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特開2017-163335通信端末、通信装置および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-163335(P2017-163335A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】通信端末、通信装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/32 20090101AFI20170818BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20170818BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20170818BHJP
   H04B 10/116 20130101ALI20170818BHJP
【FI】
   H04W36/32
   H04W36/08
   H04W84/12
   H04B9/00 116
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-46005(P2016-46005)
(22)【出願日】2016年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】森田 純一
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
【テーマコード(参考)】
5K067
5K102
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067BB21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE34
5K067JJ37
5K067JJ39
5K102AA28
5K102AL23
5K102AL28
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH21
5K102PB02
5K102PH38
(57)【要約】
【課題】ミリ波帯の周波数を用いた無線通信において、見通しパスを確保できている装置間で、高速にハンドオーバを行うことができる通信端末、通信装置および通信システムを提供する。
【解決手段】通信端末1は、アクセスポイントから送信された可視光データを受信する可視光受信部と、可視光データの送信元の通信装置をハンドオーバ先の通信装置として設定するハンドオーバ制御部15と、ハンドオーバ制御部15により設定されたハンドオーバ先の通信装置に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行うミリ波通信部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置から送信された可視光データを受信する可視光受信部と、
前記可視光データに基づいて、前記第1通信装置をハンドオーバ先として設定するハンドオーバ制御部と、
前記第1通信装置に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行うミリ波通信部と、
を備える通信端末。
【請求項2】
前記可視光受信部が前記可視光データを受信した後、前記通信端末と第2通信装置との通信が接続中である場合、
前記ハンドオーバ制御部は、前記第2通信装置から前記第1通信装置へハンドオーバを行う要求を示すハンドオーバ要求を生成し、
前記ミリ波通信部は、前記第2通信装置へ前記ハンドオーバ要求を送信する、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記可視光受信部が前記可視光データを受信した後、前記通信端末と第2通信装置との通信が切断した場合、
前記ハンドオーバ制御部は、前記第2通信装置から前記第1通信装置へハンドオーバを行う要求するハンドオーバ要求を生成し、
前記ミリ波通信部は、前記第1通信装置へ前記ハンドオーバ要求を送信する、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記ハンドオーバ制御部は、前記第1通信装置を示す識別子を前記可視光データから抽出した場合、前記第1通信装置を前記ハンドオーバ先として設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記ハンドオーバ制御部は、
前記可視光受信部が前記可視光データを受信した場合、前記第1通信装置の通信可能距離の内側であり、前記ミリ波帯の周波数を用いた通信の見通しパスが確保されたと判定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項6】
可視光データを送信する可視光送信部と、
前記可視光データを受信した、接続中ではない第1通信端末との接続を確立する接続指示を行うハンドオーバ制御部と、
前記接続指示に基づいて、前記第1通信端末に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行うミリ波通信部と、
を備える通信装置。
【請求項7】
前記ハンドオーバ制御部は、前記ミリ波通信部が接続中の第2通信端末からハンドオーバ要求を受信した場合、前記第2通信端末との接続解除を行う、
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記ハンドオーバ制御部は、前記第1通信端末からハンドオーバ要求を受信した場合、前記第1通信端末と接続を確立する、
請求項6に記載の通信装置。
【請求項9】
前記可視光データの通信可能距離は、前記ミリ波帯の周波数を用いた通信可能距離と同程度の長さに設定される、
請求項6から8のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
複数の通信装置と、複数の通信端末と、管理装置と、を備える通信システムであって、
前記複数の通信装置のうちの第1通信装置は、
可視光データを送信する可視光送信部と、
前記可視光データを受信した第1通信端末との接続を確立する接続指示を行う第1ハンドオーバ制御部と、
前記接続指示に基づいて、前記第1通信端末に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行う第1ミリ波通信部と、
を備え、
前記複数の通信端末のうちの前記第1通信端末は、
前記第1通信装置から可視光データを受信する可視光受信部と、
前記第1通信装置をハンドオーバ先として設定する第2ハンドオーバ制御部と、
前記第1通信装置に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行う第2ミリ波通信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記複数の通信装置のうち、前記第1通信端末と接続中である第2通信装置から前記第1通信端末の認証情報を取得し、前記第1通信装置へ前記認証情報を通知する第3ハンドオーバ制御部と、
を備える、
通信システム。
【請求項11】
前記第3ハンドオーバ制御部は、前記第1通信装置からハンドオーバ要求を受信し、前記ハンドオーバ要求に対する応答を前記第1通信装置に対して送信する、
