【解決手段】本発明の利用状況検出装置は、例えばホテルのレストラン内に設置される複数のテーブルに各々設けられ、テーブルの振動若しくは荷重の変化量を個々に検出する変化検出部51と、変化検出部51で検出される変化量に応じて、テーブルが個々に使用中であるか否かを判定する判定部71と、判定部71の判定結果から、レストラン内における複数のテーブルに関する人の利用状況を通知する通知部72と、を備えている。
前記判定部は、前記検出部で検出される変化量が閾値以上に達した後、第1時間が経過するまでの間に再び前記閾値以上に達したら、当該検出部に対応する前記被監視体が利用中であると判定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の利用状況監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における利用状況検出装置の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、宿泊施設としてのホテルに導入されるVOD(ビデオ・オン・デマンド)システムと連動した利用状況検出装置1の概略構成図である。ホテル館内には、周知のように複数の客室A1,A2,…やレストランRなどを備えているが、本実施形態における利用状況検出装置1は、客室A1,A2,…に滞在する顧客を含む不特定の人が出入りするレストランRを計測領域として、そのレストランR内での人の利用状況を検出するもので、被監視体であるテーブルT1,T2,…に各々装着された検出端末2と、これらの検出端末2との間で通信を行なう一台の親機3と、を備えている。また、ここでのVODシステムは、客室A1,A2,…毎に設置されるVOD端末11と、ホテル内に設置される一台のVODサーバ12と、インターネット13などの通信手段を経由して、複数のVODサーバ12との間と接続されたホテル外のVODセンター装置14とにより構成される。ホテル内において、客室A1,A2,…内の各VOD端末11と、レストランR内の親機3は、LANケーブルなどの接続線16を用いて管理サーバとしてのVODサーバ12と電気的に接続され、これによりVODサーバ12と各VOD端末11はもとより、VODサーバ12と親機3との間で、各種情報のやり取りができる構成となっている。
【0017】
客室A1のVOD端末11は、遠隔操作器としてのリモコン21を個別に備え、またVODセンター装置14から配信される各種映像コンテンツを表示する映像表示手段としテレビ受像機22が接続される。リモコン21は、VOD端末11やテレビ受像機22を無線で遠隔操作するために、操作部として一乃至複数の操作キー23と、この操作キー23の押動操作に応じた赤外線信号を発信する発光部24とを備えている。さらに、VOD端末装置11の正面には、リモコン21からの赤外線信号を受信する受光部25が設けられる。
図1では、客室A1以外の構成を図示していないが、他の客室A2…についても同様の構成を備える。
【0018】
利用状況検出装置1の親機3は、各テーブルT1,T2,…に設置された検出端末2からの検出データを無線で受信し、レストランR内の人の混雑状況を示す混雑度データを、接続線16を経由してVODサーバ12に通知する機能を有する。VODサーバ12には、親機3から送られるレストランR内における各テーブルT1,T2,…の利用状況などの各種情報を記憶保持するために、記憶部26が内蔵される。そして、例えば客室A1で顧客がリモコン21の操作キー23を操作して、ホテル内の施設の利用状況を問い合わせるための指示信号をリモコン21からVOD端末11を介してVODサーバ12に送信すると、VODサーバ12は記憶部26から読み出した各種情報に基づき、レストランR内の利用状況をテレビ受像機22に表示させるための信号を、客室A1のVOD端末11に送出する構成となっている。つまりここでの利用状況検出装置1は、レストランR内の検出端末2や親機3だけでなく、レストランR外部のVOD端末11やVODサーバ12を含むものとなっている。なおVODサーバ12は、レストランRに加えて、ホテル内の他の施設(例えば、コインランドリー,共同風呂)の利用状況も、各客室A1,A2,…でリアルタイムに提供できるように構成してもよい。
