(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-162795(P2017-162795A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】双極板組立体、燃料電池スタック、及び燃料電池スタックを形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/24 20160101AFI20170818BHJP
H01M 8/2485 20160101ALI20170818BHJP
H01M 8/0271 20160101ALI20170818BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20170818BHJP
【FI】
H01M8/24 Z
H01M8/24 S
H01M8/02 S
H01M8/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-2275(P2017-2275)
(22)【出願日】2017年1月11日
(31)【優先権主張番号】15/019,152
(32)【優先日】2016年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511095986
【氏名又は名称】ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】イェ−ハン・レイ
(72)【発明者】
【氏名】アニータ・ルオン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA13
5H126AA27
5H126AA28
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE11
5H126FF05
5H126FF07
5H126GG02
5H126GG18
5H126GG19
5H126HH02
5H126HH04
5H126JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】確実な燃料電池スタックシーリング材料及び方法の提供。
【解決手段】燃料電池30の金属双極板は、表面に反応物チャネル及び冷却剤チャネルを含み、それらは入口流路及び出口流路に流体連結されている。双極板の表面上にはビードが一体的に形成され、該ビード上には1つ又は複数の薄い又は低アスペクト比のマイクロシールが形成されており、反応物及び冷却剤が、各々の前記チャネルを通って流れるように、それらの流体分離を維持することによって漏れの低減を助けるために使用される燃料電池スタックジリング材料。整列された電池組立体がスタック1のハウジング5内に圧縮支持されるまで、燃料電池30内でマイクロシールとその隣接する表面との間に形成された接着結合の活性化を遅らせることによって、反応物又は冷却剤の漏れを回避するためのマイクロシール及びその隣接表面の能力が強化される方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックを形成する方法において、
双極板組立体の一対の板を準備することであって、前記板のそれぞれは、
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、係合部を画定する、一体的に形成されたビードと
を備える、双極板組立体の一対の板を準備することと、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に堆積されたマイクロシールを硬化することと、
前記少なくとも1つの硬化したマイクロシールが、(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)前記一対の板の第2の板の係合部と、(d)前記一対の板の前記第1の板の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとから構成された群からの表面に接するように、前記一対の板を積み重ね寸法に沿って互いに面するように隣接して協働するように整列させることと、
前記組立体のそれぞれの前記一対の板間の協働係合時に、前記係合部と、それらの間に配置された前記硬化したマイクロシールのうちのいずれかとを前記表面に接触させて、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離させるように、前記積み重ね寸法に沿って整列された前記組立体のスタックを圧縮形成することと、
前記整列された組立体が前記ハウジング内で圧縮支持された後にのみ、前記整列された組立体のそれぞれの内部で前記第1の接触した表面間の接着を実質的に活性化することと
を備える方法。
【請求項2】
前記スタックの前記圧縮形成後までそれらの間に接着を実質的に形成しないように、前記マイクロシールの前記硬化は前記係合部上で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1のマイクロシールを前記配置することは、スクリーン印刷、パッド印刷、射出、又は分配から構成された群からの方法によって前記第1のマイクロシールを堆積することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
燃料電池システム用の双極板組立体において、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールと
を備え、
整列、積み重ね、及び前記組立体と隣接する双極板組立体との間に形成された圧縮係合の前に、前記マイクロシールが実質的に硬化されるようになっており、前記マイクロシール及び前記係合部は前記組立体内部の別の表面と協働して、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離する、双極板組立体。
【請求項9】
前記別の表面は、(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)前記隣接する双極板組立体の係合部と、(d)前記隣接する双極板組立体の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとから構成された群から選択される、請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、請求項8に記載の組立体。
【請求項11】
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、請求項8に記載の組立体。
【請求項12】
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、請求項8に記載の組立体。
【請求項13】
ハウジングと、
積み重ね軸に沿って前記ハウジング内部で整列された複数の個々の燃料電池と
を備え、
