(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-162983(P2017-162983A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20170818BHJP
H01P 1/30 20060101ALI20170818BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20170818BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20170818BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20170818BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H01P1/30 Z
H01Q23/00
H01Q1/24 Z
H05K7/20 R
G06F1/16 312E
G06F1/16 312Z
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-45897(P2016-45897)
(22)【出願日】2016年3月9日
(11)【特許番号】特許第6173512号(P6173512)
(45)【特許公報発行日】2017年8月2日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
【テーマコード(参考)】
5E322
5J013
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BB03
5E322DB10
5E322EA11
5J013DA04
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021GA01
5J021HA01
5J021JA09
5J047AA07
5J047AA19
5J047AB01
5J047FD01
5J047FD06
(57)【要約】
【課題】アンテナモジュールを効率的に冷却することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、内部に発熱体18を収容した機器筐体14と、機器筐体14内に設けられ、発熱体18で発生した熱を機器筐体14の側壁14aに形成された排気口40を通して機器筐体14外へと排出する送風ファン32とを有する。そして、送風ファン32と排気口40との間に無線通信用のアンテナモジュール26を配置したことにより、アンテナモジュール26を効率的に冷却することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、前記発熱体で発生した熱を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口を通して該機器筐体外へと排出する送風ファンとを有する電子機器であって、
前記送風ファンと前記排気口との間に無線通信用のアンテナモジュールを配置したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
一端部が前記発熱体に接触配置されたヒートパイプを備え、該ヒートパイプの他端部が前記送風ファンと前記排気口との間に配置されており、
前記アンテナモジュールは、前記ヒートパイプの他端部に固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2記載の電子機器において、
前記送風ファン、前記ヒートパイプ及び前記アンテナモジュールは、一体に組み付けられたアセンブリ部品として構成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは、前記送風ファンに対して固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、一端部が前記発熱体に接触配置されたヒートパイプとを備え、該ヒートパイプの他端部を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口に近接配置した電子機器であって、
前記ヒートパイプの他端部に無線通信用のアンテナを接触配置したことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項2、3又は5記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールからの配線を、前記ヒートパイプの外面を這わせて前記機器筐体内の基板に接続したことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは、アクティブ方式のアレイアンテナであることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7記載の電子機器において、