【0019】
図2および
図3は、レストランR内に設置したテーブルT1に検出端末2を取付けた例を示したものである。顧客が食事などに利用するテーブルT1は、床面Fに接する複数の支脚27と、支脚27の上部に固定される水平な天板28とにより構成される。箱状の検出端末2は、顧客から見えにくい位置として、例えば天板28の下面中央に取付けられる。検出装置2の内部には、テーブルT1の振動を検出して電気信号に変換する振動検出素子として、後述する圧電素子35が内蔵されるが、圧電素子35に代わり、若しくは圧電素子35に加えて、テーブルT1への荷重を電気的な重量検出信号に変換するロードセル29のような重量検出素子を設けてもよい。
図3に示すように、ロードセル29はテーブルT1の全荷重の変化を直接受けるのに、好ましくは床面Fに接する支脚27の下端に取付けられ、テーブルT1に加わる力に応じて、その電気抵抗値が変化する構成を有している。この場合に図示しないが、ロードセル29と検出端末2との間には、無線または有線の接続手段が設けられる。
【0020】
図4〜
図6は、例としてテーブルT1に取付けられる検出端末2の内部構成を示すものである。同図において、31は検出端末2の外郭をなすケーシングであり、このケーシング31は金属板材を折曲げ形成したもので、上部を開口した有底箱状を有し、前後上端より外方に略水平に、ケーシング31の上面をなすフランジ32が延設される。フランジ32には、複数の取付孔33が開口形成され、これらの取付孔33に挿通するねじなどの止着部材(図示せず)を、天板28の底面に螺着することで、テーブルT1の天板28にケーシング31を取付けることが可能になる。ケーシング31の内部には、重り34を載せた圧電素子35を台座36に取付けた振動検出ユニット37と、乾電池(図示せず)などの電源を内蔵する電装ユニット38がそれぞれ収容される。
【0021】
圧電素子35は、円板状の素子本体35Aに図示しないリード線を接続した構成で、本実施形態では素子本体35Aへの振動に伴う撓み量を増幅させるために、素子本体Aの一側を台座36に取付け固定する一方で、素子本体Aの他側に重り34を取付け固定している。また、金属板材を折曲げ形成した台座36は、振動で上下動する重り34と干渉しないように、矩形状に切欠いた切欠き39が形成される。つまり素子本体35Aは、その一部が切欠き39に張出すように配設され、その張出した部分の上面に、圧電素子35を振動させ易くするためのウエイトである重り34が配設される。
【0022】
台座36の上面を形成する略水平なフランジ41には、テーブルT1の天板28への取付けを可能にする複数の取付孔42が開口形成される。これらの取付孔42に位置するように、台座36のフランジ41と天板28との間にスペーサ43を各々介在させ、取付孔42とスペーサ43に挿通するねじなどの止着部材(図示せず)を、天板28の底面に螺着することで、ケーシング31に取り囲まれた振動検出ユニット37を、ケーシング31と非接触で天板28に取付け固定でき、圧電素子35によるテーブルT1の正確な振動検出が可能となる。
【0023】
圧電素子35は、テーブルT1に振動音が発生したときのみ、音声検出信号となる電圧をリード線から電装ユニット38に出力するものであるが、振動音が発生しない場合には、検出端末2としての消費電力を最小にする回路構成が電装ユニット38に組み込まれている。これは、電池の交換の手間を無くすために必要で、例えば単三型のリチウム電池では、その寿命が約5年以上の使用を可能にする。その他、電装ユニット38は一次電池や二次電池を内蔵するのではなく、外部電源を使用してもよい。なお、
図2〜
図6では、テーブルT1以外の検出端末2の構成を図示していないが、他のテーブルT2…の検出端末2についても、同様の構成を備える。
【0024】
図7は、検出端末2や親機3の電気的構成を示したものである。同図において、テーブルT1,T2,…毎に備え付けた個々の検出端末2は、変化検出部51と、電源処理部52と、データ処理部53と、無線送信部54と、送信用のアンテナ55とを備えており、これらの各構成は、上述した電装ユニット38に電池と共に組み込まれている。