前記電池のそれぞれは、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板間に配置された膜電極接合体であって、前記一対の板からの前記反応物チャネルのそれぞれが前記膜電極接合体内部の各電極と流体連通して配置されるようになっている、膜電極接合体と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールであって、前記マイクロシールは整列前に実質的に硬化するが、隣接する(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)隣接する双極板組立体の係合部と、(d)前記複数の電池が前記ハウジング内で圧縮して収容されるまで前記隣接する双極板組立体の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとのうちの少なくとも1つと実質的に接着結合されない、マイクロシールと
を備える燃料電池スタック。
【請求項14】
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、請求項13に記載のスタック。
【請求項15】
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、請求項13に記載のスタック。
【請求項16】
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、請求項13に記載のスタック。
【請求項17】
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、請求項16に記載のスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は概して、燃料電池組立体に用いられる接合された又は流体連通する流体供給板内の反応物及び冷却剤の流れのシーリングを改善するための装置及び方法に関し、特に、板の一方又は両方の協働面上に一体的に形成されて、板表面内に画定されたチャネルを通って運ばれる反応物又は冷却剤に対してより効果的な流体分離を提供する金属ビード上に配置されたマイクロシールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]燃料電池は、電気化学反応を介して燃料を使用可能な電気に変換する。そのようなエネルギー生成手段の重要な利点は、中間ステップとして燃焼に依存することなく達成されることである。したがって、燃料電池は、推進及び関連する動力用途のための内燃機関(ICE)よりもいくつかの環境上の利点を有する。プロトン交換膜又は高分子電解質膜(いずれの場合もPEM)のような典型的な燃料電池では、一対の触媒電極が、一般的に膜電極接合体(MEA)と呼ばれるイオン透過媒体(Nafion(商標)など)によって分離されている。ガス状の還元剤(水素、H
2など)の形態の第1の反応物がアノードに導入され、アノードでイオン化された後、他方の電極(カソード)を介して導入されたガス状の酸化剤(酸素、O
2など)の形態の第2の反応物と結合するようにイオン透過媒体を通過させられるときに、電気化学反応が生じる。反応物のこの結合は、副生物として水を形成する。第1の反応物のイオン化において遊離された電子は、有効な仕事をし得る負荷(電気モーター、並びに、種々のポンプ、バルブ、圧縮機、又は他の流体送出構成要素など)を典型的に含む外部回路を介して直流(DC)の形態でカソードへ進む。DC電流のこの流れによって生じる発電は、多数のそのような電池を結合してより大きな電流生成組立体にすることによって増大することができる。1つのそのような構成では、燃料電池が共通の積み重ね寸法(トランプカードの1組によく似ている)に沿って結合されて燃料電池スタックを形成する。
【0003】
[0003]そのようなスタックでは、(反応物、冷却剤及び副生物の搬送を促進することに加えて)MEAの構造的支持、並びに、電気的な電流収集又は搬送を提供する典型的にガス透過性双極板の形態の一連の反応物流チャネルによって、隣接するMEAが互いから隔離される。1つの共通の形態では、チャネルは、各板の概して対向する平坦な表面の大部分を覆う概して蛇状の配置である。板及びMEAの並置は、燃料電池への又は燃料電池からの反応物の流れを促進する一方で、(反応物チャネルから流体的に切り離された)追加的なチャネルも冷却剤の送出用に使用できる。1つの配置では、双極板自体は、表面にスタンプされた又は他の方法で一体的に形成されたチャネルを有する一対の薄い金属シート(半板と呼ばれる)を固定することによって形成された組立体である。各側のチャネルによって形成された種々の反応物及び冷却剤の流路は典型的に、板の1つ又は複数の対向する縁に画定されたマニホールド(本明細書では、マニホールド領域又はマニホールド範囲とも言う)において集中する。これらの特徴(並びに、PEM燃料電池で使用可能なそのような双極板組立体の典型的な構造)の全ての例は、参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれる共有の米国特許第5776624号及び米国特許第8679697号に図示されるとともに記載されている。
【0004】
[0004]PEM燃料電池スタック内の漏れ及び関連する流体のクロストークを回避することが重要である。そのような漏れを解消するために、本発明の譲受人は、双極板の比較的平坦な表面の離散した部分上に比較的厚いエラストマーシール材を適用した。必要なシーリングの程度を確立するのに有用であるが、このシール材の厚いという性質により、100を超える双極板及びMEA組立体で構成された実際の燃料電池スタックでは、そのようなアプローチは実現不可能になる。特に自動車のエンジンルームの限られたスペースにおける容積の懸念が重要となる。さらに、シールの一貫した再現性のある配置を確実にすることの難しさにより、このアプローチは費用がかかるものになる。
【0005】
[0005]厚いエラストマーシール材を使用することの代替では、本発明の譲受人は、一体的に形成された双極板シーリングを開発し、そこでは、反応物チャネル及び冷却剤チャネルを形成するために使用されるものと概ね同様の方法で板表面に形成されたスタンピングが、ガスケット状の外方に突出する金属ビードを生成して、隣接する板表面間に離散した接触点を確立する。これらのビード(長方形、台形、半球、又は他の関連する形状の断面を画定するように形成され得る)は、上述したような厚いエラストマーシール材の堆積によるものよりも大量生産のニーズに関してより適合性がある。特に、譲受人は、薄く、比較的軟らかく、追従するシール層を適用し、理想的な状態では、公称のシール圧(シール材の長さをシール材の幅で除した値に対する付加されたスタック力に基づく)が実質的に均一になるべく、シール材の長さに沿って厚さ又は構造剛性に変化がない。それにもかかわらず、板の1つ又は複数の領域の周囲のビードの長さに沿う有効シール圧及びそれに伴う漏れの変化が避けられないような、形成されたビードの寸法公差並びにスタック内の100個以上の個々のセルの整列不良の両方が存在する、燃料電池スタック製造の固有の曖昧さを特に考慮すると、適切なシーリング及びビードの長さに沿った圧力変化の回避は達成するのが難しい。
【0006】
