【解決手段】平型導体2と導通接触する端子4と、端子4を保持するハウジング3と、ハウジング3に対して回動可能に軸支されており、平型導体2の係止縁2a1に回動により係止して平型導体2をハウジング3から抜け止めする係止部5d1を有するロック部材5とを備えるコネクタ1について、ロック部材5の操作部5eを端子4の基板接続部4aの上方に配置した。操作部5eが基板接続部4aに向けて押圧されて変位するため、操作部5eがハウジング3の上に配置される場合と比較して低背のコネクタ1とすることができる。
前記ロック部材は前記係止部を支持する腕部を有しており、前記係止部は前記ハウジングに収容されており、前記係止部が上方向に変位することで前記腕部が前記ハウジングの上面から突出する請求項1〜請求項3何れか1項記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、スマートフォンや車載用電子機器等、さまざまな分野での電子機器の小型化が進んでいる。よって、スペースを有効活用するためにこうした電子機器に搭載される各部品についても低背化が求められている。
【0005】
上記コネクタが備えるロック部材としては、ハウジングの天面部のさらに上側に配置されるものがある。こうしたロック部材をハウジングの天面部に向けて押圧することでロックを解除することができる。天面部との間にはロック部材が変位するための変位空間を設ける必要があるため、コネクタの底面部からロック部材の上部までの高さがより高くなり、コネクタが全体として高背化してしまう。そのため、従来のロック部材を備えるコネクタでは、低背化に限界がある。
【0006】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、接続対象物を固定するロック部材を備える低背のコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のように構成される。
【0008】
即ち本発明は、平型導体の挿入口と、平型導体の挿入側端部と対向する奥壁部とを有するハウジングと、ハウジングの内部で平型導体と導通接触し、奥壁部の外方に突出して基板と接続する基板接続部を有する端子と、ハウジングに対して回動可能に軸支されており、前記平型導体の係止縁に回動により係止して平型導体をハウジングから抜け止めする係止部を有するロック部材とを備えるコネクタについて、前記ロック部材は、端子の基板接続部の上方に配置され基板接続部に向けて押圧される操作部を有することを特徴とするコネクタを提供する。
【0009】
ロック部材の操作部が、ハウジングの奥壁部から突出している端子の基板接続部の上方に配置されることで、そうした操作部が例えばハウジングの上部に配置される場合と比較して、低背のコネクタとすることができる。また、基板接続部よりもさらに平型導体の挿入方向奥側に配置される場合と比較して、コネクタ全体を前記挿入方向で小型化することができる。さらにこうした操作部が基板接続部に向けて押圧されるため、操作部が変位するための変位空間をハウジングの上側に配置する必要がない。よって、コネクタを全体としてより低背にすることができる。
【0010】
前記本発明の操作部が前記端子の基板接続部とハウジングの上面との間に位置するものとすることができる。
【0011】
操作部がハウジングの上面よりも上側に突出しないようにすることで、より確実にコネクタを低背にすることができる。
【0012】
前記本発明のハウジングが、前記操作部を上方に付勢する支持ばね部を備えるものとすることができる。
【0013】
こうすることで、操作部を基板接続部の側に押圧したあと、支持ばね部によって操作部を押圧前の位置に戻すことができる。よって、作業者が操作部を操作する作業を省略することができる。
【0014】
前記本発明のロック部材は前記係止部を支持する腕部を有しており、前記係止部は前記ハウジングに収容されており、係止部が上方向に変位することで前記腕部が前記ハウジングの上面から突出するものとすることができる。
【0015】
こうすることで、接続対象物をハウジングに挿入する際に係止部が平型導体から押圧されて上側に変位して、腕部を前記ハウジングの上面から突出させることができる。またその後、係止部が係止縁に係止する際に下側に変位することで腕部が元の位置に戻り、突出部分が無くなる構成とすることで、作業者がこうした突出部分の有無を目視して、平型導体の係止が完了したことを確認することができる。これにより、平型導体のハウジングに対する半嵌合の発生を抑制できる。
【0016】
前記本発明のロック部材は、下端側に接続対象物の挿抜方向における手前側から奥側に向けて、上側に傾斜する傾斜部を有するものとすることができる。
【0017】
