサイクルで振動運動を有してハプティック効果を与えるように構成されている。アクチュエーター502が、ハウジング構成要素506に対してハプティックタッチ面504を移動させる力を与えると、ハプティックタッチ面504は、方向矢印524によって示すようにz軸に沿って上方向に移動する。言い換えれば、ハプティックタッチ面504は、材料止め522を離れるように方向矢印524の方向に移動するように作動される。サスペンション要素526A、526Bは、ハプティックタッチ面504に対して、z方向又はz軸に沿った優先的な移動を可能にする一方で、y方向又はy軸及びx方向又はx軸における移動を制限するように構成されている。ハプティックタッチ面504は、そのピークに達すると、戻って、材料止め522に向かって反対方向に移動する。言い換えれば、ハプティックタッチ面504は、z軸に沿って上方向に移動した後、共振して(resonate)、方向矢印528によって示すようにz軸に沿って下方向に移動する。ハプティックタッチ面504が、ハウジング構成要素506に向かって方向矢印528の方向に移動しているとき、ハプティックタッチ面504のスペーサー520は、材料止め522に衝突し、その後、材料止め522を圧縮する。材料止め522は、ハプティック効果の最後に、ヒステリシスを通して制動に受動的に関与するエラストマー又はゴム材料から作製されている。これにより、材料止め522がハプティックタッチ面504からエネルギーを吸収し、ハプティックタッチ面504からエネルギーを取り除くため、ハプティックタッチ面504が減速する。ハプティックタッチ面504と材料止め522との間の衝突により、圧縮された材料がヒステリシスを示すことによる停止(連続的なゼロ速度)の結果として、ハプティックタッチ面504が減速し、システムからハプティックタッチ面504のエネルギーが取り除かれる。ハプティックタッチ面504は、適用されたハプティック効果が終了すると(すなわち、アクチュエーター502がハプティックタッチ面504の作動又は移動を停止させた場合)、停止することになる。このエネルギーは、ハウジング構成要素506に対する強力な衝突効果として感じられる可能性があり、又は材料止め522によって完全に吸収されハウジング構成要素506に対して顕著ではない可能性がある。材料止め522は、限定なしにシリコーンゴム、天然ゴム及び熱可塑性エラストマー(TPE)等、エネルギーを効率的に吸収し取り除くことができるエラストマー材料から形成することができる。本発明の別の実施形態では、材料止め522はスマート材料から形成される。
【0030】
材料止め522は、システム500において比較的脆弱なアクチュエーターの使用を可能にする。なぜなら、材料止め522から離れる最初の移動に対する抵抗がないためである。別の利益は、材料止め522は、受動制動機構であり、したがって、ハプティックタッチ面504を停止させるか又は能動的に制動するためにアクチュエーター502からいかなる入力も不要であるということである。能動制動では、アクチュエーター502からの反転信号が必要であり、一方で、受動制動機構では、可動質量体が制動されるために必要な処理、計算及び動力の量が低減する。材料止め522により、制動力に関して制限がないことも可能になる。なぜなら、材料止め522が、衝突時にハプティックタッチ面504から材料止め522に加えられる力に基づいて制動するために必要な必須の戻り力を生成することができるためである。
【0031】
材料止め522の動作について、
図6Aと
図6Bとの間の比較を介して例示する。
図6Aは、材料止め522のないシステムに適用されたハプティック効果のグラフ
図550Aであり、
図6Bは、材料止め522のあるシステム500に適用されたハプティック効果のグラフ
図550Bである。
図6A及び
図6Bの両方において、適用されるハプティック効果は、パルス552によって表されている。波形554Aは、材料止め522のないシステムにおけるハプティックタッチ面の結果としての移動又は変位を示す。ハプティックタッチ面の勢いを減衰させる材料止め522がない場合、パルス552によって表されるハプティック効果により、ハプティックタッチ面は連続的に振動する。制動機構がない場合、可動質量体すなわちハプティックタッチ面は、振動し続け、したがって、それに力が加えられた後に望ましくないハプティック効果及び質量体移動がもたらされる。ハプティックタッチ面は、最終的に、摩擦等の自然なエネルギー損失から減速するが、ハプティックタッチ面は、依然として長時間移動し続け、したがって、望ましくないハプティック効果をもたらす可能性がある。