[0006]双極板組立体内部でシール材をどのように接着するかということから追加的な障害が生じる。上記のように検討した譲受人によって以前に研究されたアプローチでは、シール材はまず、それ自体とビードの基材との間の接着結合を形成する。上述したように、従来の厚いシール材がそのような結合に比較的鈍感である一方、本発明者らは、シール材の厚さを低減しようとするいかなる試みも、シール材が下にある基材との間の境界においてどのように制約されるかということに敏感な重要なシール圧をもたらすということを発見した。例えば、比較的薄い(すなわち、約0.15mmの高さ)1.1mmの幅のシール材の場合、接着を失うか、又は、そもそも接着がない場所は、完全な接着を有する同じシールよりも著しく低い圧力を示すことがある。過酷な自動車環境で動作する燃料電池スタックに関連する長い使用寿命が多くの場合、硬化したシール材の長さに沿っていくらかの剥離をもたらすという事実から、さらなる障害が生じる。本発明者らが行った以前の研究は、ある箇所又は区域が燃料電池スタックの寿命の間に接着を失う場合、その範囲はシール圧の75%を失う可能性があり、容認できないほど高いレベルの反応物又は冷却剤の漏れをもたらし得ることを示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5776624号
【特許文献2】米国特許第8679697号
【特許文献3】米国特許出願第15/019100号
【特許文献4】米国特許第4919969号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「The Effect of Compressibility on the Stress Distributions in Thin Elastomeric Blocks」、Yeh−Hung Lai, D. A. Dillard and J. S. Thornton in The Journal of Applied Mechanics、1992年
【発明の概要】
【0009】
[0007]上記障害を考慮して、本発明者らは、そのような双極板を使用する双極板組立体又は燃料電池スタック内で使用されているシール材の損失又は不均一な接着に対して保護する確実な方法、並びに、そのようなシール材を一体的に形成された金属ビードと併せて使用する方法を発見した。本発明の一態様によれば、燃料電池スタックを形成する方法が開示される。その方法は、双極板組立体で使用される一対の板を設け、各板は、その表面に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル及び冷却剤マニホールドの1つ又は複数と、表面から突出する一体的に形成された金属ビードとを含んでいる。金属ビードの最上部分は、面するように隣接する板の適合性のある表面、MEA、又はマイクロシールが配置された関連する表面の1つと面するように協働するように構成された全体的に平坦なガスケット状の係合部を画定する。マイクロシールが金属ビード上に形成されそれに結合される状況では、その組合せは金属ビードシール(MBS)と呼ばれる。1つの形態では、その組立体は、隣接して対向する表面間の積み重ね又は関連する係合の前にマイクロシールが硬化されるように、第1のマイクロシールを第1の板のビードの係合部上に配置することによって積み重ねられる。そのような硬化のため、マイクロシールは、(比較的弱いファンデルワールス力等を介してなど)関連する表面(すなわち、サブガスケット、金属ビードの係合部、MEA又は第2の硬化したマイクロシール)に一時的に結合される又は取り付けられるようになる。この硬化の後、これらの組立体は、積み重ね寸法に沿って対応するMEAに関して整列され、次いで、スタックを最終的かつ適切な高さ方向の寸法にする手段として、ハウジング内に圧縮状態に置かれる。各組立体内(並びに任意に隣接する組立体間)にマイクロシールと板との間に配置される接着の活性化は、スタックが実質的に組み立てられ、ハウジング内で適切に整列されて圧縮支持された後にのみ行われる。そのようなマイクロシールとその隣接基材との間の接着の事後的な活性化は、マイクロシールが最終的なスタック内でより完全かつ均一に分布することを可能にする効果を有する。さらに、それは、スタックの動作寿命にわたって起こり得るその後の接着の損失に対して、シール圧を鈍感にするのに役立つ。
【0010】
[0008]本文脈において、バルクマイクロシール材料の硬化及び境界での接着の活性化は2つの別個のステップとして理解されるべきであり、硬化は、所望の構造を製造する手段として、マイクロシールのポリマー網目構造内の架橋を促進するための熱又は関連する薬剤の使用に相当し、一方、接着の活性化は、マイクロシール材料と、それが取り付けられる基材(具体的には、金属ビード及びサブガスケットのいずれか又は両方)との間に実質的に永久的な化学結合を作り出すことである。1つの好ましい形態では、一対の板のうちの第2の板のビードの係合部は、一対の板間の協働係合時に2つのMBSが接触して、スタック操作時にチャネル又はマニホールドのそれぞれの1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤の実質的に流体分離を提供するように、第2のマイクロシールに接触する。別の好ましい形態では、マイクロシールは、MEAの周囲で漏れの低減を提供するために使用されるサブガスケットに適用することができる。
【0011】
[0009]本文脈では、「マイクロシール」という用語は、本発明の薄く、低アスペクト比(すなわち、1未満)のシールを、厚い(すなわち、1以上の高アスペクト比の)構造を使用するシールから区別することを意味する。上述したように、比較的厚いシールは、大多数の双極板、MEA及び関連する構成要素を含む燃料電池スタックの大量生産で経済的に実行可能ではなく、本発明の範囲外であるとみなされる。さらに本文脈では、有効シール圧(又は有効シーリング圧又は有効圧力、いずれの場合もP
eff)は、非常に薄い形態のそのようなシールの使用を伴う堆積したマイクロシールの剛性又は追従のずれを考慮する点で従来のシーリング圧と異なる。本発明者らは、従来のバルク材料特性が、幾何学的閉じ込めのためにこれらの非常に薄いマイクロシールの構造の下には適用されないことを確定した。例えば、普通に追従するシールを構成するエラストマー材料は、シールがその幅に対して非常に薄いときに硬化した振る舞いをし始め、したがって、シールがその高さに対して比較的幅広の状況で、適用された荷重に応じてシールが圧縮する能力に対する空間的制約が生じ始める。これらの空間的制約は、マイクロシールが1つ又は複数の基材に接着剤で結合されているときにより顕著である。これらの効果は、有効弾性率(E
eff)を、マイクロシールを構成するエラストマー材料のバルク特性の有効弾性率(E
eff)より著しく高くする傾向もある。E
effのこの増加及びシール圧P
effに関連する詳細は、「The Effect of Compressibility on the Stress Distributions in Thin Elastomeric Blocks」、Yeh−Hung Lai, D. A. Dillard and J. S. Thornton in The Journal of Applied Mechanics、1992年と題する文献に見出すことができ、その内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。このより高い有効弾性率はそれ自体、同じ程度のマイクロシールの圧縮変位に影響を及ぼすために相応してより高い圧縮荷重を必要とすることを明らかにする。燃料電池スタックは典型的に1から6MPaの間のシール荷重下で組み立てられるので、スタックを組み立てるプロセス中に(接着配置された(又は他の方法で形成された)圧縮係合された構成要素の早期の活性化等を介して)マイクロシールの変位を制限することは、基材(すなわち、金属ビード、サブガスケット又はMEA)の表面の凸凹に適合するマイクロシールの能力を抑制することと同等であり、これは望ましくないことに、漏れの発生も増加させる。本発明は、本明細書で検討するようなシール−基材結合に関連する空間的制約を解放することによって避けるのが、このタイプの抑制された動きである。