前記アレイアンテナは、前記排気口の開口から前記機器筐体の外部に臨んでいることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信用のアンテナモジュールを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノート型PC)のような電子機器は、無線LANや移動通信システムの規格に準拠した無線通信用のアンテナが搭載されることが多くなっている。例えば特許文献1には、無線通信用のアンテナをディスプレイ筐体に搭載したノート型PCが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−19497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような移動通信システムは、さらなる通信スピードの向上等のため、その周波数帯が次第に高周波になってきている。そこで、例えば20GHz帯以上の高周波を用いた無線通信用のアンテナでは、電波と電気信号とを変換するアンテナと、このアンテナに送受信する電気信号を高周波に増幅するRF(Radio Frequency)部とを有するアンテナモジュールとして構成することが行われている。すなわち、無線通信の周波数帯が高くなるほど伝搬ロスが大きくなり、また電波の直進性が高くなる。そこで、アンテナとRF部をモジュール化することで伝搬ロスを低減し、アンテナモジュールをアクティブ方式のアレイアンテナで構成することで電波の直進性に対応することができる。
【0005】
ところが、このようなアンテナモジュールは、特にRF部での処理量が多く発熱量も大きいため、その熱対策が必要となる。他方、上記のような電子機器は小型化の要望も大きく、アンテナモジュールの熱対策のための専用の冷却装置を筐体内に設けることは難しい。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、アンテナモジュールを効率的に冷却することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、前記発熱体で発生した熱を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口を通して該機器筐体外へと排出する送風ファンとを有する電子機器であって、前記送風ファンと前記排気口との間に無線通信用のアンテナモジュールを配置したことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、送風ファンでアンテナモジュールを送風することができるため、アンテナモジュールを効率的に冷却でき、高い通信品質や通信精度を確保できる。しかもアンテナモジュールを冷却する送風ファンは、発熱体で発生した熱を機器筐体の排気口を通して機器筐体外へと排出するために設置された既設の部品である。このため、アンテナモジュールの冷却用に新たな送風ファンを設置する必要がなく、当該電子機器の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0009】
一端部が前記発熱体に接触配置されたヒートパイプを備え、該ヒートパイプの他端部が前記送風ファンと前記排気口との間に配置されており、前記アンテナモジュールは、前記ヒートパイプの他端部に固定された構成であってもよい。そうすると、アンテナモジュールがヒートパイプ内での低温部となる端部に取り付けられることで、アンテナモジュールをより効率的に冷却できる。
【0010】
前記送風ファン、前記ヒートパイプ及び前記アンテナモジュールは、一体に組み付けられたアセンブリ部品として構成されていてもよい。そうすると、アンテナモジュールの機器筐体への取付作業の効率が向上する。
【0011】
前記アンテナモジュールは、前記送風ファンに対して固定された構成であってもよい。この場合にも、アンテナモジュールの機器筐体への取付作業の効率が向上する。
【0012】
また、本発明に係る電子機器は、内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、一端部が前記発熱体に接触配置されたヒートパイプとを備え、該ヒートパイプの他端部を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口に近接配置した電子機器であって、前記ヒートパイプの他端部に無線通信用のアンテナを接触配置したことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、アンテナモジュールがヒートパイプ内での低温部となる端部に取り付けられるため、アンテナモジュールを効率的に冷却でき、高い通信品質や通信精度を確保できる。しかもアンテナモジュールを冷却するヒートパイプは、発熱体で発生した熱を機器筐体の排気口を通して機器筐体外へと排出するために設置された既設の部品である。このため、アンテナモジュールの冷却用に新たなヒートパイプを設置する必要がなく、当該電子機器の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0014】
前記アンテナモジュールからの配線を、前記ヒートパイプの外面を這わせて前記機器筐体内の基板に接続した構成であってもよい。そうすると、アンテナモジュールからの配線も送風ファンやヒートパイプと一体のアセンブリ部品として取り扱うことができ、配線作業がほとんど不要になる。また、20GHz帯以上の高周波数帯の通信では、アンテナモジュールから基板までの配線は特にノイズの影響が懸念されるが、配線をグランドされたヒートパイプの外面を這って配策することで、高いノイズ低減効果が得られる。
【0015】
前記アンテナモジュールは、アクティブ方式のアレイアンテナであってもよい。
【0016】
前記アレイアンテナは、前記排気口の開口から前記機器筐体の外部に臨んだ構成であってもよい。そうすると、例えば機器筐体が金属等の導体で形成されている場合であってもアレイアンテナでの通信品質を十分に確保できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナモジュールを効率的に冷却でき、高い通信品質や通信精度を確保できる。しかもアンテナモジュールを既設の冷却手段を用いて冷却することができるため、アンテナモジュールの冷却用に新たな冷却手段を設置する必要がなく、当該電子機器の小型化や低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図である。