こうすることで、操作部が基板接続部の側に押圧された場合であっても、ロック部材の一部が基板などの他の部材に接触して十分に回動できなくなるといった事態を生じ難くすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコネクタによれば、平型導体の挿抜を容易に可能とするロック部材を備えつつも低背のコネクタを提供することができる。よって、搭載される電子機器の低背化に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のコネクタの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
本明細書、特許請求の範囲、図面では、コネクタ1の端子4の配列方向に沿う幅方向をX方向、平型導体2の挿抜方向に沿う前後方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。また、高さ方向Zにおける平面側を「上側」とし、底面側を「下側」とする。さらに、前後方向Yにおいて接続対象物の挿入方向手前側を「前」とし、挿入方向奥側を「後」とする。こうした上下、前後の特定は本発明のコネクタの実装方向、使用方向を限定するものではない。なお、コネクタ1について、左側面図は右側面図とは左右対称として表されるため、記載を省略する。
【0022】
実施形態〔図1〜図19〕:
コネクタ1は、基板Pに実装されて、基板Pの基板パターンと平型導体2とを導通接続するものである。本実施形態では特に基板Pに対して平置きして、平型導体2を基板Pの表面に沿って挿入する。このコネクタ1は、
図1〜
図7で示すように、ハウジング3と、複数の端子4と、ロック部材5と、支持ばね部6とを備える。
【0023】
また本実施形態では「接続対象物」の一例としてFFC(Flexible Flat Cable)やFPC(Flexible Printed Circuits)等の平型導体2を示して説明する。この平型導体2は、
図15で示すように、幅方向Xにおける両端側にロック用の切欠き部2aを1つずつ有する。切欠き部2aは係止縁2a1を有しており、後述する係止部5d1が係止縁2a1に係止する。また、こうした2つの切欠き部2aは前後方向Yにおける同じ位置に形成されている。
【0024】
〔ハウジング〕
ハウジング3は絶縁性の樹脂でなり、略直方体状に形成される。こうしたハウジング3は
図1〜
図7で示すように、天壁部3aと、底壁部3bと、側壁部3cと、奥壁部3dとを有している。また、ハウジング3の内部には、天壁部3aと、底壁部3bと、2つの側壁部3cと、奥壁部3dとによって形成されて平型導体2を収容する嵌合室3eと、嵌合室3eに平型導体2を挿入する挿入口3fとを有する。
【0025】
天壁部3aは、X−Y平面を有する。天壁部3aの後側には凹部3a1が形成されており、凹部3a1からは端子4の基板接続部4aが露出している。天壁部3aの上面3a2であって幅方向Xにおける両側には、スリット3a3が1つずつ設けられている。スリット3a3は、前後方向Yに沿う切込みとして形成されており、嵌合室3eと連通する。このスリット3a3には、後述するロック部材5のロック片5dを収容する。このように天壁部3aに、ロック片5dを収容するスリット3a3を設けることで、例えばハウジング3の内部にそれらの収容空間を設ける場合と比較してコネクタ1を全体として低背化することができる。また、ロック片5dは、こうしたスリット3a3の内部で上下に変位するため、ハウジング3自体にそうしたロック片5dが上下に変位するための変位空間を設ける必要がない。よって、コネクタ1全体をより低背とすることができる。
【0026】
底壁部3bは、天壁部3aに対向して配置される。底壁部3bの後側には凹部3b1が形成されており、凹部3b1からは端子4の基板接続部4aが露出している。こうした底壁部3bは、コネクタ1が基板Pに実装された状態で基板Pの表面と対向する。
【0027】
側壁部3cは、コネクタ1の幅方向Xにおける両側に1つずつ配置されており、天壁部3a及び底壁部3bと繋がる。側壁部3cには、幅方向Xに沿って突出する支持部3c1が設けられている。この支持部3c1は後述するロック部材5の取付孔5a1に挿入される。また、側壁部3cには溝部3c2が形成されている。この溝部3c2には支持ばね部6のハウジング固定部6aが圧入されて固定される。
【0028】
奥壁部3dは、ハウジング3における後側に配置される。奥壁部3dには端子4の固定穴(図示略)が複数設けられている。また、挿入口3fはハウジング3における前端に配置されており、嵌合室3eと連通する。挿入口3fから挿入された平型導体2は、嵌合室3eの内部で端子4と導通接触する。
【0029】
〔端子〕
端子4は、導電性の金属板を打ち抜いて形成される。この端子4は、