【0012】
[0010]本発明の別の態様によれば、燃料電池システムの双極板組立体は、その表面に画定された、1つ又は複数の反応物チャネルと、反応物マニホールドと、冷却剤チャネルと、冷却剤マニホールドとをそれぞれ有する一対の板を含み、開示される。少なくとも1つの板は、反応物チャネル又は冷却剤チャネルを画定する板突出部に概ね類似した方法で表面から突出する一体的に形成された金属ビードシールを画定する。
【0013】
[0011]本発明のさらに別の態様によれば、燃料電池スタックが開示される。そのスタックは、ハウジング内の積み重ね軸に沿って整列されるとともに圧縮して収容された多数の個々の燃料電池を含んでいる。電池のそれぞれは、表面が互いに面するように隣接して配置された一対の板を含み、各表面は、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル及び冷却剤マニホールドのうちの1つ又は複数を画定する。表面は、そこから突出してその上に係合部を画定する一体的に形成された金属ビードも含んでいる。MEAは、少なくともいくつかの板対の間に配置され、そのような場合、そのような一対の板からの反応物チャネルのそれぞれは、MEA内のそれぞれのアノード又はカソードと流体連通するように配置される。マイクロシールは、整列前の時点で実質的に硬化されるが、多数の電池がハウジング内に圧縮して収容されるまで実質的に接着結合されないように、一対の板の少なくとも第1の板の係合部に配置される。電池の構造の性質に応じて、マイクロシールからのそのような接触は、隣接するサブガスケット、MEA、隣接する双極板組立体の係合部に堆積された隣接する双極板組立体及び硬化したマイクロシールの係合部のいずれか1つにすることができる
[0012]これら及び他の態様又は実施形態は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読むことから当業者には明らかになるであろう。
【0014】
[0013]本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示され、図面の様々な構成要素が必ずしも一定の縮尺で図示されていない、以下の図面と併せて読むと最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のある態様によって組み立てることができる燃料電池スタックの模式的な分解図である。
【
図2】周りを囲む双極板を有する燃料電池の一部の部分的に分解された断面の簡略図である。
【
図3】本発明のある態様によってマイクロシールに適応可能な金属ビードを含む、
図2からの双極板の上方詳細図である。
【
図4】本発明のある態様によって個々の電池の積み重ね、整列及び圧縮の前にマイクロシールと双極板組立体の基材との間の接着結合の形成を避けることがどれくらい漏れの防止を改善するかを示すグラフである。
【
図5】本発明のある態様による隣接して配置された双極板組立体内の金属ビード、マイクロシール及びサブガスケットの相対的な配置の簡略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0014]最初に
図1から3を参照すると、分解された形態(
図1)の燃料電池スタック1、PEM燃料電池30(
図2)及び双極板組立体65(
図3)の簡略図が示されている。スタック1は、ドライエンドユニット板10及びウェットエンドユニット板15から構成されたハウジング5を含み、これら(並びに、図示しない他のもの)は、ハウジング5の圧縮保持システムの圧縮締め付け作用を行うのを助けることができ、そのような圧縮保持システムは、スタック1の厚さを貫通するように延びる多数のボルト(図示せず)、並びに、ウェットエンドユニット板15をドライエンドユニット板10に固定するために積み重ね方向(Y軸)に沿って垂直に配置された様々な側板20及び堅いブラケット要素25を含んでいる。多数の燃料電池30のスタックは、ハウジング5内でボルト、ブラケット要素25及び他の構成要素の作用によって積み重ね方向に沿って圧縮関係で固定して保持されている。したがって、本文脈では、燃料電池1の積み重ね軸は実質的に垂直な(すなわち、Y)デカルト軸に沿うことができる一方、燃料電池30のそれぞれの全体的に平坦な表面の大部分はX−Z平面内に存在する。それにもかかわらず、スタック1内の電池30の特定の向きは重要ではないが、以下でより詳細に検討される個々の板の表面上に形成された景観を視覚化する便利な方法を提供することが当業者には理解されるであろう。
【0017】
[0015]特に
図2及び3を参照すると、燃料電池30は、実質的に平坦なプロトン交換膜35と、プロトン交換膜35の一方の面に面するように接するアノードの触媒層40と、プロトン交換膜35の他方の面に面するように接するカソードの触媒層45とを含んでいる。プロトン交換膜35と触媒層40及び45はひとまとめにして、MEA50と呼ぶ。アノードの拡散層55がアノードの触媒層40に面するように接して配置され、一方で、カソードの拡散層60がカソードの触媒層45に面するように接して配置される。拡散層55及び60のそれぞれは、触媒層40及び45へのガス状の反応物の輸送を促進するために全体的に多孔性構造を有するように作られている。アノードの触媒層40及びカソードの触媒層45はひとまとめにして、電極と呼び、図示されるように又は(上述したように)代替的に分離した識別できる層として、拡散層55又は60のそれぞれに少なくとも部分的に埋め込まれるようにして、並びに、プロトン交換膜35の対向する面に部分的に埋め込まれるようにして形成することができる。
【0018】
[0016]反応物ガスがプロトン交換膜35の適切な側に到達するために実質的に多孔性の流路を設けることに加え、拡散層55及び60は、電極触媒層40及び45と双極板組立体65との間に電気的接触を与え、この電気的接触は集電器としての役割も果たす。さらに、その全体的に多孔性の性質によって、拡散層55又は60は、触媒層40、45において生じる生成物のガスを除去するための導管も形成する。さらに、カソードの拡散層60は、カソードの拡散層内に非常に大量の水蒸気を生じる。そのような特徴は、プロトン交換膜35を含水した状態に維持するのを助けるために重要である。拡散層内の水の透過は、少量のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は関連する材料を導入することを通して調節することができる。
【0019】
[0017]厚い壁の構造を有するようなものが
図2に概念的に示されているが、組立体65を構成する個々の板65A及び65B(本明細書では半板とも呼ばれる)は好ましくは、薄いシート状又はフォイル状の構造(
図3と併せて以下でより詳細に図示及び記載されるように)を使用し、したがって、