【0032】
しかしながら、
図6Bに示すように、パルス552によって表されるハプティック効果は、材料止め522に衝突することによって停止させることができる。波形554Bは、材料止め522のあるシステム500におけるハプティックタッチ面504の結果としての移動又は変位を示す。材料止め522を、マイクロメートル範囲の小さい距離だけ偏向させることにより、システムからのエネルギーは放散され、ハプティックタッチ面504の移動が停止する。エネルギーは、材料止め522の減衰及びヒステリシス特性によって放散される。なぜなら、材料止め522を偏向させることによって材料止め522内に入るエネルギーが、材料止め522を加熱するように変換され、したがって、材料止め522からのエネルギーがハプティックタッチ面504に戻されないためである。ハプティックタッチ面504は、材料止め522と衝突し、その振動は、完全に又は略完全に停止し、それにより、ハプティックタッチ面504は、材料止め522への初期衝突の後に必要な、わずかな移動で停止することになる。材料止め522により、不要な移動又は望ましくない効果が出力されないことが確実になる。
【0033】
場合によっては、ハプティックタッチ面504の振動は、特定の効果を伝えるために依然として望まれる場合がある。ハプティックタッチ面504の振動は、材料止め522が存在するにも関わらず依然として達成することができる。より詳細には、
図7は、材料止め522があるシステム500に対して逐次適用される2つのハプティック効果のグラフ
図750である。逐次適用される2つのハプティック効果は、パルス752A、752Bによって表され、波形754は、材料止め522のあるシステム500におけるハプティックタッチ面504の結果としての移動又は変位を示す。第2のパルス752Bは、ハプティックタッチ面504の振動と同相である。アクチュエーター502からの2つ以上の連続したパルスの印加により、ハプティックタッチ面504が振動し、こうした振動は、クリック、ポップ、隆起又は粒子効果等の、より大きい効果である可能性がある。したがって、材料止め522が存在する場合であっても、ハプティックタッチ面504に2つ以上のパルスを印加することにより、ハプティックタッチ面504の振動をもたらすことができる。
【0034】
材料止めの構成又は配置は、ハプティックタッチ面の所望の優先的な移動に応じて、
図5に示すものから変更することができる。
図8は、ハプティックタッチ面804が接触したときにハプティックタッチ面804の勢いを減衰させるように構成されている材料止め822を含む、システム800の断面図である。
図8の実施形態では、システム800により、システム500において可能な上向きの運動ではなくハプティックタッチ面804の下向きの運動又は変位が可能になる。より詳細には、システム800は、固定質量体すなわちハウジング構成要素806と、ハウジング構成要素806に結合されてそれに対して移動可能なハプティックタッチ面804と、ハプティックタッチ面804に結合されかつハウジング構成要素806に対してハプティックタッチ面を移動させる力を与えるように構成されたアクチュエーター802と、ハウジング構成要素806に結合された材料止め822とを備える。材料止め822は、ハウジング構成要素806に対して有効に固定されるか又は接地されるようにハウジング構成要素806に結合されている。
図8の実施形態では、材料止め822は、ハウジング構成要素806の側壁(図示せず)又は他の同様の部分に結合することができる。接着剤によって材料止め822をハウジング構成要素806に結合することができ、又は、限定されないがクリップ等の他の取付方法を用いることができる。さらに、システム800は、1つ又は複数のサスペンション要素826A、826Bも含むことができ、1つ又は複数のサスペンション要素826A、826Bは、ハプティックタッチ面804に対して、システム800内に設置されたとき、z方向又はz軸等の一定方向における又は一定の並進軸に沿った優先的な移動を可能にするが、y方向又はy軸及びx方向又はx軸等の他の方向における又は他の並進軸に沿った移動を制限するように構成されている。上述した材料止め522と同様に、材料止め822は、ハプティックタッチ面804が材料止め822に接触したときにハプティックタッチ面804の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるように構成された受動制動機構である。材料止め822は、ハプティックタッチ面804が材料止め822と接触したときに圧縮され、圧縮された材料止めは、ハプティックタッチ面804の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるヒステリシスを示す。