請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第3ハンドオーバ制御部は、前記ハンドオーバ要求に前記認証情報が含まれない場合、前記第2通信装置へ前記認証情報を要求する、
請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記可視光データの通信可能距離は、前記ミリ波帯の周波数を用いた通信可能距離と同程度の長さに設定される、
請求項10から12のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項14】
第2ハンドオーバ制御部は、
前記可視光受信部が前記可視光データを受信した場合、前記第1通信装置の通信可能距離の内側であり、前記ミリ波帯の周波数を用いた通信の見通しパスが確保されたと判定する、
請求項10から13のいずれか一項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドオーバを行う通信端末、通信装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、無線上で交換されるデータの大容量化に伴い、無線LANにおいても高速化の動きが加速している。ミリ波(例えば60GHz帯)の無線通信規格であるIEEE802.11adは、実効速度が2Gbpsを超える通信が可能であることから、現在注目されている規格の一つである。
【0003】
ミリ波(例えば60GHz帯)対応の無線LANアクセスポイントは、現在の2.4GHz帯、5GHz帯対応のアクセスポイントの拡張として、今後、広く普及すると想定される。その際に必要となるのが、複数のアクセスポイントを設置して構築されたホットスポットにおいて、通信端末のアクセスポイント間の移動に対応するハンドオーバ機能である。
【0004】
例えば、特許文献1には、一般的な無線通信において、無線LANに対応したハンドオーバの技術が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術では、スキャン処理と受信信号レベルの比較処理とに時間がかかってしまうため、高速なハンドオーバが困難である。
【0005】
特許文献2には、マイクロ波帯(例えば、2.4GHz帯又は5GHz帯)の周波数を用いた無線通信において、車両に搭載された通信端末が、車両の位置情報に基づいて最適なアクセスポイントを特定することにより高速にアクセスポイントへハンドオーバを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−175932号公報
【特許文献2】特開2005−341254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ミリ波帯の周波数を用いた無線通信は、高速な通信が可能であるものの、通信距離が短く、指向性が高く、通信対象との間で見通し通信である必要がある。そのため、通信端末は、見通しパスが確保できるアクセスポイントへハンドオーバする必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のハンドオーバ技術は、通信端末がハンドオーバの対象として特定したアクセスポイントとの間で見通しパスを確保できているか否かを判断することが困難であるため、ミリ波帯の周波数を用いた無線通信のハンドオーバに適用することは困難である。
【0009】
本開示の非限定的な実施例は、ミリ波帯の周波数を用いた無線通信において、見通しパスを確保できている装置間で、高速にハンドオーバを行うことができる通信端末、通信装置および通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、第1通信装置から送信された可視光データを受信する可視光受信部と、前記可視光データに基づいて、前記第1通信装置をハンドオーバ先として設定するハンドオーバ制御部と、前記第1通信装置に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行うミリ波通信部と、を備える通信端末である。
【0011】
本開示の一態様は、可視光データを送信する可視光送信部と、前記可視光データを受信した、接続中ではない第1通信端末との接続を確立する接続指示を行うハンドオーバ制御部と、前記接続指示に基づいて、前記第1通信端末に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行うミリ波通信部と、を備える通信装置である。
【0012】
本開示の一態様は、複数の通信装置と、複数の通信端末と、管理装置と、を備える通信システムであって、前記複数の通信装置のうちの第1通信装置は、可視光データを送信する可視光送信部と、前記可視光データを受信した第1通信端末との接続を確立する接続指示を行う第1ハンドオーバ制御部と、前記接続指示に基づいて、前記第1通信端末に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行う第1ミリ波通信部と、を備え、前記複数の通信端末のうちの前記第1通信端末は、前記第1通信装置から可視光データを受信する可視光受信部と、前記第1通信装置をハンドオーバ先として設定する第2ハンドオーバ制御部と、前記第1通信装置に対して、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行う第2ミリ波通信部と、を備え、前記管理装置は、前記複数の通信装置のうち、前記第1通信端末と接続中である第2通信装置から前記第1通信端末の認証情報を取得し、前記第1通信装置へ前記認証情報を通知する第3ハンドオーバ制御部と、を備える通信システムである。
【0013】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、ミリ波帯の周波数を用いた無線通信において、見通しパスを確保できている装置間で、高速にハンドオーバを行うことができる。
【0015】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態に係るミリ波無線LAN接続システムの構成の一例を示すブロック図
図2】本開示の実施の形態における通信端末のハンドオーバ制御の一例を示すフローチャート
図3】本開示の実施の形態におけるミリ波無線LAN接続システムのハンドオーバ制御の動作の第1例を示すシーケンス図
図4】本開示の実施の形態におけるミリ波無線LAN接続システムのハンドオーバ制御の動作の第2例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本開示に至る経緯)
まず、本開示に至る経緯について説明する。本開示は、ミリ波帯の周波数を用いた通信において、ハンドオーバを行う通信端末、通信装置および通信システムに関する。
【0018】
ミリ波(例えば、60GHz帯)対応の無線LANアクセスポイントを複数設置して構築されたホットスポットにおいて、通信端末のアクセスポイント間の移動に対応するハンドオーバ機能が必要である。
【0019】
例えば、特許文献1には、一般的な無線通信において、無線LANに対応したハンドオーバの技術として、通信端末が、アクセスポイントから受信する受信信号のレベルに基づいてアクセスポイントを探索し、探索したアクセスポイントへハンドオーバを行う技術が開示されている。
【0020】