【0025】
変化検出部51は、圧電素子35からの音声検出信号および/またはロードセル29における電気抵抗値の変化分に応じた重量検出信号を受けて、テーブルT1の振動および/または重量の変化量に関するデータをデータ処理部53に出力するものである。電源処理部52は、電池からの電圧(電池電圧)を必要に応じて動作電圧に変換し、検出端末2の各部に供給すると共に、電池電圧の値を検出して、その電池電圧に関するデータをデータ処理部53に出力するものである。データ処理部53は、変化検出部51からの変化量が予め設定した閾値以上になった時に、電源処理部52からの電池電圧に関するデータに、各テーブルT1,T2,…の検出端末2に固有の識別子を付加した送信データを、無線送信部54に出力するものである。無線送信部54は、データ処理部53からの送信データを、アンテナ55から無線で親機3に伝送するものである。
【0026】
一方、親機3は、電源部61と、受信用のアンテナ62と、無線受信部63と、データ処理部64と、LAN制御部65とを備えている。また、各テーブルT1,T2,…の現在の利用状況を表示したり、データ制御部64やLAN制御部65における各種設定を変更したりするために、データ処理部64には操作部67や表示部68が接続される。操作部67や表示部68は、親機3と一体に組み込んでもよいし、親機3にではなくVODサーバ12に接続してもよい。
【0027】
電源部61は、商用電源であるAC100Vを動作電圧に変換し、親機3の各部に供給するものである。無線受信部63は、アンテナ62で捕捉した各テーブルT1,T2,…の検出端末2からの送信データを、データ処理部64に転送するものである。データ処理部64は、無線受信部63からの送信データを受けて、予め設定した条件に基いて、レストランR内におけるテーブルT1,T2,…の利用状況を検出し、その検出結果をLAN制御部65に出力するもので、ここでは無線受信部63から送信データを受ける毎に、その送信データに含まれる識別子から、どの検出端末2で振動や重量が閾値以上に達したのかを特定し、それにより個々のテーブルT1,T2,…について、人の使用中であるか否かを判定する判定部71と、判定部71の判定結果から、レストランR内における各テーブルT1,T2,…の利用状況を、表示部68やVODサーバ12などに通知する通知部72と、を備えている。LAN制御部65は、通知部72からのテーブルT1,T2,…の利用状況に関するデータを、LANケーブルによる接続線16を介してホテルのVODサーバ12に送出するものである。
【0028】
図8は、表示部68における様々な画面表示を示す図である。これは親機3を動作させるのに、電源部61に所定の電源電圧を供給した状態で、データ処理部64からの表示制御信号により表示部68に表示されるものである。なお、
図8の画面表示はあくまでも一例で、表示の形態や配置や順番などは適宜変更して構わない。
【0029】
図8(A)は、全てのテーブルT1,T2…の利用状況を示すメイン画面を示している。データ処理部64は時刻をカウントする計時部(図示せず)を内蔵しており、その計時部による現在時刻がメイン画面中の時刻表示部75に表示される。その他にメイン画面中には、監視対象となるテーブルT1,T2…の番号を個々に表示すると共に、どのテーブルT1,T2…の番号で人が使用中であるのかをリアルタイムで表示する状況表示部76と、データ処理部64が無線受信部63からの送信データを受け付ける開始時刻(START)と終了時刻(STOP)をそれぞれ表示する監視時間表示部77が、各々配設される。
【0030】
図8(A)に示す例では、現在時刻が「12時35分」であることを時刻表示部75で表示し、「01」〜「25」までの番号に対応した25台のテーブルT1,T2…で、データ処理部64により人が利用しているか否かの監視が行われ、その中で「05」,「06」,「08」,「18」,「19」,「20」の番号に対応したテーブルで、人が利用している状況を状況表示部76で表示している。また監視時間表示部77では、例えばレストランRの営業時間である「06:30」〜「10:00」の間と、「11:30」〜「14:00」の間と、「17:30」〜「20:00」の間で、データ処理部64により人が利用しているか否かの監視を行なっていることを表示している。