図16,
図17で示すように、一端側から順に基板接続部4aと、固定部4bと、接触部4cとを有する。基板接続部4aは基板Pに対して半田付けされて固定される。固定部4bは基板接続部4aに繋がって設けられ、ハウジング3の奥壁部3dに設けられる固定穴(図示略)に圧入されて固定される。接触部4cは固定部4bに繋がって設けられ、接触部4cが有する接点部4c1が嵌合室3eの内壁に設けられるスリット(図示略)から嵌合室3eの内部に突出する。接触部4cは固定部4bから2本ずつ伸長して形成されており、平型導体2に対して上側及び下側から挟み込むように導通接触することができる。このように本実施形態の「接続対象物」である平型導体2は、表裏両面に導電部(図示略)を有しており、端子4は各導電部と導通接触する接点部4c1を上側及び下側の両方に有する。しかしこうした構成は必須ではなく、平型導体2が導電部を表面または裏面のいずれか一方にのみ有する場合には、その導電部に対応する上側又は下側の何れか一方の接点部4c1のみを有していても良い。
【0030】
〔ロック部材〕
ロック部材5は、平型導体2をコネクタ1から抜けないように係止し、平型導体2の接続信頼性を向上させるためのものである。こうしたロック部材5は
図8,
図9で示すように、金属片を折り曲げて構成されており、ハウジング固定部5aと、カバー部5bと、連結部5cと、ロック片5dと、操作部5eとを有する。
【0031】
ハウジング固定部5aは、ロック部材5の幅方向Xにおける両端側に1つずつ設けられている。また、ハウジング固定部5aはY−Z平面を有しており、その略中央には取付孔5a1を有する。取付孔5a1には、ハウジング3の側壁部3cに設けられる支持部3c1が挿入されている。こうしてロック部材5はハウジング3に対して軸支されている。ハウジング固定部5aは支持部3c1が取付孔5a1に挿入された状態で、2つの支持部3c1を繋いだ軸を回転軸Aとして回動することができる。本実施形態のコネクタ1は、ハウジング3が突出形状の支持部3c1を有しており、ロック部材5が貫通孔でなる取付孔5a1を有する。しかし、ロック部材5がハウジング3に軸支される構成であれば上記に限定されない。すなわち、ハウジング3がそうした取付孔を有し、ロック部材5が取付け用の突出形状を有していても良い。
【0032】
また、ハウジング固定部5aの下端には、前側から後側に向けて、上方向に傾斜する傾斜部5a2が設けられている。
【0033】
カバー部5bは、ハウジング固定部5aに繋がる板状部分である。このカバー部5bは、ハウジング3の側壁部3cが有する支持ばね部6を上側から覆うように形成されている。カバー部5bの下面であって、ハウジング3の支持部3c1よりも前後方向Yにおける後側には、後述する支持ばね部6から押圧される当接部5b1が設けられる。
【0034】
連結部5cは、カバー部5bに繋がり、Y−Z平面を有する板状部でなる。連結部5cの下端には、ハウジング固定部5aと同様に前側から後側に向けて、上方向に傾斜する傾斜部5c1が設けられている。
【0035】
ロック片5dは、連結部5cと繋がる片持ち梁状として形成されており、本実施形態のロック片5dは特に前方向に伸長する。ロック片5dは、腕部5d3と、腕部5d3の先端から下向きに突出する係止部5d1が設けられている。また、係止部5d1は山型状でなり、その先端側には下側から上側に向けて傾斜するガイド縁5d2が形成されている。各ロック片5dが係止部5d1を1つずつ有するため、ロック部材5は全体として2つの係止部5d1を有する。これらの係止部5d1,5d1は前後方向Yにおける同じ位置に配置されている。ロック部材5が回転軸Aを中心として回動すると、係止部5d1は上下方向で変位する。
【0036】
操作部5eは連結部5cの後側に設けられ、幅方向Xに沿って伸長する板状片でなる。操作部5eの上部には、X−Y平面に沿う面であり押圧作業をするための操作面5e1が設けられる。また、1つの操作部5eが2つの連結部5cに連結して形成されるため、操作部5eを操作することで2つの係止部5d1によるロックを解除することができる。
【0037】
さらに操作部5eはハウジング3の奥壁部3dよりも後側であって、凹部3a1,3b1から露出する端子4の基板接続部4aの上方に配置される。こうした配置とすることで、例えば操作部5eをハウジング3の天壁部3aの上側に配置する場合と比較して、コネクタ1を全体として低背とすることができる。また、操作部5eを基板接続部4aのさらに後方に配置する場合と比較して、コネクタ1を前後方向Yで小型化することができる。さらに、ハウジング3に凹部3a1,3b1を設けることで、ロック片5dの操作部5eを配置するスペースを確保することができる。よって、例えばこうした凹部3a1,3b1を設けずにハウジング3の後方に操作部5eを配置する場合と比較して、コネクタ1を前後方向Yで小型化することができる。