具体的には、まず、通信端末が現在接続中のアクセスポイントの受信信号レベルを監視し、受信信号レベルが通信を継続するための信号レベルに対して十分か否かを判断する。受信信号レベルが十分でない場合、通信端末は、受信信号レベルを基にスキャン処理時間を算出し、算出したスキャン処理時間が経過するまで、周辺のアクセスポイントの信号レベルを監視するスキャン処理を行う。そして、通信端末は、現在接続中のアクセスポイントの受信信号レベルと、スキャン処理において検出した周辺のアクセスポイントの信号レベルとを比較し、検出したアクセスポイントの信号レベルの方が強い場合、検出したアクセスポイントへハンドオーバを行う。
【0021】
特許文献1の技術は、受信信号レベルが低下し、十分で無くなってから、時分割でスキャン処理を行うことにより、ハンドオーバの高速化を図っているが、スキャン処理と受信信号レベルの比較処理とに時間がかかってしまうため、ハンドオーバ開始から完了までのオーバヘッドが増加し、高速なハンドオーバが困難である。
【0022】
オーバヘッドを減らし、高速なハンドオーバを行う技術として、例えば、特許文献2には、車両に搭載された通信端末が車両の位置情報に基づいて、車両の経路上、最適なアクセスポイントを特定し、特定したアクセスポイントへハンドオーバを行う技術が開示されている。
【0023】
具体的には、まず、通信端末を搭載する車両のGPS受信部が、車両の現在位置及び進行方向の情報を取得する。そして、データベースに記憶されたアクセスポイントの位置情報と、取得した車両の現在位置及び進行方向の情報とに基づいて、車両の移動先のアクセスポイント(つまり、車両の走行経路上、最適なアクセスポイント)を検索する。そして、通信端末は、検索したアクセスポイントへ接続を行う。
【0024】
ミリ波帯の周波数を用いた無線通信は、高速な通信が可能であるものの、通信距離が短く、指向性が高く、通信対象との間で見通し通信である必要がある。そのため、アクセスポイントと通信端末との間で見通しパスの確保が困難である場合、通信端末は、そのアクセスポイントへハンドオーバすることは困難である。
【0025】
しかしながら、特許文献2に記載のハンドオーバ技術は、通信端末がハンドオーバの対象として特定したアクセスポイントとの間で見通しパスを確保できているか否かを判断することが困難であるため、ミリ波帯の周波数を用いた無線通信のハンドオーバに適用することは困難である。
【0026】
このような事情に鑑み、通信距離が短く、指向性が高く、通信対象との間で見通し通信である必要がある、というミリ波帯の周波数を用いた無線通信の特徴が、可視光通信との親和性が高いことに着目し、本開示に至った。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示は以下の実施の形態により限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態)
本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本実施の形態に係るミリ波無線LAN接続システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、ミリ波無線LAN接続システム100は、通信端末1、アクセスポイント(Access Point:以下、AP)2、AP3およびアクセスポイントコントローラ(Access Point Controller:以下、APC)4を有する。
【0030】
通信端末1は、カメラを有し、ミリ波帯の周波数を用いた通信を行う通信端末である。通信端末1は、例えば、スマートフォン等の形態を採る。AP2、AP3は、ミリ波帯の周波数を用いた無線LANアクセスポイントである。APC4は、ミリ波帯の周波数に対応したAP2、AP3と有線LAN等で接続し、APを統合的に管理する制御装置である。APC4は、例えば、PC(Personal Computer)であってもよい。
【0031】
通信端末1は、カメラ11、ミリ波通信デバイス12、アンテナ13および制御部14を有する。
【0032】
カメラ11は、レンズ(図示せず)およびイメージセンサ(図示せず)を有し、通信端末1の周辺を撮影する撮像デバイスである。カメラ11は、APから送信される可視光データ(画像データ)を受信(つまり、撮影)する。つまり、カメラ11は、通信端末1における可視光通信の受信デバイスである。可視光データは、例えば、所定の情報を含む光ID信号である。
【0033】
ミリ波通信デバイス12は、アンテナ13を介して、例えば、IEEE802.11adに対応したミリ波帯の周波数(例えば、60GHz帯)を用いた無線通信を行う無線通信デバイスである。ミリ波通信デバイス12は、後述するAP2、AP3が有するミリ波通信デバイスと接続、通信を行う。ミリ波通信デバイス12は、例えば、カメラ11の撮像部(レンズおよびイメージセンサ)の近傍に設けられる。
【0034】
制御部14は、種々の情報処理を実行するプロセッサなどの制御デバイスである。制御部14は、ハンドオーバ制御部15、可視光受信制御部16およびミリ波通信制御部17を有する。
【0035】
ハンドオーバ制御部15は、例えば、通信端末1が移動元のAP(例えば、AP2)から移動先のAP(例えば、AP3)へハンドオーバを行う場合、通信端末1と移動元のAP又は移動先のAPとのコマンド(メッセージ)の送受信など、ハンドオーバに関する処理の制御を行う。
【0036】
可視光受信制御部16は、例えば、カメラ11のイメージセンサを介して可視光データを受信する。
【0037】
ミリ波通信制御部17は、ミリ波通信デバイス12をオン状態にした後、ミリ波の周波数(例えば、IEEE802.11adの通信規格であれば60GHz帯)を用いた無線接続及び通信をAP(例えば、AP2、AP3)との間で行う。無線接続及び通信は、例えば、ビームフォーミングにより実現されてもよい。
【0038】
なお、通信端末1は、上述したカメラ11、ミリ波通信デバイス12、アンテナ13、制御部14を備えるものであればよい。通信端末1の形態は、スマートフォンに限定されない。
【0039】
また、通信端末1において、カメラ11および可視光受信制御部16を合わせて、「可視光受信部」と称してもよい。また、通信端末1において、ミリ波通信デバイス12、アンテナ13およびミリ波通信制御部17を合わせて、「ミリ波通信部」と称してもよい。
【0040】
AP2は、LED光源21、記憶部22、ミリ波通信デバイス23、アンテナ24、通信デバイス25および制御部26を有する。AP3は、LED光源31、記憶部32、ミリ波通信デバイス33、アンテナ34、通信デバイス35および制御部36を有する。以下、AP2の構成について説明する。AP3の構成も、AP2と同様の構成である。
【0041】
LED光源21は、例えば、LEDを規則的に点滅させることにより、可視光データを送信する発光デバイスである。LED光源21は、例えば、白色照明、内照式看板、液晶ディスプレイなどが挙げられる。LED光源21から送信される可視光データは、通信端末1のカメラ11により受信される。つまり、LED光源21は、AP2における可視光通信の送信デバイスである。
【0042】
記憶部22は、例えば、HDDまたはメモリカードなど、種々のデータを記憶するストレージデバイスである。記憶部22には、通信端末がAP2と接続する場合に用いる通信端末の認証情報などの情報が格納される。例えば、記憶部22には、AP2と接続状態にある通信端末の情報とその通信端末の認証情報とが対応付けて格納されている。
【0043】
ミリ波通信デバイス23は、アンテナ24を介して、例えば、IEEE802.11adに対応したミリ波帯の周波数(例えば、60GHz帯)を用いた無線通信を行う無線通信デバイスである。ミリ波通信デバイス23は、例えば、LED光源21の近傍に設けられる。