【
図2】
図2は、機器筐体の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、冷却ユニット及びアンテナモジュールの周辺部を拡大して模式的に示した斜視図である。
【
図4】
図4は、電子機器の通信系統の一構成例を模式的に示したブロック図である。
【
図5】
図5は、アンテナモジュールの別の配置例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、アンテナと排気口との位置関係を示す正面図である。
【
図7】
図7は、アンテナモジュールのさらに別の配置例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の一部分解斜視図であり、キーボード装置12を取り外して機器筐体14の内部構造を示した図である。
【0021】
先ず、電子機器10の全体的な構成を説明する。
【0022】
図1に示すように、電子機器10は、上面側に入力装置であるキーボード装置12を搭載した機器筐体14と、機器筐体14に開閉可能に連結されたディスプレイ筐体16とを備えたノート型PCである。本発明はノート型PC以外の電子機器、例えばタブレット型PC、デスクトップ型PC、スマートフォン、ゲーム機器又は家電機器等、各種電子機器に適用可能である。
【0023】
機器筐体14は、例えば樹脂製の扁平な箱体である。機器筐体14の内部には、発熱体18及び通信チップ20が接続されたマザーボードである基板22と、発熱体18の冷却用の冷却ユニット24と、無線通信用のアンテナモジュール26とが配設されている。
【0024】
発熱体18は、基板22に搭載したCPUやGPU等といった電子部品であり、本実施形態ではCPUである。発熱体18は、当該電子機器10に搭載された電子部品のうちでも発熱量の大きな部品である。通信チップ20は基板22に接続されており、配線28を介してアンテナモジュール26と接続されている。冷却ユニット24は、発熱体18の熱をヒートパイプ30によって吸熱して輸送し、送風ファン32によって外部に放熱させるユニットである。アンテナモジュール26は、所定の移動通信システムの規格に準拠した構造であり、例えば20GHz帯以上の高周波数帯の通信規格に対応している。機器筐体14の具体的な内部構造については後述する。
【0025】
キーボード装置12は、その上面に複数のキーを所定パターンで配列したキートップ群を有する。キーボード装置12は、その一側面から引き出された図示しないケーブルにより基板22に対して接続される。
【0026】
ディスプレイ筐体16は、樹脂製の扁平な箱体である。ディスプレイ筐体16は、その一面にディスプレイ16aを有し、左右一対のヒンジ34,34によって機器筐体14に対して回動可能に連結されている。ディスプレイ筐体16は、ヒンジ34を通過した図示しない配線によって基板22と電気的に接続されている。
【0027】
次に、機器筐体14の内部構造の具体的な構成例を説明する。
【0028】
図2は、機器筐体14の内部構造を模式的に示す平面図であり、
図3は、冷却ユニット24及びアンテナモジュール26の周辺部を拡大して模式的に示した斜視図である。
【0029】
図1及び
図2に示すように、機器筐体14の側壁14aには、該側壁14aを板厚方向に貫通する複数のスリット40aを並設した排気口40が設けられている。排気口40は、機器筐体14内の熱を機器筐体14外に放熱するための開口である。排気口40は、スリット40aに代えて複数の孔部やメッシュ等で形成されてもよい。
【0030】
図2及び
図3に示すように、冷却ユニット24は、一方の端部(一端部)30aが発熱体18に接触配置されたヒートパイプ30と、ヒートパイプ30の他方の端部(他端部)30bに対して送風する送風ファン32とを有する。ヒートパイプ30及び送風ファン32は、予め一体に組み付けられたアセンブリ部品として機器筐体14内に取り付けられる。
【0031】
ヒートパイプ30は、端部30bが側壁14aに形成された排気口40の内面側に近接配置されている。これによりヒートパイプ30は、端部30aで発熱体18から吸熱した熱を端部30bから排気口40を通して機器筐体14外へと放熱可能である。本実施形態では、ヒートパイプ30の端部30bにヒートシンク42を固着している。ヒートパイプ30の端部30b(ヒートシンク42)は、その一方側(
図2中の左側)が側壁14aの排気口40と対向配置され、その他方側(
図2中の右側)が送風ファン32の一面側に開口した送風口32aと対向配置されている。ヒートシンク42は、例えば送風ファン32の送風方向に平行する方向に沿う冷却フィン42aを該送風方向と直交する方向に複数枚並設し、送風ファン32からの送風で効率的に冷却可能な構成である。
【0032】
これにより、送風ファン32の送風口32aから送風されてヒートシンク42を通過した空気は、排気口40から外部へと排気される。その結果、発熱体18で発生した熱は、ヒートパイプ30からヒートシンク42を介して機器筐体14外に効率よく排出される。
【0033】
図4は、電子機器10の通信系統の一構成例を模式的に示したブロック図である。
【0034】