図2は、相対的な組立体65の厚さを推測するのに使用すべきでない。面するように隣接した半板65A及び65Bによって画定された簡略化した対向表面は、スタック1の隣接するMEA及び層(いずれも図示されていない)から各MEA50及びそれに付随する拡散層55、60を分離するために設けられる。1つの半板65Aがアノードの拡散層55に係合する一方、第2の半板65Bがカソードの拡散層60に係合する。半板65A、65Bを構成する2つの薄い、面する金属シートは、(適切な圧縮及び関連する接合技術で)板組立体65を画定する。各半板65A及び65B(組立て時には全体が一体として双極板65を構成する)は、それぞれの板表面に沿って多数の反応物ガス流チャネル70を画定する。双極板65は、純粋に長方形の反応物ガス流チャネル70及び周りを囲む構造を画定するように(定型化の目的で)示されているが、より正確な(及び好ましい)実施形態は全体として蛇形状のチャネル70を使用するだろうということが当業者には理解されるであろう。チャネルの頂部は、面する板の相補的な形状のランド部72との係合表面としての役割を果たすランド部72を画定する。
【0020】
[0018]動作中、H
2のような第1のガス状の反応物は、半板65Aからチャネル70を通ってMEA50のアノード側に送られる一方、O
2(典型的には空気の形態)のような第2のガス状の反応物は、半板65Bからチャネル70を通ってMEA50のカソード側に送られる。アノード40及びカソード45のそれぞれにおいて触媒反応が起こり、プロトン交換膜35を通って移動するプロトンと、双極板65と拡散層55及び60との接触によって拡散層55及び60と双極板65とを通って伝動され得る電流をもたらす電子とを生成する。関連するチャネル(図示せず)は、燃料電池1によって生成される温度の制御を助けるために冷却剤を運ぶのに使用することができる。半板65A、65Bが冷却剤の流れ用に構成されている状態では、それらの反応物搬送板の対応物と同等の特徴は同様の構成であり、ここではさらに詳細には検討しない。
【0021】
[0019]サブガスケット75(その一部が切取図に示されている)は、シーリングを高めるためにスタック1内の多くの場所に配置することができる。好ましい形態では、それらは、非導電性でガス不透過性材料(プラスチック等)から作られ、その材料はMEA50の周囲に取り付けられて、様々な導電層(アノード側の電極40及びガス拡散層55と、カソード側の電極45及びガス拡散層60等)を分離する。サブガスケット75の別の重要な機能は、MEA50の縁部の周りの反応物の交差漏れ及び関連する混合を防止することである。1つの形態では、サブガスケット75は、MEA50の縁部を保護するために周囲に配置される全体として平坦なフレーム状部材を画定する。したがって、サブガスケット75は好ましくは、(以下で検討される)エラストマーシールがMEA50若しくは(以下で検討される)1つ又は複数の金属ビードの対向面のいずれかと接触する場所に配置される。これにより、反応物ガス及び冷却剤の外部への漏れ、並びに、マニホールド範囲85でのそれらの混合を低減するのに役立つ。さらに、サブガスケット75(好ましくは、約50μmから250μmの厚さ)は多くの場合、膜35の活性表面の面積を増加する手段として、触媒層40及び45間のガスと電子との分離をMEA50の縁部まで拡張するために使用される。
【0022】
[0020]特に
図3を参照すると、双極板組立体を形成する2つの隣接して積み重ねられた半板65A、65Bを示す分解図がより詳細に示されている。特に、個々の半板65A、65Bはそれぞれ、活性範囲80及びマニホールド範囲85の両方を含み、前者は、MEA50と拡散層55及び60とに相当する電気化学的に活性な範囲に関して平坦に面する関係を確立し、後者は、板65A、65Bを貫通するように形成された孔が、反応物、冷却剤又は副生物を積み重ねられた燃料電池30に送り除去するための導管としての役目を果たし得る縁部範囲(図示せず)又は周囲範囲(図示せず)に相当する。
図3の分解図から分かるように、これら2つの半板65A、65Bは、MEAとアノード及びカソードの拡散層55、60とのサンドイッチ状構造を形成するために使用でき、次いで、燃料電池スタック1を形成するのに必要なだけ頻繁に繰り返すことができる。1つの形態では、アノードの半板65A及びカソードの半板65Bの一方又は両方は、耐食性材料(304L SS等)から作られる。全体的に蛇状のガス流チャネル70は、隣接した1つのマニホールド範囲85である1つの縁部90付近から隣接した対向するマニホールド範囲85である対向する縁部95付近まで曲がりくねった経路を形成する。分かるように、反応物(MEA50に面する関係で配置された板65A、65Bの場合)又は冷却剤(冷却剤チャネルが形成された別の板65Bの後ろに面する関係で配置された板65Aの場合)は、活性範囲80と1つの(例えば、供給)縁部90のマニホールド範囲85との間にあるヘッダー100を形成する一連の繰り返し通路又は溝からチャネル70に供給され、同様の構成が、対向する(例えば、排出)縁部95上に存在する。代替的な実施形態(図示せず)では、供給マニホールド範囲及び排出マニホールド範囲が同じ縁部(すなわち、90又は95のいずれか)に隣接するように存在できる。個々の板65A、65Bが成形可能な材料(上述したステンレス鋼等)から作られている状況では、様々な表面の特徴(溝、チャネル、ランド部等を含む)は好ましくは周知の技術によってスタンプされ、これにより、(以下でより詳細に検討されるであろう)金属ビードに加え、チャネル70、ランド部72及びそれらそれぞれの構造が、単一のシート材料から一体的に形成される。
【0023】
[0021]次に
図5を参照すると、1つの実施形態では、各板65A、65Bを構成する金属ビード105の全体的に平坦な一部は、サブガスケット75に面するように係合し、この平坦な係合部は、マイクロシール110によってサブガスケット75が接合され得るガスケットとしての役割を果たす。別の実施形態(図示せず)では、各板65A、65Bを構成する金属ビード105の全体的に平坦な一部は、対向する双極板65B、65Aの金属ビード105に面するように係合し、そのような両方の実施形態は、本発明の範囲内であると考えられる。いずれかの構成では、金属ビード105のガスケット状の構造及びマイクロシール110が共にMBS115を画定する。金属ビード105のガスケット状の性質は、それぞれの板65A、65Bを構成する薄い金属材料から打ち抜きによって形成された、直立した長方形、(図示されるような)台形又はわずかに湾曲した突起として形成されていることから生じる。金属ビード105は好ましくは、約300μmから600μmの高さと、約1mmから4mmの幅とを画定する。頂面は、板65A、65Bの一方又は両方内に一体的に形成され得るランド部72と全体的に同様の構造及び機能である係合部107を画定する。したがって、係合部107は、マイクロシール110、サブガスケット75、MEA50又は隣接する金属ビード105に面して配置されるように設計された金属ビード105の領域に相当する。重要なことに、マイクロシール110は、(a)係合部107内の金属ビード105又はサブガスケット75の表面の欠陥を埋めるように機能し、(b)金属ビード105の不均一な圧縮高さを構成するために追従クッションを提供することにより金属ビード105の長さに沿って、長さに対するより均一なシール力を引き起こすように機能し、(c)流体(反応物等)がそのバルクを透過することを防ぐように機能し、(d)スタック1の形成中に正確な係合に応じて、(i)サブガスケット75とマイクロシール110との間又は(ii)金属ビード105とマイクロシール110との間のいずれかに形成された境界を通して漏れるのを防ぐように機能する。係合部107に取り付けられたエラストマーマイクロシール110が示されているが、マイクロシール110は、サブガスケット75の表面上へ、並びに(又はその代わりに)、金属ビード105に直接形成することができることも当業者には理解されるであろう。マイクロシール110が板65A、65B又は他の構造に直接取り付けられた変形例のように、そのような全ての変形例が本発明の範囲内であると考えられる。