【0044】
LED光源21による可視光通信の通信可能距離は、ミリ波デバイス23によるミリ波通信の通信可能距離と同程度の長さに設定される。例えば、可視光通信の通信可能距離は、ミリ波通信の通信可能距離の0.9倍〜1.1倍である。また、可視光通信の通信方向は、ミリ波通信の通信方向に合わせて設定されてもよい。
【0045】
通信デバイス25は、後述するAPC4の通信デバイス42と、例えば、有線LANで接続され、AP2とAPC4との間で通信を行う。
【0046】
制御部26は、種々の情報処理を実行するプロセッサなどの制御デバイスである。制御部26は、ハンドオーバ制御部27、可視光送信制御部28、ミリ波通信制御部29を有する。制御部36は、制御部26と同様に、ハンドオーバ制御部37、可視光送信制御部38、ミリ波通信制御部39を有する。以下、制御部26の構成について説明するが、制御部36の構成も、制御部26と同様の構成である。
【0047】
ハンドオーバ制御部27は、例えば、ハンドオーバ対象端末(例えば、通信端末1)からのハンドオーバ要求をAPC4に転送するなどのコマンド(メッセージ)の送受信の制御や、受信したコマンドに応じて記憶部22に格納された通信端末の認証情報をAPC4に転送するなどの制御を行う。
【0048】
可視光送信制御部28は、例えば、可視光データを送信するためにLED光源21を制御する。LED光源21は、可視光送信制御部28による制御により、発光することにより、可視光データを送信する。
【0049】
また、例えば、ミリ波通信制御部29は、ミリ波通信デバイス23をオン状態にした後、ミリ波(例えば、IEEE802.11adであれば60GHz帯)を用いた無線接続及び通信を通信端末1との間で行う。無線接続及び通信は、例えば、ビームフォーミングにより実現されてもよい。
【0050】
また、AP2において、LED光源21と可視光送信制御部28を合わせて「可視光送信部」と呼んでもよい。また、AP2において、ミリ波通信デバイス23、アンテナ24、およびミリ波通信制御部29を合わせて「ミリ波通信部」と呼んでもよい。
【0051】
APC4は、AP2およびAP3の管理、制御を行う装置である。APC4は、記憶部41、通信デバイス42、制御部43を有する。
【0052】
記憶部41は、例えば、HDDまたはメモリカードなどの、種々のデータを記憶するストレージデバイスである。記憶部41には、APC4の配下のAP(例えば、AP2、AP3)の接続情報等のデータを格納する。例えば、記憶部41に格納される接続情報は、配下のAPとそのAPと接続中である通信端末とが対応付けられた情報である。
【0053】
通信デバイス42は、配下のAPの通信デバイス(通信デバイス25、35)と、例えば有線LANで接続され、配下のAPとの間で有線通信を行う通信デバイスである。
【0054】
制御部43は、種々の情報処理を実行するプロセッサなどの制御デバイスである。制御部43は、ハンドオーバ制御部44を有する。
【0055】
ハンドオーバ制御部44は、例えば、配下のAPからのハンドオーバ要求に対するハンドオーバ要求応答を生成、ハンドオーバ対象端末(例えば、通信端末1)の認証情報を取得、認証情報を転送する等、ハンドオーバに関わる制御を行う。
【0056】
次に、通信端末1のハンドオーバ制御について説明する。図2は、本実施の形態における通信端末1のハンドオーバ制御の一例を示すフローチャートである。なお、図2は、通信端末1がAP2と接続中に、AP3へハンドオーバを行う例を示している。つまり、図2において、AP2は通信端末1と現在接続中のハンドオーバ元のAPであり、AP3は通信端末1のハンドオーバにより新たに通信端末1と接続するハンドオーバ先のAPである。なお、通信端末1と現在接続中のAPとは、通信端末1の認証情報を保持、管理するAPである。
【0057】
通信端末1の可視光受信制御部16は、カメラ11を介して、AP3から可視光データを受信する(S201)。ハンドオーバ制御部15は、可視光受信制御部16から可視光データを取得し、取得した可視光データから可視光データの送信元であるAP3の識別子(例えば、AP3のBSSID(Basic Service Set Identifier))を抽出することにより、AP3へのハンドオーバが可能と判定する。
【0058】
可視光受信制御部16は、通信端末1の移動等に伴って通信端末1の位置やカメラ11の方向が変わることに起因して、現在接続中のAP2とは異なるAP3から可視光データを受信する。AP3からの可視光データの受信をトリガとして、ハンドオーバ制御部15は、AP3へのハンドオーバが可能と判定する。可視光通信の通信可能距離がミリ波通信の通信可能距離と同程度で設定されており、可視光通信が可能であることは、見通しパスが確保できていることを示すため、可視光データの受信をトリガとして、ハンドオーバが可能であると判定できる。
【0059】
次に、ハンドオーバ制御部15は、現在接続中のAP2との接続状態を確認する(S202)。例えば、ハンドオーバ制御部15は、現在接続中のAP2との通信品質(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator))と所定値とを比較する。
【0060】
次に、ハンドオーバ制御部15は、AP2との通信が可能か否かを判定する(S203)。例えば、ハンドオーバ制御部15は、通信品質が所定値以上の場合、AP2との通信が可能であると判定し、通信品質が所定値未満の場合、AP2との通信が可能では無いと判定する。
【0061】
S203にて、AP2との通信が可能であると判定した場合(S203にてYES)、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP2へハンドオーバ要求を送信する(S204)。そして、ハンドオーバ制御はS205へ移行する。
【0062】
次に、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP2からハンドオーバ要求に対する応答(ハンドオーバ要求応答)を受信する(S205)。そして、ハンドオーバ制御は、S208へ移行する。
【0063】
S203にて、AP3との通信が可能では無いと判定した場合(S203にてNO)、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP3へハンドオーバ要求を送信する(S206)。そして、ハンドオーバ制御はS207へ移行する。
【0064】
次に、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP3からハンドオーバ要求応答を受信する(S207)。そして、ハンドオーバ制御は、S208へ移行する。
【0065】
ハンドオーバ制御部15は、ハンドオーバ要求応答を受信した後、AP3へのハンドオーバを実行し、以降のミリ波通信をAP3との間で行う(S208)。そして、ハンドオーバ制御は終了する。
【0066】
次に、本実施の形態におけるミリ波無線LAN接続システム100のハンドオーバ制御の動作例について説明する。
【0067】
図2にて示したように、ハンドオーバ制御が実行される間に通信端末1が現在接続中のAPと通信が可能か否かに応じて、ミリ波無線LAN接続システム100のハンドオーバ制御の動作は異なる。まずは、通信端末1が現在接続中のAPと通信が可能な場合のハンドオーバ制御の例について説明する。
【0068】