【0031】
図8(B)は、データ制御部64やLAN制御部65における各種設定を変更可能にするメニュー画面である。このメニュー画面と
図8(A)に示す通常のメイン画面は、特定の操作部67を操作することで切替えが可能である。メニュー画面内には、監視時間「1・MONITORING・TIME」,検出設定「2・DETECTION・SET」,LAN−1設定「3・LAN−1」,LAN−2設定「4・LAN−2」,タイマー設定「5・TIMER」,LANインターフェース設定「6・LAN・I/F・SETTING」と表示された画面選択表示部78が配設され、操作部67の操作により、その何れかの設定画面を選択して表示させることができる。
【0032】
図8(C)は、前述のメニュー画面で一番目の監視時間を選択した場合に表示される監視時間設定画面である。この監視時間設定画面内には、前述した開始時刻と終了時刻の設定値を表示する監視時間設定表示部81が配設される。
図8(C)に示す監視時間設定画面では、当該画面の表示中に操作部57を適宜操作すれば、1日の中で最大3回の監視時間について、その開始時刻と終了時刻を各々可変して設定できるように、データ処理部53を構成している。ここで設定された後の監視時間はデータ処理部64に記憶保存され、メイン画面の監視時間表示部77に表示される。
【0033】
図8(D)は、前述のメニュー画面で二番目の検出設定を選択した場合に表示される検出設定画面である。この検出設定画面内には、監視対象となるテーブルT1,T2…の最大数(MAX・NUMBER)の設定値を表示する最大数設定表示部82と、待ち時間(WAIT TIME)の設定値を表示する待ち時間設定表示部83と、カウンター(COUNTER)の回数設定値を表示するカウンター設定表示部84と、保持時間(KEEP TIME)の設定値を表示する保持時間設定表示部85が各々配設される。そして、当該画面の表示中に操作部57を適宜操作すれば、これらの各設定値を各々可変して設定できるように、データ処理部64を構成している。ここで設定された後の各設定値はデータ処理部53に記憶保存され、例えば最大数設定表示部82の設定値を25に設定すると、
図8(A)に示すように、監視対象となる25台のテーブルT1,T2…に対応して、「01」〜「25」までの番号が状況表示部76に表示される。
【0034】
図8(E)は、前述のメニュー画面で五番目のタイマー設定を選択した場合に表示されるタイマー設定画面である。このタイマー設定画面内には、前述の計時部でカウントされる時刻を時と分で各々表示する現在時刻表示部86が配設される。そして、当該画面の表示中に操作部57を適宜操作すれば、計時部でカウントされる時刻を各々可変して設定できるように、データ処理部64を構成している。
【0035】
なお、
図8(B)に示すメニュー画面で、三番目のLAN−1設定や、四番目のLAN−2設定や、六番目のLANインターフェース設定の何れかを選択した場合の表示画面は、本発明と直接関係しないので説明を省略する。また、
図8(C)〜(E)に示す各設定画面から操作部57を適宜操作すれば、
図8(B)に示すメニュー画面に表示を戻すことができる。
【0036】
なお、
図8に示す各表示画面の中で、
図8(A)に示すメイン画面だけは、VODサーバ12を通して客室A1,A2,…内のテレビ受像機22に表示させることも可能である。これにより、客室A1,A2,…を利用する顧客は、レストランRまで足を運ばなくても、状況表示部76に表示される各テーブルT1,T2…の利用状況から、レストランR内の混雑度を正しく把握することが可能になる。
【0037】