【0024】
[0022]1つの好ましい実施形態では、マイクロシール110は、約30μmから300μmの厚さであり、約1mmから3mmの幅である。そのような寸法に関して、マイクロシール110は、スタック1の形成を伴う高い圧縮負荷の下、変更することができる。マイクロシール110を構成する材料の空間的閉じ込め及び本質的な非圧縮性は、マイクロシール、特に、マイクロシール110が接着される金属ビード105又はサブガスケット75の係合部107の対応する基材との境界において応力を生じさせることができる。発明者らは、スタック1が組み立てられて圧縮される後まで接着結合の形成を実質的に遅らせることによって、境界の制約及び関連する影響を緩和することにより顕著な応力の低減を実現できることを発見した。これは、応力に起因する早期のマイクロシール110の破損の可能性も減少させる。潜在的な接着が本発明に従って使用され得る理想的な意味において、スタック1の組立て及び圧縮の前に、マイクロシール110と隣接する基材との間に接着結合が生じることはなく、理想からの小さく比較的重要でないずれが生じる本発明内の状況でさえ、その程度は、そうでなければ比較的迅速な接着の確実な程度に関連するであろう境界の制約が実質的に軽減されるように限定される。したがって、本文脈では、接着結合の形成に関係する記載(サブガスケット75と隣接する基材との「実質的に活性な接着」というフレーズ等)は、スタック1の組立て及び圧縮の作業が完成するまでそのような結合の実質的に大部分が避けられる限り、スタック1の組立て及び圧縮の前に接合された表面間の境界領域でわずかな量の接着結合が発展し得るそのような状況を包含するものと理解されるであろう。
【0025】
[0023]実際には、スタック1の組立て前の非潜在的な接着の残量が少ないことは、組立て及び圧縮前の個々の部品の取り扱いの改善を促進する上で有益でさえあり得る。このようにして、マイクロシール110の結合から生じる残留接着は、それほど大きくないのでスタック1の形成前に隣接する組立体65(又は組立体65内の個々の構成要素)間に永久的な対面整列を設定するように作用するが、そのような取り扱いを促進する手段として隣接する表面間の相対的な面内滑りを避けるのに十分である。その目的のために、本発明者らは、マイクロシール110が硬化された後であるがより永久的な接着ステップが活性化される前に、マイクロシール110と金属ビード105との間のいくぶん弱い形態の接着を有することが望ましいと確定した。したがって、スタック1の組立て中に、圧縮力から生じる境界の機械的応力は、これらの比較的弱い結合を破壊することが予想されるので、マイクロシール110は境界領域に沿って広がることができる。1つの形態では、マイクロシール110を適用して硬化させた後、この一時的な接着度をもたらす手段として、マイクロシール110と金属ビード105との間の比較的弱い結合(ファンデルワールス力又は関連する相互作用等)を促進することができる。本文脈では、そのような弱い(又は一時的な)形態の接着は、強い化学結合を生じる共有結合によるもののような、より永久的な変形と区別されるべきである。したがって、実質的に全ての接着剤の活性化は、スタック1内の全ての燃料電池が整列されて一緒に圧縮された後にのみ起こるが、残留接着は除外できる。
【0026】
[0024]マイクロシール110を形成するために使用される材料は、弾性プラスチック又はエラストマー(ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、カルボキシル化ニトリル等を含む)から作られ、好ましくは、当業者に知られたスクリーン印刷プロセスによって塗布されるが、パッド印刷、射出成型、他の堆積技術のような他のアプローチを用いてもよい。上述したように、好ましい形態では、マイクロシール110によって形成された層は約30から300μmの厚さを有する一方、係合部107を横切る好ましい幅は約1mmから3mmである。さらに特定の形態では、マイクロシール110に使用される材料は少なくとも、シリコーン(例えば、ビニルジメチルシロキサンの形態、PDMS)と、構造補強材(シリカ、SiO
2等)と、結合触媒(ビニル−SiH結合用のPt担持触媒等)と、接着促進剤(1,2ビス(トリエトキシシリル)エタン等)とを含んでいる。これらの好ましい製剤の1つを使用することによって、マイクロシール110は2つの特性を示し、1つ目の特性は迅速な硬化及び構造の設定を促進し、2つ目の特性は、燃料電池スタック1の組立て及び圧縮後まで境界の接着結合の形成を遅らせる。これらの材料(並びに、スクリーン印刷を使用して、適切な金属ビード105又はサブガスケット75の基材上に材料を堆積すること)に関連する詳細は、同時に出願された「SEAL MATERIAL WITH LATENT ADHESIVE PROPERTIES AND A METHOD OF SEALING FUEL CELL COMPONENTS WITH SAME」と題する米国特許出願第15/019100号(以下、’100出願)に見つけることができ、この出願は、本発明の譲受人によって所有され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。シールの形成に特有なスクリーン印刷の追加的な特徴は、ウォーカーによる「METHOD OF MANUFACTURING A SEAL」と題する米国特許第4919969号の例示的な形態に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
[0025]次に
図4を参照すると、予測されたシール圧対変位を描くグラフが、先行技術に対する本発明の改善を明らかにする例として示されている。上述したように、燃料電池スタックの公称シール圧は約1から6MPaである。チャートに示された先行技術及び本発明の両方の場合では、マイクロシールの幅及び厚さの値がそれぞれ、1.1mm及び0.15mmに設定された。先行技術の場合では、マイクロシールと金属ビードとの接着は、セルが組み立てられる前に活性化され、0.046mmの変位(位置Aに相当)で3MPaの公称シール圧に達するのに対し、本発明の場合では、マイクロシール110と金属ビード105との接着は、マイクロシール110が硬化した後に活性化され、これも3MPaの公称シール圧にさらされ、このときの変位は0.092mm(位置Cに相当)であった。したがって、本発明は、同じ3MPaのシール圧に関してより多くの変位を必要とし、これは、マイクロシール110が、結合された双極板の隣接する金属ビード105間の全ての隙間及び凸凹を満たすように、整列、積み重ね及び(少なくとも)一部の圧縮プロセス中に、マイクロシール110が移動する機会を有益に可能にする(