図3は、本実施の形態におけるミリ波無線LAN接続システム100のハンドオーバ制御の動作の第1例を示すシーケンス図である。図3では、通信端末1と、通信端末1と接続中のAP2と、通信端末1がハンドオーバにより新たに接続するAP3と、AP2およびAP3を制御するAPC4の動作が示されている。また、各動作において、送受信されるコマンド(メッセージ)のフォーマットの一例(コマンドC1〜C4)と、AP2、AP3、APC4の記憶部に格納される情報(情報M1〜M6)の例も示されている。
【0069】
情報M1〜M3は、通信端末1のハンドオーバが実行される前の各記憶部に格納される通信端末1に関する情報を示す。AP2は、通信端末1と接続状態にあるため、AP2の記憶部22には、通信端末1と通信端末1の認証情報とを含む情報M1が格納される。また、APC4の記憶部41には、通信端末1の接続情報として、通信端末1とAP2との対応関係を示す情報M3が格納される。AP3は、通信端末1と接続状態には無いため、AP3の記憶部32には、情報M2が示すように、通信端末1に関する情報は格納されていない。
【0070】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、カメラ11を介して、AP3から可視光データを受信する(S301)。可視光データは、AP3の識別子(例えば、AP3のBSSID)等の所定の情報を含む光ID信号である。
【0071】
通信端末1は、AP3から可視光データを受信した場合、可視光データを送信したAP3とのミリ波通信が可能、すなわち、AP3へのハンドオーバが可能である。そのため、通信端末1は、AP3へのハンドオーバを行う。
【0072】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、現在接続状態にあるAP2との通信状態を確認する。図3の場合、通信端末1は、AP2との通信が可能であるため、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP2に対してハンドオーバ要求を送信する(S302)。
【0073】
コマンドC1は、S302にて、ハンドオーバ制御部15が送信するハンドオーバ要求のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC1には、「コマンド種別」、「端末種別」、「移動元AP」、「移動先AP」が含まれる。ハンドオーバ制御部15は、「コマンド種別」にハンドオーバ要求を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子(例えば、通信端末1のMACアドレス)、「移動元AP」にAP2を示す識別子(例えば、AP2のBSSID)を設定する。ハンドオーバ制御部15は、受信した可視光データに基づき、「移動先AP」にAP3を示す識別子(例えば、AP3のBSSID)を設定する。ハンドオーバ制御部15は、各識別子を設定したハンドオーバ要求をAP2に送信する。
【0074】
AP2のハンドオーバ制御部27は、ミリ波通信デバイス23を介して、コマンドC1を受信する。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC1の「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求であることを確認する。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC1の「端末種別」の識別子から、ハンドオーバ要求を送信した端末が通信端末1であることを確認する。ハンドオーバ制御部27は、記憶部22に格納されている情報M1を参照し、ハンドオーバ要求を送信した通信端末1が自身(つまり、AP2)と接続中の通信端末であると判定する。ハンドオーバ制御部27は、記憶部22に格納されている情報M1に基づき、通信端末1の認証情報を含むハンドオーバ要求のコマンドをAPC4へ通信デバイス25を介して送信する(S303)。
【0075】
コマンドC2は、S303にて、ハンドオーバ制御部27が送信するハンドオーバ要求のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC2には、「コマンド種別」、「端末種別」、「移動元AP」、「移動先AP」、「認証情報」が含まれる。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC2の「コマンド種別」、「端末種別」、「移動元AP」、「移動先AP」に、受信したハンドオーバ要求のコマンドC1と同じ識別子を設定する。ハンドオーバ制御部27は、記憶部22に格納されている情報M1に基づき、コマンドC2の「認証情報」に通信端末1の認証情報を設定し、APC4へ送信する。
【0076】
APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC2を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC2の「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求であることを確認する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC2に「認証情報」が含まれることを確認する。ハンドオーバ制御部44は、ハンドオーバ要求のコマンドC2に「認証情報」が含まれる場合、「移動先AP」が示すAP3へ「認証情報」を通知するために、通信デバイス42を介して、認証情報通知をAP3へ送信する(S304)。
【0077】
コマンドC3は、S304にて、ハンドオーバ制御部44が送信する認証情報通知のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC3には、「コマンド種別」、「端末種別」、「認証情報」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、「コマンド種別」に認証情報通知を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部44は、受信したコマンドC2と同様に、「端末種別」に通信端末1を示す識別子、「認証情報」に通信端末1の認証情報を設定する。ハンドオーバ制御部44は、設定した認証情報通知のコマンドC3をAP3へ送信する。
【0078】
次に、AP3のハンドオーバ制御部37は、通信デバイス35を介して、コマンドC3を受信する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC3の「コマンド種別」の識別子が認証情報通知であることを確認する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC3から「端末種別」、「認証情報」を取得し、記憶部32に認証情報を格納する(S305)。
【0079】
情報M4は、S305にて、記憶部32に格納される情報である。認証情報通知のコマンドC3を受信する前の段階では、AP3は通信端末1と接続中では無いため、情報M2に示すように、記憶部32には通信端末1の認証情報は格納されていない。ハンドオーバ制御部37は、認証情報通知のコマンドC3を受信した後、通信端末1の端末種別と、通信端末1の認証情報を含む情報M4を記憶部32に格納する。
【0080】
次に、ハンドオーバ制御部37は、通信デバイス35を介して、APC4に対して、認証情報通知の応答を示す認証情報通知応答を送信する(S306)。
