【実施例】
【0020】
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例に係るソレノイドについて説明する。
図1は、 本発明の実施例に係るソレノイドを備えたソレノイドバルブ1の断面図を示しており、ソレノイドバルブ1は、スプールタイプのソレノイドバルブであって、例えば自動車の自動変速機等の負圧の制御を行うために好適に用いられる。
【0021】
図1において、ソレノイドバルブ1は、電動駆動部としてのソレノイド(リニアソレノイド)2、バルブ本体3及びリテーナ4を有し、一方の端部(
図1の左端)にはソレノイド2が配設され、右側に向かって順に、バルブ本体3及びリテーナ4が装着されている。
なお、本明細書においては、
図1の左側を駆動側、同じく右側を被駆動側と呼ぶことにする。
【0022】
ソレノイド2は、センターポスト10、プランジャ20、シャフト25及びこれらを内部に収納する筒状のケース部30を有する。
【0023】
バルブ本体3は、Z軸方向に連続する内部通路5を有する筒状のバルブスリーブ6と、内部通路5に配置されるスプール7とを有する。バルブスリーブ6の周壁には、バルブスリーブ6の内部通路5と外部とを連通させる複数のポート8が形成されている。複数のポート8は、ドレインポート、制御ポート、入力ポート及びフィードバックポート等によって構成され、制御流体(例えば作動油等)は、これらのポート8を介して内部通路5に流入し、又は内部通路5から他の部材へ流出する。
【0024】
スプール7における先端側は、リテーナ4の内部に収納されているスプリング9に当接されている。スプリング9は、スプール7とリテーナ4によってZ軸方向の両側を挟まれており、スプール7をソレノイド2側に向かって押圧するスプリング力を発生させる。
【0025】
センターポスト10は、バルブスリーブ6の内部通路5に連通する貫通孔11を有し、Z軸方向に伸びる筒状の形状を有している。また、貫通孔11のソレノイド側の開口周辺には、プランジャ20のリテーナ側の端面21が接触する段差面12が形成されている。
【0026】
センターポスト10は、鉄等の磁性材料で構成されており、ケース部30のコイル35で発生した磁力を受けて磁化される。これにより、センターポスト10は、磁性材料によって構成されるプランジャ20をセンターポスト10に向かって引き寄せ、この力がシャフト25を介してスプール7へ伝達されることによって、スプール7をZ軸方向の被駆動側へ押圧する力(電磁力)となる。
【0027】
プランジャ20は、センターポスト10の駆動側に配置される。すなわち、プランジャ20は、バルブ本体3のスプール7との間に、センターポスト10を軸Z方向に挟んで、軸方向移動自在に配置される。プランジャ20は、鉄等の磁性材料で構成されており、コイル45で発生した磁力によって磁化されたセンターポスト10に引き寄せられる。
【0028】
シャフト25は、プランジャ20とスプール7の間に配置され、電磁力による押圧力を、プランジャ20からスプール7に伝達する。
【0029】
ケース部30は、ソレノイドケース31、ロアプレート32、ベアリング33、ボビン34、通電によって磁力を発生するコイル35、スペーサ36、サイドリング37、エンドプレート38、ターミナル39及びモールド成型体40等を有する。
【0030】
ソレノイドケース31は、ケース部30の筐体であり、ケース部30とバルブ本体3とを連結する。ロアプレート32は、センターポスト10、ボビン34及びコイル35等を設置するための部材であり、ソレノイドケース31の内部における被駆動側に配置される。サイドリング37は主としてプランジャ20を支持するための部材であり、ソレノイドケース31の内部における中央部から駆動側に配置される。ベアリング33は、サイドリング37の内周面とプランジャ20の外周面の間に配置されており、プランジャ20をケース部30に対して軸方向移動自在に支持する。なお、サイドリング37及びベアリング33と、センターポスト10の間には、スペーサ36が配置されている。
【0031】
ボビン34及びコイル35は、センターポスト10の外周面に接触するように配置されており、コイル35で発生した磁力は、センターポスト10に対して、効率的に伝達される。モールド成型体40は、ソレノイド2を構成する各部材の隙間に配置されて各部材間を連結するとともに、ターミナル39に接続される外部端子のためのコネクタを形成している。ソレノイドバルブ1の使用時には、ターミナル39に外部端子が接続され、ターミナル39を介してコイル35への給電が行われる。
【0032】
エンドプレート38は、ケース部30のスプール7の配設される被駆動側と反対の側面に配置され、プランジャ20等を収納するプランジャ収容室22の一端を覆う蓋の役割を果たす。プランジャ収容室22は、駆動側の空間22−1及び被駆動側の空間22−2を有し、プランジャ20のZ軸方向への移動を許容するように形成されている。
また、プランジャ収容室22は、センターポスト10の貫通孔11を介してバルブスリーブ6の内部通路5に連通している。
【0033】
エンドプレート38には、プランジャ20のZ軸方向への移動の際に、プランジャ収容室22、センターポスト10の貫通孔11及びバルブスリーブ6の内部通路5の内部(以下、「可動部の内部」ということがある。)に存在する制御流体及び空気を流動させるための呼吸孔38aが形成されている。