本実施形態のデータ処理部64は、内蔵する計時部でカウントされる時刻が、予め設定記憶される監視時間内にある場合にのみ、各テーブルT1,T2…の検出端末2からの送信データを判定部71で処理させ、それ以外の時間ではどのテーブルT1,T2…の検出端末2からも送信データを判定部71で処理させないように構成している。これは、例えばレストランRの営業時間外で、レストランR内の利用状況を無駄に検出するのを防ぐためである。また、操作部67からの操作により監視時間を可変設定できる構成とすることで、レストランRの営業時間の変更などにも迅速に対応できる。その他にデータ処理部64は、予め設定した監視対象となるテーブルT1,T2…の最大数に基づき、内蔵する計時部でカウントされる時刻が、予め設定記憶される監視時間内にある場合でも、その最大数に対応する検出端末2からの送信データだけを判定部71で処理させる構成となっている。こうして、必要な時間帯に必要な検出端末2からの送信データだけを、判定部71で効率よく処理させることが可能になる。
【0038】
こうしたデータ処理部64における処理条件に加えて、本実施形態の判定部71は、特定の例えばテーブルA1を監視する検出端末2からの送信データを受け入れると、その検出端末2に対応するテーブルA1が利用中であると判定されていなければ、データ処理部64に設定記憶される待ち時間が経過するまで、同じ検出端末2からの送信データを再び何回受け入れるのかをカウントする。そしてこのカウント数が、待ち時間の間にデータ処理部64に設定記憶されるカウンターの回数に達した場合は、その時点でテーブルA1は人が利用中であると判定を切替える。一方、待ち時間が経過してもカウント数がデータ処理部64に設定記憶されるカウンターの回数に達しなければ、テーブルA1は利用中ではないと判定される。
【0039】
つまり、検出端末2の変化検出部51で検出される振動や荷重の変化量が閾値以上に達し、当該検出端末2から送信データが判定部71に受け入れられても、判定部71は直ちにその検出端末2に対応する例えばテーブルT1が利用中であるとは判定しない。その後で判定部71は、予め設定した待ち時間の間に、再びその検出端末2で振動や荷重の変化量が一乃至複数回閾値以上に達し、それに対応する送信データが判定部71に受け入れられた時点で、テーブルT1が利用中であると判定するので、判定部71による誤判定を極力排除できる。
【0040】
また判定部71は、例えばテーブルA1について上述のように人が利用中であると判定すると、その時点からデータ処理部64に設定記憶される保持時間が経過するまでの間に、同じ検出端末2からの送信データが再び受け入れられるか否かを監視する。もし保持時間中に、テーブルA1に対応する検出端末2からの送信データを判定部71で受け入れれば、その時点から再び同様の監視を開始する。一方、保持時間中にテーブルA1に対応する検出端末2からの送信データを判定部71で受け入れなければ、保持時間が終了した時点で、テーブルA1は人が利用中ではないと判定を切替える構成となっている。
【0041】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、テーブルT1,T2,…に各々装着される検出端末2は、電装ユニット38に内蔵する乾電池を電源として、検出端末2の各部に動作電圧が供給される。これにより、例えばテーブルT1に対応する検出端末2では、圧電素子35からの音声検出信号やロードセル29からの重量検出信号を変化検出部51で受けて、テーブルT1の振動や重量の変化量に関するデータがデータ処理部53に出力される。このとき、テーブルT1を人が食事などで利用していれば、その利用中に発生するテーブルT1の振動音が圧電素子35で検出される。実際に圧電素子35は、テーブルT1を軽く叩く程度の振動音を検出でき、人の可聴域以外の周波数の振動音も良好に検出できる。またロードセル29を使用した場合、テーブルT1に加わる人の荷重がロードセル29で検出される。圧電素子35はロードセル29に比べて安価であり、コストの面で好ましいが、本実施形態の利用状況検出装置1としてロードセル29を用いても構わない。
【0042】