【0081】
コマンドC4は、S306にて、ハンドオーバ制御部37が送信する認証情報通知応答のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC4には、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC4の「コマンド種別」に認証情報通知応答を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、APC4へ送信する。
【0082】
次に、APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4の「コマンド種別」の識別子が認証情報通知応答であることを確認する。そして、ハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、AP2に対してハンドオーバ要求応答を送信する(S307)。
【0083】
S307にて、ハンドオーバ制御部44が送信するハンドオーバ要求応答のコマンドのフォーマットも、コマンドC4に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4の「コマンド種別」にハンドオーバ要求応答を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、AP2へ送信する。
【0084】
AP2のハンドオーバ制御部27は、通信デバイス25を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求応答であることを確認する。そして、ハンドオーバ制御部27は、ミリ波通信デバイス23を介して、通信端末1に対して、ハンドオーバ要求応答を送信する(S308)。
【0085】
S308にて、ハンドオーバ制御部27が送信するハンドオーバ要求応答は、S307にて、ハンドオーバ制御部44から受信したハンドオーバ要求応答と同様である。
【0086】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部15は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求応答であることを確認することによって、ハンドオーバが完了したと判定する。そして、通信端末1のハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12をAP3のミリ波通信デバイス33と接続し、ミリ波通信を開始する。つまり、通信端末1とAP3とは、接続状態となる。
【0087】
AP3は、通信端末1と接続状態となり、ミリ波通信デバイス33を介して、ミリ波通信デバイス12から信号(例えば、Keep−Aliveのように、通信端末とAP間で定期的に送受信される信号)を受信すると、AP3のハンドオーバ制御部37は、APC4に対して、接続通知を送信する(S309)。
【0088】
S309にて、ハンドオーバ制御部37が送信する接続通知のフォーマットは、コマンドC4に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC4の「コマンド種別」に接続通知を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、APC4へ送信する。
【0089】
APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子が接続通知であることを確認すると、コマンドC4の「端末種別」の識別子が示す通信端末1が接続通知の送信元であるAP3との接続が完了したと判定し、APC4の記憶部41に格納されている通信端末1の接続情報を更新する(S310)。
【0090】
情報M5は、S310にて更新後の通信端末1の接続情報である。記憶部41には、接続通知を受信する前の段階では、情報M3の接続情報が格納されている。ハンドオーバ制御部44は、接続通知のコマンドC4を受信した後、通信端末1と接続状態にあるAPをAP3に更新した情報M5を通信端末1の接続情報として記憶部41に格納する。
【0091】
次に、ハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、AP2に対して接続解除通知を送信する(S311)。
【0092】
S311にて、ハンドオーバ制御部44が送信する接続解除通知のフォーマットは、コマンドC4に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4の「コマンド種別」に接続解除通知を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、AP2へ送信する。
【0093】
AP2のハンドオーバ制御部27は、通信デバイス25を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子が接続解除通知であることを確認すると、コマンドC4の「端末種別」の識別子が示す通信端末1との接続を解除し、記憶部22に格納されている通信端末1の認証情報を破棄する(S312)。
【0094】
情報M6は、S312にて、通信端末1の認証情報が破棄された後の状態を示す。ハンドオーバ制御部27は、接続解除通知を受信した後、記憶部22に格納された情報M1の認証情報を破棄し、情報M6の状態に変更する。
【0095】
以上のハンドオーバ制御により、通信端末1は、可視光データを受信したことをトリガとして、現在接続中のAP2を介して、ハンドオーバ要求を送信する。また、通信端末1は、現在接続中のAP2を介して、ハンドオーバ要求応答を受信することにより、ハンドオーバが完了する。
【0096】
次に、通信端末1が現在接続中のAPと通信が可能では無い状態となった場合のハンドオーバ制御の例について説明する。
【0097】
図4は、本実施の形態におけるミリ波無線LAN接続システム100のハンドオーバ制御の動作の第2例を示すシーケンス図である。図4では、図3と同様に、通信端末1と、通信端末1と接続中のAP2と、通信端末1がハンドオーバにより新たに接続するAP3と、AP2およびAP3を制御するAPC4の動作が示されている。また、各動作において、送受信されるコマンド(メッセージ)のフォーマットの一例(コマンドC1〜C4)と、AP2、AP3、APC4の記憶部に格納される情報(情報M1〜M6)の例も示されている。なお、図4の情報M1〜M3は、図3の情報M1〜M3と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0098】
図4に示すハンドオーバ制御は、通信端末1がAP3から送信される可視光データを受信した後(つまり、図4のS301の後)、通信端末1が、接続状態にあったAP2との通信が切断されてしまう点が、図3に示したハンドオーバ制御と異なる。これに伴って、図4に示すハンドオーバ制御は、通信端末1から送信されるハンドオーバ要求の送信先のAPおよび通信端末1によって受信されるハンドオーバ要求応答の送信先のAPが図3に示したハンドオーバ制御と異なる。また、図4に示すハンドオーバ制御は、図3に示したハンドオーバ制御に対して、通信端末1の認証情報を取得する処理が追加される。
【0099】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、カメラ11を介して、AP3から可視光データを受信する(S401)。可視光データは、AP3の識別子(例えば、AP3のBSSID)等の所定の情報を含む光ID信号である。