【0035】
アクチュエーター802が、ハウジング構成要素806に対してハプティックタッチ面804を移動させる力を与えるとき、ハプティックタッチ面804は、方向矢印824によって示すように、z軸に沿って下方向に移動する。言い換えれば、ハプティックタッチ面804は、方向矢印824の方向に移動するように作動される。この実施形態では、アクチュエーター802から加えられる下向きの力により、ハプティックタッチ面804は、材料止め822に向かってそれと衝突することなく移動する。ハプティックタッチ面804は、そのピークに達すると、戻って反対方向に移動する。言い換えれば、z軸に沿って下方向に移動した後、ハプティックタッチ面804は、共振して、方向矢印828によって示すようにz軸に沿って上方向に移動する。戻りストローク中に(すなわち、方向矢印828によって示すように上向きに移動しているとき)受動制動を作動させるようにハプティックタッチ面804を材料止め822と衝突させるために、ハプティックタッチ面804にはL字型スペーサー820が結合されている。L字型スペーサー820は、ハプティックタッチ面804の下側に、それと同時に移動するように結合されており、本明細書で用いるL字型スペーサー820は、存在する場合、ハプティックタッチ面804の一体構成要素又は延長部とみなされるべきである。言い換えれば、ハプティックタッチ面804及びL字型スペーサー820は、まとめて可動質量体である。L字型スペーサー820は、軸状部844及び基部842を含む。ハプティックタッチ面804が上向きに移動するとき、L字型スペーサー820の基部842は、材料止め822と衝突し、その後、材料止め822を圧縮して、システム800の勢いを減衰させ、ハプティックタッチ面804に受動制動を与える。
【0036】
図9は、ハプティックタッチ面904が接触したときにハプティックタッチ面904の勢いを減衰させるように構成された材料止め922を含む、システム900の断面図である。
図9の実施形態では、システム900により、システム500、800それぞれにおいて可能な上向きの動き、下向きの運動ではなく、ハプティックタッチ面904の横方向の運動又は変位が可能になる。より詳細には、システム900は、固定質量体すなわちハウジング構成要素906と、ハウジング構成要素906に結合されてそれに対して移動可能なハプティックタッチ面904と、ハプティックタッチ面904に結合されかつハウジング構成要素906に対してハプティックタッチ面を移動させる力を与えるように構成されたアクチュエーター902と、ハウジング構成要素906に結合された材料止め922とを含む。材料止め922は、ハウジング構成要素906に対して有効に固定されるか又は接地されるように、ハウジング構成要素906に結合されている。
図9の実施形態では、材料止め922は、ハウジング構成要素906の側壁(図示せず)又は他の同様の部分に結合することができる。接着剤によって材料止め922をハウジング構成要素906に結合することができ、又は、限定されないがクリップ等の他の取付方法を用いることができる。さらに、システム900は、1つ又は複数のサスペンション要素926A、926Bも含むことができ、1つ又は複数のサスペンション要素926A、926Bは、ハプティックタッチ面904に対して、システム900内に設置されたとき、x方向又はx軸等の一定方向における又は一定の並進軸に沿った優先的な移動を可能にする一方で、y方向又はy軸及びz方向又はz軸等の他の方向における又は他の並進軸に沿った移動を制限するように構成されている。サスペンション要素926A、926Bは、ばね要素として示されており、ばね要素は、x方向又はx軸における移動を可能にする一方でy方向又はy軸及びz方向又はz軸における移動を制限するようにサスペンション要素926A、926Bを構成するために、サスペンション要素526A、526Bとは異なる材料から形成することができる。