本実施形態の場合、アンテナモジュール26は、複数のアレイアンテナであるアンテナ26aと、アンテナ26aと一体にモジュール化されたRF(Radio Frequency)部26bとで構成されている(
図2及び
図4参照)。アンテナ26aは電波(電磁波)と電気信号とを変換する。RF部26bはアンテナ26aと電気的に接続されており、アンテナ26aに送受信する電気信号を高周波に増幅する等の処理を行う半導体部品である。アンテナモジュール26は、ビームフォーミングを行うアクティブ方式のアレイアンテナ(アクティブフェーズアレイアンテナ)として構成され、20GHz帯以上の高周波数帯の無線通信に対応可能となっている。
【0035】
アンテナモジュール26は、送風ファン32の送風口32aと側壁14aの排気口40との間、より具体的にはヒートパイプ30の端部30b(ヒートシンク42)と排気口40との間に配置されている(
図2及び
図3参照)。本実施形態の場合、アンテナモジュール26は、ヒートパイプ30の端部30b又はヒートシンク42に接着剤や接着テープ、或いはねじ等の締結具等を用いて取り付けられている。つまり、アンテナモジュール26は冷却ユニット24と共に予め一体に組み付けられたアセンブリ部品として構成されている。アンテナモジュール26は、側壁14aの内面や機器筐体14の底面等に取り付けられてもよい。アンテナモジュール26からの配線28はヒートパイプ30の外面を這うように配策されており、例えば図示しない接着剤や接着テープによってヒートパイプ30の外面に固定されている。
【0036】
図2に示すように、アレイアンテナである各アンテナ26aは、それぞれ側壁14aのスリット40aに対応する位置に配置されている。つまり、各アンテナ26aは排気口40の開口であるスリット40aから機器筐体14の外部に臨んでいる(
図6も参照)。換言すれば、各アンテナ26aが少なくとも排気口40の正面視でスリット40aの内側に配置される。これにより、例えば側壁14aが金属等の導体で形成されている場合であってもアンテナ26aでの通信品質を十分に確保できる。なお、側壁14aが導体で形成されている場合は、
図6に示すようにスリット40aの開口の大きさをアンテナ26aよりも十分に大きく形成し、各アンテナ26aがスリット40aを介して外部と確実に電波を送受信できるように構成するとよい。
【0037】
図2及び
図4に示すように、アンテナモジュール26は、配線28を介して通信チップ20と電気的に接続されている。通信チップ20はアンテナモジュール26を駆動制御する処理部であり、基板22を介して例えばCPUである発熱体18と接続されている。通信チップ20は、例えばIF(Intermediate Frequency)部20aと、BB(Baseband)部20bと、システムIF(Interface)20cとを有した電子部品である。IF部20aは、RF部での電気信号(RF信号)とBB部20bでの電気信号(BB信号)との間で電気信号を中間周波数に変換する等の処理を行う半導体部品である。BB部20bは、デジタル信号の変調及び復調等の処理を行う半導体部品である。システムIFは、例えばUSB規格等のコネクタ端子であって基板22上の図示しないコネクタ端子に対して接続される。通信チップ20は、基板22にオンボードで搭載されていてもよい。
【0038】
ところで、アンテナモジュール26は、上記のように20GHz帯以上の高周波数帯の無線通信に対応したアクティブ方式のアレイアンテナであり、このため駆動時には相当な発熱を生じる。
【0039】
そこで本実施形態に係る電子機器10では、送風ファン32の送風口32aと側壁14aの排気口40との間にアンテナモジュール26を配置している。従って、送風ファン32でアンテナモジュール26を送風することができる。このため、アンテナモジュール26を効率的に冷却でき、高い通信品質や通信精度を確保できる。しかもアンテナモジュール26を冷却する送風ファン32は、発熱体18で発生した熱を機器筐体14の側壁14aに形成した排気口40を通して機器筐体14外へと排出するために設置された既設の部品である。このため、アンテナモジュール26の冷却用に新たな送風ファンを設置する必要がなく、当該電子機器10の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0040】
当該電子機器10では、送風ファン32と排気口40との間に配置されたヒートパイプ30の端部30b(又はヒートシンク42)にアンテナモジュール26を固定している。このため、アンテナモジュール26がヒートパイプ30内での低温部となる端部30bに取り付けられることで、アンテナモジュール26をより効率的に冷却できる。しかもアンテナモジュール26は、冷却ユニット24を構成するヒートパイプ30及び送風ファン32と共に予め一体に組み付けられたアセンブリ部品として構成されている。このため、アンテナモジュール26の取付作業は、冷却ユニット24の取付作業の後、配線28を基板22上の通信チップ20に接続するだけで完了するため、製造効率が向上する。
【0041】
なお、電子機器10の仕様によってはヒートパイプ30を持たず、例えば送風ファン32によって機器筐体14内に放熱された発熱体18からの熱を排気口40から外部に排出する構成もある。そこで、このような構成の場合は、アンテナモジュール26を送風ファン32の送風口32a付近に取り付けたアセンブリ部品として構成してもよい。
【0042】
また、例えばノート型PCの一部機種やタブレット型PC等では、送風ファン32を内蔵しない構成のものもあり、この場合にも発熱体18の冷却用のヒートパイプ30を備えた構成は多い。そこで、このような構成の場合にも、例えば排気口40を介して放熱可能に該排気口40に近接配置されたヒートパイプ30の端部30bに対してアンテナモジュール26を取り付けることで、その効率的な冷却が可能となる。