【0100】
通信端末1は、AP3から可視光データを受信した場合、可視光データを送信したAP3とのミリ波通信が可能、すなわち、AP3へのハンドオーバが可能である。そのため、通信端末1は、AP3へのハンドオーバを行う。
【0101】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、現在接続状態にあるAP2との通信状態を確認する。図4の場合、通信端末1は、AP2と切断状態となり、通信が可能では無いため、ハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、AP3に対してハンドオーバ要求を送信する(S402)。
【0102】
コマンドC1は、S402にて、ハンドオーバ制御部15が送信するハンドオーバ要求のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC1には、「コマンド種別」、「端末種別」、「移動元AP」、「移動先AP」が含まれる。ハンドオーバ制御部15は、「コマンド種別」にハンドオーバ要求を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子(例えば、通信端末1のMACアドレス)、「移動元AP」にAP2を示す識別子(例えば、AP2のBSSID)を設定する。ハンドオーバ制御部15は、受信した可視光データに基づき、「移動先AP」にAP3を示す識別子(例えば、AP3のBSSID)を設定する。ハンドオーバ制御部15は、各識別子を設定したハンドオーバ要求をAP2に送信する。
【0103】
AP3のハンドオーバ制御部37は、ミリ波通信デバイス33を介して、コマンドC1を受信する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC1の「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求であることを確認する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC1の「端末種別」の識別子から、ハンドオーバ要求を送信した端末が通信端末1であることを確認する。ハンドオーバ制御部37は、記憶部32に格納されている認証情報(例えば、情報)を参照し、ハンドオーバ要求を送信した通信端末1が自身(つまり、AP3)と接続中では無い通信端末であると判定する。この場合、ハンドオーバ制御部37は、受信したハンドオーバ要求のコマンドをそのままAPC4へ通信デバイス35を介して送信する(S403)。
【0104】
APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC1を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC1の「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求であることを確認する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC1に「認証情報」が含まれていないことを確認する。ハンドオーバ制御部44は、ハンドオーバ要求のコマンドC1に「認証情報」が含まれていない場合、「移動元AP」が示すAP2から「認証情報」を取得するために、通信デバイス42を介して、認証情報取得通知をAP2へ送信する(S404)。
【0105】
コマンドC4は、S404にて、ハンドオーバ制御部44が送信する認証情報取得通知のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC4には、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、「コマンド種別」に認証情報取得通知を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部44は、受信したコマンドC1と同様に、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部44は、設定した認証情報取得通知のコマンドC4をAP2へ送信する。
【0106】
次に、AP2のハンドオーバ制御部27は、通信デバイス25を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部27は、コマンドC4の「コマンド種別」の識別子が認証情報取得通知であること、および、コマンドC4の「端末種別」の識別子が通信端末1であることを確認する。ハンドオーバ制御部27は、記憶部22に格納される通信端末1の情報M1を参照して、認証情報取得応答を設定する。ハンドオーバ制御部27は、通信デバイス25を介して、認証情報取得応答をAPC4へ送信する(S405)。
【0107】
コマンドC3は、S405にて、ハンドオーバ制御部27が送信する認証情報取得応答のコマンドのフォーマットを示している。コマンドC3には、「コマンド種別」、「端末種別」、「認証情報」が含まれる。ハンドオーバ制御部27は、「コマンド種別」に認証情報取得応答を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部27は、受信したコマンドC4と同様に、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部27は、記憶部22に格納されている通信端末1の情報M1を参照して、「認証情報」に通信端末1の認証情報を設定する。ハンドオーバ制御部27は、設定した認証情報取得応答のコマンドC3をAPC4へ送信する。
【0108】
APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC3を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC3の「コマンド種別」の識別子が認証情報取得応答であることを確認する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC3に「認証情報」が含まれることを確認する。ハンドオーバ制御部44は、S403にて受信したハンドオーバ要求のコマンドC1の「移動先AP」が示すAP3へ「認証情報」を通知するために、通信デバイス42を介して、認証情報通知をAP3へ送信する(S406)。
【0109】
S406にて、ハンドオーバ制御部44が送信する認証情報通知のコマンドのフォーマットも、コマンドC3に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」、「認証情報」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、「コマンド種別」に認証情報通知を示す識別子を設定する。ハンドオーバ制御部44は、受信した認証情報取得応答のコマンドC3と同様に、「端末種別」に通信端末1を示す識別子、「認証情報」に通信端末1の認証情報を設定する。ハンドオーバ制御部44は、設定した認証情報通知のコマンドC3をAP3へ送信する。
【0110】
次に、AP3のハンドオーバ制御部37は、通信デバイス35を介して、コマンドC3を受信する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC3の「コマンド種別」の識別子が認証情報通知であることを確認する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC3から「端末種別」、「認証情報」を取得し、記憶部32に認証情報を格納する(S407)。