そしてデータ処理部53は、変化検出部51からのデータに基づき、テーブルT1の振動や重量の変化量が予め設定した閾値以上になった時に、電源処理部52からの電池電圧に関するデータや、検出端末2に固有の識別子を含む送信データを、無線送信部54に出力し、当該送信データがアンテナ55から無線で親機3に伝送される。こうした送信データは、他のテーブルT2,…に対応する検出端末2からも、同様にアンテナ55を介して無線で親機3に伝送される。特に本実施形態の検出端末2は、例えばテーブルT1の振動音が発生しない場合のように、テーブルT1の振動や重量の変化量が予め設定した閾値に達しなければ、親機3への送信データの送出を行なわない。そのため、検出端末2としての消費電力を最小にできる。
【0043】
一方、親機3は、電源部61からの動作電圧を受けて各部が動作し、操作部67や表示部68を接続することで、監視時間の設定値や、監視対象となるテーブルT1,T2…の最大数の設定値や、待ち時間の設定値や、カウンターの回数設定値や、保持時間の設定値が予めデータ処理部64に記憶保持される。これらの設定値は、前述の
図8(B)〜(E)の各画面を表示部68に表示させながら、操作部67を操作することで、何時でも任意に変更することが可能である。親機3の動作中は、各テーブルT1,T2,…の検出端末2からの送信データが、アンテナ62を介して無線受信部63で受信される。
【0044】
親機3のデータ処理部64は、内蔵する計時部でカウントされる時刻が、予め設定記憶される監視時間内にある場合にのみ、予め監視対象となるテーブルT1,T2…の最大数に基づき、その最大数に対応する検出端末2からの送信データだけを受け入れて、判定部71で判定させる。つまり
図8(A)のようなメイン画面の例では、「06:30」〜「10:00」の間と、「11:30」〜「14:00」の間と、「17:30」〜「20:00」の間の各時間帯に、「01」〜「25」までの番号に対応した25台のテーブルT1,T2…について、これらのテーブルT1,T2…を監視する検出端末2からの送信データだけを、判定部71に受け入れて処理させる。
【0045】
なお、送信データには前述のように電池電圧に関するデータも含まれているので、この電池電圧に関するデータを利用して、各検出端末2の電池電圧を親機3やVODサーバ12で把握することが可能になる。その場合、データ処理部64に設定記憶される監視時間や、監視対象となるテーブルT1,T2…の最大数に拘らず、電池データに関するデータをデータ処理部64で処理してもよい。これにより親機3やVODサーバ12は、全ての検出端末2の電池電圧を常時把握できる。
【0046】
判定部71は、上述した監視時間内に、監視対象となる例えばテーブルT1に対応する検出端末2からの送信データを無線受信部63で受信すると、その検出端末2に対応するテーブルA1が利用中であると判定されているか否かを判断する。そして、検出端末2に対応するテーブルA1が利用中であると判定されていなければ、データ処理部64に設定記憶される待ち時間が経過するまでの間に、テーブルT1に対応する検出端末2からの送信データを何回受信するのかをカウントする。このカウント数が、待ち時間の間にデータ処理部64に設定記憶されるカウンターの回数に達した場合は、その時点でテーブルA1は人が利用中であると判定し、待ち時間が経過してもカウント数がカウンターの回数に達しなければ、テーブルA1は利用中ではないと判定する。
【0047】
また判定部71は、テーブルA1について人が利用中であると判定した場合に、その時点からデータ処理部64に設定記憶される保持時間が経過するまでの間に、同じ検出端末2からの送信データが再び無線受信部63で受信されたか否かを監視する。もし保持時間中に、テーブルA1に対応する検出端末2からの送信データを受信すれば、テーブルA1には引き続き人が利用中であると判定して、その時点から再び同様の監視を開始する。一方、保持時間中にテーブルA1に対応する検出端末2からの送信データを受信しなければ、保持時間が終了した時点で、テーブルA1は人が利用中ではないと判定を切替える。
【0048】