呼吸孔38aは、プランジャ収容室22等の可動部の内部と外部空間とを連通させる機能を有するもので、例えば、エンドプレート38のプランジャ収容室22に面する位置に配設される。
【0034】
エンドプレート38の外側(外部空間側)にはフィルタ41が設けられる。フィルタ41は、例えば、不織布などから構成されるが、濾過機能があればよく、特に限定されない。
【0035】
フィルタ41の外側(外部空間側)にはカバープレート42が設けられる。カバープレート42には、
図2に示すように、その内外を連通する連通孔42aが形成される。
連通孔42aは、エンドプレート38の呼吸孔38aの位置と整合するように形成されるのが好ましい。
図2の場合、呼吸孔38a及び連通孔42aは周方向に分割されて等配に4個配設されている。
【0036】
図1に示すように、フィルタ41はエンドプレート38とカバープレート42に挟着されるようにして保持され、フィルタ41の外周縁においてエンドプレート38及びカバープレート42と一体的に固定される。
図1においては、エンドプレート38の外周縁が外側に折り曲げられ、フィルタ41及びカバープレート42の外周縁を抱き込むようにして内径側にカシメられている。
【0037】
一方、プランジャ20には、プランジャ収容室22のプランジャ20の移動方向の前後の空間22−1、22−2を連通するように貫通路20aが形成される。貫通路20aは空間22−1と22−2とを連通するものであればよく、位置及び大きさ等は必要に応じて設計的に決定される。
プランジャ20が軸方向に移動した場合、空間22−1及び空間22−2の容積はそれぞれ変化するが、貫通路20aが形成されているため、空間22−1及び空間22−2の内部に存在する流体はこれらの間で自由に行き来できる。
【0038】
本発明においては、可動部の内部と外部空間とを連通させる呼吸孔としてはエンドプレート38に設けられる呼吸孔38aのみであり、上記した従来技術2(
図3参照。)のようにハウジング51(
図1のバルブスリーブ6)に呼吸孔が設けられることはない。そのため、プランジャ20、シャフト25及びスプール7の可動部の移動により、可動部を収容している空間の容積が変動した場合、或いは、可動部の移動に比べ流体の粘性が高く、流体の移動がスムーズに行われない場合、エンドプレート38の呼吸孔38aのみを介して外部空間との流体の出し入れが行われる。
そのため、エンドプレート38に設けられる呼吸孔38aにフィルタ41を設けることにより、プランジャ収容室へのコンタミの侵入を低減させることができ、併せて、プランジャ、シャフト及びスプール等の可動部材と摺動する部分へのフィルタの設置を回避することができるため、可動部材とフィルタとの相対摺動によるコンタミの混入を防止でき、外部との呼吸により流入されるコンタミの混入を相当程度まで低減することができる。
【0039】
本発明の実施例に係るソレノイドは上記した構成を有し、以下のような顕著な効果を奏する。
(1)ケース部30の被駆動体の配設される側と反対の側面にフィルタ41が設けられ、プランジャ20の収容されるプランジャ収容室22はフィルタ41を通して外部空間と連通されることにより、プランジャ収容室22へのコンタミの侵入を低減させることができ、併せて、プランジャ20、シャフト25及びスプール7等の可動部材と摺動する部分へのフィルタの設置を回避することができるため、可動部材とフィルタとの相対摺動によるコンタミの混入を防止でき、外部との呼吸により流入されて可動部の周囲に存在する流体に対するコンタミの混入を相当程度まで低減することができる。
また、プランジャ収容室22に磁性体からなるコンタミの侵入が低減されるため、磁力特性の変化を防止でき、所定の特性を奏することのできるソレノイドを提供することができる。
(2)フィルタ41のプランジャ20の収容されるプランジャ収容室22側にエンドプレート38が設けられ、エンドプレート38にはプランジャ収容室22側と外部空間とを連通する呼吸孔38aが形成されることにより、フィルタ41を通った流体が滞ることなく外部空間とプランジャ収容室22の間で呼吸される。
(3)フィルタ41のプランジャ20の収容されるプランジャ収容室22とは反対側にはカバープレート42が設けられ、カバープレート42にはプランジャ収容室22側と外部空間とを連通する連通孔42aが形成されることにより、フィルタに対する外部からの汚染防止及び保護を図ることができる。
(4)フィルタ41はエンドプレート38とカバープレート42に挟着されるようにして保持され、フィルタ41の外周縁においてエンドプレート38及びカバープレート42と一体的に固定されることにより、フィルタ41の脱着が容易であり、フィルタ41として不織布などが使用可能であり、フィルタの自由度を増大することができる。
(5)プランジャ20には、プランジャ収容室22のプランジャ20の移動方向の前後の空間22−1、22−2を連通する貫通路20aが形成されることにより、プランジャ20の移動が阻害されることがなく、また、プランジャ収容室22内で流体の循環が行われるため、フィルタ41及び呼吸孔38a通過してプランジャ収容室22に混入するコンタミの量を一層低減することができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0041】
例えば、前記実施例では、ソレノイドの一例として、スプールタイプのソレノイドバルブに用いられるソレノイドについて説明したが、本発明はこれに限らず、バルブに代えて、他の被駆動体を駆動するリニヤアクチュエータに適用してもよい。