【0111】
情報M4は、S407にて、記憶部32に格納される情報である。認証情報通知のコマンドC3を受信する前の段階では、AP3は通信端末1と接続中では無いため、情報M2に示すように、記憶部32には通信端末1の認証情報は格納されていない。ハンドオーバ制御部37は、認証情報通知のコマンドC3を受信した後、通信端末1の端末種別と、通信端末1の認証情報を含む情報M4を記憶部32に格納する。
【0112】
次に、ハンドオーバ制御部37は、通信デバイス35を介して、APC4に対して、認証情報通知の応答を示す認証情報通知応答を送信する(S408)。
【0113】
S408にて、ハンドオーバ制御部37が送信する認証情報通知応答のコマンドも、コマンドC4に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC4の「コマンド種別」に認証情報通知応答を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、APC4へ送信する。
【0114】
次に、APC4のハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4の「コマンド種別」の識別子が認証情報通知応答であることを確認する。そして、ハンドオーバ制御部44は、通信デバイス42を介して、AP3に対してハンドオーバ要求応答を送信する(S409)。
【0115】
S409にて、ハンドオーバ制御部44が送信するハンドオーバ要求応答のコマンドのフォーマットも、コマンドC4に示すように、「コマンド種別」、「端末種別」が含まれる。ハンドオーバ制御部44は、コマンドC4の「コマンド種別」にハンドオーバ要求応答を示す識別子、「端末種別」に通信端末1を示す識別子を設定し、AP3へ送信する。
【0116】
AP3のハンドオーバ制御部37は、通信デバイス35を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部37は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求応答であることを確認する。そして、ハンドオーバ制御部37は、ミリ波通信デバイス33を介して、通信端末1に対して、ハンドオーバ要求応答を送信する(S410)。
【0117】
S410にて、ハンドオーバ制御部37が送信するハンドオーバ要求応答は、S409にて、ハンドオーバ制御部44から受信したハンドオーバ要求応答と同様である。
【0118】
通信端末1のハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12を介して、コマンドC4を受信する。ハンドオーバ制御部15は、コマンドC4に含まれる「コマンド種別」の識別子がハンドオーバ要求応答であることを確認することによって、ハンドオーバが完了したと判定する。そして、通信端末1のハンドオーバ制御部15は、ミリ波通信デバイス12をAP3のミリ波通信デバイス33と接続し、ミリ波通信を開始する。つまり、通信端末1とAP3とは、接続状態となる。
【0119】
通信端末1とAP3とが接続状態となった後のハンドオーバ制御のS411〜S414の処理は、それぞれ、図3に示したハンドオーバ制御のS309〜S312と同様である。
【0120】
以上のハンドオーバ制御により、現在接続中のAP2との通信が切断された状態の場合、通信端末1は、可視光データを受信したことをトリガとして、可視光データの送信元であるAP3を介して、ハンドオーバ要求を送信する。また、通信端末1は、可視光データの送信元であるAP3を介して、ハンドオーバ要求応答を受信することにより、ハンドオーバが完了する。
【0121】
以上説明したように、本実施の形態によれば、通信端末がAPから可視光データを受信したことをトリガとして、可視光データの送信元のAPを新たな接続先のAPとして特定し、新たな接続先のAPへのハンドオーバが実行される。このような構成により、通信端末は、ハンドオーバ時にAPを探索する(スキャンする)必要無く、見通しパスを確保できるAPを特定でき、特定したAPをハンドオーバにより新たに接続するAPに設定できるため、見通しパスを確保できている装置間で、高速にハンドオーバを行うことができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、通信端末は、APから可視光データを受信したことをトリガとして、可視光データの送信元のAPに対してハンドオーバ要求を送信してもよい。このような構成により、通信端末は、接続状態にあるAPの代わりに、可視光データの送信元のAPへハンドオーバ要求を送信できるため、通信端末と接続中のAPとの通信が切断された状態の場合であっても、適切なAPへ高速にハンドオーバできる。
【0123】
なお、本実施の形態では、ミリ波帯を用いた無線LAN接続システムについて説明したが、本開示はこれに限定されない。ミリ波帯を用いた無線通信を行う通信装置間で、ハンドオーバ制御を行う構成であれば、無線LANに限定されない。
【0124】
また、本実施の形態では、ミリ波無線LAN接続システムが2つのAPを有する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。APの数は、2つでなくてもよい。
【0125】
また、本実施の形態では、ミリ波無線LAN接続システムが、別々の装置として、APとAPCとを有する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ミリ波無線LAN接続システムは、APCの機能を実行する構成を有するメインAPと、メインAPにより制御されるサブAPとを有する構成であってもよい。
【0126】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0127】
上記各実施の形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0128】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には、入力端子および出力端子を有する集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0129】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Fieled Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0130】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示は、ミリ波無線LAN接続システムに有用である。
【符号の説明】
【0132】
1 通信端末
2、3 アクセスポイント(AP)
4 アクセスポイントコントローラ(APC)
11 カメラ
12、23、33 ミリ波通信デバイス
13、24、34 アンテナ
14、26、36、43 制御部
15、27、37、44 ハンドオーバ制御部
16 可視光受信制御部
17、29、39 ミリ波通信制御部
21、31 LED光源
22、32、41 記憶部
25、35、42 通信デバイス
28、38 可視光送信制御部
100 ミリ波無線LAN接続システム
図1
図2
図3
図4