【0038】
操作面5e1はハウジング3の天壁部3aの上面3a2よりも下側に配置されている。操作部5eを基板接続部4aの側に向けて高さ方向Zに沿って押圧することで、ロック部材5を回動させることができる。操作部5eと基板接続部4aの間には、押圧操作の際に操作部5eの変位を阻害する構造が設けられないため、操作部5eを十分に押圧操作することができる。また、基板接続部4aと天壁部3aの上面3a2との間で操作部5eを高さ方向Zで変位させることで、ハウジング3の上側やハウジング3の内部に操作部5eの変位空間を設ける場合と比較して、コネクタ1を全体として低背とすることができる。
【0039】
〔支持ばね〕
支持ばね部6は金属板を打ち抜いて形成される。特に本実施形態の支持ばね部6は、
図18,
図19で示すように、全体として略U字状をなし、一端側からハウジング固定部6aと、ばね部6bと、押圧片6cとを有する。ハウジング固定部6aは、ハウジング3の側壁部3cが有する溝部3c2に圧入されて固定されている。そのため、本実施形態のコネクタ1は支持ばね部6を2つ備える。
【0040】
ばね部6bは前後方向Yにおける操作部5eの側に向けて突出する略U字状に屈曲して形成されている。ばね部6bは板面に沿って弾性変形するため、より強い復元力
を発揮してロック部材5を支持することができる。
【0041】
押圧片6cは弾性片部6c1と、弾性片部6c1に弾性支持される押圧部6c2とを有する。弾性片部6c1はばね部6bから伸長する片持ち梁状でなる。押圧部6c2は、ロック部材5のカバー部5bが有する当接部5b1の真下に配置される。押圧部6c2は上側に突出する山状でなり、当接部5b1に対して上向きに押圧接触する。
【0042】
〔平型導体の挿入方法の説明〕
上記のように押圧片6cの押圧部6c2はカバー部5bの当接部5b1に対して上向きに押圧接触している。また、前後方向Yにおいて支持部3c1よりも前側には係止部5d1が配置され、後側には操作部5eが配置される。そのためロック部材5は、
図10〜
図12で示すように、左右の支持部3c1を繋いだ回転軸Aを中心としてシーソーのように回動する。すなわち、支持部3c1よりも後側に設けられる操作部5eやカバー部5bが上側に位置している状態で、支持部3c1よりも前側に設けられる係止部5d1や腕部5d3の先端側は下側に位置する。反対に操作部5eやカバー部5bが下側に位置している状態で、係止部5d1や腕部5d3の先端側が上側に位置する。
【0043】
嵌合室3eに係止部5d1が入り込んでいる状態で平型導体2を嵌合室3eに挿入すると、平型導体2の先端部2bがロック片5dの係止部5d1に当接する(
図13参照)。係止部5d1は前側にガイド縁5d2を有しており、平型導体2の先端部2bがガイド縁5d2を滑るように移動しつつ、係止部5d1を上側に持ち上げる。これにより平型導体2は係止部5d1によって下向きに押圧されつつその下方を通過する。その状態で、カバー部5bにおいて支持部3c1よりも後側にある当接部5b1は、係止部5d1とは反対に下側に向けて変位している。そのため、当接部5b1に当接している支持ばね部6は、下側に向けて押圧されて圧縮されるように弾性変形する(
図18参照)。こうして押圧部6c2から当接部5b1に対して上側に向かう復元力が掛かった状態となる。
【0044】
こうして係止部5d1が平型導体2によって上側に変位している状態で、ロック片5dが全体として上側に変位する。その際、ロック片5dの腕部5d3の先端側がハウジング3の天壁部3aに設けられるスリット3a3から上側に向けて突出する。
【0045】
この状態において、支持ばね部6のばね部6bの復元力が働くことで押圧部6c2はカバー部5bの当接部5b1に対して上向きに強く押圧接触している。そのため、平型導体2を嵌合室3eの奥まで挿入すると、支持ばね部6のばね力の作用によってロック片5dが回動して、係止部5d1が平型導体2の上側から下向き方向で切欠き部2aに入り込む(
図14,
図15,
図19参照)。その際、作業者は手元でクリック感を得ることができるため、平型導体2の嵌合作業が完了したことを確認できる。また、ハウジング3の天壁部3aの上側に突出していた腕部5d3先端側が下側に下がって、スリット3a3の内部に収容される。こうした構成とすることで、平型導体2の切欠き部2aにロック片5dの係止部5d1が入り込んでロックされ、嵌合作業が完了したことを目視でも確認することができる。よって、半嵌合のまま使用されて導通不良を生じるといった事態の発生を抑えることができる。
【0046】