代替的に、当業者には理解されるように、サスペンション要素926A、926Bは、x方向又はx軸における移動を選択的に可能にする一方でy方向又はy軸及びz方向又はz軸における移動を制限するために、異なるピッチで形成することができ、及び/又は、サスペンション要素926A、926Bは、x方向又はx軸における移動を選択的に可能にする一方でy方向又はy軸及びz方向又はz軸における移動を制限するために、上述したようなコンプライアントグロメット、又はゴム、発泡材又は可撓体等のコンプライアント材料から形成することができる。この実施形態では、ハウジング構成要素906には、ハプティックタッチ面904の横方向又は左右方向の移動を可能にするように、対向する溝又はチャネル907が形成されている。上述した材料止め522と同様に、材料止め922は、ハプティックタッチ面904が材料止め922に接触したときにハプティックタッチ面904の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるように構成された受動制動機構である。材料止め922は、ハプティックタッチ面904が材料止め922と接触すると圧縮され、圧縮された材料止めは、ハプティックタッチ面904の勢いを減衰させるか又はそれを減速させるヒステリシスを示す。
【0037】
この実施形態では、アクチュエーター902によってハプティックタッチ面904に対して生成されるか又は出力される力は、線形でありx軸に沿っており、ハプティックタッチ面904の平面に対して平行である。アクチュエーター902がハウジング構成要素906に対してハプティックタッチ面904を移動させる力を与えるとき、ハプティックタッチ面904は、方向矢印942によって示すように、x軸に沿って右横方向に移動する。言い換えれば、ハプティックタッチ面904は、材料止め922から離れて、方向矢印924の方向に移動するように作動される。ハプティックタッチ面904は、そのピークに達すると、戻って反対方向に移動する。言い換えれば、ハプティックタッチ面904は、x軸に沿って右横方向に移動した後、共振して、方向矢印928によって示すようにx軸に沿って左横方向に移動する。この実施形態では、ハプティックタッチ面904は、横方向に移動しているが、材料止め922は真下に位置する。戻りストローク中(すなわち、方向矢印928に示すように左横方向に移動しているとき)受動制動を作動させるようにハプティックタッチ面904を材料止め922に衝突させるために、ハプティックタッチ面904にはスペーサー920が結合されている。スペーサー920は、ハプティックタッチ面904の下側に、それと同時に移動するように結合されており、本明細書で用いるスペーサー920は、存在する場合、ハプティックタッチ面904の一体構成要素又は延長部とみなされるべきである。言い換えれば、ハプティックタッチ面904及びスペーサー920はまとめて可動質量体である。ハプティックタッチ面904が左横方向に移動するとき、スペーサー920は、材料止め922と衝突し、その後、材料止め922を圧縮して、システム900の勢いを減衰させハプティックタッチ面904に受動制動を与える。
【0038】
上述した実施形態は、1つの移動方向において制動するための材料止めを示すが、本発明の実施形態は、2つ以上の移動方向において受動的に制動するための2つ以上の材料止めを含むことができる。
【0039】
本明細書において、いくつかの実施形態について具体的に例示し及び/又は記載している。しかしながら、開示した実施形態の変更及び変形は、上記教示によって包含され、かつ本発明の趣旨及び意図された範囲から逸脱することなく添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが理解されよう。本発明による様々な実施形態について上述したが、それらは、限定ではなく単に例示及び例として提示されていることが理解されるべきである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細の様々な変更を行うことができることは、当業者には明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物のみに従って定義されるべきである。本明細書で考察した各実施形態の各特徴及び本明細書で引用した各参照文献の各特徴は、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができることも理解されよう。本明細書において考察した全ての特許及び刊行物は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。