図2の板65A及び65B等)。本発明の別の利点は、スタック1の寿命中に接着損失(位置Aから位置Bに向かう矢印に相当)の場合にシール圧を維持する能力にある。燃料電池スタックにおいて、隣接する双極板間の距離は典型的には定数として維持され、これにより本発明の金属ビード105及びマイクロシール110に一定の変位が加えられることが知られている。従来のシール材は、その接着を失うと境界領域に沿って広がり、位置Aから位置Bへ移動するように描かれるように、シール圧の3MPaから1MPa未満への低下ももたらす。一方、整列及び圧縮ステップ中に依然として存在する比較的接着の少ない境界が、スタックの組立てプロセス中に境界に沿ってマイクロシール110を横方向に広げさせるので、本発明からのサンプルのシール圧は接着損失の場合に減少せず、これにより、スタックの形成及びその後の接着結合の形成時における最終的な形状及び寸法に定まる。さらに、(例えば、大きな変位に圧縮することによって先行技術の場合に同じ公称圧力を達成しようとすると生じる場合のある)過度のシール圧は、特に高い材料応力、クリープ等の形成において、マイクロシール110だけでなくスタック1内の他の構成要素に有害な影響を及ぼす。
【0028】
[0026]図示されていないが、PEM燃料電池のスタック1に基づくシステムに関する1つの特定の用途は、自動車又は関連する乗物とすることができる。本文脈において、用語「乗物」は、車、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、又は、バス、航空機、船舶、宇宙船及びオートバイ等の自動推進の形態のような他のものに適用可能であり、全ては、推進力又は動力を発生させる目的で本発明と協働しているとみなされる。
【0029】
[0027]「好ましくは」、「概して」及び「典型的に」のような用語は、特許請求の範囲の発明の範囲を限定すること、又は、ある特徴が重大、必須、若しくは、特許請求の範囲の発明の構造又は機能にとって重要でさえあることを暗示することのために本明細書において使用されるのではないことを留意されたい。むしろ、これらの用語は、本発明の特定の実施形態で使用できるか又は使用できない代替的な特徴又は追加的な特徴を強調することを単に意図している。同様に、用語「実質的に」及び「おおよそ」並びにそれらの変形は、任意の量的比較、値、測定値又は他の表現に寄与することができる不確定さの固有の程度を表現するために本明細書では使用される。上述したように、隣接するマイクロシール110とそれらの関連基材との間に弱い一時的な接着形態が使用されるに過ぎないことを確実にする方法に関しては、燃料電池スタック1の組立てを変更するために使用される場合、用語「実質的に」は本明細書では、これらの一時的又は残留接着手段のいくつかが、問題の主題の基本機能に変化をもたらすことなく本明細書で使用され得ることを表すために使用され、したがって、組立て中に様々なスタック1の構成要素を適所に保持するこれらのより弱くより一時的な方法のいくつかを含むことによって、様々な積み重ねられた電池が整列され、一緒にプレスされ、スタック1内に固定されるまで、重要な(すなわち、より永久的な)接着形態が使用されないという事実を損なうことはない。
【0030】
[0028]特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく変更及び変形が可能であることは明らかである。特に、本発明の範囲は、記載された好ましい態様及び例示された態様に必ずしも限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきであると考えられる。
【符号の説明】
【0031】
1 燃料電池スタック
5 ハウジング
30 燃料電池
65 双極板組立体
70 反応物チャネル
75 サブガスケット
105 金属ビード
107 係合部
110 マイクロシール
【手続補正書】
【提出日】2017年4月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックを形成する方法において、
双極板組立体の一対の板を準備することであって、前記板のそれぞれは、
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、係合部を画定する、一体的に形成されたビードと
を備える、双極板組立体の一対の板を準備することと、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に堆積されたマイクロシールを硬化することと、
前記少なくとも1つの硬化したマイクロシールが、(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)前記一対の板の第2の板の係合部と、(d)前記一対の板の前記第1の板の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとから構成された群からの表面に接するように、前記一対の板を積み重ね寸法に沿って互いに面するように隣接して協働するように整列させることと、
前記組立体のそれぞれの前記一対の板間の協働係合時に、前記係合部と、それらの間に配置された前記硬化したマイクロシールのうちのいずれかとを前記表面に接触させて、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離させるように、前記積み重ね寸法に沿って整列された前記組立体のスタックを圧縮形成することと、
前記整列された組立体が前記ハウジング内で圧縮支持された後にのみ、前記整列された組立体のそれぞれの内部で前記第1の接触した表面間の接着を実質的に活性化することと
を備える方法。
【請求項2】
前記スタックの前記圧縮形成後までそれらの間に接着を実質的に形成しないように、前記マイクロシールの前記硬化は前記係合部上で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
燃料電池システム用の双極板組立体において、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールと
を備え、
整列、積み重ね、及び前記組立体と隣接する双極板組立体との間に形成された圧縮係合の前に、前記マイクロシールが実質的に硬化されるようになっており、前記マイクロシール及び前記係合部は前記組立体内部の別の表面と協働して、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離する、双極板組立体。
【請求項7】
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、請求項6に記載の組立体。
【請求項9】
ハウジングと、
積み重ね軸に沿って前記ハウジング内部で整列された複数の個々の燃料電池と
を備え、
前記電池のそれぞれは、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板間に配置された膜電極接合体であって、前記一対の板からの前記反応物チャネルのそれぞれが前記膜電極接合体内部の各電極と流体連通して配置されるようになっている、膜電極接合体と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールであって、前記マイクロシールは整列前に実質的に硬化するが、隣接する(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)隣接する双極板組立体の係合部と、(d)前記複数の電池が前記ハウジング内で圧縮して収容されるまで前記隣接する双極板組立体の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとのうちの少なくとも1つと実質的に接着結合されない、マイクロシールと