この状態で平型導体2を嵌合室3eから引き抜こうとすると、係止部5d1が係止縁2a1に係止する。嵌合作業が完了した状態でも、支持ばね部6の押圧部6c2がカバー部5bの当接部5b1に対して押圧接触していることで、係止部5d1が下向きに付勢しているため、平型導体2が強く係止されている。よって、平型導体2をハウジング3に対して確実に抜け止めすることができる。
【0047】
〔平型導体の抜去方法の説明〕
平型導体2をハウジング3から抜去する際には、操作部5eを下側に向けて押圧する。操作部5eの操作面5e1は、上述のようにハウジング3の天壁部3aの上面3a2よりも下側に配置されている。よって作業者は、例えばコネクタ1が微小な大きさであったり、周りに実装部品が密集していたりするといった理由により目視が困難な環境で使用した場合であっても、手の感覚だけでロック部材5の操作部5eとハウジング3の天壁部3aとを区別することができる。
【0048】
上述のように、操作部5eを操作することで、ロック部材5は回転軸Aを中心として回動する。ハウジング固定部5aの下端には傾斜部5a2が設けられており、連結部5cには傾斜部5c1が設けられているため、それらが下側に下がった場合であってもハウジング固定部5aや連結部5cが基板Pに接触して回動を阻害されるといった事態を生じ難い。これにより、ロック部材5が十分に回動することができる。また、こうした傾斜部5a2,5c1を設けることで、ハウジング固定部5aが回動する際に基板Pに接触しないようにするために、ロック部材5をハウジング3における高い位置に取り付けて基板Pから離間させるといった必要がない。よって、コネクタ1全体をより低背化することができる。
【0049】
こうして係止部5d1が上側に変位して平型導体2の切欠き部2aから離間することで、ロックが解除される。この状態で、支持ばね部6はカバー部5bによって下側に向けて押圧されて、圧縮されるように弾性変形する(
図18参照)。その後、支持ばね部6の復元力により、押圧部6c2がロック部材5のカバー部5bの当接部5b1に対して上側に向けて押圧した状態となる(
図19参照)。
【0050】
ロックが解除された状態で平型導体2をコネクタ1の嵌合室3eから抜去する。その後、操作部5eの押圧を止めると、ロック部材5のカバー部5bが支持ばね部6によって上側に向けて持ち上げられる。これと同時に、ロック片5dが下側に下がってハウジング3の天壁部3aのスリット3a3の内部に収容され、係止部5d1が嵌合室3eの内部の位置に戻る。こうしたロック片5dの回動は、作業者の操作によることなく、支持ばね部6によって行われる。
【0051】
上記のように、本実施形態によればロック部材5を備えつつ低背のコネクタ1を実現することができる。よって、平型導体2を着脱可能で高い利便性を発揮するとともに、搭載される電子機器等の小型化に寄与するコネクタ1とすることができる。
【0052】
変形例:
前記実施形態では、ロック部材5の2つのロック片5dが有する係止部5d1が、互いに前後方向Yにおける同じ位置に配置される例を示した。これに対し、ロック部材5が有する係止部5d1が前後方向Yで異なる位置に配置されるものとすることができる。この場合、平型導体2としては、幅方向Xにおける両端側に設けられる切欠き部2aが前後方向Yで異なる位置であって、係止部5d1と同じ位置に配置されるものを使用する。上記のように前後方向Yで異なる位置に切欠き部2aを有する平型導体2を使用することで、平型導体2を表裏で誤った向きで挿入することを防止することができる。コネクタ1が有する端子4が、接点部4c1を上側又は下側の何れか一方にのみ有する場合には、こうした構成が特に有効である。
【0053】
前記実施形態では、支持ばね部6がハウジング3の幅方向Xにおける両端側に1つずつ、計2つ備える例を示した。これに対して、コネクタ1が支持ばね部6を1つだけ備えるものとしても良い。例えば幅方向Xにおける中央に配置することができる。この場合には、操作部5eの幅方向Xにおける中央に当接部を形成し、この当接部が押圧部6c2によって上側に押圧されることでロック片5dが下側に下がって平型導体2に対するロックがなされるものとしても良い。こうした構成とすることで、支持ばね部6を複数設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができる。また、より単純な構造のコネクタ1とすることができる。
【0054】
前記実施形態では、金属板の板面と平行な方向に沿って弾性変形する支持ばね部6として金属板を打ち抜いた板バネでなる例を示した。これに対して支持ばね部6としては、ロック部材5を回動させることができるものであれば他の形状でも良い。よって、例えば板厚方向に沿って弾性変形する板ばねとして形成することもできる。また、支持ばね部6を巻ばねとして形成することもできる。