【0043】
当該電子機器10では、アンテナモジュール26からの配線28をヒートパイプ30の外面を這わせて基板22側の通信チップ20に接続している。このため、配線28も冷却ユニット24と一体のアセンブリ部品として取り扱うことができ、配線作業がほとんど不要になる。また、上記のような高周波数帯の通信では、アンテナモジュール26から通信チップ20までの配線28は特にノイズの影響が懸念される。この点、配線28はグランドされたヒートパイプ30の外面を這って配策されているため、高いノイズ低減効果が得られる。
【0044】
図5は、アンテナモジュール26の別の配置例を示す平面図である。
【0045】
図2に示す構成例では、アンテナモジュール26をヒートパイプ30の端部30bと排気口40との間に配置している。このため、発熱体18の発熱量や送風ファン32の送風量等の仕様によってはアンテナモジュール26の冷却が足りない可能性がある。そこで、
図5に示す構成例のように、例えばアンテナモジュール26をヒートパイプ30の端部30b(ヒートシンク42)の端面側に配置してもよい。すなわち、アンテナモジュール26をヒートパイプ30の端部30bと並列に送風ファン32の送風口32aと対向配置してもよい。そうすると、ヒートシンク42を通過した後ではない送風ファン32からの新鮮な空気を直接的にアンテナモジュール26に当てることができ、アンテナモジュール26の冷却効率が向上する。なお、
図5に示す構成例の場合、アンテナモジュール26は、例えばヒートパイプ30の端部30bの端面又は送風ファン32の送風口32aに固定されればよい。
【0046】
図7は、アンテナモジュール26のさらに別の配置例を示す斜視図である。
【0047】
図7に示す構成例のように、ヒートパイプ30の端部30bをヒートシンク42よりも奥まで延長し、この端部30bの延長部分の下面にアンテナモジュール26を配置してもよい。これにより、ヒートパイプ30のヒートシンク42上で冷やされる低温部となる端部30bに近接した位置にアンテナモジュール26が配置されるため、アンテナモジュール26の効率的な冷却が可能となる。この際、アンテナモジュール26で発生する熱は、ヒートパイプ30を通ってヒートシンク42に伝達され、そこで冷却されることになる。
【0048】
なお、ヒートシンク42の奥行寸法を縮小し、送風ファン32の送風口32aの正面且つヒートパイプ30の端部30bの下面となる位置にアンテナモジュール26の設置スペースを確保し、ここにアンテナモジュール26を配置してもよい。つまり、例えば
図5に示す構成例において、ヒートパイプ30の端部30bをアンテナモジュール26の上部まで延長したような構成としてもよい。これにより、送風ファン32からの送風とヒートパイプ30による吸熱によってアンテナモジュール26をより効率的に冷却できる。
【符号の説明】
【0049】
10 電子機器
12 キーボード装置
14 機器筐体
14a 側壁
16 ディスプレイ筐体
18 発熱体
20 通信チップ
20a IF部
20b BB部
20c システムIF
22 基板
24 冷却ユニット
26 アンテナモジュール
26a アンテナ
26b RF部
28 配線
30 ヒートパイプ
30a,30b 端部
32 送風ファン
32a 送風口
40 排気口
40a スリット
42 ヒートシンク
【手続補正書】
【提出日】2017年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、前記発熱体で発生した熱を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口を通して該機器筐体外へと排出する送風ファンとを有する電子機器であって、
前記送風ファンと前記排気口との間に無線通信用のアンテナモジュールを配置しており、
さらに、一端部が前記発熱体に接触配置されたヒートパイプを備え、該ヒートパイプの他端部が前記送風ファンと前記排気口との間に配置されており、
前記アンテナモジュールは、前記ヒートパイプの他端部に固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記送風ファン、前記ヒートパイプ及び前記アンテナモジュールは、一体に組み付けられたアセンブリ部品として構成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールからの配線を、前記ヒートパイプの外面を這わせて前記機器筐体内の基板に接続したことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
内部に発熱体を収容した機器筐体と、該機器筐体内に設けられ、前記発熱体で発生した熱を前記機器筐体の外壁面に形成された排気口を通して該機器筐体外へと排出する送風ファンとを有する電子機器であって、
前記送風ファンと前記排気口との間に無線通信用のアンテナモジュールを配置しており、
前記アンテナモジュールは、前記送風ファンに対して固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記アンテナモジュールは、アクティブ方式のアレイアンテナであることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5記載の電子機器において、
前記アレイアンテナは、前記排気口の開口から前記機器筐体の外部に臨んでいることを特徴とする電子機器。