を備える燃料電池スタック。
【請求項10】
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、請求項9に記載のスタック。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
[0028]特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく変更及び変形が可能であることは明らかである。特に、本発明の範囲は、記載された好ましい態様及び例示された態様に必ずしも限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきであると考えられる。
(項目1)
燃料電池スタックを形成する方法において、
双極板組立体の一対の板を準備することであって、前記板のそれぞれは、
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、係合部を画定する、一体的に形成されたビードと
を備える、双極板組立体の一対の板を準備することと、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に堆積されたマイクロシールを硬化することと、
前記少なくとも1つの硬化したマイクロシールが、(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)前記一対の板の第2の板の係合部と、(d)前記一対の板の前記第1の板の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとから構成された群からの表面に接するように、前記一対の板を積み重ね寸法に沿って互いに面するように隣接して協働するように整列させることと、
前記組立体のそれぞれの前記一対の板間の協働係合時に、前記係合部と、それらの間に配置された前記硬化したマイクロシールのうちのいずれかとを前記表面に接触させて、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離させるように、前記積み重ね寸法に沿って整列された前記組立体のスタックを圧縮形成することと、
前記整列された組立体が前記ハウジング内で圧縮支持された後にのみ、前記整列された組立体のそれぞれの内部で前記第1の接触した表面間の接着を実質的に活性化することと
を備える方法。
(項目2)
前記スタックの前記圧縮形成後までそれらの間に接着を実質的に形成しないように、前記マイクロシールの前記硬化は前記係合部上で生じる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、項目1に記載の方法。
(項目6)
第1のマイクロシールを前記配置することは、スクリーン印刷、パッド印刷、射出、又は分配から構成された群からの方法によって前記第1のマイクロシールを堆積することを備える、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、項目5に記載の方法。
(項目8)
燃料電池システム用の双極板組立体において、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールと
を備え、
整列、積み重ね、及び前記組立体と隣接する双極板組立体との間に形成された圧縮係合の前に、前記マイクロシールが実質的に硬化されるようになっており、前記マイクロシール及び前記係合部は前記組立体内部の別の表面と協働して、前記スタックの操作時に前記ビードによって画定された前記チャネル又はマニホールドの各1つを通って運ばれる反応物又は冷却剤を実質的に流体分離する、双極板組立体。
(項目9)
前記別の表面は、(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)前記隣接する双極板組立体の係合部と、(d)前記隣接する双極板組立体の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとから構成された群から選択される、項目8に記載の組立体。
(項目10)
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、項目8に記載の組立体。
(項目11)
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、項目8に記載の組立体。
(項目12)
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、項目8に記載の組立体。
(項目13)
ハウジングと、
積み重ね軸に沿って前記ハウジング内部で整列された複数の個々の燃料電池と
を備え、
前記電池のそれぞれは、
一対の板であって、それぞれの板が
前記板の表面上に画定された、反応物チャネル、反応物マニホールド、冷却剤チャネル、及び冷却剤マニホールドのうちの少なくとも1つと、
前記表面から突出し、一体的に形成された金属ビードであって、その上に係合部を画定するビードと
を備える、一対の板と、
前記一対の板間に配置された膜電極接合体であって、前記一対の板からの前記反応物チャネルのそれぞれが前記膜電極接合体内部の各電極と流体連通して配置されるようになっている、膜電極接合体と、
前記一対の板の少なくとも第1の板の前記係合部上に配置されたマイクロシールであって、前記マイクロシールは整列前に実質的に硬化するが、隣接する(a)サブガスケットと、(b)膜電極接合体と、(c)隣接する双極板組立体の係合部と、(d)前記複数の電池が前記ハウジング内で圧縮して収容されるまで前記隣接する双極板組立体の前記係合部上に堆積された硬化したマイクロシールとのうちの少なくとも1つと実質的に接着結合されない、マイクロシールと
を備える燃料電池スタック。
(項目14)
前記マイクロシールは、約30μmから約500μmの塗布時の厚さを画定する、項目13に記載のスタック。
(項目15)
前記マイクロシールは、約0.5mmから約3.0mmの塗布時の幅を画定する、項目13に記載のスタック。
(項目16)
前記マイクロシールは、ポリアクリレート、アルハイドレーティドクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンアクリル、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレンビニルアセテート、パーフルオロエラストマー、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、ポリイソプレン、微細セルポリウレタン、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、TFE/プロピレン、シリコーン、及びカルボキシル化ニトリルから構成された群から選択されたエラストマーを備える、項目13に記載のスタック。
(項目17)
前記マイクロシールは少なくとも、シリコーンと、構造補強材と、結合触媒と、接着促進剤とを備える、項目16に記載のスタック。
【外国語明細書】