こうした判定部71による判定結果は、他のテーブルT2…についても同様に行われ、レストランR内における各テーブルT1,T2,…の利用状況として、通知部72により表示部68のみならず、客室A1,A2,…のVOD端末11に接続するVODサーバ12などに通知され、記憶部26に記憶保持される。したがって、
図8(A)に示すような全てのテーブルT1,T2…の利用状況を示すメイン画面を、VOD端末11に接続するテレビ受像機22でも同様に表示させることが可能になる。
図8(A)に示すメイン画面では、レストランRに設置された25台の監視対象となるテーブルT1,T2,…について、6台のテーブルが使用中であり、残り19台のテーブルが空いていることが状況表示部76で表示され、レストランR内の混雑状況が一目で把握できる。また、ここでは図示していないが、使用中のテーブルの数に応じて、レストランR内の混雑度を例えば「空いている」、「やや混んでいる」などのように、直接メイン画面中に表示させてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態の利用状況検出装置1は、計測領域として例えばホテルのレストランR内に設置される複数の被監視体としてのテーブルT1,T2…に各々設けられ、テーブルT1,T2…の振動若しくは荷重の変化量を個々に検出する検出部としてのロードセル29や振動検出ユニット37を含む変化検出部51と、変化検出部51で検出される変化量に応じて、テーブルT1,T2…が個々に使用中であるか否かを判定する判定部71と、判定部71の判定結果から、レストランR内における複数のテーブルT1,T2…に関する人の利用状況を通知する通知部72と、を備えている。
【0050】
この場合の利用状況検出装置1は、テーブルT1,T2…の振動や荷重の変化量を、ロードセル29や振動検出ユニット37からの検出信号により変化検出部51で個別に検出し、その変化量に応じて、テーブルT1,T2…が使用中であるか否かを判定部71で判定する。そして通知部72は、判定部71の判定結果から、レストランR内における複数の被監視体の利用状況を通知する。ここでテーブルT1,T2…は個々に監視され、その利用数は1つ増えれば1が加算され、1つ減れば1が減算される絶対値であるので、人の出入りするレストランR内でのテーブルT1,T2…の利用状況を通知することで、レストランR内における人の混雑度を正確に把握することが可能になる。また、各変化検出部51ではテーブルT1,T2…の振動や荷重の変化量を監視検出すればよいので、利用状況検出装置1として画像データを分析するような大掛かりな処理は不要となり、設備コストの上昇を極力抑えることができる。
【0051】
また判定部71は、変化検出部51で検出される変化量が閾値以上に達した後、第1時間である待ち時間が経過するまでの間に再び閾値以上に達したら、その変化検出部51に対応する例えばテーブルT1が利用中であると判定する構成としている。
【0052】
この場合、変化検出部51で検出される振動や重量の変化量が閾値以上に達しても、直ちにテーブルT1が利用中であるとは判定せず、再度その変化量が閾値以上に達した時点で、テーブルT1が利用中であると判定するので、判定部71による誤判定を極力排除して、信頼性の高い判定を実現できる。そして、これは他のテーブルT2,…についても同じことが言える。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該実施形態はあくまでも例として提示したに過ぎず、発明の範囲を限定することを意図していない。ここに提示した実施形態は、様々な形態で実施可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更が可能である。例えば、検出端末2やロードセル29は、テーブルT1,T2,…の形状や材質などを考慮して、様々な位置に様々な形態で取付けることが可能である。また、検出端末2に圧電素子35を含む振動検出ユニット37を組み込むのではなく、検出端末2と別体に振動検出ユニット37を配設してもよい。さらに、テーブルT1,T2,…の形状や材質などが個々に異なる場合、各検出端末2の閾値をそれぞれ別な値に設定してもよい。好ましくは、各検出端末2で閾値を可変設定してもよい。